サイレント・ナイツ ―無名のヒーロー達―   作:趣味全開人生

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CSSに所属するラルフ・フォルツ中尉は今日も子供を救うべく戦っていた――――




第一部・第一章:闇夜の蜂起編
ファイル001『守護者たち』


─────────マンション・一室

 

 

 

幼い少年は魂が抜けたような眼差しで壁を見つめていた。

 

 

 

傷と痣に覆われた身体が痛む。

 

 

 

けれども、痛い、苦しい、悲しいという感情は無かった。それを露わにすれば、両親から徹底的に痛めつけられるからだ。

 

だから、何も無い。あってはいけないのだ。

 

 

 

そうすれば、痛い目に遭わなくて済む。

 

 

 

 

 

 

 

 

──────その時だった。

 

 

 

 

 

『CSS! CSS! CSS!』

 

 

知らない男達の声が響き渡る。続いて小さな発射音、両親の悲鳴。

 

 

 

クローゼットに隠れ、息をひそめる。

 

 

 

更に発射音がしたかと思うと、両親の声はそれきり聞こえなくなった。

 

 

 

 

 

心臓の鼓動が激しくなる。

 

 

足音。

 

 

 

 

 

 

この時、少年は数年振りに恐怖を味わっていた。そして心から神に祈った。

 

 

 

やがて───────────────

 

 

 

 

 

 

クローゼットが開かれ、少年は諦めの表情と共に両手を上げて外へと出る。

 

 

 

(やっぱり駄目だったか─────そもそもお父さんやお母さんに殴られた時も、何度祈っても駄目だったじゃないか)

 

 

 

 

 

 

 

そして虚ろな瞳で侵入者を見つめる。

 

 

黒い服に身を包み、顔も目元以外は真っ黒だ。

 

 

 

死神、だろうか

 

 

 

 

 

 

そう思ったが黒い服の男は少年の両手を優しく下ろし、脚を屈めて目線を合わせてきた。

 

 

「もう、大丈夫だ。お腹は空いているかい?」

 

 

 

頷いて応えると、男は銀色の袋を取り出して少年の手に持たせる。

 

「食べ物だよ。遠慮せずにお食べ」

 

 

袋を開けるとチョコの甘い香りがした。

 

 

 

 

夢中でチョコバーにかじりつき、数日間何も食べていないお腹を必死で満たそうとする少年を見つめる兵士の瞳が安堵に染まる。

 

 

 

 

「俺達と一緒に行こう。温かいご飯もお風呂も在るし、ぐっすり眠れるベッドだってある」

 

 

 

「──────ほんとうに?」

 

 

その問いに頷く兵士。

 

 

 

「ああ。約束する」

 

 

 

 

 

少年は差し出された大きな手に自らのやせ細った手を重ね、歩き出す。

 

 

 

────────────────────

 

 

 

懐かしい夢から目覚めた兵士は慣れた手付きで布団を畳み、床に厚めのタオルマットを敷く。

 

 

起床時間まであと2時間。それを確認して腹筋を始めた。

 

 

 

 

『1,2,3,4,5………』

 

頭の中でカウントしながら隣室で眠っているであろう男の事を思い浮かべる。

 

 

 

(今もまだ悪夢にうなされているんだろうか)

 

 

 

 

“あの事件”以来、あの男はすっかり変わってしまった。けれども─────────

 

 

 

 

カウントが1000に達し、腹筋を止めると直ぐに身体を反転させて腕立て伏せに移る。

 

 

 

『……………まだまだ、だなぁ』

 

 

 

100回で限界を迎え、タオルマットに倒れ込む。目標までまだまだ遠い。

 

 

 

 

「さて、さっぱりしますか」

 

 

汗まみれのシャツと下着を脱ぎ、汗を吸ったタオルマットと一緒に洗濯機に放り込んでシャワーの栓を捻る。

 

 

 

────────────────────

 

 

「フォルツ中尉、おはようございます」

 

 

その声で朝になったのだと知り、ベッドから起き上がる男。

 

 

 

「よく眠れましたか?」

 

自分が脱ぎ捨てた洗濯物を手際良く集め、洗濯機に放り込む部下が背中越しに語りかけてくる。

 

 

「ああ…………ロイクか。眠りは………………まあまあ、だな」

 

 

感情の乏しい声で応え、窓を開ける。

 

 

 

 

 

 

 

新鮮な空気を吸う上官の背中には昔のような頼もしさは無かった。何も知らない者が見れば単なるサボリ上司にしか見えないだろう。

 

しかし、兵士の記憶はそれを否定している。

 

 

 

 

 

(昔、お腹を空かせてやせ細った僕を助けてくれたのはあなただ。だから、今度は僕があなたを支えます。…………ラルフ)

 

 

密かに親愛の情を込めて上官のファーストネームを呼び、気持ちを切り換える。

 

 

 

 

 

「もうすぐ朝食ですよ、行きましょう」

 

 

「ああ…………分かったよ、アロン伍長」

 

 

 

 

 

 

────────────────────

 

 

その日も何事もなく終わるかと思われた昼過ぎ、一件の通報が舞い込む。

 

 

 

 

 

 

 

『あのビルから子供の悲鳴のような泣き声が毎晩聞こえる』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして通報から僅か15分で兵士達は装備に身を包み臨戦態勢に入っていた。

 

 

 

 

 

 

「通報者の情報によれば、子供の声は複数人。必ず毎晩聞こえるそうだ。巡回中のパトロール隊が小型ドローンによる偵察を行った結果、地下に子供が囚われている事が判明した」

 

 

スクリーンに映し出されたビルの図面の各所を指示棒で指しながら突入の手順を説明するフォルツ中尉の表情は先ほどとは別人のものになっている。

 

 

 

 

 

 

 

 

「─────────作戦の説明は以上。

 

 

幼い命を踏みにじり、虐げる輩には容赦するな。

 

全員、地獄に叩き込め」

 

 

その声は静かでありながら凄まじい怒りの炎が滲み出ていた。

 

 

そして、それは隊員達にも伝わっていく。

 

 

 

「─────────出撃だ。行くぞ」

 

 

「──────────応っ!」

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

──────某ビル・地下

 

 

「各員、ARグラスを起動しろ。ドローンからの情報が送られてくる」

 

 

部隊を指揮するラルフ・フォルツ中尉の指示に従い、ARグラスのスイッチを入れる隊員たち。

 

壁に張り付いて監視カメラとして機能しているドローンから送られた情報が、グラスの暗視映像に反映されていく。

 

 

 

「地下に敵が10人、牢屋に子供が20人………更なる地下の方にも子供の反応が50人………先ずは武装した敵を迅速に無力化する」

 

 

 

 

 

 

 

 

部下に指示を送り、二カ所に分かれた敵のうち牢屋を警備している方に向かうラルフ。

 

 

 

「牢屋を警備している3人の敵を迅速に無力化する。指示した標的を攻撃しろ」

 

グラスに投影されているドローンのスキャン映像が2人の部下と共有され、壁の向こう側に人間のシルエットが浮かび上がっている。

 

 

 

 

 

3人のうち1人目は手前の牢屋の方を見ており、銃は手に持たず肩に提げている。

 

2人目は中央の壁にもたれて居眠り。

 

3人目は手の動作からしてスマホを弄っているのだろう。

 

 

 

 

 

完全に油断しきっている今がチャンスだ。そう判断したラルフはARグラスのボイスコントロール機能をオンにした。

 

 

「目の前の反応に番号を付与」

 

 

すると、牢の方を見ている敵兵の頭上に『A』の文字が浮かんだ。

 

続いて居眠りしている方に『B』、スマホを弄っている方に『C』の文字が浮かぶ。

 

 

 

 

 

「私はAをやる。ハラダ少尉はBを、ファン伍長はCをやれ」

 

 

するとラルフのグラス内で『A』の文字が赤くなり、着用者に『これがターゲットだ』という事を視覚的に伝えてきた。

 

 

同じようにハラダ少尉とファン伍長のグラス内で『B』、『C』の文字がそれぞれ赤くなる。

 

 

 

 

 

「1、2の3でやるぞ。………………1、2の……3!」

 

ラルフがドアを蹴破って発砲。ハラダとフォンも続き、牢は数秒で制圧された。

 

 

 

 

「自分は牢を開けます!」

 

そう言いながら牢の中にいる子供達を遠ざけて、鍵部分をレーザーで焼き切るハラダ。

 

そして子供達によって扉が開かれる。

 

 

 

 

 

 

 

「もう大丈夫だ!お腹は空いているかい?」

 

ハラダが自分に抱き付いて泣き出す子供達の頭を撫でる傍ら、他の牢を開けていたファンが子供達の腕輪に気付く。

 

 

「何だ…………文字?」

 

 

ちょっとごめんね、と声をかけて腕輪を凝視したファンはそこに“Used”の文字を見つけ、目の前の少女に歳が近い姪っ子の姿を重ねて静かな怒りを胸に宿らせた。

 

 

 

 

「もう、痛い事はされない。大丈夫だ」

 

 

少女は無表情のまま、頷く。

 

 

 

 

それを見守るラルフの通信機からは部下達からの報告が次々と入ってきていた。

 

 

『東側、制圧しました!』

 

 

『北側、制圧完了!』

 

 

 

地下施設全体の制圧に成功した事を確認し、ラルフは作戦終了宣言を行うのだった。

 

 

 

─────────────────────

 

 

──────ニューヨーク

 

 

 

 

「要するにあそこは未成年の女児を“玩具”とする店だった訳だな。店舗経営に関与する人員が居なかった事を考えると、我々の捜査を察知していた可能性がある」

 

 

 

Children Safety Secretariat (児童安全事務局。略称“CSS”)の本部ビル、その会議室でスーツ姿の壮年男性が資料を片手に軍服姿の男と向き合っていた。

 

 

「抜け目のない連中だ。よっぽど捕まりたくないんだな」

 

 

「はい、局長。店舗内の金庫もコンピューターも中身はありませんでした」

 

 

 

 

 

中佐の階級章を着けた軍人の報告に苦い顔をする局長。

 

 

「この対応の早さ、まるで“スペード”のようだな」

 

 

 

 

 

「───────────────」

 

 

血のように赤いスペードをシンボルとし、その名を知らぬ者がいない大物テロリスト。

 

 

 

これまで数々の惨劇を生み出し、中佐の部下のひとりに深い傷を負わせた憎むべき相手だ。

 

 

また、中佐自身も彼の手下達によって残酷な殺され方をした子供達の亡骸を何度も目撃している。

 

 

 

 

「中佐。引き続き、スペードの動向に注意しろ。奴は何故か子供を優先的に殺害している。これ以上子供を殺させるな」

 

 

強い意思を込めて命じる局長に中佐がゆっくりと頷いて応じた。

 

 

 

「了解しました、局長」

 

 

 

 

─────────────────────

 

 

ラルフはうなされていた。

 

 

 

『お兄ちゃん!』

 

泣きながらラルフに駆け寄ってくる5、6歳くらいの女の子。

 

 

 

しかし、ラルフが手を伸ばそうとした瞬間に女の子の身体が光ったかと思うと熱と衝撃が襲いかかる。

 

 

 

 

気が付くと、彼の身体は返り血で赤く染まっていた。

 

 

「────────────!」

 

 

 

女の子の姿を探すが、彼女がいた場所には赤色の大きなシミがあるだけで他は何一つ彼女の存在を感じるものがない。

 

 

 

 

気配を感じて振り向くと、血まみれの子供達が彼を睨みつけていた。

 

 

 

「何でもっと早く来なかったの」

 

 

 

 

無数の非難の眼差しがラルフを追い詰め、その心に深く刃を沈み込ませる。

 

 

 

 

 

────────────────────

 

 

───────CSS実働部隊カリフォルニア駐屯地

 

 

 

「おはようございます、ラルフ。水飲みますか?」

 

 

ロイクの声で夢から醒めたのだと知り、彼の差し出した水を飲み干す。

 

 

 

 

「今日、行ってくる。随分行ってないから」

 

ハムエッグを平らげ、喪服姿に着替えたラルフに花束を手渡すロイク。

 

 

 

「昼食までには帰りますか?」

 

 

ああ、と応えて墓地に向かうその後ろ姿はとてもくたびれていた────────────

 

 

 

 

 

─────────────────────

 

 

 

児童犠牲者追悼公園と名付けられたそれは一見、子供が遊ぶ場所と何ら変わらない。

 

 

広大で緑豊かな土地の各所に遊具が置かれ、子供達が遊べばたちまち賑やかな場所になるであろうその場所は、静かだった。

 

 

 

そして、その土地の中心にある石碑の前にラルフは立っていた。

 

 

 

『天使になった子供達へ捧ぐ』

 

その言葉が刻まれた石碑の周りには祈りに来た人々が持ってきたであろう花束が沢山置かれ、供え物を置くテーブルの上は子供の玩具や服が山積みになっている。

 

 

 

一つも無い日がない、と施設の職員が話していたその場所にラルフは玩具を置き始めた。

 

 

 

 

ウサギやリスといった可愛い動物のぬいぐるみ。

 

飛行機の玩具。

 

特撮に出てくるヒーローや怪獣になりきる着ぐるみ。

 

おままごとセット。

 

車のラジコン。

 

 

 

 

しかし、それらを捧げる相手に何も言わずに石碑に花束を置いて立ち去るラルフ。

 

 

 

 

 

─────────────────────

 

 

駐屯地に戻って自主トレを済ませたラルフが自室の扉を開けると、笑顔で出迎えるロイクが真っ先に目に入った。

 

 

 

「お帰りなさい、中尉」

 

 

 

 

ああ、と応じた相手はそのままベッドに沈み込み無言になる。

 

 

 

 

─────────────────────

 

 

その晩、ラルフ達とは別のCSS実働部隊が配属されているシアトル駐屯地で突如として爆発が起こった。

 

 

 

「何だ!?」

 

パトロールをしていて難を逃れた兵士達が燃え盛る駐屯地を見る。

 

 

 

武器庫、燃料タンク、ガレージから炎と煙があがっており駐屯地の機能が大きく損なわれたのは明白だ。

 

 

 

 

「本部に連絡だ!」

 

 

慌ただしい口調で本部に報告する兵士の背後で兵舎が爆破され、炎の勢いが強まっていった。

 

 

 

──────────────────

 

 

CSS本部────────

 

 

 

世界各地にあるCSS駐屯地の一部が爆破され、機能を喪失したことで本部の職員達はその対応に追われていた。

 

 

 

「パリ支部からの連絡途絶!アムステルダム支部の通信レベル、低下しています!」

 

 

オペレーター達の報告に厳しい顔をしていた実働部隊の総司令官は被害を受けた都市のリストに目をやり、奇妙な事に気が付いた。

 

 

 

「シアトル…………パリ…………アムステルダム………………戦略的な重要度がバラバラじゃないか。何故だ」

 

 

そこへオペレーターから、先ほどドイツのダルムシュタット駐屯地が被害を受けたとの知らせが入る。

 

 

「馬鹿な…………治安が良いから重火器が無い所だぞ」

 

 

そんな総司令の戸惑いなど知ったかと言わんばかりにスペインのエルチェ駐屯地から被害報告が飛び込んできた。

 

 

 

 

「どういう事だ?この奇妙な爆破事件……………………場所に意味があるのか?」

 

 

 

総司令の頭の中で被害を受けた駐屯地の所在地名が整理されていく。

 

 

 

Seattle (シアトル)

 

Paris (パリ)

 

Amsterdam (アムステルダム)

 

Darmstadt (ダルムシュタット)

 

Elche (エルチェ)

 

 

 

戦略的な重要度はバラバラ。重要な拠点なのはパリ駐屯地のみ。後は警察の交番みたいな役割のところがほとんどだ。

 

 

 

「順番に意味があるのか?」

 

 

 

そして、再び駐屯地の所在地を頭の中で並べていきハッとなる。

 

 

 

「────────────シアトル、パリ、アムステルダム、ダルムシュタット、エルチェ………………………………」

 

 

被害が発生した順番に読み上げ、確信した表情になる。

 

 

 

 

「間違いない、スペードだ……………………スペードが我々に宣戦布告したのだ!」

 

 

 

 

─────────────────────

 

 

 

カリフォルニア・CSS管轄児童保護施設

 

 

施設に物資を届けたついでに子供達の様子を見ていたロイクは聞き覚えのある声に呼び止められた。

 

 

 

「ロイクお兄ちゃん、見てみて!この義手と義足、カッコいいでしょ!」

 

 

ロボットを思わせるスタイリッシュなデザインの筋電義手と義足を身に着けて元気に走り回る女の子。

 

 

 

「凄いぞ、アメリア!もう上手に使えるんだな」

 

 

大げさに感心してみせるロイクにえっへんと胸を張る女の子の姿を見て周囲の大人達も優しい笑顔を浮かべる。

 

 

 

 

 

 

(子供は傷つきながらも強く生きている。その姿がたまらなく愛おしい)

 

 

女の子の頭を撫でながらロイクはそんな事を考えるのだった。

 

 

 

 

 

────────続く

 

 

 

 

 

 






~次回予告~


ファイル002『復讐者』



最悪のテロリスト、スペードがCSSに宣戦布告した。


そして駐屯地爆破テロの混乱で各支部・駐屯地の連携が途絶えた隙を狙ってCSS本部がスペード率いる精鋭部隊の襲撃を受けてしまう。




そんな中、ラルフはスペードへの復讐心に駆られて単身で本部へと向かう。






――――――――――――――――




エピソード毎に新たに登場した人物や用語がある場合、ここで紹介させて頂きます。



【人物紹介】


・ラルフ・フォルツ

性別…男性

年齢…32

人種…ドイツ系

階級…中尉

《解説》
CSSに所属する士官で、後述する穏健派に属している。

貧困層出身で幼少期に姉や妹が餓死するのを目の当たりにした経緯から子供を救う仕事に就きたいと考えるようになりCSSに入隊した。

当初は子供達から好かれるお兄ちゃんだったが、最悪のテロリストであるスペードにより自分が世話をしていた子供達を惨殺され、子供との触れ合いを忌避するようになってしまう。



本人は隠しているがバツイチであり8歳の娘と4歳の息子がいる。(※後述するレイヴンズと戦う上で、家族を危険に晒さない為に敢えて最愛の妻と離婚し子供達ともずっと会っていない。)


また、家族の写真を持たずスマホのフォルダからも全部削除するなど徹底的に家族との関係を断っており、その心の中に大きな孤独を抱えている。




余談ではあるが、家事スキルが高く心の調子が良い時はロイクに手料理を振る舞っているほか、キャプテン・USAというアメコミヒーローが好きで、その影響なのかレイヴンズの『富裕層は女子供も含めて皆殺しにしていいという考え方』を、『人間の命を選別する最低な思想』と否定する強い正義感を持つ。


子供達がスペードに殺される前は、時々自分で作ったキャプテン・USAの衣装を着て子供達を喜ばせており、その時の衣装が官舎のクローゼットにしまわれている。(ちなみにキャプテン・USA愛が強すぎて5種類も作っている。)


その他、レイヴンズによって虐げられる旧連盟側の子供達を密かに救出し保護する穏健派のコミュニティーにも属している。(死んだことにして、顔も名前も変えて新しい戸籍を与える、元の戸籍のDNA情報を書き換えて身元がばれないようにしている。)





・ロイク・アロン

性別…男性

年齢…19

人種…フランス系

階級…伍長

《解説》
CSSに所属する下士官でラルフと同じく穏健派に属している。


かつて親に虐待され餓死しかけたところをラルフに救われた経緯から同じ道に憧れ、13歳になった時に『軍事訓練を6年間積んで卒業後はCSSの下士官になる』特殊な学校に入学。厳しい訓練を経て無事に卒業、伍長としてCSSに入隊する。

家事スキルが高く、気力を喪失してぼーっと過ごすラルフの世話役として活躍中。実は信頼しあえるパートナーと出会って幸せな家庭を築くという夢を持っている。

ラルフと同じく、旧連盟側の子供達を保護するコミュニティーに属している。





・スペード

性別…不明

年齢…不明

人種…不明

《解説》
CSSに宣戦布告した謎のテロリスト。パリ陥落時に国連軍の一部将兵が行った虐殺に反発している節があり、懲罰措置と称して当時の臨時政府側に属していた人々の子供を中心とする非戦闘員を標的にした殺人事件を幾度も起こしている。





・エドワード・ハラダ

性別…男性

年齢…29

人種…日系

階級…少尉

《解説》
ラルフの部下のひとり。新型の軍用スマホやドローン、ARグラス等の評価試験を行う為に中国系IT企業から少尉待遇で派遣されたエンジニアだが、兵士としてのスキルも備えており優秀な技術将校。





・ファン・バー・ズン

性別…男性

年齢…25

人種…ベトナム系

階級…伍長

《解説》
ラルフの部下のひとり。まだ若く直情的だが仁義を重んじる性格で人としての筋を絶対に曲げない。





【用語】


・CSS

国連軍内部に創設された、子供の保護を目的とする組織で正式名称は“Children Safety Secretariat” (児童安全事務局)。


当初は虐待する親から子供を保護するといった活動が中心だったが、後述するレイヴンズが主導して組織を改革。子供が虐待される環境の改善を中心に活動するようになる。

CSSが積み重ねてきた、貧困及び飢餓に苦しむ子供の減少という実績の大半はレイヴンズおよび彼らに感化された将兵達による過激かつ強権的な活動によってもたらされたものであり、事実上レイヴンズに支配されつつある。





・レイヴンズ

CSS内部で誕生した派閥で子供が虐待される環境の改善を唱えているが、その手法は極めて過激で目的達成の為ならば拷問・虐殺も辞さない。


人間の善意を信頼せず、人々を力で押さえ付けてコントロールする事で安寧と秩序が得られると信じて疑わないが、その一方で彼らに恐怖した富豪達が労働環境の改善を急いだ事により児童虐待が減少する結果に繋がっているため民衆の支持もそれなりに高い。


ちなみに派閥の立ち上げに関わったメンバーは皆、2060年のパリ攻略戦において連盟側の非戦闘員に対する虐殺に関与している。





・穏健派

過激な思想を掲げ、強権的な姿勢が強まりつつあるレイヴンズに対抗して作られた派閥でニックネームのようなものはなく単に「穏健派」と呼ばれる。


人間の善意を信頼し助け合うという精神を軸とした社会の構築を目指しており、レイヴンズとは対照的な組織。


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