レイヴンズに拘束されたリンダ・コスタを救うべく収容施設に潜入したエドワード・ハラダ少尉。
同じ頃、リンダと親しかったマーカス・サイモン軍曹も施設に潜入していた。
施設の警備員に変装して施設の廊下を歩くマーカス・サイモン軍曹。
(先ずはリンダの居場所を見つけなくては)
時折、警備員とすれ違うことはあったものの、幸い今のところ気付かれていない。
とはいえ、早くリンダを見つけて脱出しなければ正体が露見する。
マップを確認して警備室に向かうマーカス。
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「ん?交代の時間までまだあるぞ」
監視カメラ映像が映し出されたモニター群の前でドーナツを食べていた警備員が振り返る。
「ああ、施設の電気系統にちょっとしたトラブルがあってな、様子を見て来いと」
マーカスが咄嗟にでっち上げたウソを疑いもせず納得したかのようにモニターに視線を戻す警備員。
と、その時だった。
「ん……D級以下のスタッフ立ち入り禁止のエリアじゃないか?」
警備員が視線を集中させたそのモニターには、D級スタッフの制服を身に着けた男の姿がある。
迷い込んだか――――?それにしては動きに躊躇いがない。
当該エリアに連絡して身柄を拘束しなければ――――そう思いながら受話器を手にした瞬間、屈強な腕に首を絞められた。
失神した警備員をロッカーに隠し、モニターのエリアを確認するマーカス。
同時にスマートフォンにダウンロードした施設の情報と照らし合わせて、この男はリンダが拘束されている独房エリアに向かっている――――そう判断した。
――――――――――――――――
失敗したな――――エドワード・ハラダ少尉はそう感じていた。
どうやらこの施設は、奥に行けば行くほどスタッフの立ち入りが制限されるようだ。
おそらく協力者が準備してくれた制服ではこのエリアは大手を振って歩けまい。
警備員に見つからないように倉庫に身を隠す――――が、そこには既に先客がいた。
「ここのスタッフじゃないな?」
瞬時に銃を抜き、構える――――向こうの警備員も同じだ――――
「リンダ・コスタを助けに来たのか?」
その言葉にハッとなるハラダ。
「――――まさか、ここの警備員じゃない?」
「ああ……マーカス・サイモン軍曹だ。リンダ・コスタをここから救い出す為に来た」
その言葉でハラダの表情が緩み、銃を下す。
「エドワード・ハラダ少尉だ。と言っても今はお尋ね者だがな――――君と同じようにリンダ・コスタを救出する為に来た」
姿勢を正し敬礼するマーカス。
「失礼いたしました。ご協力します」
――――――――――――――――
倉庫の中にあった警備員用の予備の制服に身を包んだハラダ。その隣には彼と同じようにパトロールを装いながら歩くマーカス。
「リンダ・コスタが囚われているのはこの先の独房だ――――保護したら助っ人が施設の外で暴れて警備員を誘き出す予定になっているが君の方は外に味方が?」
「はい――――一応、互いの味方に連絡しましょう。同士討ちされたらたまらない」
――――――――――――――――
施設から1キロ離れた地点で待機する兵士達。
「ああ――――分かった。伝えておく」
戦闘用パワードスーツ――――エクセリオンに身を包んだ志穂が通話を終了し、周囲の味方を呼ぶ。
「我々と同じようにリンダ・コスタの救出を目的として動いている勢力がいる。その勢力と協力してマーカスを援護するぞ」
その知らせは、ほぼ同時に別地点で待機していたヴェガ達にも届いていた。
「私達とは別にレイヴンズを攻撃する部隊がいるけど、その人達は味方だから攻撃しては駄目だよ、マルス」
「心得ました、姫様」
ほどなくしてリンダを救出したとの連絡が入り、部隊が動き出す。
「ヴェガ殿、マルス殿!先に向かってください、我々も後から行きます」
ジープのエンジンが唸りだすなか、ヴェガとマルスは宙へと舞い上がりダーツの矢の如く施設へと一直線に飛んで行った――――
――――――――――――――――
――――数分前
身体の痛みでぼんやりと目が覚めるリンダ。
今日は何日だろう?今は何時だろう?
そんな事を考えていると、身体が持ち上げられるのを感じた。
――――もうだいじょうぶだよ――――
そんな声が聞こえ、安心したように眠る。
リンダを持ち上げた時、想像以上に軽かった事にマーカスは衝撃を受けた。
拷問にかけられたのか、血まみれで外傷もひどい――――
それでも、安堵したような表情で寝息をたてる姿にマーカスもまた安堵する。
「よし――――外の部隊を暴れさせるぞ!」
――――――――――――――――――――――
突如として一筋の青白い光が警備にあたっていた戦車を貫き、盛大な爆発と共に砲塔が宙を舞う。
「狙撃部隊は自由攻撃!敵をこちらに引き付ける!」
無線でそう命じ、次の戦車に照準を定める志穂。
先ほどと同じ爆発――――3台目の戦車に向けて引き金を引いた瞬間、戦車のハッチが開き若い戦車兵が脱出しようとしているのが見えた――――爆炎に呑まれる――――
その瞬間、志穂の身体を不快な感触が走った。
(――――ノイズ?――――何、今のは)
しかし、志穂はその疑問を頭の片隅に押し込んで戦闘を続行するのだった。
――――――――――――――――――――
ヴェガの視界に青白い光が映る。
「――――!マルス、今の見た?」
「はい、あれば間違いなくスタードライブを使用しています――――!もしかするとアルタイル様の手がかりが掴めるかもしれません」
ならばますますこの戦いは負けられない――――!
マルスが施設の外壁に体当たりし大量の破片を散乱させながら大穴を開け、ヴェガもそれに続く。
――――と、その周囲を突撃銃を構えた完全装備の警備員が取り囲む!
「マルス!」
「はい、姫様!」
背中を合わせ、周りの敵を見回すヴェガ。
「思い切り暴れるよ!」
~次回予告~
ファイル017『戦闘乱舞』
大量の警備員を相手に大暴れするヴェガとマルス。
戦車や装甲車を相手に戦う志穂。
そんな彼らの前にレイヴンズの新型パワードスーツが立ちふさがる。