サイレント・ナイツ ―無名のヒーロー達―   作:趣味全開人生

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兄アルタイルを救う為の作戦に参加したヴェガとマルス。そんな2人の前にレイヴンズの新型パワードスーツが再び立ちはだかる――――


その一方で、重要な拠点である筈の施設内部は妙に静かだった。





ファイル020『極秘施設を攻略せよ!』

 

 

 

ヴェガの手のひらで生成された光球。彼女がそれを敵に向けて投げる――――

 

 

 

歩兵部隊の侵入を阻み続けていた機関砲が周囲の兵士や陣地ごと爆発四散し黒煙が噴き上がった。

 

 

 

 

続いて地をも揺らがせる重々しい音を響かせながら疾走するマルス。

 

機関砲で攻撃してくる歩兵戦闘車、その物陰からライフルで攻撃してくる敵兵。

 

 

 

「ふん!」

 

星の民の技術で作られた軽量で丈夫な金属の斧が振るわれるや否や、その刃は敵車両の奥深くまで届き深い傷跡を残した――――そして爆発する――――

 

 

 

爆炎の中から黒いシルエットを浮かび上がらせながら悠々と歩いてくるマルスの姿は敵からすれば冥府の使者そのものだった。

 

悲鳴を上げながら逃げていく敵兵。

 

 

 

 

「防衛ラインに穴をあけた!行くよ!」

 

ヴェガの号令で味方の兵士が次々と敵拠点へと突入していく。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

 

施設の砲陣地に次々とビームを撃ちこむ志穂。

 

 

『うわああああー---------』

 

 

 

ある者はビームに焼かれ、とある者は弾薬の誘爆に巻き込まれ、またとある者は崩れ落ちてきた瓦礫に押し潰される。

 

 

 

 

脳の中に直接響いてくる断末魔の叫びに耐えながら志穂はひたすら敵を屠り続ける――――

 

 

 

 

「こちらエクセリオン……砲陣地の壊滅を確認した、サムライ小隊の援護に入る」

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

敵施設内部に突入する、ラルフ・フォルツ大尉率いる部隊。

 

 

「先行して潜入しているドローンの情報では、この奥にサーバールームがある――――行くぞ!」

 

ラルフの号令と共に兵士達がヘルメットに装備されたゴーグル型視覚増強システムを操作、ゴーグルのスクリーン部分の片隅に施設内のマップが表示される。

 

 

 

「敵反応!」

 

壁に張り付いてセンサーの役割を果たしているドローンからの情報が瞬時にマップに反映され、敵兵がこの奥の角からやってくる事が部隊全員に連携された。

 

 

 

「グレネードを撃ちこめ!」

 

角に敵兵が接近したのを確かめ、グレネードランチャーで数発のグレネードを撃ちこむ。

 

 

 

「生命反応消失!」

 

 

「よし、進め!」

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

 

その頃、ヴェガとマルスは静かな施設の廊下を進んでいた。

 

 

 

「おかしい――――重要施設なのに警備が薄すぎる」

 

 

「姫様――――不穏な気配を感じます」

 

 

 

その場で立ち止まり、感覚を研ぎ澄ませるヴェガ。

 

 

 

 

(――――――――――――)

 

体中の毛が逆立つような感覚と共に光の盾を“織り”、構える――――と同時に宙に浮かんだ刀がぶつかる。

 

 

 

一瞬でも遅れていたらヴェガの身体にその鋭い刃が深く食い込んでいただろう――――

 

 

 

 

 

「やるね、完璧に隠れたつもりなんだけど」

 

光学迷彩が解除されると共に宙に浮かんでいるように見えた刀の柄を握る手が現れ、続いて腕――――身体が姿を現した。

 

 

 

――――コードネーム『アサシン』の名を冠するパワードスーツに身を包むリーズ・ロランス少尉はヴェガの技量を心から称えていた。

 

 

 

 

 

「悪いけど、ここで死んでもらう」

 

 

再び光学迷彩で姿を隠す――――が、気配は辛うじて追える――――

 

 

 

(感覚を研ぎ澄まして――――)

 

 

 

「させるか!」

 

 

 

その声と共に天井を突き破って着地するもう1体のパワードスーツ、『ナイト』。

 

 

 

 

 

「この前の!」

 

 

 

 

「顔の下半分が溶け落ちる苦痛はなかなかのモノだったぞ!再生医療のお陰で命拾いしたとは言え――――この屈辱、倍にして晴らす!」

 

 

憎悪のこもった言葉を口にするエーリヒ・ラウ少尉。

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

大した抵抗もないままサーバールームに突入したラルフ達。

 

 

 

「――――――――急いで放棄したのか……」

 

 

書類の散乱具合を見るに、予め罠を仕掛けて待ち構えていた――――という事はなさそうだ。

 

 

 

「――――ハラダ、情報を吸い上げてくれ」

 

 

「分かりました」

 

 

 

ハラダ少尉が専用のスマートフォンをコンピューターに繋げ、情報の吸い上げを開始する――――

 

 

 

「――――大尉、気になるプロジェクト名が」

 

 

「……オペレーション・テミス?」

 

 

 

ギリシャ神話における法の女神の名を冠する作戦名――――ハラダ少尉のスマホから転送されたファイルを開くラルフ。

 

 

 

「――――――――――――これは………!」

 

 

SNSでレイヴンズに反発する言動をとり、かつ現在もそのスタンスを変えない者たちを逮捕――――その大半を生体実験の検体、または射撃訓練の標的に転用、その他に健康な臓器の摘出、更には言葉にするのも憚られるような用途――――といった内容が記されている。

 

 

 

しかも、この作戦は13歳以上のティーンエイジャーも対象に含んでいる。

 

 

 

 

「レイヴンズ……遂に本性を露わにしたか!」

 

その声にはレイヴンズの底知れぬ悪意への恐怖が浮かんでいた――――

 

 

 







~次回予告~



ファイル021『死の足音』




レイヴンズの新型パワードスーツ2体を相手に戦うヴェガとマルス。


手練れの敵を相手に徐々に劣勢に追い込まれる2人に更なる危機が迫る――――!



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