サイレント・ナイツ ―無名のヒーロー達―   作:趣味全開人生

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レイヴンズの重要拠点を攻略中の特戦軍。

その一員であるラルフ・フォルツ大尉がレイヴンズの大規模な粛清計画を掴んだのと同じ頃、『星の民』のプリンセスであるヴェガとその従者マルスはレイヴンズの新型パワードスーツ2体を相手に戦っていた――――




ファイル021『死の足音』

 

 

「この屈辱、倍にして晴らす!」

 

 

パワードスーツ――――『ナイト』を纏うエーリヒ・ラウ少尉が金属の短い棒のようなモノを剣のように構える――――ヴェガ達の方に向けられたプラズマ生成器から発生したプラズマが磁場で固定され光る剣となった。

 

 

 

「はああああ!」

 

 

 

ヴェガが光で織った半透明の盾にプラズマの刃がぶつかり、火花が激しく散る。

 

 

 

 

 

 

「――――はっ!」

 

忍び寄る殺気を感じ反射的に後ろへと跳んだ瞬間、さっきまで居た場所に半ば透明になった日本刀が振り下ろされた。

 

 

 

あと1秒でも遅れていたらヴェガの身体は前後真っ二つに斬られていただろう――――冷や汗が額から顎へと伝っていく。

 

 

 

 

「相変わらず勘がいい――――」

 

パワードスーツ『アサシン』――――その中のリーズ・ロランス少尉が舌打ちする。

 

 

 

 

「どうした、終わっていないぞ!」

 

ライフルからプラズマで生成されたビームを発射するナイト。

 

 

 

それを光の盾で受け止めるヴェガ――――しかしビームの衝撃までは受け止めきれず吹っ飛ばされる――――

 

 

 

 

「貰った!」

 

刀を構え、跳躍するアサシン――――そこに横からマルスが巨躯を活かした力強いタックルをかます。

 

 

「うわぁぁ!」

 

 

 

壁に思い切り叩きつけられるアサシン――――ロランス少尉。

 

 

 

 

 

 

「姫様をやらせはせん!」

 

立ち上がり再び戦闘態勢に入るヴェガ。そんな彼女を護るようにアサシンの前に立ちふさがるマルス。

 

 

 

 

「いいわ、先ずはお前から殺してやる!」

 

激痛を耐えながら立ち上がったアサシンが刀を構えなおす――――

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

 

収容施設の囚人達を解放するマーカス・サイモン軍曹。

 

 

「――――こちらサイモン軍曹。囚人達の中にアルタイルは居ないようです」

 

 

 

ラルフ・フォルツ大尉と共にサーバールームの掌握に向かったエドワード・ハラダ少尉に連絡を取るマーカス。

 

 

 

『そうか――――囚人の移送が行われたかどうかログを探してみる』

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

 

――――施設上空

 

 

 

特戦軍所属のF-15イーグル戦闘機がミサイルを叩き込まれ爆発四散、その横を漆黒に塗装されたレイヴンズ所属のF-3テンペストが駆け抜ける。

 

 

「こちらセイバー02、敵航空戦力の4割を排除した――――これより……」

 

 

 

パイロットが続きを口にしようとした瞬間、複数の無人機が自らを囲んでいる事に気付いた。

 

 

回避しようとするが――――それより先に機関砲弾の嵐が降り注ぐ。

 

 

 

「な、う、うわ――――やめ――――」

 

 

 

機関砲弾がコックピットを貫き、風防ガラスを赤く染める。

 

 

 

 

 

 

敵機の無力化を確認した無人機達が次の獲物を探し始める――――が、その背後にミサイルが次々と叩き込まれ、無数の破片が空に散った。

 

 

 

 

「くっ――――敵の航空戦力はほとんどが無人機だ!キリがない」

 

レイヴンズのパイロットが悪態をつく――――その下から叩き込まれた機関砲弾でコックピットもろとも粉々になる。

 

 

 

 

「無人機とはいえ、貴重な戦力だ。やられるのを黙って見ているわけにはいかん」

 

 

その言葉と共に自らが率いる『サムライ小隊』のF-35戦闘機2機と共に空の戦場へと殴り込む隊長。

 

 

 

 

「型落ちのポンコツの分際で!墜としてやる!」

 

アップデートが繰り返され現在も最強戦闘機の一角を担うテンペスト戦闘機が、それより20年も型落ちのF-35戦闘機に撃墜された――――それは最強の戦闘機を預かるパイロットとしては捨て置けない事実だった。

 

 

 

 

「油断するな!向こうもアップデートを繰り返している――――それにステルス性はあっちの方が上だ!」

 

 

 

 

 

無人機による予想外の損害に混乱するレイヴンズ側の戦闘機を次々と撃墜するサムライ小隊――――それを複数のテンペストが取り囲もうとした瞬間、飛んできたビームがその1機を貫く。

 

 

「な――――!?」

 

 

 

パイロットが驚愕と共に見たのは純白の装甲に青白く光り輝くクリアパーツが特徴的なパワードスーツ――――エクセリオンだった。

 

 

 

 

そのまま、戦闘機以上の敏捷性を活かして次々と死角に入り込みビームを叩き込むエクセリオン。

 

 

 

 

 

機体の爆発に巻き込まれるパイロットの絶叫が脳裏に響くのを耐えながら戦う志穂。

 

 

鋼鉄のマスクに覆われたその表情は苦悶に満ち、強く噛んだ下唇からは血が滲み出ていた――――

 

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

 

「おおおお!!!」

 

 

プラズマソードの一突きがヴェガの光の盾にぶつかる。

 

 

 

 

(まずい――――あと5、6回で盾を維持できなくなる)

 

自らのエネルギーの限界が近いことを悟り、死を感じるヴェガ。

 

 

 

 

「姫様!――――くっ!」

 

マルスは眼前の敵が自らにとって大きな脅威である事を感じていた。

 

 

 

特殊な金属と製法で作られた刀――――そしてパワードスーツを着用しているリーズ・ロランス少尉の高い技量があればマルスの鎧を切り裂くこともできる。

 

それを肌で感じ取ったマルスに出来るのは、絶え間なく切りかかってくる敵の刃先を逸らし続けることだった。

 

 

 

 

 

――――――――そこへ天井を突き破って何者かが着地する。

 

 

 

 

「――――!?」

 

 

 

 

その人影はパワードスーツだった――――その肩にはレイヴンズのマークがある。

 

 

「レイヴンズ側の新手!?」

 

 

 

 

パワードスーツ『ナイト』をベースにした発展型パワードスーツ『ミラー』を纏う神無月 光(かんなづき ひかる)少尉は目の前の相手――――ヴェガが手負いである事に気付き、背中に装備していた大剣を構える。

 

 

「手負いの敵ほど怖いものはない、ってね」

 

 

 

アサシンの刀と同じ製法で作られた大剣がプラズマに覆われ光り輝く。

 

 

 

「はあっ!」

 

そのひと振りで――――ヴェガの光の盾は木っ端微塵に砕け散った。

 

 

 

(――――!?)

 

 

 

盾を失ったヴェガが相討ちを覚悟して両手に光球を形成した次の瞬間、ミラーは何故か止めを刺すことなく後方へと跳躍した。

 

 

 

「ラウ少尉、それにロランス少尉。上から緊急通信がありました。機密の塊であるパワードスーツが敵に渡ることがあってはならない――――直ちに退却せよとのことです」

 

 

 

「――――くっ、了解した」

 

 

「了解」

 

 

 

 

 

そのまま大型ドローンに吊り上げられる形で空へと消えていった3体のパワードスーツをヴェガとマルスはただ見守るしかなかった――――

 

 

 

 







~次回予告~


ファイル022『束の間の休息』



極秘施設の攻略を終えた特戦軍はレイヴンズの大規模な粛清計画を阻止すべく策を練り始め、現場で戦う兵士達には短い休息が与えられる。


そして特戦軍の一員であるヨハン・ヴェルトミュラー中尉は自分が世話している子供――――エリカと1日中遊ぶ約束を果たすべく奮闘する。








【人物紹介】





神無月 光(かんなづき ひかる)


人種…アジア系(日本・大和民族)


性別…女性


年齢…25


階級…少尉


《解説》
レイヴンズの将校で、新型パワードスーツ開発計画のメンバー。計画の本命である『ミラー』の専任オペレーター。


非番時は兄の娘にあたる幼い姪の勇希(ゆうき)を可愛がっている。


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