なんであべこべじゃない、こう、真面目な物をかいていたんだろうか・・・・・・
あれ、あべこべの書き方忘れてないか?
ということで初忘却です。
これからはあべこべのネタもきちんとやろうと思っています。
MMUSの報告会
「さて、今回も集まってくれてありがとう同志諸君」
重苦しい空気の中で、とある一人のウマ娘が口を開いた。
耳が出ている、しかし、それだけだ。
彼女は、否、彼女たちは全員頭巾をかぶっている。
頭からすっぽりと自分たちを覆っているその頭巾の長さは膝まであり、
耳と目の部分にのみ穴が開いている。
その恰好はいうなればテルテル坊主のようだ。
しかし、その実態はテルテル坊主の集まりではない。
彼女たちこそ、トレセン学園内部で非常に影響力のある秘密結社。
「MMUS」なのである。
「先輩方から脈絡と受け継がれてきたこのMMUSも、
今日では100名を超える大所帯となっている」
シン、と静まり返ったその場所は一体どこであろうか。
光はささず、各々が持っている小さなランプの明かりしか彼女たちを照らすものはない。
そのランプの総数は、50を超える。
だが、ランプの明かりは非常に薄明りであり、これだけ集まっているのにあまり明るいと感じさせない。
だが、ウマ娘の夜目は人間より優れている。
その結果、彼女たちにとってはこの薄明かりはあまり気にならない。
「我々MMUSは、過去苦渋を味わい続けた」
彼女はそういうと、頭巾の下で握りこぶしを作った。
「かつて、目を付けた男性は普通の女性との婚約を選んだ」
その言葉に幾人かの頭巾はかぶりを振った。
「これはいい感じじゃないかと思ったら、先約がいた」
その言葉に幾人かの頭巾が膝をついた。
「今度は大丈夫だろうと思ったら、普通の人と駆け落ちで消えた」
幾人かが耳をふさぎ、両手で目を覆った。
そんな彼女たちに、解るぞと言わんばかりに鷹揚に頷いたその彼女=呼称「S」は、しかしだ、と言葉を続ける。
「長い冬を味わい続けてきた我々にも、ようやく春の日差しが訪れようとしている」
全員が、Sの方を向いた。
目と耳を、いや、五感のすべてを、彼女の一挙手一投足に向けた。
「いや違う、諸君、我々にも春が、やっと来たのだ!!」
その言葉と共に、Sは力強く言った。
だが、その言葉に反論するものがいる。
ここではその呼称を仮にAとしよう。
「しかしですS、我々は過去何度も何度も裏切られてきた…………今回こそはという確証はあるのでしょうか?」
「その通りだ、Aよ…………だからこそ、これを見てほしい…………T映写機を頼む」
「やれやれ…………S、君の古い言い方は何とかならないのかねぇ…………ぽちっと」
Sの横に映写機(最新モデル提供メジロホールディングス)をセットしていた
T(頭巾の下から白衣がのぞく)がぼやきつつもスイッチを入れる。
すると、映写機が映像を映し出したのである。
『匿名で聞かせてほしいことがある…………ですか?』
『そうだ、その、貴方の迷惑でなければだが…………』
『いいですよかい『ここではSで頼む』…………あ、はい』
そう、トレセン学園の噂の渦中の人物、黄金新星のトレーナーが映っていた。
Sの正体がばれてそうだけど、勢いで押し切ったのは全員見て見ぬふりをした。
『えっと、何々…………この子たちの評価ですか?』
『評価、というと語弊がある…………人間力、印象というか』
『あー、思うところを語ればいいというような?』
『うむ、その通りだと思ってほしい』
『了解、それじゃあ一人目…………エアグルーヴさんか』
名前が出た瞬間、Aの両肩がびくりとはねた。
ざわざわと周囲の団員もざわつきを隠せない。
『そうですね…………まず、花に対する思い入れが深いというのが第一印象でしょうか』
『花、か』
『ええ、うちのエルとスぺが花壇に花を植えるということで、助けてもらったと』
『ふむ、確か実現困難な花を植えるということで一致したんだっけ?』
『はい、その後きちんと実現困難な花を咲かせていましたし』
とても愛情深い方なんでしょうね、と彼は笑顔で言った。
その言葉に対して、Aは体がかゆくなるような気恥ずかしさと嬉しさを覚えた。
インタビューは続く。
『その次は、やはり面倒見のいいという事でしょうか』
『ふむふむ、それはどういうところかね?』
『トレーナーのつかない子達の為に、練習用のメニューを考えて実際に実演し、
厳しい口調で注意してはいるけれど見捨てない所とかですね』
『確かに、心当たりがあるな』
彼のエアグルーヴへの評価を聞いて、Aはどんどん体をくねらせている。
羞恥が割と許容量を超え始めているのかもしれない。
しかし、まだ続く。
『それと最後は、やっぱり後輩を導く先輩足らんとしている事でしょうか』
『ほう、それはどういうところかね』
『メジロドーベルさんが、彼女を追い越そうと努力しているということを風の噂で聞きまして』
『はは、それはチームAという風かな?』
『そこは黙秘しますよS』
ドーベルという名前が出た瞬間、会員MDの両肩が跳ねた。
そして、恐る恐るという風にAへと視線を送ると、Aはその彼女の視線を真正面から受け止めてくれていた。
彼のインタビューはまだ続く。
『普通は、自分を追い越そうとする奴がいたら、潰してしまえと考えたりする奴が割といますが…………』
『少なくとも、エアグルーヴはそれがない、と?』
『ええ、彼女はむしろ自分を超えろと思っている節がある』
『見ていてそう思うのかね』
『はい、厳しくも愛情深い、そんな感じを受けるんですよ彼女を見ていると』
ただまあ、今のドーベルさんは割と新しい環境に付いていくのがやっとみたいですけど、と彼はつづけた。
そこには、メジロドーベルに対する心配の念が多分に含まれている。
そんな彼の言葉を聞いて、Aも何事か考えだしたようで、くねくねした動きが止まった。
『では、エアグルーヴさんの総評はどんなものかな?』
『そうですね…………愛情に満ち満ちた、しかし、それをあまり表に出さないいい子ですね』
『ほう、かなり高評価ではないかな?』
『むしろ低評価する方がおかしい気がしますよ』
おおおおお、とどよめきが室内に波のように広がった。
そして、そんな評価を聞いていたAは、明確に両手で顔を覆っていた。
何せこの世界、ウマ娘というのは人気がなかった。
否、レース後のライブ等でアイドル的な人気は大変ある。
しかし、異性として見られるかというと、そうではなかったのである。
あくまで『アイドル』として人気があるのであって、異性としてはノーサンキューという男性は大変多い。
それは、先のSの発言でもよくわかるというものだ。
そんな中での、好意100パーセントの意見である。
Aの羞恥心が割と真面目に、心配になるレベルであった。
「あの、Aさん、その、大丈夫ですか?」
「ああ、MDか、その、なんだ、婚姻届けは役所に出しに行けばいいんだったか?」
「Aさん!?」
頭巾の、人でいうところの鼻に当たる部分に血なまぐさい赤い染みが広がっていく。
どうやら、Aはオーバーヒートしたらしい。
慌ててMDがポケットティッシュを取り出した。
自分の姉であるMBがよく転ぶので、ティッシュと消毒液は常に持ち歩いている。
A譲りの面倒見の良さであった。
「…………ふう、ありがとうMD」
「いえ、まあ、こうなりますよ普通」
周囲からの生暖かい視線に、ちょっと居心地の悪いAであった。
「さて、この個人評価だが…………今回参加してくれた全員分が、実はある」
「「「「「!?」」」」」
「みんな驚いているな、私も同意見だ…………彼は、その、我々を本当によく見ている」
「「「「「…………」」」」」
「これはもう、あれだ、私たち全員で…………なんだ?」
ちょっとやばい発言をSがしようとしたその時、Sの耳に聞きなれない異音が入る。
はっとしたSが周囲を見渡すと、そこにはいつの間に現れたのか、小型のドローンが全く音を立てずに浮遊していたのである。
「全員、突入準備!!」
「総員、撤退開始!!」
ドローンを操っていたバンブーメモリーが突入準備をかけた際、Sはメンバー全員に撤退を指示していた。
秘密通路から全員が撤退を開始し、バンブーメモリーは少しの差で確保できなかったのである。
「くそ、アイツら日に日に逃げるのが上手くなっているっす」
「委員長、追撃しますか?」
「いや、罠を這っている可能性を考慮して追撃は中止…………この秘密基地の内部を捜索し証拠品を集めるっす」
「わかりました」
園芸用倉庫に置かれた鉄製の板、それをどけると地下へと続く梯子がある。
その梯子を下り、しばらく道なりに進むとこの「カタコンペ(地下集会場)」へと行きつくのである。
風紀委員の眼を逃れるために、MMUSはどうやら地下に拠点を作ったようだった。
(まあ、証拠が残っているとは思えないっすが…………)
百戦錬磨の手練れたるバンブーメモリーだが、このMMUSに関してはお手上げであった。
何せ、学園中に集会場を持ち、その場所は分からない為、しらみつぶしにやるしかない。
時間と手間がかかるが、逮捕者はいまだに出ていないのだ。
(一体だれがこんなでかい組織を率いているんすかね?)
ガシガシと頭をかいたバンブーメモリーは、地上へ戻っていった。
後日、一部のウマ娘達がイヤホンを付けニヤニヤ笑うという光景がいたるところで見られたとか。
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要注意
ここから下は、学園の極秘事項となっております。
閲覧の際は十分注意して閲覧をしてください。
学園内部の注意団体
SS…………最大級の注意と監視が必要、武力行使も辞さない
S…………要注意団体、監視が必要、武力行使も可能
A…………注意団体、定期的な監査が必要、武力行使は時と場合による
B…………危険度の低い団体、一括の監査対象、武力行使は控えること
C…………危険度のない団体、監査は任意、武力行使禁止
最大級の要注意団体 SS
まったく・もてない・ウマ娘S = MMUS
規模…………100名程度
資金源…………不明
トレーナーに対する行為…………隠し撮り、ストーキング、私物のオークション行為など
概要
非常にカリスマの高いウマ娘(通称S)により運営されている組織。
重賞勝利ウマ娘のみで構成されているというタレコミがあり、理事会としても対処に頭を悩ませている。
レースで強い、容姿は美しい、しかし、男性の消極性、重賞ウマ娘への忌避感情などから、異性に全くモテなくなってしまったウマ娘達の団体。
黄金新星のトレーナーは、MMUSのウマ娘にも分け隔てなく接するため、狙われているという確かな情報がある。
武力行使をする場合は、重武装の風紀委員を最低でも2個小隊投入すること。
要注意団体 S
「即バ異界(そくばいかい)」
規模…………500名~
資金源…………グッズなどの販売利益
トレーナーに対する行為…………トレーナーと思われる男性の肖像・音声無断使用等
概要
規模でいえばMMUSを上回るも、表立って直接的な行為に及ばない集団
非常に大規模であり、風紀委員も実態全容を把握できていない。
ただし、中心メンバーである「メジロドーベル」「アグネスデジタル」を確保したことにより、徐々に鎮静化に向かうと思われる。
ただし、依然その規模は脅威であり、監視が必要と思われる。
注意団体 A(潜在的SS)
お茶会ロイヤリティ
規模…………不明
資金源…………各所属団体からの出資金
トレーナーに対する行為…………引き抜き、青田買い、強引な婚姻届け受理を迫る等
概要
メジロ家・ハギノ家・シンボリ家等学園に対する多大な献金・貢献等をしている「富裕層」による注意団体。
今のところ、実力行使に出ていない為、定期的に監査すること。
武力行使は極力控え、確保する際は傷をつけないようにすること。
ただし、最大級の注意団体であるMMUSの主催Sとの関連性が疑われるため、監視の目は緩めないように
低い危険度の団体 B
「劇団ウマ娘」
規模…………100名程度
資金源…………レースによる獲得賞金等
トレーナーに対する行為…………舞台への(強引な)出演依頼等
概要
テイエムオペラオーとフジキセキが所属している団体。
聖蹄蔡等では、本格的な舞台を演じる演劇集団であり、これ自体に問題はない。
ただし、黄金新星のトレーナーに隙あらば舞台に上がるようにという依頼をしがち。
黄金新星のトレーナーはこの手の依頼を断りづらい為、注意が必要である。
危険度のない団体 C
「クラブ・シリウス」
規模…………不明
資金源…………シンボリ家及びレース賞金
トレーナーに対する行為…………トレーニングの監修依頼等
概要
シリウスシンボリをトップとする不良集団。
ただし、風紀を乱したりはしておらず、練習に付いて行けない娘達をまとめているだけ。
黄金新星のトレーナーも積極的に、彼女たちのためのトレーニングメニューを組んでいるが、本業を疎かにしないようにするためにも注意が必要。
学園内部の団体
武装風紀委員
バンブーメモリー率いる「ガチ」の風紀委員。
催涙弾や暴徒鎮圧用ガス弾を所有しており、その検挙率はかなり高い。
トレーナーの味方(ガチ)であり、トレーナーを陰に日向に助けるのが役目。
アイルランド特殊部隊から暴徒鎮圧の訓練を受けている模様。
ちなみに、上記の団体はもしかしたら本編に出るかもしれません。
また、加筆して評価されるウマ娘が増える可能性もあり得ます。
感想・誤字・脱字報告等、ご指摘よろしくお願いいたします。