ウマ娘逆転ダービー(仮)   作:グレート・G

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皆さま、GWはいかがお過ごしでしょうか。

第二話の方を投稿させていただきます。

手直しや練り直しで些か時間がかかってしまいました。

誤字脱字感想の方、良ければよろしくお願いします。

追記

皆さま、ウマ娘アプリでナイスネイチャとキングヘイローの新衣装
が実装されましたね。

当然、ひけましたよねぇ?(ねっとり)


第二話 黄金世代

2.黄金世代

 

正式にサブトレーナーとなった俺は、一年間という時間を全て中央のウマ娘達との

交流と勉強に費やすことになった。

 

この一年間は、地方トレセンで過ごした一年間を更に煮詰めた形で、

非常に充実した毎日を送ることになったと思う。

 

俺の配属先は「リギル」「スピカ」と言った名門かつ強力なチーム

と肩を並べる優秀なチーム「レグルス」だった。

 

俺を指導してくれた「先生」はアプリのライバルキャラの一人で、

管理指導主義を掲げるトレーナーで有名だ。

 

指導内容は非常に堅実かつハイレベルであり、モブ娘をどんな相手とも

互角以上に戦うことが出来る「ハイ・オールラウンダー」に仕上げる事で

アプリプレイヤーの間では有名だった人だ。

 

ちなみに、レグルスの主力モブ娘達はアプリ版で出てきたら

数多のトレーナーを引退に追い込むレベルで強い。

 

でもそれは朧気な記憶にあるゲームでの話、俺の生きている現実では

更に事情が異なる。

 

俺の生きている世界線が特殊だからか、彼女の担当しているチームに

所属するウマ娘にも、現実で名を残している連中が多い。

 

この世界では絶賛売り出し中のリトルココン、ビターグラッセを筆頭として

ネームドメンバーは以下の通りだ。

 

エイシンフラッシュ(中距離担当)

エアシャカール(長距離担当)

ファインモーション(マイル担当)

スマートファルコン(ダート担当)

サクラバクシンオー(短距離担当)

 

ハッキリ言おう、正にリギルに負けず劣らずの強者ぞろいだ。

更に、彼女の育てたモブ娘と言われているウマ娘達もG3やG2で

勝利する娘がいて、中にはG1に出走経験のある子も含めて多数在籍している。

 

ちなみに、スピードなどはアプリと同じS~Gでランク分けされているのだが、

ネームドメンバーは普通にAとSが並んでいるし、モブ娘達もBがほとんどだ。

スキルや固有という「ゲーム的な何か」が目に見えて存在していない以上(注1)、

鍛えた結果が導き出した数字というのは正に「目に見える全て」と言える。

 

仮に、今のレグルスメンバーがアプリで出てきたら・・・・・・正直勝てるか怪しい。

他のトレーナー達曰く「最強のチームはどこかと言われれば多数あるが、

最優のチームはどこかと言われたら樫本トレーナーのチーム」との事。

 

ちなみに『ウマ娘ラブリーダービー・ポケット』というスマホゲームにおいて、

彼女はライバル兼サポートキャラクターとして実装されており、非常に優秀な

性能を持っている。

一時、彼女は覇権サポートと呼ばれ、非常に重宝されたのを覚えている・・・・・・

ガチャ、結果、銀の蹄鉄・・・・・・駄目だ、これ以上はいけない。

 

リギル所属のフジキセキや、彼女経由で仲良くなったヒシアマゾン、

ナリタブライアン、シンボリルドルフと言った歴史に名を遺す名ウマ娘達と

同じチームになれなかったのは少し残念だった。

特にフジキセキは、耳がペタンと垂れてしまう程に惜しんでくれたのが、

印象的だった。

 

(後日、理事長室には同じ筆跡の抗議の書簡が山ほど届いて

業務が止まったそうだ・・・・・・なんで?)

 

先生の下で中央のエリート達相手にみっちりと学び直し、中央所属のモブ娘

(名前はパルヴァライザーという子だった)とは言え半年間担当もした。

G2レース(アルゼンチン共和国杯)でネームドを抑え一着を取った時は、

彼女と抱き合い涙を流して喜んだものだ。

 

ちなみに、俺が力を入れ過ぎてしまったのか、彼女は俺の腕の中で気絶してしまい

病院に救急搬送された・・・・・・顔は鼻血まみれで恍惚とした表情を浮かべていたそうだ・・・・・・

力加減を間違えたか、肘が当たったか、何はともあれ彼女には悪い事をした。

 

そんな騒動もあったが、俺は晴れてトレーナーと認められ、振り分け戦を見学に来ている。

そう、俺はとうとう、中央ウマ娘の担当を持つことが出来るのである!

ちなみに振り分け戦とは、まあ、いわゆる逆ドラフトみたいなものであり、

このレース結果には目に見える栄誉みたいなものはない。

 

しかし、「順位が希望チームへの優先交渉権」みたいなものだ。

ここで勝てるか勝てないかで希望する所属チームに入れるかどうか、

そしてジュニア級へのデビュー戦に勝てる確率が上がるかどうかが決まるという。

 

ウマ娘達だって、良いチームに入り、良い環境で練習を積み、

勝利という栄光を勝ち取りたいと思うのは当然の事。

 

そして同時に、俺のような新人トレーナーにとっても「デビュー戦」という側面を持つ。

何せ実績と経験のない新人がスカウトするのは大変難しい。

 

スカウトを何十回として、一回もスカウトできないという事もあるという。

その結果、トレーナーとしての自信を喪失してしまうという人も年に何人かいるそうだ。

 

そう言った事を乗り越えられるか否かでトレーナー人生が決まると「先生」は言っていた。

故に、この振り分け戦こそ「ウマ娘と人の本当のデビュー戦」というのは父と母の言葉だ。

 

「うし、双眼鏡・ストップウォッチ・その他もろもろ準備完了!」

 

気合、入れて、スカウトに行きます!

 

 

 

――――――――――――――――――(しばらくしてから)――――――――――――

 

 

 

「何故、俺はスカウトが出来ないんだろうか・・・・・・」

 

ウマ娘達は全員遠巻きに俺の事を見ており、不審者を見る目で見られているような気がする。

もし、俺にその手の性癖があったら大喜びだが、残念ながら俺はそこまで上級者ではない。

更に、視線を向けると勢いよく目を逸らしたり、顔を逸らしたり、最悪逃げる。

正直に言おう、心が折れそうだ。

ただ、一つ気が付いた事がある。

 

 

「なんでこんなにハイペースなレースをしているんだろうか?」

 

 

今日に限ってはコースレコードがどんどん塗り替わっているのだが。

そして、観客席に届くレベルの気合と熱量がすごい・・・・・・。

 

 

 

―――――――(ウマ娘s side)―――――――――

 

 

 

今日、どうやら噂の彼がトレーナーとして担当するウマ娘をスカウトに来るらしい。

そう、男性トレーナーのスカウトだ。

そして同時に、あの都市伝説『男性トレーナーと結婚して幸せになったウマ娘』が現実になる。

私と、彼とで。

さあ、私の人生G1が今スタートするんだ!

 

((((((なんで私達は振り分け戦に出場が出来ないんだ!)))))))

(そりゃデビューしちゃったらねぇ)

(担当がついている以上、無理だろう常識的に考えて)

 

 

――――――――――――(黄金世代side)―――――――――

 

 

 

ウマ娘とは、別世界の「ウマ」と呼ばれる生き物の魂が転生して生まれてくる。

そんなオカルトめいた話が語られるようになったのはいつのころか。

 

勿論、それは一般的には話のネタと呼ばれる程度であるのだが、

ウマ娘本人たちからすれば「もしかしたら」と思う所が無いわけでもない。

 

即ち「この子と初めて会った気がしない」という事が多いのである。

それは、例えば「覇王と怒涛」だったり「緋色の一番と型破りの女傑」や「超粒子と摩天楼」

だったりとパターンは多い。

 

そして、今日この日、新入生の入学式の日、かつて同じ年代で戦った名馬の生まれ変わり達が一堂に会したのである。

 

「あれっ?」

「あら?」

「おやぁ?」

「けっ?」

「あらあら?」

 

スペシャルウィーク、キングヘイロー、セイウンスカイ、エルコンドルパサー、グラスワンダー。

 

各々が歴史に名を遺す名馬の名を冠する、異なる世界の生まれ変わり、記憶なき転生者達。

かつて人々を沸かせた5人が、今またレース会場で顔を合わせる事になった。

 

とは言え、予兆がなかったわけではない。

実は始業式からずっと、なんだか気にはなってはいた。

 

だが、恐らくはデジャビュであり過去に似た人と出会っていたんだと思っていたのだが。

結構な頻度で鉢合わせたり、教室の席が隣だったり、食堂で相席になる確率が高かったり。

そして、今日のレース場での鉢合わせはもはや、運命というしかなかった。

 

「何というか、初めてあった気がしないねぇ・・・・・・実はセイちゃんと昔会っていたことある?」

「いいえ、私達は今日初めて会った・・・・・・そのはずなんですが」

「そう、グラスの言うというり、私達は初めて会ったはず、なのデェス」

「でも初めてあった気がしない、私も貴女達もみんな・・・・・・」

「もしかして、これが《女神様のお導き》ってゆうのかな?」

 

お互いに、何故か心がほっとするような、闘争心が奮い立つような。

くすぐったくて、でも、不快じゃない感覚を感じる5人。

 

多分、自分達はこれからライバルとして切磋琢磨して、同時に生涯の友人になるんだという確信めいた予感があった。

 

世間一般のウマ娘達曰く、その感覚は《女神様の導き》と言われる謎の既視感であり、彼女達の予感はやがて確信へと変わるのだが、それはまだ先の話。

今の彼女達は、まだまだ青いルーキーであった。

 

「とりあえず、今日のレースで担当がつくといいんですけどね~」

「あら、担当が付くんじゃないわ、この私の輝きに惹かれて『担当させてください!』と言いに来るのよ!」

「あはは、キングちゃんの自信がすごい・・・・・・」

「スぺちゃん、考えが甘いデース! キングみたいな気持ちで挑まないと、トレーナーさんの目には留まりまセン!」

「そうですね、私達の全力をもって当たれば、良縁が巡ってくれるでしょう」

 

もしかしたら、噂の男性トレーナーが私達をスカウトしに来るかも、

とスカイが茶化すと、それこそキングの輝きに惹かれたのよ、と答える。

そんな二人のやり取りに、残りの3人が笑い出し、最終的には5人で大笑い。

そんなやり取りをしつつ、更衣室で体操着に着替えてレース場に集まる5人。

 

気負いはある、緊張はある、そして何よりわくわくと夢がある。

 

初めての、重賞でこそないものの、これからの学生生活、

そしてもしかしたらウマ娘としての、競争バとしての一生を左右しかねない大事な一戦。

 

軽口をたたきつつも、5人のルーキーは気合を入れて模擬レース会場へと移動した。

そして、その場にて。

 

 

「「「「「っ!?」」」」」

 

 

圧倒的な熱量と、本番さながらな闘志のぶつけ合いに足がすくんでしまったのだ。

 

 

「うおおおおおおおおおおおおおおっ!!」

「うるぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

「でぃやああああああああああああああっ!!」

「負けるかぁぁぁぁぁっつ!」

「勝つのは、わたしだぁぁぁっ!」

 

 

正にそれは、古の戦場が如く。

芝のコースの上は正に、剣闘士が闘うコロッセオか、

それとも女神の加護が届かない無慈悲な戦場か。

 

 

各々がリミッターを解除して、一秒でも早くゴールへたどり着こうと、

戦の雄叫びを上げながら凄まじい熱量と闘志をぶつけ合う。

 

 

血走った目で走る彼女達、そのあふれ出る殺気や闘志が

芝を、ダートを、空を、大気を覆いつくす。

 

 

そして、そんな彼女達を見定めようと、新人の中堅の玄人のトレーナー達が目を皿のようにして、

食い入るようにレース会場を見つめている。

 

 

その様は正に、全てのウマ娘が目指そうとする「G1」の舞台さながら。

 

 

ふとスペシャルウィークがコースを見れば、レースにおけるただ一人の勝者は、

拳を天に突き上げて吠える。

 

 

キングヘイローは、全力を出して戦った敗者が、地面に伏せて

悔しさに拳を地面に叩きつけるのを見て息を呑む。

 

 

セイウンスカイの鋭利な頭脳は、レースが異常な熱気に包まれていると直感的に導き出したが、

何故ここまで盛り上がっているのかわからない。

 

 

グラスワンダーは、この熱気に自身の闘志がみなぎるのを感じたが、

冷静な部分が今の自分には勝つことはできないと警鐘を鳴らしている。

 

 

エルコンドルパサーは、腕を組んで不敵に笑いながらこの状況を見ているが、

よく見れば組んだ手が緊張で震えている。

 

 

徐々に徐々に、彼女達の出番が近づいてくる。

そんな彼女達を、トレーナー達が冷徹かつ冷厳な表情で

手元の紙媒体や情報端末に何事か書き込み打ち込んでいく。

 

 

彼女達には、その内容はうかがい知れないが、気にするほどの余裕もない。

今日、この日、この場所にあったその様は正に、レースの本質を表すもの。

あるものはそこを「戦場」と形容し、あるものはそこを「地獄」と言い。

枷が外れ本性をむき出しにしたものは「天国」と呼ぶ。

そんな阿鼻叫喚の絵図が広がっていたのである。

 

 

「あっ、あはははは、セイちゃん気分が悪くなったんで保健室に・・・・・・」

「お、お腹が痛くなってきちゃった・・・・・・セイちゃん、私も一緒に・・・・・・」

「スぺさん、スカイさん、逃がさないわよ・・・・・・」

「私達、一蓮托生ですよ?」

「いやー、闘志むんむんで、いい場所デース!・・・・・・うぇっ」

 

 

だんだんだんだん出番が近づき、彼女達の緊張もピークに達しようとしていた。

セイウンスカイとスペシャルウィークは顔色が青くなり、咄嗟に逃げようとした。

 

それをなんとか止めたキングヘイローもまた口元が引きつっており、

逃げることをプライドが許していないだけで本音は彼女達と同じだ。

 

グラスワンダーとエルコンドルパサーは闘志に当てられてすでに臨戦態勢だが、

よく見ると尻尾が内またに入り込んでいる。

 

 

経験を積んだ未来の彼女達ならまだしも、今の彼女達にとってこの環境は毒だ。

既に全員が更衣室で感じていたわくわく感が無くなり、

極度の緊張によって意識と体が支配されつつあった。

 

 

「おい、ゼッケンをつけろ、そして出走に備えろルーキー達」

 

 

緊張しきっている彼女達に対して、一人のウマ娘がそう言って声をかける。

黒い艶やかな長髪、鼻に貼ったテープ、切れ長の目とそこに宿る闘志。

一歩踏みしめるごとに体から溢れ出す自分の強さへの自信。

口にくわえた葉っぱがトレードマークの三冠ウマ娘「ナリタブライアン」がジャージ姿でそこにいた。

 

 

サブトレーナーが正式にトレーナーとなったその日、

彼女もまた正式に生徒会メンバーに入ったのだ。

 

彼女は、生徒会の仕事として新入生にゼッケンを配っていた。

ちなみに、本来ならばビワハヤヒデを生徒会に入れたかった(エアグルーヴ談)が、

ビワハヤヒデが妹を推薦し、シンボリルドルフもそれを了承したという経緯がある。

 

言葉で語らず、実力で指し示すブライアンは、生徒会という組織では異色だ。

エアグルーヴ自身もちょくちょく手を焼く程度には、ナリタブライアンというウマ娘は

一筋縄ではいかない。

 

それでも、その実力は新規気鋭の、いいかえれば小生意気な新入生たちを

率いるにはうってつけと言えた。

この学園では、レース場では、実力こそが全てだと、彼女は走りで語るのである。

 

 

「ふん、この空気に当てられたのか」

「「「「「・・・・・・」」」」」

「・・・・・・はぁ、少し手荒いが我慢しろ」

「きゃんっ!?」

「「「「!?」」」」

 

 

ブライアンは目の前の事に固まっている5人に溜息をつきながら近づくと、

スペシャルウィークの背中を思いっきり引っ叩いた。

その時初めて、彼女達は自分が緊張して視野が狭まっていたことに気が付いたようだった。

 

 

(まあ、ここまでの争乱染みた雰囲気、私もそうそう味わった事は無いからな)

 

 

ルーキー達が緊張で視野狭窄に陥るのは当然の事だろう、ブライアンは目を白黒させている

スペシャルウィークを見ながらそう思った。

自分の三冠達成目前、菊花賞の緊張感はどうだったかと頭の片隅で考えながら口を開く。

 

 

「お前達は・・・・・・成程、お前達全員が走って今日の振り分けは最後だ」

 

 

手元にあった端末を片手で操作し、本人確認を済ませながらブライアンは言う。

 

 

「へっ、もうですか!?」

「いやいやいや、流石に早すぎじゃない!?」

「私達まだここに来たばかりなんですけど!!」

「あのなぁ、お前達時計を少しは確認しとけ」

「ケッ!? みんな時計見るデース!!」

「なんて事でしょうか・・・・・・私達全員こんな時間まで立ち尽くしていたなんて」

 

 

ブライアンの一言に対し、慌ててレース場の大きな時計を目にすると、

振り分けレース終了間近な状態だった。

 

 

「ほら、ゼッケンはここにあるから全員行ってこい」

「あ、ありがとうございます!」

「ほら、全員ダッシュよダッシュ!!」

 

 

スペシャルウィークがお礼を言っている間に、キングヘイローが

ひったくるようにしてゼッケンを受け取る。

そして、配るというより投げつけるように全員に渡す。

受け取った瞬間、セイウンスカイが走り出し、エルコンドルパサー、キングヘイロー、

スペシャルウィーク、グラスワンダーの順番で走り出した。

 

 

「逃げが1、先行が1、残りは差しか」

 

 

砂埃と共にレース場に走り去っていく5人を見送りながら、ブライアンはポツリと呟いた。

 

 

「はぁ・・・・・・私もあのトレーナーのチームに入りたかったな・・・・・・」

 

 

新入生振り分けレースは、文字どおり新入生対象のレースであり、

自分はリギルに所属している為に参加は不可能。

チームの移籍についても、完全に望み薄とくれば、接点は作れそうにない。

 

 

(せっかく男と仲良くなれるチャンスだったんだが・・・・・・)

 

 

はぁ、と肩を落とすブライアンの背中には、ちょっと哀愁が漂っていた。

 

 

 

――――――――(レース場)―――――――――

 

 

 

新入生振り分けレースは、この学園に所属するトレーナー達からすれば真剣で、

ウマ娘達からすればある意味息抜きの娯楽と言った意味合いも持つ。

その為か、かなり多くの見物客が学園備え付けのレース場には訪れていた。

 

 

「1番の娘、『カスケードレイジ』はいいわね、あの娘うちのチームに入れられないかな?」

「確か『デンジャーマイン』だったはず、差し脚は注目よね」

「3番の『サンダークラウド』はすごくいい仕上がりね・・・・・・結果度外視で育ててみたい」

「ふむ、中々今年のルーキー達は元気がいいじゃないかエイミングホーク」

「フォックスアイ、面白がっているところ悪いが、今後どれだけ残るか・・・・・・」

 

 

ここ、トレセン学園では担当に振り分けられるレースの日には、

一日使って模擬レースが行われる。

その為、今日一日は全ての学業を取りやめてレースに注力することになる。

トレーナー達以外にも、トレセン学園に所属している生徒達もこぞって

手弁当で観戦に来るのが常だ。

そして、本日の最終レース。

その中で、トレーナーこと彼は自分の担当を決められないでいた。

 

 

(ふむ・・・・・・どうしたものか)

 

 

彼は、双眼鏡でレース場のウマ娘達を観察していた。

足腰の使い方や体つきなど、今まで学んできた事を全て動員して、

猛禽類のようにレース場のウマ娘達から担当を見つけようとした。

 

 

(あの娘、下半身がしっかりしている・・・・・・だめだ、なんかちがう)

 

 

どうしても、これだと思った娘がいない。

勿論、良いと思える子が全くいないわけではない、しかし。

 

 

(なんか、違う)

 

 

彼は転生者であり、転生した際のおぼろげな記憶にある「ウマ娘」シリーズの

登場ウマ娘達を目で追ってしまう。

その為「まずはあの娘を」と思って目で追ってしまう。

何せ、レース場で案内係として活動しているヒシアマゾンやフジキセキ、

エアグルーヴ等がいると、視線がそちらに向いてしまう。

 

モブウマ娘達が悪いわけではない、ただ、彼自身が無意識的に

前世の記憶に引っ張られてしまっているだけなのである。

その証拠に、何か違うと思いつつ彼の手元にある端末は、良いと思ったウマ娘達のデータを

常にピックアップしており、優先順位もきちんとつけられている。

 

 

(とは言え、早く当たりをつけて新人の子をスカウトしなければ・・・・・・うん?)

 

 

今日最後の第11レース、総勢16人の出走者。

その中に、見知った姿を見たような気がして、彼は双眼鏡を覗き込んだ。

 

 

(あれは・・・・・・まさか!)

 

 

そして、運命のゲートが今開いた。

 

 

 

――――――――(セイウンスカイside)―――――――――

 

 

 

さて、セイちゃんはどうやって仕掛けたものかと思案しているわけですよ。

 

 

レース場に初めてついた時には、余りの熱気と気迫に押されてフリーズしていましたけれどもっ、

ターフの上ではそんな事はないのですっ。

なんて強気に考えていたのもはるか昔、今のセイちゃんはピンチです。

 

 

「はっ、はっ、はっ、はっ・・・・・・くそぉっ!」

 

 

周囲の熱に押されるように前半戦を飛ばし過ぎた結果、今や私のスタミナはエンプティ。

何とか最下位にはなってないけど、1位から、いや先頭集団から大きく離されている。

懸命に走る脚が鉛のように重く感じているし、息は上がっているし、

そのくせスピードはどんどん落ちていく。

そして、前にいる競争相手との差はどんどん開いていて、埋められない。

 

 

「はぁっ、はぁっ・・・・・・くぅぅぅっ」

「こんなっ・・・・・・はずではっ」

「一流にふさわしくない、こんなっ、走りっ!?」

「息が、苦しい、デェ、ス」

 

 

耳を後ろに回してみれば、セイちゃんの友達が喘いでいる声がする。

私達全員、掛かり気味になった結果がこれ。

全員で最下位集団形成真っ最中というわけ。

 

 

そんなセイちゃん達は今、振り分けレースの真っただ中。

参加人数は16人で本日の最終第11レース。

これに勝てなきゃ担当トレーナー獲得という意味ではかなり不利になる。

 

 

何せ勝った娘に優先的に強いチームとの交渉が出来るルールがある。

このレースはいわゆる「ドラフト」みたいなものなのです。

 

 

だというのに、私達5人は全員で最下位争いをしているという体たらくなのです。

 

 

まあ、ウォーミングアップもなしでぶっつけ本番、更に芝の状態もかなり悪い

「不良バ場」ときたものだから、しょうがないっちゃあしょうがない。

 

 

おまけに対戦する残りの11人は、気合も根性も天元突破とかいう意味わかんない状態。

 

 

周囲の観客席から発せられる重圧に似た熱量も、

私達全員を掛かり気味にするには十分すぎるスパイスだった。

 

 

そんな中でゲートが開き、いの一番に飛び出したのはキングヘイローで、その後で私が続き、

エルコンドルパサー、グラスワンダー、スペシャルウィークの順番で走っていたのだけども。

 

 

全員が自分に合わない走りやペースで走ってしまったため、

1200mを過ぎたあたりで全員ガス欠気味なっちゃった。

 

 

そして、それを見越してか他の娘達が仕掛けてきた。

気合と根性が走力に上乗せされて、とんでもない加速を引き起こしている。

不良バ場のはずなのに、芝を抉って加速するなんて、どうかしていると思う。

 

 

そんなコースの距離は芝2000mの右回り、天気は良好バ場悪し、

セイちゃんの運命はこの一戦にあり。

とは言え現実はどうにもならないもので。

 

 

(これは、私達じゃあどうしても勝てないね)

 

 

勝てない、と判断した頭の中は冷静に負けを認め、なぜ負けたのかを考えていた。

 

 

異様な雰囲気でウォーミングアップが出来てない、バ場が悪すぎる、ゲートで出走遅れ、

緊張で筋肉が萎縮して動きが悪い、どんどんと駄目な理由は出てくるけれども。

 

 

でも、本当はそんなものはただの言い訳に過ぎなくて。

 

 

(ああ、畜生)

 

 

目から涙が止まらない、止められない。

こんなはずじゃなかったのに、華麗に勝利を収めてトレーナーに選ばれて、

速くて強いウマ娘になるはずだったのに。

 

 

(じいちゃん・・・・・・)

 

 

じいちゃんとの約束、強くて早い日本一のウマ娘、初めから躓いちゃったなあ。

 

 

そして私は、いや、私達は何の見せ場もないままゴール板を駆け抜ける事になったのでした・・・・・・くそっ。

 

 

 

―――――――――(観戦席side)――――――――――

 

 

 

「あー、あの子たちは残念だったわねぇ」

「確かに、初めてゲートに入った時から緊張が隠せてなかったものねぇ」

「初めからスパートをかけすぎて、後半は見ていられない状態だったな」

「この雰囲気に呑まれたいい例だね、かわいそうだが」

 

 

中堅トレーナー達が口をそろえて、最後の第11レースを評価している。

その評価対象は、1位を取ったウマ娘・・・・・・ではなく、最下位集団の事を指していた。

 

 

12位「セイウンスカイ」

13位「グラスワンダー」

14位「エルコンドルパサー」

15位「キングヘイロー」

16位「スペシャルウィーク」

 

 

彼女達5人に寄せられる視線は、同情を含んだものが多かった。

それは、観戦していたウマ娘達も同じだ。

 

チームリギル、学園最強、否日本最強クラスの実力者のみを集めたチーム。

最強軍団、ドリームチーム、そんな呼び声の高い面々もまた、彼女達のレースを見ていた。

 

「ふん、ご愁傷様としか言いようがないな」

 

先に彼女達にゼッケンを渡した「ナリタブライアン」がレース結果を皮肉る。

いや、皮肉るというよりも同情しているといった方がいいか。

それぐらい、彼女の声色には実力を発揮できなかった彼女達への憐憫が含まれていた。

 

「ああ、彼女達は完全にレース場の雰囲気に呑まれていた」

 

ブライアンに同意するのは、皇帝「シンボリルドルフ」その人。

彼女もまた、生徒会の合間を縫って新入りの走りを観戦に来ていたのである。

その目は真剣そのもので、何時もの温和な雰囲気など微塵も感じられない。

 

「わかるわ、初めては何時もそうよねぇ」

 

そんな彼女達に頷きながら同意するのはスーパーカーの異名を持つ「マルゼンスキー」だ。

馬時代の彼女はクラシックに出場することが出来なかったが、ウマ娘の彼女は違う。

通算成績16戦15勝1敗という成績であり、その1敗は皇帝に敗れた1敗だった。

 

「これで潰れるようならそれまでだけど・・・・・・果たしてどうかな?」

 

どこ吹く風の自由人、3冠ウマ娘である「ミスターシービー」もまた、

珍しい事に今回のレースを観戦していた。

何か感じる事でもあったのか、と問われれば飄々としてはぐらかすだろうが。

 

((((例の彼との話のネタぐらいにはなるか?/だろうか?/かしら?/かなぁ?)

 

見に来た理由は、彼女達に憧れているウマ娘をちょっと幻滅させる理由だったが。

 

 

―――――――――――(トレーナーside)――――――――――――

 

 

様々な憶測が飛び交う中で、トレーナーはただ真剣に彼女達のレースを考察していた。

時折手元にあるタンブラー(中身は自家焙煎の珈琲)に口を付けながら、

鋭い目つきで頭を高速回転させていた。

 

 

(なんてことだ、彼女達は黄金世代だぞ・・・・・・ルーキーゆえの経験不足が祟ったか?)

 

 

経験値の足りない状態で、こんな雰囲気の中で走れば、自分の走りが出来なくて当然だ。

むしろ、そんな状態の彼女達だから見るべき物がある、彼はそう考えた。

双眼鏡で見ていた彼女達のレース運びは、荒削りも粗削りだが、

見るべきものが無いわけではなかった。

 

 

(はじめ、全員がゲートで出遅れても仕方がなかったが、彼女達は出遅れなかった)

 

 

特にキングヘイローはゲートが開いた瞬間、完璧なスタートダッシュを成功させていた。

今日の戦術は逃げに近い先行だったが、走りそのものも前半の試合運びも悪くない。

雰囲気に呑みこまれさえしなければ、今日の勝利者は彼女だったかもしれない。

 

 

(5人全員、コース取りも悪くなかった)

 

 

特にセイウンスカイのコース取りは、なるべく外側を取って比較的

芝の良好な部分を走っていたのが特徴的だ。

あの状況でも、視野狭窄にならずに最善手を探して実行したのだろう。

更に、不良バ場でありながら脚を取られることなく、ペースが乱れなかったエルコンドルパサー、彼女の脚は流石としか言いようがない。

地面が変形して、走りづらい状態のバ場ですら彼女の走りを崩す要因にならなかった。

 

 

(最後の差し合い、スタミナの切れた状態であの差し脚・・・・・・)

 

 

グラスワンダー、彼女の差し脚は凄まじい。

スタミナが切れ、フォームも崩れ、しかしその足元だけは決して崩れない。

最後の最後、団子状態となった中でグラスワンダーは最下位から一気に13位に上がったのだ。

 

 

(そして、スペシャルウィーク・・・・・・)

 

 

スペシャルウィークは、この圧倒的に不利なレースで、肉体と精神の消耗も激しい状態で、

不良バ場のコースを全力で走りぬいて・・・・・・。

 

 

「あの娘、スペシャルウィークさん、もう息が整っていますね」

「ええ、心肺機能が強靭で基礎的なスタミナもある証です・・・・・・慣れない中で、

しかも荒れたレース場を走り切ってこれですからね・・・・・・おや」

 

 

女性の声が聞こえて、振り返るトレーナー。

その視線の先には、一人のスーツ姿の黒髪の女性がいた。

年のころは、トレーナーよりも10ほど上だろうか。

理知的な切れ長の目、ウェーブのかかった黒髪、上等な黒いスーツ。

凛とした気を感じる、理知的な女性がそこにいた。

 

 

「先生もご覧になっていたのですか」

「ええ、そしたら見知った人が双眼鏡片手に唸っているのが見えたので」

「お恥ずかしい限りです・・・・・・今のレースの勝者との交渉に行かないんですか?」

「いいえ、その件に関してはサブトレーナーとエアシャカールに任せました」

 

 

意外な一言に、トレーナーは目を瞬かせる。

そんな彼に、先生――樫本理子――は微笑みながら続けた。

 

 

「彼女の目と知識は確かなものです、貴方もそれは知っているでしょう?」

「確かに、エアシャカールにはかなり助けてもらいましたし・・・・・・というか先生、

レグルスに新人また入ったんですか?」

「ええ、理事長曰く『信頼っ! 貴女ならば任せられる!(注2)』とおっしゃられて」

「理事長・・・・・・」

 

 

トレーナーの問いかけに、頷く樫本。

私は別に、サブトレーナーのトレーナーになった覚えはないんですが、と肩をすくめる。

 

 

「だから、というわけではないのですが、サブトレーナーとエアシャカールに最終レースのスカウトを担当してもらったんです」

「成程、後進の育成・・・・・・それには確かな目と知識が必要ですからね」

「ただ、今度のサブトレーナーは貴方よりも幾分未熟、なのでエアシャカールに助手をしてもらっているのです」

「新人も大変だな、下手なトレーナーより見る目がありますよシャカールは」

「ええ、更に新人の彼女には選んだ子たちのトレーニングメニューもあの子たちと一緒に考えてもらいますから」

「スパルタ・・・・・・ではないですね、トレーナーになるためには必要な事だ」

「ええ、私達はウマ娘達の人生を預かっているのです、半端な覚悟では任せるわけにはいかないでしょう」

「シャカールの理詰めに耐えられると思います?」

「ええ、そこに関しては心配していませんから、大丈夫です」

 

 

あの娘、詰めは甘いですが頭はいいし精神的にも中々タフなので、と樫本は語る。

そんな彼女を見て、恐らく今頃エアシャカールはそのサブトレーナーに

苦労しているだろうと直感的に思った。

 

 

(今度シャカールに甘いものでも持って行ってやろう)

 

 

樫本の下で学んでいた時、差し入れのドーナッツと珈琲の組み合わせで、

頬を緩めていたシャカールを思い出した。

同時に、レグルスのみんなにもドーナッツの差し入れをしようとも。

 

 

「行かなくていいのですか?」

「お見通しですか、先生」

「一年とは言え、貴方を指導しましたからね」

 

 

貴方がどういう男性か、少しは解っているつもりです。

樫本理子はそう言うと、うなだれてロッカーへと引き上げている

黄金世代たちを指さした。

 

 

「早く行かないと、あの娘達帰ってしまいますよ?」

「おおっと、これはいけない!」

 

 

そう言うと、彼は手すりに足をかける。

その瞬間、彼は樫本に振り替える。

 

 

「先生」

「何でしょうか?」

「先生に、あの娘達と一緒に挑ませてもらいます」

「・・・・・・期待して待っていますよ」

 

 

ではっ、という掛け声と共に、トレーナーは地上8メートルある観覧席から身を投げた。

そのままスーパーヒーロー着地を決めると、5人に向かって走り出した。

 

 

「ふふ、いいものですね・・・・・・夢を追い、努力する男性というのは」

「あの、樫本先生、その、新しく入る娘のピックアップ終わりましたっ!」

「おう、樫本さん・・・・・・もうこれっきりにしてくれ、オレにはトレーナーの真似事は向いてない」

「ええ、ありがとう・・・・・・シャカールもご苦労様でした」

「ふん・・・・・・ん、この珈琲の残り香は、あいつか?」

「ええ、先ほどまで私と話していたんです」

「あいつ、というと私の前の、例の男の人ですか?」

「そうだよ、アイツも樫本学校の生徒ってわけだ」

 

 

つーかこっちに一度くらい顔出せよアイツ、と少しむくれ気味なエアシャカールに対して、

樫本は笑いながら言う。

 

 

「ふふ、今度差し入れをもって挨拶に来るんじゃないかしら」

「そいつは楽しみだ」

 

 

新人サブトレーナーがおどおどしながら、二人の会話を聞いている。

二人にとって、もしくは、自分の所属しているレグルスにとって、

彼の存在は大きかったのではないだろうか。

 

 

(私もそれぐらいのトレーナーになろう!)

 

 

サブトレーナーがそう決心し、同時にエアシャカールもこんな柔らかい表情をするんだ、

と内心驚いた時。

 

 

「それと、私達に挑ませてもらうとも」

「ほぉ、それはいい事を聞いたな」

「ぴぃっ!?」

 

 

樫本の一言にエアシャカールの声が一段下がった。

周囲を凍てつかせるような雰囲気を纏ったエアシャカールは、

獰猛で好戦的な笑顔を浮かべていた。

 

彼女のその声色は、心底彼が育てたウマ娘と戦う事を楽しみにしている、

という強者の余裕があった。

 

先ほどと今のエアシャカールの温度差に、新人サブトレーナーは

思わず悲鳴を上げてしまった。

 

 

「さて、オレは先に戻る」

「えっ、ちょっと、シャカールさん!?」

「あ? 別に、アイツからの宣戦布告をあいつ等に伝えに行くだけだ」

「じゃ、じゃあ私も一緒に!」

「へいへい、こけるなよ」

 

 

じゃあ、先に戻るぜ。

そう言うとシャカールはサブトレーナーと共にレグルス用のミーティングルームへと戻っていった。

 

 

「弟子の最大の孝行とは師を超える事ではありますが・・・・・・貴方は私を超えられるかしら?」

 

 

樫本理子の言葉は、風に乗り、ターフに吸い込まれていった。

 

 

――――――――(スペシャルウィークside)――――――――――

 

 

ロッカールームとレース場を繋ぐ通路に、私達5人は座り込んで蹲っていた。

 

通路を通る人たちは、皆私達の事を見て見ぬふりをしてくれている。

 

多分、こういうのは皆慣れっこな光景なんだろう、冷静な部分がそう言ってくる。

 

(でも今は、それがすごく、ありがたいなぁ)

 

負けた、と思った。

 

もうだめかもしれない、とはギリギリで思わなかったけど。

 

それでも、私に、私達にとって、この負けは堪えた。

 

もっとバ場がよかったら、もっと普通の環境だったら、もっとウォーミングアップできていたら、そんな事は言い訳に過ぎなくて。

 

もっと、もっと、いい走りができたはずなのに、そんな言葉がずっと

頭の中をぐるぐると回り続けていて、胸が苦しかった。

 

「うっ、くっ・・・・・・ひっく」

 

とうとう涙が零れ落ちてきて、思わず下を向いて、鼻の奥の痛みと目の奥からあふれる涙を、

決して見えないように隠した。

 

周りで、私だけじゃなくて、皆も悔しくて泣いているのが聞こえる。

 

本当に、本当に、一つもいい所がないレース運びだったと思う。

 

悔しくて、情けなくて、何より、日本一のウマ娘になるという夢に最初からつまずいて。

 

「うっ、うぅぅぅぅぅっ」

 

何よりも、こんなに情けない走りをしてしまった事が恥ずかしくて。

泣いている自分が情けなくて、いやで、悔しい。

 

「こちらをどうぞ」

「あ、ありがとうございます・・・・・・」

 

差し出されたタオルに思いっきり顔をうずめて、私は泣いた。

情けないレースと、弱い自分に。

 

暫くの間、私はタオルに顔をうずめて、悔し泣きに泣き尽した。

耳からは、皆もまた悔しくて泣いているのが聞こえていた。

タオルをくれた女の人(にしては声が低いような?)は、

私達が泣き止むまでジッと待っていてくれた。

 

「スペシャルウィークさん、でよろしいでしょうか?」

「ふぁい、そうですけど・・・・・・」

 

少し噛み気味に、その人の質問に答える私。

涙を始めとしたさまざまなアレを、タオルで強引に拭いて、初めて顔を上げた。

 

そこには。

 

「スペシャルウィークさん、G1ウマ娘に興味はありませんか?」

 

身長180cmを超える、大柄なスーツ姿の「男の人」が名刺を持って立っていた。

 

 

 

 

 

 

リザルト

 

黄金世代と接触する・・・・・・200MP

樫本理子と接触する・・・・・・100MP

チームレグルスに宣戦布告する・・・・・・100MP

異常な加熱の原因になる・・・・・・50MP

トレーナーとしての第一歩を踏み出す・・・・・・50MP

 

合計・・・・・・500MP

 

前回合計 1500MP

 

次回 チーム編成イベントと新規ウマ娘加入イベントが発生。

 

 

 

(注1) スキルについてはまだわかっていないことが多く、

        研究者の間で研究が行われている状態。

        「私はこういうスキルがある」とウマ娘達は自己申告している。

        学会で一番有力なのは「ウマ娘のリミッターを段階的に解除してゆく事」

        がスキルと言われているモノの正体ではないか、という説。

 

(注1) 固有領域と言われているモノは

        「スキルの延長にある脳と体のリミッターの完全解除」

        ではないかと研究者の間では言われている。

        固有領域の描写は彼女達のリミッターを外すイメージであるという説がある。

 

(注2) 樫本理子はアプリ版のチームファースト勝利後の彼女。

        なお、この時空においてはアプリ版の担当のケガは発生していない。

        ただ、一人でも多く学園から去るウマ娘を少なくして、

        勝たせるためにどうするか考えた結果、管理指導主義に行きついた。

 




まさかの1万4千オーバーという結果になりました。

プロットが切れたため、投稿期間がかなり伸びる事になると思います。

気長にお待ちいただけると幸いです。

追記

10連回したら、キングヘイロー(新衣装)と
セイウンスカイ(新衣装)が出ました。

出た瞬間、うへっという変な声が出ました。
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