割とこのシリーズは、時空がねじれまくっている為、
混ざった時空となっておりますことを、ご報告させていただきます。
即ち、史実と異なる点が多々あることを、遅ればせながら報告させていただきます。
寒くなってきまして、皆さまどのようにお過ごしでしょうか。
季節の変わり目には十分に注意してくださいますよう、よろしくお願いします(1敗)
今回は実験として、文字機能を弄ってみました。
男! 思い出を話さずにはいられないっ!
「さて、今回の議題は新人のデビュー戦及びOP戦についての方針になります」
ここは、教室二つ分の広さを持つミーティングルーム。
そこで、チームレグルス担当トレーナー樫本理子は、パワーポイントを使用した資料で所属しているウマ娘達に説明を行っていた。
チームに新人が入り、新しいチームが始動し始めるこの時期は、どのチームもまずはスカウトしてから説明という流れが一般的だ。
もっとも、もろもろの手順を吹っ飛ばしてチームメイトを攫ってくるチームがいるのは公然の秘密である。
『へっきしっ!!』
『ちょっと、貴女汚いでしょう!?』
『いやいや、これは全世界564万のアタシのファンから貰ったパワーが許容量を超えただけだから』
『貴女は何を言っていますの!?』
どこかで、黄金浮沈艦と最高傑作の愉快なやり取りが聞こえたような気がしたが、割愛。
凡そ40分程度の少し長めな説明が終わり、本日のミーティングは一時終了。
その後は、グラウンド使用練習の時間まで待機という形になった。
そんな一幕の話。
「あぁ? あのバカ野郎の事を教えて欲しいぃ?」
「は、ひあぃ……その、迷惑じゃなければですけど」
「いや、迷惑だなんて一言も言っていないけどよぉ」
「いいんじゃない、シャカール」
「ファイン、お前なぁ他人事だと思って」
「いや、彼の取り扱い的な意味で情報共有は必要だよ?」
「あー、まあ、確かに……どう説明していいか未だにわっかんねえんだよアイツ」
「そんなにですか!?」
トレーナーと黄金世代が新チーム『黄金新星(ゴールデンノヴァ)』を結成し、理事会の許可を受けたという事はトレセン学園中に衝撃を与えた。
トレセン学園でも指折りしかいない男性トレーナーへの電撃戦をまんまと成功させた黄金世代に、ちょっと怨みがましい視線を向けてくるウマ娘が増えた。
(特に寮長兼役者かつエンターテイナーで奇跡な黒鹿毛のウマ娘は地団駄を踏んだ)
そして、その男性が樫本理子の弟子であったことが解ると、更なる衝撃が駆け巡った。
それは、異性へのあれこれではなく『競技者』としての『指導者』としての衝撃だ。
何せ、樫本理子はどんなに「勝てない」と言われて匙を投げられていたウマ娘でも、OP戦やGⅢレースで勝ち星をあげられるレベルに育て上げる事で有名なトレーナーだったからだ。
彼女の指導したウマ娘の中には、OP戦オンリーだが長年走り続けているウマ娘、中央から地方へ活躍の場を移し地方重賞で勝ち星を稼ぐウマ娘、更には地方3冠ウマ娘、シニアで劇的に成長したウマ娘等も存在している。
それだけではない。
ケガ等で故障してしまったウマ娘を、文字通り再生させてもう一度ターフに舞い戻らせたことも数多く。
クラシック三冠ウマ娘こそ在籍していない物の、その実力は折り紙付き。
競争倍率は、なんとリギルやスピカ、カノープス等をはるかに超える。
そんな樫本理子についたあだ名が『勝利の請負人』『樫本再生工場』である。
何せ、今でも地方に移った娘やケガに苛まれた元1冠2冠のウマ娘が毎月のように合同練習の話などを樫本に持ち掛けてくるのだ、その慕われようは並ではない。
URAが編集している雑誌『優秀』の中で、5年連続で『日本で一番指導力のあるトレーナー』に選ばれていることからも、その評価がうかがい知れるだろう。
そんな樫本の下についた新人トレーナーとシャカファイコンビが話しているのは、彼女が率いるチーム『レグルス』に与えられたチームルームだ。
レグルスの上げた勝ち星に比例するかのように、チームルームは広い。
教室2個分くらいの広さを持っているそこは、割とレグルスメンバーが溜まり場にしていることも多い。
ロッカールームとは別に、全員で集まることのできるルームを別に持っているのは、リギルとレグルスくらいの物だろう。
そんなチームルームの壁にはマホガニー材を使用したキャビネットがあり、その中にはメダルや盾等が嫌味にならない程度に自己主張している。
その他の目に付く設備として大型ソファーや100インチ大型モニターに加え、割と上等なコーヒーメーカー、天然水を使用したサーバー等、割と堅実で贅沢な設備が整っているのがこのミーティングルームである。
その対面の壁には『勝利記念』と書かれた本棚と、分厚いアルバムが数十冊。
そんなミーティングルームだが、まだ割と多くのウマ娘が残っていた。
チームに所属しているモブウマ娘(現在中距離OP戦4勝)の一人が、先ほどのミーティングで使用していた資料を片付けていた。
それなりの価格で、いいパフォーマンスをするノートPCや発表用のプロジェクター設備等を片付けているウマ娘(マイルG1出走確定済み)もいる。
そして、悩んでいるシャカールの元に一人のウマ娘がバクシンしてきた。
「ふぉうでふね、ひんひんはんにもははりやすいひょうにへふへいすへきではないへひょうか!」
「おい、口ん中に物入れながら話すなバカチンオー」
「ゴクッ、ゴクッ、プハッ……そうですね、新人さんにもわかりやすい様に、説明してあげるべきではないでしょうか、後お水ありがとうございますシャカールさん!」
「繰り返すな、ちゃんと伝わってるからよ……後、礼はいらねえ」
「おお、伝わったようで何よりですね!」
「はぁぁぁ……疲れる」
「ふふ、お疲れ様シャカール」
「撫でんじゃねえ!」
「きゃあ、こわーい!」
ミーティングで疲れた頭を労わるように、購買で購入した桜餅を頬張りながらシャカール達に絡むバクシンオー。
そんな彼女に、一応毒づきながらも注意するシャカール。
もっとも、バクシンオーにはどこ吹く風、反省する様子は皆無だが。
肩を落とすシャカールをからかいつつ、適度にガス抜きさせるファインモーション。
そんな彼女達のやり取りに、目を白黒させている新人トレーナーは、どうやって話を切り出すべきか迷っていた。
そんな彼女を見かねたのか、作業をしていた二人が助け舟を出す。
「シャカールさん、そんな風に投げやりなのは良くないと思うなっ☆!」
「ファルコンさんの言う通り、説明するときはきちんと説明してあげたほうがいいと思いますよ?」
まあ、どう説明すればいいのかわからない、というのは解りますけど。
そう言って話しかけてきたのは、先ほどまでミーティングで説明役をしていたスマートファルコンと、書記をしていたエイシンフラッシュだ。
エアシャカールに先ほどのミーティング内容を記載したノートを渡しながら、エイシンフラッシュは彼女の態度に対してくぎを刺す。
エイシンフラッシュの言葉に、バツが悪そうに頭を掻きながらも、中身をぱらぱらと速読して内容をチェックするエアシャカール。
何故彼女なのかと言えば、彼女が今回のミーティングのまとめ役であったためだ。
(すごいチームですね)
新人トレーナーは『どうやって説明するか』を話し合い出した彼女達を見ながら思う。
彼女がうわさに聞くチームスピカは、ウマ娘達の自主性を重んじているが、それ故にバラバラでまとまりがなく見えることがあるという。
また、スピカはトレーナーとの距離が近すぎることもある、という事も聞いた。
常勝軍団と言われるチームリギルは、逆にトレーナーのワンマン手法で運営されており、このようなミーティングは行われないか、報告会染みているという。
トレーナーとの距離も、チーム内部では上司と部下のような関係性でストイックだとか。
このうわさもまた、リギルというチームを表しているといえるだろう。
だが、このレグルスはそう言ったものがない。
議題や運営方針等は、樫本自身が決定している。
だが、入ったばかりの新人チームメイトもミーティングでは発言が求められ、良いと思った意見は積極的に採用される。
そうして挙げられた数々の目標が、チームとしての大目標と個人としての目標として振り分けて決定される。
責任者として樫本チーフが議題内容のチェックや修正を一応入れるが、基本的にこれらの目標は彼女達に決定させる。
そして、目標を決定したらその目標を達成するために、樫本チーフがトレーニングメニューなどを作成するというやり方を取っている。
レグルスは、スピカのように近すぎず、リギルのようにがっちりとし過ぎない。
だがそれは、チームや個人の練度の低さを意味しない。
彼女達が『最優』と言われるゆえんを、彼女は垣間見ていた。
(自分達で考えて、責任を持って実行するから彼女達は伸びるんですね)
チームレグルスの考え方は「徹底管理主義」と外部からは言われている。
しかしそれは「人材育成」と「長期的視点の指導」そして「担当ウマ娘への理解」という3点を念頭に置いた上で形作られたものだ。
ウマ娘の目標を最大限達成させつつ、練習過多で壊れる様な事は絶対にさせなかった。
彼女のやり方は、担当の目標達成までの道のりを徹底的に管理するやり方だ。
なお、レグルスは樫本をチームリーダーとして栄養・トレーニング・メンタル等多岐にわたる様々な分野の専門集団がバックアップを形成している。
これらの集団により、多数いる彼女の担当ウマ娘達は、目標達成確率を大幅に上げている。
無論、その集団も癖のある連中が揃っており、その連中をまとめ上げることが出来る樫本チーフの仁徳がチームの土台なのだが。
強力で手厚いバックアップと、ウマ娘に理解のあるチーフトレーナーという布陣だからこそできる『群の強み』こそ、レグルスのレグルスたる所以である。
そんな樫本だからこそ、エアシャカールを筆頭に一癖以上の癖があるウマ娘達をまとめ上げていけるのだろう。
そして、エアシャカール達もまた彼女を信頼しその判断に信用を置いている。
だからこそ、うまくいっている。
更に、彼女達リーダー格が率先して手本を見せると、後輩達もそれに続くようになった。
管理体制の下でアクティブに活動する組織としてのレグルスが完成していた。
だからこそ、理事長も新人トレーナーを任せるに値するという判断を下したのである。
その結果、世界でも数が少ない男性トレーナーの面倒を見させられたのだが。
「貴女達、どうしたんです?」
「あ、樫本さーん、ちょっと相談に乗ってほしいな☆」
「ファルコンさん、一々☆を付けない……樫本トレーナー、実は彼の事を説明しようとしていたのですが、どこまで話したものかと」
「ふむ、フラッシュありがとう……シャカール、ファイン、貴女達はどう思います?」
「あー、まあ、アイツの説明自体……つーか聞きたきゃ直接話に行けばいいだろうが」
「あはは、シャカールらしいと言えばらしいけど……まあ、彼との距離感の掴み方的な意味で話しておいた方がいいかなと」
「まあ確かに、何かあってからでは遅いですからね」
「別に、アイツなら並大抵のことは笑ってすますンじゃねえか?」
「何かある事前提ですか!?」
樫本も彼女達の話の輪に入りだし、そこから聞き捨てならない言葉が出てきた。
何かあるのか、と新人トレーナーが身構える。
とんでもないパンドラの箱を開けようとしているんじゃないのかと。
「ふむ、そうですね…………では私から話すとしましょうか」
「樫本トレーナーからですか?」
「ええ、私から話した方が後々で指針になるでしょうから」
「確かに、明確な線引きが可能ですね」
エイシンフラッシュの相槌に頷きながら、樫本は彼事トレーナーについて話し始めた。
────―(樫本理子の場合)────
始めからトレーニングに関する高い知識や、スカウトに関する観察眼等、高いレベルを最初から持っていました。
終わった後だから言える事ですが、彼は恐らく初年度の私を超えた知識量を有していたと思います。
ええ、彼は大雑把で荒削りではありましたが、きちんとしたウマ娘の為の育成計画書を作成し、実行するために必要な知識や実力等を有した男性でした。
一言で言えば【男性なのにウマ娘に詳しい癖の強い人】という印象を持ちました。
大丈夫です、彼が異常だっただけで、貴女が劣っているわけではありません。
貴女の実力も、初年度トレーナーの中では頭一つ抜きんでていますから。
そんな彼ですけれども、どうやら両親がトレーナーという事らしく、両親の方針を色濃く受け継いでいます。
貴女達も経験があると思いますが、彼はウマ娘との毎日のコミュニケーションを非常に重視する人でした。
挨拶、雑談、相談、練習以外の色々ですね。
確かに練習のみを突き詰めた話をトレーナーというのはしてしまいがちです。
特に、新人のトレーナーは得てして次につなげる為の名誉や実績を求め、過度なトレーニング等を担当に科してしまいがちになりますから。
そして、その失敗によって新人ウマ娘や時には新人トレーナーすら学園を去ることがある……全く、このことは理事長と再度話し合わないと……。
ああ、失礼、ただ、彼はそれが無かった。
非常に珍しい事ですが、彼は功名心や野心という物を強くは持っていなかった。
飲み込みも早く、ウマ娘への情熱と愛情もたいへん高く、少なくとも名声や利益の為にトレーナーをやるような輩ではない事は、接しているとすぐにわかりました。
確かに、自分の腕を振るってみたいという一種の「挑戦」や「やる気」を強く感じる事はありました。
しかし、思い込みによる視野狭窄は割と少ない方で、むしろ広い心と自分を強く律する自制心の持ち主です。
ただ、私達トレーナーとは割と見方が違う事も多々あります。
彼にはこんな話があります。
レグルスに来る娘には、時に色々と難しい娘が来る事もあるのは、ご存じの通りでしょう。
彼が私の下で最初に担当した彼女「スプリットステップ」もその一人でした。
彼女は短距離部門の娘で、未勝利戦を勝った後、OP戦で勝利を収めました。
しかし、OP戦で勝利したにもかかわらず、常にどこか浮かない顔だったそうです。
そして何度も出走しては負け続け、ついには明るい性格が、卑屈で後ろ向きな性格に変わってしまったのです。
担当は原因の究明に手を尽くしましたが、彼女の不調を取り除くことが出来ず、私に白羽の矢が立ちました。
私の元にやってきた彼女は、その時には自分の実力にすら疑問を呈していました。
彼は、その状態の彼女を見るや、彼女の担当にしてほしいと言ってきたのです。
ええ、驚きましたし、余り勧めたくはなかった。
でも、彼は是非にと言って彼女の担当になりました。
彼女も随分と驚いていましたし、ますます卑屈で暗い雰囲気を漂わせ始めました。
本当に大丈夫か、と思っていたのですが……。
結果から言うと、彼に任せた事は正解だったと言えるでしょう。
彼は担当してから2週間程した時、スプリットステップに5日間の外出許可を取らせました。
その後、彼は学園に対して自身の外出許可を取ったんです。
何をしたと思います?
1週間かけて、彼女と一緒に日本各地の「元競争バ」に話を聞きに行ったんです。
それも、競走バだけでなく、企業等に就職したウマ娘達へもアポイントを取って。
始め、私は彼がスプリットステップに何をしたいのか解りませんでした。
しかし、後日提出された彼のレポートを読んで、スプリットステップと面談してみると彼女の何かが違う事に気が付きました。
驚いたことに彼女から、卑屈な部分が和らいでいました。
様々なウマ娘達から話を聞き、どうやら自分の事に関してもう一度考えたらしいんです。
話を要約すると、スプリットステップ曰く『今まで中央にいるからには勝たなければならないと思い込んでいたのですが、世の中には様々な見方があるという事が解りました』と。
その後の彼女は、卑屈になることもなく、暗い事もなく、何か吹っ切れたように練習に取り組みました。
そして、彼女の地元である西日本で開かれたOP戦に挑んだのです。
レースの結果は見事に1着、ムラのあるレースが多かった彼女が、堂々とした先行策で完勝しました。
その後、彼女は私の元にやってきて、言ったんです。
『私は競走バではなくて警察官になりたい』と。
話を聞いてみると、どうやら両親が共に競争バであり、ともにOP戦をメインに走るウマ娘だったようで、彼女自身も『そうならなければならない』と思い込んでいたらしいのです。
中央に受かる事が出来るあたり、彼女に才覚も実力もあったのでしょう。
ただ、彼女は警察ウマ娘、いわゆる【騎バ警官】に憧れていたようで、小学生の時に何度も警察署に話を聞きに行っていたらしいのです。
ですが、中央に入った以上はそんな事は言っていられない、入れなかった娘の為にも、私は頑張らなきゃならないんだと、ずっと自分を押し殺していたようでした。
入学を喜んでくれた両親、期待してくれた地元の友人、大切な人たちを裏切ることになるのではないか、彼女はそう考えていたそうです。
ですが、夢見ていた事、本当にやりたいことを押し殺し続けるのは、どうやら無理だったらしく、心と体が別物になっていたと。
しかし、彼と一緒に回った1週間で様々な職種についたウマ娘達の意見を聞き、その考えを改めたと言っていました。
『私の人生、主役が私なら、私の心から願う栄冠を勝ち取りたい』と。
彼女は今、警察学校へ入学するためにトレセン学園の普通科に編入し、学生生活を過ごしています。
本人曰く『進む勇気と辞める勇気の大切さを教えてもらった』と。
彼曰く『私の姉によく似た娘でした、姉もずっと悩んでいましたから』と言っていました。
ええ、彼にはウマ娘の姉がいるんです。
肉親にウマ娘がいるからなのか、彼はウマ娘の気持ちに寄り添うスタンスを取ります。
着眼点も私達トレーナーは「レース」を物差しにして考えてしまいますが、彼は「人生」を物差しにして考えています。
だから、彼の練習計画にはケガの可能性を極力下げたものが多い。
競争の後、走ることを止めた時、歩けなくなるのでは本末転倒だから、と。
ええ、言いたいことは解りますよシャカール。
彼の優しさは、同時に大きな弱点にもなります。
100%の力を発揮するには、時に厳しいトレーニング状況に身を置かねばならない。
しかし、彼は……その決断が出来ない。
いえ、彼の計画には入っているんです。
ですが、彼が躊躇ってしまう。
ケガをしてしまうのではないか、夢を諦めなければならなくなるのではないか、と。
彼は文字通り、ウマ娘の為ならば無茶をしてでも願いを叶えようとするタイプです。
しかし、貴方達を大切に思うがあまり、どうしても決断できないことがある。
その点が、本当に大きな弱点です、致命的といってもいい。
エイシンフラッシュ、彼は真剣に貴方達ウマ娘を信じていますし、案じています。
黄金新星の子達も、彼のトレーニング通りにやればG3やG2クラスならば、容易く勝つことが出来るでしょう。
G1出走も、決して夢物語ではありません。
勝てるか、ですか?
それは解りません。
勝利の女神の前髪を掴むことが出来るウマ娘こそ、G1の舞台で勝利するのです。
後、生来の物か、性格の根底に割と楽観というか『必ずうまくいく』という考えをしているというか。
まあ、総評としてはトレーナーとしては、私からするとまだまだ粗削りです。
ただ、人格的には大変良い人物であろうというのが、教育を担当してみた感想です。
今の心配事ですか?
そうですね、チームメンバーも新人で固めるのではなく、それなりに経験を積んだ娘がサブではいってくれれば、こちらとしても安心できるんですが……。
──────(チームレグルス視点)────────
「何というか、彼は楽天家なのでしょうか?」
「おや、リトルココンいつの間に?」
「すみません、いきなり話を遮ってしまって」
金髪碧眼なウマ娘「リトルココン」が、樫本の話が終わり話しかける。
彼女は樫本が担当しているウマ娘の一人だ。
「すみません、皆さんにお話しがありまして」
「あぁン? ビターグラッセもどうした?
褐色肌で栗毛のウマ娘の「ビターグラッセ」も、リトルココンの後に続く。
彼女の手には、A4のプリント用紙が一枚。
その紙にはでかでかと『原因不明の爆発とニンジンによりグラウンドが一日使用不可能』という文字が、まるで血を思わせる真っ赤な赤文字で印刷されていた。
「あー、またなんかあったのか」
「はい、タキオンさんが」
「……アイツ、何やったンだ?」
「何でも、タキオンさんが伝説の『虹色に光る宝石のようなニンジン』を開発したらしく」
「ええ、それをゴールドシップさんが強奪して、グラウンドに散布したところ……」
「グラウンド全体に虹色のニンジンが発育し、それを回収するのに時間がかかっているのですね?」
「「はい、樫本トレーナー」」
この二人の発言に、チームレグルス全体が『まーたあいつ等か』という空気になった。
そして、今続けている話が割と長くなりそうとも。
「樫本コーチ、その、我々レグルスとしてはどういたしましょうか」
「はぁ……そうですね、フラッシュ今日一日使用できない以上……ええ、新人との交流会という事で、このまま話を続けましょうか」
いつの間にか、レグルスのチームルームには、地方に遠征しているウマ娘以外の全員が集合していた。
「それじゃあ、次は誰かなっ☆」
「オレ、正直あんまり話したくはねえが……」
──────(エアシャカールの場合)──────
あんまりオレが話す事は無いが、まあ、俺がレグルスに入る切っ掛けがアイツ。
以上、オレの話はこれでおしまい……なンだよ、ファルコン?
はぁっ? これ以上を話せだと……畜生、ファイン、そんな目で見るな、わかったよ。
オレは自分を3冠ウマ娘としての実力を持っている、そう思っていた。
練習量、脚質、他の連中の勝利データ、俺自身の敗北データ、全てを照らし合わせ、統計すると高い確率で……いや、よそう。
正直に言うと、100%3冠を取れると思っていた。
負けるという気持ちも全くない、そんな状態だった。
ただ、オレにはネックになっている所が一つあった。
オイオイ、そんなもん一つしかねーだろうが。
トレーナーだよ、樫本さんの前任者さ。
あいつは、はっきり言ってオレのトレーナー足りえない。
何せ、古すぎる根性論と威圧的権威主義というか、根拠のないスパルタというか、まあ前時代的な……いうなれば生きた化石みたいな奴だった。
1回会って、話をして、それで見切りをつけた。
オレは、自分が勝つためのトレーニングと道筋を、自分でつけて練習をし始めた。
前任者?
ああ、奴曰く『最初も最後も根性』らしい……全く理解できねえ。
確かにレースでの競り合い、特に最終場面での喰らい付きに関しては、最後の燃料と言われる『根性』が重要になるのは理解が出来る。
ただな、初手から根性論を振りかざすような奴は、正直あてにならない。
まあ、だから奴の話は適当に聞き流してコンビを組んでいた。
なんでってトレーナーが付いていないと、少なくともジュニア級では出走が出来ねえ。
チーム移籍が認められるのは、クラシックになったらだ。
そこは常識だろうが、覚えとけバクシンオー。
で、だ。
俺はホープフルステークスを勝利し、ジュニア級のトップになったわけだ。
そして、ヤツも鼻高々。
したり顔で『私の教育のたまもの』なんてのたまうからな、正直反吐がでる。
その後のオレは、まあ負け続けだ。
上位こそ取るが、1位にはなれない走りを続けた。
正直な話、クラシックにデビューした当初から、前任者とオレの間にはデカい溝が出来つつあった。
レースに出る回数、走るレースの種類、レースの運び方、何でもさ。
前任者も、オレの事を自分の指導に従わねえウマ娘で、自分の話なんて聴き流しているという事を薄々解っていたらしい。
その時のオレは根性だとか気合だとか、そういう物を極力排して物を考えていた。
必要なのは経験値とデータ、目指す結果以外は2の次。
レースに出るのは、もっぱら相手の戦略や考えを学ぶためだった。
ライブハウスと同じさ、肌に感じる雰囲気だけは実地でなければ学べねぇ。
勝ち切れねえオレは善戦ウマ娘、なんて呼ばれていたよ。
あ? なんで勝てるレースを勝たなかったって?
フラッシュ、ダービーの事を考えろ。
いいか『勝てる』と『勝つ必要がある』は違う、勝つ必要のあるレース以外は全力を出すわけにはいかねえ……ヘタをして怪我して引退なんて御免だ、そうだろ?
そして、出走条件を満たしたオレは、3冠の第一歩である皐月賞への出走が決まった。
皐月賞は俺の計算で勝った、ああその時には、全く前任者とは口を利かなくなっていた。
今思えば、あの皐月賞はオレの……独力で集めたデータと計算で勝った最後のレースだった。
そして、あの日本ダービーの日だ。
何度も計算を繰り返した、オレはあのダービーで負けるはずがなかった……そのはずだった。
けど、オレは負けた。
その時、オレは担当トレーナーとの契約も切った。
元々ロジカルな奴じゃなかったし、今でも後悔はない。
何より、オレはスランプに陥っていた。
情けないが、誰にも相談できない、自分ひとりで走っていた状態のオレの初めての経験だ。
次第にオレは、走る事への意義を無くしかけていった。
別チームへ移籍も考えたが、オレの悪評【何を考えているかわからない】つう評価が過大に流布されててよ、それも出来ねえ。
そもそも、前提として三冠を取れないなら走る意味はない。
学園止めて工学系の専門学校にでも通うか、賞金を元手にゲーム制作でもするか、そう考えながら退学届けを出しに行く途中で、アイツに出会った。
なんつーか、オレの事をまるで最初から知っているかのように、気さくに声をかけてきた。
『おや、エアシャカールさん、どうされたんですか?』
『あァ? 何でもねえよ……話しかけんじゃねえ』
『そうおっしゃらないでください、私は候補とは言えトレーナー、貴女の悩み等の解決に力になりたいんです』
『なんでオレが悩んでいると思ったんだ』
『靴下、左右間違えていますよ?』
『はっ? あ、マジか』
オレは、同室のドトウの靴下を間違ってはいていた。
それだけじゃねえ、靴下裏返しだったんだ。
そこにドトウがじぶんのイニシャルを書き込んでいたらしくてな、それで分かったんだとさ。
当時のオレは、周囲に気を配れていなかったらしい。
ダメ元、というよりも、まあ最後だしいいかな、という感覚でオレは今までの事を話した。
あいつは、オレの話を聞き終えると『数日待ってくれないか』と。
まあ、いつでも辞められると思ったオレは、興味半分で待つことにした。
え、いや、男のトレーナー候補だろ、どんな考え方しているのか興味があンだよ。
そして2日後、アイツはオレの所にやってきた。
目の下にデカい隈作って、寝てねえのか話の内容も時々しどろもどろになる。
だが、オレの脚質をよく調べたうえで「これから」のレースプランニングを作り上げてきやがったのはまいった。
まずデータの詰めが甘い、更に計画も割とほつれや無理がある、おまけに計算もざっと見て複数に間違いがある。
けど、初めから根性論を振りかざしてくる奴よりも、ずっといいと思った。
オレというウマ娘を理解して、どうにか話し合おうという意思を十分に示した。
そして、データは常に超えることが出来るという事も、実例で示したやつだ。
アイツ、何したと思う?
50メートル競走。
お前らは信じられるか?
ただのヒトが……皐月賞ウマ娘と走りで勝負するってこと。
そして、無謀なアイツの挑戦を受けて……そして、オレは負けた。
アイツ曰く『初めの50m、君はそこで常に出遅れる癖があるから』だと。
俺の脚質上、先行策より追い込みの方が合っているという事を踏まえても、衝撃だった。
追い込みだって、速さは普通のヒトよりかずっと早い。
でも、アイツは、何度転んでも立ち上がって、泥だらけになりながらオレに食い下がる。
最後の最後に、アイツの走りは、オレを上回った。
頭を殴られたなんて、ちゃちい表現じゃねえ。
正にコペルニクス的な何かを、オレは味わった。
計算するまでもねえ、勝てるはずだった。
だけど、アイツは自分の実例をもって、データは常に超えることが出来るという事を示しやがった。
アイツ曰く『99%は計算で勝てるかもしれない、しかし、残りの1%を軽んじていては勝てるものも勝てない』とな。
ああ、そうだ。
その時になって、オレはやっと自分が傲慢だったことに気が付いたんだ。
オレは、データに固執しすぎるあまり、感情という不確定要素を完全に『理解した』気でいたんだ。
その結果、オレは負けた。
ダービーも、この50m走も。
その気づきのせいで、オレはこの学園に残る羽目になったってわけさ。
その後、アイツの推薦で樫本さんに会って、樫本さんのトレーニングメニューのおかげで菊花賞とジャパンカップ、年末の有馬記念も勝った。
この間の天皇賞春も勝った……シニア三冠も当然視野に入っている。
まあ、オレの再起を促した破天荒なヤツ、それだけさ。
あぁ? 何ってんだファイン、オレが優しい顔してる……だと?
そんな事あるわけ……樫本さん、お前らも、その生温かい目は何だよ!?
ああくそっ、アイツの事になるといつもこうだ!!
全くロジカルじゃねえ!!
(つーか、オレとは勝利の夢を見たくねえってか……期待させやがって、チクショウ)
──────(サクラバクシンオーの場合)──────
おお、それでは何故かいじけたシャカールさんの次は、委員長たるこの私、サクラバクシンオーがお話しいたしましょう!
実は私、こう見えてかなり体がデリケートでして。
はい、そうなんです。
何せ、一度走るとすぐに足の検査をする必要があるくらいには。
ああ、いえ、脆いというよりも、私の踏み出す力が強すぎるせいか、骨にヒビが入ったりする可能性が非常に高いらしいのです。
お医者様からは、レースの後は入念に足の調子を気にするように、些細な違和感も医者にかかるようにと言われていたのです。
なので、体を作る食生活も含めてトレーニングには結構気を使っているんです。
ちょわっ!?
何で皆さん『嘘だっ』て顔をしていらっしゃるのですか!?
いや、私本当に体はデリケートですよ、ほんとです!!
ええと……それで、彼との出会いもまた私の体の事だったんです。
実は、その、私恥ずかしながら元担当トレーナーさんとの相性がそんなに良くなかったんですよね……。
彼女は、いわゆる『レースこそ成長の場』と言うタイプのトレーナーでした。
連戦させるタイプの「現場で戦って覚えよう」なタイプと言いますか。
割とよくいるタイプですよね。
ただ、その、走った後のケアの方に全く気を回さないというか、気にしていないというか。
今考えると信じられないぐらい合わないトレーナーでした。
それで、その、私もジュニア級の際に何試合もレースに出走することになりまして。
脚が、結構悪くなっていたんです。
歩けないくらい、とまではいきませんでしたが。
どんどんタイムが落ちていきまして、一時期プレオープンも勝てない連敗していた時があったんです。
割と倦怠感が両足にあって……まあ、今思えば極度の疲労ですねぇ。
その時ですかね、彼に出会ったのは。
いやー、私にサインをねだってきたんですよ、彼。
この委員長に掛かれば、男性ファンの一人や二人……え、その話はいいから先に進め?
うう、少しぐらいは自慢させてもらってもいいと思うんですが……。
その時彼が言ったんです『どうして脚が悪いのに走るんですか』と。
驚きました、私の脚が悪い事を一瞬で見抜いたんです。
それで、その、彼は私の脹脛をいくらか揉みまして。
その後、私が悲鳴を上げるより早く、顔色を変えて元トレーナーに食って掛かったのです。
私、その時は地方のレース場に遠征していまして、元トレーナーも一緒に居たんです。
そして、彼は、その元トレーナーを怒鳴りつけたんです。
ハイ、そりゃあもうとんでもなく大きな声で。
一瞬ですが、この私が驚きで地面から数センチ飛び上がってしまう程度には。
『日本の至宝たる短距離ウマ娘を、アンタは何だと思っているんだっ!!』
『地方のトレーナー風情が、私の教育方針にケチをつける気!?』
『アンタが中央のトレーナーだと!? ふざけるな、さっさとバッジを置いてしまえっ!!』
『何ですって!? 男だからっていい気になるんじゃないわよ!!』
聞いたことの無い大声で、周囲に人だかりができていて、彼はとんでもなく殺気立っていました。
私の元トレーナーもヒステリックになっていて……正直とても怖かったです。
その後、彼はその、すごい勢いでお医者様と一人の年配の女性を呼んできまして。
そのお二人も、私の脹脛を触るや否やすごい勢いで行動に移ったんです。
お医者様の方は救急車を呼び、年配の女性はどこかへ連絡を始めました。
そして、私は担架で救急車に乗せられて、総合病院で精密検査を受けました。
その、両足の疲労が限界に近く、最悪骨が砕けて動けなくなる可能性があったと、後日お医者様からそう言われました。
ニンゲンだったら、両足を落とさなければならないレベルだったとも。
手術にこそ発展しなかったですが、私は半年間という長い間、レースに出る事はおろか日常の練習に関しても8割がた禁止されまして。
その後はすごく目まぐるしく環境が変わりました。
4か月間は病院と学校を往復する生活を送りまして。
彼が中央に来て1カ月程、私は彼と、樫本トレーナーと一緒に過ごしました。
ああ、いえ、練習というより、リハビリと軽い訓練に近い形で毎日を送りました。
定期的に、骨の回復の為の治療を受けまして、ええ、今ではこの通りです。
その間に、元トレーナーは再教育という形でスクールに戻されたという事を噂で聞きました。
何でも、指導方法がとにかく大間違いだったと。
ご年配の女性は地方トレセンの学園長であったらしく、トレーナー審査会に連絡を入れたと教えていただきました。
それで、後日、中央に正式に合流した彼に謝られました。
『一人のトレーナー候補として、君には謝っても謝り足りない』
そう言いながら、私に頭を下げたのを覚えています。
チームですか?
いつの間にか、私はレグルスに移籍という事になったんです。
おかげで私の体は健康体ですし、スプリンターズステークスも勝つことができました。
実は、1カ月ほどですが彼が担当だったんです。
彼と共に、スプリンターズステークスを勝利した時、彼は興奮して叫んでいました。
『サクラバクシンオーは世界一っ!!』
ええ、しっかりと聞こえましたよ。
欲を言えば、彼と世界を目指したかったんですがねぇ……。
あと、なんで私を新チームに誘ってくれないんですかねぇ。
(復活した私はダメで、新人の子はいいんですか、そうですか、ふんっ!)
──────―(スマートファルコンの場合)──────
もー、バクシンオーさん、むすっとしないで笑顔だよっ☆
それじゃあ、次はファルコだね。
うーん、マネージャー……じゃなくて、トレーナーさんだよね?
うん、私の夢を笑わなかった人かなぁ。
ほら、私ってトップウマドル目指しているでしょ?
でも、レースとアイドルの両立なんて難しい。
でもでも、レースで勝利することと、皆に希望と笑顔を届けるウマドル、どちらも手抜きなんてできない。
そもそも、手を抜く事自体が周りにも、自分にも失礼だと思うし。
だけど、担当トレーナー(元)にはレースに絞れと言われていたんだ。
元トレーナーさんの言っていた事は、その、解るよ?
彼女は、私にこう言ったの。
『貴方なら、日本一のダートウマ娘……いいえ、ダートのシンボリルドルフになる事だって夢じゃないわ』
そう言ってくれた。
その言葉には、その、とっても感謝しているし、今でもその言葉は私の支えになってる。
だけど、違うの。
私は、その、すごく我儘だけどね?
両方欲しかったの。
どっちも、トップに立ちたかった。
初めにもいったけど、どっちも諦めるなんてしたくなかったから。
だから、私は陰でウマドルとしての草の根活動も続けた。
でも、それが彼女にばれて、ね。
『貴女の才能は、ただ一つの事に注力してこそ輝くのよ!? どうして、どうしてわかってくれないの!?』
『違う、ファルコは、ファルコは、どちらも一番を目指したいの!! 手抜きなんかしたくないの!!』
『違うわ、それはただの驕りよ、相手への無礼よ、スマートファルコン!! もう一度言うわ、今すぐそのくだらない活動を止めなさい!!』
『そんな事……無い!! くだらなくなんてない!! 今はまだ少なくても、ファンになってくれる人は絶対にいるんだから!!』
うん、トレーナーとウマ娘という関係で考えれば、レースに集中してほしい、その考えはとっても正しいんだけどね。
それでも、私は二つとも諦めるつもりはまったくなくて。
でも、ついに大喧嘩して、ファルコも夢の事でひくに引けなくて……気が付いたら学園を飛び出して河川敷で泣いていたの。
悔しい、悲しい、どうして、なんで。
そんなグシャグシャの気持ちが全然止まらなくて、どうしていいかわからなくて、ずっと泣いていたんだ。
その時に、彼に会った。
何でも、近くの商店街からの帰りだったらしくて。
彼、男の人で、でも、なんでかな。
緊張とかそう言うの、全然なくて。
誰かに話を聞いてほしかったんだと思う。
それで、トレーナーさんはね、ずっと寄り添って話を聞いてくれたの。
彼は私の夢を笑わなかった、黙って隣に座って頷いて。
それで、話を聞き終わって、ハンカチを貸してくれた。
涙と鼻水で、ひどい顔していたんだって。
その後、私の元トレーナーさんと、彼と樫本コーチとで話し合いの場が持たれて、私のチームレグルスへの移籍が決定したんだ。
そして、今の私が……ウマドルの私がいる。
すごいんだよ、彼。
何せ、私がウマドルとしてやっていくためのチャンスをものにするために、色々骨を折ってくれたらしくて。
今では【逃げ切りシスターズ】としてデビューもしちゃったしね。
え、そうだよ?
逃げ切りシスターズの元は、彼が作ったんだよ?
ちなみに、私達のデビューシングルを音楽メーカーに売り込んだのも彼なんだ。
でも、その、ファルコもびっくりだよ。
だって、その、ねぇ?
私、スズカさん、ブルボンさん、アイネスちゃん、マルゼンスキーさん。
このメンバー以外にも、ターボちゃんとかパーマーさんとか、いろんな逃げウマ娘に声かけてくれたからね。
だから、逃げ切りシスターズの歌唱バリエーションがすごく増えちゃった。
ちなみに、元トレーナーさんはファルコのファンクラブの会長をやってるよ☆
『貴女の言葉を信じきれなくてごめんなさい、貴女なら両方日本一になれるわよ!』
ライブに来てくれて、楽屋でそう言ってくれて、すごく嬉しかったなぁ。
それとね、ファルコが好きなハムカツも、実は彼のおススメだったんだ。
話を聞いてもらった時、お腹なっちゃって……えへへ。
あの時河川敷で食べたハムカツは、いろんな意味で思い出の味なんだぁ。
樫本トレーナーの下で、私も短期間だけど担当してもらったからね。
帝王賞で勝った時、抱き付かれてすごくドキドキしちゃった……えへへ。
えー、新チームについて?
うん、まあ、勝てるよ?
勝ってチーム逃げ切りシスターズツヴァイを結成して、彼にはマネージャーになってもらって、あ、そうだ、おまけにセイウンスカイさんも引き抜いちゃおう☆
(ダート最強、この名が伊達じゃない事を黄金新星の娘達にはおもい知ってもらうよ★)
──────(エイシンフラッシュの場合)──────―
スマートじゃないファルコンになってしまった彼女の次、というのが……。
ごほん、次は私ですね。
ええ、彼ですか。
まあ、一言で言い現わすならば「期待をさせすぎるんだ、バカ野郎」でしょうか。
そんなに驚くことですか、皆さん。
まあ、何というか、私自身色々と悶着があったんです。
はい、皆さんと同じです、前任者の問題です。
元担当トレーナーの腕は良かったのですが、それ以外が丸でダメ。
身なりも私生活も、あらゆる面がダメだったんです、無視できないレベルで。
何せ、不摂生や寝不足は当たり前、服装はだらしないし洗わない、髪の毛もぼさぼさでみっともない。
なんでレースプランは完璧に立てられるし、練習メニューも悪くないものが作れるのに、日常生活がダメなのか理解できません。
生理的に無理、というか幻滅していたというか……。
そんな人であったために、私の方から愛想をつかしてしまったんです。
その、ええ、自分でも当時はかなり神経質だったとは思います。
何というか、ある時に彼女がだらしのない恰好でトレーナールームをうろついていまして……しかも、書類の山を作って、それを崩した後で、です。
時々ではありますが、片付けを手伝ってはいたのですが、1週間もするとまた混雑する乱れっぷりでした。
度重なるだらしなさに、とうとう私も怒りが爆発いたしまして。
『トレーナー、なんで貴女はこんなにだらしないんでしょうか!?』
『ふへっ!? あの、フラッシュ……さん?』
『度重なるこのだらしなさ……私に対して喧嘩を売っているという事ですか!?』
『あの、あの……ええと、その、ごめ『何度も聞きましたが、一向に改善しないのは何故ですか!?』はい、その通りです……』
『貴女の下にはもういられません、今日限りで失礼いたします』
『ええっ!?』
怒りに任せて、私は彼女の下を去ることにしました。
その日のうちに退部届を出して、私は寮へ帰りました。
その時は、正に怒り心頭、ああ清々したと思っていたのですが。
翌日には、その自分のやってしまった事を意識した時には、どうやってドイツに帰ろうかと考えていました。
情けない話ですが、私は本当に何も考えていなかったんです。
引退ないし故障で故郷に帰る、という事は想定していても、こんな事で学園から去るなんて考えてもみなかった。
途方に暮れていた時に、ほとんど偶然にも彼に会いまして。
はい、3女神像の近くにベンチがあるのですが、そこで肩を落としていたら彼が話しかけてきたんです。
『その、失礼ですがエイシンフラッシュさんですか?』
『え、ええ、その、そうですけれど、貴方は、いえ何故この学園に男性が?』
『まあ、説明するのは構わないのですが、貴女はここでなにを?』
『何を、と言われても……』
『いや、その、もう昼休みが終わって30分以上たっていますが……』
『えええっ!?』
『気が付いていなかったのか……』
悩み続けた結果、昼休みを通り越していた……漫画に近い事を本当にするとは思わなかったですよ、私。
それで、生まれて初めて授業をさぼるという行為と共に、彼に事情を説明しました。
その、恥ずかしい事ですが、あの時何を話したのか覚えていないんです。
頭がいっぱいになってしまって……。
だけど、その、話をしている最中に、私は泣いていたようで。
ハンカチで涙をぬぐっていただいた時、気が付いたんです。
張り詰めていた気分が、とても楽になったのを覚えています。
彼はその後、元トレーナーの下に行ったらしく、改めて私と元トレーナーとで話合いが行われることになりました。
彼も立ち会ってくれて、話し合いは進んだのですが、やはりもう一度組もうとは思えず。
最後は、私の退部届を受理してもらう事になりました。
いえ、彼女はその後、格好や生活を改めつつあるらしいというのは聞きます。
新しい担当も今度G2に出場すると、メールで教えてもらいました。
その話し合いの後、私は困りました。
その、あの、恥ずかしい事ですが、学園に残ったのはいいのですが、次の所属チームを全く決めていなかったのです。
そんな時、彼は私に声をかけてくれました。
『貴女に相手がいないのなら、私が立候補してもよろしいでしょうか?』
彼は私の手を取って、そう言ってくれました。
その後は皆さん知ってのとおり、私もレグルスに所属することになりました。
樫本トレーナーの指導の下、私はダービーとジャパンカップを勝利しました。
その後、彼は言葉通り、私の一時的な担当になり、1カ月の間……そう年末の有馬記念までの間、私を支え続けてくれました。
ええ、その時運命を感じたんです……結果?
ふふふ、面白い事を言いますねリトルココン?
どうしてそんなに引きつった顔をしているんですか、ビターグラッセ?
そんな事、お察しですが?
脈がある、そう思っても仕方ないじゃないですか!
三女神の像の前で!
ベンチで悩んでいるときに話しかけられ!
人生の転機を迎え!
そして『貴女の相手に立候補してもいいですか』ですよ!?
脈が大ありだと思ったって仕方ないじゃないですか!
そもそもおかしいでしょう!
彼は何故新しいチームに、一番に私を誘ってくれないんですか、声もかけてくれないんですか、相談すらしてくれないんですか!
私は……ダービーウマ娘ですよ!?
ジャパンカップも有馬記念も勝った、日本一のウマ娘なんですよ!?
なのに、なんで私にひと声かけてくれないんですかっ!?
なんなら、私の両親に会っていただくためのプランも完璧につくっ!?
(あの時、有馬を勝った時、約束いえ契約を取り付けていれば今頃はっ!!)
──────(ファインモーションの場合)────―
ポンコツになったフラッシュさんは、ソファーに寝かせておいてね隊長。
え、私?
もう一言しかないよ。
「囲う」
以上。
えー、それ以上を教えて欲しい?
オレが話したんだから、その切り上げは無しだって、シャカールぅ…………いじわる。
そうだね、まあ、確かにこれだけじゃああんまりだもんね。
うん、割と無茶をするタイプだよ彼。
実は、彼を見つけたのはとあるウマ娘と喧嘩、まあ言い争いをしている最中だったんだ。
ああ、その娘の名誉の為にも名前は出さないよ?
その娘の口癖?
ああ、それは『ロジカル』だって。
え~、どうしたのシャカール?
ううん、シャカールの事なんて一言も言ってないよ?
それで、彼は「一度でも貴女に勝つことが出来たら、私の先生に会ってもらえませんか」って言ったんだ。
その娘は「そんな事はデータ見るまでもねぇ、不可能だ」って。
だーかーらー、シャカールじゃないよ、ほんとだよ?
あ、フラッシュさん回復したんだ。
え、私の口元がにやけている?
ま、まあそれは置いといて。
彼の話にもどすけれど、いいかな。
普通はウマ娘の身体能力に、人間は勝てない。
でも、彼は勝った。
勿論、ハンディキャップありの競争だけど。
50mと言えば、私達がレースをする時の場所取り争いをするあの距離かな。
10本の内、1本でも取れたら彼の勝ち。
彼は、10本目で、彼女に勝って見せたの。
あの夕焼けの日、泥と汗にまみれて、格好悪いぐらいドロドロで。
グラウンドに泥まみれで倒れている彼は、でも、どこまでも真剣だった。
倒れたまま動けない彼の所に、私は寄って行った。
彼は、私を澄んだ目で、少し驚いたように見つめていたの。
『ねえ、キミ』
『おや、ファインモーション殿下……見ていらしたのですか?』
『うん、ねえどうして?』
『何が、どうしてなのです』
『どうして、キミはそこまで見ず知らずの彼女の為に頑張れたの?』
『何故……それは、難しい質問ですね』
『それは、キミの中でも答えが出ていないから?』
『それは、少し違います……何と言いましょうか』
『?』
『私がここまで体当たりで取り組む理由、それは……』
『それは?』
『後悔しない為です』
『後悔……』
『ええ、あの時ああすればよかったとか、あの時こうしていたら、とか、そう言う変えられない過去の事、ありますよね』
『うん……あるね』
『それを、できるだけ無くしたい、私の行動で変えられる範囲で……そう思っています』
『余計なおせっかい、そう言う風に言われない?』
『言われますよ、さっきの彼女にも言われました』
『それじゃあ、どうして?』
『彼女は必ず輝ける、そう信じているから……いや、違うな』
『違うの?』
『俺が見たいんだ、彼女が、彼女達が輝きを放つその瞬間を……あと、できれば俺の手で輝かせたいとも思う』
『貴方はとても我儘……なんだね』
『ええ、何せ行動原理が「俺が後悔したくない」ですから……はは、ちょっと独善が過ぎますかね』
『ふふ、いいんじゃないかな……そういうのも』
そこからかな、彼に興味が湧いたのは。
彼を追いかけるように、樫本チーフのレグルスに私も入れてもらって、そして彼には短期間だったけどマイル担当として教えてもらいつつデビューしたの。
え? 前の担当はどうしたって……いないよ、私。
あのね、私はこれでもアイルランドの王族だよ?
アイルランドから日本留学に来てはいたけど、本当は走らないはずだったんだもの。
それで、話の続きをするね。
常に彼は、樫本チーフから技術や考え方を学ぼうと必死だった。
樫本チーフの下で、私の練習も見てくれる時があった。
沢山とはいかないけれど、彼の事も割と知ることが出来た。
ひたむきで、真っ直ぐで、私達ウマ娘を心から愛している人だった。
彼が独立する少し前に、私にマイルチャンピオンシップに出場してみない、と聞いてきた時には驚いたよ。
私は、勝てるとはあんまり思ってなかったから。
でも、でもね?
1カ月練習を見てもらって、真剣な彼と毎日接していてね?
私の中で『ただのファインモーション』として、彼の中に輝きを残したい、そう思ったの。
えー、マイルチャンピオンシップに勝った時?
感極まった彼に衆人観衆の中で抱きしめられて、うん、まあ、ドキドキだったよね。
おまけに、男のヒトだからかなぁ、いい匂いがしてその、うん、鼻血が出そうになったよ。
ふふ、気合とコンジョーで耐える、そんな事を経験できるなんて思わなかったよ~。
だからね、シャカール。
私ちょっと彼には怒っているんだ。
うん、普通は私達を誘うべきなんじゃないの?
なんで新入りの子を誘うの?
ここは、私達を新チームとして招集するべきじゃないの?
(やっぱりここは、彼を手に入れる為にも王族パワーで外圧を……)
──────―(チームレグルス)────────
「うわぁ、これはひどい」
「何というか、こじらせてるなぁ」
機嫌が瞬く間に悪くなったリーダー格達を見ながら、小声で話すココンとグラッセ。
うわぁ、という風にドン引きしている、そのほかのチームメンバー。
そんな彼女達を微笑ましそうに見つめる樫本チーフ。
そして、そんな彼女達を見ながら、戦々恐々としている新人トレーナー。
正に、カオス。
新人トレーナーが樫本チーフに、これほっといていいんですかね、と言うと、彼女はええ、別にいいわ迷惑かけるわけでなし。
そう言って、苦笑する。
そして、彼女達に聞こえるように大きめな音で手を叩く。
その瞬間、室内にいるみんながすぐに意識を切り替えた。
「さあ、エースたちの話は終わったし、次はほかのメンバーの話も聞きましょうか」
いたずらな顔をして、樫本チーフは更なる爆弾を投下した。
なお、この後チームレグルス所属ウマ娘達による彼との出会い発表会が、半日ほど続くことになるのだが、それは割愛する。
ただ、一つ言えるのは、私達レグルスメンバーは割と彼との接点が合って、なおかつ彼と一緒にチームを組みたかったのだという事だ。
ゴールデンノヴァの連中には、私達の嫉妬の受け口となってもらう。
レースをするのが今から楽しみだ、本当に。
レグルス所属兼学園新聞部所属【パパラッチクイーン】のネタメモより抜粋。
おまけ
【樫本理子が今の彼女になったわけ】
これは昔話だが、彼女達レグルスの最初期メンバーにはとある遅咲きのウマ娘が在籍していた過去がある。
彼女は長い間レースで走り続けて、負け続けてきた。
その走りは、常に上位入着を果たす事が出来る程には強く、勝ち切れない。
そのウマ娘は気性難で、反骨心の塊で、とても頭の切れるウマ娘だった。
当然、トレーナーとの関係性もうまくいくはずがない。
幾つものチームをたらいまわしにされた挙句、彼女にお鉢が回ってきたのである。
そのウマ娘の担当になった当時の彼女は、初年度に担当していたウマ娘が過剰な練習と彼女の管理不足でケガをして、失意のうちに学園を去った後だった。
傷心、そして自信の喪失を味わっていた時期だった。
勿論、この問題しかないウマ娘を学園から追い出すために当時の樫本に付けた、という黒い噂もあながち間違ってはいない。
勝ち星をあげられないウマ娘は、学園から去るという事がある。
碌な指導も受けない問題児と、傷心の彼女とでコンビを組ませ、問題児を緩やかに退学させようとした当時の理事会の思惑が透けて見える人事だった。
樫本は彼女の決めた目標である「G1で一勝」を達成するためのトレーニングメニュー等を徹底的に考えて実践した。
彼女の為というよりも、樫本自身が己のミスから逃げる為のものだった。
だが、そのウマ娘はやはり反発した。
始めの内は、その反発に右往左往して時には怒った樫本だったが、冷静にその話を聞くうちにおや、と思う所があった。
そのウマ娘の話は、的を射ていることが多かったのだ。
非常に強力な差し脚を持つ彼女のトレーニングメニューが、追い込み型ウマ娘のトレーニングメニューと混合していた時は、問題点などをA4用紙に書き出してきた程だ。
『おい、てめえ何トレーニングメニューを間違えてんだ……ちっ、オレならばこのトレーニングの量を削って質を上げてだな……』
しかも、自分がトレーナーならばこうする、という改善点も添えて。
もしかしたら、ひどい思い違いをしているかもしれない、彼女はそのウマ娘との触れ合いの中でそう思いだしていた。
そこから、彼女の「ウマ娘個人への理解」への取り組みが始まった。
そのウマ娘と、時には口喧嘩をし、時にはその意見に耳を傾けた。
そして彼女は国内G2である「目黒記念」を勝利し、見事重賞勝利ウマ娘とトレーナーという関係になった。
そのまま担当して、前より本気でぶつかって、彼女は色々な側面を目にした。
嘘をつかず、本音でぶつかると、彼女もまた本音でぶつかり合ってきた。
話をしていると彼女は、まるで何かを探しているような、まるで長い「旅路」を行くような、そんなウマ娘であるという事が樫本には解った。
何かに苦しみ、何かを求め、何かを探している。
重い荷を背負い、坂道をひたすらに歩き、自分の走る意味を見出そうとしていた。
まるで、求道者のようだった。
何時しか樫本は、その重荷を支える手伝いをするようになっていた。
そして、運命の日。
彼女は引退を決意していたウマ娘に、最後の大舞台を踏ませるべく、海外のレースを手配する。
その名は「香港ヴァース」
そして、その香港ヴァース、国際G1の舞台で。
彼女は伝説を目にした。
『さあ、──────―先頭までは残り5バ身あるぞ! 差し切れ、──────― 差し切れっ! ──────―! 、──────―! …………差し切ったぁぁぁっ!!』
日本中で放送された、その伝説的なレース。
その場所に、熱狂の渦の渦中に、彼女はいた。
気性難、問題児、そう言われ続けていた彼女が、最後に大舞台で見事に。
黄金の如き輝きを放ったその時。
樫本の両目からは涙が零れ落ちていた。
その涙をぬぐいもせず、そのウマ娘と、何か言葉を交わそうとした時。
彼女は、樫本に照れくさそうに言った。
『オレは、どうやらデカい舞台で、信頼できる相棒と一緒に勝ちたかったらしい』
気性難も、生意気さも、全て取っ払った彼女の顔は、とても愛らしく見えて。
『その、なんだ……色々付き合ってくれてありがとな、樫本さん』
オマエでもなく、アンタでもなく、トレーナーでもない。
樫本さんという言葉、その一言に。
『おい、おいおいおい、抱き着くなって暑苦しい……はぁ、少しだけだぜ?』
彼女に抱き付いた樫本の目から、滂沱の涙が溢れ出した。
その後、彼女は世界を旅すると決めたらしく、学園を去って行った。
卒業をせず、気の向くままに。
そして、そんな彼女を担当した樫本もまた、一回りも二回りも成長していた。
彼女と共に歩んだ旅路から得た教訓「決して諦めない」「決して見捨てない」「向き合い続ける」という3本柱。
彼女の指導は、管理しつつ担当と向き合い、そして着実に結果を出していった。
その結果、今の彼女とレグルスが完成したのである。
なお、この香港ヴァースを見て『競争バ』に憧れたウマ娘達が大挙して中央に入学する事態となった。
この入学者達は、別世界における「とある血統の一族」が特に多かったとか。
おまけ2
『ねえ、問題児さん』
『何だよ、樫本さん』
『貴女並の問題児が私の下に来たの』
『はっ、そりゃあ大変だな……ご愁傷様』
『しかも、彼女じゃなくて彼なのよ』
『マジか顔見てえ、写真ない?』
『ないわ、見たいなら帰ってきなさい』
『じゃあ無理だ、今はアマゾンの奥地に探検しに来てるから』
『もう、心配ばかりかけさせて』
『わりい、それじゃあな』
『体に気を付けてね』
『樫本さんも、旦那さんと仲良くな』
『旦那も娘も貴女に会いたがっているのよ?』
『……わかった、帰国を考えとくよ』
【樫本トレーナーと彼女のやり取りより抜粋】
おまけ3
「元チームレグルスのウマ娘達―上巻」より抜粋
・北関東三冠ウマ娘「FSM」
・南関東三冠ウマ娘「ロディーナ」
・99戦走り今も現役のウマ娘「ミス・トウジン」
「元チームレグルスのウマ娘達―下巻」より抜粋
・3年連続最優秀スプリンター受賞「ジャパンザウィナー」
・狂気の天才2冠ウマ娘「ミナミノカチドキ」
・麗しき桜色の2冠ウマ娘「サクラスタァキング」
以下多数
この話のエアシャカールは、エアシャカール実装前に書いた為、キャラクターが
定まっていないかもしれない。
なので、あれ、シャカールのキャラちがくね? と思っても、大目に見て頂けると幸いです。
超蛇足的説明
ゲームで例えるとトレーナー達はこんな感じ。
トレーナー
ランク・・・・・・SSR(無凸)
樫本トレーナー
ランク・・・・・・UR(完凸)
桐生院トレーナー
ランク・・・・・・SR(完凸)
東条トレーナー等
ランク・・・・・・SSR(完凸)
元トレーナー達
ランク・・・・・・R(無凸及び完凸)
この話の樫本さんは既婚者である。
しかも、旦那は男性である。
そして、1児の母でもある。
体力以外はミスパーフェクト、それが樫本トレーナーである。
彼の身の安全を確保するため、樫本トレーナーはあえて両親をトレーナー
と偽りました。