ウマ娘逆転ダービー(仮)   作:グレート・G

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初めに・・・・・・教えて、三女神様

ゴドルフィン(以下ゴ)
バイアリーターク(以下バ)
ダーレーアラビアン(以下ダ)

ゴ「さぁて、今回の謎について解消していくわ~」
ダ「ふむ、子羊君の目星がファンブルにならないのがおかしい、だね」
ダ「これに関しては、トレーナーズスクールの教え方に問題があるんだ」
バ「教官たちの中にはウマ娘がいてな・・・・・・アイツの目星はどんな目が出ても成功すると教育を施したんだ」
ゴ「ただ、副作用として彼、自分を狙う視線やら気配やらに鈍感になっちゃったのよね~」
バ「やれやれ、我々の子孫もなかなかに大変だな・・・・・・そのくせ、全員いつもへたれてラインは踏み越えないときた」
ダ「そういうことだから、子羊君のダイスは『どんな出目でも成功してしまう』のさ」
ゴ「これってもう、タダの呪いじゃないかしら~」
バ「我々の誰がかけたんだろうな?」
「「「・・・・・・」」」(心当たりあり)




第6話 トレーナーの日常 中編

トレーナー、学園でのふれあい

 

その1、ミホノブルボンとライスシャワーの場合

 

 

大型のトレーニングジム、それはこのトレセン学園の一つの目玉のようなものだ。

地方トレセンにあるトレーニングジムを一般的なジムだとすれば、

トレセン学園のジムは正に高級ジムといえるかもしれない。

それぐらい、差があった。

 

そこでは毎日ほぼ誰かがトレーニングを行っている。

それも中央トレセン学園ならではの光景だろう。

そして、意外なことにそのジムは人間もウマ娘のコーチ役がいれば使用できる。

 

さすがにウマ娘用のトレーニング機材であるため、一般的な人間が使用することはまずないが、

トレセン学園のトレーナーのような一般から少し逸脱した存在ならば、

使用できないわけではない。

そう、使用できないわけではないのだ。

 

「ふぅっ」

「「・・・・・・」」

「んっ・・・・・・・ふぅつつつ」

「「・・・・・・」」

「はぁっ、はぁっ、はぁっ」

「「・・・・・・」」

「くっ・・・・・・ふぅっ、はっ、はっ、はっ、はっ・・・・・・ふぅぅぅぅ」

「「「「「「・・・・・・」」」」」」

 

はじける筋肉、飛び散る汗、そしてシャツから透けて見えるシックスパック。

年頃の娘であるウマ娘諸君にとって、目に毒極まりない男、トレーナーがそこにいた。

と言っても、急造の壁で仕切られているため、彼を直接は見られない。

 

しかし、急造であるため、隙間が空いているのだ。

 

その隙間から、彼の熱い吐息が聞こえるのだ、彼の体が見られるのだ。

トレーニングを真剣にしている娘はほぼいない、全員彼のいるスペースをガン見している。

休憩とかこつけて覗きに行こうとするもの、トレーナーのスメルを集めて金もうけに走ろうとするもの、隠し撮りをしようとするもの、などなどなど。

 

一歩二歩とふらふらと、まさに誘蛾灯に誘われる蟲のごとく。

彼に近づこうとするウマ娘達が出てくるが、そこはきちんとしている。

 

「ふひひひっひ、彼の、おおおおおなかの、シックスパックゥゥゥゥ、ふっふふふふふ」

「ターゲット確認、排除開始」

「ミホノブルボン!? レグルスのウマ娘がどうして、お、おい助け・・・・・・ふぎゃっ!?」

「騙してわるいが助けるつもりはもとよりない、さあ、彼のスメルを・・・・・・はっ!?」

「月光の光波をてぃっ‼・・・・・・」

「ライスシャワー!? ごふっ!?」

 

正にそれは、暴力的な光景であった。

トレーナーに肉薄しようとしたウマ娘達は例外なく、2人の餌食になっていく。

レグルス所属の二人である「ミホノブルボン」と「ライスシャワー」である。

手早く、一人また一人と〆ていく二人。

 

トレーナーのいる急増スペース周辺には、死屍累々のウマ娘達が。

そんな二人を気にせずに、トレーナーは黙々とベンチプレスを行っていた。

耳にはワイヤレスイヤホンを付けており、そこからは軽快な音楽が流れている。

 

(今日も平和だな、いい事じゃないか)

(トレーナーがこちらの騒動に気が付いた様子は皆無、ミッション成功)

(お兄様の日常を妨げる人には、次はこのムーンライトソード(AC仕様)で・・・・・・)

 

トレーナーが、ウマ娘用のジムを使用しているのはいくつかの偶然が重なって起きたことだった。

まず、今日は朝から出勤したが午前中の彼女たちは学生として勉強の時間。

それはいい、彼はトレーニングメニューを個人個人に作成し、その詰めを行っていた。

 

しかし、そこから運命がちょっとずれ始めた。

黄金新星のトレーニングは赤点組の追試で1時間程度の軽い

トレーニングに変更するよう、キングから直々の連絡が来た。

キングの泣きの入ったラインに苦笑しつつ返信で元気づけ、

さあ空いた時間をどうしようかと困ってしまった。

 

ウマ娘用のジムがあいていますよ、私も行くんでよければどうですか

というフジキセキからのお誘いがあったのだ。

 

フジキセキはジムに行くというのに柑橘系のスプレーの香りを漂わせていたり、

うっすらと化粧をしていたりした。

 

普段のフジキセキなら絶対しないおしゃれをしているのだが、

残念なことに彼は気が付かなかった。

 

更に間が悪いことに、フジキセキは生徒会の仕事に呼び出されてしまい、

血涙を流しながら生徒会室へ突貫していった。

 

なお、生徒会室からは『カァォ、カァォ』という独特の発砲音と『ピー、ピー、ピー、ボボボボボ』という青白い光の爆風が窓を割ったとか、色々な噂が立ったが、ここでは何の関係もない。

 

「それにしても・・・・・・ふっ、お二人とこうして再会するとは・・・・・・ふっ思いませんでした」

「それはこちらのセリフです・・・・・・っ、なぜ来たんですか?」

「そうだよお兄様・・・・・・こんなところに来たら危ないよ?」

「? ああ、ウマ娘用のジムだからね・・・・・・ふっ、年頃のお嬢さんには・・・・・・ふっ、汗臭い男がいてすまない・・・・・・そう思っているよふっ」

(男がいての意味が全然違いますよ)

(ふええ、真意が伝わってないよお)

 

ミホノブルボンもライスシャワーも内心大焦り、しかし。

残念ながら口下手なブルボンと、引っ込み思案なライスではどうにも真意が伝わりづらい。

トレーナーも、ウマ娘用ジムに来てしまった自分を諫めていると勘違いしてしまう。

 

(やはり俺がいることが、彼女たちの緊張に直結してしまうんだな・・・・・・そこまで考えられないなんて俺は未熟だ)

 

微妙な空気が、彼らのいる場所に漂う。

通訳になる子がいれば直ちに解消されるような問題ではある。

もしここにアグネスデジタルがいれば、すぐに解決する問題といえる。

 

だが、ここにデジタルがいた場合、彼女の優秀な頭脳はトレーナーに手を出してしまうと

大問題になるという事を叩き出し、速攻でトレーナーを遠ざけにかかるだろう。

しかし、そんな些細な事は数多の益荒漢女(ますらおとめ)達には関係のないことだった。

 

徐々に防衛ラインを越えて彼のいるスペースににじり寄りつつある益荒漢女達。

それに気が付いたミホノブルボンが、ライスシャワーのウェア袖を引っ張る。

それだけで、彼女が何を言おうとしているのか気が付いたライスシャワーは、

ミホノブルボンと頷き合うと彼に向き直る。

 

「すみませんが、急用ができました」

「お兄様、後でライスたちとトレーニングしてもらってもいい?」

「いいね、その時は近況も聞かせてほしいかな」

「うん、約束するね!」

「では、失礼します」

 

そういうと、ミホノブルボンとライスシャワーは『トレーナー用』

(ミホノブルボン作)と急遽手書きで書かれた暖簾をくぐって、

彼のために作られた急造のトレーナー用スペースから外に出た。

そこにいたのは・・・・・・。

 

「全く、ここは獣だらけですね」

「お兄様のトレーニングを邪魔するのは許さない」

「おおおおおおおお、おとこおとこおとこおとこおとこ」

「ふひひひひひひひひひ、ああ三女神様に感謝をををををををを」

「おーう、マジェスティック!」

「ああ、トレーナー、あるいはアナタ、私と一緒にぴょいぴょいと、うふふふふふふ」

「「「「「HUHIHIHIHIHIHIHI」」」」」

 

正に獣であった、獣の群れであった。

もはやその目に理性はなく、もはやそこに尊厳はなく、ただただ彼のみを求めんとする。

獣になり果てたウマ娘達がそこにいた。

二人は頷くと、獣の群れと対峙する。

 

「さあ、ミホノブルボンの狩りを知りなさい」

「ライスの月光、ライスを勝利へと導いて」

「「「「「「「「URYIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIA‼」」」」」」」」

 

二人の言葉が口火を切り、戦いの幕が開けた。

その日、トレーナースペース以外のトレーニングスペースは、

ほぼ全損という大ダメージを負うことになる。

 

最も、ミホノブルボンもライスシャワーも怒られることはなく、

むしろ理事長から大いに褒められることになった。

 

そして、トレーナーが使用したトレーニング機器をめぐる、

新たな動乱が幕を開けるのだが、そんなことはここでは関係のないことである。

 

なお、ミホノブルボンとライスシャワーコンビ対益荒漢女の群れは、

ものの5分で決着がついたとのこと。

 

―――――(トレーニング中)―――――

 

 

「お兄様、大丈夫、もう少しで上げきるよ」

「トレーナー、今のままをキープしてください、はい、おろしていただいて結構です」

「ううむ、ウマ娘用で最も軽い奴でも、割ときついな」

 

彼の持ち上げているバーベルには100キロと書かれており、

それを使っての高負荷下半身トレーニングを行っていた。

要するに、スクワットのようなあの運動である。

 

汗にまみれた彼の姿、その匂いは、慣れているはずの二人にもくらくらとするものがあったが、

樫本の下で耐性のついていた彼女達にはあまり効果はなかった。

 

「ふうぅぅぅ、これで10セット目か・・・・・・汗だらけだな」

「お疲れさまでした、器具は私たちで片づけます」

「お兄様は休憩しておいてね?」

「いや、片付けも最後までやってトレーニングだと思っているから」

「では、よろしくお願いします」

「でも、できるだけ軽いものを持ってね、お兄様」

「ああ、わかった」

 

バーベル上げ、高負荷トレーニング等を一通り終えたトレーナーは、

二人と共に片づけをしていた。

 

二人の近況(もしかしたら黄金世代と戦うかもしれない)や

元トレーナーとの話(人間やめてる二人)をしつつ、

ふとトレーナーは気が付いた。(※)

 

「む、少し汗臭いみたいだな・・・・・・」

「それでしたらプールに備え付けのシャワーに行かれてはいかがでしょうか?」

「いや、でも、女子高のプールだろう?」

「確かにそうですが、ここからですと最も近いところがプールにあるシャワーです」

「おぉぅ・・・・・・ジムのシャワーは当然鉢合わせになるし、使用は無理かぁ」

「その、お兄様、多分ブルボンさんに他意はないよ?」

「わかってるよライス、でもねえ」

「あはは」

「?」

 

着替えは持ってきていても、シャワーのことを忘れていたトレーナー。

そんな彼にミホノブルボンは、ならばプールに備え付けてあるシャワーを使えばいいと言った。

ライスシャワーも苦笑してしまうその提言。

即ち、彼はこう言いたかったのである。

 

『ほかの娘と鉢合わせたらどうするのさ』と。

 

「あのね、ブルボンさん」

「なんでしょうライスさん」

「多分お兄様は、室内プールだとほかの人と鉢合わせてしまうことを心配してるんじゃないかな」

「・・・・・・ああ、確かに」

「ブルボン、君ってやつは・・・・・・」

 

うっかりでした、とお茶目アピールをするブルボン(無表情)に可愛い奴だ、

と内心ほのぼのしつつも彼は頭の中を高速で回転させていた。

 

そして、出した結論は。

 

「その、二人とも?」

「「?」」

「屋外プールって今空いているかな?」

 

屋外プールの冷水シャワーで汗を流したいとの事。

一応、海水パンツを持ってきているから、もしできれば泳ぎたいとの事。

そのことを伝えると、彼女たちは顔を赤らめつつも、空いていると答えるのであった。

 

 

その2 プール・イン・ザミラクル

 

 

ヒシミラクルにとって、プールなんてものは害悪でしかなかった。

泳ぎの壊滅的センスのなさを自覚している彼女にとって、逃げ出したくてたまらないものである。

とはいえ、常に逃げ惑うわけにもいかない。

ここが学校であり、成績というもので評価される場所であるためだ。

トレセン学園でも当然、学業としてスポーツも行っている。

ミラクル自身、体育でみんなと体を動かすのは好きだった。

だが、水泳からはとにかく逃げた、仮病などを使って逃げた。

そのため、彼女用の新ルールが適用されてしまったのだ。

 

「やっぱりおかしいですよ~、なんで私だけ『必ず一度は水泳を履修しなければ成績1』とか差別ですよ~」

「そこまで逃げすぎたからだろう、アンタの自業自得さね」

「大丈夫だよミラクルさん、終わったらボーノなお好み焼きを焼いてあげるからね!」

 

この世の終わりのような顔をしているのは、葦毛の「普通にかわいい」系ウマ娘。

ヒシミラクルがそこにいた。

そんな彼女の監督役としてムチを振るうのは、褐色肌の美しい「姉御」ことヒシアマゾン。

飴の役割兼ミラクル捕獲要員として「でっかわいい」ヒシアケボノ。

ヒシグループが勢ぞろいしている。

 

本日は、ボイラーの整備のために室内プールが使用できません。

無慈悲に教師から告げられたその言葉もまた、ヒシミラクルにとっては嫌なものだった。

太陽が熱く輝き、風も生ぬるいものに変わりつつあるとはいえ、やっぱり嫌だった。

 

(とんでもない事態が起きて、水泳が中止にならないかなあ)

 

そんなことを考えていた、考えてしまった。

そして、それは予想外の方向に叶ってしまったのだ。

 

「やあ、ちょっとプールを使用させていただけませんか?」

「へっ!?」

 

学園で話題になっている「ウマ娘との距離感が近い男性」こと黄金新星のトレーナーが、

ひょいとばかりに顔をだし、開口一番にそうのたまった。

 

プールの監督役の先生曰く「ちょっと彼の裸体を妄想したら鼻血が止まらなくなった(要約)」とのことであり、彼が代わりを任されたのである。

ちなみに、監督役の先生は成人済みのウマ娘だ。

何やってるんだ、なんて言ってはいけない、異性のない青春を過ごした彼女にすれば、

異性の合法的裸体が見られるプールなんて、理性が吹き飛ぶ可能性が大だ。

生徒たちと異なり、大人である彼女はある程度の分別はつくのである。

 

トレーナーとしては、シャワーを浴びたいだけなのだが、頼まれては嫌とは言えない彼の性分。

なぜか、ヒシミラクルの泳ぎのテストを監督することになってしまったのだ。

そして、そこで彼のトレーナー魂に火が付いた。

どうせならば、25メートル彼女を泳げるようにしようじゃないかと。

その結果、ヒシミラクルは・・・・・・。

 

「はい、ミラクルさんそれじゃあ俺の手を握って、バタ足の練習から始めようか」

「は、は、は、はいいいいいっ!?」

「はは、いい返事だねそれじゃあやってみよう」

「ひ、ひいいいいいいいっ!?」

「大丈夫、俺は君の手を離さないから、さあ・・・・・・おお、ウマいじゃないか!」

「ふ、ふぎいいいいいいい!?」

「よし、引っ張るからバタ足続けてね」

「へげげげげげげ!?」

 

奇声を上げつつ、しかし絶対に顔を水につけない。

目の前の光景を、網膜に、思考に、絶対に張り付けてやるんだという気合が凄まじい。

何せ、彼女の目の前には、生男性肌が広がっているのだ。

生腹筋があるのだ、生へそがあるのだ。

 

上半身こそスイムウェアで覆ってはいるが、その締め方が甘いのか

腹筋とへそがチラリズムしまくりなのである。

 

重賞を何回も勝って、沢山の賞金を得て、初めていける「大人のお店」でも

こんないい腹筋は拝めないと、彼女は直感で分かってしまったのだ。

いや、そもそも。

 

 

(こんなの、本当に、R18の無修正サイトでも存在しないやつー!?)

 

 

もう正常な思考なんてできていなかったわけだが。

みんなからも、普通と言われちゃうようなミラクルである。

普通にこの年代にありがちな、ちょっとエッチなサイトには手を出してしまっている。

そのためか、こう、妄想とか空想とかいうもので男性を思い浮かべたことはある。

ただ、本当に妄想が現実になったとき、現実に迫られる人はどうなるか。

その答えが、今のヒシミラクルである。

 

「さあ、25メートルバタ足で泳ぎ切れたよミラクルさん」

「ほげげげげげげげげ」

「おーい、大丈夫かい?」

「おっふ、ごぼっ、へはぁへはぁ」

 

てんぱり、焦り、大慌て。

挙句の果てに、身長差のある彼が少ししゃがみ気味に、上目遣いで彼女を気遣うのだ。

精神の許容量をあっさり超え、ヒシミラクルは後ろにぶっ倒れた。

なお、プールの中だったので、すぐに我に返れたが。

 

(あははは、うち、今日死ぬかもしれん・・・・・・)

 

一周回って正常な思考になった彼女に対し、トレーナーはちょっと半笑い気味に近づいてきた。

 

「ほえ、どうし・・・・・・ふみぃ!?」

「ほら、木の葉が額についてるよ」

 

ヒシミラクル、今度こその大轟沈である。

正に大外からぶち抜かれて、一位をかっさらわれるがごとく。

超至近距離に、はにかみスマイルを充てられて、

それが上からでなく、少しかがんで下からくる。

 

それだけじゃあない、見えちゃったのだ。

本来、修正とか黒塗りで隠されているはずの男性の胸が、見えちゃったのだ。

その結果。

 

「ほえあああごぼごぼごぼ・・・・・・」

「ミラクルさん!?」

 

意識を完全に手放し、足元から崩れ落ち、水の中に沈んだ。

最も、すぐさまトレーナーが抱え上げたのだが。

腕の中を堪能する余裕はもはやなく、彼女の脳内CPUはオーバーヒートを通り越して

HDDクラッシュを起こしていた。

後日、その時の光景を思い出せないことに、一生分の悔し涙を流すことになる。

 

「いやはや、アイツとんでもないねえ」

「お兄さん、やりすぎだよー」

「トレーナーは我々へのガードが甘すぎると思うのですが」

「大丈夫、ライス含めてみんなそう思ってると思うから」

 

プールサイドで見ていたヒシアマゾン、ヒシアケボノ、ミホノブルボン、ライスシャワーは、

全員が遠い目をしつつこの光景を眺めていた。

 

4人とも、実はトレーナーとの交流がある。

ミホノブルボンとライスシャワーは、レグルスへの配属の際に。

ヒシアマゾンとヒシアケボノは料理教室でそれぞれ、面識があった。

 

「まあなんというか、あたし主催の料理教室みたいなものを開いたことがあってねえ」

「ライス、知ってるよ・・・・・・倍率がすごい高いんだよね?」

「あはは、まあみんなスポーツ一本で料理はからきし、なんて子もいるからねえ」

「それで、なぜトレーナーさんがいらっしゃったのでしょうか?」

「それがねえ、アイツ自分の教え子達の疲労軽減や太らない間食を作りたくて、わざわざこっちに来たんだとさ」

「その時に、私が迷っていたトレーナーさんを連れて行ったんだよー」

「あの時はありがとうボーノ、おかげで悪いこと考えてるやつが手を出せなかったからね」

 

そういって豪快に笑いながら、ヒシアケボノの腰のあたりを軽くたたくヒシアマゾン。

ヒシアケボノもにゃーいたいよー、と言いながらわらった。

 

「そうでしたか・・・・・・いろいろなところで、色々と騒ぎを起こしているようですね?」

「おいおい、騒ぎなんてとんでもないことを言うもんじゃないぜ?」

 

ヒシミラクルを寝かせているトレーナーが、口をとがらせる。

その顔は、少しすねたような何とも言えない顔をしている。

 

「メンバーの中には、太りやすい子とか体の弱い子がいるんだ、食事は非常に重要なんだよ」

「ああ、確かに・・・・・・スペシャルウィークはいい食べっぷりだからねえ」

「それに、ツルちゃんも体弱いから食べ物に結構気を使っているからねー」

「なるほど・・・・・・黄金新星の食事管理もしているのですか・・・・・・」

「お兄様、ちゃんとトレーニングできてる?」

「心配は無用・・・・・・とはいいがたいなぁ」

 

やっぱり6人は手が回らないこともあるんだよな、とトレーナーは愚痴をこぼした。

その言葉尻からにじむのは、6人を平等に見てやれないことへの不甲斐なさだ。

その言葉に、ライスシャワーとミホノブルボンは顔を見合わせた。

何か考えがあるのだろう。

その時だ。

 

「ほああああ、なんだかすごく弾力があるもんがウチの頭の下にある~?」

 

ヒシミラクルは目を覚ました。

 

「やあ、ヒシミラクルさん調子はどうかな?」

「はえ、トレーナーさん・・・・・・!?」

「あれ、目を見開いて固まった?」

「アンタ、そんなことしてればそりゃあそうなるよ」

「おにーさん、ちょっとボケボケすぎるんじゃないかなー」

「トレーナー、貴方の常識は我々の非常識なんです」

「?」

「お兄様・・・・・・」

 

ヒシミラクルは、普通である。

モブウマ娘と並んでも、割と可愛いけど普通である。

しかし、だ。

天下のトレセン学園中央に入学できるということはどういうことか、

生き残り続けるということはどういう事か?

即ち、頭の回転等は一般的な普通と比べても「かなりいい」のである。

 

そして、かなりいい回転数を誇る頭が、今の状況を克明に認識してしまったのだ。

 

(まず、トレーナーさんが中央にいて、その後ろにヒシアケボノちゃんがいて、

右隣にはヒシアマ寮長がいて、左隣にはミホノブルボンさんがいる)

 

そして、自分の頭を乗せている、筋肉質な弾力のある何かとは一体何か?

 

「まさかまさかの膝枕ですかぁぁぁぁぁ!?」

「うおっ!?」

「ひゃん!?」

「んなぁっ!?」

「なっ!?」

 

突然目を見開いて大声を上げたヒシミラクル。

そんな彼女の迫力に、動揺したのかのけぞるトレーナー。

しかし、そこはトレーナーズスクール卒業のトレーナーである。

驚異的な何かに対して、ウマ娘達を守ろうと防御姿勢を取った。

即ち、上半身をのけぞらせつつ両手を広げたのである。

 

さて、この状況をもう一度整理しよう。

トレーナーを中心において、下半身にはヒシミラクルがいる。

そして、彼の後ろには、少しかがみ気味にミラクルを心配していたヒシアケボノがいる。

最後に、両脇にはヒシアマゾンとミホノブルボンがいる。

そんな状態で、手を広げつつ上半身をのけぞらせるとどうなるか?

 

そう、当たっちゃったのである。

彼の後頭部は、ヒシアケボノの「ぼのぱい」

右手は、ヒシアマゾンの「あまぱい」

左手は、ミホノブルボンの「みほぱい」

それぞれの豊満な、女性を感じるその部分に直撃してしまったのだ。

もちろん、わざとではないし、何より一瞬だったから彼は気が付かなかったが。

3人にとっては、思考停止するぐらいの衝撃だった。

 

 

(((あっ!?)))

 

耳の先から尻尾の先まで電流で撃たれたような、そんな気持ちになってしまう。

しかし、その考えも次の瞬間には吹っ飛んだ。

 

「なんなん、この気配は!?」

「未確認ウマ娘の接近を感知、これは一体!?」

「この気配、剣聖のウマ娘ううん、深淵歩きのウマ娘の気配と同じ淀み!?」

「おおおおおい、アンタいったいどういう事なんだい!?」

「あわわわ、おにーさんこれどうしよう!?」

「いや、まてこの気配は・・・・・・?」

 

トレーナーが出入口に目をやった瞬間、そこにいたのは。

 

「随分と、たのしそうだねぇ」

 

修羅となったフジキセキだった。

フジキセキの視線は、一点に注がれている。

そう、トレーナーに膝枕されているヒシミラクルへと。

 

 

「ひぃぃいぃぃぃぃぃぃ!?」

 

 

そして、ヒシミラクルは逃げた。

生存本能が、ここにいてはいけないと叫んでいた。

だが、出入口にはフジキセキ(修羅)がいるため、出ることができない。

そんな彼女がとった手段は、なんと「投擲」である。

ひとみみ・ウマ耳の双方がもつ、太古からの攻撃手段。

でも、石がないのに何を投げるのか。

簡単だ。

トレーナーを投げればいい。

 

「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!?」

「へ?」

 

その間、凡そ1秒。

ずぶいと言われて久しいヒシミラクルの、超即投擲はフジキセキの意表を突いた。

ヒシミラクルに種も仕掛けもない「人体貫通」マジックを食らわせようとしたフジキセキは、

飛んでくるトレーナーに反応ができなかったのだ。

 

(このままでは彼女に追突する!)

 

トレーナーズスクールで習った「ウマ娘に投げられた際の対処法」を思い出し、

彼は全身の筋肉を使用して、空中で軌道を変えた。

 

野球でいうところの、カットボールのような起動を描いて、

彼はフジキセキに追突せずに済んだのである。

最も、その結果として。

 

 

「ぐふっ」

「と、トレーナーさん!?」

「おにいさまぁぁぁ!?」

「頭から血が出ています!?」

「保健室に行って先生呼んできな二人とも!!」

「「はいっ!!」」

 

 

思いっきり頭をぶつけ、額が切れてしまい、大量の出血を起こしてしまったのだが。

その後、彼は包帯を頭に巻き、保健室で2時間ほど休むことになった。

不思議なことに、2時間休んだら傷口が完全にふさがり、血液量も元に戻っていたのだが。

本人曰く「タキオンの投薬実験に付き合っていたらこうなった」らしい。

また、休んでいる最中、トレーナーへヒシミラクルが謝罪に来た。

涙目というより半分泣きながらの謝罪に対して、トレーナーは笑顔だった。

 

「なんでこんな笑顔でいられるんですか~」

「いや、君がとてもいい子でよかったなと」

「悪いことをしたら謝るのは当然やん」

「人間その当然ができないことが多いのさ」

「・・・・・・ケガ、大丈夫ですか?」

「ちょっと痛い、でも俺のお願いを聞いてくれたら治るかもね」

「・・・・・・どんなお願いでしょうか」

 

その後、改めて行われた水泳の授業の際。

ヒシミラクルは遅いタイムながらも、25メートルをきっちりと泳ぎ切ることができた。

彼女曰く「約束をまもれてよかった」との事。

 

なお、今回の一件以来、ヒシアケボノ・ヒシアマゾン・ミホノブルボンの3人が

少しよそよそしくなり、彼は少しへこむことになった。

 

 

 

 

ヒシミラクルの好感度が上がった

ヒシアマゾンの好感度が上がった

ヒシアケボノの好感度が上がった

ミホノブルボンの好感度は最高だ

ライスシャワーの好感度は最高だ

フジキセキの好感度が上がった

 

 

 

 

お昼ご飯と午後の授業と特別移籍に続く。

 

 

おまけ

 

 

レグルス所属ウマ娘達

・ミホノブルボン

・二つ名「復活の2冠ウマ娘」

・能力値

芝 S ダートD

逃げS 先行C 差しG 追い込みG

短距離A マイルA 中距離A 長距離G

スピード SS+ スタミナ B パワー SS+ 根性 SS+ 賢さ B+

 

脚のケガにより現役を引退する瀬戸際まで行ったが、ミホノブルボンを惜しんだこの世界の黒沼トレーナーによりレグルスへ「特別移籍」という形で合流。

その後、ウマ娘用の「トミージョン手術」を受けることで、長距離能力の消滅と引き換えに短距離・マイルのウマ娘としてターフに返ってきた。

中距離能力は根性で上げた。

なお、ダート能力はリハビリで走っていたら身についていたらしい。

 

・ライスシャワー

・二つ名「帰ってきた青バラ」

・能力値

芝 S ダートG

逃げ G 先行S 差し G 追い込み G

短距離G マイルG 中距離A 長距離S

スピードS+ スタミナSS+ パワー S+ 根性SS+ 賢さA+

脚の親指等の骨折により、走行能力の消失一歩手前まで追い詰められ、彼女の前トレーナーが樫本に対して相談、樫本の下で「特別移籍」として療養と訓練を兼ねたリハビリを行う。

ミホノブルボンと同じくウマ娘版「トミージョン手術」を受け、持っていた他の脚質とマイル能力消失と引き換えに成功。

現在は正式にレグルスへ移籍している。

 

 

関係のないおまけ

 

むーんらいとそーど(月光)

・フロムソフトウエアのゲームに登場する武器

・大体「剣」であることが多い、かっこいい

・ライスのは元はとある医療機関所属のウマ娘が使用していたもの、みちびきのげっこー

・ゴルシがヤフ〇クで購入し、ライスシャワーにプレゼントした、じつはほんもの

・暗い所に置くとほのかに光る、けものよけにちょうどいい

・夏場は外に置くとすごい虫が寄ってくる、むしはすべてつぶせ

 

お姉さま

・元ライスシャワーのトレーナー

・現在は自主的にもう一度トレーナーズスクールでやり直し中

・最強の肉体と最強のメンタルを持つ「人間界最強の女性」

・本人曰く「ライスシャワーを骨折させた自分が許せねえ」とのこと

・なお、見た目は筋骨隆々でボイスは強力ワカモト

・謎が多く、様々な「知り合い」がいる。

・料理が得意であり、ライスに料理のいろはを教えたのは彼女

・必殺技は「ジェノサイドブレイバー」

・口癖は「ぶるぁぁぁぁ」

 

この世界の黒沼T

・元ミホノブルボンのトレーナー、レディースの総長

・現在は別のトレセン学園に出向中

・背中に龍の彫り物があるという噂がある

・とあるレディース集団の元4代目という噂がある

・本人曰く「ブルボンのケガは俺に全責任がある」との事

・一から鍛えなおす為に、自分から出向した

・見た目に反して結構お茶目で、ミニ四駆大会に出場しカラオケでノリノリになる

・虎を2匹素手で倒している

・様々な武術のほか、対物狙撃銃すら手足のように扱う女傑

 

 

 

 

 




投稿のペースが非常に遅い・・・・・・

今回は、ギャグの練習もかねてこのような内容にしてみました。

また、コメントでもご指摘がありました通り、

彼の出目はおかしいという件につきましても、

一応設定のようなものとして「女神の呪い級のうっかりミス」で

ファンブルなしの出目連発ということになっております。

間違い感想等、お待ちしております。
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