ブライアおばさん   作:ちゅーに菌

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アーニャゴウカク……アーニャゴウカク……(洗脳)

5話のアニオリ最高かよ……原作だと城のところ5ページですよ?







おじ

 

 

 

 

 

『"姉貴"! "姉さん"が結婚してたんだって!?』

 

 ある日の晩。自宅で寛いでいたサヨが、鳴った受話器を取った先の第一声がそれであった。

 

「あー……」

 

(遂に来たわね……)

 

 電話の相手はユーリ・ブライア。ヨル・フォージャーとサヨ・ブライアを溺愛している実弟である。

 

「誰から聞いたの?」

 

『ドミニクさんだよ』

 

「あー、姉さんの職場の同僚の彼氏ね。そう言えばこの前、パーティーがあったそうで――」

 

 他愛もない事を聞きつつ、サヨはユーリに"ヨルが1年も前から既に結婚していた理由"をどう言い訳をするのかを考え、思考を巡らせる。

 

 既に幾つか理由は考えてあるが、そのうちどれがユーリにとって都合がいいのか値踏みしているのだ。

 

『ああ、それでね姉貴――違う! 姉さんが結婚してた事だよ!?』

 

 ちなみにユーリは、ヨル・フォージャーの事は姉さん。サヨ・ブライアの事は姉貴と呼んでいる。雰囲気の違いによるものらしい。

 

 流石に誤魔化せる気がしなかったため、サヨは重い口を開くような間を置いてから語り掛ける。

 

「言う時期を考えてたのよ。姉さんと2人で」

 

『時期を……?』

 

「だってユーリったら仕事を始めてそんなに経ってないじゃない? しかも初めての職場から

1年で異動したばっかりだったでしょ?」

 

『…………そうだね』

 

「それなのに1年前に姉さんが結婚した――だなんて聞かされたらあなたきっと仕事どころじゃなかったと思ってね。姉さんたちずっと心配だったの」

 

 嘘である。この女、つい2~3分ほど前まで次にフォージャー家に行ったらアーニャ・フォージャーをどう可愛がるかしか考えていなかった。

 

 ユーリについては雑草よりしぶといのであまり手を掛けなくても逞しく育つ、いや育った等と考えている。

 

 昔ならサヨがユーリに対して過保護な時期もあったが、今となっては姉離れ――などと告げれば彼は即座に廃人になり兼ねないので、そこそこの距離感を保っているのだ。

 

「まあ、相手がバツイチ子持ちだったから言い難かった……こともちょっぴりあるかも知れないけれど、言うタイミングは姉さんに任せてたから、あの子ひょっとしたら忘れてたかも知れないわね」

 

『姉貴……姉さん……ボクのためにそんなに……!』

 

 仮定に仮定を重ねる。ノストラダムスの大予言やらUMAやらで沸いていた時代によく使われた手法であろう。

 

 極秘の機密情報やら未知のビッグフット等という言葉レベルに胡散臭い話であるが、それを嘘に一部本当の事を交える・声の抑揚・本音を語る雰囲気・姉という立場などで全力で補強していた。

 

 ようはこの女、生まれつきとてもよく慣れたウソつきなのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――とまあ、そんな感じにそれとなく誤魔化しておいたわ。ロイド兄さんも話を合わせておいてくれるかしら?」

 

 明くる日。

 

 サヨは夕方にフォージャー家におり、ソファーに座って膝にアーニャを乗せながら黄昏に昨日のユーリからの電話について話していた。

 

「おばうそつき?」

 

「んー……? 成長すると皆嘘つきになるのよ? 大人になるっていうのはそういうコト」

 

「なるほど……」

 

 サヨは"だからアーニャちゃんは優しい嘘つきになりなさいな?"と言いつつアーニャを撫でる。

 

 アーニャは自身の周りの大人が全員秘密を隠しながら生きている事を思い返し、真剣な表情でとても納得した。

 

(誰だコイツ……)

 

 そんなサヨを黄昏は内心訝しげに眺める。

 

 つい昨日、フォージャー家と公園に行き、アーニャのおやつのピーナッツを鼻で200m以上飛ばす大記録を打ち立て、その後、アーニャに"たべものであそぶな"と正座させられていた奴と同じ人間とは到底思えないであろう。

 

 日頃から馬鹿を演じているならば、まだ救いはあるが、基本的に子供染みた悪戯や、無意味にふざけている姿ばかり晒しているため、黄昏としてもコレが何かを演じている様子はないと言い切れるレベルであった。

 

「本人に聞いた訳じゃないけれど。たぶん、うちの弟は近いうちにお宅訪問に来るわよ」

 

「そうか、いや君が言うならそうなんだろうな」

 

「ええ、ブライア家の人間は行動力がスゴいの。まあ、一応釘は刺しておいたけれど無駄でしょうねぇ」

 

 そんな話を黄昏とサヨがしていると、フォージャー家の外階段をバタバタと駆け上がり、扉の鍵を慌てて開ける音が響く。

 

「たたた、大変ですロイドさん! あっ、サヨちゃんも!」

 

「おかえりヨルさん。遅かったですね」

 

「おかえり姉さん……とりあえず、止めてよね。ああやって急いで家のドアノブを捻り切ったの、一度や二度じゃないでしょ?」

 

「ふえっ!? うぅ……善処します……」

 

「えっ、ドアノブ……?」

 

(ははばかぢから)

 

 どうやらヨルの反応を見るに事実らしい。

 

 捻り切られたドアノブをどうにか修理している今より若いサヨの姿が、ヨルの心の中に浮かんでいる様をアーニャは目にした。

 

「あっ、じゃないですっ! ユーリがっ……弟がウチへ来るそうです! 今日っ!」

 

「今日!?」

 

 サヨの言ったことが当たったと共に、フォージャー家の緊急事態の発生である。

 

「私、結婚のことまだ伝えてなくて……"お祝いに行きたい"って。じゃあ、後日にって言ったんですが、どうしてもって……」

 

「お(のろ)いの間違いでしょ?」

 

 サヨの呟きは今は一旦置いておき、焦る様子のヨルは更に続ける。

 

「どうしましょう。偽装だとバレないでしょうか……?」

 

「大丈夫です。こんな時のために"仲睦まじい夫婦セット"を用意してあるので!」

 

 等という事を黄昏が言ったため、フォージャー家の一室の模様替えが行われ、その間、アーニャはサヨに肩車されつつ忙しない様を眺めていた。

 

「………………」

 

「………………」

 

 その結果、ハートマークの掛け布団にYES/NO枕が2つ置かれたダブルベッドが中心に置かれ、"LOVE"とロゴのあるマグカップに2色の歯ブラシ、抱き着いたり顔を合わせたりしている見事な合成写真等も飾られ、夫婦の寝室として遜色ないであろう。

 

 それ故にソレらしい部屋という事で、なんとなく意識した黄昏とヨルは何とも言えない表情を浮かべている。

 

 それを眺めたサヨとアーニャは互いに言葉を交わすことなく目で合図だけすると、アーニャを肩車から下ろして2人の隣に立たせた。

 

「……ちちとははイチャイチャ?」

 

「してない!」

 

「してません!」

 

(ンハァー……このふたりの関係ホントしんどい……。捗るわぁ……。もう、結婚しろよコイツら)

 

 アーニャの呟きに対する夫婦返しに、ロリコンではあるが、無論シチュエーションでもイケるサヨは内心そんな事を考える。

 

 それを聞いたアーニャはやはりこれはイチャイチャしているという結論に落ち着いた。

 

「でもこれじゃダメね」

 

「なに……?」

 

「これが付き合って2ヶ月ぐらいで籍を入れた新婚ホヤホヤのカップルなら模範解答でしょう。けれどあなた達、設定では結婚したの1年前でしょ? って事は1年以上前から付き合っていた事になるでしょう? 最近まで別居してたにしても普通なら付き合ってた頃からそういう事は済ましていたり、若しくは片方がバツイチ子持ちだからこそある程度落ち着いたビジョンが見えているものじゃない? いえ、むしろそういう関係だからこそ燃え上がったり育まれたりしているのすごいどこまでいくのそうあるべきねそうに違いないわ」

 

「お、おう……」

 

 とても早口かつ強い剣幕で黄昏に迫るサヨ。その様には珍しく有無を言わせぬ迫力と、本気で言っているとしか思えない目力がある。

 

 サヨは設定に対して、とても厄介な(オタク)であった。

 

「つまり何が言いたいんだ?」

 

「生々しさが足りない」

 

 そう言うとサヨは持参していたバッグからYES/NO枕へ目掛けてドサドサと中身を落とす。

 

「はい、ピンク色の避妊具。箱ごと置いてあるのがポイントね。後、茶色い瓶入りの興奮剤とご立派な模型なんかも――」

 

「やめろ」

 

「ちちみえない」

 

「見なくていい」

 

 黄昏はアーニャにサヨが出す物品が見えないように手で目隠しをした。

 

 一見するとどんな用途なのかわからないモノしかないが、それとこれとは話が別である。

 

「しまえ」

 

「ええ……確実な偽装を考えるならこっちの方がもっとそれっぽ――」

 

「しまえ……! アーニャの教育に悪いだろうが……!」

 

 ほぼ無意識にそう発言していた黄昏が語調を強めると、サヨはいそいそとバッグから取り出したものを仕舞う。

 

(うふふ、いいお父さんねぇ……)

 

 その時、何故かサヨの表情がニヤケていた事が気になったが、思いの外素直に引き下がったため、黄昏は拍子抜けな気分になった。

 

(妹って言うのはこんなに面倒なのか……?)

 

 それと同時に本当に妹がいればこのような感じに手間が掛かるのかと、黄昏は少しだけ眉を潜める。

 

(……? おば、ちちのいもうと)

 

 しかし、心を読めるアーニャは黄昏とサヨは既に兄と妹という関係になっている事が当然だと考えているため、小さく小首を傾げた。

 

 そんな中サヨは寝室を見渡し、"LOVE"とロゴのあるマグカップに刺さっている2色の歯ブラシに目を向けた。

 

「これは単純な経験則だけれど、マグカップも2つの方がいいわね」

 

「なぜ?」

 

「これ、最初は盛り上がってやろうと思うんだけど、いざ使ってみるとコップ1個ってクッソ不便なのよ。朝の歯磨きで渋滞になるし、寝室に置いてあるんじゃたまに口を濯ぎたくなる事もあるじゃない? 同居してたならまず1~2ヶ月持たず2個になるわ」

 

「………………」

 

 渇いた笑い声と共にサヨの口から吐かれたその発言が一番生々しいと思う黄昏であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んにゃ……むぅ……」

 

(――――――――)

 

 時刻は進み夜の9時を過ぎた頃。

 

 未だユーリは来ておらず、ソファーに座るサヨの膝を枕にして眠るアーニャの姿があった。

 

 アーニャにはブランケットが掛かっており、膝枕をしているサヨは眼鏡の奥にある瞳から光を完全に消したまま、石像のように微動だにしていない。

 

「サヨちゃんもユーリに会うのは久し振りです…………サヨちゃん?」

 

(――――――――)

 

 仕事が長引いているらしく、未だフォージャー家に到着していないユーリについてヨルが話を振ったが、サヨは凡そ生物らしい雰囲気を一ミリも放っておらず、同じ部屋にいる黄昏ですら目を離すと存在をアーニャから辿らなければ認識出来なくなるレベルである。

 

 そのため、黄昏はとんでもない隠密スキルに感心しつつ東洋の座禅的な精神修行染みた何かなのだと勝手に解釈していた。

 

(――――呼吸、たのしい)

 

 無我の境地、明鏡止水、中道、梵我一如。実際、サヨは全ての雑念を振り払い、思考の一切を取り払った無に達している。

 

 要するにただ極限まで何も考えないことに徹しており、いつの間にか瞬きの回数すら生物として最小限になり、最早動かない虫と同レベルになっているのである。

 

(――――空気、おいしい)

 

「いや、なんだかさっきから声を掛けてもまるで反応がないんですよ。目を開けたまま寝てるのかも知れないですね……」

 

(なんなんだろうコイツ……)

 

 黄昏が理解できないのも無理はない。

 

「ん……にゃ……」

 

(――――――――)

 

 一切意識を介さず反射的にサヨは軽く出血するほど拳を握り締めた。

 

 何せサヨがこんなことをしている理由は、サヨの膝で安心しきった表情で、片目が薄目を開けたまま眠っているアーニャの為に他ならないからである。

 

 約3時間前、サヨはユーリの仕事は遅れる事が多いとの事でアーニャがおじ(ユーリ)のお出迎えをしたければ来るまで少し寝ていた方がいいと持ち掛けた。

 

 その結果、アーニャはこうして言い出したサヨの膝ですやすや眠るに至る。

 

 しかし、そうなるとサヨが自覚している最大の問題が、彼女自身の思考が些か煩過ぎる事であり、それを全力で対処しているため、彼女は本気も本気の大真面目であり、その恵まれ過ぎた全身全霊を何も考えないことだけに当てていた。

 

 要するにコイツ、寝ている姪を起こさない為だけに半ば悟り出しているのである。

 

(――――そら、きれい)

 

「アーニャさんもたくさん寝てますね」

 

「――アーニャちゃん!? はっ――!?」

 

 しかし、その均衡はヨルが呟いたたったの一言で崩れ、同時に膝から伝わる余りにもいとおしい感覚に無意識どころは脊髄反射レベルで意識を向け、自身の膝で眠りに落ちている小さな天使の姿を幻視した。

 

 

 

(かわぇぇえぇぇぇええぇぇぇぇぇ!!!?)

 

「――!? ほげ――?」

 

 

 

 尚、アーニャが目を覚ますのとユーリが到着するのはほぼ同時であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やあ、初めまして! 弟のユーリです!」

 

 ユーリ・ブライアはヨル・フォージャーとサヨ・ブライアの弟である。それと秘密警察である。

 

 秘密警察とはSTATE SECURITY SERVICE(国家保安局)縮めてSSSと呼ばれる東国の国内防諜機関のことだ。

 

 国内の治安維持を担い、スパイ狩りや市民の監視を任務とする組織であった。彼はたった二人の肉親であるヨルとサヨの援助でエリートコースを進み、外務省に就職したが、1年ほど前に国家保安局へ異動して現在に至る。

 

「おじ、アーニャんちへいらしゃいませっ!」

 

「こっ、こんばんは……」

 

(こどっ、姉さんと……いや、夫の方の連れ子だ。落ち着けユーリ・ブライア……!)

 

 彼は普段は真面目な好青年なのだが、少々身内に対して偏執的(シスコン)なところがあり、姉たちのことになると理性を失ったりするのだ。

 

 そんな姉の片割れ(ヨル)が知らぬ間に結婚したことになっていたため、その夫のロイド・フォージャーを警戒するのは当たり前と言えるだろう。

 

 姉をたぶらかすような奴はそもそも悪だが、仮にロイドがヨルにふさわしくないと感じた場合、秘密警察の権力を用いて適当な罪で処刑する事も辞さない覚悟であった。

 

「あ、コートとお荷物預かりますよ」

 

「いえ、大丈夫です。ありがとうございます」

 

 ユーリはロイドの気遣いを躱し、フォージャー家の中へと入り――直後にそれまで一切の気配を消して潜んでいたサヨ・ブライアが現れ、ユーリから花と荷物を引ったくった。

 

 そして、ニコニコと張り付けたような笑みを浮かべたサヨを見たユーリの表情からサッと血の気が引く様子がそこにいる全員に理解できただろう。

 

「え゛……あ、姉貴……?」

 

「うふふ……あらあらまあまあ? 私がいるのが不思議な顔ね? あなたの行動ぐらいお見通しなのよ」

 

 そう言うとサヨは花束をヨルへ、荷物をロイドへ、そして自身が掛けている伊達眼鏡をアーニャへと渡した。

 

 そして、ユーリの前に立ったサヨは、おもむろに彼の襟元と肘の周辺を掴む。

 

「ねえユーリ? 昨日私、電話で話したわよね? 翌日に行ったら迷惑になるし、相手の旦那さんの事情も考えろって……?」

 

「あっ、いや……姉貴……。でもそれは姉さんが心配でどうしても――」

 

「ちょ――」

 

 ロイドが声を掛けようとした時、既にサヨは行動していた。

 

「うるせぇ! 良い子は真似しちゃダメよ!?」

 

「ウワァー!?」

 

(投げたー!?)

 

(おばー!?)

 

 巴投げ――。

 

 流れるように体勢を下げながらサヨの脚力で体幹を弾き飛ばすように放たれたそれは、極東でよく周知されている武術であり、ロイドでも感心するほど美しく力強いそれは、体格の近いユーリなど容易に虹の如く綺麗な弧を描くようにリビングへと飛ばす。

 

 ちなみにその際、無駄に洗練された無駄の無い無駄な技術により、サヨはユーリからコートを剥ぎ取っていた。

 

「がはっ……!?」

 

 そして、本来ならリビングの中央にあったテーブルが前もってサヨにより隅へと片付けられていたため、ユーリは一切受け身を取らずに背中から板の間へ叩き付けられ、肺の空気を全て吐き出す。

 

(アーニャたゃが出迎えているのにその淡泊な態度とひきつった反応はなんだお前……! 天使には天使の扱い方ってもんがあるでしょうが!? しかもアーニャちゃんはまさしくフォージャー家の子は(かすがい) を体現したキューピッドでもあり、聖書と北欧神話の欲張りセットなのよ!? 無敵かよ! 無敵だったわ! 夏には薄い本がいっぱい出るわ! だからお前も物理的にエンジェル&キューピッドにしてやろうかっ! 今だってさっきからアーニャたゃの背中に小さな羽が見えて――)

 

(久々の姉貴の愛の鞭だァァー!? ああ、ボクが礼節を欠いていたばっかりに心を鬼にして叱ってくれる姉貴……! 本当にごめんよ、でも最高に素敵だ……! 姉貴は姉さんとはまた違った芯の通った女性で、姉さんと違ってお尻の右上前腸骨棘あたりに黒子があって、虫が苦手な姉さんと違って虫は得意だけどネズミは苦手な姉貴! 今日の姉貴はこの前に会った姉貴よりも美人になってるし、たまに眼鏡を取った姉貴も素敵で――)

 

「………………げぷっ」

 

 巴投げの悪い例として、余りにも綺麗に決まったそれと共にアーニャはふたりの中身を見てしまい思わず、胸焼けや胃もたれに似た感覚と共にゲップをする。

 

 そして、サヨ・ブライアとユーリ・ブライアは紛れもなく姉弟であることを思い知らされ、アーニャは渋い顔になった。

 

「……だっ、大丈夫ですか!?」

 

「今、余韻に浸っているところだ……邪魔を――」

 

「ユーリ? いつまでも寝てないで机を戻すの手伝いなさ――」

 

「――わかったよ姉貴!」

 

「えぇぇ……」

 

「うふふ、サヨちゃんとユーリはとっても仲良しなんですよ」

 

 瞬時に跳ね起きて、端に寄せてあったテーブルをリビングの中央にサヨと2人で笑顔を浮かべながら戻し始めたユーリにロイド――黄昏としても困惑する。

 

 ブライア家は血筋レベルで少々変わっているらしいという事を半ば黄昏は確信し、この場を乗り切る以上にこれからの付き合いというものに不安を覚えるのであった。

 

 

 

 








サヨ(どうして私が居たのに原作と同じ感じにユーリは育っちゃったのかしら……? 不思議だわ……)


~ ブライア家 超簡易説明 ~

・姉さん
 アホの子(殺し屋)

・姉貴
 ロリコン(マフィア)

・ユーリ
 シスコン(秘密警察)




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