「さて、これからどうするんだ?」
魔理沙の首からかけられゆらゆらと揺れている私は、一抹の不安を抱きながら聞いてみた。
「さぁなぁ。霊夢は紫たちに任せるつもりでいるし、その紫たちに聞いても素直に教えてくれそうもない」
「つまり、あてなんぞ無いというわけだな。 ……はぁ」
薄々は分かっていたがこうも掴み所が無いと気が遠くなっていく。
「まぁ、無難に聞き込み。地道に聞き込み。気長に聞き込み!つーことだな!」
雲をつかむような事を雲が晴れそうな笑顔で言う魔理沙に、ない頬がひきつりそうになったが、確かにこれくらいしか方法がないのも事実だった。
「と、言うことは。異変が起こった現場、人里に行くということか?見るからに異変に関係してますよーって見た目だが、大丈夫なのか?」
事件が起こっている場所へ、疑わしい人間が出向いたら不味いことになるのでは?という簡単な疑問が浮かび上がった。
「……あー。それもそうだな。今回の異変、結構大事になっちまってるんだったな」
今までの異変は、大事件ではあったが、幻想郷全土に知れ渡るという訳ではなく、それなりの実力者達が話の種で聞く程度に収まってきた。
しかし、今回の異変はいわば幻想郷の中心である人里への直接的な攻撃であり、まだ大事件にはなっていないのにこの事件の事を知らないのは森に引き籠もって出てこない奴か、図書館に引き籠もって出てこない奴ぐらいだという。
「なんにせよ今までにない異常な出来事だってことか。そりゃその紫って奴も焦ってそこかしこに出向いてくるわけか」
「あぁ、顔は涼しく纏まってるが。内心、異変の事も後始末にも困ってると思うぜ」
やれやれ、面倒な事になっている訳だ、なにかよい案はないか。と、カチカチと考えていると、無難な考えに行き着いた。
「言葉は悪いが、敵の敵は味方だとも言う。魔理沙のように洋風だってだけで搾られているような所はないのか?」
魔理沙は、そういえば、という顔をしてこう言った。
「お前みたいな時計を持ったメイドがいる、真っ赤な洋館があるぜ。きっとそこにも紫達が話を聞きにいってるはずだぜ」
しかも、主人が主人だから、異変に関係あってもなくても首を突っ込むはずだぜ。と、続けた。
「ほう。いかにもって感じだな。ところでその主人ってのはどういう人なんだ?」
そう聞くと、魔理沙からこれまた、いかにもという答えが帰ってきた。
「真っ赤な洋館の主人ってのはなぁ、赤いのが大好きな吸血鬼だぜ」
「吸血鬼か、吸血鬼というのはよく手下を増やしたがるものだが。よもや、その主人が犯人なんじゃ?」
アッハッハと魔理沙が笑った。
「それはないな。アイツなら自分から出てくるだろうし、何よりもわざわざ人間を妖怪にしてまでひれ伏させはしないだろうぜ」
アイツもアイツなりに人間の良さってのを知ってるからな。
魔理沙と私の見る方向には、湖の上にふんぞり返る真っ赤な洋館があった。