「ほぉー。ここまで赤いと洋館が大きく見えるな」
「存在感が増すというか、目やらなんやら、ともかく体に悪そうに見えるだろ?」
ケタケタ笑いながらも魔理沙は、洋館目指して湖の上を飛ぶ。
遠くにあるのに大きく見えるような、異常な存在感を出しているその洋館は話通り真っ赤だった。
だが、ただペンキや絵の具で塗ったくったような赤ではなく、この館の主人が人間を晩餐にしたあと余った血をぶちまけたような、ドス黒いというかむしろ色鮮やかな紅色であった。
「吸血鬼には良いのかもしれないが、私がこの館の調度品になったら、一日中目を回してしまいそうだ」
魔理沙は驚いたように、こちらを見た。
「その意見には同感だが、時計が目を回したりするのか?」
「さぁ?目を回したことが無いからわからない」
魔理沙は微妙な顔をしながらも、話を続けた。
「あの館、紅魔館って呼ばれたりするんだが。主人の吸血鬼と妹、中の図書館の管理人の魔女と悪魔、っと色々な外観に負けてないやつらが住んでるんだがな……」
魔理沙は少し笑ったようだ。
「結構前から一緒に異変を解決してるやつがいてな。そいつなら……まぁ何かしら用意しなきゃいけないか。けれどもきっと力を貸してくれる」
「フフ、フハハ、アハハハ!」
私は柄にもなく声をあげて笑ってしまった、まぁ私の装飾に柄など元より使ってないが。
「何が可笑しいんだよ……、ったくよ」
出もしない涙を心のなかで拭いつつ私は答えた。
「いやなに、実に魔理沙っぽいなと思っただけさ。短い付き合いだが、人を見る目には自信があるんだ」
魔理沙がそこまで言うのなら、必ず力になってくれるのではないか、確信はないが強くそう思うのであった。
特に何事もなく湖に浮かぶ島、そしてその上に建っている真っ赤な洋館にたどりついた。
この島ごと切り取ってきたかのような違和感と図々しさに私は改めて凄いと息をのむ。
「この島には陸へ繋がる橋が見当たらないが、不便ではないのかな?」
先程のように飛んでいけば良いのだろうか、流石に幻想郷の人が全員飛べるとは思わないし、物を運ぶときも困りそうだ。
「あぁ、こんなところ滅多に飛べないような人間は来ないしな。それに、ほらあそこに船着き場とボートがあるだろ?」
確かに少し小さいが三、四人は乗れるボートが漂っていた、けれどこの程度では大したものも積めない。
こんなに大きい館に数人しか住んでいないのかと考えると、これ程までの違和感は生活感の無さにあったのかと納得できた。
「まったく……、こんなところなんて言い方少し失礼なのでは?」
気が付くと、緑のチャイナ服を着た赤髪の女性が目の前にいた。
「言ったのは魔理沙だ、失礼な友人で申し訳ないな」
からかうように話すと魔理沙が指先で私を小突いてきた。
「お前!友人とか言って真っ先に盾にしやがって。良い性格してるぜ。まぁ本当のことが口に出てしまったのは謝る、すまん!」
魔理沙もおちゃらけてこんなことを言ってしまうような性格なのは、この際言わないでおこう。
そんなやり取りをしているとチャイナの女性は眉間に手を当てながらため息をついた。
「はぁ……、もういいですよ。それで?何をしに来たんですか?こちらとしても今は色々あってですね……」
「その色々についてだよ、私も魔法使いを名乗っているんでな。そっちの悩み事を共有できるじゃないかってな」
凄く胡散臭い目で見られているぞ、魔理沙。
早速、行き先が不安になってきた異変解決だった。