いた<て普通のラブコメ 作:君の心を因数分解
教室はいた<て普通だった。
タイトル回収も済ませた所で辺りを見回す。自分の席は1番右っ側。つまり廊下側。ようするにドア側。まとめなくても一番端っこ。1番右の前から2番目だ。
窓側じゃないのはきっと、自分が主人公じゃなくてモブだからだろう。まぁ、そんなことを言いつつも主人公なんだけど。しかしこれでは「太陽って……何でいつも昇るんだろう……」と黄昏ることも出来ない。黄昏よりもネガティブなもの以下略。
神崎さんは出席番号1桁。席は左から2列目の最前列。つまり窓側。ようするにウィンドウサイド。まとめると、恐らく神崎さんはMacを使っていない。当たり前か。……いた<! ちょっ、ちょっと!? ゴミを投げないで! つか、どっから来てるんだよ!?
自分はチラッと隣の席の人を見る。淡い緑色の髪を揺らす可愛い女の子だった。
……ん? ちょっと待て。
外見描写がデジャヴ過ぎるぞ、おい。
神埼さんのケータイもそうだったし、髪の色も同じ描写だった気がする。自分のボキャブラリー貧弱度がエグい。ボキャブラリーペスゥ高いぜ。
違いを挙げるとするなら、神崎さんは髪が短めで、隣の人は長めだ。セミロングとロングだ。セミロングは短めって言っちゃって良いのか怪しいラインだけど。
自分が外見の差異を描写するために隣の人を見ていると、不意に目と目が合ってしまった。
これが彼女とのファーストコンタクトであり、ワーストコンタクトであった……なんてことにならなきゃ良いけど。
「何? こっち見ないでくれる?」
これが彼女との限りなくワーストに近いファーストグリーティングだった。
ここは返答を失敗出来ない。しかし、自分は石橋を叩いて壊す人間である。よって、沈黙を返した。
「…………」
「……………………はぁ。何か言ったら?」
「な、何か!」
「あんた、小学生?」
もっともな返しだった。初対面である自分の唐突なボケに反応するとは何者か。ようやく本作にもまともな人間(主にツッコミ的な意味で)が登場したのだろうか。
ちなみに、今は高校生活の最初の授業中だ。ロングホームルーム中。あからさまに担任、という風貌をした先生がここで恐ろしい台詞を放った。
「じゃあ、手始めにお隣の人と自己紹介をしましょうか」
自分は思わず隣の人を見る。
隣の人も自分を見ていた。
気まずい沈黙が一瞬だけ、フィールドに表側攻撃表示で召喚される。隣の人はわざとらしくため息を吐くと、酷く事務的な口調で自己紹介を始めた。
「当真 宏美……とうま ひろみです。どうか席替えするまでの短い間よろしくお願いいたします」
「あ、どうもです。名前の由来って何ですか?」
「……は? 何それ。何であんたに言わなくちゃいけないの?」
「ごもっともです」
自分が考えるに、当て馬ヒロインだから『当真宏美』だろう。勿論、こんなこと言ったら怒りそうなので言わない。
しかし、何だろうか。この人……当真さんは初対面の自分に向かって酷く辛辣である。王道のツンデレにしても初対面にツンツンするわけじゃない。これではただのコミュニケーションが苦手な口が悪い女の子では?
「早くそっちも自己紹介したら?」
「あ、ごめんなさい。じゃあ、自己紹介でもしようかい」
「……はい?」
「何でもないです……」
コンタクト失敗。こういう時どんな顔すれば良いか分からないの。
諦めたら終わり、気持ちをリセットして自己紹介をした。ギャグは諦めた。じゃあ何を諦めなかったんだよって話になるけど、それは些細なことなのでどうでも良いだろう。
「1つ良いですか、当真さん?」
「さっきから思ったけど、あんたの喋り方キモいよ。気取ってるみたいで」
「丁寧語否定……!」
「あと、『当真さん』ってのもキモいから、あんたの脳内の失礼な呼び方で良いわ」
「分かりました。では、失礼して……1つ良いですか、オルソラさん?」
「それはルーツが分からないけど、不快になるから辞めてくれない?」
「分かりました。では、失礼して……1つ良いですか、五和さん?」
「それもルーツが分からないけど、不快だから辞めてくれない?」
「分かりました。では、失礼して……1つ良いですか、ビリビリさん?」
「さっきよりマシになったけど、それも何か無理」
「分かりました。では……」
「ああっ! もう当真で良いから、好きにして良いから、何でも良いから早くして? 他の人もう自己紹介終わって静かになってるから目立ってるの!」
「分かりました。では、失礼して……1つ良いですか、サヤさん?」
「さ……? まぁ良いわ。はい、何でしょう……」
「何で淡い緑色の髪の毛をしているんですか? カツラですか? それともウィッグ?」
「地毛だわ! 地毛! カツラだとしたら、なおさらこんな目立つ色選ぶわけないでしょ!? バカなの!?」
自分は確信した。当真さんは間違いなくツッコミだ。
と、その時。神崎さんがブンブンと手を振った。
自分と当真さんは向かい合っている。よって、神崎さんは当真さんの背中側にいる。
神崎さんは鞄から黄色と黒の背表紙のスケッチブックを取り出した。
『カンペです』
見なかったことにしよう。
『よ~く見ていて下さいね』
「あ、そうだ。奈良坂さん」
「なら……さか……!?」
「好きなものとかあります?」
「何であんたにそんなこと、言わなくちゃいけないの?」
自分はチラッと神崎さんの方を見る。
『漫画とか結構好き、なんて知られたら……ううん! べ、別に趣味ぐらい全然、恥ずかしくないし……でも、やっぱり、言うのは恥ずかしいし……』
自分は当真さんを見る。
まさに、そんな顔だった。
神崎さんはスケッチブックをぺラっと捲った。
『心理描写です』
素晴らし過ぎてかえって余計なアシストだった。
「漫画とか好きですか?」
「はあっ!? べ、別に漫画なんて全然、好きじゃないんだからね!」『な、何で分かるのよ!』
「好きなんですね。自分も好きですよ」
「漫画が?」『ワンピース追ってるかな……』
「…………え? 何を言ってます?」
「……!?」『!? じゃあ、こいつ何が好きなのよ。まさか……あたし? いやいやいや……そんなわけあるわけないじゃない。でもね? こいつさっきから初対面なのに、あたしに突っかかって来るし、変なことばっか言うし……気を惹こうとしているんじゃ……はっ! あたしは何を考えてるのよ!? そ、そんなわけないじゃない! 一目惚れだなんてそんな少女漫画みたいなこと現実にあるわけないし、ましてや自分が。いや、自分に。でもねでもね?』
心理描写が長い! くどい! 中身が薄い! スリーアウト!!
「あ、あ、あんたねぇ……馬鹿じゃないの!?」
「自分らの代は犬年か鳥年ですよ」
「誰が
視界の端に映る主張の激しい神崎さんのカンペから目を頑張って逸らす。目を逸らした時、当真さんの主張の激しい胸が視界に映る。自分はもう一度、神崎さんの方をチラ見する。圧倒的、まな板ッ!
「な、何よ……な、に……か?」『こいつ……あたしの胸見てない……?』
バレていた。女子は男子のおっぱいチラ見が分かると言うがどうやら事実だったようだ。
「み、見てないです!」
「…………」『確信犯か』
「今季! 見てないですか、今季!!」
「……再放送枠だけ」『あ、アニメなんか今更、高校生にもなって見ているわけないじゃない!』
「当真さん……」
本音と建前多分、逆です。
それに、その返答じゃどっちにしてもオタバレすると思われ。
「な、何よ?」『な、何よ?』
「意外と馬鹿ですね」
「ば……ば…………」
「あたしは犬年だーっ!」
多分、ツッコミ役、登場。
君達に最新情報を公開しよう。
ギャグ小説未満の本作品の技術不足を頑張って誤魔化す隊……略してGGGの新キャラクター、田中、むくつけき男共のシンパレードがパーフェクトハーモニーがシンフォギアした時、まぐれのシンメトコウソクドウロリカルドッキングが完成する。
ハイパワーツール、フリージングワード発動の瞬間を見逃すな。
いた<て普通のラブコメ
NEXT『その名はキラキラネームというよりDQNネームで多分、小学校の頃のいじられてたと思う』
次回もこのウェブページで、ファイナルフュージョン承認!