いた<て普通のラブコメ   作:君の心を因数分解

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部活動って一番、ラノベ臭いと思います



The wolf knows what the ill beast thinks, but I'm not wolf.(蛇の道は蛇って言うけど、自分人間だし)

「部活動、どうします?」

 

 神崎さんが訊いてきた。

 自分は箒を動かす手を止めて、少し考えてから言った。

 別に、掃除を放棄したわけではないのであしからず。

 

「うーん……自分はこの学校に何部があるのかすらまだ把握してないんで」

「そうですか……じゃあ、見学に行きましょう!」

 

 こうして、自分の部活動見学が決まった。なぜ、こんなことになったのか。話は冒頭の台詞の10秒前に遡る    

 いや、10秒前なら最初から出しとけよ。

 

「そう言えば、今日から部活動見学やってますね」

 

 回想終了。回想のシステムが酷い。

 ちなみにだが、今は今日の授業が全て終わって、LHRも終わって、掃除中だ。これが終わったら部活動見学だ。楽で助かる。いや、何がとは言わないけど。

 ふぅーっと大きく息を吐いて、制服の袖で額を拭う。

 

「はい、掃除おしまい!」

 

 展開が早くて助かる。誰が助かるんだよ。

 チャカチャカと荷物と365秒分の出来事を鞄に詰め込める。

 神崎さんがピョンピョンと跳ねながら自分を待っている。スカートは捲れなかった。コンプライアンスに配慮している。跳ね過ぎてリノリウムの床が抜けていた。それをそこはかとなく注意すると、空中で跳ね始めた。スカートは捲れなかった。コンプライアンスにも配慮している。

 

「じゃあ、行きますか。どこから行きます?」

「絶対に行きそうにない所!」

 

 それは冷やかしじゃないのだろうか。自分はやたらとテンション高めの神崎さんに引き摺られた。

 

「まずはここです!」

 

 神崎さんがストップしたのは、とある広めの教室の前。そこの札には『音楽室』と書かれていた。なるほど。吹奏楽部か。確かに、絶対に入らなそうな部だ。

 神崎さんは教室のドアをノックする。コッココココココ、コッコと何やら聞き覚えのあるリズムだった。

 神崎さんの顔を見ると、ニヤニヤと笑みを浮かべていた。視線に気付いたのか、神崎さんは自分の方をチラッと一瞥すると呟いた。

 

「笑点……!」

 

 神崎さんは阿呆だった。

 教室のドアが開いた。ドアの向こうからは背の高い男子生徒が出てきた。男子生徒は自分達の姿を確認するとワンテンポ置いて笑った。

 

「君達、新入生!?」

「あ、はい」

「いやぁあ! ようこそようこそ歓迎するよー!」

 

 謎にテンションの高い上級生(暫定)に連れられて、謎にテンションの高い神崎さんが教室に入っていく。自分も後に続いた。

 教室の中はいた<て普通の音楽室、という感じだった。タイトル回収完了。

 ピアノがあって、段差があって、大きめの窓があって、ベートーベンとかの肖像画が飾られていて、端っこにチョコンと置いてある小さな棚に教科書が詰め込まれ、一番上の段に魚を飼育している水槽があって……普通だ。自分は安心した。

 上級生(暫定)は椅子を二脚引き摺って来た。上級生(暫定)は一度だけ深呼吸をして言った。

 

「えーと、体験……する?」

「【自主規制】ですか?」

 

 場が凍った。

 自分は神崎さんを肘でチョンチョンした。

 

「冗談です」

「お、おう……そうだよね……」

「私、3Pはそんなに好きじゃないので」

 

 場が凍った。

 自分は神崎さんを肘でチョンチョンした。

 

「冗談です」

「は、はは……面白いねぇ……君達は…………ははは」

「いえいえ」

 

 自分も同類だと見なされていた。

 やめてくれ、神埼さん。別に下ネタのことではない。これ以上、ボケ成分を増やさないで欲しいのだ。上級生(暫定)は完全に引いていた。椅子ぐらい引いていた。ピアノは誰も弾いていなかった。

 上級生(暫定)はもう一度、大きく深呼吸をして言った。

 

「我が部の活動内容を話すね。まず、朝が毎日あります。皆の調子を確認するためです」

 

 意外とガチってそうだった。吹奏楽部ってガチってる所はガチってるからなぁ、と思った。

 ……ん? 吹奏楽部で朝練……?

 隣を見ると神崎さんも自分と同じような顔をしていた。

 

「スイ部で朝練って迷惑じゃないですか?」

「あぁ、それは大丈夫だよ。朝は朝御飯を皆が食べるだけだからね」

「……なるほど」

 

 ヤバい部活臭が突然漂ってきた。何だ、朝御飯を食べるって。怖いぞ。上級生(暫定)以外の部員の姿が見えない事と新入生が来た事を喜んでいた上級生(暫定)……見えてきた。

 

「平日も部活は欠かさないよ」

「毎日ですか?」

「うん。皆を観察しあって、体調が優れないものがいたら、すぐさま行動するんだ。勿論、お昼休みにも皆にご飯さ。それと掃除も毎日するし、買い出しにも行く。温度調整もバッチリさ」

「…………なるほど」

 

 完全にヤバい感じだった。何の説明をしているのかサッパリ過ぎる。

 皆を観察って何だ。ディストピアか?

 このままここにいたらヤバい。直感が告げていた。

 

「……あ、もう自分達、時間なんで……」

「お、そうか。じゃあ興味あったら入部してくれよ!」

「あ、はい」

「何せ我が水槽部は部員が二人しかいないからな!」

「はい……はい?」

 

 自分と神崎さんは教室を出た。

 神崎さんの横顔は想像した通りの顔だった。人間、横顔は素直になる。誤魔化せるのは正面顔だけ。

 多分、神崎さんは今、自分と同じことを思っているだろう。

 二人して大きく溜め息を吐いた。

 

「クソみたいなオチ!!」

 

 どんとびーあっぷせっと。

 怒るな怒るな興奮するな。

 冷静になれ。

 そして落ち着け。

 

 

続く...
  

─────

TSUDUKUNA

 

 


 

 

次回の……ラブコメジャーは!!

 

部活見学! ドア全開! ドーン!!

 

行っても、言っても、運動部!!

 

いきなり真剣勝負!?

 

くっそー……こっから逆転全開だ!!

 

第9カイ!

『結局毎カイこんなんカイ!』

ダッチュン!!

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