二年という月日が経ち、昔のことを思い出していた。
その話を綴った物語。
あの日から二年の月日が経った。
陽菜を助け、事務所のマネージャーとしての二年。
俺はまほろの担当マネージャーになっていた。
「あれから二年。早いな。」
「確かに、そうだね。でも、あんたといた時間楽しかったけどね。」
まほろはそう言いつつ、こちらを見つめる。
「そうか?そう言ってくれるなら嬉しいんだけど。」
「でも、あんたがときどき前のマネージャーからもらってくる仕事は嫌だったけどね。」
「あはは、あれは許してくれよ...。」
月の明かりはただきれいに光っていた。
春の代名詞とも言える桜を照らしていた。
「この夜桜きれい...。写真撮って莉子に送っとこ。」
満開の桜の花の間から見える月。
桜の花が薄いのか、月明かりが強いのかわからないが、花に透けて見えるようだった。
「あぁ、きれいだ。」
それを眺める時間はとても長く思えた。
ただそれを眺めているだけで、変な気持ちになり、お互いに黙ってしまった。
今思えば、あの日にみんなと出会ってから色々生活が変わったなって思う。
もともと積極的に行動する方だとは思っていたが、まさかこんな風に声優のマネージャーになるとは思いもしなかった。
最初の頃の収録のときに桐香先生に怒られたりしたっけ。確か飲み物は水にしなさいって言われた気がする。
今思うと懐かしいなぁ...。
それと、みんなとの出来事を文章にしてみたり。マネージャーとして以外にも色々知れたし、できた部分があったと思う。
「ねぇ、マネージャー。」
「ん?どうした?」
「まほろって、一流の声優になれるのかな?」
「......自分と最後まで付き合うのは、結局自分自身。自分を信じて演技していってくれ。まほろならできるって信じてる。」
俺がそう言うと、まほろは目を丸くし、こちらを見る。
「なんで、マネージャーがそれ知ってんのよ?」
「え?」
「その...『自分と最後まで付き合うのは、結局自分自身』っていうの。」
「さぁ...?なんでかな。」
俺はまほろの方から月へと視線を移す。
まほろも同じように月に顔を向ける。
だけど、まほろの意識はこちらにあるようにも感じた。
静かに弱い風が通り過ぎる。桜の花は風の方向に動く。桜の花は風に拾われ、飛んでいく。
あの16人かのように、あの桜の花たちは飛び立っていく。
桜の花に意識がいっていると、まほろが再び月の写真を撮った。
「なんで、もう一枚撮ったんだ?」
「マネージャー用。」
まほろのスマホの画面にはその写真が写っていた。
そこには美しく輝く月と、赤い風船が映っていた。
ご読了ありがとうございます。
作者の塩ボウズです。
実を言うと、今日4月25日で創作を始めて二年になります。
今までずっと読んでくれてありがとうございます。
皆様のことがあってこそ、この活動を続けることが出来ました。
これからも、日々精進してさらに腕をあげていこうと思うので、よろしくお願いします!!