ウマ娘に転生したけど影も踏めなそうな娘と同世代だった件 作:アザミマーン
はい、忙しかったというのもありますが、大体デジたんが完成しないせいです。
あ、ぼざろ見てたせいでもあります。面白かった…
今回は幕間です。カイチョーのお掃除回です。
ざまぁ展開とかあんまり得意じゃないので上手くかけているかは分かりませんが…
ではどうぞ。
日本ダービー前日
「分かった」
生徒会室のソファーに腰掛けた中森トレーナーが了承する。
シンボリルドルフは、自分が話を持ちかけたとは言え、やけに素直な中森トレーナーに困惑していた。
「よろしいのですか? 中森トレーナーも思うところがあるでしょう。メディアへの規制を緩めるなんて…」
「うん。…正直なところ、僕自身の気持ちとしては一生許したくはない。名家からの圧力がかけられていたとはいえ、それに応じたのはメディア各社だからね。もしメトゥスが普通のウマ娘だったら、あのまま潰されていたっておかしくはなかった」
シンボリルドルフに問われた中森は、頷きつつも心情を吐露する。
ホープフルで新聞社がウルサメトゥスに対してやったことは中森にとって到底許せるものではない。腸が煮え繰り返るような思いをしていたというのは、話に聞くだけだったシンボリルドルフでも容易に想像できたことだった。もしそれをやられたのが自分だったとしたら、きっと自らのトレーナーは黙っていなかっただろう。
「でも、このまま情報を封鎖したとして。それで最終的に不利を被ってしまうのはメトゥスだ。皐月まではナリタブライアンが今期のクラシックで最も注目を浴びていて、実際に最強だった。だから裏でメディアに圧力がかかっていても一般の方々にはそこまで不自然に思われていなかっただろうね」
「しかし皐月であの子は実力を見せつけた」
「そうだ。そしてトゥインクル以外、そのことに不自然に触れていないメディア。ダービー前の記事でも同じだね。流石にメトゥスが書かれていないとおかしいと思う人も出てくるはずだ。その中には、こちらの事情なんて知らない人も居る」
中森が何を言いたいのか、マスコミや名家をよく知るシンボリルドルフはすぐに理解した。
「なるほど、マスコミにその何も知らない人たちを利用されることを避けたいと」
中森は再び頷いた。
ホープフルの新聞の件を知っている関係者たちは、メディアがウルサメトゥスに触れられない理由も知っているか察している。だからウルサメトゥスが触れられていなくても何も言わない。
しかし一般人はそうもいかない。何故実力があるウマ娘がインタビューされないのか。その理由をマスコミの問題と捉えてくれればいい。それをウマ娘側の問題と捉えられてしまうと、途端に厳しくなってしまう。
「メトゥスも僕も、なんの後ろ盾もない。マスコミや名家が協力して僕たちの悪い噂を流したら? いくらトレセン学園やシンボリ家で止めても、もはや流れは止められないだろう。世論を味方につけるのは、彼らの得意技だろうから」
「だから今のタイミングでそうなることを止める。向こうの不満が爆発する前に」
「うん。というか、シンボリルドルフもそれを見越して僕にこの話を持ちかけてきたんでしょ?」
察しの良いトレーナーだと、シンボリルドルフは感心した。
確かにシンボリルドルフはそのつもりだった。しかし中森はトレーナーの名門出身というわけではないので、そこまで理解されているとは思わなかったのだ。
「その通りです。しかし、中森トレーナーもそこまで予想できているなら、この後の展開も分かっているのでは?」
「そうだね…。爆発を止められるなら今が限界だけど、マスコミがどうしてもメトゥスに食いつきたいくらいに話題性がないと、止められないってことかな」
「ええ。彼らも鬱憤は溜まっているでしょう。今回の日本ダービーでウルサメトゥスが結果を残せなければ、土台からひっくり返る」
皐月賞でナリタブライアンに次ぐ二着を獲り、ナリタブライアンからも注目されているウルサメトゥスは、今はメディアも注目している。
しかし続く日本ダービーで大敗したり無難な結果に終わってしまえば、マスコミはウルサメトゥスを叩くことも考えられる。これまでの扱いに対して逆恨みし、さらに世論を味方につけて。
「そうなれば今度こそ彼らは調子に乗り、我々でも止めることは難しくなる。一番無難な対応は、ダービーの結果が出る前である今、これまでの対応をお互い様として、各社に『仲違いは無かった』という通達をすることです」
「そうだね。まぁメトゥスはマスコミの対応に関して特に何も思っていないから、それもアリだとは思う」
シンボリルドルフの提案に対し、中森は一定の理解を示す。
ただ、出した回答は別のものだった。
「でもそうはしない。これを機に付き合い方は変えるけど、どうせならこっちが有利を握っていたいしね」
「しかし、先ほども言いましたがそれはウルサメトゥスが好成績を残すことが前提の話です」
「メトゥスはやるよ」
あくまで論理的に話を重ねるシンボリルドルフに、中森は断言した。
そこには、担当ウマ娘に対する絶対的な信頼と自信があった。
「別に何の根拠もないわけじゃないよ。ここ最近のトレーニングとあの子の成長を見て、他のウマ娘たちの成長の予想と比較してね。…そうだな。メトゥスなら確実に二着以内に入ると断言できるよ」
「そこは一着じゃないのか?」
「ナリタブライアンの爆発力だけはちょっと読み切れないからね…。僕の贔屓目だけなら確実にメトゥスが一着なんだけど」
言い切れないことに中森は苦笑した。そして表情を真剣なものに戻し、シンボリルドルフに確認する。
「そういう訳だ、メトゥスはやる。そして…後のことは、頼っても良いんだね?」
「勿論だ。ウルサメトゥス君が結果を残した暁には、シンボリ家が後ろに付こう。理事長にも話を通してある、トレセン学園も今までよりもっと力を入れてくれる」
「そうか。…これで僕も、少しはトレーナーとしてメトゥスの役に立てたかな」
安堵の息を吐く中森に、シンボリルドルフは内心呆れる。
(貴方ほどのトレーナーが役に立っていないならば、中央に所属するトレーナーですら大半が役立たずになってしまうのだが。まぁ、ではこちらもウル君が良い結果を残すことを前提として動くか。一応ダメだった時の案も考えておこう)
口には出さず、茶を啜りながらシンボリルドルフは次の一手と新たな駄洒落を考え始めた。
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かくして、ウルサメトゥスは中森の宣言通り日本ダービーを二着という好成績で終えた。それも大差ではなく、ハナ差の激戦だ。
その十分な功績を手に、マスコミ方面を任された秋川理事長と秘書の駿川たづなは嬉々としてマスメディア各社に
(考えていたプランの片方は無駄になったな。まぁ、中森トレーナーの言った通りだったということか)
そしてシンボリルドルフは、一連の元凶である名家の主犯格たちを一堂に集めていた。
「皆様、この度はお集まり頂きありがとうございます」
シンボリルドルフは礼儀正しく、しかし表情は全く動かさずに招待者たちを歓迎する。集められた面々はそんな不穏な空気には気づかず、笑顔でシンボリルドルフを迎えた。
「おお、シンボリルドルフさん。今回はお招き頂き有難うございます。して、我々に何か用でしたかな? 実は何も伺っていないのですが…」
朗らかな笑いにも、シンボリルドルフはやはりピクリとも表情を動かさない。
流石に不審に思ったのか、名家の一人が問いかける。
「シンボリルドルフさん…?」
「本当に分からないのですか?」
「はぁ、さっぱり…」
「そうですか…」
シンボリルドルフは、ここに集まった者の中で誰か一人でも要件を察し、謝罪してきたならまだ更生の余地はあると思っていた。しかし、シンボリルドルフの大方の予想通り、誰も何も分かっていなかった。
だから、シンボリルドルフも予定通り、ことを進め始める。
「では。単刀直入に言わせて貰います。これは私個人の言葉ではなく、シンボリ家の当主代行としての言葉です」
シンボリルドルフの雰囲気が一変する。それは先程までの一人のウマ娘の気配ではない。
多くのレースを制してきた、皇帝の姿がそこにあった。
バチリ、バチリと稲妻が光り、音を立てて足元を通り抜ける。実際にはそんなもの発しているはずがないのだが、ここに集まった全員がそれを認識していた。
シンボリルドルフが懐から封書を取り出し、中身を読み上げる。
「あなた方には今後、ウマ娘に関連するあらゆる仕事、指示を禁じます。当主であるものは次の当主を立て、即座に隠居すること。
以上です」
「なっ!?」
その一言に、全員がどよめく。そして事態を認識したものたちから怒号が上がった。
「ふざけるな!」
「何の権利があるんだ?!」
「認められる訳ないだろう!!」
「
決して大きな声ではない。しかし、ドスの効いた低い声は、シンボリルドルフの怒りを如実に表していた。
「先に言ったはずだ。シンボリ家の当主としての言葉だと。貴様らはこれで終わりだ。これは名家を取りまとめるメジロとシンボリ、その両者で協議した結論だ。決定事項だ。覆ることはない。
繰り返すぞ。
貴様らは、ここで、終わりだ」
断言するシンボリルドルフに、抗議の声が止まる。止めたくて止めたのではなく、殺気に近い強烈なプレッシャーのせいで止めざるを得なかったのだ。
声が、動きが、息すら止まる。
しかし、伊達に名家というわけではない。集められた名家の中でもリーダー格の男が屈せずに声を荒げた。
「何を言っている?! 我々がこれまでどれだけこの界隈に尽くしてきたと思っているんだ!! 第一、理由も分からずにそんな一方的な勧告が受け入れられる訳ないだろう!?」
「理由か…それに、尽くしてきた、ねぇ」
大の大人の男の詰め寄りにも、シンボリルドルフはどこ吹く風で呆れた表情を崩さない。挙げ句の果てには目の前の男を嘲笑するように態とらしいため息をこぼした。
その様子にリーダー格は思わず手を振り上げた。
「貴様っ…!」
しかしそれも、シンボリルドルフの一言で止まる。
「このウマ娘業界に多大な不利益をもたらしかけた。それが理由では不十分か?」
「…何だと?」
シンボリルドルフは前に一歩踏み出す。それと同時に、リーダー格の男の目の前に轟音を立てて雷が落ちる。
へたりこむ男を見下ろしながら、シンボリルドルフは言葉の一つ一つに怒りを込めて、しかしそれでいて静かに話す。
「貴様らがマスコミに圧力をかけてまで妨害していた、ウルサメトゥスというウマ娘を覚えているか? …覚えていないか。貴様らが一般家庭出身のウマ娘を妨害しているのは今に始まった事ではないから仕方ないか。何故知っているか? そんなもの調べればすぐに分かるからに決まっているだろう愚か者どもが。シンボリを無礼るなよ。
…まぁ、今までは表に出なかったからね。一般家庭出身のウマ娘たちに連続して結果を出せるほどの実力がなかったから、こちらとしても手を出し辛かったというのはある。貴様らも一応名家だからね、下手に手を出して潰すような事態はできるだけ避けたかったんだよ。そう、できるだけね。だが、逆に言えば貴様らが生かされていたのはそれだけの理由だ。もし妨害していたウマ娘が利益を生みそうならばそちらを優先する、当然のことだろう?
そしてあの子、ウルサメトゥス君はお前たちの妨害も全く気にせず、淡々と結果を積み重ねてきた。ホープフルで一着、皐月で二着、そして今回のダービーであのナリタブライアンを相手にハナ差の二着。分かるかい? 今、世間があの子に注目している。あの子を起爆剤にすれば、汚い話だが多くの金が動く。この業界に利益しかない。つまり、それを邪魔するような輩はこの世界に要らないんだ。
よくもまぁこれでこの界隈に尽くしてきたなんて妄言が吐けたものだ。
今までは、言うなればちょっとした
そういうわけで既に貴様らの居場所はない。さっさと後続に席を譲れ」
シンボリルドルフが言葉を放つたび、重ねるたびに雷が迸り、時に聴衆を貫いていく。話が終わったとき、最早シンボリルドルフに反抗できるような気概を持った者はいなかった。
「私からは以上だ。さっさと帰るといい」
返ってくる言葉は無い。全員が放心状態だった。
シンボリルドルフは冷めた目でそれを一瞥し、場を後にした。
「これで少しはキミの競技生活が良くなることを祈っているよ、ウルサメトゥス君。
リッキーは完成、推しの子も一応完成、あとはデジたんだけ…あぁお嬢が電光石火くれれば完成してたのに…塩対応。
ぼざろ二次とかメイドインアビス二次とかも描きたみはあるけど何もアイデア思いつかんね。
ちなみに日本ダービーどっちが勝つと思ってましたか?
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ウルサメトゥス
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ナリタブライアン