転生をしてみた。
ならば原作介入だろ!!………なんてイキってた自分に送りたい言葉がある。
改変したら、その分の皺寄せってものが絶対に来る筈だ。
自分は大丈夫?
その自信がどこまで持つのか俺も楽しみにしているよ。

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FF7のもしもシリーズを見て書きました。
いくつものもしもを含めて書いてみた妄想爆発の厨ニ作品です。
数年前に書き殴った小説でリメイクの設定が入っておりません。
リメイク前に書いた小説であり、時系列がだいぶ錯綜しております。
それでもよろしければ本文へとお進みください。



よろしいですか?



それでは原作介入を試みた一人の転生者の物語をご覧ください。


アウターソルジャー〜安易な原作改変にはご注意を〜

 

「助けてくれ!!!」

 

そう言って俺は仲間達に手を伸ばす。

緑色の光が溢れる不思議な空間で、重力なんて存在しないかのように浮かび上がる大小様々な岩の上にいる仲間達。

苦楽を共にした戦友である仲間達に対して伸ばされた手は………

 

「お、おい。あれ……いいのか?」

 

「バレット、俺は興味ないね」

 

「えぇ………、それは酷いんじゃないかクラウド?」

 

「ザックスの言う通りだと思うけどなぁ」

 

「そうよクラウド、エアリスの言う通りでしょ?まぁ…ちょっと同情しちゃうけど………」

 

「うっわぁ〜、凄い勢いで絡み付かれてるよあれ……」

 

上から俺の頼れる筈の仲間であるバレット、クラウド、ザックス、エアリス、ティファ、ユフィの会話である。

誰も俺の手を取ろうとはしない。

もういい、コイツ等には助けを求めない。

そう思って反対側に視線を向けると………

 

「おおい!!どうしたんだヴィンセント!!どっか悪いのか?!」

 

「すまないルクレツィア………あの子は死んだんだ………死んでしまったんだよ………」

 

「あきまへん!!ヴィンセントはんが!!ヴィンセントはんの心が壊れてまいます!!」

 

「え?え?ど、どうすればいいのさこれ………」

 

その場に跪き頭を抱えてブツブツと呟くヴィンセントに心配して駆け寄るシド、ケット・シー、そしてオロオロするばかりのレッドXIIIことナナキ。

もはやカオスな様相を呈している。

とてもじゃないが、助けを求められそうにない。

 

「フフフ♪もう離さない♡さぁ………私とリユニオンしよう?」

 

「ヒェッ!?」

 

俺には絡み付くように抱きつくソイツは………まるで爬虫類の目のように縦長の瞳をクワッ!!っと見開いてこちらを見つめる。

めっちゃ怖いんだが!?

 

「いや、お前、こんなんで良いのか!?最終決戦だろ?!これから最終決戦が今から始まるんだろ!?」

 

俺の叫びにコイツは全く意に返さないかのようにゾッとする程に整った美貌の顔で微笑みながら………

 

 

 

「貴方がここに居るからする必要がない♡」

 

 

 

そう言って俺から離れる隙間が許せないとばかりに、更に密着してくる。

しかもコイツ………語尾にハート付けるレベルの甘い声を出して俺の耳元で囁やきやがった………

いや、よく聞きていたクールな感じの声とは違う、凄い耳が幸せになるような声色に俺の膝が崩れ落ちそうになる。

 

どうして………どうしてこうなったんだ………

 

俺は天を仰ぎながらこんな筈ではなかったというやるせない思いを込めて叫ぶ。

 

 

 

「セフィリアァァァァァァァァァァァァ!!!!!」

 

 

 

そんな俺の慟哭を、自身の名前を叫ぶ俺を見た"彼女"はニコリと蠱惑的な笑みを浮かべて

 

「はぁい♡」

 

生まれたままの姿で俺に絡み付き、耳がこそばゆくなる程の甘い声で返事をするのだった。

 

 

 

きっかけは俺が、このFINAL FANTASY VIIの世界へと転生したことだろうか?

目が覚めたらデカいカプセルの培養液の中で、クソダサ眼鏡を掛けたボサボサ黒髪の若いのにフケ顔マッドがクックックと笑いながらこっちを見ていた。

その瞬間分かった。

 

ここがFF7の世界だと。

 

そんな訳で始まった第二の人生。

しかも舞台は神羅カンパニーが、神羅製作所と呼ばれていた原作からかなり前の時間軸。

これなら原作改変イケるだろ!!

俺の前世は人生初のRPGがFF7で、突然訪れた鬱展開を悲しんだ世代のしがないサラリーマンだった。

ならば………この世界に転生した自分に出来るのは、あの悲しい出来事が起きないようにする原作改変だ!!

そう思った俺は………片っ端から原作に介入してやると誓った。

 

まぁ俺Tueeeしたくてイキっていたとも言うが。

 

幸いにも俺の身体はプロトタイプのソルジャーとして試作的に造られたもの。

ジェノバの細胞を植え付け、魔晄エネルギーを打ち込んだだけのお手軽な施術でそこら辺の一般人から見繕って(タークスによる拉致)行った実験だったらしい。

………俺以外の候補者がどうなったのかはまぁ………察してくれ。

 

だが転生者としての特典なのか、はたまた奇跡が起きたのか。

それは分からないが適合してそのお陰で普通にソルジャーとしての力は手に入ったし、G系ソルジャーなんかが起こす劣化も起こる様子は見られず、なんなら原作のクラス1stの連中程度には俺の身体は強かった。

まぁ俺が完成した時には、クラスなんて定義は無かったんだけどな。

 

そこから始まる俺の明るい未来にレッツ・ゴーな原作改変計画は……マジで無理無茶無謀の三拍子が綺麗に揃ったムリゲーだった。

まず首輪を付けられたし、ボタン一つで首から上が消し飛ぶ程の威力を持った最高にイカれたヤツを。

神羅に対して反抗した瞬間、即座に頭がポンッですよ。

まぁそうだよな。

いきなり拉致って造った存在に忠誠心があるなんて思わないのは当然だ。

その為に首輪をかけるのは仕方のない事だろう。

 

だが俺は諦めなかった。

任務で功績を積めば或いは………と思っていたのだが……

神羅というものはそんなに甘くなかった。

ヤクザの地上げ屋の如く魔晄が湧く場所へ取り立てに行って、最初は交渉、拗れたら暴力で解決する。

もちろんその暴力装置はソルジャーとなった俺である………クソかな?

飼い犬状態の俺はそんなヤクザ的な仕事を続け、怨み辛みが凝り固まって結成された反神羅組織のアバランチや魔晄炉建設反対派の過激派とドンパチを続ける事になる。

 

暫くして出来た階級のクラス1st内で最強とまで言われる程に経験を積みつつ戦い続けていたら、タークスの面々と仲良くなって原作で主任だったツォンの前任者とも仲良くなれた事は良かった………と思っていたら、なんかヤベー事件起きてて主任がツォンに変わったのは本当に驚いた出来事の一つだ。

 

たぶん前世のガラケーのゲームにあった外伝作品の話だったのだと思うのだが、あの頃はガラケーを持っていなかったのもあってそのゲームには手を出しておらず、始まりやどういう内容だったのか分からなかったから何も出来なかったのだ。

最初の原作改変は失敗した。

でもな?

それよりも前の時期に本流である原作の一部分には関われたぞ?

その関われた部分というのが、ウータイとの戦争が始まる前にやって来た俺の一番弟子であり、妹分となるセフィリア………つまりFF7のラスボスとなるセフィロスの別性体、TSした存在だった。

 

いや、ラスボスがTSしていたのは驚いた。

俺という存在が生まれた時点で今更だと折り合いを付けたのだが………

あのマッドがいきなり貫頭衣を着た10歳の銀髪翠眼美少女だったセフィリアを連れて俺の下へやって来たかと思うと

 

「現クラス1st最強と呼ばれる君なら、私の最高傑作を更に至高の存在にしてくれるだろう?」

 

「…………」

 

あの気持ち悪いドヤ顔でそう言い、無表情で無反応のセフィリアを押し付けてきたのだ。

持っていた支給品のロングソードでアイツを叩き斬らなかった俺を褒めて欲しい。

今の彼女は親代わりだったガスト博士から離れて不安に押し潰されそうになっているかもしれない。

まだ子供だぞ?

しかも女の子だ!!

まるで実験動物みたいな………こんな酷い扱いをしてやがって………

こんなの子供が浮かべていい表情じゃない。

そして何よりもこんな血生臭い世界にこんな子供を巻き込むのかと思うと、本当に遣る瀬無かった。

 

「絶対に死なせないぞ………セフィリア、君を強くしてみせる。必ずだ!!」

 

「…………はい」

 

親の愛を知らないセフィリアの無感情な返事に思わず拳を握ってしまう俺だったが、それからは俺が彼女の家族として振る舞いながら鍛え続ける事に。

あの時は、やり場の無い怒りから来る義憤と勝手な同情を彼女に押し付けてしまっていたのだが………後悔はしていない。

結果的にそれが良い方向へと向かっていったからこそ今更ながら言えることなんだがね。

 

そして俺は原作知識から数年後にウータイとの戦争が始まり、彼女が英雄と呼ばれるまで強くなるのは知っている。

本当に身勝手な俺からの余計なお世話ではあるのだが、それまでの間に彼女に人の温かさを知ってもらいたいと思っていた。

 

セフィリアがセフィロスの別性体である以上、原作の設定では最年少でソルジャーとなる事はある程度知ってはいる。

だけど人と関わる事で得られる温もりや肉親からの愛情を受けられないなんて………そんなの絶対間違っていると心の底から思ってしまっていたんだ。

比較的平和な世界だった前世の常識なんかからの俺の一方通行な思いなんだけどさ。

 

そう思った俺は彼女の兄のように構い、話し、甘やかし、タークスが影から監視しているのが分かっていながらも、ミッドガルの街へと連れて行ったりもした。

社内の女性社員に恥を忍んでセフィリアの為に必要な知識を教えてもらい、私服や小物に必需品を買い与えていく。

 

怒涛の如く言い渡される任務の合間を縫って、赴任地からのお土産を買って帰ったし、誕生日だって忘れずに必ず帰還して祝った。

そのお陰なのか最初は反応も薄く、困惑していたセフィリアも徐々にではあったが笑顔を見せるようになり、甘えてくるようになって立ち振る舞いも人間らしくなっていったのだ。

そんな年相応の少女へと変わり、甘えてくる彼女を見ていた俺も、まるで本当の妹が出来たみたいで嬉しくなっていった。

 

そこからはもう………甘やかしに甘やかしたのは言うまでもない。

だって長い銀髪で翠眼の誰もが認めるような絶世の美少女やぞ!?

そんな娘が慕って甘えてきたら誰だって陥落するに決まっとるやろがい!!

 

 

「セフィ、次の休みはどうする?この前言ってた海水浴しにコスタ・デル・ソルに行こうか?それともチョコボを見にチョコボファームへ行こうか?」

 

「兄さんと一緒ならどこにでも行きたいです」

 

「そうか?なら………おいツォン、ヘリを出してくれ。セフィとチョコボファームでチョコボと触れ合った後にコスタ・デル・ソルで海水浴してくる」

 

「……私用でヘリを出せと?」

 

「ちょっとだけだ。視察だよ視察。別にいいだろ?」

 

「はぁ…………この兄バカは………」

 

「お?褒めるなよ恥ずかしい」

 

「はぁ…………」

 

こんな感じでツォンを振り回しながらセフィリアに激甘な俺は彼女と厳しい訓練を続けつつも、何気ない日常を過ごせるようにしてきたのだった。

 

そして遂にウータイとの戦争が始まる。

 

そこでセフィリアはまさに無双とも呼べる大活躍。

戦争が始まる前までクラス1st最強と呼ばれた俺なんか目じゃないくらいの活躍を見せて一躍有名人へ。

成長するに従ってますます磨きの掛かった美貌や均整の取れた世の女性が羨むような圧倒的なセクシーボディも相まり、速攻でファンクラブが出来上がった程だ。

 

俺のファンクラブ?

きょ、興味無いね(震え声)

とにかく英雄セフィリアの名声に惹かれて、ソルジャーになろうと、英雄になろうと集まる若者達が激増。

その中には外伝作品で、皆の涙腺崩壊ゲーと化したクライシスコアのメインキャラであるジェネシスとアンジールの姿もあった。

 

幸運な事にこの頃になると、もはや付ける必要は無いと判断されたのか俺の首輪も外されて自由に動ける範囲が広がる事に。

だから俺はより一層セフィリアやジェネシス、アンジールに構うようになり、交友を深めていった。

 

そうした毎日の中でアンジールやジェネシスはとうとうクラス1stへと昇格し、ジェネシスからの提案でクラス1stの服装が通常のソルジャーの物ではなく、自由に選べるようになって前世で見たあの服装になったのも、原作ファンであった俺からすると感慨深い気持ちになる。

 

セフィリアも服装が変わって、代名詞のあの黒色コートを着ているものの、中はベルトでバッテンしただけの半裸にズボンの格好ではなく、腰にベルトの付いた黒色のフリル付きのロングワンピースを着ていた。

だがな?

兄としてはちょっと胸元の布地が足りないような気がするんだが………

北半球が出てるとか、ちょっと見せ過ぎじゃないのか?

確かに似合ってて良いんだけどさ。

もちろん記念の写真は沢山撮らせて頂きました。

おかげでアルバムが更に増える事になりそうです。

 

「ようジェネシス、またLOVELESS読んでるのか?」

 

「ああ、貴方か。LOVELESSは本当に良い物語だよ。この語られる内容の中に散りばめられる謎がなんとも言えない魅力を放って俺を離してくれないんだ」

 

「………聞かされるこっちも暗記出来る程に覚えてしまったがな」

 

「アンジールの言う通りです。兄さんからも言ってください」

 

「ははは、夢中になれるものがあるってのは良い事だろ?ジェネシスはLOVELESSの魅力に嵌って、抜け出せなくなるほどに愛しているって事さ」

 

「あ、愛して!?」

 

「………セフィリア、お前の兄はお前に対して言ったんじゃないぞ?ジェネシスのLOVELESSに対しての思いの話だ」

 

「…………少しくらい余韻に浸らせて」

 

「これが英雄セフィリアかと思うと………随分と人間味を感じるものだな」

 

「そうだろジェネシス、うちの妹はカワイイだろ?」

 

「「出たなシスコン」」

 

「そう褒めるな」

 

満足気に笑う俺を見ながら肩を竦めるジェネシスとアンジール。

そして何かを噛み締めるような表情のセフィリア。

他愛のない会話。

そんな交流が俺達を非日常である戦場から日常へと引き戻す。

こんな毎日がずっと続いていくのだと皆が信じていた。

 

そして現れる次の世代。

 

「俺、ザックスって言います。あの英雄セフィリアの師匠だった人ですよね?これからよろしくお願いします!!」

 

「………そうか、そんな時期か」

 

「え?」

 

「いや、なんでもない。ようこそ新米ソルジャーザックス。歓迎するぞ」

 

時代が移ろいゆくのをその身に感じ取りながら、俺は次の世代への育成を開始する。

もはや古参兵と言ってもいい俺を慕う仲間達に囲まれて満足しつつも、原作改変を諦めない。

ここからだ。

ここから始まる。

 

原作の始まりとなった物語がここから始まるのだ。

 

その事に随分時間がかかったと感じながらも、どうやって原作へと介入するのかを考えた。

まあ、最初にやる事は決まっている。

 

「はぁ………」

 

「どうした?そんなに深い溜め息を吐いて」

 

「え?あ!?」

 

「ソルジャー適性検査の………不合格通知か」

 

「あ、いや、その…………はい」

 

神羅カンパニーとなった会社のビルのロビーの端にいる、ガッカリした様子で項垂れる金髪でツンツンヘアーな原作主人公が見えた。

ちょうどウータイ戦争が終わりそうな気配を見せた時期にやって来た彼を、俺は魔改造する事から原作改変を始めようと考えたのだ。

上手くいくのかは未知数だけど、やらないよりは良いと思う程度だったんだけどな。

 

「ふむ、剣を握ったことは?」

 

「え、な、無いです」

 

「そうなのか?よし、俺に着いて来てくれ」

 

「はぁ……」

 

確か原作ではメンタルが豆腐だったからこそ、ジェノバ細胞による精神干渉に耐えられないという事で不合格だったクラウド。

ならば俺が鍛える事で、豆腐メンタルから脱却出来るのでは?

とにかく彼に自信を付けさせて鍛え上げれば、後の物語でも知られているような文字通りのクラス1stを超えたソルジャーへと進化出来る筈。

 

そんな打算で彼に声を掛け、俺が治安維持部門の連中に彼の身を預かる事を伝えて無理に引き抜いた。

その後、英雄セフィリアを鍛え上げたソルジャーが元一般兵士候補生をしばき倒すという光景が訓練ルームで見られる事となった。

周りからはあの英雄セフィリアを鍛え上げたソルジャーから見込まれた候補生だと、クラウドは一目置かれる立場へと移る事となる。

 

「よし、今日はコレを使って訓練を行うぞ」

 

「え、それって………」

 

「クラウド、お前の適性は剣なんだが………複数の大きさが違う剣を扱える程に多彩だ。だから我社の兵器開発部門の倉庫で眠ってたこの合体剣を用意した。お前専用の装備だぞ?」

 

「いや、それは嬉しいけど………ソルジャーじゃない俺じゃ持てな……」

 

「じゃあ今日も頑張っていこうか」

 

「…………誰か………助けてくれ」

 

そんなこんなで厳しく訓練を続け、ウータイ戦争終盤頃までにはなんとかクラウドをソルジャー クラス3rdにする事に成功したのだった。

ちなみに俺がクラウドに目を掛けていると知ったセフィリアが………

 

「君が、クラウド?」

 

「英雄…セフィリア!?本物の!?」

 

「構えて」

 

「へ?ちょわっ!?ぬぁ!?」

 

「反応が遅い。兄さんの一番弟子は私だから」

 

「おー、セフィリアがクラウドの稽古付けてくれてるのか。姉弟子としてしっかり頼むぞー」

 

「なあアンジール、あれ………」

 

「見るなザックス。アレは俺達とは無関係だ」

 

「誰か!!!誰か助けてくれぇぇぇええええええ!!!」

 

姉弟子としてクラウドが嬉しい悲鳴を上げるほどに稽古してくれたのは誤算だったのだが。

それを恐る恐るといった様子で指差すザックスとそっぽを向いたアンジールが居たとかなんとか。

そんな毎日を過ごしていたら、クラウドとザックスが仲良くなって親友となり、そこからアンジールとも訓練したり、ジェネシスが兄弟弟子の稽古をセフィリアが付けていると聞いてクラウドの訓練に来て稽古を付けるようになってと随分豪勢な訓練となったのは、彼にとってとても良い経験になったのではないのだろうか?

 

「絶対倒す!倒すんだ!!」

 

「そうだクラウド!!今日こそあの人を絶対に倒すんだ!!」

 

「良いぞクラウド、ザックス。良い動きしてるな。だが…………連携がお粗末だぞ」

 

「ぐぉっ!!」

 

「う、嘘だろ……俺とクラウドの二人がかりだぞ!?しかもあんなボロボロの剣で……俺の使ってる支給品と一緒の剣だろ!?」

 

「年季が違うんだよ。身体能力だけのゴリ押しじゃせっかくのソルジャーとしての資質が宝の持ち腐れだぞ?」

 

「くぅ……その余裕ぶった顔………ぶっ飛ばす!!」

 

「え?あの…クラウド?殺意が高過ぎない?」

 

「止めないでくれザックス!!ソルジャーにしてくれた事は感謝してる。だけど………だけど、毎日の訓練で無茶振りばかりして1秒毎に死にかけるような目に合わされる俺の気持ちは止められないっ!!!」

 

「マジかよ………怖っ」

 

「来いよヒヨッコ共、古参兵の戦い方を存分に味あわせてやる」

 

「言われなくても!!」

 

「あーあ、クラウドが突っ込んじゃった………ま、熱いのは俺も好きだけどさ!!」

 

ちなみにお手軽に色んなシチュエーションで戦えるからと今回使用していた本社ビルのVRルームが、この訓練で半壊して怒られたのは言うまでもない。

ソルジャー部門 統括のラザードに各部署から嫌味を言われまくったと言われたが、この程度で壊れるトレーニングルームがある方が駄目なんだと伝えておいた。

その日から、ソルジャーの訓練……というか俺達クラス1stとその弟子達の訓練は、ミッドガルの外部にある荒野で行うようにとの社内通知が個人指定でなされたのは今でも不満である。

 

なんでも俺達が壊した時より前にもセフィリア、アンジール、ジェネシスの3人でぶっ壊した事があったらしい。

しかもお忍びで他のソルジャーが居ない時に巫山戯てやったらしいので、その時の事を含めて今回の決定が下ったとの事だ。

 

「う〜ん、やはり俺達の訓練に使うには脆すぎたか?」

 

「そう思うならもう少し加減を覚えてくれると助かるのだがね?」

 

「ラザード統括の言う通りだぞ?タークスとしてもあのVRルームでの訓練は非常に便利だからな。そう何度も壊されて使用不能になるのは困る」

 

「ツォン………つまり俺達の訓練に混ざりたいと?」

 

「遠慮させてもらおう。君達ソルジャーのような超人と一緒にされてもらっては困る」

 

「君は本当に………人柄も良くて戦う事は一流なのにどうして………」

 

「全くですラザード統括」

 

「んん?つまり………どういうことだ?」

 

揃って溜め息を吐く二人に何度首を傾げる事になったかは分からないが、苦労していることだけは理解できた。

今度飲みに連れて行ってやりますかね。

ちなみにその日の夜に二人をミッドガルへBARで飲みに連れて行ったら、延々と俺に対する愚痴を聞かされる事となるとは露とも知らなかったのだが。

 

 

 

そんな毎日が続いたある日の事。

 

 

 

ウータイとの戦争にトドメとなる一手を決める為に遂行される作戦が計画される事となった。

遂にクライシスコアの時間軸へと進むのだと思うと何とも言えない感情が、俺の中を駆け巡る。

 

ここまで来た。

 

ここからが本番なのだ。

 

そうした思いから焦りが出てきそうになるが、ここまで耐え続けてきたのだからと思い直し、今までの苦労をぶち壊さないように心を落ち着ける。

ここで科学部門の主権争いに破れたホランダー博士がジェネシスに接触して、急速に始まる劣化を人質にソルジャー達を連れて失踪する事件さえ起こさなければ………クライシスコアは原作ブレイク出来るはずだ。

 

まずはホランダーとジェネシスが接触する前にを何とかする事を目標に頑張りますかね。

 

 

 

「とか慢心してたのがいけなかったのかね…………」

 

 

 

俺の目に映るのは………白いツンツンヘアーと黒いツンツンヘアーの兄弟。

そう、ヴァイスとネロのダージュオブケルベロス組の二人だ。

何故気が付かなかったのか?

神羅の闇は俺の想像なんて軽く越えてくるというのに。

俺に言い渡された任務。

それは神羅ビル地下にある零番魔晄炉の調整中の護衛。

魔晄に惹かれたモンスターが入り込み、そしてその数が多くて一般兵や並のソルジャーでは対応できないと言われて向かったのだが………普通に罠だった。

 

「俺を嵌めるのに何も知らない研究員と作業員まで巻き込むなんてよ………」

 

「お前はそれだけ脅威に思われているという事だ」

 

「兄さんの言う通り、英雄セフィリアの師匠。そしてそれに続く次世代の育成………それに成功している貴方はもはや他の部門にとって邪魔な存在という事みたいだよ」

 

「治安維持部門と兵器開発部門の連中………いや、ハイデッカーとスカーレットか」

 

「それだけじゃないぞ?科学部門からもご指名で名前が来ていたからな。フッ、人気者だな?」

 

「あと細胞も研究サンプルとして取るようにも言われていた筈……そうだったよね兄さん?」

 

「ああ、忘れる所だったな。思い出させてくれてありがとうネロ」

 

「あのクソダサ眼鏡マッドもかよ………最悪だな」

 

すでに俺以外の者達の息は無い。

そういう俺も次から次に何度もやって来るモンスターの波状攻撃に加えて、暴走していると伝えられた神羅の自律兵器との連戦がほぼ1日続いた後に、二人からの奇襲攻撃を受けてすでにボロボロだ。

長年使っていたロングソードも半ばからへし折れていやがる。

まさに絶体絶命のピンチときたもんだ。

 

魔晄炉の中心である魔晄溜まりのメインポンプのフロアに追い詰められたから、逃げ場すら無いとは本当に詰みだ詰み。

……腹を括るしかないよな

 

 

 

「実験体ってのは嫌なんでな………あばよ!!」

 

 

 

折れたロングソードに魔晄の力を集めて斬撃波を飛ばした俺は…………驚くヴァイス達を尻目に魔晄溜まりへと身を踊らせた。

原作でクラウドが行けたんだ、俺だっていけるだろ?

 

そんな思考を最後に…………俺は魔晄、ライフストリームの中へと沈んでいくのだった。

 

 

 

「記憶を取り戻したら空に巨大隕石とか………世界終わってねぇか?」

 

 

 

「何言っているんだアンタは?今だからアンタの力が必要なんだ」

 

「そうだぞ?クラウドの言う通りだ。エアリスの呼んだホーリーがあるけど、万が一って事があるかもしれないだろ?なんかそれを邪魔してるヤツも居るみたいだしさ」

 

立派になったクラウドとザックスに両側から肩を叩かれてそう言われる俺。

頭をポリポリ掻いて周りを見渡すと、神羅からパクったらしいハイウィンドのブリッチでそんな俺等を見ている原作のパーティーメンバー達が見えた。

その中には中盤で永遠の離脱をしてしまうエアリスの姿も見える。

どうやらクラウドがソルジャーとなった事でザックスもエアリスも助かったようだ。

 

俺が離脱してからの流れとしては、クライシスコアはそのまま発生。

ジェネシス達の追跡を原作では友情を感じていたセフィロスが任務を拒否するというものだったのだが、ウータイから帰って来たセフィリアは俺が任務中に敵と交戦していた際に魔晄溜まりへ落ちて消えたとの報告を受け、その場で発狂した為にしばらく療養する事になったらしい。

 

そして当時2ndだったザックスとクラウドが繰り上がりで1stとなり、その任務へと就いたとの事。

なんだかんだあって物語の流れ通りに進んだ後に、ようやく正気を取り戻したと思われるセフィリアが現場復帰して運命のニブルヘイムへ…………

 

ニブルヘイムではジェネシスからのお前はモンスターだという告発と自身の出生の秘密を知って、セフィリアはまた病んだ。

心配して留まっていたザックスとクラウドが言葉を尽くすが全然反応しないので、付き添いの兵士に本社へその事を伝えるように言って帰すと………村が焼かれていた。

 

村を焼いたのは極秘で追加投入された隠蔽部隊。

 

神羅の闇を見てしまったセフィリアにザックス、クラウドは抹殺対象にしただけではなく、村人達までその手に掛けたらしい。

燃える村を駆け巡り、生存者を救助しながら戦うザックス達が見たのは………ニブル山へと進むセフィリアの姿。

生存者をクラウドの幼なじみであるティファとその拳法の師匠に任せて後を追うと、セフィリアは魔晄炉の奥にあるジェノバの部屋へ入り………ジェノバの首を撥ねた。

 

「セフィリア………何してんだよ」

 

「………………ザックス?」

 

「セフィリア、アンタの力が必要なんだ!!村を……母さんやティファ達を助けるのに力を貸してくれ!!」

 

「クラウド……………」

 

そんな二人を見るセフィリアの目は………暗く濁っていたらしい。

そして愛刀 正宗を振り抜いて二人を攻撃し、一撃で戦闘不能にすると………自ら魔晄溜まりへとジェノバの首と共に消えていったのだという。

そこまで見届けたザックス達はそのまま意識を失い、後から来た宝条達の手によって回収されたあげく、4年もの歳月の間を濃縮された魔晄の中に漬け込まれる事となる。

 

しかし、クラウドがソルジャーとなっていた事もあり、魔晄に対する耐性がある程度出来ていた為、魔晄中毒とならずソルジャークラス1st二人組による大立ち回りでミッドガルのスラムへと隠れ潜む事に成功したようだ。

途中でクライシスコアのクライマックスであるジェネシスとの対決もあったそうだが………クラス1stのソルジャー 二人に勝てるはずもなく、あっけない幕切れだったという。

そして、そこでティファに再会してザックスとクラウドはなんでも屋を営みながら、報酬を貰いつつバレット率いるアバランチの手伝いをして一年間過ごしていたとの事。

 

その間の俺?

 

俺はその間どうやら星のライフストリームを巡って海に吐き出され………神羅の軍港都市 ジュノンの下の港町、アンダージュノンで漁師達に助けられて一緒に漁師してたわ。

ライフストリームを通った影響で記憶が混濁して、何も思い出せない記憶喪失になってしまっていたので仕方がない。

 

顔バレとかはしなかった。

なんせ俺、ソルジャーになった時からあの3rdの連中が付けているようなヘルムを被っていたから、セフィリアやザックス、クラウド以外にアンジールとジェネシス達の前だけでしか素顔を晒した事が無かったからな。

普通に巡回や警備の神羅兵なんかには一般人としか見られてなかったわ。

 

けど漁師って凄えよな。

海に船出した瞬間に大型モンスター出てくる中で漁をするんだからな。

とりあえず渡されてた銛で仕留めたけど、よくあることなんだろうかな?

海の漢って偉大なんだなとつくづく思ったよ。

 

「いや、アンタぐらいじゃねえのかそれ?」

 

「私もバレットの言う通りだと思うけど………」

 

「ええっと、バレットにティファだったか?」

 

「お二人の言う通りです。そんなとんでもない人おりませんわ」

 

「リーブ………いつからそんなチンチクリンな人形になったんだよ」

 

「んなっ!?このかわいいケット・シー人形は遠隔操作です!!本人は今本社におりますし、チンチクリンやないです!!」

 

「…………そっか」

 

「その微妙な表情になるのはやめてくれまへんか?!」

 

神羅の建設部門の主任であるリーブが操作するケット・シーをからかいつつ、俺はハイウィンドの管制室にある窓の外から見えるメテオを睨むのだった。

 

結局俺が介入しても救えた人は少なかった。

 

その事実が俺の心に影を作る。

だけど救えたのは事実であるし、物語に介入した結果が主人公パーティーの戦力増強。

これなら最終決戦でセフィリアと戦っても引けを取らない筈だ。

 

 

 

…………俺があの子に剣を向けられるのかはまだ分からないが。

 

 

 

とりあえずやれるだけの事はやった。

本当にこのまま最終決戦に向かっていいのかは分からないが、とにかく今は目先の脅威と戦うべきだ。

そんな決意と共に北の大空洞へと向かう時間を過ごすのだった。

 

ちなみに海に居た緑のウェポンは漁師時代に倒しておいたので、海は結構安全である。

漁に出るたびにエンカウントするものだから、煩わしくて思わずガチバトルしちまったよ。

銛を10本もダメにしたのはかなり悔しい。

記憶があって愛用のロングソードならいけただろうに………

なんかよく分からんハープをゲットしたけど…………アンダージュノンの港に飾りとして設置してある。

その話をしたら皆にドン引きされたんだが………何故だ?

 

「お前らなら楽勝だろ?」

 

「「「「「「「「「「それはない」」」」」」」」」」

 

「えぇ………」

 

まさかの全否定で流石の俺も落ち込んだんだが?

ハイウィンドの乗組員からも変な目で見られるようになったのは、正直落ち込んだわ。

 

そんなこんなで北の大空洞。

道中の敵は俺の錆落としも兼ねてボコっていったんだが、そこでも皆にドン引きされる羽目に………

いや、原作だとお前らもこのくらい簡単にやってたからな?

 

「相変わらず師匠は非常識だ」

 

「え?ねえクラウド………もしかしてこの人昔からこんな感じなの?」

 

「そうだぞユフィ。この人とセフィリアはこんな感じで訓練をずっとやってきたんだ…………この非常識さのせいで俺もクラウドも死ぬかと思うような目に何度も遭ったんだよなぁ………」

 

「ねえヴィンセント。ザックスとクラウドの目が死んだ魚みたいに………」

 

「レッドXIII、知らない方が幸せになれる事もあるも言うことだ」

 

「ヴィンセントの言う通りだな。さすがの俺様もあれを見たらなぁ………」

 

「シドまで………オイラもそう思うけど」

 

外野がうるせーぞ!!

壺入りのモンスターを壺ごと切り捨てただけじゃねえか!!

クラウドに貰ったこのハードブレイカーとかいう剣は気に入ったぞ。

切れ味がロングソードとは段違いで良いなこれ。

今日からコイツが俺のメインウェポンだ!!

 

とりあえずモンスターども………俺の錆落としのオイルになりやがれ!!

 

そんな調子でエンカウントするモンスターを斬りまくっていたら、アッという間にジェノバ戦へ。

ここで因縁のジェノバとの対決だったんだが………

 

「あれ?なんか小さくね?」

 

「確かに腕なんかと比べたら小さいな」

 

「一体どういうことなんだ?」

 

俺、クラウド、ザックスの3人は思わず首を傾げる程にジェノバが小さい。

クラウド達と再会する前の記憶が無かった頃の俺が偶然、遭遇して戦ったジェノバよりも小さいのだ。

あの球体に二本の触手が生えた姿はそのままなのだが、ゲームで見た時の半分以下になってやがる。

その事に疑問を感じつつも戦うと………めちゃくちゃ弱い。

道中のモンスターより少し強い程度であっさりと討伐できてしまった。

 

「拍子抜けつうか………本当にコイツがホーリーを止めてた親玉か?」

 

「確かにバレットの言う通り、疑問に思うけど………」

 

「何にせよこの先にまだ何か………いや、確実にまだ居る」

 

「ティファ、クラウドの言う通り。気を引き締めて行こう?」

 

ジェノバ戦の後の小休止中の会話の締めくくりにそう言って胸元で拳を握るエアリスを尻目に、俺は一人新しい相棒のハードブレイカーの柄を強く握った。

たぶん………いや必ずこの先にセフィ……いや、セフィリアは居る。

この物語のラスボスである筈の彼女が待ち構えている筈だ。

 

「俺もそろそろ………覚悟を決めるかな………」

 

ハードブレイカーの鋭い刃の部分に指を当ててなぞりながらそう呟く。

この呟きは誰にも聞かれていなかったようだ。

大切な妹分だった。

本当の家族だと思っていた。

可愛くて可愛くて仕方のない、愛おしい家族。

この世界に転生してからずっと共に居た唯一無二の家族だ。

 

割り切るのは………無理だろう。

でも、家族なら………暴走しているのならば、止めてやるのも家族だ。

血は繋がっていない。

それでも俺はセフィと家族だったんだ。

兄として、止めなくてはいけない。

悪い事をしたのなら叱らなくては。

 

 

 

そんな覚悟は塵と消え失せた訳なんだが。

 

 

 

星の最深部まで進んだ俺達に待っていたのは………予想通りにセフィリアだった。

最終決戦の予感に全員が構える。

引き絞られた弓のように緊張感のある空気を醸しながら、戦いが始まるその瞬間を待っていた。

 

しかし、状況が一変する事となる。

セフィリアが俺を視界に入れた瞬間、見たこともないような驚愕の表情を浮かべた後………俺だけ引き寄せられて抱きつかれるというか絡み付かれて現在の状況になってしまったのだ。

しかも誰も助けようもはしてくれない。

 

 

 

何故だ!?俺が何をしたって言うんだ!!

 

 

 

「もう離さない。絶対に離さない。離れたくない」

 

「落ち着けセフィ!!イケナイ部分が当たりまくってるって!!俺達は兄妹だろ?兄妹はこんな事を……」

 

「血は繋がってない義理の兄妹だから大丈夫。兄さんは星のライフストリームを眺めているだけでいいから。すぐに気持ちよくなるから」

 

「いや!その星に隕石が、メテオが落ちてくるんだって!!悠長にしてる暇なんて無いんだって!!」

 

「あ、そうだった。なら星が発動させようとしてる魔法を止めてるのをやめなきゃ」

 

「へ?」

 

俺が間抜け面晒している間にセフィリアが何気ない風に指を降ると、空間が振動して何かが起きた。

おそらくホーリーが地表に向かって行ったのだろうが、今俺達が居る空間には何の影響も起きていない。

クラウド達も困惑していると………セフィリアが俺の服を脱がせ始めてきた。

 

「はい、終わったよ兄さん。続き、しよっか?」

 

「待て待て待て待て!!そんな簡単に終わるのか?!」

 

「もともとこの星にメテオを落とそうとしたのは母さんで、私は兄さんがライフストリームの何処かに居るなら探そうと思っていた協力してただけだからね?その必要が無くなったからやめただけだよ?母さんに流れ込む星の力も最小限にしか供給しなかったし………」

 

「んなアホな話が………待てセフィ?!ズボンは、ズボンは駄目だ!!皆が見てる中でそれは駄目だ!!」

 

「見てなかったらいいの?分かった。それじゃあ皆、入口まで転送するね」

 

「ゔぇ!?それも待ってくれ!!………俺も返してくれぇぇぇええええええ!!!!!」

 

 

 

「ふふふ♪だぁめ♡」

 

 

 

そのセフィリアの言葉と共に皆が最後に見た俺は…………必死に手を伸ばしているが、肉食で蠱惑的な笑みをセフィリアに絡み付かれている情けない姿だったという。

それからクラウド達一行は入口近くに停めてあったハイウィンドに乗って緊急発進させた後、原作通りにホーリーがメテオを止める光景を見たらしい。

 

そしてそれから俺を助けに行こうかという話もあったらしいのだが、クラウドやザックスが無言で首を振ったので諦めたとの事です。

いや、諦めんじゃねえよ!!

おかげで星の最深部での生活を半年も過ごす羽目になっちまっただろうが!!

おかげで何度か腎虚で二度目の人生終了するかと思ったか………

 

「兄さん♡兄さん♡兄さん♡兄さん♡兄さん♡兄さん♡兄さん♡兄さん♡兄さん♡兄さん♡兄さん♡兄さん♡兄さん♡兄さん♡兄さん♡兄さん♡兄さん♡兄さん♡兄さん♡兄さん♡兄さん♡兄さん♡兄さん♡」

 

「誰かこの引っ付き虫を剥がしてもらえないだろうか?」

 

「「「「「「「「「「無理」」」」」」」」」」

 

「………はぁ」

 

頼れる仲間達の一致団結した温かみのある言葉にため息が漏れる。

そうしている間にもセフィが俺の腕に絡みついて頬擦りし続けているんだが?

すでに貪られた身としては諦めの境地に立たされそうな気分だわ。

 

「兄さん、今度はどこに行きましょうか?ハネムーンですよ♡新婚旅行です♡早く授かりたいなぁ………」

 

「………そうだな」

 

「兄さんもそう思いますか!?なら今から始めましょう♪きっと兄さんによく似た格好いい男の子が生まれます♡」

 

「妙に具体的だな」

 

「名前は長男からカダージュ、ヤズー、ロッズと名付けますね♡」

 

「………どっかで聞いた名前だ」

 

どうやら俺の受難はまだまだ終わらないようである。

安易に原作を改変した結果、俺は男冥利に尽きる結末となった。

セフィは美人で積極的で………まぁ夜が凄まじ過ぎる事以外は良妻である。

いくつもの運命を乗り越えた先に掴んだ未来ではあるのだが…………

 

「頼むから夜の回数をもう少し減らし……」

 

「ダメです♡」

 

「…………はぁ」

 

落ち着くのはいったい何年先になる事やら………

これから原作介入とかしようと思っている転生者の連中に忠告しておくぞ?

 

 

 

安易な原作介入にはご注意を。

 

 

 

先達からのありがたい言葉としてしっかり覚えておくようにな。

責任取る羽目になるのは当たり前だから本当に気を付けよう。

 

 

 




いかがだったでしょうか?
いくつものもしもを含めたこのFF7の世界は。
正直こんなにカオスになるとは作者自身思ってませんでしたし、いくつか手直ししていたらかなり長い文章となってしまいました。
皆様が楽しんで頂けたら幸いです。
皆様も変えてみたい物語の未来はありませんか?
私は好きにしました。
次は………あなたの番かもしれませんね?


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