TS転生した俺が天使になって消えると勘違いされているんだが   作:TG

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彼女は私の前で倒れた

○○〇

 

 

 帰ってきた私はリアを部屋に置いてきたまま、マザーの部屋にまで来ていた。そして今日の朝の事を話していた。

 

 ここ数日、私はリアの事を毎日の様に相談している。マザーは夜遅くまでジッと話を聞いてくれた。

 

 マザーは自分の眼鏡を手入れしながら、私の話に時折を相槌を打っていた。私は話している内に涙が出そうになり、それを堪えながらも話続けていた。

 

「どうやら余程早く進行しているようですね、私も神父様から色々と聞かせてもらいました」

 

「…」

 

「…貴女が生誕の儀に対して不満を持っていることは解ります、しかし」

 

「止められない事、なんですよね」

 

 解っている。幾ら話した所で事態が変わる訳じゃない。それに何となくだけど、リアも現状が解っているんじゃないかって思い始めてきた。

 

 孤児院で子供達と遊ぶ中、何処か遠くを見つめる様な彼女はふと目を逸らすと消えていきそうな顔をしていた。

 

 この一週間程で思った事は、記憶の無くなったリアは別人の様だって事だ。当たり前の事だけど、それを毎日の様に実感してしまう。

 

「貴女にとっては親しい人間が消えるのに等しい、しかし天使となる事は決して不幸な事では無いのですよ」

 

「誰からも忘れられるのに…?」

 

「神の御許に行ける事は普通の人間には到底不可能と言われています。死の後に待つ物は我々には想像も尽きません。それが幸せな世界と確約されるのです」

 

「…死んじゃったら終わりじゃないですか!」

 

 私が大きな声で叫んでしまう。しかしマザーは動じる事も無くじっと私を見つめていた。

 

 解っている。マザーの言いたい事も。私達は普通に暮らしている人達よりも、これから先苦しい事の多い人生になるだろう。それを続けるよりも、神の御使いになった方がどれ程幸せな事なのだろうか。

 

 

 それでも私は。辛い道でも私は。リアと一緒なら…。

 

 

 

「っ…誰ですか?」

 

 外からガタンと音が聞こえて、マザーがすぐさま反応する。それより先に私は後ろの扉を振り返っていた。あの髪は…まさか。

 

「リア!?」

 

 私はマザーの静止も聞かずに扉を出た。

 

 いつから聞いていたのか?もしかして最初から?だったら自分が消えてしまう事も知ってしまったのか?

 

 色々な言葉が溢れて止まらない。ただ今すぐに会わなければ、また今日の消えてしまいそうな姿のリアを見てしまう、そんな気がした。

 

 どうか何も無いで欲しい。記憶が消えてたって構わない。誰からも忘れられても良い。どうか生きていて欲しい。

 

 

 私は神様になんて祈らない。どうか…。

 

 

 

 

 

 

○○〇

 

 

 

 

 

 

「リア…」

 

 私の目の前に倒れた少女の姿が見えた。

 

 すぐに駆け寄り、身体を起こす。だらんと腕が落ちる。私はずっと彼女の名前を呼び続ける。返事は無い。

 

 こんな事になるなら、もっと話せば良かった。

 

 私はいつだってリアから話してくれるのを待っていた。気弱な私を3歳も年下のリアに引っ張られてるばかりだった。

 

 リアの日記を見た時、初めてそんな事を考えてるって知った。もっと早く知れていたら、知る努力をすれば良かった。

 

 リア、リア、リア。

 

 どうしてこんな風になったんだろう。

 

 誰がこんな事を望んだんだろう。

 

 私は…これから…何を…。

 

 

 

 

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