TS転生した俺が天使になって消えると勘違いされているんだが   作:TG

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俺は滑って廊下で倒れた

「―――天使―――消える」

 

 え?俺消えちゃうの?何も知らんとこで転生して一週間程度で?

 

 思わずエリミナの後を着いていき、内緒話でもしてんのかと思いこっそりと話を聞いていた俺には衝撃の事実だった。

 

 そして現在こっそり聞いてるのがバレた俺は走って逃げている。何故かって?エリミナの声にビビっちゃったんだよ!

 

 正直ホンモノじゃない俺に、そんな激重感情ぶつけられても困るのさ!逃げたって変わることじゃないが、あんなに思ってくれてる人に偽物転生男が会って良いわけないじゃない!

 

「っあ!」

 

 一瞬身体が宙に浮く、あれ?俺今転んでる?凄くゆっくりと頭の中で景色が流れてるけど何?これ走馬灯?

 

 ただこけてるだけなのに、何でこんな色々と思い浮かぶんだ?いや違う、俺ってこんな状況につい最近なったはずだ。あれいつだっけ?三日前…いや一週間?あれ?何か思い出しそうな思

 

 色々と頭で考えている中で、気づいたら俺は床に倒れこんでいた。そこから先は何も考えられなかった。

 

 遠くからエリミナの足音が聞こえる。心配そうな声も…段々と遠くなっていく。

 

 あぁ……意識が…薄れ………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

○○○

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 思い出したぁ!

 

「俺って滑って転んで死んだんじゃねーか!」

 

 がばっと起き上がって大きな声で叫ぶ。と気づいた事が一つ。

 

「おお!?男に戻っとる!」

 

 それは慣れ親しんだ俺の姿であった。そして、まさにそれは俺が思い出した死の瞬間の姿であった。

 

 会社からの帰り、長い階段を下りる途中で俺はその途中でつまずいて…恐らく死んだ。それから気づいたらあのリアとか何とかいう女の子の中に入ってたんだった。というか、さっき教会の廊下でこけるまで、そんな夢を見てたって事なのか??

 

「ん?じゃあ今の階段ですっころびそうになってる状況で停止してる俺ってば一体」

 

「戻ってきたの、貴女が転生する前まで」

 

 ぬっと逆さのポーズで俺の目の前に現れたのは、俺が一週間程鏡の中で見覚えのある顔の…

 

「り、リア!?」

 

 そんな良く見慣れた顔に、天使の輪っかや翼が付いた姿であった。

 

 

 

○○〇

 

 

 

「つまり私は一度天使になったのよ」

 

 ずびしと指で刺されながらそうつぶやいた彼女は、ぐりぐりとそのまま俺の頭を突いてきた。いてえよ。

 

「んー何となく解った。整理すると

 リア天使になる

 ↓

 そのままエリミナを幸せにする願いを叶える為、別の世界の魂を探す

 ↓

 見つけた死んだ俺の魂をそのまま天使になる前の自分に定着させる

 ↓

 そんで結局また俺はここに戻ってきてる

 って事??」

 

 滅茶苦茶説明口調になったが、そういうしか無い。というかどういう事か言ってる俺も解らんのだが、リアはうんうんとうなずいてるから良いんだろう。いやよくねえよ。

 

「そもそも何でエリミナを幸せにする為に、俺が必要なんだよ」

 

「最近神様って何処からでも死にそうな魂拾ってきては、異世界に転移させたり転生させてんのよ」

 

「へぇ」

 

「そしたら何か上手く行くのよね、その転生した奴が」

 

「ふむ」

 

「つまりはそれを狙ったって訳」

 

「…」

 

 当たり前だが、そんなの一握りのやべー奴に決まってる。俺みたいな一般ピープルが転生した所で、まったく馴染めないまま一週間過ごしてた辺りでお察しなんだからな。しかも転生した癖にこっちの出来事もほぼ忘れかかってたしな。

 

 どうやら思った以上にやべー奴だったんだリア。と思った瞬間に拳骨が俺の顔面に飛んできた。

 

「っあぶねぇよ!ってか何すんだ、危ない何度も殴りかかるんじゃない!」

 

「何よ!『可愛い女の子の中に入れるだって?俺も混ぜてよw』なんて言って転生したあんたが悪いんじゃない!」

 

「言いがかりだ!そんなバックボーンがあるなんて知らなかったんだよ!つーか説明しろよ!」

 

「全部は説明出来ないって神様の制約があるんだからしょうがないじゃない!というか女の子口調になる祝福とかかけてあげたんだから、もっとコミュニケーション取りなさいよ!」

 

「(一般男性に期待してんじゃないよアホ)ってあぶな!何また殴りかかってんだ!」

 

「こっちは天使なのよ!あんたの考えなんて全部解ってるんだから!」

 

 相手の攻撃を顔を動かして避けながら、リアは馬鹿馬鹿と叫んでいる。これだから子供は話が通じずに困るんだ…!

 

「それしかなかったのよ…!エリミナを幸せに出来るには…!」

 

「…天使ならどうにか出来たんじゃねーのかよ」

 

「何でもは出来なかったのよ、結局神様の真似事だけ。ちょっと絶望したわ。天使になればすぐにエリミナを幸せに出来るって喜んでたのに」

 

 ぽつぽつと呟く彼女は見た目以上に幼く見えた。目の淵には涙が見える。

 

 まぁ確かにコイツの日記を覗き見た時に、どれだけエリミナの事を考えているのかは容易に想像出来た。ましてや13歳、お先も見えない子供だ。どうしたら、親友を幸せに出来るか必死で考えた結果だとしたら、まぁ微笑ましいのか?

 

 結局の所は、役に立たない俺の魂を引き換えに意味不明な転生をさせただけなのだが、っていたたたたたた!

 

「だから耳をつねるんじゃないよ!」

 

「うっさい!馬鹿!」

 

 と言いながら、リアはボロボロと泣いていた。どれだけ涙を拭ってもそれは止まることが無かった。

 

 まぁ正直な所そうなってもしょうがない、誰が考えても手詰まりだろうからな。現状は。

 

「どうしたって、今後幸せなんて望めないだろうさエリミナの事は」

 

「…」

 

「お前も見ていたから解るんだろ?」

 

 一週間程、エリミナと居て解った事がある。勿論天使云々の事は最後聞くまで解らんかったが、それでも一つだけ確信してる事がある。

 

「エリミナの幸せってのはリアが居る事、それだけだったんだ。それは俺が代わりに魂として入ったってしょうがない。そして俺以外であったとしても意味がない」

 

「っ…」

 

「どれだけ天使の力で神様の真似事をしたって、幸せになるかどうかは決められる事じゃないからな」

 

「…じゃあ!どうすれば…良いってのよ…」

 

 俺の身体をグッと掴みながら、消えそうな声でリアが言った。いや俺もう死にかけなんですから余り無茶な事は…ってかこれだけ喋れてるんだから平気か。そういう物なんでしょうな。

 

「まぁきちんと喋ることだな。会話。それが重要だ

 お前は相手の幸せを願うって日記に書くだけだったし、反面エリミナもお前とちゃんと話さなかった。

 仲がいいってのはツーカーで動ける間柄じゃなくて、本音で話せる仲って事だ。人生の先輩から言わせてもらうとな」

 

 つらつらと語らせて貰ったが、これも何かの本の受け売りだった気がしてきた。覚えておくんだリア。先輩ってのはこんなもんだ。

 

 と思っていたが、リアはまだ俯いたままだった。折角良い言葉を送ったってのになんつー暗い顔してるんだ。

 

「だって…今更喋るって言っても、私はもう」

 

「何言ってんだ。まだどうにかなるさ」

 

 あっけらかんという俺の言葉に、最初は俯いていたリアもポカンとした顔になっていた。そうだよ、そんな顔をちゃんとエリミナに見せてやらなきゃいけないんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

○○○

 

 

「良いかよく聞けリア。」

 

「今からすぐに神様に直談判してくるんだ」

 

「ハァ!?」

 

 

○○○

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