幻想郷最大の勢力である妖怪の山。レミリア・スカーレットを主として彼女の親族や従者が暮らす深紅の館、紅魔館。プリズムリバー三姉妹が暮らしている廃洋館。それらに挟みこまれる様に存在するひとつの湖がある。
「霧の湖」
それが幻想郷唯一の湖である霧の湖。この湖は日が出ている時刻はほぼ毎日と言えるほど霧に包まれており、視界も悪くあまり里の者は近づかない。しかし妖怪や妖精には人気の場所で更に数多くの妖怪が住む妖怪の山の麓という事もあって多くの人ならざる者達で賑わう場所である。
……そんな湖の一画から不思議な音色が流れてくる。
~~~~♪
琵琶を弾く少女と光の琴を弾く少女
「「……」」
よく見るとふたりの少女が湖の傍で楽器を弾いている。ひとりは薄紫色の髪を二本にまとめた独特の髪型に葉付きの花の髪飾りを付けた少女。手には赤い光の弦がどこからか伸び、その上を音符模様の光が流れる不思議な琵琶を持って見事に弾きこなしている。
もうひとりは茶色いショートヘアの髪型にカチューシャを付けた少女。こちらの少女はスカートを周る様に伸びた光の弦ならぬ光の琴を手に付けた琴爪でこちらも見事に演奏している。ふたり共似た様な服装で靴は履いていない。
~~~♪
「……うん、こんなものかしらね」
「結構いい感じだったね。聞いてる方はどうだった?」
狼の耳が生えた少女
「私は良かったと思うよ」
弾き終えた彼女らは演奏が上手くいった事を喜んでいる様だ。そして彼女らの演奏を聞いていたのであろう者達もいた。今感想を言ったのは長いストレートの黒髪から狼の耳が生え、手からは赤い長い爪が伸びている。恰好は赤・白・黒のトライカラーのドレス。
「蛮奇ちゃんと姫は?」
耳と足にヒレがある少女
「うん、私もいい曲と思うよ」
赤いマントを羽織った少女
「同じく」
そしてもうふたり。ひとりは濃い青色の髪で緑色の着物を着ているがよく見るとその耳は魚のヒレであり、更にその足は青い鱗の魚の尾びれそのものだった。いわば人魚と言える存在である。
もうひとりは首まで隠れきる程の襟が高い赤いマントを頬った赤髪の少女。恰好は頭に青いリボン、赤黒いスカートと黒い靴といった感じだ。
「も~三人共もうちょっと具体的に感想言ってよ~」
「具体的に…。なんというか聞いていて気持ちいいよね。耳障りもいいし」
「弁々と八橋の音色が今までよりより嚙み合ってるというか…」
「湖のさざ波の様に自然に流れていても違和感感じない程優しいよね」
「そ、そうかしら?」
「いや~それほどでも♪」
弁々と八橋というふたりは喜ぶ。
「最近ふたり共練習も曲作りも頑張ってるね」
「ふたりだけじゃないよ。雷鼓もステージ張り切ってるみたいだし」
「やっぱりルナサ達の影響かな?最近調子良いよね」
「この前のライブ良かったもんね~」
ルナサ・メルラン・リリカのプリズムリバー三姉妹は最近自分達の生きがいにして本業である音楽活動を以前に増して張り切って行っていた。そしてそのどれもが盛況で人里でも神社の宴会でも人気であったのだ。
「そうでしょ?三人を見たら私達ももっと頑張らないとな~って思って」
「だからここで練習してるんだ。ここだとどんなに演奏しても周りに迷惑かからないでしょ?まぁ雷鼓のドラムの方が音は大きいけどね」
「あはは確かに。でも三人共どうしたんだろね?ほんのちょっと前に聞いた時よりもずっといいって地底の友達も言ってたし」
「なんでも新しい場所で演奏して新しい人達に聞いてもらったのが嬉しかったらしいよ」
「新しい場所?」
「うん。新鮮な環境でできたから演奏する楽しさを思い出したって」
「ふ~んどこだろ?まぁ今度聞いてみよ。それにしてもちょっとした間にこの辺りも色々変わったよねぇ。妖怪の山はロープウェイもできたしにとりのキュウリ生産工場もできたし」
「呼んだ~?」
とその時湖の中からザブンと姿を現したものがいた。河童の河城にとりである。
「アレ、にとりじゃん。どうしたの?」
「やぁやぁこんにちは諸君♪山から川に流れてきたのさ。それよりもたった今呼んだかい?」
「呼んだんじゃなくて、にとりのキュウリ生産工場の話してただけだよ」
「なんだそうか~。まぁでもキュウリがご入用なら是非ご相談を。今なら工場稼働記念で外の世界から教えてもらったどんな野菜にも合う薬味「まよねーず」のレシピもサービスするよ♪」
「ちゃっかりしてるなぁ」
「まよねーず?あと外の世界のレシピって…」
その時、影狼の耳がピクッと動く。
「…?ねぇ今何か聞こえた?」
「ううん私には何にも。ヒメは?」
「私も聞こえなかったよ?どんな音だったの?」
「う~ん何か聞きなれない音。魔法が発動する時の音みたいな。あの丘から…!ね、ねぇあそこ」
「え?……あ!」
影狼の指さした方向に全員が目をやる。視線の先には湖を見下ろす様な小高い崖があるのだがそこに何かあるのが見える。
「なんだろ?ここからじゃよく見えないし行ってみようよ」
「そうだね。ほら姫、掴まって」
「ありがとう影狼ちゃん」
…………
そしてその場所に来た彼女らを待っていたのは、今迄そこにある筈無かった木の扉。まるで今しがた現れた様に、建物も何も無いのにポツンと扉だけが立っている。
「な、なにこれ扉?こんなのここに無かったのに」
「もしかしてさっきの小さな音はこれが現れた音、かな…?」
「猫の看板がかかってる。…洋食のねこや?」
初めて見るそれに驚く彼女らだったが、この中でにとりだけは違っていた。
「ほうほう!まさかたまたま湖に来た時に出会えるとは私も運がいい♪諸君、突然現れる外の世界のご飯屋さんの話を知らんかね?」
「!それって今妖怪達の間で噂になってる扉の事?異世界、別の世界にも繋がってるっていう…!」
「じゃあまさかこれがその扉?」
「そういう事。丁度いい、丁度昼時でお腹も空いてるし久しぶりに行ってみようかね♪皆はどうする?」
「で、でも大丈夫なの?私達あんまり力も無い妖怪だよ?何か危ない目にあったら…」
「大丈夫大丈夫、危険なんて無いし思ったよりずっと面白いところさ。外の世界の美味しいご飯も食べれるしね♪」
「…外の世界の」
「…美味しいご飯」
美味しいご飯という言葉に一行はちょっと興味惹かれる一行は…。
…………
~~~~♪
結果的にねこやの扉を開けたのであった。その先には幻想郷では決して見られない風景が広がっている。
「「「えぇぇぇ!!」」」」
「ど、どうなってるのあの扉!?」
「紅魔館にありそうな部屋みたいな感じがしないでもないけど…雰囲気が全然違う」
「人間と見たこと無い妖怪が…一緒にご飯食べてる」
「は~暖かいねここは♪冬の水泳は流石の私もちょっぴり冷たいからね」
様々な反応を見せる彼女らの元にアレッタとクロが近づいてきていつもの挨拶をする。
「いらっしゃいませー!(ませ)、ようこそ洋食のねこやへ!…あ、お客様は確かニトリさんでしたね!」
「覚えてくれて嬉しいよ。扉を見つけたからまた来たんだ。知り合いも連れてきたよ」
「ありがとうございます!どうも初めまして、私はここで働いているアレッタです!」
(クロと申します)
「…え、え?い、今頭に声が…」
「う、うん…聞こえたね。さっきは空耳かと思ったけど」
「私も最初驚いたけどこれがこの人の会話方法なんだってさ」
「そ、そうなんだ…まぁそういう事ならいいか。あ、私達も自己紹介しないとね。私、今泉影狼っていうの。狼女よ。狼男じゃないからね」
「え、えっと…怖くない人達なの、かな?…わ、私の名前はわかさぎ姫、人魚よ。宜しく」
「ご丁寧にどうも。ろくろ首の赤蛮奇よ。貴女、人間じゃないけど弱そうね。ま、まぁそれなら負ける筈はないけどね~」
「弁々姉さんの妹、九十九八橋、琴の付喪神だよ!宜しくね。ほんとの姉妹じゃ無いけどほんとの姉妹以上に仲が良いからね!」
「ふふ、八橋たら。はじめまして、八橋の姉の弁々と申します。琵琶の付喪神です。おふたりは楽器や音楽はお好き?」
「音楽ですか?はい!以前ルナサさん達がこちらで演奏されてとても素敵でした!」
「へ?ルナサ達も来たの?じゃあ新しい場所で新しい人達って…ここの事だったのね」
その時厨房から店主も顔を出した。
「いらっしゃい」
「げげ、人間!…てあなんだ店主さんか」
「わっ、に、人間だ!…こ、怖い人間じゃないよね?」
「…もしかしてあの人間がここのご飯作ってるの?妖怪達にも?」
「はい、マスターのご飯はとても美味しいですよ!それにマスターはとても優しいですから全然心配なさらないでください」
(コク)
「私も最初はビビったけど大丈夫だよ」
わかさぎ姫や影狼は不安がるがアレッタやクロやにとりの言葉に力を緩める。
「そ、そう?なら良かった」
「ご、御免なさい失礼な事言って」
「いえいえ、仏頂面なのは自覚してますんで気にしてませんよ。どうぞお席にお座りください」
アレッタとクロの案内でとりあえず扉の近くの席に着く彼女達。席に着いてお冷とおしぼりとメニューを出されると、
「ねぇ見て、あの獅子みたいな頭の妖怪とか蛇みたいな脚の妖怪とかも普通に人と一緒にご飯食べてる…」
「幻想郷では絶対あり得ない光景ね」
「わー色々載ってる〜」
「どれも見た事無いけど美味しそう。外の世界のご飯ってこんなに品数が豊富なのね」
「お肉か魚か、甘味も沢山あって悩みどころね」
メニューの料理の写真に興奮する彼女ら。先程までの警戒心はすっかり薄れているらしい。とここでアレッタが、
「そういえばどうしてワカサギヒメさんはカゲロウさんに抱っこされてたんですか?」
「わかさぎ姫じゃあ長いからわかさぎか姫でいいよ。私は脚が見ての通りだから陸での移動があまり得意じゃないの。砂浜とか短い距離なら大丈夫なんだけど」
「姫は弾幕勝負も水中か水の上でしか無理だもんね」
(ダンマク?)
「だからこうして影狼ちゃんに運んでもらってるの」
「では皆さんと同じくヒメさん、と呼ばせて頂きますね。ゲンソウキョウにはアルテさんが使える竜の脚を得る魔法とか無いんですね…」
「竜の脚?何それ?」
〜〜〜〜♪
黒髪の少年
「こんにちは!」
青い髪の少女
「…久しぶり」
とその時、扉が開いて新たなふたりの客が入ってきた。うっすら褐色の肌の黒髪の少年と長い青い髪と同じ色の瞳を持つ少女のふたり。ふたり共一見人間だがよく見ると少女は脚が人間ではない。まるで鳥か竜の様な脚を持っていた。
(いらっしゃいませ)
「いらっしゃいませー!あ、アルテさんロウケイさん、お久しぶりですね!」
「うん。二ヶ月ぶり位かな。ロウケイが忙しかったから」
「ごめんよアルテ、豊漁でおまけに干物をつくる作業が忙しくて中々時間を作れなかったんだ。僕に構わず行ってくれても良かったんだよ?」
「今日はおかわりする。それにひとりよりロウケイと一緒が良い」
アルテという少女の言葉にうっすら頬を赤くするロウケイという少年。
「おふたり共いらっしゃい」
「あ、て、店主さん!いつもの二人分付け合わせはライスでお願いします!」
「はいよ。お席でお待ちください」
そう注文して席に着こうとするふたりだが途中で少女が影狼達が座るテーブルに目をやる。その視線は中でもわかさぎ姫に向けられていた。
「アルテ?」
「え、えっと…どうしたの?私の顔に何かついてる?」
「…貴女マーメイド?」
「う、うん。そうだけどどうして?というかその脚、貴女も人間じゃないんだね」
「あ、ヒメさんそれはですね」
「大丈夫アレッタ。これを見れば直ぐにわかってもらえる。~~~」
するとアルテは手を組んで目を閉じ、何やら呪文を唱え始めた。すると…彼女の竜の様な脚がゆっくりとわかさぎ姫と同じ魚のものへと変化していった。
「ええ!」
「あ、脚の形が変わった!というか貴女もしかして…」
アルテ(デミグラスハンバーグ)
「そう。私も貴女と同じマーメイド。私はアルテ。貴女は初めて合うけど、どこに住んでいるの?」
…………
「え〜じゃあそっちの世界は人魚がそんなに沢山いるの〜!」
「うん。いる」
「いいな〜。ねぇねぇそっちの人魚はどんな感じ?」
「えっと青の神に仕えていて…」
「姫、嬉しそうだね」
「まぁ何てったって同じ人魚、しかも異世界の人魚に会えたんだからね」
同じ人魚という事もあり、わかさぎ姫はアルテと会話が弾む。いつもは大人しめなわかさぎ姫だが積極的に話している。アルテの方も違う世界の人魚である彼女に興味がわいた様だ。そんな風景を友達の影狼や蛮奇は笑顔で見ている。
ロウケイ(デミグラスハンバーグ)
「じゃあ君達は…僕らと別の世界の人達っていうのかい?」
「ええそうです」
「正確には私達皆人間じゃないんだけどね〜」
「あ、そういえば忘れてた。げげっ、人間!」
「え?」
「あ、気にしなくていいよ。この子少し怖がりさんで。でも大丈夫、3秒経てば戻るから」
「私はニワトリじゃないってば」
「魔族みたいなものなのかな?でも全然そうは見えないなぁ」
「証拠見せようか?……あ、あれ?おかしいな、首が取れない」
「蛮奇ちゃん、脅かす様な事はしないの」
「じゃあ私もその…竜の脚?っていう魔法をかけてもらったら脚が生えるの?」
「それは多分無理…。青の神の神官として修業を積んだ者しかできない」
「そっか〜残念」
「貴女も来たら?マーメイドも゙沢山いるわよ」
「う〜んそう言ってもらえて嬉しいけどそれは無理かな。私は幻想郷の者だしそれに皆大好きだから別れたくない」
「そう。いい友達なのね」
「そりゃ私達は草の根妖怪ネットワークで結ばれた仲だからね~」
「正確には影狼と姫だけだけどね」
「何言ってんの。蛮奇ちゃんももうネットワークの仲間も同然だよ」
そうやって話し込んでいるとクロがアルテとロウケイの料理を運んできた。
(お待たせしました。お料理をお持ちしました)
「わ〜ありがとうございます!」
「あ、そういえばまだ私達注文してないじゃん!」
「そうだったわ。話し込んでいてすっかり忘れてたわね」
アルテとロウケイの前に料理が出される。鉄板の上で色とりどりの野菜と大きな肉の塊が焼かれ、肉の上からどろっとした茶色いソースがかけられた料理で何ともいい匂いがする。
「わ〜いいにおい!」
「それは何て料理なのアルテ?」
「「デミグラスハンバーグ」。私とロウケイはいつもコレを頼む。ヒメにも食べてほしい」
「そうなんだ〜。アルテがオススメなら私もそれにしようかな」
「私も凄く食べてみたいからそれにしよっと」
「姫と影狼が同じならせっかくだから私は別のものにしてみようかな。でもそれも凄く美味しそうだしな~」
するとアレッタがあるメニューを指さす。
「でしたらこちらの「チーズインハンバーグ」なんてどうでしょうか?」
「ちーず…いん?どう違うの?」
「こちらは卵は乗っていないんですがハンバーグの中にチーズが入ってるんです。お肉と卵の味を楽しむならデミグラスハンバーグがオススメですけどこちらも新しい味わいがして美味しいですよ」
「チーズっていうのがどういう物かわからないけど新しい味わいってなんか興味あるね。じゃあ私はそれにしよ」
「じゃあ私もそれにしようっと!」
「では私はデミグラスハンバーグとやらにしましょうか」
「私は前食べたジャージャー麺と生春巻きで♪勿論キュウリ多めで」
「えっとヒメさんとカゲロウさんとベンベンさんはデミグラスハンバーグで、バンキさんとヤツハシさんはチーズインハンバーグで、ニトリさんはジャージャー麺と生春巻きのキュウリ多めですね。畏まりました!ハンバーグは付け合わせはどうしましょうか?」
話し合ってわかさぎ姫と弁々がライス、影狼と蛮奇と八橋がパンとなり、アレッタは注文を伝えに行った。
「にとり。ジャージャーメンとナマハルマキって?」
「キュウリ好きのための料理さ♪」
「ねぇねぇ、そういえばロウケイってアルテとどうやって知り合ったの?人魚と人間が会うって珍しい気がするんだけど?」
「モグモグ…え?あ、ああそれは…」
王国、公国、帝国らがある大陸と海を挟んである西の大陸。その大陸の端にある都といくつもの島々からなる海の国と称される国がロウケイの故郷である。ある日父から譲り受けた小船で漁に出ていたロウケイは運悪く嵐に襲われてしまった。その時たまたま彼を見かけ、救ったのがアルテだった。命の恩人である彼女に何か恩返しがしたいと思い何がいいか問いかけると数枚の銀貨ととある無人島に来てほしいと言われた。言われるがまま行くとそこにあったのは見た事無い世界へと続く猫の看板がかかった扉、つまりねこやの扉だった。多くの人間や種族や見た事無い品々、そしてアルテが同じ神官の先輩から教わったというこのデミグラスハンバーグという料理の味はまだ若い彼に衝撃を与えるのは十分だった。それからは定期的にではあるがこうしてアルテと一緒に食事に来ているのだ。
「うん、今の僕が生きているのもアルテのおかげなんだ。凄く感謝しているよ」
「気にしなくていいよロウケイ」
互いに微笑むふたり。するとにやにやしながらにとりが小声でロウケイに話かける。
(ねぇねぇ〜。君ってあのアルテっていう子に惚れてるでしょ?)
「!ゴホゴホ!」
「どうしたの?」
「い、いやいやなんでもないよアルテ!勢いよく食べただけだから!」
(な、何を言いだすのさ急に!)
ここで弁々と八橋も加わる。
(さっきの君の表情見たら誰が見てもわかるよきっと)
(だ、誰でも?そんなわかりやすい顔してたかな…)
(想いを打ち明けないの?)
(……で、できる訳ないよ。漁師としてもまだ一人前じゃないし、そもそも僕と彼女は…)
(でもこっちじゃ人間と色々な妖怪が一緒に暮らしてるんでしょ?要は君の努力次第だと思うよ)
(それに彼女も貴方を好意的に見てるんじゃないかしら。貴方と食事に来たがってたようですし)
(まぁ頑張りたまえ若いの)
(う、うん…)
人間でも妖怪でもこういった話は少なからず興味がある様である。
「…ロウケイなんか変」
……店主調理中……
…………
「お待たせしましたー!お料理をお持ちしました!」
暫くした後にアレッタとクロが彼女らの元に料理を運んできた。
「デミグラスハンバーグとチーズインハンバーグ、ジャージャー麺と生春巻きになります!」
鉄板の上に楕円形の肉が焼かれ、その横に丁寧に切られた
「うわ~目の前にするとやっぱりいいにおい!」
「うん、今日も良いキュウリを使ってる♪」
「中にチーズが入ってますのでソースと一緒に食べてくださいね」
「ええわかったわ」
(ライスとパン、スープは其々自由にお代わりできますのでお気軽に言ってください)
「お代わり自由!?大盤振る舞いだね~」
「ねぇ早く食べようよ~。私達歌を唄ったからお腹空いてるんだし~」
「そうね。頂きましょうか」
「「「いただきま~す!」」」
全員で挨拶をし、食事を始める。因みにナイフとフォークは慣れていないのでお箸にしてもらっている。箸を肉の塊に入れようとするとすんなりと入った。
「…うわ!思ってたよりずっと柔らかい」
普段食べている串焼きやただ焼いたものよりもずっと柔らかい。断面からただ肉の塊を焼いているのではなく、細かくした肉をひとつに纏めて焼いているのがわかった。更に切り目から透明な肉汁が溢れてくる。
「凄い肉汁だね!」
一方チーズインハンバーグというものはまた違った姿を見せる。肉はデミグラスハンバーグと同じものだがその中身から更に白いものが流れ出てきた。
「わわ!何か白いものが出てきた」
「これがチーズってものかな?初めて見るけどなんか変わった食べ物だね。豆腐みたいな感じでも無いし」
まだ湯気が出ている一口サイズに細かく切った肉を口に運ぶと、軽く噛んだだけで甘みがある肉汁と脂が出てくる。
「…!な、なにこれ、こんなに肉々しいのに全然獣臭くないし、噛めば噛むほどもっと肉汁と脂が出てくる!」
「このデミグラスソースっていうの初めて食べる味でほんのり酸味があるけどお肉と凄く合ってるよ!」
食べるだけで上質な肉を使っているのがわかる。更にハンバーグにかけられているデミグラスソースというほんの少しの酸味と複雑な味わいのソースが肉と肉汁と混ざり合い、どちらの旨味も引き立てる。
「卵の黄身も一緒に食べるともっと美味しい」
アルテから言われた通りにしようと目玉焼きに箸を入れると半熟なそれからとろりと黄身が流れ出る。卵の柔らかい味が更に美味しさを上げる。
「本当!もっと美味しくなるわ♪」
「これは食べてるとご飯が欲しくなるわね!」
チーズインハンバーグは乳から作ったチーズという塩気と独特の風味を持つそれが肉とデミグラスソースにこれまたよく合う。
「お肉もだけどこのチーズっていうの凄く柔らかいわ」
「ソースもチーズもお肉も一緒に食べてどれも味を消してないどころか互いに引き立ててるの良いわね」
「このパンってのいうのも初めてだけどふわふわしてて牛酪のいい匂いがしててこれも美味しいね。あ、いい事思いついた♪」
八橋がパンにソースと溶けたチーズを組み合わせる。素朴なパンにそれらが適度に染み込み、
「うん、思った通りこれも美味しい♪」
「む~なんか私だけ違うの食べて仲間外れみたいだな~」
「にとりもハンバーグにすれば良かったじゃん」
「そうはいかないよ。私にはこのジャージャー麺の麺と生春巻きのライスペーパーの作り方を知る使命があるのだ!」
そんな言葉で皆が笑った。そんな感じで賑やかな食事は進んだ。
……少女食事中……
…………
「はい、おみやげのサンドイッチお待ちどうさん」
「わ~ありがとうございます!」
「あとライスペーパーですけどこんなもんでいいんですかい?」
「サンプルがあれば十分さ。あとはこっちでなんとかするよ♪」
「こちらこそ素敵な演奏聞かせて頂いてありがとうございます!」
(コク)
「いえいえ、これ位お安い御用です」
「ルナサ達の言ってた事もわかったよ。新しい場所で演奏するのもいいもんだね♪」
「また会おうねアルテ!」
「うん、ヒメも元気でね」
「応援してるからねロウケイ?」
「また会えた時進展あったか聞かせてね?」
「あ、ありがとう…。が、頑張るよ」
「ありがとうございました。皆さんのまたのご利用をお待ちしております」
~~~~♪
…………
~~♪…シュゥゥゥン…
「あ、消えちゃった」
「不思議な場所だったね~」
「私達は人間と話す事も少ないから猶更新鮮だったね」
「でも霊夢さんや魔理沙さんとは時々話してるじゃん?」
「あのふたりは悪い人じゃないけどちょっと苦手なの~。前に痛い目にあわされたし~」
「それは調子に乗ってたアンタ達が悪いんじゃないの?」
「それは言わないお約束だよ。…ねぇ姫、アルテから誘われた時に幻想郷に残るって言ってくれてちょっと嬉しかったよ」
「何言ってるの影狼ちゃん。当り前じゃない。私達は草の根妖怪ネットワークで結ばれてるんだから」
「まぁ行きたくてもうちらはあっちの世界には行けないんだけどね」
「にとり~それも言わないのが野暮ってもんだってば」
そんな会話をしながら夕暮れ近い空の下、いつもの様に明日の再会を約束して彼女らは其々の家に戻っていった…。
メニュー28
「鰻」
皆さんこんばんわ、storybladeです。
自分の都合で投稿間隔が遅れてしまいすみません。仕事の件と年末が近い事もあり、今後暫く投稿間隔が今回と同じ位になりそうです…。
お詫びという訳ではないですが年末年始頃にまた以前やった様なクリスマス会みたいな特別回を投稿したいと構想中です。良ければそちらも楽しみにご覧くださいませ。
こんにちは、storybladeです。幻想郷食堂をお読み頂きありがとうございます。突然ですがアンケートです。先代博麗の巫女や魂魄妖忌の回があれば読んでみたいと思いますか?公式設定が少ないのでオリジナル要素を含んでしまいますがどうでしょうか?ご意見お願いします。期限は今月一杯です。
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あれば読んでみたい
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不安なので読みたくない