幻想郷食堂   作:storyblade

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メニュー31「餃子」

「宜しくお願いします」

 

「……」

 

とある日の洋食のねこやの休日。営業していないその店の厨房で動く人影がふたつ。そこでは店主が、ふっくらしたひとりの年配の女性になにやら振舞っている。何か調理したものを味見してもらっている様だ。

 

「……うん、美味しい。文句無しだわマコくん」

 

「ありがとうございます。春子さん」

 

女性から美味しいという感想が出て肩の力が抜けたのか安心の表情を見せる店主。

 

「洋食の料理人の貴方にこれほどの物を作られたらうちもいよいよ危ないわね」

 

「とんでもないです。春子さんの教えのたまものです」

 

「息子同然の貴方なんだからこれ位教えてあげるわよ。…それにしてもここは来る度にメニュー増えるわね~」

 

「色々なお客さんが来るもんで。だからなんでも覚えたいんです」

 

「勉強熱心なのはいい事よ。これからも頑張んなさいね。あと…」

 

「…ええ。また彼女にはそのうち会いに行かせてもらいますよ」

 

先代が生きていた頃からの付き合いらしいふたりの会話はもう少し続いた…。

 

 

…………

 

「社交場」

 

それは人と人のつきあいを目的とした集まりの場。 また、歓談などを行う場所や施設の事である。酒場や居酒屋は食事や酒を飲みつつ喋ったりする。一方社交場とは喋ったり交流しながら食事や酒を飲む。今回は幻想郷には珍しいそんな、正確にはそうなろうとしている場所から始まる。

 

頭に御札が貼られている少女

「せーがー。これはこっちでいいのか~?」

青い髪の女性

「ええそれでいいわ。ありがとう」

 

「こっちは終わったから次は青娥を手伝うぞ~」

 

「ふふ、芳香は本当にいい子ね~」

 

女性は少女の頭をなでる。

ウェーブのかかった青い髪に鑿をさした青い目の女性で、服は薄い青色の袖部分が膨らんだワンピースの上に薄い羽衣を羽織っている。

もうひとりの少女は赤い服に黒いスカート。スカートの上にはギザギザ模様のレースを巻いている。一番目を引くのは帽子を被った黒髪黒目のその顔の額に御札が貼られている事だろう。

 

「沢山お客来てくれるといいなー」

 

「ふふ、慌てん坊さんね。開店はまだまだ先なのよ。でも沢山来てくださる様に今の内に頑張らないとね」

 

「お〜!」

 

〜〜♪

 

とその時部屋のドアベルが鳴った。

 

「あらあら、どなたかしら?」

 

「いらっしゃいだぞ〜…ってお?」

 

大妖精

「…え?あ」

 

ドアを開けて入ってきたのは大妖精だった。

 

「あらあら、大妖精さんじゃない」

 

「どうしたんだ〜?」

 

「せ、青娥さんと芳香さんじゃないですか!ど、どうしたんですかこんな所で?」

 

「それはこっちの台詞だぞ〜。どうしたんだ?お前だけなんて珍しいな〜」

 

「わ、私はちょっと歩いてる時に偶然ここを見つけて、見た事無いとこだな~と思って入ってきただけで…すみません。で、でもほんとどうしたんですか?ここは通りから外れた場所ですよ?」

 

「いいのよ〜ごめんなさいね。今私達、ここであるものを作ってるのよ。それよりどうしたの?芳香の言う通り貴女ひとりだけなんて珍しいわね」

 

「チルノ達はどうしたんだ〜?」

 

「は、はい。実は…」

 

〜〜♪

 

すると再び扉が開いた。

 

「あらあら、お客さんが多いわね〜」

 

「は~いだぞ~!…お?」

 

「あれ?」

 

ルナチャイルド

「…あら?貴女達…」

 

続けてやってきたのは光の三妖精のひとり、ルナチャイルドであった。

 

「ルナちゃんじゃない」

 

「青娥さんに芳香はともかくそこに大妖精?珍しい組み合わせね」

 

「あ、私はお散歩中にここに入って来ただけなの。ルナちゃんは?」

 

「あ~…私も似た様なものかな」

 

「大妖精といいお前もいつものトリオじゃないの珍しいぞー?」

 

「誰がトリオよ!…まぁ大抵一緒にいるのは認めるけど。ただ今日はね」

 

「一体どうしたの~?」

 

「う〜んちょっとね…」

 

〜〜♪

 

「あらまた?」

 

「開店前から大繁盛なんだぞ〜♪」

 

「え?」

 

「あれ?」

 

フランドール

「あれー?貴女達ここでなにしてんのー?」

 

続いてやってきたのは紅魔館の吸血鬼、フランドールだった。日傘をさしているところを見るとどうやらひとりで来た様だ。

 

「貴女は確か紅魔館の…」

 

「吸血鬼の妹の方じゃないか~」

 

「フランちゃん」

 

「アンタまでひとりだけなんて珍しいわね。姉やおつきの連中はどうしたの?」

 

「…お姉ちゃんや皆なんて知らない!もう今日は帰らないんだから!」

 

「…?まぁまぁ立ったままも何だし座りなさいな。テーブルはまだないから御免なさいね」

 

「てか聞きそびれてたけどどうしたんだ~?」

 

 

…………

 

それから青娥と芳香は大妖精、ルナチャイルド、フランドールから話を聞いていた。

 

「ふ~ん、貴女達ケンカしちゃったの~」

 

「何があったんだ~?」

 

「う~んケンカの理由はあんまり大したものじゃないんだけどね?なんか加熱しちゃって…」

 

「私もそんな感じ、かな?チルノちゃんやルーミアちゃんといつもよりちょっと大きく言い合っちゃって」

 

「私もお姉様とね」

 

「ルナやフランはともかく大妖精がチルノ達と喧嘩するなんて珍しいな~。いつもチルノに言い負かされたりしてるのに」

 

「うん…私もそう思うんだけど…でも、私にも時にはどうしても譲れないものがあるの~!なのにチルノちゃんたら絶対に自分が正しいって全然聞かなくて!たまには私の意見もちゃんと聞いてくれていいじゃないの~!」

 

「サニーだっていっつも猪突猛進っていうか考えなくやっちゃうし!スターは真面そうに見えて実は一番腹黒いし!少しはバランスとる身にもなれってんのよ!」

 

「私なんてそんな事しょっちゅうよ~!お姉様は全然私の言う事聞いてくれないし!妹の辛さを皆わかってないんだもん!」

 

何やら思う事がある様である。

 

「はいはい落ち着きなさいな。はいお茶」

 

「す、すみません…」

 

「あ~怒ったらなんか疲れた…。それはそうと私達も聞きたいんだけど青娥さん達ここで何してんの?」

 

「見た感じなんかお店みたいだけど…でもお茶屋さんとか居酒屋さんとかって感じじゃないね…」

 

三人の質問に青娥が笑いながら答える。

 

「うふふ、実はここに社交場を作ろうと思ってるのよ~」

 

「「「シャコウバ?」」」

 

「シャコウバっていうのは皆とお喋りする場所なんだぞ~」

 

「前に外からの本で見たんだけどね。お酒を飲んだりご飯を食べながら会議をしたり打ち合わせをしたりする場所なのよ~。他の方とのおつきあいを目的とした集まりの場という感じかしら~」

 

「それって…ご飯屋さんや居酒屋とは違うんですか?」

 

「飯屋や居酒屋はご飯食べたりお酒飲んだりするのが目的だろ~?シャコウバはお喋りのついでにご飯食べたり酒を飲むんだ~♪」

 

「まぁどちらの言い方でも実はあまり違いは無いんだけれどね?でも幻想郷にもそういう場所があってもいいかなと思って今芳香と頑張って造っているのよ。お酒を出すから大人向けな場所だけど誰でも気軽に来てもらいたいと思ってるわ♪」

 

「勿論妖怪も妖精もだぞ」

 

「ふ~ん外の世界にはそういう場所もあるのね。で、いつ頃開店予定なの?」

 

「まだ少し先よ。名前も内装も決まっているわ。一緒にお店やってほしい方も目途が付いてる。話はまだしてないんだけどね。ただ~…」

 

「ただ?」

 

「料理が決まらないんだぞ~」

 

「さっきも言った通り社交場はおつきあいお喋りする場所だけどそれだけじゃ始めは中々お客さん来てくれないでしょ?だからお料理やお酒で最初は売りに出していこうと思うんだけれど、ここでしか食べれないお料理とかが思いつかなくて。里の居酒屋さんで食べれるものならそっち行っちゃうでしょ?」

 

「だからここでしか食べれない料理やお酒を出そうと思ってるんだぞ~」

 

「それってやっぱりご飯屋さんじゃないの?」

 

「ふふ、固い事は言いっこなしよ♪ねぇ貴女達何か知らないかしら?できればあまり手間のかからないお料理なんかだとありがたいのだけれど…」

 

「う、う~ん…」

 

「そう言われてもね~…」

 

「咲夜なら何か知ってるかしら~…」

 

と皆して考え込んでいた…その時、

 

 

ヴゥゥゥゥン!!

 

 

突然店内に木造りの扉が現れた。

 

「なななナンダコレは~!?」

 

「まぁ!急に扉が…。隠岐奈様?…あれ、猫の看板の扉って確か…」

 

「あー!」

 

「ね、ねこやの扉!」

 

「またお姉様よりも早く見つけたわ!やっぱり神様はかわいそうな私を見ているのね!」

 

「お、お前達これを知ってるのか~?」

 

「芳香知らないのアンタ。今ちょっとした噂になってる外の世界の料理屋の扉よ」

 

「…あ~そういえばそんな話聞いた事あるぞ~」

 

「噂には聞いた事あるけどこんな突然に現れるのね」

 

すると大妖精が思いつく。

 

「…そうだ!ねこやなら青娥さん達の悩みも解決するかもしれませんよ?」

 

「あ~確かにここなら色々料理あるから見つけられるかも!てなわけで早速行きましょ!」

 

「おー!」

 

「なんかわからないけどお~!」

 

「う~んお店の準備が途中なんだけれど…まぁいいか♪行きましょ」

 

 

…………

 

~~~~♪

 

 

「こんにち」ドン「わぷ!」

 

フランが勢いよく扉を開けて入ると何かにぶつかり、尻もちをついてしまった。見てみると扉の前に男性がふたりいる。そのひとりにぶつかってしまった様だ。男性はフランに手を伸ばし起こす。

 

侍の様な恰好の男

「お、おおすまん!大丈夫でござるか?」

 

「う、うん」

 

高そうな着物の男

「何をされているのですか全く。早くどかれなさい。お客さんの邪魔になりますよ」

 

「ふん!お主に言われなくてもわかっとるわ!それになんだお主もたった今来たのか?いつもなら先に席についておるのに随分と遅いではないか?寂しくて儂が来るのを待ち伏せてたか?」

 

「何を勘違いされているのでしょうか?私が貴方をわざわざ待つ等リヴァイアサンを倒すよりもあり得ませんよ」

 

そう話しかけた和の貴族みたいな恰好の男性と同じ席に座る侍風の男性。睨みつけながらふたりは向い合って何やらぶつぶつ話し合っている。

 

(ご注文はお決まりですか?)

 

ソウエモン(豚玉)

「お好み焼き豚玉でお願い致す!」

ドウシュン(シーフード)

「お好み焼きのしぃふぅどでお願いします」

 

「ふん、飽きもせずにまたか」

 

「それはお互い様でしょう」

 

言われて頭を下げるクロ。その横でアレッタが扉の方にやってきた。

 

「いらっしゃいませー!あ、えっとフランドールさんと大妖精さん、それにルナチャイルドさんでしたね!」

 

「うんそうだよー!」

 

「お久しぶりです」

 

「覚えてくれてたんだね」

 

「お客様のお名前と顔を覚えるのは得意ですから!後ろの方は初めての方々ですね?ようこそ洋食のねこやへ!私はこちらで働かせて頂いている、アレッタといいます!」

 

「ええこんにちは。ご丁寧にどうも。私は天人、霍青娥(かくせいが)。邪仙とも呼ばれているけれど、気にしないでね」

 

天人青娥。元は人間であったが仙人となった父親の影響で仙道に傾倒していき、家族も何もかも捨てて自身も仙人の力を得た過去を持つ。しかし目的のためならば手段を選ばない非情さを責められ、仙人とは認められず邪仙とされてしまった。そんな彼女ははるか昔に日本に飛来し、とある聖人に自身の道教と力を与えたが、それがやがて道教と仏教による宗教戦争を引き起こすキッカケを作ってしまった。しかしそんな事は彼女には関係なく、幻想郷に流れてきた今もこうして時に自分がやりたい事をやるだけの気ままな生活を送っている。

 

「キョンシーの宮古芳香(みやこよしか)だ!青娥の一番の自信作だぞ!お前も私と同じで頭になにかつけてるんだな!」

 

「え?あ、これは付けてるんじゃなくて生えてるんです。私魔族なので。…ところでヨシカさんはなんで顔にそんな呪符を付けてるんですか?」

 

「キョンシーだからだ~!」

 

そしてそんな青娥に付き添っているのが芳香という少女。彼女は青娥によって生み出されたキョンシーという妖怪。死んだ子供の肉体を仙術によって再び動けるようにし、額に貼った御札によって活動を維持している生きた屍。そんな彼女だが青娥は実の娘の様に可愛がっている。まぁ自分が生み出したという意味では子供というに間違ってはいないが。

 

「そ、そうなんですね。宜しくお願いします。…ところで大妖精さんやルナチャイルドさんやフランドールさんは、他の皆さんと一緒じゃないんですか?」

 

「あ、あはは。はいちょっと」

 

「もうほんと私達ってセットだと思われてんのね」

 

「失礼しちゃうわぷんぷん!」

 

「うふふ、それだけいつも一緒の仲良しって事よ」

 

 

…………

 

席に着いた青娥達は取りあえず飲み物を注文して一息つくことにした。フランとルナチャイルドと芳香はコーラ。大妖精と青娥はウーロン茶を注文した。

 

「な、なんだこのシュワシュワしてる黒い飲み物は!?甘くて口の中がパチパチするぞ!」

 

「コーラっていうのよ」

 

「ラムネとはちょっと違う面白い感覚なのよね~」

 

「懐かしいわねこの味」

 

「青娥さんはこのお茶知ってるんですか?」

 

「私のいた場所でよく飲まれていたのよ。紅茶は茶葉を発酵させるでしょ?それを途中でやめて加熱するの。…そうだわ、考えたらこのお茶は幻想郷でもできるかも」

 

とそこへクロがやって来た。

 

(ご注文はお決まりですか?)

 

「…あ、あれ~なんか頭に声が響くんだが~札の調子が悪くなったか~?」

 

「ああ大丈夫よ。これがこの人の喋り方なの。さてさて今日は何を食べようかしら~?」

 

「なんかお腹空いたなと思ったらケンカして飛び出してきたからお昼ご飯も食べてないや」

 

「青娥さん、ここはお客さんに合わせたお料理をおススメしてくれますから、もしかしたら青娥さんのご希望に合うお料理もあるかもしれませんよ」

 

「あらそうなの?それならちょっと相談なんだけれど、あまり難しくなくて、私達がいる幻想郷でもできそうなお料理ってないかしら?お酒に合いそうなお料理ならより良いのだけれど…」

 

するとクロはとある料理を提案する。

 

(でしたら…こちらのお料理はいかがでしょうか?)

 

「…えっと、なんて読むのコレ?」

 

「…ああ「餃子」ね。これも懐かしいわね」

 

「ギョーザ?」

 

「知ってるんですか?」

 

「これも私がいた国のお料理なのよ。…でも昔に比べて色々な種類があるのね~」

 

「それなら全部注文すればいいんだぞー」

 

「さ、流石にそんなには食べられないわよ」

 

「それじゃあ…えっとクロさんでしたかしら?こちらの色々な餃子を私達が食べきれる位でいくつかお願いできるかしら?」

 

(承知しました。少々お待ちください)

 

そう言ってクロは店主に注文を伝えに行く。その横で、

 

「そういえばお主!この前儂らの国とお主の国で合同鍛錬をした時、どうしても術が上手くいかないと儂の部下が申しておったぞ。もう少しちゃんと教えんか!」

 

「これはおかしな事を申される。私は針に糸を通すよりも親切にお伝えしたつもりですが、これ以上丁寧にというのは難しいですねぇ。そういう貴方の教え方も厳しすぎると弟子が苦情を言っておりましたよ」

 

「ふん!最年少の侍さえ成し遂げられるあんな鍛錬に耐えれんでどうするというか。お主のとこの者が貧弱すぎるのだ。お主こそいつもいつも座して学んでばかりおらんと少し剣を磨いたらどうでござる?」

 

「いえいえ貴方の方こそ少し落ち着きの術を学ばれた方が良いですよ?今度指南して差し上げましょう」

 

「余計なお世話じゃ!」

 

先程からずっとこの様な言い争いが続く。そんな中、

 

「お待たせしましたー!お好み焼きをお持ちしました!」

 

「おお来たか!待っとったぞ!…まぁ、互いの言い分は置いておいてまずはこれじゃ」

 

「そうですね。食事中のそれは私もご遠慮したいです」

 

「それではごゆっくり!」

 

下がるアレッタ。それを見ていた彼女らは彼女を呼び止め、

 

「あ、あの~アレッタさん…大丈夫なんですかあのおふたり?」

 

「なんかさっきから大声で言い争ってるけど滅茶苦茶仲悪いんじゃないの?」

 

心配する大妖精やルナチャイルドだがアレッタは笑顔で対応する。

 

「ふふ。大丈夫ですよ。あのおふたりは昔から来てくださってるんですが、いつも同じ席に着かれていつもあの様にされてるんです。なんでもお隣同士の国の方で何年も仲が悪かったらしいんですけど、それが最近交流を交えて合同のえっと訓練?を行いましたみたいで、今日はその時のお話みたいです」

 

「ふ~ん。でも仲が悪いなら時間ずらせばいいじゃないの?」

 

「なんでも負けた様な気がしてできないとか仰ってました」

 

「なんかメンドクサイなー」

 

「あはは。でも最初だけなんですよ?仲悪い様に見えますがお互いにちゃんと認め合っておられるんです。他の方もそれを知ってます。現に気にされてないでしょう?」

 

よく見ると確かにいつもの事とわかっている様に気にしていない様に見える。一方のふたりはというと、

 

「…う~む何度食ってもやはり美味い!豚肉の強い味とたっぷりとした脂!それを包む玉菜がたっぷりなふわふわ生地。濃いそぅすとかつおぶし。やはり一番美味いお好み焼きは豚玉よ!」

 

「いえいえ。見事に処理されたなんの臭みも無い、しっかりとした歯応えあるしぃふぅど達。それを優しく包む生地とかつおぶしとの組み合わせ。しぃふぅどこそお好み焼き一番の美味ですよ」

 

「…相変わらず儂と感想が変わらんなお主も」

 

「同じ料理なのですからそれも仕方ない事ですよ。…おや、もう少なくなりましたね。本日も二枚目行けますか?」

 

「愚問でござる。…クロ殿!二枚目は何時もの通りしぃふぅどで頼む!」

 

「私は豚玉を!」

 

(承知しました。…あと、マスターが是非おふたりにこれも召し上がっていただきたいと)

 

「…ほう、「ぎょうざ」とな。またまた聞いた事が無い料理でござる」

 

「具はお好み焼きと同じで肉と海鮮があるのですか」

 

「ふぅむ。店主がわざわざ儂らにそう言うならば試してみるか」

 

「そうですね。では…」

 

ふたりは同じ注文をした。

 

「「肉と海鮮半分ずつでお願い致す!(します)」」

 

(……かしこまりました)

 

クロは少し驚いたようだが直ぐに笑って注文を伝えに行った。

 

「まさかお主と注文がかぶるとはな。明日は天変地異か?」

 

「どうせ肉も海鮮も頼むでしょうし。それならこちらの方が良いですからね。貴方も同じではないですか?」

 

「…ふん」

 

図星らしく面白くないという感じで悪態をつくソウエモンと笑うドウシュンであった。

 

「…ね?」

 

「注文が逆になったりかぶったりしたね」

 

「さっきまであんなに仲悪かったのに…」

 

「変なおじさん達~」

 

「うふふ、違うわよ。お互いに素直じゃないだけよ」

 

「喧嘩するほど仲が良いとはこれのことだな〜♪」

 

 

 

 

……店主調理中……

 

 

 

 

…………

 

「お待たせしましたー!お料理をお持ちしました!」

 

そして暫くしてアレッタとクロが餃子という料理を運んできた。お皿の上に白色系のもちもちしてそうな皮に包まれたいくつもの料理がこんがりと焼かれたもの。同じ物がこんがりときつね色に揚げられたもの。最後に大きめの鉢には白濁のスープに入れられたものが置かれた。

 

「いいにおいなんだぞ~♪」

 

「美味しそうだね~」

 

「右が焼き餃子で、今回折角ですので肉と海鮮どちらもお作りしました。真ん中が揚げ餃子、そして左側のがスープ餃子になります」

 

(餃子に合うおススメのお飲み物としてこちらビール。そしてこちらはレモンサワーです。お酒以外にはお客様が頼まれたウーロン茶とコーラ等が合うとの事です)

 

「レモンはわかりますけど、さわーって何ですか?」

 

「えっと…焼酎に炭酸水と果物の果汁を入れたちょっと酸っぱいお酒です。餃子みたいな油を使ったお料理なら酸味とさっぱりした果物のサワーがオススメとの事で、今回はレモンを使用しています」

 

(これなら幻想郷でも作れるかもしれないとマスターが言っていました)

 

「ふ~ん、梅酒や杏露酒は知っているけどそういうお酒もあるのね~」

 

「焼き餃子は醤油で、揚げ餃子はこちらのソース(タレ)で、スープ餃子はそのままで美味しく召し上がれます。お熱いですのでお気を付けください。ああそれとこちらの餃子は全部ガレオ…あ、ニンニクでしたっけ。それは抜いていますのでご安心ください」

 

「あ、そうなの?あっぶな~い」

 

「そういえば吸血鬼ってなんでニンニクが苦手なんだ~?」

 

「わかんない」

 

「いやアンタが言っていいのそれ?まぁいいけど」

 

「それではごゆっくり!」

 

「ええありがとう。それじゃあ頂きましょうか」

 

「いただきますなのだ!じゃあこの焼いたやつから食べてみるんだぞ~!」

 

「じゃあ私もこの焼いたギョーザってのから食べてみよっと」

 

芳香とルナチャイルドが手を伸ばしたのは焼き餃子。そのひとつを箸でつかみ、言われた通りに小皿に入れた醤油にほんの少し付けて食べてみる。白色の皮はもちもちとした食感で焼き目が付いた部分がカリカリに焼かれている。中の具は豚肉と玉菜(キャベツ)とニラで、中からジュワっとした肉汁と脂が出、塩コショウ等の調味料でしっかりとした味付けを施されているらしい豚肉と甘みがある玉菜、香りあるニラ、そしてほんのり生姜の風味も感じる具の味がしっかりと感じ取れる。もうひとつの海鮮の餃子は肉の代わりに小エビが入っている。その他は同じくニラが入っており、小エビのぷりっとした食感とニラの香りがパリもちっという皮と合っている。

 

「…美味いな~!!」

 

「ほんと!皮がカリってしてもちってしてて、中の具も美味しくてこれなら幾らでも食べれそうね♪」

 

「お酒も合いそうだけど、これはご飯にもきっと合うぞ~♪」

 

「へ~そんなに美味しいんだ。じゃあ私はこっちいってみよっと♪」

 

フランが手を伸ばしたのは横の揚げ餃子。こちらも言われた通り僅かに赤みがあるタレに付けて食べてみる。揚げられているのでもちもちという食感は弱いものの、カリカリという食感はより強くなっている。まるでおやつの様。具は焼き餃子と同じく豚肉と玉菜とニラ。揚げられているが見た目よりサッパリとしていて且つ、パサパサ感も感じずジューシーな味わいである。タレはちょっとだけ辛味があるタレだ。

 

「うん!初めてな感じだけど美味しいわ♪カリカリパリパリでこの外のやつだけでもおやつみたいね。お肉の味がしっかりしてて、それでいて見た目より軽いし♪」

 

「じゃあ私はこのスープギョーザっていうのを食べてみるね」

 

大妖精が試してみるのはスープ餃子。添えられたレンゲでスープと一緒に掬い、小鉢に入れる。湯気を放つそれに息を吹きかけてゆっくり食べてみると、まず感じるのは皮の強いもちもち感。焼きや揚げで楽しめない食感である。中には他のふたつと同じく肉と白菜、そしてニラ。一緒に食べるスープは生姜とごま油、そして鶏の旨味が効いたスープでこれだけでも美味。

 

「…美味しい。このギョーザっていうのがもちもちしてて、この御出汁と一緒に食べるともっと美味しくなる。今寒いからこういう温かい食べ方ができるのって良いね」

 

一方の青娥はお酒を楽しみながら餃子を楽しむ。

 

「びーるっていうお酒は随分昔に似た様なものを飲んだ事ある気がするけど随分美味しくなったわね。このれもんさわ~というのは初めてだわ。炭酸を含んだ焼酎にさっぱりとしてキリッとしたレモンの酸味が効いていて、この油が強めの餃子ととてもよく合ってるわね」

 

「…うえ~果物が入ってるからって飲んだけどなんかちょっと酸っぱいから私苦手」

 

「ああフランちゃん!お酒はまだ駄目だよ」

 

「何言ってんのよ、私495歳よ」

 

「あ、そうか忘れてた」

 

「サワーは他にも桃や蜜柑とかを漬けても美味しいそうですよ」

 

「へ~」

 

「…少し伺いたいんだけどこの餃子と、あとあちらのおふたりが食べているあのお好み焼きというのは、もしかして中身が同じで調理法が違うだけなのかしら?」

 

「え?は、はい。調理法に合わせて中の具の調味料の配分をちょっと変えているとの事ですが基本的にはそうですね!どちらも中身を変えただけです」

 

「成程ね〜…。それなら少ない手でも効率よくできそうだわ」

 

「なんかまだ入るな〜。ギョーザお代わりするんだぞ〜♪」

 

「じゃあ私はチョコバナナクレープ!」

 

「私プリン♪」

 

「わ、私もプリン頂いていいですか?」

 

「かしこまりました!」

 

最初の不機嫌さはどこへやら、という感じで彼女らの食事は続いた…。

 

 

 

 

〜〜少女食事中〜〜

 

 

 

 

…………

 

〜〜〜〜♪

 

 

食事の後、彼女らは青娥と芳香の店に帰ってきた。

 

「は〜もうお腹一杯だぞ〜♪」

 

「つい食べ過ぎちゃったわね〜」

 

「チルノちゃん達も連れて行ってあげたら良かったな〜」

 

「さて、お土産ももらったしお家帰ろ〜っと♪」

 

「お?やっぱり帰るのか?」

 

「なんかお腹が膨れたらあんなケンカなんてどーでも良くなったわ」

 

「私もなんか何時までも怒ってるの馬鹿馬鹿しくなっちゃった」

 

「うふふ、そういうものよ」

 

「私もチルノちゃん達にちゃんと謝ります。ところで青娥さん、少しは悩みの解決になりました?」

 

「ええ助かったわ。どうもありがとう。もしお店ができたら皆宜しくね♪」

 

…その数カ月後、幻想郷に「オールドデザイア」という名のとある社交場ができ、そこで焼き良し蒸し良し揚げ良しのある料理、更に様々な果実酒の瓶が並ぶのはここでは省いておく。

因みに大妖精、ルナチャイルド、フランドールのケンカの其々の理由はというと、

 

「好きなかき氷は?で抹茶きなこ金時と言って「渋すぎ!」「お婆ちゃんでしょ!」と言われてムッとなった」

 

「お洗濯中に誤ってスターがサニーのリボンを汚してしまい、ルナが場を収めようとしたがどっちの味方?と詰め寄られて怒っちゃった」

 

「レミリアのぬいぐるみを貸してと言ったらダメと言われて怒っちゃった」

 

というもので、ケンカの翌日にはすっかり仲良くなってたそうな。




メニュー32

「フライドチキン」

次回はちょっと短めになるかもです。

こんにちは、storybladeです。幻想郷食堂をお読み頂きありがとうございます。突然ですがアンケートです。先代博麗の巫女や魂魄妖忌の回があれば読んでみたいと思いますか?公式設定が少ないのでオリジナル要素を含んでしまいますがどうでしょうか?ご意見お願いします。期限は今月一杯です。

  • あれば読んでみたい
  • 不安なので読みたくない
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