幻想郷食堂   作:storyblade

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メニュー34「スコッチエッグ」

「久々の雪見酒もいいもんね。あてがあればもっといいんだけど」

 

「たくまだ昼前なのに酒とはな」

 

「うっさい。うちは珍しくないでしょ。そう言いながらアンタも一緒に飲んでんじゃないの」

 

「私は巫女じゃないし、今日は店も休みだからいいんだぜ♪」

 

「…でもなんで私もここにいるんですか?」

 

「たまたま飛んでる最中に見つけたからな。酒は大勢で飲むのが楽しいんだぜ♪」

 

時間は明るい頃、雪積る博麗神社の縁側で雪を見ながらいつもの様に酒を嗜む霊夢と魔理沙、そしてたまたま魔理沙に見つかって強引に連れてこられた妖夢。幻想郷は冬の大詰めを超えていた。まだ寒さは続いているもののもうひと月もすれば全ての雪が解けて春がやってくるだろう。

 

「毎年この時期になると私達のした事を思い出してしまいます」

 

「なんだお前。まだそんな事気にしてたのか?」

 

「てか前におんなじ事言ってたわねアンタ。こいつの言う通りもういいわよそんな事」

 

「…ありがとうございます」

 

幻想郷に来て良かったと改めて思う妖夢だった。

 

「まぁそれはともかく今年の冬ももうすぐ終わるのね~」

 

「あっという間だな~。今頃チルノの奴やあいつも残り少ない冬を存分に楽しんでんじゃねぇかな」

 

「あいつ……あ、あの人ですか。そうかもしれませんね。…さて、お酒も頂いたし私はそろそろ失礼しますね。幽々子様の御昼作らないと」

 

「あ、だったら私も行くわ」

 

「たくがめつい奴だなぁ」

 

「そういいながら魔理沙もしっかり用意してますけど?」

 

「私は巫女じゃないし今日は店も休みだからいいんだぜ♪(二回目)」

 

 

…………

 

霧の湖

 

 

季節といえば花や鳥、虫等様々な形で人々にその訪れを知らせてくれるものがあるが、ここ幻想郷では他にもその季節のみに現れる妖精や妖怪というものがいる。彼らはその季節にのみ活動が活発になり、それが過ぎると力が落ちるのでおとなしくしている…のだが、まだ雪や氷残る霧の湖上空にてふわふわ漂う少女達がいた。

 

「ほらほらお前ら!こっちだこっち!」

 

ひとりは氷の妖精チルノ。氷の妖精だけあって彼女は非常に元気である。まぁ元からでもあるが。そして、

 

「む~だって寒いんだもの~」

 

ふたりめは常闇の妖怪ルーミア。その首にはマフラーと手には手袋をはめている。そしてもうひとり、

 

「ほらほらピースも~!」

 

ピエロに似た服装の妖精

「うるさいわね~てかなんでアタイも巻き込まれてんのよ~!」

 

水玉模様の紫色の帽子を被った金髪のロングヘアー。青地に白い星マークと赤白のストライプという変わった模様の服を着た少女。背中から羽が生えていることから彼女も妖精と思われる。ピースと呼ばれた彼女はルーミア以上に防寒をしている。

 

「仕方ないだろ~?大ちゃんや他の皆がしんねんど?ってのに向けて準備するって言ってこれなかったんだから。真面目すぎるんだよな~皆。んでもって邪魔しちゃ悪いという事で外で遊ぶ事にしたわけだ。アタイって友達思いだなぁ~」

 

「気にしないでお部屋の中で遊べばいいじゃないの~」

 

「そんなのもったいないぞ。冬はもうあと少ししかないんだ。外で遊ばないと勿体ないだろ!」

 

「それはチルノだけでしょーが。アタイは寒いの苦手なんだからね!折角博麗神社の下で焚火のイタズラしようと思ってたのに~!エタニティラルバとか誘いなさいよね!」

 

「だってあいつは今冬眠……お?あそこにいるのは…」

 

ターバンを巻いた女性

「……」

 

目をやるとひとりの妖怪が霧の湖上空を優雅に漂っている。

薄紫色の短い髪の頭に白いターバンを巻き、青いゆったりとした服装に白いマフラーとエプロンを付けている。

 

「あれはレティじゃないか」

 

「ほんとだ~。おーいレティ~」

 

「……あらあら?チルノとルーミア、それにクラウンピースじゃない。どうしたのこんなところで?」

 

「私達は残り少ない冬を楽しんでるんだぞ!お前はどうしたんだ?」

 

「私はチルノと同じよ。冬の冷たい空気は私にはとてもいい栄養だから」

 

「レティは冬以外閉じこもってるもんね〜」

 

「軟弱なやつだなお前も」

 

彼女の名はレティ・ホワイトロック。冬の到来と共に現れ、冬が終わるとどこかへ消えるという妖怪である。雪女とも言われているが決して同じでないらしい。

 

「でも貴女達だけなんて珍しいわね。大妖精や他の子達はどうしたの?」

 

「大ちゃんや他の皆はしんねんどってやつの準備で忙しいんだぞ!」

 

「そうなの。貴女達はしなくていいの?」

 

「アタイ達は大ちゃんが「私達がしてあげるから」って言ったんだ!だから邪魔しない様にお外に出てきたんだ!」

 

「そ~なのだ~♪」

 

「そうなのね」

(…多分だけどあの子達が自分達でやった方が早いって気を使ったのね)

 

笑うふたりを前に苦笑いしながらそんな事を考えるレティであった。

 

「アタイはむりやり付き合わされてるだけだけどね…」

 

「あらあら、それはお気の毒様。でもいいんじゃない?貴女も冬の間は運動不足でしょ?」

 

「アタイは地獄の妖精、しかも上位の立場だぞ?ご主人様の指示で色々動いてるんだからな~。それにそれを言うならお前も同じじゃないか」

 

「私は冬しか出てこないんだから当然よ~」

 

「…でも今年の冬はいつもに比べてあんまり寒くないな~」

 

「それはチルノが氷の妖精だからじゃないの?私からしたら寒いよ」

 

「…いえ、暖冬程じゃないけど確かに今年の冬は毎年に比べて暖かいわね」

 

「だろ~?」

 

「だんとー、って何?」

 

「冬の間の気温が高くなる事よ」

 

「そーなのかー。もしかしてそれも妖怪の仕業なのかー?」

 

「暖かくなるって言ったら…火、火と言えば…ピースお前か!そういえばお前、前に「大寒の灼熱祭り」なんてもん起こしてたしな!」

 

「あれは博麗神社だけに限っての事でしょーが!幻想郷そのものを出来る位ならとっくにやってるわよ!」

 

「まぁそんな事したら霊夢達が黙ってないでしょうけど。それはともかく違うわよチルノ。なんでも外の世界の気候の問題らしいわ。それが幻想郷にも伝わってるんでしょうね」

 

「な~んだそうなのか~。外からなら流石のアタイにも手出しできないな」

 

 

ぐぅぅぅぅぅぅ…

 

 

ルーミアのお腹の虫が鳴いた。

 

「ねぇねぇお腹空いたよ~」

 

「あら、もうそんな時間なのね」

 

「そういえば外の世界とお腹の虫で思い出したけど、またあそこ行きたいな~」

 

「あそこ?」

 

「にゃんこやだよ!美味しいご飯が食べれる場所なの〜」

 

「おう!勇者のみが食べれるオモライスが食べれるんだ」

 

「にゃんこや……?」

 

するとクラウンピースが答える。

 

「それって、もしかして「ねこや」ってとこじゃないの?」

 

「およ?ピースも知ってたのか?」

 

「前にサニー達から聞いたのよ」

 

「ああそういう名前のお店なら私も噂だけ聞いた事あるわ。確か七日に一回出てくる外の世界のご飯屋さんだったかしら」

 

「そうだぞ。前に大ちゃんがまた行ったっていってたな~。アタイももう一回行きたいぞ!」

 

「でもその扉ってどこに出るかわからないんでしょう?」

 

「そうなの。私達は前に寺子屋に出たんだけ…ってあー!!」

 

「な、な、なんだよルーミア!?」

 

ルーミアが指をさした先に…まるで湖面に浮いているかの様に、ねこやの扉がいつの間にか出現ししていた。

 

「不思議ね~。さっきまでこんな扉無かったんだけど」

 

「やったやった!アタイ最強の氷を操る能力以外に「ねこやの扉を出す程度の能力」も追加しないとな!」

 

「あーチルノズルい!見つけたの私だよー!」

 

「細かい事は気にすんな♪早速行こうぜ~。レティとピースはどうする~?」

 

「…そうね。私も気になっていたから一緒に行きましょう」

(この子達だけじゃ心配ですからね)

 

「あ、アタイはこういうのはご主人様に聞いてからに」

 

「じゃあ行くぞ!」

 

「わあぁ引っ張るな~!」

 

チルノとルーミアは二回目、レティとクラウンピースは初めてのねこやの扉を開けた。

 

 

…………

 

~~~~♪

 

 

「いらっしゃいませ~!(ませ)」

 

入った瞬間、アレッタとクロが四人をいつもの挨拶で迎えた。

 

「こんにちは~♪」

 

「また来たぞ~!」

 

「あ、チルノさんとルーミアさんいらっしゃいませ!」

 

「ここが噂のご飯屋さんなのね。お洒落な店内だわ」

 

「へ~ここは暖かいな。ここならいつものアタイの調子を出せそうだ♪それになんかここ…凄い火の力を感じるぞ!」

 

「…確かにね。でも不思議と…悪い気はしない。寧ろ私でも温かさを感じるわ」

 

「初めてのお客様もいらっしゃいますね。ようこそ洋食のねこやへ!」

 

「あ、ええこんにちは。…貴女、人じゃないのね?」

 

「あ、はい。私は魔族なんです」

 

「マゾク…わからないけど妖怪と同じ様なものかしら。私はレティ・ホワイトロック。雪女と呼ぶ人もいるけれど、大自然に生きるしがない妖怪だからそこは間違えないでね」

 

「アタイはクラウンピース!偉大なる地獄の女神ヘカーティア様に仕える地獄の妖精だ!しいて敬うがいいぞ♪」

 

どや顔でいばるクラウンピース。

彼女はチルノやルーミアを始め、他の妖精と違って幻想郷の地獄で生まれた妖精である。現在は自らの主から幻想郷に住むよう指示をされており、しかも博麗神社の下で居を構えている。勿論霊夢にはバレているが霊夢は下手に動かれるよりはと黙認している。

 

「私はこちらで働いているアレッタと申します!」

 

(クロと申します)

 

「まぁ、頭の中に声が。不思議な会話をするのね貴女」

 

「!!ほ、ほ~…お前も随分な力を持ってるな~。ま、まぁご主人様程じゃないけどな!」

 

(…?)

 

キョロキョロ「…なぁアレッタ。クロ。今日はトカゲのおっちゃんはいないのか?」

 

「トカゲのおっちゃん?…あ、もしかしてガガンポさんですか?ガガンポさんならつい先ほど帰られました」

 

「入れ違いになっちゃったのか~残念」

 

「ねぇねぇ、早く何か食べようよ~」

 

「アタイもなんかここのいい匂いでお腹が減って来たな。てか今更だけどレティお前、ここは大丈夫なのか?暖かいけど」

 

「ちょっと眠くなりそうだけどこれ位なら大丈夫よ」

 

「取り合えずお席にご案内しますね!」

 

チルノ達は取り合えず席に座る事にした。

 

 

…………

 

(お水とおしぼり、それとメニューになります)

 

「ほ~温かいんだなこれ」

 

「レティはおしぼり大丈夫か?」

 

「大丈夫だってば。もっと言えば温かいお料理だって食べられるわ。チルノだってなんともないでしょう?」

 

「あ、それもそうか。そういえば前に温泉入った時も溶けなかったな!アハハ♪」

 

「やっぱバカでしょアンタ」

 

(ご注文がお決まりになりましたらお呼びください)

 

「アタイなら決まってるぞ!オモライスだ」

 

「さっきも言ってたけどどんな食べ物よそれ?」

 

「卵で赤いご飯を包んだ食べ物だ。勇者が食べれる料理なんだぞ」

 

「赤いご飯…って赤飯みたいなもんかな?」

 

「…あれ、そういえばルーミアは?」

 

「あ、ほんとだ。てかこのパターン前もあった様な気がするぞ」

 

「あ、あそこ」

 

クラウンピースが指差した先には、

 

「ねぇねぇ、どうして貴女足がそんななの~?」

 

ラミア族の少女

「それは私がラミア族だからですわ」

 

人間の少年

「君は初めてかな。お母さんやお父さんはいないの?」

 

「私にはお父さんやお母さんはいないんだよ~。お友達は沢山いるけど~」

 

ルーミアは前にガガンポのテーブルにいたのと同じ様にまた別のテーブルにいつの間にか移っていた。会話しているひとりは人間族の少年。そしてもうひとりは足が蛇の様になっている少女。思うに以前フランドール達が出会った事があるラミア族という種族だろう。そんな彼女を追ってチルノ達も来た。

 

「わわ!こいつもちょっと変わった奴だな!」

 

「足が違うのだー!」

 

「まるで蛇みたいな脚してるぞ!」

 

と、前回ガガンポと急に出会った時みたいにラミアを見て興味津々な反応するのは当然妖精の彼女ら。詰め寄る彼女らをレティが止める。

 

「チルノもルーミアもクラウンピースも落ち着きなさい。御免なさいね、私達彼方達と違う世界から来たのよ。だからそちらの様な方が珍しいんだと思うわ」

 

「…確かにちょっと強引だったかもな。ごめんな」

 

「御免なさい」

 

「アタイとしたことが冷静じゃなかったわね」

 

ルーミア(スコッチエッグ)

「いえいえ。…そういえば以前から異世界の方々が来られているというのは御婆様から聞いておりましたが、貴女方がそうなのですね。お初にお目にかかります、私はラミアのルーミアと申しますわ」

エミリオ(スコッチエッグ)

「え、エミリオといいます」

 

「えー!私もルーミアだよ~♪」

 

「まぁそうなのですか!不思議な縁ですね」

 

「アタイは幻想郷最強の妖精、チルノだ♪」

 

「地獄の妖精クラウンピースだ!宜しく頼むぞ!」

 

「レティ・ホワイトロックよ。宜しくね」

 

「は、はい。よ、宜しくお願いします」

 

「そうですわ。折角ですから少しお話しませんか?異世界の事をもっと聞かせてくださいな」

 

「でもルーミアさん。早くおみやげを思って帰らないと」

 

「ふふ、少し位なら良いではないですか。御婆様も皆も許してくださいますわ」

 

 

…………

 

「まぁ、貴女方の世界にはそんなに沢山の種族がいるのですか」

 

「そーなのだー。妖精や精霊以外に天狗や鬼、神様、お月様に住んでる人もいるよー」

 

「月に…。私達の世界の砕けた月にも…もしかしたら誰かおられるのでしょうか…。世界は広いですわ」

 

「中でもアタイの主であるヘカーティア様は幻想郷最強の女神様だぞ♪」

 

「おいピース!幻想郷最強はこのチルノだぞ!」

 

「ふん!お前如きヘカーティア様の足元にも及ばぬわ♪」

 

「なんだと~」

 

「ま、マスター、止めなくていいんでしょうか?」

 

「ああ、ああいうのは大丈夫さ」

 

(うん、大丈夫)

 

元気にはしゃぐルーミアというラミアと妖精達。しかし騒がしいがケンカになることなどは無く、それを見抜いているのかクロも店主も何も言わない。

 

「御免なさいね騒がしくて」

 

「い、いえ全然。ルーミアさんも楽しんでますし」

 

「…そういえば貴方、女性の様に見えなくもないけど男性なのね?」

 

「あ、はい。そうです…」

 

そんな言葉にちょっとだけ元気を無くした様に見えるエミリオ。

 

「…?どうしたの?」

 

「…あ、いえ大した事じゃないんですけど…」

 

エミリオは少しばかり自分の事を話し始めた。彼は異世界では赤の神に仕える一族の者であったが、男からも好かれる容貌がコンプレックスだった。そのせいでいじめにあった事もある。だからより強い力と男らしさを得たいと聖地へと旅立ち、その途中で女王ルシア率いるラミアの一族と出会った。彼女から見込まれ、赤の神の聖地でもあるこの異世界食堂に来れた事で自信を付けた彼は彼女の元で修業を積んでいるのだが…、

 

「ルシア様やルーミアさん達のおかげで男らしさよりも強くなる事を目指して修業をしているんですけど…女性っぽいって言われるとまだちょっと思っちゃうんですよね…。いいかげん気にしない様って思ったりもするんですけど」

 

「そうなのね~。でもそれでいいんじゃない?」

 

はっきりと言うレティ。

 

「え?いいんですか?」

 

「私は妖怪だけれど、人間変わりたいと思ってすんなり変われるなんてできないわ。例え心の持ちようは変わっても根本ではどこかで必ず過去の自分が残っているものよ。今の貴方がそう。同じ外の世界ではトラウマ?とも言われているらしいけど。受け入れたらいいのよ過去の自分を。男性から想いを寄せられた事もいじめられた事も。過去は変えられないんだもの。例え「女性っぽい」って言われても「可愛いでしょ~?」とか「ありがとうございます~♪」って感じで」

 

「そ、そういうものですか?」

 

「そういうものよ。あの子達だって。チルノは幻想郷最強を名乗って誰かれ弾幕しかけては毎回返り討ちに合ってるけど止めないし、ルーミアはなんでいるのかさえわからないと言われてる位日々能天気だし、クラウンピースはイタズラが過ぎておしおきされた事も数えきれない程あるけれど、三人共決して自分を変えないの。そしてそんな彼女達を周りも受け入れてるわ。私もあの子達が変わってしまった方が寧ろ不自然だもの。貴方も自分ががちがちの男性で筋肉隆々の姿になったらどう思う?」

 

「……………………あまり想像できませんね」

 

「でしょう?無理に変わらなくても貴方は貴方のままで良いのよ。そう吹っ切ればより強くなれるし、ルーミアさんももっと貴方に惚れてくれると思うわ~♪」

 

「…え!?い、いやあのその」

 

「お待たせしましたー!おみやげの「スコッチエッグ」です!」

 

「ありがとうございます。レミリオさん、そろそろお暇しましょうか?」

 

「は、はい!あ、ありがとうございましたレティさん」

 

「いえいえ~」

 

「なぁなぁレティ!今あっちのルーミアからここの一番美味しい卵料理を教えてもらったぞ!」

 

「スコッチエッグっていうの~」

 

「変な名前だけどな」

 

「まぁそうなの~。一番美味しい卵料理…興味あるわね。ではそれを頂きましょうか」

 

「是非召し上がってみてください。それでは皆様、ごきげんよう」

 

「またなのだ~ルーミア♪」

 

そしてエミリオとルーミア(ラミア)は帰り、レティ達は彼女らが教えたスコッチエッグを注文した。

 

 

 

 

……店主調理中……

 

 

 

 

…………

 

「お待たせしましたー!ご注文のスコッチエッグをお持ちしました!」

 

やがてアレッタのカーゴで四人分のスコッチエッグたる料理が運ばれてきた。

白い皿の上に濃い色をした黄身と白身の卵。それを覆う様に包んでいるのは炒められたひき肉と玉ねぎ。大きい卵の形にされたものがこんがりと揚げられたものがふたつ。ひとつは半分に切られてひとつはそのままの形。その脇には葉野菜とトマト。小皿にはパンも一緒に。そしてもうふたつの小皿には何やら液体。

 

「おーきれいな卵だ!」

 

「オムライスと同じでこれも美味しそう♪」

 

「そちらのチリソースとオーロラソースのふたつのソースでお召し上がりください!」

 

「オーロラソース?」

 

「マルメットのピューレとマヨネーズを合わせて作ったソースです。こちらのチリソースはちょっと辛めの酸っぱいソースですがどちらもとてもよく合いますよ。それではごゆっくり!」

 

「ええありがとう」

 

「…わ!このパンってやつふわふわで凄くいい匂いがするぞ。……ほんのり甘くて美味しいな!」

 

「それはコムギってやつから作られてるんだぞ。物知りだろ~?」

 

「それじゃ私はスコッチエッグから食べてみよっと♪」

 

そう言いつつルーミアがスコッチエッグに手を伸ばす。ナイフとフォークに少し手こずりながらもなんとか元々切られたものを半分に切り、教えてもらったオーロラソースで食べてみる。

 

「外のカリカリサクサクっていう食感が面白くて、お肉の濃い味と玉ねぎ、そしてこの茹でた卵がこの赤いものと混ざってとっても美味しいのだー♪」

 

「そのままの感想じゃないか。どれどれ……おーこれもオモライスと同じで凄く美味しいな♪この赤いタレが甘くもあってちょっとだけ酸っぱくもあって、オモライスにかかってたケチャプとよく似てるぞ」

 

「んじゃアタイはこの…チリソース?ってので」

 

対してクラウンピースはチリソースというもうひとつのソースで食べてみる。赤色をしているが真っ赤でなく半透明で、中には赤いものが浮いている。それをがっつりかけて一口。

 

「か、辛い!そして酸っぱい!でもちょっと…甘い!唐辛子とお酢が効いてるがこれはトマトの甘さか?お肉と卵によく合うし、この辛さ好きだなアタイ♪」

 

「うわ~ほんとだ辛い!」

 

「でもピースの言う通りこの辛さがお肉に合うな!」

 

「私も食べてみようかしら。…そういえばこっちはなんで切ってないのかしら?」

 

見ているだけが辛いと思ったレティはもうひとつの切られてない方にナイフを入れてみる。すると…中から黄身がトロ~ッと流れてきた。どうやらこちらは黄身が半熟の様だ。

 

「おおこっちは黄身が半熟だぞ!」

 

「だから切られてないのね。…そうね、ではクラウンピースと一緒で辛い方で食べてみようかしら」

 

黄身が流れるスコッチエッグにチリソースを少し付けてレティは口に運ぶ。半熟故に濃厚な黄身の味がとたんぱくな白身がチリソースの辛味を抑える。更に濃い味の肉と玉ねぎ、カリカリのパン粉が黄身と混ざり合い、絶妙な味わいとなる。

 

「…とても美味しいわ。この味は幻想郷では確かに味わえない味ね」

 

「おおアタイもこっちの半熟の方が好きだな!」

 

「アタイは固い方が好きかも。この辛いソースが存分に味わえるわ」

 

「こっちの固ゆでの卵はオーロラソースというのが合っているわね」

 

「私は最初に食べたソースに半熟の卵の方が好き~♪」

 

色々な食べ比べができるスコッチエッグの味に皆満足している様だ。因みにチルノはこの後オモライス(オムライス)も注文して前みたいに食べ過ぎてしまい、ルーミア、クラウンピース、レティがデザートのアイスクリームを食べるのを残念な感じで見ていたのはなんとなく想像できた。

 

 

 

 

……少女食事中……

 

 

 

 

…………

 

「ありがとうございました!(した)」

 

「今日も美味しかったぞ♪」

 

「おみやげもありがとね♪スコッチエッグっておみやげにもできるんだ~」

 

「ヘカーティア様にも是非召し上がっていただきたいけど地獄だしなぁ…しかたないから前の礼代わりにあの三バカに持ってってやるか♪」

 

「わざわざ私の分まで持たせくれて悪いわね」

 

「いえいえ。お気になさらずに」

 

「また是非お越しくださいね!」

 

「う~んそれは嬉しいんだけど私は冬が終わると表に出ないのよね~。もしかしたらまた次の冬になるかもしれないわ」

 

「それなら心配いらないんだぞレティ。この扉はあちこちに出るからな、レティの隠れ家にも出るかもしれないぞ」

 

「へ~、じゃあその時を楽しみにしましょうか」

 

(またお越しをお待ちしております)

 

「じゃあ帰るか~!」

 

「うん、頑張ってる皆におみやげを渡しに行かなきゃ~」

 

とその時レティが急に、

 

「……三人共。貴女達のおみやげ、私が持ってあげるわ」

 

「およ、そうか」

 

「ありがとうなのだ~」

 

「気が利くじゃないか♪」

 

言われてレティに荷物を預けてチルノが扉を開けた。

 

~~♪

 

 

「うわ!」

「へ?」

「あれっ?」

 

 

どっぼーーーーん!!!

 

 

「「(!?)」」

 

扉を開け、一歩踏み込んだ瞬間、チルノとルーミアとクラウンピースが豪快に水に落ちた。

 

「ぶは!!ななななんだ一体!?」

 

「つつつ冷たーい!!」

 

「冷たい冷たい冷たい!!」

 

「だだ、大丈夫ですか!?」

 

「アレッタさんクロさんとりあえずタオル持ってきてくれ!」

 

(はい)

 

「やっぱりここが湖面の上に出た扉って忘れてたのねもう…。おみやげ受けとっといてよかったわ。まぁ思ってて止めなかった私も悪いのだけれど、たまにはこういうイタズラもいいかもね。だって私も妖怪だもの♪」

 

その後、チルノとルーミアとクラウンピースは扉が開いたままだったのが幸いし、再び入ることができてしっかり暖を取ってから帰っていったとさ。




メニュー35

「聖人のティータイム」

皆さんこんにちは。storybladeです。いつもより遅い時間の投稿でごめんなさい。ストーリーが冬の間にレティを出しておこうと思いました汗。

こんにちは、storybladeです。幻想郷食堂をお読み頂きありがとうございます。突然ですがアンケートです。先代博麗の巫女や魂魄妖忌の回があれば読んでみたいと思いますか?公式設定が少ないのでオリジナル要素を含んでしまいますがどうでしょうか?ご意見お願いします。期限は今月一杯です。

  • あれば読んでみたい
  • 不安なので読みたくない
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