やっとできた…。最近全然編集の時間が取れなかった…。
「どうもご馳走様でした」
「今日も美味しかったわ~♪」
とある土曜の異世界食堂。この日も元気に営業中。幻想郷からはこの時、白玉楼の妖夢と幽々子が来店していた。妖夢は前も食べたブリの照り焼き。幽々子はビフテキ、チキンステーキ、ポークステーキを其々10皿ずつ平らげた。
「本日も凄く召し上がられましたね!何時もビックリします!」
「うふふ、こちらのご飯が美味しいからちょっぴり食べ過ぎてしまっちゃって。あ、ご飯といえば妖夢ちゃんの料理も中々なのよ?」
「ありがとうございます幽々子様」
「そうなんですか。でもヨウムさん、確かお庭のお仕事に剣の先生もしてるんでしょう?」
「ええ、なので普段の炊事は他の霊がしています。私は宴会とか、特別な時ですね」
「私としては毎日妖夢ちゃんのお料理食べたいんだけどね〜。甘えたら駄目よ〜妖夢ちゃん。妖忌はどんな時だって剣も自分の仕事も欠かさなかったんだから〜」
「わ、私は御祖父様の域にまでまだ達してませんからいいんです!」
(おみやげのカツサンド、ビフテキサンド、テリヤキサンド10箱ずつです)
「ありがとう~。お茶のおやつに頂くわね~♪」
「いつも大量ですみません店主さん」
「気にしなくていいですよ。是非またお越しくださいね」
「ええまた来させていただくわ」
「ご馳走様でした。あ、タツゴロウさんもアルトリウスさんも、また」
「おお、またな」
「うむ」
店に同じく居合わせたアルトリウスとタツゴロウに挨拶をし、妖夢と幽々子は幻想郷に戻っていった。アレッタもクロも店主も仕事に戻る。
「う~む…」
「…?どうかしたのか?」
「あのヨウムとやらがここに来るようになってまだ数ヶ月程じゃろう?」
「ああ」
「少し前から気になっていたんじゃが…何故かもっと前に会った事がある様な気がしてな…。儂の思い違いだろうか…」
顎髭に手をあてながらアルトリウスはこう切り出した。するとタツゴロウも、
「……お前もか」
「それではお前も?」
「うむ。実は拙者もなんというか…あの者を始めて見た時に、人でない違和感以外に…妙な懐かしさも覚えたのだ」
「…不思議なもんじゃの」
「だがやはり気のせいだろう。彼女らの世界がここと繋がったのはつい最近だ。会っている筈が無い」
「…まあそうじゃな」
何時まで経っても答えが出なさそうなふたりはそう納得するしかなかった。
…………
今より随分昔のとある土曜日…。
先代店主・大樹
「…さてと、準備はいいか?暦」
妻・暦
「…ええ」
まだ先代の店主、大樹と妻の暦が現役であり、二代目店主がまだ幼い頃のお話。
この日もまた、異世界食堂としてのねこやとして、異世界からの客を迎える準備に追われていたふたり。
「さてと、今日は誰が一番最初に来るかな」
「きっとアルじゃないかしら」
〜〜〜〜♪
準備を終え、今日は誰がくるか待っていると扉が開いた。
…入って来たのは侍風の恰好の男。緑と白の着物に近い服装と腰に帯刀をしている。顔は白髪と白い髭を生やし、威厳に満ちている。一端の者ならば誰もがただ者では無いと思うだろう。
和装の男
「……これは一体…」
「お、いらっしゃい。初めての客だな」
「いらっしゃいませ。ようこそ、洋食のねこやへ」
「…ここは何なのだ?」
「ここは洋食のねこやっつうしがない料理屋ですよ」
それを聞いて男は目を細める。
「…料理屋だと?」
「ええ。見た感じお客さん初めてみたいだな。実は…」
…………
「別の世界と繋がる扉…。その様なものがあるとは…」
「まあどの世界からだろうと客は客、美味いもん食ってもらって、満足して帰ってもらえりゃそれでいい。てな訳で、アンタもこの店に来たらお客さんだ。遠慮なく食ってってくれ。これからランチタイムだしな」
「ふむ…生憎だが今はさほど金を持たぬまま出てしまっておってな」
「ああ初めてだし、気にせず食ってってもいいさ」
「しかし私は…」
〜〜♪
ローブと杖の男
「来たぞ〜ヨミ。店主。今日もロースカツ!そしてビールを頼む!」
「あいよ」
「ふふ、今日も相変わらずそのメニューなのねアル」
「俺がロースカツとビールを止めるのは死ぬ時だ♪」
〜〜♪
侍風の恰好の男
「世話になるぞ」
「いらっしゃい」
「お、今日は来れたかテリヤキ」
「依頼で向かった街で運よく扉を見つけてな。(男を見て)…おや、お主も侍か。もしや拙者の大陸にも扉が現れたのか」
「…いや私は」
〜〜♪
ボロボロの服装の男
「店主!カレーライスだ!もちろん大盛り!早く頼むぞ!」
「はいよ」
「相も変わらず声がでかいなカレーライス」
「ずっと海に潜ってて腹が減ってるからな!」
そんな感じで店主の言う通り、馴染みらしい客がどんどんと入って来る。
「ほら、アンタも遠慮なく食っていきな」
「遠慮なさらないでください」
ふたりからのススメに男も折れるしかなかった。
「…そこまで言うならば馳走になろう」
「ええどうぞ。こちらのお席に。あ、お客様が増えてきたらご相席になってしまうと思いますが宜しいですか?」
「ああ構わぬよ」
言われて男はひとつのテーブルにつく。間もなく暦が水とおしぼり、品書きらしきものを持ってくる。
「…水は頼んでおらんが?」
「こちらはサービスです。おかわりも遠慮なくお伝えください」
「…さーびす?」
「お金はいらないという事です。それではご注文がお決まりになればお呼びください」
暦は別の客に対応するため下がっていった。
そしてそうしている間にも新しい客がどんどん入ってくる。
大剣を持った獅子の頭の大男、
軽装の鎧を着込んだ隻眼のリザードマン、
何やら聞き慣れない名前の菓子を頼む女性等々…
いつの間にかほぼ満員になってきている。驚くのはこれだけ様々な種族がいるのに誰も揉めたりせず、お互いの近況を話したり、先に来た黄金色の飲み物を楽しんでいる事。
和装の男はそれに多少驚きはするが表情は崩さない。
「…どうやらここは我らの世界の常識が及ばぬ場所の様だ…。まぁよい、品書きを読むとしよう。………ふむ、聞いた事が無い飯が大半だな。何を頼めば良いかわからんし、ここはこの…日替わりとやらにするか」
すると男はとあるメニューに目をやり、暦を呼ぶ。
「……すまんが、日替わり、というものを頼む」
「日替わり定食ですね。かしこまりました。今日の日替わりはブリカツですね」
「……ブリ…カツ?」
「ブリというのは海の魚です。今が旬らしいので美味しいですよ。カツというのは細かいパンをまぶして油で揚げたお料理です。私もこちらのロースカツが大好きなんです」
「…パン?…ううむ、聞きなれないものが多いが海の魚か。海は私のいる場所とはあまり縁が無い故、丁度良い。まぁではそのブリカツとやらを貰おうか」
「はい、少々お待ちください」
〜〜♪
高貴な格好をした男性
「今日も賑わっておるな」
再びひとりの男性客が入ってきた。白髪白髭の男性。見た所かなり質の良い生地で出来ている高貴な衣装に身を包んでおり、単なる身分の者では無い事が伺える。
「いらっしゃい。ヴィルヘイムさん。いつもので?」
「うむ。世話になる」
「どうぞ。こちらのお席にご相席でも宜しいでしょうか?」
「構わぬ。そちらの方も宜しいかな?」
「気にされる必要はない」
「よぉコロッケ、久々だな」
「数ヶ月姿を見なかったが」
「王位継承の準備で忙しくてな」
〜〜♪
帽子をかぶった男性
「あ~腹減ったぜ~!」
次に入って来たのは革製の帽子を被った男性。服装も膝位まである同じく革製の服、足には黒い革靴を履いている。
「ウィリアムさん、いらっしゃいませ。今日もメンチカツですか?」
「おうよ!今日もべっぴんだね~アンタ」
「おいおいメンチカツ、そいつには手を出さん方がいいぞ」
「おっとそうだった。店主に怒鳴られちまう。え〜と席空いてるか?テーブルがいいんだが」
「でしたら…すみません、こちらお席宜しいですか?」
男とヴィルヘイムと呼ばれた男性が頷いた。
……店主調理中……
…………
「すまねえな。おう、久々じゃねぇかコロッケ」
「うむ、お前もな。今日もどこか潜っていたのか?」
「ああまぁな。知ってる町の近くにある廃坑奥に新しい扉があるのを見つけてな。…あそこなら通いやすいし、終生の住処として引っ越そうかと思って町長に相談に来たのさ。……そっちのアンタは初めてだな。今日が初めてかい?」
「…うむ」
ウィリアム(メンチカツ)
「そうかい。こうして相席になったのも縁ってやつだ。宜しくな。俺はウィリアム・ゴールド。世界一のトレジャーハンターだ」
ヴィルヘイム(コロッケ)
「名だけ立派で遺跡から財宝を持ち出すという、ある意味泥棒と変わらんがな」
「チッチッチ、大違いだぜ!全く素人は」
「…随分と気楽に話されるのだな。…見た所然程身分が近いとも思えんのだが…」
「ん?ああまぁ、こいつに至っては現皇帝だからな。でもここじゃあそう言った事は無しだ」
「こやつの言う通りだ。だからお主も気軽に接してくれて構わんよ」
「左様か…」
「そういやコロッケ。お孫さんは元気か?」
「…うむ。将来はより我が母に似てくるであろう。…お前のひ孫も随分と大きくなったのではないのか?確か名は…」
「おう、まぁな。まだちっこいガキなのに随分と生意気になってきた。誰に似たのかねぇ」
「ふん、間違いなくお前だろうが」
笑いながら自分達の家族の会話をするメンチカツことウィリアムとコロッケことヴィルヘイム。
「…おふたりにも孫がおられるのか」
「ん?ああ。俺はひ孫もいるけどな。アンタもかい?」
「…うむ。孫娘がおる。私と同じ様に剣をやっている」
「ほ~そうなのかい。…見た感じアンタ相当な腕だろ?隣のテーブルのテリヤキの奴も相当なもんだが…アンタはそれ以上じゃねぇかな」
「…お主の血を引いているならば孫娘殿もきっと有望であろう。将来が楽しみではないか?」
「……」
しかし男は少々思うところがあるのか顔が優れない。
「…何か悩まれておられる顔だな」
「なんだ?話してみなよ。同じ孫を持つもんとして何か助言できるかもしれないぜ?」
多少躊躇いがあったが男は話す事にした。
「………先に話した通り、私には剣をやっている孫娘がひとりいる。今は空気どころか雨にも及ばないがな」
「…空気や雨とな?」
隣のテーブルに座るテリヤキという男が聞いてきた。同じく剣をやるものとしてこんな話には興味がある。
「…雨を斬るのに30年。空気を斬るのに50年。そして時を斬るには200年はかかるものだ」
「…雨を斬る…成程。…興味深いな」
「…だが本題は腕の事ではない。…孫娘にはそう遠くない未来、ある使命を継がさねばならない」
「…使命?」
「そう、使命だ。そしてあれもそれを継ぐ気でおる。故にずっと励んでおる」
「ほう、いい話じゃねぇか。後継ぎができるというのは」
「……しかし、それはとても重いものだ。あれに継がせるべきか…迷っている」
「…孫娘殿しかいないのか、継がせるのは。他の弟子となる者は?」
「(頭を振る)…あれにしか継がせるものがおらぬ…」
「お孫さんが強くなるまで待てばいいんじゃないのか?」
「……そうにもできない事情があるのだ。あまり詳しくは言えんのだが」
「…お互い孫に苦労しておるようだな」
ヴィルヘイムは苦笑いする。男も。するとウィリアムが言う。
「…そんなに難しく考えることかね?」
「…というと?」
「だってよ。自分がいなくなった後の事なんてどうでもいいじゃねぇか。って言うかどうしようもねぇだろ。例え世界が滅んでも。もうそん時いねぇんだから」
「…しかし、もし誤れば」
「自分がいなくなった後の事なんてどうでもいいというか、考えるだけ無駄じゃねぇか。例え墓に小便かけられようと痛くもかゆくもない。大事なのは自分が生きてる内に何を成すかだ」
「……」
「一流のトレジャーハンターってのはそれを嗅ぎ分ける一流の嗅覚とそれを味わう一流の味覚がなきゃいけねぇもんだ。アンタの言う通り時間がねぇならその間で今だと思う時を嗅ぎわけ、そして選ぶしかねぇ。後継がせるもんがお孫さんしかいねぇなら猶更だ。寧ろひとりしかいねぇんだから楽なもんだろ?俺なんて孫ひ孫が山ほどいんだから大変だぜ記録残したりすんの」
「(ため息)メンチカツ、お前もう少し上品に言えんのか。……まぁしかし、一理あるのも確か。私も今、子に跡を継がせようとしている。恥ずかしながら平凡な子だが…あれでも我が帝国を想う気持ちだけは誰にも劣らぬと思っておる。故に決めた」
「そうそう。どっかで線を引くタイミングは絶対あるもんなのさ」
「……そういうものか」
「アンタだって自分のお孫さんを信じてねぇ訳じゃねぇだろ?迷ってんのはお孫さんをそんだけ大事にしてるって事だ」
「孫殿もお主の後と志を継ぐ気でおるのだろう?ならば…朽ちていく私達がする事は…後の者達を信じることだけだ。…王がこんな事言うのは失格かもだがな(苦笑)」
メンチカツことウィリアムとコロッケことヴィルヘイムは其々の想いを男に伝えた。加えて横で聞いていたテリヤキことタツゴロウやロースカツことアルフォンスも同じ弟子を持つ者同士として。男は彼らの言葉を静かに聞き、
「………かたじけない。お主らの言葉、深く覚えておく」
「おう、まぁあんまり深く考えんなよ」
「お主はもう少し考えるべきだと思うがな」
「ハッハッハ。違いないぞメンチカツ」
笑い合う一行と男。すると暦がカーゴに注文を乗せて持ってきた。
「お待たせいたしました。コロッケとメンチカツ、そして日替わりのブリカツです」
「お、待ってたぜ♪」
「…うむ。今日も美味そうだ」
コロッケとメンチカツにふたりは喜んでいる。そして男の前には…ふたりと同じ様なきつね色にこんがりと揚がった美味しそうなブリカツという小ぶりな揚げ物が置かれた。傍には千切りの葉野菜。ライスと味噌汁(豆腐とわかめ)、漬物も一緒に。
「こちらのおろしポン酢をかけて食べてくださいね。それではごゆっくり」
「…見た目は天ぷらに近いが…。この衣は?」
「それはパンを細かく砕いたものだ。私もここで初めて知った」
「まぁ一番はメンチカツだがな」
「いやいやロースカツに決まってんだろ?」
「こらこらお主ら。…まぁこんな感じでお互い自分の料理が一番と言い合う事はあるが気にされるな。今は食べてみられよ」
「…ふむ」
言われて男はブリカツの一切れに取り掛かる事にする。箸で半分ほどに切るとサクッとした感触の後に魚の身が見える。僅かな湯気とほんのり魚の香りが漂う。
「まずはそのまま…」
食すと…箸で切ったのと同じサクサクとした食感。そして次にブリという魚の身から出てくるたっぷりの魚の脂、川魚のものとは違う海の魚らしい力強い味。柔らかすぎず固すぎもしない心地よい歯応えで噛めばさらに旨味が出て来る。
「……これは中々」
次におろしポン酢とやらを付けて食べてみる。大根おろしとポン酢は知っているがこれを合わせてたらどうなるか…。ポン酢の柑橘の酸味、ほんの少し加えられているらしい生姜の香り、そして大根おろしの食感、みっつが組み合わさった風味とさっぱり感がブリの脂を程よくし、より食べやすくしてくれている。
「……美味い」
「だろう?ここの飯は俺にとって宝ともいえる位だしな」
「私もこのコロッケを我が国で食えるようにしたいと研鑽しているが…ここにはまだまだ劣る」
「拙者もここの飯があまりにも美味いから国に帰ろうとは中々思わんのだ」
「お前はもう少し帰れテリヤキ」
するとそこに表の扉を開けて入って来たのは…ひとりの少年。
「じいちゃん!昼飯ちょーだい!」
「…おう、おかえり。さっさと手ぇ洗ってこい」
「はーい!…あ、いらっしゃい!」
孫らしい男の子は客達に簡単に挨拶して洗面所に行った。異世界の客にも全然動じていなかった。
…………
男は先に食事を終えていた。
「馳走になった…店主」
「気にしねぇでいいさ。それよりいいのかい?こんな立派な小判貰っちまって。貰いすぎなんだが」
「構わん。それで払いすぎならば彼らの分も立て替えてやってくれ」
「おお本当か?こりゃすまん」
「こいつは儲けたぜ♪ならもう一個メンチカツ食ってくか」
「はっは、喜んで馳走になろう「ブリカツ」」
「……ブリカツ?」
「言っただろう、ここでは料理で呼び合うと。お主、ブリカツとやらが気に入ったみたいだから今からブリカツだ」
「………ふ、好きにされるといい」
「また縁があれば一緒に飯食おうぜ」
「またのご来店をお待ちしております」
「……うむ。……またな」
そして男は扉を閉める瞬間…指を振った。そして閉めた。
「………あれ?なぁテリヤキ、ロースカツ。お前らここで飯食ってたか?」
「…いや、拙者はここでずっといたと思うが」
「俺も」
「だよな?」
「…ふむ、誰かいたと思うのだが…」
「…あれ?…この小判なんだろ?」
…………
「……扉が消えた。……彼らの言った通りだな」
男は扉が消えるのを確認して歩き出す。
「……それにしても、まさか斬った次元の狭間からあの様なものを呼び寄せてしまうとは…。消えて何よりであったと言っておくべきであろうな」
男にはある能力があった。
剣術を扱う能力にして「あらゆるものを斬る程度の能力」。
炎を斬ればそこから炎を食い止める事が出来る。
水を斬ればまるでモーゼの奇跡の様に水を両断する。
雨を斬ればそこだけ雨が降らない空間を作り、空気を斬ればそこは空気が無くなる。そして彼は時の流れや次元の狭間も斬る事ができる。そしてあの扉は…次元の狭間を斬り、そこから現れたものであった。何故現れたのか、それは男には知る由もない。…そして男は出会った者達の記憶を断ち斬った。もう思い出さないように…。
「………しかし…不思議と妙に、居心地よい場所であった。そして気持ちのいい連中であった。…だが、もう会う事もあるまい」
すると遠くから駆け寄って来る者がいた。彼にどこかしら面影がある白髪の少女。
「はぁ、はぁ…。お祖父様!じゃないお師匠様!どこに行ってたんですか!」
「…ちょっと野暮用でな」
「野暮用?…まぁいいや。それよりも稽古の時間過ぎてますよ!」
「わかっておる。……やる気だけは一人前だな、○○」
「当然です!一日も早く雨を斬る位にはならないといけませんから」
「…そのやる気が空回りにならなければ良いがな」
やる気を見せる弟子らしい少女にして孫。それを見た男はあまり見せない微笑を浮かべていた…。
「……我らは信じるのみ…か」
「…?何か言いましたお師匠様」
「……いや、なんでもない(僅かに口角があがる)」
「!今…笑いました?」
「…気のせいだ」
…………
…そして幾日が過ぎた後…、
「……○○○様…お祖父様は…お師匠様は…いったいどこへ行ってしまったのでしょう」
「……」
「何も言わずに…こんなに長くに今まで…」
「………○○。ごめんなさい。○○は…もう戻ってこないの」
「………え」
「彼は…悟りを開いたの。頓悟っていうんだけど…。きっと剣を極めた結果、神髄に達したのね…」
「……そ、それでは…お祖父様は…?」
「……ええ。…もう会う事は…叶わない。……ごめんなさい。言い出す事が出来なくて…」
「……………いえ。…悟りに、剣を極めた先に、…お祖父様がたどり着いたのなら…孫として尊敬します。大尊敬です。凄いなぁ…ほんとに…ほんとに」
「○○…」
「せめて一言…。不器用なんだから…剣術馬鹿なんだから…お祖父様…ほんとに…」
「……彼から伝言があります。…○○○○を…初代剣術指南役兼庭師の任から解く。そして…我が孫○○を二代目剣術指南役兼庭師に任ずる。と。この二振りの剣と共に」
「!!……お祖父様が…私に…?」
「……○○。これを受け取れば…もう泣く事は許されません。○○がそうであったように。だから…○○。今は思い切り泣きなさい…私も泣くから。…遠慮しないで」
「………~~~~~~!!!」
…………
~~~♪
「こんにちは」
「いらっしゃいませ!」
「いらっしゃい妖夢さん。今日のブリはいいのが入ってますよ」
「そうなんですか?じゃあ今日は…このブリカツってやつにしようかな」
「はいよ。……」
(どうしたのマスター?)
「ん?…ああいやなんでもない」
(なんか…前に妖夢さんに似た様な誰かがブリカツを………気のせいか)
そんな風景の今日のねこやだった…。
メニュー47
「スイートポテト」
今回出したブリカツ。自分も食べて中々美味しかったので出してみました。
今回のキャラは名前は出していませんがわかる方は簡単にわかると思います。能力はオリジナルです。
別れの様子は僕が今もしている某ゲームのストーリーを参考にしました。ブリ、そして異世界食堂が知らない内にふたりを繋いでいたという感じです。