「それじゃあふたり共、悪いが明日の朝よろしくな」
「はいマスター。お休みなさい」
(お疲れ様でした)
「ああ。ふたりもしっかり休めよ」
そう言ってアレッタとクロは店のエレベーターに乗った。
「は~、疲れた~」
(お疲れ様、アレッタ)
「お疲れ様ですクロさん。早く休みましょ~。今日は私お布団入ったら直ぐ寝ちゃう気がします~」
(……そういえば私、オフトンというもので眠るのは初めてかも)
「えー!そうなんですか!じゃあ普段どうやって寝てるんですか?」
そんな会話をしながらふたりは上の休憩室で床に着いた。そしてそれから30分位して店主も、
「…ふあ~~。…俺ももう休むか」
そう言いながら電気を消し、自身もエレベーターで上がっていった…。
……………
…………
………
……
…
~♪
翌日、日曜日の朝…。
……ガシャン
「…ふあ~」
エレベーターから出てきたのはアレッタとクロ。前日、馴染みのハーフリングの団体が遅くまで来店し、最後に来店する事になっている客(赤)の来店もかなり遅くなってしまった。そのため帰りを心配した店主はふたりを先に帰して自分だけで後片付けの残りを翌日に回そうとしたのだが、アレッタとクロは「自分達も手伝う」と言い出し、まかないの後、店主は考えた末にふたりを自分が寝床として使っている部屋とは別の部屋に泊まらせる事にしたのだ。
(大丈夫?アレッタ)
「はい、大丈夫です。昨日リサさんが帰られる時にもしかしたら翌日に帰りますってお伝えしてましたから」
こちら側からは曜日に関わらず何時でも彼女達の世界に行ける様になっている。異世界の住人でない店主は行けないのだが。
「マスターはまだ降りてきてないみたいですね」
そういう訳でふたり共起床し、そんな会話をしながら降りてきた…その時、
「…!」
クロがふと足を止めた。
「どうしましたクロさん?」
(…………誰かいる)
アレッタの問いかけにクロは突然そう答えた。しかしまだ店内には電気はついておらず、店主はまだ来ている気配はない。
「だ、誰かって…」
とその時、
グニャッ
「わあ!!」
アレッタの足に何かを踏んだような感覚があった。
「ななな何!?何踏んだのかな私!?」パチッ
部屋の中が暗いのでよく見えないアレッタはまず電気をつけた。するとそこにあったのは…。
帽子をかぶった少女
「ZZZ…」
食堂の床で眠っている…ひとりの少女だった。
「お、女の子!?」
「…!」
ガシャン
「悪い、先に来てたのか。ふたり共おはようさ…ってうお!」
とその時、遅れて店主がエレベーターで上から降りてきたが、当然店主も床で寝ている少女を見て驚く。
「………誰だ、これ?」
「わ、わかりません!今朝降りてきたらここで寝てたんです!」
クロも「そうだ」と首を振る。三人はその少女を観察した。
見た目はアレッタやクロよりも少し幼い。灰色の髪で黄色いリボンが付いた黒い帽子。緑色の幅広の襟が付いた黄色い服。緑のスカート。そしてアクセサリーなのか、紫色の管と小さいボールみたいなものが身体にまとう様に付いている。
「初めて見る子だな…」
「ど、どうしましょう…」
「……う」
とその時、部屋の明かりかアレッタ達の声か、眠っていた少女が目を覚ました。
「…う~ん……あれ、私寝ちゃったのかな…?」
目を擦りながら身体を起こす少女。そしてぼんやりした目で周りを見渡すと、
「「「……」」」
そこには自分を見つめる、会った事も無い者達の顔があった。
「あれ~…?お姉ちゃん達…誰?」
「わ、私はアレッタっていいます」
(…クロ)
「!わっわっ!頭の中に声が聞こえた!」
その声で完全に目が覚めたらしい少女は再び周りの状況に目をやると、
「………ここ、どこ?地霊殿じゃないの?」
「…チレイ、デン?」
店主がアレッタとクロの方を見た。ふたりは首を横に振る。どうやら異世界では聞いた事がないらしい。
(…そういえば前にマリサって人がそんな名前を言っていた気がする)
「ねぇ、もしかして君、幻想郷っていう世界の人?」
「うんそうだよ。ねぇここどこ?」
次に答えたのは店主。
「ここは洋食のねこやっていう料理屋さ」
「……ねこや?」
「ああ。お嬢さん、とりあえず名前を聞かせてもらってもいいかな?」
店主が少女に尋ねると、
「私は古明地こいし!さとりお姉ちゃんの妹だよ!」
こいしと名乗った少女は笑顔で自己紹介するのだった。
…………
その後、とりあえず落ち着こうと一同は席につき(店主はコック服に着替えた)、こいしと名乗ったその少女は自分の事を店主達に話した。それによると彼女は幻想郷にある地底世界、旧都という場所にある地霊殿に住んでいる者だという。旧都とは曾て地獄と呼ばれていた場所に、「鬼」と呼ばれる妖怪達が自分達の新たな住処として作った地底にある一大都市の事である。地底では一番大きい場所であり、そこには多くの鬼だけでなく、地獄だった頃の先人も住んでおり、こいしが住む地霊殿はそんな旧都の真ん中にある館であった。
「…鬼に地獄か…。本当にあったなんてな」
「私達の世界じゃオニというのは聞いたことないですが…。マスターは知ってるんですか?」
「ああまぁ。子供の頃はよく豆まきしたもんさ。鬼は外〜、福は内〜ってな」
(…マメマキ?)
「じゃあ、こいしちゃんもそのオニなの?」
するとこいしは首を振った。
「ううん。こいしは「
(…サトリ?)
「そっちは聞いた事ないな…」
「覚はね、人の心を読む事ができる妖怪なの」
その言葉に誰よりもアレッタが驚く。
「ええ!こ、心を!?じゃ、じゃあもしかして私のも読めるの!?」
するとまたこいしは首を振った。
「…ううん。こいしはもうできないんだ。力を封印しちゃったから」
「そ、そうなんだ…ホッ」
(…どうして封印したの?)
「…えっとね…」
クロからの質問に少しこいしが困った顔をする。そこに何か事情があるのだろうと察した店主がすかさずフォローを入れた。
「言いにくいなら言わなくていいさ。ここは飯を食うとこだ。暗い話は無しだ。暗い顔したら飯も美味くないぞ?と言っても今日は休みだけどな」
少し明るく言った店主のその言葉にアレッタとクロがハッとし、謝る。
「…そうですね。ゴメンねこいしちゃん」
(…ごめんなさい)
「ううん大丈夫だよ♪」
こいしは笑顔でそう返した。
「まあそれはそれとしてだ。こいしさんはどうやってここに来たんだい?」
「あ、そうだった!」
言われてこいしは思い出し、再び話始めた。昨日の夜、こいしはそこで同じく一緒に住んでいる者達とかくれんぼをしていた。そして自分が隠れる番になり、自分の部屋のクローゼットに隠れる事にしたのだが…、
「そしたらお燐が部屋に入ってきちゃったの。お燐って一応猫だし、目も鼻も利くからどこに隠れても直ぐにみつけちゃうんだもん~!」
「ね、猫?」
「それでねそれでね。もう見つかっちゃう!と思ったら、暗くて気づかなかったんだけど、壁の様子がいつもとちょっと違ってたの。ドアノブがあって、猫の絵があって」
(異世界食堂の扉…)
「そういや昨日は霊夢さん達の世界の人はいなかったな…」
店主は昨日、霊夢や魔理沙達幻想郷からの客人がいなかった事を思い出した。どうやらその日の扉は地霊殿のクローゼットの中に出現していたらしい。そんな場所に出現したとなると誰も気づく筈があるまい。
「ここにいるよりは見つからないかなと思ってその扉に入ったの。そしたらね、中は真っ暗な部屋だったの。ちょっと恐かったけど、いい匂いがしたし、暖かかったんだ。それでとりあえず隠れてたんだけど…」
「そしたらいつの間にか寝ちゃったの?」
アレッタの質問にこいしはコクッと頷いた。
「御飯も食べた後だったし、暗くて暖かかったから眠くなっちゃって」
「俺達が店仕舞いした後だろうな…。俺が店を出て、ふたりが休憩室に上がった後って事か…」
とここで店主がある事に気づく。
「…待てよ。こいしさん、確かかくれんぼしてる途中って言ってたな?」
「うん」
「それでここに入って来たって事は…今頃向こうで騒ぎになってんじゃねぇかな?」
「…あ!」
アレッタも思い出したのかハッ!と驚く。
「どうしたの?」
ポカンとしたこいしにクロが説明する。
(貴女が入ってきた扉は、もう一度出る時まで消えてしまうの。つまり向こうからすれば、貴女は突然いなくなった様に見える筈)
「たた、大変です!早く帰った方がいいですよ!」
「ああ。きっと家族も心配してる筈だ」
アレッタと店主が早く戻る様に促す。するとこいしは、
「大丈夫だよ」
すんなりそう答えた。あまりの軽い返事にその場の皆がきょとんとする。
「「(…え?)」」
「だってこいし、何も言わないで色々なところにひとりでお散歩行ったりしてるから♪皆すっかり慣れちゃってるから大丈夫だよ♪」
なんの問題も無い様にあっさりそう答えるこいし。
「いやしかし、こいしさんのご両親は…」
「こいしにお父さんお母さんはいないんだ」
「え?…そうなの?」
その言葉にアレッタが少し驚いた。
「うん。でもさとりお姉ちゃんもお燐もお空もいるし、お友達も沢山いるから大丈夫だよ♪」
笑顔でそう答えるこいし。嘘をついている様には見えない。
「ねぇねぇ!それよりもここって何なの?綺麗なお部屋だね!」
「あ、ああ。さっきも言ったがここはねこやっていう料理屋。つまり飯を食う店さ」
「へ~お料理のお店なんだ~……!」
するとこいしは店主に言った。
「ねぇねぇ!じゃあこいしも何か食べていってもいい?」
「え?う~ん…」
聞かれて店主は少し悩む。今日は一応店は定休日であり、しかもこの後店の残っている後片付けもあるが…。店主はアレッタとクロの様子を伺うと、
(コクコク)
「大丈夫ですよ。マスター」
ふたりは構わない、という返事を返した。
「よし。じゃあ折角だからこいしさんも朝飯食べてくかね?」
「うん♪」
こいしは子供らしいとてもいい笑顔で返事した。
「はは。じゃあちょっと待っててくれ。あああと上で顔だけ洗ってくるといい。今まで寝てたんだしな。アレッタ、連れてってあげてくれ」
「はいマスター!」
「クロは悪いが後片付け、先にできる分だけやっててくれるか?」
(わかった)
…………
「はい。タオルだよ」
「ありがとう~」
上の休憩室で顔を洗うこいしに付き添うアレッタ。すると、
「…ねぇ、こいしちゃんだっけ。…聞いてもいい?」
「何?アレッタお姉ちゃん」
「お、お姉ちゃん?」
お姉ちゃんと言われたことに一瞬またきょとんとするアレッタ。
「どうしたの?」
「あ、ああごめんね!……こいしちゃんさっき、お父さんやお母さんがいないって言ってたよね?」
「うん」
「…死んじゃったの?」
「わからないんだ。どんな顔なのかも知らないし。お姉ちゃんも言った事ないの」
「…そうなんだ…」
アレッタはこいしを深く気の毒に思ったが、
「でもさっき言ったけどこいしは寂しくないよ♪」
こいしの表情は嘘偽りのない笑顔だった。
「…そっか。良かったね」
アレッタはそう答えるのがやっとだった。すると今度はこいしがアレッタに聞く。
「アレッタお姉ちゃんは?」
「え?あ、うん。私のお父さんとお母さんはね…昔、病気で死んじゃったんだ…」
こいしを不安にさせない様に笑顔でそう答えるアレッタ。しかしその表情は寂しさが浮かんでいる。最近は両親の事を思い出してなかったが今の話を聞いて思い出したのだろう。
「そっか~…。じゃあさ!こいしとお友達になろうよ!」
「…え?」
こいしは続ける。
「さっきこいし言ったでしょ?お友達が沢山いるから寂しくないって。だからさ、アレッタお姉ちゃんもお友達沢山作ったらさ。こいしと同じできっと寂しくないよ」
「……」
「それにさ、おヒゲのおじちゃんもクロお姉ちゃんも、アレッタお姉ちゃんのお友達でしょ?」
「…!」
アレッタの頭に巡るものがあった。昔、自分は両親と一緒に裕福とまではいえなかったものの、幸せな生活を送っていた。しかし両親を病で失ってから変わってしまった。魔族である自分は冷えた目で見られ続けてきた。家も失い、食べるものにも困ってきた。明日をも知れないそんな彼女の前に、運命の様に現れたのがねこやの扉だった。店主が作ってくれた温かい食事と言葉に過去の幸せなひと時を思い出したアレッタはその時知らずに涙を流したものだった。…そして彼女の運命は再び変わった。ねこやで働く様になり、多くの顔なじみもできた。仕事仲間であるクロとも知り合い、今は同じ屋根の下で一緒に暮らす者もいる。今まで意識しすぎる事はなかったが、彼らは自分にとって友達であり、大切な人達であった。もう貧しかった頃の、両親を失ってひとりだった頃の自分ではない。
「どうしたのアレッタお姉ちゃん?」
「……あ、ご、ごめんね。ちょっと…嬉しくなっちゃって」
こいしを不安にさせない様、こみ上げてくるものを何とか抑えたアレッタ。
「ありがとう。…ねぇこいしちゃん、…私とも、お友達になってくれるかな?」
「うんもちろん!」
ふたりは笑い合った。
……店主調理中……
…………
「お、来たか。もうすぐできるから席についててくれ」
「はい!」
「は~い♪」
上から降りてきたアレッタとこいしは先に席についていたクロに並ぶ。アレッタとクロでこいしを挟む形だ。
「すみませんクロさん!」
(ううん、大丈夫。……ふたり共、何かいい顔してる)
「え?そ、そうですか?」
「えへへ♪」
慌てるアレッタと元気なこいし。そんなふたりを見て微笑むクロ。
「お待ちどうさん。はいクロ」
(ありがとう)
クロの前に彼女の一番の好物であるチキンカレーとレモン水が出される。昨日帰る前に下準備していたものである。彼女のまかないはいつもこれだ。
「そしてアレッタとこいしさんのふたりには、ちょいといつもと違うのを用意してみたよ」
そう言ってアレッタとこいしの前に出されたのは、
「ほい。ねこやの新メニュー候補、スフレパンケーキだ」
見た目はホットケーキに近いがそれよりも白く、そして小ぶりだが分厚い、そんなケーキが三枚。上からかけられているのはメープルシロップとバター。そして雪化粧の様にふりかけられた粉砂糖。一緒に添えられているのはプリンアラモードにも使われているホイップクリーム。そして赤、青、紫、様々な色のベリー。薄切りのバナナ。ちょこんと飾り付けられたミントの葉。それらがワンプレートに収まった一皿。その横には温かいココアが置かれた。
「わぁ…」
「かわいい~!」
それを見て再び驚くアレッタと目を輝かせるこいし。
「俺も今日はチキンカレーだ。朝カレーってやつだな」
店主も自分のチキンカレーを持って三人に向かい合って座る。
「それじゃ、いただきます」
「我ら魔族の神よ。今日も我が」
(いただきます)
「いただきま~す♪」
「…い、いただきます!」
他の皆に合わせるためか、それとも早く食べたいのか、食前のお祈りを途中で投げ出したアレッタはナイフとフォークを取る。そしてケーキにナイフを入れると、
「!…凄く柔らかい…」
「凄いふわふわだ~♪」
分厚さなんて関係ない位にすんなりと刃が入った。まずはメープルシロップとバターを少しだけつけて口に入れる。
「…何これ…!」
ナイフを入れた時点でわかっていた事だが、口に入れるとよりはっきりわかるふわふわな食感。そして見た目よりも甘すぎない優しい味。更にくちどけも非常にいい。以前ねこやで知り合ったとある客がアイスクリームを「雪を食べている様」と例えた事があったが、これはそれに近いものがある。横で食べているこいしも凄く嬉しそうな表情をしている。口に合っているかどうかはその顔だけでわかる。
「次はホイップクリームと果物と…」
今度はホイップクリームを少し多めにつけ、小さめのベリーも一緒に食べる。甘さ控えめのふわふわなケーキ、甘いシロップとクリーム、甘酸っぱいベリーが口の中で合わさり、調和する。
「凄く美味しいねアレッタお姉ちゃん!」
「そうだねこいしちゃん!」
チキンカレーを嗜むクロと店主もそんなふたりを見て嬉しそうだ。
「それは良かった。一応試しで作ってみたんだがどうかね?お客さんにも喜んでもらえそうかね?」
「勿論ですマスター!」
「こいしも大好きコレ!」
ふたりの笑顔が何よりの証明だった。
「ははは、そんなに喜んでもらえるなら問題なさそうだな。おかわりならあるから遠慮なく言ってくれよ。クロもな」
アレッタもクロも、こいしも元気にブンブンと頷く。
「…なんかアレッタが初めてこの店に来た時を思い出すな」
(…どんな感じだったのマスター?)
「ああ。こいしさんと同じ様に店仕舞いした後に来ててな。朝起きてきた俺が寝てたアレッタを見つけたんだ」
「あ、あはは。そういえばそうでしたね」
「はは。オマケに残っていたコーンポタージュを綺麗に全部」
「わわ!マ、マスターそれはもういいですから!」
赤くなってその先の言葉を防ぐアレッタ。そんな中、こいしは次にクロに話しかけた。
「ねぇクロお姉ちゃん」
(……お姉ちゃん?)
「うん。クロお姉ちゃんやおヒゲのおじちゃんが食べてるの何?」
(……チキンカレー。このお店一番の美味)
「へ~そうなんだ~。ちょっともらっちゃうね♪」
するとこいしは自らのスプーンでクロのチキンカレーのルーを少し掬い、口に運んだ。すると、
「~~〇×△□◇☆!!」
「こ、こいしちゃん大丈夫!?」
「やべ!牛乳だ牛乳!」
チキンカレーの超激辛に目を×印にしながら半泣きでもだえるこいし。そんなこいしを落ち着かせようとするアレッタと店主。
(……こういう賑やかも悪くない)
彼らを見ながらそんな事を思いつつ微笑むクロ。慌ただしくも賑やかな日曜のねこやの朝食シーンであった。
……少女食事中……
…………
それから約一時間後、なんだかんだありつつも仲良く皆で朝食を終えた後、流石にこれ以上おそくなってはまずいとこいしは帰る事になった。
「凄く美味しかったし楽しかった!あとお土産もありがとうおじちゃん!」
「おう。ああそういやここの店の扉は七日に一回開くから、またどこかで見つけたらぜひまた来てくれ」
「うん!その時はさとりお姉ちゃん達も連れてくるね!」
「楽しみにしてるねこいしちゃん!」
(…またね)
「バイバイ!」
~~~~♪
そう言ってこいしは扉を開けて再び戻っていった…。
「ふぅ。元気な子だったな」
「……あの、マスター。あとクロさんも、…ちょっと聞いてもいいですか?」
「…ん?どうしたアレッタさん?」
店主はアレッタに尋ねる。クロは何も言わないがアレッタの方を「何?」という表情で見ている。
「…あの、…その。私って…マスターやクロさんの…お友達、ですか?」
アレッタは先程こいしに言われた事が気になったので聞いてみた。その表情はやや緊張が見える。もし違うと言われたら…。
「「……」」
店主とクロは一瞬ポカンとしていたが、やがて店主がアレッタの頭に手を置いて、
「…友達で、同じ場所で働く仲間ってとこかな。でなけりゃ、一緒に仕事なんてできないさ」
「……」コク
「…あ、ありがとうございます!」
ふたりの返答に、アレッタはとても嬉しそうだ。
「さて、朝飯も食ったし、とっとと残った後片付けを終わらせるか」
「はい!(はい)」
…………
こいしが扉を開けると、そこは入ってきた時と同じ自分の部屋のクローゼットだった。そしてパタンと扉を閉めると、扉は消えてしまった…。
「あ、消えちゃった…。ずっとあったらいいのになぁ~」
そんな事を言いながら、再会の時を願いつつ、こいしはクローゼットの扉を開けた。
ガチャッ
紫色の髪の少女
「こいし…!」
赤い髪と黒い髪の少女
「「こいし様!?」」
すると扉が開いた瞬間、こいしの耳に声が聞こえた。見ると彼女の部屋の中に三人の少女が見える。
ひとりは赤い三つ編みのおさげ髪で、黒い猫耳の様なものが頭から生えている、緑の模様が入った黒っぽい服を着た少女。
もうひとりは赤い目の様なものがある白い服に緑のスカートを着、黒髪にカラスの様な黒い翼を持った少女。
そして最後のひとりは紫色っぽい髪で水色の服にピンクのスカート。そしてこいしと同じ様な全身にまとうようについている黄色いコードと赤い球体があった。こちらは目の様なものが開いている。
「あ、皆。ただいま~♪」
「あ、はいおかえりなさい。…ってじゃないですよ!一体どこに行かれてたんですか~!!」
「燐がかくれんぼ中にこいし様の気配が消えちゃった!ってひどく慌ててたんですよ!」
「だってだってクローゼットの中にこいし様の気配がしたと思ったら突然消えちゃって!見たら煙の様に消えちゃってたんですもん!アタイびっくりしましたよ!」
「あ~そういえばかくれんぼしてたんだったね。ごめんねお燐」
半泣き状態の燐に詫びるこいし。
「全く…。こいし、貴女の放浪癖は知っているし、私もいつもの事と思ったけどせめてかくれんぼを終わらせてからにしなさい。お燐本当に慌ててたんだから」
「あ、お姉ちゃん」
「…でも少し変ね。貴女の「無意識を操る程度の能力」は確かにいる場所をわからなくするけど…今度はちょっといつもと違った気がするわ…」
「はい~。だからアタイも余計に慌てちゃったんですよ~!」
「どこに行ってたんですかこいし様?しかもいなくなったクローゼットから出てくるなん…?なんですかそれ?」
空という少女はこいしが持っていた箱に気づいた。
「あ、そうだった。私ね、とっても楽しいお店に行ってきたんだよ~♪」
「…とっても」
「…楽しい」
「…お店?」
「うん、異世界食堂っていうんだけどね~♪あとこいし、新しいお友達もできたんだよ~♪」
きょとんとするさとり・燐・空に、こいしはお土産のフルーツサンドを手に、明るく思い出を話した…。
…………
ガチャッ
「サラさんただいま戻りました!あとおはようございます!」
「あらアレッタ。おかえりなさい」
その頃、ねこやから戻ったアレッタがサラに挨拶をしていた。彼女は今現在、サラの家の掃除婦として暮らしているのだ。
「すみません!直ぐに着替えますから!」
「ふふ、そんなに慌てなくてもいいわよ。今日は特に急ぎの予定もないから。…何かあったの?さっき随分嬉しそうな顔してるわよ?」
「あ、はい!実はちょっと色々ありまして…」
そう言うアレッタもとても楽しそうな表情で事のあらましを伝えていたのだった…。
メニュー7
「和風ハンバーグ」
こいしのサードアイ封印の件は無しにしました。
小説より、アレッタはねこやのビルの休憩室に泊まった事がある設定です。
こんにちは、storybladeです。幻想郷食堂をお読み頂きありがとうございます。突然ですがアンケートです。先代博麗の巫女や魂魄妖忌の回があれば読んでみたいと思いますか?公式設定が少ないのでオリジナル要素を含んでしまいますがどうでしょうか?ご意見お願いします。期限は今月一杯です。
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あれば読んでみたい
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不安なので読みたくない