1:名無しの悪の女幹部
最近、出会いがない
2:名無しの悪の女幹部
同じく
もう何連敗してることか
数えたくもない
3:名無しの悪の女幹部
ムキーッ!!
なんで、ヒーロー組織の女ばかりがモテるのよ!!
結婚してヒーローを辞めるって、舐めてんの!?
そんな甘い覚悟でこの世界に入ってくるんじゃないわよ!!
4:名無しの悪の女幹部
別に、全然、全く興味なんかないもん
悪の組織を寿退社なんかしたくないもん
5:名無しの悪の女幹部
おかしいなあ……
悪の組織の女幹部って男に人気があるって聞いたから、頑張って戦闘員から幹部にまでなったのになあ……
6:名無しの悪の女幹部
くっそがぁぁああ!
こちとら、部下の戦闘員に、何度結婚報告をされたことかぁぁああ!!
何故そこ同士でくっつく!? 何故こっちに来ない!?
アタシだって結婚したいぜぇぇええ!!
7:名無しの悪の女幹部
>>6
全く、許せん奴らだ!!
もう何度、ご祝儀を出したことか……
8:名無しの悪の女幹部
こうなったら、最終手段です
――ヒーローと一線を越えましょう
9:名無しの悪の女幹部
本気?
10:名無しの悪の女幹部
しかし、それしかあるまい
11:名無しの悪の女幹部
とうとうこの時が来たか
12:名無しの悪の女幹部
ウェヘヘ
13:名無しの悪の女幹部
とはいえ、そう簡単にはいかないだろう
そこで提案だが、ここにいる我々で一時的な同盟を組むのはどうだ?
勿論、組織間ではなく個人間とはなるが
14:名無しの悪の女幹部
ヒーロー共とは違い、悪の組織にとって、敵の敵は敵
それを覆すってか?
15:名無しの悪の女幹部
苦渋の決断ですが、止むを得ないでしょう
ただし、あくまでも共闘することだけです
16:名無しの悪の女幹部
へっ、倒したその先は……ってことか
17:名無しの悪の女幹部
うむ。では早速、各々目標をここで宣言してだな……
18:名無しの悪のメスガキ幹部
あーら、お姉さま方
随分と湿っぽい話をしてらっしゃるのね
19:名無しの悪のメスガキ幹部
プークスクス、売れ残りのオバサン達は大変だね~
20:名無しの悪のメスガキ幹部
BBA達が必死すぎて草
21:名無しの悪の女幹部
は?
22:名無しの悪の女幹部
なんです、貴方達は
23:名無しの悪の女幹部
クソガキ共が、調子乗んなよ!
24:名無しの悪のメスガキ幹部
きゃー、こわぁーい
25:名無しの悪のメスガキ幹部
そんなんだから行き遅れになるんじゃないのー?
26:名無しの悪の女幹部
行き遅れじゃないが?
逃げられていないが?
出会いが無いだけだが?
27:名無しの悪の女幹部
そうだ、決して私達がモテないわけじゃない
28:名無しの悪のメスガキ幹部
またまた~
29:名無しの悪の女幹部
何を言う、若い余裕は今の内だけだ
これが貴様らの未来の姿だっ!!
30:名無しの悪の女幹部
…………
31:名無しの悪の女幹部
…………
32:名無しの悪のメスガキ幹部
…………
33:名無しの悪のメスガキ幹部
…………
34:名無しの悪の女幹部
おい、黙るな
35:名無しの悪の女幹部
何とか言え、おい
36:名無しの悪の女幹部
言ってください、お願いします
37:名無しの悪の勝ち組女幹部
あらあら、随分と騒がしいことですわね
38:名無しの悪の女幹部
む、何だ貴様は
39:名無しの悪の女幹部
えぇ……
40:名無しの悪の女幹部
随分切り替えが早ぇな
41:名無しの悪の女幹部
やかましいのはさておき、随分余裕があるみたいじゃないの
まさかアンタ、既に抜け駆けしてるんじゃ……?
42:名無しの悪の女幹部
何だと、けしからん奴だ!
43:名無しの悪のメスガキ幹部
痩せ我慢だとしたらダサイよ~?
44:名無しの悪の勝ち組女幹部
そんなこと言っていいのかしら?
折角、あまりの無様さを見兼ねて知恵を授けにきてあげたというのに
45:名無しの悪の女幹部
知恵だと?
怪しいな
46:名無しの悪の女幹部
同感です
組織の違いはあろうと、ここにいるのは各々相応の地位にまで上り詰めた面々
容易く引っかかると思わないでいただきたい
47:名無しの悪の女幹部
全くだぜ
48:名無しの悪の女幹部
アタシ達を舐めんじゃないわよ!
49:名無しの悪の勝ち組女幹部
そう、余計なお世話でしたわね
だったら元通り、醜い言い争いを続けなさいな
50:名無しの悪の女幹部
待って!
それがここの総意だと思わないで!
51:名無しの悪の女幹部
そうです、この際借りを作ってもいい!!
52:名無しの悪の女幹部
もうこうなったら藁にでも縋りたい
こっそりでいいから私だけでも教えて
53:名無しの悪の女幹部
何を言ってやがる!
テメエら、悪の組織としての矜持はねぇのか!
54:名無しの悪の女幹部
黙らっしゃい!
矜持で結婚ができるものか!
55:名無しの悪の女幹部
……さっきから、なんか情緒がおかしいのがいない?
別人? 大丈夫?
56:名無しの悪の女幹部
流石悪の組織の幹部、汚い
57:名無しの悪の女幹部
まぁ、そりゃあ悪の組織だからな
58:名無しの悪のメスガキ幹部
あれあれ~、オバサン達同士で喧嘩が始まっちゃった
59:名無しの悪のメスガキ幹部
ふふっ、それはそれで面白いけれど
その、知恵とやらには少し興味があるわ
60:名無しの悪の女幹部
ま、まあ、聞くだけ聞いてやってもいいわ!
聞くだけならね!
61:名無しの悪の女幹部
さあ、遠慮はいらない
カモン
62:名無しの悪の女幹部
ハリー! ハリー!
63:名無しの悪の勝ち組女幹部
まあ、いいでしょう
では、お聞きなさい
64:名無しの悪の女幹部
わくわくどきどき
65:名無しの悪の女幹部
そわそわ
66:名無しの悪のメスガキ幹部
うわぁ、BBA達キッツ
67:名無しの悪のメスガキ幹部
あの堅物がそんな反応をしてると想像したら吐き気がしてきたわ
……まぁ、ここにはいないと思うけど
68:名無しの悪の勝ち組女幹部
ズバリ、人質をとることですわ!
69:名無しの悪のメスガキ幹部
へ?
70:名無しの悪の女幹部
人……質……?
71:名無しの悪の女幹部
む? そんなの、どこの組織でもやっていると思うが……
72:名無しの悪の女幹部
一応確認だけど
人質って、あの人質だよね?
73:名無しの悪の勝ち組女幹部
想像している通りのもの、とだけ言っておきましょうか
74:名無しの悪の女幹部
チッ、的外れもいいとこじゃねーか
75:名無しの悪の女幹部
スーツ脱いで損した
76:名無しの悪の女幹部
返してよ!
私の期待を返してよ!!
77:名無しの悪の女幹部
解散ですね
78:名無しの悪の女幹部
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
79:名無しの悪の女幹部
発狂してるのいて草
……草
80:名無しの悪のメスガキ幹部
アハハハ!
期待してたオバサン達、残念でしたぁ~
81:名無しの悪の勝ち組女幹部
まあ、待ちなさいな
貴方達、人質をとる時はどのようにしていますの?
82:名無しの悪の女幹部
どのようにって、それは……
作戦行動時に近くにいる一般人を適当に、だな
83:名無しの悪の女幹部
重要人物を拉致する作戦であれば、無論その対象が人質ですね
84:名無しの悪の女幹部
細かく考えたことはねえな
オレはそんな手段よりも暴れる方が好きだからよ
85:名無しの悪のメスガキ幹部
おじさん達に任せてるから知らな~い
86:名無しの悪の勝ち組女幹部
やはり、愚かですわね
87:名無しの悪の女幹部
喧嘩売ってんの?
いや、売ってんのね
何処の組織の幹部か知らないけど、覚悟はできてるんでしょうね
88:名無しの悪の女幹部
このオレを虚仮にするたぁ、いい度胸じゃねぇか
89:名無しの悪の女幹部
少し落ち着きましょう
とはいえ、こちらも気分がよいものではありません
言いたいことがあるならハッキリとしてください
90:名無しの悪の勝ち組女幹部
ふふん、いいでしょう
よろしくて?
人質をとる
――それ即ち、好みの異性と合法的に密着できるということです!
91:名無しの悪の女幹部
!!!
92:名無しの悪の女幹部
!!!!!
93:名無しの悪の女幹部
その発想はなかった
94:名無しの悪のメスガキ幹部
ふ~ん、なるほどねぇ~
95:名無しの悪の女幹部
……分からん、どういうことだ?
何故人質をとることと、好みの異性がどうだという話が繋がるんだ?
皆分かっているのか?
96:名無しの悪のメスガキ幹部
オバサンになるってやだな~
つまり、いいなって思う男の人を人質にすればいいってことでしょ~?
97:名無しの悪の女幹部
なるほど、そうか!!!
98:名無しの悪の女幹部
密着できるだけじゃない、上手くいけばあんなことやこんなことだって……ゴクリ
99:名無しの悪の女幹部
けどよ、好みの男が人質候補にいなかったら意味が無くねえか?
100:名無しの悪の勝ち組女幹部
そんなの、決まっているじゃありませんの
狙っている殿方が現在いる場所で適当に作戦を展開すればいいだけですわ
101:名無しの悪の女幹部
つまり作戦のために人質をとるのではなく、
人質をとるために作戦をするということですね
102:名無しの悪の女幹部
本末転倒だ!
でも悔しい、納得しちゃった!
103:名無しの悪の女幹部
ふむ、そうか
なるほど、そうか
そうか……
つまり、『人質から始まるラブストーリー~~犯人は私~~』
ということだな!!
104:名無しの悪の女幹部
やっぱ情緒がおかしいのがいるわね
大丈夫?
105:名無しの悪の女幹部
ともかく、試してみる価値はありそうですね
106:名無しの悪の女幹部
うし、丁度気になってるガキがいたんだ
107:名無しの悪のメスガキ幹部
ふ~ん面白そうだからしてみよ~っと
さ~て、あの小っちゃいお兄ちゃんは、どんな反応してくれるかな~?
108:名無しの悪の女幹部
情報感謝する!
早速、あの少年に関する情報を集めねば
109:名無しの悪の勝ち組女幹部
ええ、健闘を祈ります
110:名無しの悪の女幹部
なんだ、ショタコンの巣窟かここは?
とはいえ、悪の組織は全国に散らばっているからな
流石に同一人物に狙いが重なることはないと思うが
――――
「……ふふふっ、これで多少の陽動となってくれそうですわね」
パソコンを前に、一人の女がそう笑った。
彼女は立ち上がると、コツコツと静寂とした空間にヒールの足音のみを響かせて、部屋を出て歩いていく。
漆黒の鎧に身を包み、美しくも冷え冷えとした微笑を浮かべる彼女の名――組織から与えられたコードネームは、アンフェア。
悪の組織の一つ、ブラック・マーベラスにて幹部を務める者。
そして先程まで、悪の組織の女性幹部のみが閲覧及び書き込みのできる掲示板にて知恵を提示した者でもある。
「これでヒーロー組織の動きを攪乱できれば、邪魔されないで、この姿でもシュウちゃんと一緒にいれる時間が増える」
ほんの一瞬、頬が赤く染まり、冷笑が喜悦を多分に含んだそれへと変わる。
だが、刹那のこと。世間や彼女の手下が見たことのないその表情は、再び元に戻った。
ここは、彼女が所属する悪の組織――ブラック・マーベラスのメインとなるアジト内。
「アンフェア様だ……いつ見てもお美しい」
「ああ、あの冷たい美貌、ゾクゾクするよな」
すれ違い、或いは遠目からこちらを見るいくつもの視線。組織の下級戦闘員達。
彼らにとっては、ヒソヒソとした小声で聞こえていないつもりだろうが、丸聞こえだ。
……ふん、くだらない。
だが、そんなものに微塵も興味を示さず、彼女は進む。
各地の悪の組織が活発となれば、ヒーロー組織も慌ただしく対応せざるをえない。
しかも、人質という状況の性質上、早期解決は難しくヒーロー側は慎重となるだろう。無理をすれば人質に危害が加えられかねないのだから。
そしてそれは、その分解決までの時間がかかることに繋がる。
つまり、彼女が事件を起こしても、他で似たような人質事件が起きていれば。
邪魔者――つまりヒーローが来る時間を遅らせ、お目当ての人質とのスキンシップをその分長く楽しむことができるのである!
――流石わたくし、完璧ですわ。
彼女は、そう自賛する。
……この前に至っては写真を欲しがられた。確実にアンフェアとしての距離も縮められている。
あの時は、それはもう胸がキュンキュンさせられた。
つい嬉しくなって満面の笑みを浮かべたが、バッチリとれていることだろう。
大いなる一歩だった。次の目標は、あちらからスキンシップをとってくれること。
「あの子以外は何もいらない……折角教えてさしあげたのですから、せいぜい、わたくしの役におたちなさいな」
そうして彼女は今日も、意中の人とのスキンシップのための作戦を計画する。
内心はウキウキしながらも、決してそれをおくびにも出さず。
だが、彼女は知らなかった。
まさか彼――
そして、それは何も悪の組織だけではないことを。
そんな事態に歯噛みすることとなるとは露知らず、神川ミリナ――もとい悪の組織ブラック・マーベラスの女幹部アンフェアは今日も行く。
『悪の組織の人質にならない方法』のスレが初めて立った、少し後の話であった。