3周目の世界 3人の救世主 その14
長久さんと手を繋ぎ鼻歌交じりにスキップしているアリスの姿はどこからどう見ても子供にしか見えず、葵をゾンビに変えた憎い相手と思えば良いのか、それとも彼女も利用されているだけの被害者と思えば良いのか……どちらが正しいのかと考え込んでいると武に後から頭を叩かれた。
「おい、俊樹。大丈夫か? また頭の中こんがらがってるんじゃねえのか?」
「大丈夫って言いたい所……なんですけど、正直良く分かりません」
何が正しいのか、何が間違っているのかと考え込んでいたのを見抜かれていた事に苦笑しながら返事を返す。葵の事は今でも好きだ、そんな葵をゾンビに変えた悪魔の娘のアリスには確かに思う所はあるのだが……。
「そうだ。お兄ちゃん、お姉ちゃん! この近くに黒おじさんがいるから黒おじさんにも紹介してあげるね」
にこにこと楽しそうに笑い、僕達をお兄ちゃん、お姉ちゃんと呼ぶアリスには悪意や敵意などが無く、純粋に慕ってくれている事がひしひしと伝わってくるのだ。
「確かに彼女に悪意はないですよね……でもやってる事は間違いなく邪悪なんです」
六本木を平和な街として人を誘き寄せ、ゾンビに変えて街の住人にする。それは紛れも無く邪悪な行いだと葵と話をしていると武が馬鹿かと小さく吐き捨てた。
「確かにあのガキのやってる事は間違ってる事だろうよ。だけどよ、この街の住人が本当に不幸だと思ってるのかなんて俺らにはわからねえだろうが、悪魔や人に襲われる事も無く平和に暮せてるのは間違いねぇ。住人にとっちゃあ此処は天国なんだろうよ、ただ生きてる俺らにはあわねぇってだけでよ」
その言葉にハッとした。確かに生きている僕らからすれば殺されてゾンビになり、この街の外から出れないと言う事に嫌悪感を抱いていたたが別の側面から見ればこの六本木の街は確かに平和な街なのだ。
「駄目ですね、これっと言う先入観に囚われてしまっています」
「私もです……」
自分だけの価値観を相手に押し付けるなと、自分の視点で見ることも大事だが相手の視点で見ることも大事だといっていた長久さんの言葉を分かったつもりだったが、正しく僕は分かったつもりだったのだろう。
「ありがとうございます。武」
「はっ、俺だって胸糞悪いのは同じだぜ。でもよ、わからねえんだよ。この街が、六本木がよ。こんな事が出来る悪魔だぜ? 俺達を殺すなんて簡単だ、それなのに仮初とは言え平和な街を作ってる。その真意が分かるまでどっちが正しくて、どっちが間違ってるかなんてわからねえだろ。何時までも感情だけで物を言って、何も考えずに行動してちゃ駄目なんだよ。いつまでも長久におんぶに抱っこじゃみっともねえしよ」
1番短気で感情的だった武が僕達の中で1番冷静で広い視野でアリスと六本木を見ていた。
「おや、アリス。新しいお友達かい?」
黒いタキシード姿の初老の男性がにこやかに微笑み、しゃがみ込んでアリスに視線を合わせながら問いかけるとアリスはとても楽しそうに笑った。
「うん! 長久お兄ちゃんに翔子お姉ちゃんでしょ? それに俊樹お兄ちゃんに葵お姉ちゃん、それと武ッ!!」
「ふふ、それは良かった。皆様初めまして私黒男爵と申します。この街六本木の……そうですね、君主のような真似事をさせていただいております。以後お見知りおきを」
どこまでも穏やかに、そして敵意も殺意も見せず笑みを浮かべながら自己紹介の言葉を口にする。
「ね、ね! 黒おじさんも赤おじさんの所に一緒に来てよ」
「ふふ、分かりましたよアリス。ですがレディなのですからあまり大きい声で喋るのは感心しませんね」
黒男爵の言葉にアリスはむくれ、黒男爵はそんなアリスの頭を撫でながら楽しそうに笑う。その姿は祖父と孫そのもので微笑ましく、そしてこの荒廃した東京では信じられないほどに心休まる光景だった。
「さぁ、参りましょう。折角ですから食事などしながら話でもしましょうか、さ、アリス」
そう笑ってアリスに手を差し出す黒男爵だが、アリスはいやっと叫んで長久さんの右手を両手で握った。
「アリス、長久お兄ちゃんの方が良いもん! べーッ!!」
感心しないと言われて臍を曲げたアリスに拒絶されて目に見えて落ち込む素振りを見せる黒男爵の姿はどこか笑いを誘うが、黒男爵が信じられないほど高位な悪魔と分かっている僕達は笑う事など出来はしなかった。
「んん、失礼しました。では参りましょうか」
明らかに落ち込んだ様子で歩き出す黒男爵に先導されて六本木を進み、一際大きいビルの中へと案内される。
「赤おじさーん!!」
「っと、アリス。ふふ、お前はいつも元気だな、私の癒しだよ。それと……黒男爵、困るな。ここまで人を連れてこられては」
「いえいえ、アリスの新しいお友達と言う事で、ご招待したのですよ。赤伯爵」
「アリスの? ふむ……そう言うことならば良いだろう。ようこそ六本木へ、私の事は赤伯爵と呼んでくれれば良い。さて君達から見てこの街はどう見えるかな? 私達はあの子が何不自由なく生きていけるようここに街を作り、あの子が悪魔に襲われない様に結界を張っているのだ。勿論この街に助けを求めて来た人間もついでだが保護している、アリスの友達になってくれるからね。だが私はあの子のアリスの幸せだけを願っている」
饒舌に喋り、自分の意見を一方的に押し付けてくる赤伯爵の隣の黒男爵がやれやれと肩を竦める。
「すまないね、彼は少し頭が固くてね。改めて聞こう、我々の街は素晴らしいだろう。人々は皆昔の通り楽しく暮していますよ。私達はアリスの為にこの街を再建しましたが、他の人達にも喜んで貰えていてとても嬉しいと「何が素晴らしい街だ。この街は最低だよ」……ほう?」
六本木がよほど誇らしいのだろう、いかに六本木が素晴らしいかを語っている黒男爵だったが、その言葉を遮って最低だと言う長久さんの言葉にその目に初めて殺意の色が浮かび、その凄まじい殺意と敵意に僕達は背中に冷や汗を流しながら不敵な笑みを浮かべている長久さんへと視線を向けのだった……。
俺の前に悪魔の姿を露にして座る赤伯爵と黒男爵……いや、ベリアルとネビロスの2体の超高位の悪魔に内心冷や汗を流しながら白のポーンを掴んで1マス前に動かす。嫌なほどに沈黙が広がる部屋の中にカツンっと言う駒が動いた音が木霊する。
(頼むぞ、翔子。お前達なら出来ると俺は信じてる)
武力ではどう足掻いても勝ず、戦いになれば間違いなくこの世界のルイさん達によって殺される。俺達が生きて六本木を出る方法は1つ……力ではない戦いによる勝利が必要だったのだ。
「今なんと言った? 最低の街と言ったのかぁッ!!!」
激昂した赤伯爵の姿が炎と共に変わる、巨大な槍を持った龍人とも言える悪魔の姿に翔子達は勿論アリスも身体を竦める。
「おいおいおい、大悪魔ともあろう物が人間の言葉如きで激昂するのかい? それは図星と言う事じゃないのか?」
「減らず口をまだ叩くかッ!! よほど死にたいようだなッ!!」
「止めなさいベリアルッ!」
怒りに身を任せ槍を俺に突立てようとしたベリアルだったが、ネビロスの一喝でその動きを止めた。
「何故止める! この人間は我等を侮辱したのだぞッ!!」
「分かっています、貴方の気持ちは痛いほどに分かりますベリアル。私も腸が煮えくり返りそうですが……貴方は考えもなしにそのような言葉を言うとは思えない、何故最低なのですか? その理由を教えていただきたい」
乗ってきたと内心冷や汗を流しながらも表情だけは変えず、不敵な笑みを浮かべ続ける。
「これは驚いた。人間如きに教えを請うとは……いや、大悪魔であったとしても父親としては初心者という事かな?」
「長にい!!」
俺の言葉に翔子が声を荒げるが、それを手で制して前に出る。俺よりも遥かに巨大な悪魔の姿のネビロスとベリアルが俺を覗き込んできて冷や汗が額に浮かびかけるがそれを気合で我慢する。
「人間に言われた言葉など貴方方には何の意味もないだろう? だからゲームをしよう」
「ゲームだと? ふざけているのかッ!!」
「落ち着きなさいベリアル。なるほど、直接戦えば勝てないという事は分かっているようですね。良いでしょう、ルールは?」
冷静なネビロスがいてくれて良かったと思いながら翔子達に視線を向ける。
「翔子達とアリスのかくれんぼ、そして俺とあんた達でチェスだ。翔子達が負けても俺の負け、俺が勝っても翔子達が負けたら俺も負ける。そして俺の勝利条件は……あんた達の曇った目を晴らすってのでどうだい?」
乗って来い、乗って来いと祈りながら不敵な笑みを余裕の態度を崩さない。
「良いでしょう。貴方の土俵で勝負をしましょうか」
「ネビロス! そんな事をせずとも殺せば良いだろう!!」
「良いではないですか、ベリアル。アリスも彼らを気に入っている、そんな彼らをアリスの目の前で殺せばアリスに嫌われますよ?」
ネビロスの言葉にベリアルは小さく呻き、舌打ちをしてから構えていた槍を壁に立てかけた。
「喧嘩してるの?」
「いや、ただ遊ぼうと言う話をしていたのさ。アリス、翔子達とかくれんぼをしたくないか?」
「かくれんぼやるッ!!」
にぱあっと笑うアリスの頭を撫でながら、俺を睨んでいる翔子達に近づき小声で俺の作戦を話す。最初は何故という顔をしていた翔子達も俺の作戦を聞いてそれが唯一俺達が六本木を生きて出る方法だと理解してくれたようで笑みを浮かべてくれた。
「頼んだぞ、俺は出来るだけ時間を稼ぐから、後は頼むぜ」
「任せて、長にい」
チェスの勝敗は二の次、翔子達がアリスの心を上手く解き放ってくれなければ負けの俺達の生死を賭けたデスゲーム。アリスを連れて部屋を出て行く翔子達を見送り俺は椅子の上に腰を降ろし、懐から取り出した懐中時計を机の上に乗せる。
「1手打つまでの最大時間は5分で良いか?」
「好きにするが良い、さっさと始めるぞ。人間」
ベリアルの強い口調にこれなら時間を稼げると思ったのは最初の内だけだった。
(ぐっ……こいつ頭がめちゃくちゃ切れる)
緩い一手かと思えば、そこから一気に切り崩して来る強烈で悪辣な一手……誘い込み、確実に仕留める一手に冷や汗が流れる。
『こら、ガキィッ!!!』
『ひゃっ!?』
かくれんぼをしているアリスを魔法で見ていたネビロスの鏡から武の怒声とアリスの脅えた声が響き、ベリアルがポーンを手から滑り落とさせる。
「ぐっ」
「ルールはルールだぞ?」
「分かっておるわッ! だがアリスを傷つけたらどうなるか分かっているだろうな!!」
強烈な殺気と怒気に吐きそうになりながらも分かってると返事を返す。
『見つかって突き飛ばすって何考えてやがるッ!! ええッ!!』
『ひうっ!! で、でもでも!!』
『でもじゃねえッ!! 悪い事をしたらなんて言えば良いのかもしらねえのかッ!!』
『えっ……えっ?』
『武、そう怒鳴るものじゃないですよ? アリス。悪い事をしたらごめんなさいですよ、大丈夫。翔子さんは優しいですから許してくれますよ』
俊樹に促されアリスが自分が突き飛ばした翔子に駆け寄る。
『ご、ごめんなさい。翔子お姉ちゃん』
『ん、偉い偉い。ちゃんと謝れたね、でも次は駄目だよ』
『許してくれるの?』
『勿論。さ、かくれんぼの続きを始めよ? ほら、また隠れて、10秒したら追いかけるよ』
翔子の言葉に返事を返し、駆けていくアリスの姿を見ながら俺はナイトの駒を掴んで持ち上げる。
「どうも魔界の大悪魔も子育ては不得手のようだな、叱る事はしなかったか?」
「アリスを叱る事などできる訳が無かろう!」
「愛する事とは甘やかすことだけではない、時に嫌われたとしても何が正しく、何が間違っているかを教える事こそが愛だ」
カツンとあえて大きな音を響かせてナイトの駒を進軍させる。
「ただ甘やかし、望むものを与え叱る事をしないのは愛ではない、それは虐待と言うのだ。親だと、彼女を愛しているというのならば例え
彼女に嫌われてもそれを正すのが親のすることではないのか?」
俺の勝機などこれしかない、アリスを愛するネビロスとベリアルの心を惑わし、そこに付け込んで勝利する。決して褒められた勝ち方ではないが、力比べ、知恵比べで勝った所で負けを認めるとは思えない。2人が負けを認めるとすれば、それは自分達以上に翔子がアリスを喜ばせ、幸せそうな姿を引き出す事以外に無いのだ。
「さぁ続けよう。あんたの番だぜ、ベリアル」
「う、むうう」
唸り声を上げながら駒を動かすベリアルだが、その差し手に先ほどまでの鋭さは全くと言って良いほど残されていないのだった……。
かくれんぼと言ったが、アリスは見つかると凄まじいダッシュでその姿を消してしまう。
「ぜはぁ、ぜはあ……マジで追いつけねぇ」
「た、確かに……でも長久さんの言っていた事は少しずつですが達成出来ていると思いますよ」
「そ、そうだね……あ、葵。もっかいスクカジャ重ね掛けしてくれる?」
「わ、分かってます」
葵が発動してくれたスクカジャを3度重ねてやっとアリスを追いかけれるようになるが、それ以上に隠れる能力が高い。
「おらあ、見つけ「まーだだよッ!!!」くそおッ!!! 俊樹そっち行ったぞッ!!!」
「分かってますッ! 掴まえ「つかまらないよッ!!」あいたッ!?」
俊樹の伸ばした手を回避して頭を踏んで屋根の上に飛び移ってビルの縁を駆けていくアリスの姿は瞬く間に見えなくなった。
「どうすりゃ掴まえれるんだ!? つうかこれかくれんぼじゃなくて鬼ごっこじゃねえのか!?」
「そ、そういう問題ではないと思いますよ……た、武」
武が怒鳴り声を上げ、俊樹がそんな場合じゃないと荒い呼吸を調えながら言う。実際問題これはもうかくれんぼではなく、隠れ鬼だと思う。
「葵、アリスを上手く変えれてるかな?」
「大丈夫です。上手く行っていると思いますよ」
隠れ鬼でアリスを捕まえることも大事だが、もっと大事なのは甘やかされ、叱られること無く育ったアリスに大事なことを教える事だ。
「長にいが私達なら出来るって言ってくれたんだからがんばろ!」
「分かってるッ! つうか俺らが捕まえないと長久がやべえんだッ! 意地でも掴まえるしかねえだろ!」
肉体的な疲労に喉の渇きもある、だがそれでも足を止めている時間は無いのだ。
「少しずつ逃げ場は少なくなっています。後は」
「来た道を引き返させないことだね」
私達も只逃げられているだけではない、少しずつ少しずつアリスを行き止まりへと誘導し逃げ道を奪って進んできた。だがさっきの俊樹の頭を踏んで飛び上がった動きを見ると普通に追いかけ、袋小路に追詰めてもアリスは壁を蹴って飛び上がって逃げる可能性がある。
「武、俊樹!」
「んだ! なんか捕まえる方法でも思いついたか!」
「もちッ! 葵も協力して! 多分アリスを掴まえるにはこれしかないと思うから!」
長にいに任せると言われたのだ。絶対にアリスを捕まえると意気込み私は自分の考えた作戦を武達に説明する。
「ちっ、しゃあねえな」
「僕と武に任せてください、必ず受け止めますから」
「うん、お願い。頼りにしてるから」
「翔子さん。気をつけて」
「大丈夫だって、この中で私が1番足が早いんだから!」
心配そうに声を掛けてくる武達に大丈夫だからと笑い、私はペットボトルの水を口に含んで頬を叩いて気合を入れ、アリスを捕まえる為の最後の大博打に出るのだった。
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「見つけたぞ、クソがきゃあッ!!」
「へっへーん! アリスは捕まらないもんねッ!!」
武の大声が響き、軽やかな走る足音と何かを蹴り飛ばしながら走る武の足音が響いて来る。
(ふー……うん、いける)
軽く足踏みをして自分の今のコンディションをしっかりと確かめ、屈伸運動をして走り出す準備をする。
「捉まえました!!」
「まーだだよッ!!!」
「俊樹そっちに行きましたよッ!!」
「はいッ!!」
「むむうッ! でもアリスは捕まらないよッ!!」
俊樹の痛いと言う悲鳴が聞こえると同時に走り出すと俊樹の頭を踏んで飛び上がったアリスの姿が見えた。
「ヒーホー君ッ!!!」
【まっかせるホーッ!!】
マハブフーラ
周囲の気温が急速に下がりコンクリートの上から生えてきた氷柱の上に飛び乗り、階段のように駆け上がる。
「翔子お姉ちゃん!?」
「つっかまえたぁッ!!!」
マハブフーラを昇ってくるのは想定外だったのか驚きの声を上げるアリスに向かって最後の氷柱を蹴って飛びつき、アリスを抱き抱えたまま地面へと落下する。
「しゃあおらあッ!!!」
「OKですよッ!!」
「絶対受け止めますから安心してください!」
武、葵、俊樹の3人が広げた腕の中に私とアリスは落下し、3人の呻き声が上がるが地面に叩きつけられることは避けられた。
「ふーはい、私達の勝ち……どしたの?」
「暖かい……」
私の手を取って驚いた様子で暖かいと呟いたアリスは両手で私の手を握り締めた。
「私の友達は皆冷たいの、冷たくないと黒おじさんと赤おじさんが友達になってくれないって」
「そんな事無いよアリス。私はアリスの友達になれるよ」
私の言葉にアリスは信じられないと言う様子で大きく目を見開いた。
「死ななきゃ友達になれねえっつうのがおかしいんだよ、クソガキ。後な、てめえはもう少し常識つうもんを勉強しろ、ドアホ」
「武! んん、失礼。武は口が悪いので、でも貴女を心配はしてくれているんですよ? あれでね」
俊樹のフォローに武がふんっと不機嫌そうに鼻を鳴らしてソッポを向いた。
「本当? 生きてても友達になってくれるの?」
「ええ、アリスがそれを望むなら私達は友達になれますよ」
葵の言葉を聞いたアリスは口を開いては閉じてを繰り返し躊躇う素振りを見せながらゆっくりと言葉を発した。
「アリスと友達になってくれる?」
「「「「勿論」」」」
私達が声を揃えて返事を返すとアリスは華が咲いたような満面の笑みを浮かべた。
「チェックメイト」
カツンという音を立ててベリアルのキングの前に長久のクイーンの駒が置かれる。
「……ああ、負けだ。ふう……私達は間違っていたのか」
「そのようですね、アリスのあんな幸せそうな顔を初めて見ましたよ。長久と言いましたね? 改めて話をしたいのですがよろしいですか?」
「ええ、それと無礼な口の効き方をしてすいませんでした」
自分達では浮かべさせる事が出来なかったアリスの笑みを見たネビロスとベリアルは負けを認め、長久が自分の無礼な口の効き方をした事を謝罪したことによって六本木の戦いは終わりを迎えた。だがそれと同時に長久の時間もまた終わりを迎える時が刻一刻と迫っているのだった……。
3周目の世界 3人の救世主 その15へ続く
アリスとは隠れ鬼で遊び、生きていても友達になれると言うので解決、ベリアル、ネビロス、アリス生存はちょっと今後必要なイベントのピースになるので大胆に改変して見ました。次回は前半はほのぼのですが、後半はマタドールとのエンカウントに入って行こうと思います、そう、メガテン1の終わりですね。10話を越えて続いたメガテン1編ですが、もうじき完結となります。次の世界がどうなるのか、そして残される翔子達がどうなるのかを楽しみにしていてください。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします。