3周目の世界 3人の救世主 その15
ベリアルとネビロスはアリスを溺愛していた。だが愛するだけでは駄目なのだ、時に叱ることで間違った道に進みかけている時にそれを正す事もまた親がしなければならない事だ。甘やかされ、叱れる事なく暮し、全てが自分の思い通りになり我が侭で横柄な事ばかりをしていたアリスを翔子達は俺が願った通りに正してくれた。
(……最良ではないが、ベストは尽くした筈だ)
アリス・ネビロス・ベリアルの間違いを正した。確かにネビロスとベリアルは悪魔ではあるが十分に話の分かる悪魔だ。やり方こそ間違えてしまっていたがかつての東京を再現し、悪魔が入り込まない平和な都市を作りそれを統治していたと言う事実は非常に大きい。これから六本木に来た住人をゾンビに変える事無く、そして六本木の結界の中に入ってきた住人を閉じ込める事がなければ五島達とも対峙する事は無く、友好な関係だって築けるかも知れない。全てを丸く治めるのは不可能だが、それでも争わず、ネビロスとベリアルという最上級の悪魔に話を聞いてくれる状況を作り出せたと言う事に俺は安堵の溜息を吐いた。
(ギリギリの綱渡りだったが……なんとかなったか)
全てが上手く転がったから今回この結果を手にする事が出来たが……恐らく次は絶対に無いだろう。
「赤おじさん、黒おじさん! アリスね、沢山お友達が出来たんだよ! あのね、あのね、生きていてもお友達になれるんだって!」
華が咲くような笑みを浮かべてネビロスとベリアルに抱きつくアリスに笑みを浮かべ、俺は翔子達の方を向いた。
「良くやってくれた。俺は信じていたぞ、翔子達ならやってくれる……っとと」
「長にい、私も皆も頑張ったんだよッ!」
「ああ、見てた。本当に皆良く頑張ってくれた」
アリスのように抱きついて頑張ったのだと笑う翔子の頭を撫でる。本当に心から翔子達は上手くやってくれたと思う、少し間違えただけで何もかも台無しになる極限の中で本当に最良の結果を掴み取ってくれた。
「ふん、何時までもあんたにばかり頼ってられないからな」
「僕達なりに長久さんの役に立てるように考えたんですよ」
「上手く行って本当に良かったです」
翔子のように抱きついて来る事は無かったが、褒めてくれとその顔が物語っている武達の頭を乱暴に撫で回す。
「おい、ガキ扱いすんなよッ!」
「とか言いながら顔緩んでますよ。武」
ガキ扱いするなと声を荒げる武とそんな武に頬が緩んでいると指摘する俊樹、そして声も無く頬を赤らめている葵の姿に俺は笑みを浮かべ。逃げようとした武達の背中に腕を回して4人を抱き締める。
「本当に良くやってくれた。お前達は俺の希望だ、本当に良くやってくれた」
教え導くなんて言う偉そうな事は言えるほど俺は立派な人間ではない、むしろ俺は翔子達を死地に送り出し、その後自分は勝手にくたばって別の世界へ再び流されていくだけの無責任な男だ。正直頼られるような人間でもないし、兄と慕われるような人間でもないと分かっている。俺が褒められるような人間ではなく、最低な人間だと言うのは嫌という程分かっている……。
「本当に良くやってくれた……」
それでも今だけ、今だけは……翔子達を抱き締めたかった。大事な宝であり、俺の希望をしっかりと抱き締めてその顔をしっかりと覚えていたかった。
(どうか……忘れさせないでくれ……翔子達の事を……少しでもいい、俺の心に刻ませてくれ)
気恥ずかしいのか腕の中から逃れようとする翔子達を放さないように強く、強く抱き締めた。これが最後のふれあいになると……六本木を出ればそれが俺の今生の最後だと分かっていた。だからほんの少しでもいい、翔子達の事を覚えておきたかったのだ……。
(もう……俺は次の朝日は見れないんだろうな)
ずっと感じていた死の気配。それが俺を覆うのを感じた、ベリアルとネビロスの間違いを正し、協力者へと変えた。だがそれが俺の今生の最後の役目だったようだ。まだ遠くに感じて致死の気配は何時の間にか俺を覆い、心臓と血が凍りつくような寒気と共に喉元に突きつけられている見えない死神の鎌を嫌でも感じ取っていた。
(俺は……何が出来たんだろうな)
翔子達を導く事が俺には出来たのだろうか? もっと他に出来る事があったのではないか、もっと教えるべき事があったのではないか? 俺は俺に出来る事を全てやってきたつもりだったが、いざ死を迎えると他にもっと出来る事があったのではないかと思わざるを得ないのだった……。
誰も口にしなかったけど長にいがどこかおかしいと言うのは誰もが感じていた。普段通りに長にいは振舞おうとしているのだが……どこかおかしいと誰もが感じていた。
「何か困ったらベリアルとネビロスを頼れるな。良い事だ」
なんでもない世間話のような体を装っているが、私達にそうしろと促しているようにしか聞こえない。
(ねぇ、武。長にい、どこかおかしくない?)
(ああ。俺もそう思うぜ)
(長久さんらしくないんですよね……どこか)
上手く言葉に出来ないのだが妙な違和感が常にあった。それはまるで死期を悟った親が自分がいなくなった後の事を心配しているように私には感じられた。
「長にい、どこか調子悪かったりする?」
「ん? いや、別にそんなんじゃないがどうかしたか?」
どうかしたかって言うのは私達からすれば長にいの方なんだけど……上手く言えないのでなんでもないと返事を返した。
(気のせい……だよね)
何時もの優しい笑みを浮かべている姿を見て、言いようのない不安と恐怖に胸がざわめくのを感じながらも私は気のせいだと思う事にした。今までと同じ様に長にいは私達の道を示してくれる、それはこれまでも、そしてこれからも変わらない事だと自分に言い聞かせるように小さく呟いた。
「お兄ちゃん、お姉ちゃん、また遊びに来てね! 黒おじさんと赤おじさんと一緒に待ってるから」
外に通じる地下通路まで見送りに来てくれたアリスちゃんにまた来るよと手を振って私達は六本木を後にした。
「悪魔だったけど、ネビロスさん達良い人だったね」
私達は食べれるようにちゃんとした食べ物を用意してくれたり、傷薬や魔石、チャクラドロップといった道具まで用意してくれたし、自分達がコレクションしていた武器や防具まで私達に譲ってくれた。今は随分と長い間六本木にいたので、色々と根回しをしてくれた五島に一応顔だけ出しておくべきだろうと言う長にいの意見で新しい武器の使い勝手を試しながら駐屯地へ向かっている最中だ。
「あんたは本当にその鈴だけで良かったのか?」
「ああ。俺はこれで良い、ベリアルとネビロスにはかなり無理な物を頼んだからな。これだけで良いのさ」
金色の鈴を手に笑う長にいに本当に良かったのかと言おうとしたときだった……首筋に氷が突っ込まれたかのような強烈な寒気が私を襲った。
た。
「な、なにこれ……?」
「んだ……これは」
「……逃げ、逃げましょうッ! ここに留まってはいけませんッ!!」
逃げようと俊樹が声を上げるが足が震えて動けない。心臓の鼓動が早くなり、知らずの内に呼吸が荒くなる。
(う、動けない……な、なんで……)
この場に留まっていては取り返しの付かない事になる、早く逃げなければと分かっているのにまるで身体が凍りついたように動かず、瞬きすら出来ない私達の目の前にMAGが形作っていく。まだ完全に具現化していないのに目の前に顕現しようとしている悪魔の威圧感に完全に私達は飲まれていた。
「くそ、行き成り使う事になるかッ!!!」
長にいが突然そう叫んで手にしていた鈴を地面に叩きつける……すると私達の間に複雑な図解の魔法陣が浮かび上がった。
「な、なんだよこれッ!」
「説明は後だッ! まずは武、お前からだッ!!」
長にいはそう叫ぶと武を魔法陣の中心へと突き飛ばし、武の姿がMAGと共に消え去った。
「な、長久さん何をしたんですか!?」
武が消えたことに何をしたのかと長にいに向かって叫ぶ俊樹の怒声よりも更に大きな長にいの怒号が私の耳を打った。
「ベリアルとネビロスに頼んでいざって時に六本木に帰れるように特製の魔法陣を作って貰っておいたんだッ! 俊樹、お前も跳べッ! 早くこの場を離れないと全滅するぞッ!」
今まで見た事のない焦りの表情を浮かべながら全滅すると叫んだ長にいにやはりとんでもない事になっているのだと私達も悟った。
「わ、分かりました! さ、先に行きますッ!!」
「急げッ!! この魔法陣は次の転移まで時間が掛かるんだッ! 次々転移して行かないと本当に手遅れになるぞッ!」
慌てている長にいに怒鳴られ、荷物を抱えた俊樹の魔法陣の中へと移動し、眩い光と共に俊樹の姿が消える。
「2人も急げッ! 間に合わなくなるぞッ!!」
「わ、分かったッ! あ、葵ッ! 行こうッ!」
「は、はいッ!!!」
長にいの有無を言わさない迫力に私は葵の手を引いて魔法陣の元へと走り、魔法陣に飛び込む寸前に私は足を止めた。
「長にいもすぐ来てよ?」
「ああ、分かってる。俺も死にたくないからな、早く行けッ! 俺もすぐに行くッ!!」
長にいに促され葵と手を繋いで魔法陣へと飛び込むと、瞬きの間につい先日までお世話になっていたネビロスさん達の館の床に叩きつけられていた。
「あいたた……」
強かに打ちつけた腰を摩りながら転移してきた長にいとぶつからないように、慌てて魔法陣から私と葵が這い出した次の瞬間だった。
「え……?」
「お、おい! 長久はッ! 長久は転移できなかったのかよッ!」
「そ、そんな……」
眩いまでに金色に輝いていた魔法陣は乾いた音と共にその輝きを失った……それは長にいがあの恐ろしい悪魔から逃れる術を失ったという証拠であり、私は目の前の現実を受け入れる事が出来ずその場にへたり込むのだった……。
魔法陣の中心に突き立った細身のサーベルを見ながら長久はゆっくりと振り返った。
「なんだ、あんた意外と優しいのな。翔子達を見逃してくれたんだろう?」
「雑魚と戦う趣味は私にはないのだよ、ニーニョ。私は君と戦う為に来た、邪魔者を消し去るのは当然の事だろう?」
紅いカポーテを翻し、闘牛士のような服を着た骸骨……魔人 マタドールのがらんどうの瞳は長久だけを見つめていた。空虚な穴となったマタドールの瞳から叩きつけられる殺気は凄まじく常人ならば発狂しかねないほどの強烈な物だが長久はそれを平然と受け止めて笑った。
「そうかい、そいつは良かった」
「良かった? どういう意味かね?」
「簡単さ、魔人は死の象徴。俺が怖かったのは翔子達の誰かがお前に目を付けられることだった……でもそうじゃないと分かったからな。だから良かったと言ったんだ。マタドール」
長久が抜き放った錬気刀は長久のMAGを吸い取ってその刀身を紅く染め上げる。
「これで俺は思う存分戦える……何の未練も無く命の炎を全て燃やし尽せるよ」
それは文字通り長久の命の炎その物だった。長久の命を、そしてMAGを容赦なく吸い上げ変異した錬気刀を見てマタドールは馬鹿にするように笑った。
「まさか命を懸ければ私に勝てると思っているのかね? その程度のMAGで私を倒せると……本当に思っているのかね?」
マタドールから凄まじいMAGが吹きだし、その凄まじいMAGに気圧されながらも長久は薄く笑った。自分の全てを掛けてもなお長久のMAGはマタドールの足元にも届いていない、魔人と人間にはそれだけ隔絶した力の差があった。どう足掻いても勝てないと、自分がここで死ぬと悟ってもなお長久の顔に悲壮感は無かった。長久の顔にあったのは安堵、そして己の使命を果たすのだと言う強い決意の光だった。
「まさか、だけど……簡単には負けてやらない、意地があるんだよ。男にはなッ!!」
「良い眼だ。死を受け入れてもなお生きる事を諦めていない、態々待った甲斐があったと言う物だッ!!!」
長久の振りあげた霊刀・葛葉とマタドールのサーベルがぶつかり合い、凄まじい轟音を周囲へと響かせ、凄まじいMAGの奔流が周囲の瓦礫や悪魔達を吹き飛ばしていく……命を刈り取る者である魔人マタドールと長久の命を燃やし尽くす最後の戦いはこうして幕を開けるのだった……。
魔人とは死の概念そのものである。大なり小なりの差はあれど絶対なる死の象徴にして万人に等しく凶事と死を撒き散らす者……それが魔人である。
「どうしたどうした! その程度かねッ!!」
カポーテが振るわれ、そこから飛び出してきた風の刃を横っ飛びで辛うじて避ける。だが完全に避ける事は出来ず掠めた肩から血が噴出し、その痛みに顔を歪める。
(くそッ! 分かってた事だが……こいつめちゃくちゃ強いッ!)
魔人の恐ろしさは葛葉の里にも伝わっていたが、俺は魔人の強さを分かったつもりだったのだと僅かな時間で思い知らされる羽目になった。
「そらそら、少しは反撃して来たらどうかねッ!!」
身体を起こした所に閃光のようなサーベルの突きが襲ってくる。それも1つや2つではなく、1回の突きで数十発の突きの嵐が俺を攻め立ててくる。
(ラスタキャンディを使っても駄目なのかよッ!)
ラスタキャンディで身体能力と反射神経を強化しても避けるのがやっとであり、反撃のチャンスすら見いだせない。
「これならどうだッ!!」
純粋な力勝負で勝てないのは分かりきっていた。届かないのならば、届くようにすれば良いとランダマイザをマタドールに向かって放つ。弱体化魔法の最高位であるランダマイザの光がマタドールを包み込み、僅かにマタドールの動きが鈍くなる。その隙に霊刀・葛葉を構えて突きを放った。ラスタキャンディとMAGでブーストをかけたその一突きは確実にマタドールを捉えると確信していたのだがその一撃はマタドールの指先で簡単に受け止められていた。
「なッ!?」
動きが鈍かったのはほんの一瞬で、すぐに元通りの動きに戻ったマタドールの姿に驚く俺にマタドールは大人が子供に言い聞かせるような口調で声を掛けてきた。
「ふむ。届かないのならば届くようにすると言うのは間違いでは無いが……それが通用するのは子供同士の戦い以外あり得ないのだよ。高い授業料を払うことになったな」
「嘘だろ……げぼおッ!?」
強烈な回し蹴りが腹に叩き込まれ、俺の身体は数十メートル吹っ飛ばされ瓦礫へと叩きつけられる。
「げほッ! ごほッ……く、くそ……ッ」
咳き込むと同時に口からどす黒い血が溢れる。それを袖口で拭って痛みに身体に顔を歪めながら地面を蹴り、放たれたマハザンを回避し俺は必死に頭を動かし、何故ランダマイザを無効化されたのかを考えていた。
(確かに効果はあったんだ)
瞬きほどの一瞬だがランダマイザは確かに効果を発揮していたのは間違いない、だが攻撃が当るまでの一瞬でマタドールの動きは元に……。
「デクンダ……かッ」
そこまで考えた所でランダマイザが何に無効化にされたのかを理解した。デクンダ……ンダ系の魔法を無効化にする魔法、ランダマイザはンダ系の魔法の複合だからデクンダで無効にされたのだと気付いた。
「中々頭は回るようだな。だが残念な事にニーニョは弱すぎる、気付いた所で私と君の力の差は埋まる事はないッ!!」
紅い閃光が幾重にも走り、瞬きの間に全身を貫かれた俺は悲鳴を上げることすら出来ずに再び弾き飛ばされた。
「……あが……ぐ、ぐうう……」
ラスタキャンディが効果を発揮していたから刺突が俺の身体を貫通する事は無かった。だがその凄まじいダメージによってラスタキャンディはその効力を失い、俺はその反動で立ち上がることも出来ず芋虫のように這いずることしか出来なかった。
「ぐ、ぐぐうう……がぁッ!? げほッ!! ごぼッ!! おええええッ!!」
もうとっくの昔に限界を超えていた俺の身体はラスタキャンディの反動に耐えられなかった……立ち上がろうと地面に手を置いただけ、それだけで乾いた音を立てて右腕の骨が砕け、地面に倒れ込んだら肋骨が砕け、肺に突き刺さったのか凄まじい痛みが俺を襲い、咳き込むだけで血反吐が口から溢れた。
「身の丈を超える力を振るった代償がそれだ。実に哀れ、実に滑稽だ」
マタドールが俺を見下しながら剣を振り被った。避けなければ、防がなければと分かっているのに指1本動かす事が出来ない。
「何心配することはない、お前が逃がした人間もしっかりと殺してやろう。弱者を殺すのは私の主義に反するが、こんなくだらない戦いでは不完全燃焼でね。怨むのならば力のない自分を怨みたまえ」
殺す……翔子達を殺すと言ったマタドールのその一言で目の前が真っ赤になった。怒りか、それともマタドールの攻撃で額を切ってそれが視界に入ったのかは分からない、いや両方かもしれないが翔子達を殺すと言ったマタドールの言葉を聞いた時……俺の中で何かが弾けた、そして……
【……様ッ! わ……様ッ!!】
もう名前も顔も思い出せない大切だった誰かの声が脳裏に響き、次の瞬間俺は振り下ろされたマタドールの剣を素手で掴んで止めていたのだった……。
長久の気配が変わろうとしている事に気付いたマタドールは安い挑発を口にした。魔人であり、万物に死をもたらす者だとしてもマタドールは戦いに美学を持つ悪魔であった。弱者を手に掛ける趣味はないと言ったのは紛れもない事実であり、自分に立ち向かって来なければ手に掛けるつもりは無かった。だが長久が守る者と言う事に気付いたマタドールは長久を怒らせる為に翔子達を殺すと口にし、それはマタドールの考えた通り長久の逆鱗に触れた。
「があはっ!! は、ははははははッ!!! 殴られたのは久しぶりだッ!! あはははははははははッ!!」
「……言ってろ腐れ骸骨。翔子達を殺すだと……あいつは俺の希望なんだ、それを殺すなんて良くも言ってくれたなあッ!!!」
「はははははッ!! 良いぞッ! 守りたい者があるのならば私を殺すしかないぞッ!! お前にそれが出来るかなッ!!!」
「てめえを殺すッ!!! 覚悟しやがれマタドールうううううううッ!!!」
文字通り手負いの獣となり命を燃やしながら霊刀・葛葉を振る長久にマタドールは敬意を抱いた。文字通り最後の命の輝き、動きが止まれば長久は死ぬ……安全に勝利を望むのならば長久と戦う必要はない、文字通り己の存在全てを燃やしている長久の刃は自分に届くと悟ったマタドールは逃げるのではなく前に出た。
「こいッ!! 戦士に相応しい死をくれてやるッ! 誇れッ! 私を本気にさせたことをなッ!!!」
「うおおおおおおおおッ!!!」
己の大切な物を守る為に命を燃やす高潔な男が時間切れによって死ぬ……そんな無様な死は相応しくないとマタドールは真っ向から長久の刃を受け止めた。戦いを至上とするマタドールは例え自分が敗れたとしてもそれもまた是とした。戦いの中で死ぬは武人の誉れ、久しく振りの魂を震わせる戦いにマタドールは歓喜し、心から長久との戦いを楽しむのだった……。
3周目の世界 3人の救世主 その16へ続く
瀕死でガーディアン変化が発生し、マタドール戦2戦目の開始、そして長久の死のカウントダウンが始まりました。今は戦えていますが、もう身体としては長久は死んでいるので半分ゾンビ状態に等しい状況なので時間がくると死ぬ状態となっており、マタドールは戦わずとも防いでいるだけで勝てるのですが、時間切れで長久が死ぬのを良しとせず真っ向勝負に仕掛けてきました。マタドールと長久の戦いでメガテン1編は終わりなので、どんな結末を迎えるのか楽しみにしていてください、それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします。