収束×集束×終息する世界   作:混沌の魔法使い

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4周目の世界 滅びを求める地球意思 その11

4周目の世界 滅びを求める地球意思 その11

 

アーヴィンさんとチェンさんが消耗品の準備をしている間、俺は式神の視界と自分の視界をリンクさせながらマイクさん達を探していた。

 

(……酔いそうだな、これ)

 

ただ鳥の視界というのは人間には中々厳しい物があるのか、酷い乗り物酔いになりそうだった。葛葉の知識と峰津院長久の技術……それが合わさり、通常の式神よりも強力な式神を作り出すことを可能にしていた。だが葛葉長久の時は使えず、平行世界の自分の時にも使えなかった式神の術……そして突然浮かび上がった葛葉長久だった時の胸の痣……疑問に思うこと、考えるべき事は山ほどあるが今はマイクさん達を助ける為にこの力を使うしかない。

 

(見つけた……うわ、これ厄介だぞ)

 

悪魔の術と力によって一方通行にされた袋小路の中にマイクさん達はいた。俯いて座り込み、少しでも体力を維持しようとしてるのを見て、マイクさん達の元へ式神を降す。

 

「なんだ。鳥?」

 

「待て待て、どう見ても悪魔だろうがッ!」

 

『STOPッ! STOPッ!! 僕です。長久ですッ!!』

 

ナイフを構えようとしたスティードマンさんに待ってと叫ぶ。

 

「長久……? お前こんな事も出来たのか?」

 

『いや、1回心肺停止した後に出来るようになったみたいで、ははは……』

 

「笑い事じゃないだろ!? 大丈夫なのかい!?」

 

『はい、とりあえず今は大丈夫ですよキーマさん。今マイクさん達の救出作戦の準備をしています、早くて1時間、遅くて2時間少しかかるくらいで合流できると思います』

 

救出隊が結成されているという言葉にマイクさん達が歓声を上げる。

 

「お、俺達は……た、助かるのか?」

 

「本当だよな!? 嘘じゃないよな、長久ッ!」

 

式神にすがりついてくるドーソンとスコットさんに大丈夫ですと言いながら式神に持たせていた支援物資を吐き出させる。

 

『とりあえず傷薬と魔石、あと予備のカートリッジ、それとレーションを持ってきました。とりあえずこれで装備を整えてください』

 

「助かる……皆限界が近かったからな」

 

『マイクさん。貴方達をここまで追詰めた悪魔はバイオリンを持っていましたか?』

 

「あ、ああ……骸骨でバイオリンを持っていたが……知ってる悪魔か?」

 

外れていて欲しいと思っていたがやはりマイクさん達を追詰めたのはデイビットのようだ。

 

『すいません、悪魔に関してはとりあえず今は後回しで、マイクさん何か変なものを回収しませんでしたか?』

 

「リーダーが悪魔から奪い取ったものならある。ほら、これだ」

 

そう言ってマイクさんが差し出してきた物を見て、俺は立ち眩みし、鳥の式神もその場に倒れ込んだ。

 

「……もしかしてこれ危険なものなのかい?」

 

『危険って言うか、これ持ってて良く生きてますねってレベルですよ』

 

「捨てたほうが良いか?」

 

『捨てたら捨てたで合流する前に死にますよ』

 

死兆石――魔人の力の結晶体であり、新たな魔人が生まれる際の核となるもの、そして人間の運気を吸い込む呪いの石――それが死兆石である。

 

「どうすればいい?」

 

『とりあえず持っていてください。ゴア隊長と話し合ってどうするか決めます、それと絶対に動かないでくださいよ。死兆石は死を招きます、ここから出れば死ぬって思ってジッとしていて下さいよ。良いですね』

 

マイクさん達に絶対に動くなを釘を刺し、式神とのリンクを切ると視界がレッドスプライト号の降車デッキへと変わり、また立ち眩みがしてよろめいた。

 

「大丈夫ですか。若様」

 

「ん、大丈夫。なれない事をしたらから疲れただけ、ありがとう澪」

 

支えてくれた澪に礼を言って立ち上がり出撃準備をしているゴア隊長達に声を掛ける。

 

「マイクさん達特級の呪物抱えてます。かなり不味いかもしれません」

 

「そんなにか?」

 

「はい、少なくとも僕は同行できませんし、出来ればゴア隊長も残るべきだと思うのですが……」

 

「いや、私は行く。長久君は残ってくれて構わない」

 

だよなあ、ゴア隊長は行くって言うよなと内心溜息を吐いた。出来れば義手の調整が済むまで大人しくしていて欲しかったんだけど……仕方ない。俺には俺に出来る形で澪達をサポートする事にしよう。

 

「分かりました。僕は式神でレッドスプライト号からサポートします。結構物資も運べますし、連発は出来ないですけど札で援護できるでしょう」

 

マイクさん達の所に運んだとおり、式神は見かけによらずかなりの物資を運べるし、式神自体が触媒なので視界をリンクしていればレッドスプライト号からでもある程度の支援は出来る筈だ、

 

「そっちはお前に任せるけどよ。長久、結局マイク達が持ってるのは何なんだ?」

 

そっちの説明もしておかないと駄目か、葛葉の里で文献でしか見てないが……確実にマイクさん達が持っている物は特級品の呪物であり、悪魔も悪魔使いも喉から手が出る程に欲しがる物と断言出来る物だ、

 

「死兆石……悪魔や魔人を強化する石で、人間の幸運を奪い取って、死へと誘う石です」

 

ヒメネスさん達が額を叩いて天を仰ぐ、俺も同じ気持ちだ。よりによってなんて物を回収しているのだと叫びたくなるがそれをぐっと堪える。

 

「悪魔は魔人デイビットが確認されており、周囲の悪魔も死兆石によって強化されている事が予測されます。慎重な立ち回りをお願いします。それと死兆石は出来れば回収してきてください」

 

「……回収するのですか? 若様」

 

「うん、死兆石は確かに危険なものだけど、使いようによっては調査隊に益になると思う」

 

確かに死兆石は特級の呪物で危険物だが、それと同じ位悪魔使いにとっては喉から手が出る程に欲しい物でもあるのだ。

 

「我々に利益がある? どういうことだ?」

 

「簡単に言うとですね。悪魔が集まってくるので戦闘訓練やフォルマの確保が出来ます。次にもしかするとですが、通常では作れない強力な悪魔の作成が可能になる可能性があります」

 

悪魔が集まってくるのは新しいセクターでは危険だが、そこは一時的に封印すれば事足りる。ある程度錬度が上がってから封印を外して更に錬度の向上、そして物資を作る為のフォルマの確保、そして死兆石を利用してアプリを作れば高位の悪魔へスライドを可能とする可能性があるとなれば死兆石は危険ではあるが、なんとしても欲しい素材でもあった。

 

「了解した。よし、では行くぞッ!!」

 

「「「了解ッ!!」」」

 

ゴア隊長を先頭に降車デッキを出て行く澪達を見送るとゾイさんが車椅子を押してやってきた。

 

「乗りましょうね?」

 

「いや、もう大丈夫」

 

「乗りましょうね?」

 

「……はい」

 

「よろしい」

 

ゾイさんの笑顔の圧力に負け、俺はゾイさんの押している車椅子へ乗せられて医療室へドナドナされていくのだった……。

 

 

 

 

 

長久の警告通りマイク達はミトラスの所でも見たことのない強力な悪魔共に囲まれてやがった。

 

「おらおらおら!!」

 

「ヒメネスッ! 突出しすぎるなッ! マッキーとタイラーはマイク達を頼む! 澪、私と先行だッ!!」

 

「了解ッ!!」

 

マイク達と合流するなり襲ってきた悪魔……映画に出てくるようなゾンビの振るってくる腕を回避し、がら空きの胴に前蹴りを叩き込んで距離を取る。

 

「思ったより強いぜ、ゴア隊長。突っ切らないと不味いが、悪魔を残せば挟み撃ちになる」

 

ミトラスの宮殿の悪魔より強い悪魔がいるのは長久の言う通りなら死兆石で強化された悪魔なのだろう。ガラスケースの中に入れ、長久から預かって来た札を貼り付けているが……これ本当に効果あるんだよな? と首を傾げたくなる。

 

『そのまま進むとドアが2つあります。左のドアは悪魔が待ち伏せしているので右のドアに入って預けた札をドアに貼り付けてください』

 

「長久、本当にこの札で悪魔を抑えれるのか?」

 

「マッキー。若様を疑うのですか?」

 

「いや、そういうわけじゃない、ただそう……確認したかっただけだ」

 

澪に睨みつけられたマッキーがしどろもどろに返事を返すが、俺もマッキーと同じ気持ちだ。こんな紙切れで……紙切れ?

 

「札がねぇ!?」

 

【バガブッ!? ぶ、ブブウッ!?】

 

「ば、バガブーッ!?」

 

俺が預けられた札を何時の間にか奪って遊んでいたバガブーが札から放たれた光に弾かれ崩れ落ちる。

 

「おいおい、大丈夫か?」

 

【ば、バガ……】

 

「飲め、バガブー。傷薬を飲めッ!!」

 

【バガブ……】

 

バガブーに傷薬を飲ませ、バガブーが遊んでいた札を取り上げてポーチの中に入れる。

 

「どうやら効果は本物のようだ」

 

バガブーのおかげと言えばいいのか、それともせいと言えば良いのかは分からないが、とりあえずこの札の効力が本物だと分かり長久のナビゲート通り右の扉に入り、札を貼り付ける。すると俺達を追ってきた悪魔は中に入れないのか、扉をどんどんと叩く音が部屋の中に響き渡る。

 

「だ、大丈夫なのか?」

 

「ビクビクすんじゃないよ! あの坊やを信じるんだよ、ドーソンッ!!」

 

小心者のドーソンをキーマが怒鳴りつけ、俺とマッキーがマシンガンを構えて悪魔の侵入へ備えること10分。悪魔の気配が遠ざかり、俺とマッキーは構えていたマシンガンを下ろした。

 

「悪魔は退散したようだぜ、長久」

 

『良かったです。でもこれは一時的なものなので早く別のフロアへ移動しましょう。出来れば体力も弾薬もMAGを温存したままで頑張ってください』

 

「無理難題を言いやがるぜ」

 

「仕方ないだろう、この先に強力な悪魔がいるのは分かっているんだ。無駄撃ちするなよ、ヒメネス」

 

「わぁーてるよッ!!」

 

式神の鳥から響く長久の言葉に思わずぼやきながら一方通行の袋小路を駆け、長久の指示で左の扉に飛び込んだ瞬間……額から汗が噴出し、足が完全に止まった。

 

「なんだこれは……」

 

「ひ、ひあああああッ!?」

 

「う、うわあ……うううッ!?」

 

濃密な死の気配何をしても無駄と言う絶望感が胸の中に込み上げてくる。

 

『渇ッ!!』

 

【メパトラ】

 

式神から響いた長久の一喝と柔らかい光が俺達を包みこむとさっきまで感じていた絶望感は綺麗さっぱり消えていた。

 

【お見事、私の術をたった一言で無効化するとは人間にしては素晴らしい】

 

バイオリンの音色と共に1体の悪魔が姿を見せる。バイオリンを片手にした骸骨の悪魔……。

 

(これが魔人ッ!)

 

長久が危険だと言っていた意味を本能で理解した。目の前の悪魔……デイビットが死の具現化というのも一目で分かった。

 

【人間の死の間際の悲鳴は美しい、最高の音楽だ。特に勇敢な者の死に際の音色ほど素晴らしいものはない、君達はさぞ良い音色を聞かせてくれると思うと、心が踊る。ふふ、精々足掻いて私を楽しませてください、愚かな人間達よ】

 

現れたときと同じ様にデイビットは一瞬の内に消え去り、俺はその場に膝を付いた。

 

「半端ねぇ……ミトラスよりやばいんじゃねえか?」

 

「はい、ミトラスより強いかもしれないって言う若様の言葉は間違っていませんでしたね」

 

悪魔と戦いその強さは身を持って知ったと思っていたのは思い上がりだった。悪魔の中でも極めて強力な魔人と遭遇した事による手の震えはデイビットの姿が無くなっても尚、俺を蝕んでいた。

 

「1人で戦うのではない、皆で協力すれば活路もある。行くぞ」

 

ゴア隊長の号令で再び俺達は袋小路を歩み出し、レッドスプライト号の反応がある場所まであと扉1つと言う所でデイビットが再び姿を現した。

 

【改めて私の名は魔人デイビット。死の旋律を奏でる者……よくここまで、たどり着くことが出来ました。この扉を抜ければ、貴方達の船はもう目の前です】

 

その扉の前に立ち塞がりデイビットはカタカタと歯を打ち合わせて笑う。

 

【貴方達が必死になって、小さな希望に縋りつき、ここまでたどり着いた。存分に楽しませていただきました……そのお礼に教えてあげたのです。まったく滑稽でしたよ、足掻いている姿が特にね……どの道貴方達は船へ帰れない。何故ならば……ッ】

 

デイビットの放つ威圧感が爆発的に増大し、その凄まじい圧力が俺達に襲いかかってくる。

 

【希望を前に死ぬ時の素晴らしい音楽、希望を前に絶望に倒れる歌劇……素晴らしい、これほどの演目はそうそうないッ!! しかしそれもいよいよ終幕。カーテンコールの挨拶は、あの世で聞いていただきましょうかッ!】

 

 

 

 

振るわれるバイオリンの弓と私の手にした剣がぶつかり合い火花を散らす。

 

「ぬうんッ!!」

 

だがデイビットの手にした弓はそれ以上進まず、私の気合を込めた一振りで弾かれデイビットも地面を蹴って後方へと飛んだ。

 

【その腕だけ、人間ではないようですね?】

 

「頼れるアドバイザーから貰った腕だッ!!」

 

逃げたデイビットに向かって剣を突き出すがデイビットはそれを首を傾げるだけで回避し、私の左腕を切り落とさんと弓を振り上げる。

 

【それは素晴らしい、では貴方を殺し、戦利品としていただくことにしましょうかッ!!】

 

「悪いが、お前にはやれんなッ!!」

 

デイビットが振るう弓を後へ飛んで避け、左手を付いて身体を跳ね上げる。

 

「掃射ッ!!」

 

空中で私自身も左腕1本でマシンガンを構えデイビットへと銃弾を撃ち込むが、デイビットはバイオリンの音色だけで掃射を完全に防いで見せた。

 

(これが魔人……確かに強いっ!)

 

悪魔の中でも最上級クラス。特異な能力と圧倒的な身体能力それらが全て高次元で纏まっているデイビットは恐ろしい強敵だ。だがそれは

1人で戦う時の話であり、私達には仲間がいる。

 

「ピクシー頼んだッ!」

 

「バガブーッ! 頼むぜッ!」

 

「ジャックフロスト! お願いしますッ!」

 

【タルンダ】

 

【スクンダ】

 

【ラクンダ】

 

マッキーとヒメネス、そして澪の指示で放たれた魔法がデイビットの身体を蝕み、その能力を低下させる。

 

【む、しかしこの程度】

 

【デクンダ】

 

バイオリンの音色と共に放たれた光がデイビットを包んでいた光を霧散させる。

 

「だが一瞬動きを止めた。それで十分だッ!!」

 

ミトラスから買った素材で作った銃――マンダムPの銃口をデイビットの胴に押し当て引き金を引いた。轟音と共にデイビットが吹っ飛ぶが、空中で半回転するとバイオリンを構える。

 

「澪ッ!」

 

「はいッ!!」

 

澪がポーチから何かを取り出してデイビットと投げるのとバイオリンの旋律が奏でられるのはほぼ同じタイミングだった。

 

【マハムドオン】

 

音色から放たれた死の気配を澪が投げた石が封じ込める。

 

【テトラジャですか、ですがそれもいつまで続きますかなッ!】

 

【ベノムザッパー】

 

紫色の毒々しい色の刃が私達の前に突如浮かび上がり、まるでギロチンのように凄まじい勢いで落下し、私達の身体の一箇所を霞め地面へと落下し霧散する。

 

「この程度……ッ!?」

 

「ぐうっ……これは……毒かッ!?」

 

【その通り、何も貴方達の土俵で戦う事はないのですよ。私は私らしく、音楽家らしい戦いをするまで】

 

デイビットがバイオリンを奏でその音波が私達に襲いかかる。それらは威力の低い攻撃なのだが……。

 

【さぁさぁ、貴方達の素敵な絶望の悲鳴を聞かせてください】

 

【マハムドオン】

 

それらの中に呪殺の魔法が混ざる――それらを反射的に理解し、テトラジャストーンで防がなければならない。

 

(確率で防げるらしいが、そんな不確かな物を信じられるか)

 

即死の魔法は全て確率で運が良ければ防げるらしいが、それを過信し受けるつもりはない。マハムドオンを回避し、空中でバイオリンを奏でているデイビットを観察する。

 

(ダメージは通っている。仕掛けるか?)

 

(まだ早いです、ゴア隊長。もう少し様子を見ましょう)

 

回避と防御に徹底しているのは長久君の指示だった。魔人は恐ろしく強く、容易に倒せる相手ではなく、最初は人間を見下しているので手加減をしてくる。その手加減の間に必要な情報を集めたいという長久君の作戦通りに立ち回っているが、流石に体力が厳しくなってきたが……そのかわりに見えてきたものもある。

 

(魔法は即死魔法と弱体化を解除する物、攻撃は音波と毒を付与する広範囲攻撃の刃……)

 

確かにデイビットは強い、攻撃範囲も広く、連射も出来高い運動能力と悪魔特有の力の強さ、身体の頑強さは人間とは比べ物にならないほどに強いが……。

 

(決め手が無い、いや、あえて無いのか?)

 

デイビットは苦しむ悲鳴を聞きたいと言っていた。一撃で殺してしまえばそれを聞く事が出来ないから一撃で倒す術を持たない、即死魔法はかなりの苦しみと長久君は言っていたので別にしろ……それ以外の攻撃は一撃で我々を殺すほどの威力はないと見た。

 

(僕も同意見です、マイクさん達に合図を)

 

長久君の言葉に頷きマイク達に合図を出すとドーソンが何かを握りこんで立ち上がった。

 

「シッ!!」

 

鋭い気合と共に投げられたのは黄色い石――それがデイビットの背中に命中すると同時に凄まじい電気を放った。

 

【がぁッ!?】

 

デイビットの苦悶の声が響くと同時にデモニカスーツが共鳴し、不可視の衝撃破がデイビットを打ち据えるのを見て、式神の鳥が吐き出した武器を手に地面を蹴って走り出す。

 

「おおおおおおおッ!!」

 

手にしているのは剣ではない、切り札として作っておいた日本の刀と呼ばれる武器――幻魔の槍片を素材に作り出した赤紫の刀身を持つ妖刀ニヒルを振り被り感電しているデイビットの首に向かって振り下ろす。驚くほど軽い手応えと共にデイビットの首が宙を舞った。

 

【……っぐ。死の恐怖を乗り越えましたか……は、ははは。残念……ですねぇ。私は……貴方達の……死と……絶望……が奏でる音を……聞きた……かった。……でも……私が……聞くことは……なくとも……そう……遠くない……うちに……】

 

「生憎だが、私達は絶望しない。絶望の中にも希望はある、私達の心は決して折れない」

 

【……は、ははははは……そうですか……そうですか……最初から……私は間違っていたのですね……】

 

そう笑いながらデイビットの身体は塵となって消失し、その場にはバイオリンが残された。

 

『ゴア隊長、それ一応回収しておいてください、何かに使えるかもしれませんから。回収次第レッドスプライト号へ、結界札が破られたみたいです。まだ距離はありますが、悪魔が後から追ってきますッ!!』

 

「皆聞いていたな、これからレッドスプライト号までマラソンだ。いくぞッ!!」

 

「くそったれ、休む間もなしかよッ!」

 

「歩いてきても良いんだよヒメネス。あんたが悪魔に食われるだけさ」

 

「は、早く戻ろう! ここまで来て死ぬなんて冗談じゃないッ!!」

 

背後から聞こえて来る悪魔の怒号やうなり声を聞き、私達はデイビットとの戦いの後も休む間もなく私達はレッドスプライト号へ向かって走り出す。

 

(だがまだ終わりじゃない)

 

この旅路はまだ始まったばかり、そして今はまだ良いが弱点のない悪魔もその内現れるようになる……その時に皆が生き残れるように我々はもっと強くならなければならない、デイビットとの戦いで私は改めてそう思うのだった……。

 

 

 

4周目の世界 滅びを求める地球意思 その12へ続く

 

 




と言う訳でEXの脱出作戦でボーティーズは終わりとなります、次回からはカリーナの捜索を始めたいと思います。

戦闘描写はかなり難しいですが、これからもがんばっていこうと思いますので、次回の更新もどうかよろしくお願いします。
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