4周目の世界 滅びを求める地球意思 その20
頭を守りながら地面を蹴って横っ飛びしアナザー・カオスヒーローが放った業火を紙一重で回避し、そのまま転がりながら距離を取り膝立ちになってブラスターPの引き金を引いた。
【アームショット】
銃に付与された効果が発動しアナザー・カオスヒーローの手から刀が滑り落ちるのを見て、ナイフを構えて突貫する。タルンダほどの効果は無いが、相手の腕力を低下させるアームショットは使い勝手の良い能力だ。そして力を落とした今なら押し切れる……そう思っていたのだが、アナザー・カオスヒーローはその程度は想定内だと言わんばかりに獰猛な笑みを浮かべた。
【へっ! 温いぜッ!】
【デクンダ】
片足で自らの刀を蹴り上げ、それを片手で掴んで突き出してくるのを見て咄嗟にナイフを横にし、腹で受け止めるが……。
「ぐ……ぐうっ!?」
自ら加速していたこともあり衝撃を完全に殺せず、後へと吹っ飛ばされ壁に背中から叩きつけられる。
【バガブッ!!】
【怨念の劫火】
【おっとッ!!】
バガブーが手から黒炎を放ち、アナザー・カオスヒーローを遠ざけると同時に俺に駆け寄って来て腰に下げていたポーチから傷薬と魔石を取り出し、傷薬を俺の頭の上から掛けて魔石を胸に押し付けてくる。
「……がはっ……はー……はー……サンキュ、バガブー」
【バガブッ!】
ガッツポーズを作るバガブーに苦笑しながら震える足に渇を入れて立ち上がる。
【お前弱いな、弱すぎて話になんねえよ】
刀を肩に担ぎながらアナザー・カオスヒーローが挑発してくる。
「だろうな、俺は弱いぜ」
【あん? 認めんのか?】
アナザー・カオスヒーローが意外という感じで尋ねてくる。
「悪魔に囲まれて錯乱して、長久の助けもなきゃ戦えねぇ。弱くて弱くて、みっともねえのが俺だ」
戦場では、人間同士の戦いでは俺は優秀だっただろう。だから俺は国連に選ばれてシュバルツバース調査隊に抜擢された。だが俺の積み上げてきたものはシュバルツバースに踏み入った瞬間に全て砕け散った。
「そんなみっともねぇ俺を信用してる馬鹿がいるんだぜ?」
正直に言って俺は人に褒められるような性格はしてねぇ、自分が生き残る為ならばどんな卑怯なことも、裏切りもしてきた。だから俺もいつか俺が裏切ってきた人間のように死ぬんだと思っていた……だが。
「俺みてえな、ひでえ奴をいい奴だって言う馬鹿がいるんだよッ!!」
地面を蹴ってナイフを片手にアナザー・カオスヒーローへと斬りかかる。
【お涙ちょうだいか?】
「そんなんじゃねえよッ!!」
俺のナイフとアナザー・カオスヒーローの手にした刀がぶつかり合い凄まじい火花を散らす。当然だが腕力もリーチも何もかもが俺にとって不利だが……。
【バガブッ!!】
【アギラオ】
【ぐっ!?】
「俺は1人じゃねえんだよッ!」
バガブーの放ったアギラオがアナザー・カオスヒーローの顔面を包み込むと同時に肩から胸にぶつかるように体当たりをアナザー・カオスヒーローに叩き込んだ。鉄板に体当たりしたような痛みに俺の方がダメージを受けているような気がするが……これで良い。
「この距離ならてめえの刀は役立たずだなッ!!」
【馬鹿がッ! 獲物が使えなくなった程度で俺に勝てると思ってんのかッ!!】
「思っちゃねえさッ!」
人間の姿をしていても相手は悪魔だ。互いの額と額が当るような距離でも、それこそ拳1つ分の距離があれば俺を殺せるだけの力があるのは分かっている。
【おらッ!!】
振るわれる拳、突如蹴り上げてくる膝を紙一重で防ぎながらアナザー・カオスヒーローの懐でナイフを振るう。だがナイフの刃は殆ど通らずダメージが入っているようには思えない。
【良い加減にウザってえッ!!】
【マハラギオン】
俺が懐から離れないのにイラついたのかアナザー・カオスヒーローの手から炎の帯が放たれる。
「ぐっ、ぐうううっ!?」
腕をクロスして顔面だけは守ったがデモニカスーツ越しでも凄まじい熱が襲ってくる。それを歯を食いしばり耐えてる間にアナザー・カオスヒーローはバックステップし、刀を頭上に振りかぶる。
【しまいだ。死んどけッ!!】
マハラギオンのダメージで俺はすぐには動けない……アナザー・カオスヒーローの攻撃を防ぐことは出来ず、本来ならばこのまま両断されて終わりだろう。だが生憎……この流れは……。
「俺の計算通りだぜ! やれ、バガブーッ!」
【バガブッ!!】
【なっ!?】
バガブーが転がしてきた球体にアナザー・カオスヒーローが声をあげ、顔を守るがもう遅い――バガブーが転がしたもの、それは特殊閃光弾だ。俺とアナザー・カオスヒーローの間で炸裂した閃光弾にアナザー・カオスヒーローは声を上げて大きく仰け反る。
「ここだッ!」
その隙に左腕に飛び掛り、左肘の関節にナイフを突き立てる。
【がぁッ!?】
アナザー・カオスヒーローが呻き声を上げ、左手の力が緩み手にしていた刀が零れ落ち、それが地面に落ちる前に拾い上げ両手で柄を握り締める。
「俺のナイフで駄目ならてめえの刀はどうだッ!!」
【がぁあああああッ!?】
俺はそう叫びながらアナザー・カオスヒーローの刀を振るい、その胸に真一文字の傷が刻まれた。余裕を崩す事の無かったアナザー・カオスヒーローが絶叫し、切裂いた傷口からMAGが溢れ出すがアナザー・カオスヒーローは左手で傷口を押さえ、右手で肘に突き刺さったままの俺のナイフを引き抜いて逆手で構えた。
【この程度で俺はしなねえよッ!】
「だろうなッ! 第二ラウンドだッ!!」
弾かれたように俺とアナザー・カオスヒーローは同時に駆け出し、カリーナに再び剣戟の音が響き始めるのだった……。
体力が尽きた仲魔の身体がMAGに分解され始めるのを見て、慌ててデモニカスーツに回収する。完全に消滅する前に回収することが出来たので失う事は無かったが、これで俺とマッキーの仲魔は全滅した。
【素晴しい、貴方達はとても強い人間だ。仲魔との連携も、友とのコンビネーションも実に素晴しい。ですがそれが通用するのはここまででしょうね】
拍手をしながらアナザー・ロウヒーローは自らが召喚した天使が消え去るのを何の感情も感じさせない瞳で見つめていた。
【さてここからが本番でしょうか? どうぞ、どこからでも掛かって来てください】
「馬鹿にするなよッ!」
マッキーがそう叫んで斬りかかるが、アナザー・ロウヒーローは指先でマッキーの刀を受け止め、指先に力を入れるだけで剣を圧し折った。
【馬鹿になどしていませんよ。ただそう、貴方達は私よりも弱い、模倣された者の中で1番弱い私よりも弱いのです。そんな相手に真剣に戦うほど私は大人気なくありませんよ】
【ジオンガ】
「がっがああああああッ!!!」
降り注いだ電撃にマッキーが苦悶の叫び声を上げて倒れ込んだ。
「ま、マッキーッ!」
【次は貴方ですよ】
指が向けられたと思った瞬間俺の視界が白く染まり、俺の意識は一瞬途絶えた。
【サマリカーム】
「「はっ!? はっ……はっ……」」
薄れ行く意識が戻り、咄嗟に跳ね起きてアナザー・ロウヒーローから距離を取る。俺とマッキーはまるで長距離マラソンの後のように荒い呼吸を必死に整えていた。
【これで1度目の死ですね、さてさて。確かそう、タイラーさんとマッキーさんでしたね。貴方達は私を倒せるまでに何度死ぬのでしょうか?】
【マハジオダイン】
「「う、うがああああッ!?」」
全身に走る灼熱の痛みに俺とマッキーは絶叫し、2度目の死を向かえた。だが今度はさっきと違う……。
【サマリカーム】
死ぬことを覚悟していた俺とマッキーの意識が覚醒した瞬間には同時に駆け出していた。
【逃げずに尚向かってきますか、素晴しい】
「俺達にはお前が持ってるきんたんが必要なんだッ!」
「それを手にするまでは引くわけには行かないッ!!」
死んだ事は分かっている。そして目の前の存在に生き返らされたのも分かっている。次ぎ死ねば生き返る保証なんて無い、気絶しているゼレーニンを担いで逃げるのが1番正しいだろう。そして……そして……仲間を連れて戻ってくるのが1番正しいのだろう、そして長久を救う為の時間を失うだろう。
「俺に、俺達に後へ下がる道はないッ!!」
「仲間を救う為に俺達はお前を倒す以外の道はないッ!!」
マッキーは銃を、俺はブレードを振りかぶり雄叫びを上げながらアナザー・ロウヒーローへ突撃し、銃弾はアナザー・ロウヒーローの肩を抉り、俺の袈裟切りの一撃はその身体に傷をつけた。
【その信念、その意思素晴しい。ですが……想いでは何も救えないのですよ】
だがアナザー・ロウヒーローを倒すには程遠く、反撃に振り注いでくる電撃を見て、俺はブレードを頭上に掲げ跳躍した。
「う、うがあああああッ!?」
魔法で作られた雷であっても雷に違いはない、俺自身が避雷針になりマッキーに当たるはずだった電撃も己の身で受け止める。
「うぉぉおおおおッ!!!」
【ッ!?】
咆哮と共に振るわれたマッキーの一撃がアナザー・ロウヒーローを捉え、噴出すMAGの光を見ながら俺は3度目の死を向かえ、腹部に手を当てられ吹き飛んだマッキーもまた3度目の死を迎えるのだった……。
生き絶えた2人にサマリカームを施し蘇生しながら私は、いやロウヒーロー……俊樹を模したドッペルゲンガーは思う。
(素晴しい、なんと素晴しいことか)
圧倒的な力を前に決して心折れず、仲間を救う為に戦い続ける2人の男の素晴しい魂に歓喜していた。
【は、ははははッ! 私は作り物なれど! 今作られた事に感謝するッ! 貴方達のような素晴しい魂を持つ人間にあえた事に感謝しますッ!】
与えられた僅かな記憶……そして私の前に立つ俊樹は私に望んだのだ。
【僕も長久さんを探します。もしも僕よりも先に長久さんを見つけたのならばどうか彼の力に……】
長久を探すために作られた俊樹のコピー、世界を流離う間にベリアル様達の配下となり、長久を探し続けた私の旅はここで終わる。
【倒せるものならば私を倒してみせなさい人間よッ! かつて私は気高き人間を見た! 誇り高く、優しく、そして強くッ! 私のオリジナルを導いた人間を見たッ!】
憧れた。あの強さに、あの優しさに、あの思いやりに、作られた者でありながらその者に憧れた。そうありたいと、そして助けになりたいと心からそう思ったものだ。
【人は愚かだ、そして醜い。だが貴方達は違う、素晴しい人間だッ!】
【マハジオ】
マハジオダインもマハジオンガも使うだけの魔力は残されていない、私に出来る事はもう僅かしかない。それでも私は壁であらねばならない。
「ああ、そうだろうな、人間は醜いさ」
「裏切り、騙し、利用する。それが人間だ」
「「だがそれでも守りたい者をッ! 救いたい者を守る為に戦うのが人間だッ!!」」
強い意思、揺るがない魂の力……作り物の私では得ることの出来ない人間だけが持つ事が出来る輝きを見て、私は満足した。満足してしまった……。
(オリジナル。きっと貴方も満足したでしょう?)
強い意志を、強い信念を持つ人間だった貴方ならば、この人間達になら託す事が出来る。そう分かっていても、私にも意地がある。戦わずして負けを認めることは出来ない。
【ならばその想いを持って私を打倒して見せなさい! これを防ぐ事が出来れば貴方達の勝ちだッ!】
魔力・MAG・己の構成する全てをつぎ込み、己の存在と引き換えに発動出来る最後のスキルを発動する。
【これは神の雷、神の炎! 人間に試練を与え、道を示す大いなる神火ッ!!】
【シナイの神火】
炎であり、雷であり、防ぐ事の出来ない魔力の塊が4発放たれる。自分の全てを掛けても4発が限界、オリジナルであれば12発放つことが出来たでしょうが、コピーである私にはこれが限界だった。
「「がぁああああああッ!!!」」
シナイの神火に肉体と精神を焼かれ、途方もない痛みを受け絶叫しながらも2人の男は私との距離を詰めきった。まだ剣は振れる、ジオも使える……だが……私にはもう戦う意志は無かった。シナイの神火を耐え切った、それは即ち神の試練に打ち勝ったと同意儀ならば私は己の敗北を受け入れる事が出来る。
(やはり人間は愚かであり、そして美しい。この人達がいるのならばきっとあの人の救いになってくれる)
人の美しさを見て、この人達にならあの人をたくせる……そう思いながら私は振るわれた剣を身体で受け入れた。
「……なんで抵抗しなかった」
【見ましたから。人の意志の素晴しさを、その美しさを。どうぞ、持っていってください。あの人の元へ】
きんたんが浮かび上がり、マッキーとタイラーの手の上に落ちる。この人達ならば信用出来る、きっと最悪を回避するために頑張ってくれると信じる事が出来た。
「……1つだけ聞いても良いか?」
【答えられる物で良ければ】
「お前のオリジナルを導いた者は長久なのか?」
その問いかけに私は小さく微笑んだ。それだけでマッキーとタイラーは悟ってくれたようだった。
【ええ、ここではない、ずっと前にですけどね。どうか貴方達はあの人の味方であってください。あの人は……どこまでも行ってしまいますから】
あの人は歩みを止めない、自分の選択を覆さず歩み続ける。それは人に受け入れられる者ではない。人が不信を抱き、化物と罵る事かもしれない。だけどあの人は人間なのだ。誰よりも人間で、誰よりも苦しみ続けている。
【武器……持っていってください……貴方達の力となりますように……】
傷口からMAGが溢れ、元のドッペルゲンガーに戻るなか。最後に思うのはコピーである私ではなく、オリジナルが今この時のシュバルツバースにいてくれれば良かったという思いだった……。
「そうか、こいつも……」
「ああ。ルイの言っていた長久の前世に関係のある人間のコピーだったんだな」
残された法衣、剣と銃、そして砕けた砂の前にマッキーとタイラーは座り込み、小さな穴を掘ってドッペルゲンガーだった砂を埋めて手を合わせた。
「……良し、レッドスプライト号へ戻ろう」
「ああ、澪とヒメネス達も戻ってる筈だ。急ごう……まぁその前にゼレーニンを起さないといけないけどな」
まだ気絶しているゼレーニンにマッキーとタイラーは深いため息を吐き、最後まで役に立たなかったなと呟いてドッペルゲンガーが残した法衣、剣、銃を回収してからゼレーニンに声を掛けるのだった……。
雄叫びを上げて切りかかってくるヒメネスの一撃をナイフで弾くが、その直後にヒメネスの仲魔のバガブーの放ったアギラオが俺の胴で炸裂する。
「うおらあッ!」
怯んだ所に回し蹴りを叩き込まれ、吹っ飛ばされるが、片手をついて身体を跳ね上げて即座に体勢を立て直す。
【やるじゃねえか、流石は軍人ってか?】
「意地があるんでね。それに長久が待ってる。とっととてめえを倒して、お前の持ってる如来像を回収させてもらうぜ」
燃えるような強い意志を感じさせるヒメネスの姿に俺は笑った。笑って笑って……ヒメネスを睨みつけた。
【そう簡単にはやられてやれねえなあ。お前達は長久がいなきゃ戦えねぇ、俺のオリジナルと同じだ。んで後悔するのさ、長久がもう届かない場所に行ってからな】
俺の言葉にヒメネスの眉が動いたが、ヒメネスは躊躇わずに刀を構えた。
「てめえのオリジナルが長久の前世の関係者だろうが俺には関係がねぇ。今の長久を救うのに、てめえは邪魔なんだッ!」
【そうかいッ! だがなッ! 俺もそう簡単にやられるわけにはいかねえんだよッ! 力が無きゃ何も救えねぇ、何も守れねえッ! 俺のオリジナルはそうだったッ!】
本当に大事なとき、俺のオリジナルは戦えなかった。見ているだけだった……たった1人で魔人に立ち向かい死んだ長久を見ていることしか出来なかった。その後悔の念から作られたコピーがこの俺だ。
【守る? 助ける? 戯言だッ! 本当に守りたければ、強ければ俺を倒せッ! 俺に勝って見せろ! 力を見せやがれッ!!】
口ではどんな綺麗ごとだって言える。だがそんな言葉が何の意味がある、何の意味もない。結局全てを決める事が出来るのは力だ。どんな不条理も壁も壊せるだけの力が無ければどんな理想にも意味が無い。
「バガブー。援護はもう良い」
【ブー?】
「必要ねぇ、見てろバガブー」
【ブ!】
自分の仲魔を下げて俺を睨みつけるヒメネスに俺は手にしたナイフにアギラオを纏わせて炎の剣を作り出す。
【舐められたもんだ、1人で俺に勝てるとでも思ってんのか?】
「俺1人で勝てなきゃ力なんて示せねえだろうが」
【……は……ははははははははッ! そりゃそうだッ!!】
こいつは俺のオリジナルに似ている。この口振りも間違いなく、俺のオリジナルが言いそうなことだ。
「行くぜええッ!!!」
【うおおおおおッ!!!】
俺とヒメネスの雄叫びが重なり、俺とヒメネスの姿が交差する。
「……俺の勝ちだ」
【……ちっ……武器の差かよ】
アギラオで刀身を作ったとしても俺の武器はただのナイフ、オリジナルが使っていた刀を使ってるヒメネスと打ち合えるわけが無かった。
「だな。武器の差だが、俺の勝ちは勝ちだ」
【ああ、それに言い訳するつもりはねえよ。持ってけ、如来像も、俺の刀も】
「言われなくても貰ってくぜ」
【話が早くて助かるぜ……】
ヒメネスが黄金の宝箱の蓋を開け如来像と、その近くに落ちていた刀の鞘を拾って刀身を鞘に納める。
「あばよ。まぁてめえの言ってた事は胸に刻んでおくわ」
【そうしろ、力なき意思も思いも意味がねぇ、まずは力を持て、全てはそこからだ。そして力を得てからその力をどう使うかを考えるんだな】
俺の言葉に頷き手を振りながら歩き去っていくヒメネスの背中を見ながら、俺はカリーナの床に倒れたまま空を見上げた。
(なぁオリジナルよ、あんたはなんでここにいないんだ? ここにいるんだぜ、あんたの捜してる男がよ)
コピーの俺じゃなくてオリジナルがいればもっと良かった。そうすれば少しは長久の最後が少しは穏やかな物になるだろうにと心からそう思う。
【ああ……くそ、本当によ……思い通りにならんぜ】
壁として立ち塞がり負けた事には何の未練も無い、むしろ俺を倒したヒメネスを心から賞賛したい。俺が言う思い通りにならないとは……
【どうしてこうも人間つうのは馬鹿なのかね……俺には分からんぜ】
どうして互いに争うのか、何故分かり合おうとしないのか、ほんの少しでも良い。分かりあおうと、助け合おうとする意思があれば長久が意識不明になることも無かっただろうし、それを止める者が近くにいても良かったのにそれもなかった……。
【どうして……自分で……滅びよう……とするの……かねえ】
ドッペルゲンガーに戻りながらそう呟いた俺は消え去るその瞬間まで、人間について考えているのだった……。
4周目の世界 滅びを求める地球意思 その21へ続く
アナザーカオス・ロウヒーロー撃破で今回は終わりで、次は全部澪とアナザーヒーローの視点でやってみようと思います。ゲームだと3人とも自分で倒すボスで、スタンスが会っていれば武器入手みたいなイベントボスですね。少なくともオーカスよりは強いのは確定なので長久の補助無しではかなり厳しい闘いとなっておりました。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします。