収束×集束×終息する世界   作:混沌の魔法使い

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4周目の世界 滅びを求める地球意思 その25

4周目の世界 滅びを求める地球意思 その25

 

4つ目のセクターデルファイナスに到着した俺達は早速調査に出ようとしたのだが、それは長久によって止められていた。凄く嫌な予感がするから式神による調査が完了するまで待って欲しいという長久に最初は心配しすぎだと誰もが笑ったが、余りにも必死に言うので長久の頼みを聞きいれ、事前調査が完了するまでレッドスプライト号で待機するとゴア隊長が指示を出し、俺達機動班クルーは降車デッキで出撃許可が下りるまで長久の兄貴が地上から送ってきた物資に目を通していた。

 

「お、酒まであるぞ。ウィスキーだってよ」

 

「本当ですか!? うわ、凄いな、ワインまで……こんな上等なお酒久しぶりに見ました」

 

やや肥満気味で食にこだわりの強いムッチーノが興奮した面持ちでワインを回収している。

 

「分かってると思うがまだ飲むなよ?」

 

「わ、分かってますよタイラーさん。このセクターの調査が終わってからにします」

 

タイラーに注意され早口で言うムッチーノに苦笑しながら、俺は回されてきた小箱の中から1口大の菓子。まぁチョコレートを取り出して頬張った。

 

「甘い……果物とは違うが美味いな、バガブーほれ」

 

【バガブッ!】

 

俺が投げたチョコを口でキャッチし、美味かったのか跳ねているバガブーを見て、本当に悪魔らしくないなと思わず笑いながらチョコレートの箱を閉じて腰のポーチの中へ戻す。

 

「たこ焼き……なんでこんなものが?」

 

「若様の好物なんですよ。極稀に3人で会える時に3人で分け合いながら食べていたんです、貰っても?」

 

「え、ええ。どうぞ、長久君に持っていって上げてちょうだい」

 

長久の好物……か、澪から長久の過去は聞いたがこんなもんが好物と聞くと本当に酷い生活をしていたんだなと改めて思うのと、司令部のクルーの連中の長久への態度を思い出し改めて腹が立ってくる。

 

「ミッキーさんよ。司令部の連中を一片外に出そうぜ? 現実を見せてやれば長久はどれだけ重要かあの馬鹿共も分かるだろ?」

 

「俺も同意見だが。安全な場所からあの連中が出てくると思うか?」

 

司令部詰めの連中はエリートだから絶対前線には出てこないなと思い舌打ちする。

 

「ゴア隊長とアーサーが面談しながら適性を改めて確認している。その結果次第では俺達から観察役を出しながら外で戦わせることにもなるだろう。とは言え新しく調査するセクターには出せないがな、ただ間違いなく今までのように安全な司令部に中にいるだけというのはゴア隊長も認めないだろう」

 

「ここまでやっておいて今までと同じっていうなら俺はゴア隊長は無能だと思うし、かといって司令部の連中新しいセクターの調査に出すって言うなら俺は正気を疑うね。全滅しちまう、司令部の連中を出すならボーティーズくらいだろ?」

 

「お前もう少し言い方を考えろよ、ヒメネス……だがまぁ、気持ちは分かる。だがそれはいらん心配だ。ゴア隊長は優秀な御方だ、間違いなく正しい決断をしてくれるだろう」

 

「……そうだけど良いけどな」

 

正直ゴア隊長は甘すぎると俺は感じていた、もっと早くに行動に移すべきだったと思うし、もっと早く司令部の連中にも悪魔と戦わせておくべきだったと思っている。俺達の錬度は大体30前後だが、司令部の奴らは10前後、正直足手纏いにしかならないので協力者であるミトラスがいるボーティーズで錬度上げからだろとミッキーと話をしていると艦内放送が入った。

 

『機動班クルーはただちに司令部へ集合せよ、繰り返す。機動班クルーはただちに司令部へ集合せよ』

 

「あん? 出撃命令じゃないのか?」

 

出撃命令だと思っていたが、まさかの司令部へ集合という指示に思わず声が出てしまった。

 

「若様の調査で何か分かったのかもしれないですね」

 

「その可能性は高いな、良し! 機動班は全員司令部へ向かうぞ!」

 

タイラーの言葉に頷き俺達は装備していた銃器を戻し、司令部へと駆け足で向かった。

 

「何? 現状では出撃許可を出せないだと?」

 

「ああ、長久君の調査の結果だが、このデルファイナス全体が高密度のMAGで覆われているそうだ。そのMAGによっては精神状態に異常が出る可能性が高いらしい。アーサー、詳しく説明してくれ」

 

『了解しました。長久の式神によって大気とMAGの一部を収集しましたが、このデルファイナスの中のMAGの性質は極めて悪質であり、恐らくこのセクターの支配者の悪魔による攻撃の一種であると予想されます』

 

攻撃の一種と聞いて俺達の間に緊張が走り、思わず長久に視線を向けてしまう。長久はそれを詳しく説明しろと言われているのと感じたのか詳しく説明を始めた。

 

「このセクターのMAGと大気は恐らく現状のデモニカスーツでは完全に浄化するのは難しいと思います」

 

「それならば短時間の調査ならどうだ? 一定の区画まで移動し、帰還して少しずつ調査する区画を増やすんだ」

 

「タイラー。それは私も提案したのだ。だがそれでも危険だと長久君は判断したんだ」

 

「話を続けますね? この大気とMAGはその人の人格、精神を蝕みます。ボーティーズでのノリスさんの状態に近いと思うのですが……

アーサー。さっきの映像を再生して欲しい」

 

『了解しました。全員モニターに注目してください』

 

メインモニターに映像が映し出される。それは長久の作った紙の鳥の映像だった、4匹の鳥がデルファイナスの上空を飛んでいたのだが、突如その内の1匹がほかの式神へ襲い掛かり、攻撃された式神が燃えながら落下し消滅する。そして攻撃した式神はほかの式神へ襲い掛かり、そこで映像が途絶えた。

 

「若様、式神がコントロール出来なかったのですか?」

 

「うん、突然コントール出来なくなったんだ。これは映像記録が残ってるけど、デルファイナスに飛ばした式神は全部で8匹、その内攻撃出来るようになってる式神からコントール出来なくなった。多分だけど……攻撃本能とかに反応するタイプの何かの魔法がデルファイナス全域に展開されてると思うんです、それで自我を失って凶暴化してしまう状況にあるんだと思います。闘争本能が強ければ強いほどにそれは進行が早まると思います」

 

戦おうという意志に反応して凶暴化してしまう。そして闘争本能が強ければと長久は言うが、悪魔と戦うのに気弱な事など言ってられないので嫌でも攻撃的になる。

 

「つまりあれか、俺達はここで足止めだと?」

 

「現在はです。とりあえず1度ボーティーズに戻りミトラスからデルファイナスの話を聞き、その上でノリスさんに出した薬を改良して凶暴化をなんとか予防できる薬を作れないかとやっているので、もう暫く時間を貰えばなんとかなると」

 

長久の言葉を緊急通信の音が遮り、医務室のゾイが悲鳴にも似た声で叫んだ。

 

『医務室に保存していた戦死した調査隊の遺体が消えました! ちゃ、ちゃんと冷凍カプセルに保存していたのに、い、何時の間にか消えていたんです!』

 

ここまで来るまでの間に死んだ仲間の遺体が突如して消えたというゾイからの信じられない報告に俺達は言葉を失った。

 

「どうやら……完全な薬が準備出来てから調査に向かうのは無理らしい。長久君、君の危惧も良く分かるが……死んだ仲間が悪魔に悪用される訳にはいかん、バニシングポイントの捜索、ロゼッタ物質の確保、そしてクルーの遺体の捜索をミッションとして発令する」

 

「……分かりました。でもせめて試験薬と最悪に備えての準備が出来るまでは待ってください」

 

『指令コマンドとしてもそのミッションの発令には同意出来ないですが……仕方ありませんね』

 

完全な効果は期待出来ないが、それでもなんの備えもなしで調査にでるよりかはましだという長久の言葉とミッションの発令に同意出来ないと言うアーサーにすまないとゴア隊長は小さく謝罪の言葉を口にし、仲間の遺体が無くなったとゾイから連絡があってから1時間後に俺達はデルファイナスの地に踏み込むのだった……。

 

 

 

 

モニターに映る光景に俺は絶句していた。クルーの遺体が無くなったのでその捜索に出たいというゴア隊長達の意見に負けてしまったが、その結果が仲間同士で殴り合っている機動班クルーの姿だった。

 

「通信が聞こえる者は早急にレッドスプライト号へ戻れ! 繰り返す! 通信が聞こえる者は早急にレッドスプライト号へ帰還せよ!!」

 

カトーさんがマイクに向かって叫ぶが戻ってくる反応は極僅かしか無かった。一応ノリスさんに使ったのと同じ薬を改良した物を事前に飲ませたが、殆ど効果が無かったという結果になってしまった。

 

「ゴア隊長……良いですね?」

 

「……すまない、頼む」

 

ゴア隊長の許可を得てから机の上に準備しておいた陣の上に血を垂らす。すると殴り合いをしていた機動班クルー達をMAGで出来た結界が包み込み、その動きを拘束する。

 

「これは……長久。何をしたんだ?」

 

「仲間同士で殺し合いを避ける為に結界で一時的に動きを封じました。この密度の結界ならデルファイナスの悪魔の攻撃にもある程度は耐えれるでしょうし、今の内に対策を練り直しましょう」

 

もう少し事前に調査を、出来ればミトラスに話を聞きたかったのだが、それも出来なかった。俺は最悪として錯乱や恐怖状態は想定していたが、その予想すら甘すぎたと言わざるを得ない……。

 

「長久! マンセマットがミトラスが関係しているって言ってたわよ!? どういうこと!?」

 

「ゼレーニン! 若様は1度ミトラスへ話を聞くと言っていたのにそれを無理に出撃したのは私達ですよ!」

 

怒鳴り込んでくるゼレーニンさんとそんなゼレーニンさんに向かって怒鳴る澪……出撃して戻ってこれたのは澪とゼレーニンさんと後2名のみ、20名出撃して4名しか帰還しなかったのは最悪としか言い様が無い。

 

『クルーの皆様に連絡です。互いに攻撃し行動不能になったクルーを回収し、現在医療室で治療中ですがそれについて新しい事実が分かりました。ゾイ隊員、宜しくお願いします』

 

医療室の光景がモニターに映し出されるが、そこには包帯を紅く染め上げたクルーが3人拘束具でベッドに縛り付けられていた。明らかに骨折しているのにまだ動こうとしているその姿に顔から血の気が引くのを感じる。

 

『医療室のゾイです。運び込まれた負傷クルーの診断結果が出ました。いえ、診断結果と言って良いのか戸惑いますが……発症したクルーには意識異常はある物の生化学的に異常な所見はありません。これは発症が私達の医学が知る病原によるものでは無いことを示します。恐らく調査の前に長久君の言っていた悪魔の攻撃の可能性が極めて高いと言えます』

 

ゾイさんの言葉にタイラーさん達が俺に視線を向けてくる。

 

「間違いないのか?」

 

「多分間違いないです。外の凶暴化するMAG……いえ、多分霧状の悪魔が体内に入り込んだことによる凶暴化状態であると僕は考えます」

 

魔法などではなく、悪魔が体内に入り込んでいると俺は考えている。メパトラストーンなどを試してみたが、効果が無く、俺が作った薬も同様……何の変化も無いという事は別の要因、悪魔の寄生の線が極めて高いと判断せざるを得ない。

 

『私はMK型兵器の転用を提案します。これはプラズマ波による人間の意識に関与する兵器なので寄生している悪魔にも効果がある可能性もあります』

 

「……MK型……それしかないのか」

 

ゴア隊長の反応から恐らく禄でもない道具なのだと思うが、今はそれを軸に治療法を考えるしかない。俺の結界もいつまでも持たない、仲間同士の殺し合いや悪魔に殺されるのを避ける為に早急な治療する術の確保が必要だ。

 

『今回の症状をデルファイナス奇症と呼称します。指令コマンドとしては出撃前の長久の提案である。シュバルツバース内の協力者ミトラスとの謁見を提案します』

 

それしかないだろう、ミトラスがどこまで協力してくれるかは定かでは無いが、何の手掛かりも無いまま調査に出て感染者が増えるよりかはまだ目があると思う。

 

「ゴア隊長。ヒメネスさん達を残していくのは僕も反対ですが、今はそれしかないかと思います」

 

また司令部クルーとの対立が深まることになると思うが、今は少しでも手掛かりを得るのが最優先だ。

 

「……アーサー。スキップドライブだ、ボーティーズへ向かう」

 

『了解しましたゴア隊長。10秒後にスキップドライブを行ないます』

 

ヒメネスさん達を残して行くのは心配だが、俺の作った結界で同士討ちや悪魔に殺される心配はない。急いでミトラスに話を聞いて、そこで対策を練ればまだ何とかなる。そう信じて、俺達は後ろ髪を引かれる思いでデルファイナスを後にし、ボーティーズへと向かった。

 

【ふうむ、デルファイナス……うむ。それは間違いなく我が盟友だった。アスラ閣下による物であろう】

 

突然尋ねて来た俺達をミトラスは嫌な顔1つせずに受け入れ、デルファイナスで起きている現象について応えてくれた。

 

「アスラ……それがデルファイナスの支配者か?」

 

【その通りじゃ、アタシなぞよりも遥かに強く、恐らくモラクス、アタシ、オーカスの3人掛りでも勝てぬ悪魔ぞ】

 

それほどまでに強い悪魔なのかとゴア隊長達の間に驚きが走るが、アスラの名前を聞いた俺にはそれほど驚きは無かった。

 

「アスラはインドの神。神々に対峙する悪神という立ち位置の筈だよね?」

 

【うむ。ついでに言うと我ら3柱のセクターの支配者でもある。あやつは強い、桁違いにな。しかしそれで居て慢心などしない、強さと叡智を兼ね備えた悪魔であり、アタシのように言葉で止まるような者でもない。アタシやオーカスと戦うような気持ちであればお主らの旅路は4つ目の地で終るであろう】

 

そう言いながらミトラスはゴア隊長に拳大の石を投げ渡した。

 

【それはアタシが人間を研究し、調べて作り出した狂者の石。それを解析すれば狂気に囚われた人間を元に戻すことも出来ようぞ、して神子よ、また何か素材を持っていくかえ?】

 

「勿論そうする。MAG払いで良いよね?」

 

【構わぬ、アタシとしてもお主らに死なれると目覚めが悪い。アスラ閣下に勝てるように多少なりとも助力はしようぞ】

 

MAG払いでミトラスが所有している悪魔のフォルマを再び譲り渡してもらい、ゴア隊長と澪がミトラスから渡された狂者の石、そしてゼレーニンさんが観測をしている最中に見つけた道行の勾玉で新しいアプリとデルファイナス奇症を治す為の道具を作り出す事になったのだが、そこでまた大きなトラブルが発生する事になった。

 

「しかしまあ、シャレで積んでたMK型兵器を引っ張り出すことになるなんてな……敵にブッ放す武器ならともかく、味方に打ち込む道具を作るのは……流石に気が引けるぜよ。とはいえ、コレに乗らなきゃならん状況じゃきぃ……」

 

アーヴィンさんが機材を引っ張り出しながら沈鬱そうな表情を浮かべる。

 

「確かにな、こんな物を持ち出す事になるなんて出発前は悪い冗談としか思っていなかったよ」

 

ゴア隊長までそんな事を言い出し、ますますMK型兵器が何なのかという疑問が鎌首を持ち上げてくる。

 

「ゴア隊長。MK型兵器とはなんなのですか?」

 

澪がそう尋ねるとアーヴィンさんが深い溜息と共にMK型兵器の前に立った。

 

「……MK型兵器っちゅうのは、プラズマ技術を応用して特定の波長を照射し……人間の意識・精神を操作しやすい状態に変える装置だ。つまりは……マインドコントロール兵器。洗脳装置ぜよ」

 

「洗脳装置……? そんな物まで積んでいたんですかッ!? 何故そんな非人道的兵器まで搭載していたのですか!」

 

ゼレーニンさんがゴア隊長に詰め寄り、何故洗脳兵器を積んでいたのかとゴア隊長を詰る。

 

「元より搭載されていたのだ。シュバツルバースという未曾有の脅威が潜む場所の調査で心折れた者へのカウンセリングの為の機械と私も聞かされていた。アントリアの調査の後アーヴィンと共に機材の確認をしている際に判明したんだ。これがカウンセリングの機械ではなく、洗脳装置であるとな」

 

見た目は医療用のポッドに似ている。それすらも偽造であり、本部が調査隊のメンバーをどう扱おうとしているのかが嫌でもわかってしまう。

 

「状況によっては私達を機械も同然に扱うつもりだったって事なんでしょうけど……どういう状況を想定していたのかしらね? いろいろと……信用出来ないわね、人間って……」

 

お前がそれを言うか? とゼレーニンさんに言いたくなったが、その言葉をグッと飲み込んだ。

 

「例えこれが悪い物でも、仲間を救う為に使うならそれは良いものですよ。結局道具なんて使う人間次第です」

 

「その通りぜよ。これは確かに悪い道具じゃ。じゃがこれがあれば仲間を助ける事に違いはないんじゃ、要はどうつかうかぜよ」

 

俺とアーヴィンさんの言葉にゼレーニンさんは小さくごめんなさいと呟いた。

 

「私も気が立ってたみたい。アーヴィン、よろしくね」

 

「頼むぞ、アーヴィン。お前だけが今の私達にとっての希望だ」

 

狂者の意志を受け取ったアーヴィンさんは腕捲りをし、医療ポッド型のMK型兵器をばらし、中の配線と基盤を取り出し始める。

 

「基本的な構造はできちょる。すぐに完成させるぜよ。チェン、手伝ってくれぜよ!」

 

「はい! すぐに行きます

 

アーヴィンさんはそう言うとチェンさんと一緒にあっという間に機械を組み上げ始める。作り始めてから30分ほどで銃型の機械が完成した。

 

「……無事に完成ぜよ。扱い方は分かるかの? ガンタイプ、敵に向けてファイアだ。まずは……医療室に運ばれたクルーで試すが良さそうじゃ。上手い事行ってくれれば良いがの……」

 

「大丈夫ですよ、私とアーヴィンさんが作ったんですから。絶対に上手く行きますってッ! 後はよろしくお願いします! ゴア隊長」

 

アーヴィンさんも兵器を転用したので不安が残る様子だったが、チェンさんがそんなアーヴィンさんを励まし、俺達に後を任せると敬礼してくる。

 

「任せてくれ、アーヴィンとチェンの作った物だ。まず間違いはない、行くぞ皆。医療室で待っているクルーを救いに行くぞ!」

 

「「「了解!」」」

 

これでデルファイナス希症を治せる……そう希望を抱いて医療室へ向かった俺達だが……俺達の希望は予想だにしない方法で覆される事になった……。

 

 

 

アーヴィン達資材班が作ってくれたMK型治療器を私やゴア隊長、ウルフやタイラーがそれぞれ装備し、私達は再びデルファイナスの地へ足を踏み入れた。

 

「若様、大丈夫ですか?」

 

「うん、大丈夫。このデモニカを応用したバギーはちゃんと機能してる」

 

だが私達の中にデモニカスーツの理論を応用したバギーと酸素マスクを装備した若様も同行しており、私は思わずどうしてこんな事にと嘆きたくなった。確かにMK型治療器は効果があった、寄生されているクルーから精神態の悪魔を駆除する事が出来たのだが、身体から追い出された悪魔はすぐにクルーの中に戻ってしまい、再び、それもMK型治療器を使う前よりも凶暴化してしまった。それこそ拘束具を引き千切るほどに……

 

「もう1度照射してください! 早く!」

 

若様の言葉にゴア隊長が引き金を引き、悪魔が身体から追い出された瞬間に若様が祝詞を唱え、その祝詞によって寄生していた悪魔は消滅したが、デルファイナス希症を治すのに若様を外に連れ出す必要性が出てしまったのだ。

 

「良し、フォーメーションの確認だ。私とタイラーがフォワード、マイク、スティードマン、ダニエル、ドーソン4名がセンター、澪、ウルフ、ミッキーの3人がバックス。長久君とゼレーニンを囲むようにして移動する。移動速度は遅くなるが長久君を守りながら慎重に移動する。各員単独行動や独断専行は禁止だ。フォーメーションを維持して進むぞ」

 

「「「了解ッ!!」」」

 

総勢9名による布陣で若様を守りながらデルファイナス希症に感染したクルーを救うというとんでもない作戦を実行する事になってしまった。

 

「1番最初のクルーの反応は近いです、ただ悪魔を召喚してる場合もあるので奇襲に警戒してください」

 

ゼレーニンがほかのデモニカスーツの反応を頼りにナビゲートし、私達のデモニカは悪魔への警戒、奇襲予知、悪魔との交渉の成功率を上げるアプリで埋められているのでゼレーニンが頼りになってしまうが、それでもこれが一番生存率、成功率が高いとアーサーが提言したのでそれを信じるしかない。

 

「分かった。行くぞ、皆。上空からの奇襲、影や曲がり角からの奇襲には全員細心の注意を払ってくれ、長久君も私達を信じてくれ、私達は必ず君を守る」

 

「ゴア隊長達を信じているので大丈夫です。行きましょう」

 

こうして私達は若様を連れ、危険なデルファイナスの地の調査をしつつ、悪魔に寄生されているクルーを救い出すという今までのミッションや作戦とは比べ物にならない作戦に挑む事になるのだった……。

 

 

4周目の世界 滅びを求める地球意思 その26へ続く

 

 




長久を連れての希症治療作戦実行です。ゲームだと全体攻撃とかで長久の乗ってるバギーなどが破壊されると即ゲームオーバーの鬼畜モードですね。なおデルファイナスの敵はマハラギで一掃出来るだろ? とかいう話は思ってもいわないでね? それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします。
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