収束×集束×終息する世界   作:混沌の魔法使い

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4周目の世界 滅びを求める地球意思 その39

 

4周目の世界 滅びを求める地球意思 その39

 

ランドルSから凄まじい業火が吐き出されマンドレイクを飲み込み、その直後にデビルCO-OPの不可視の打撃がマンドレイクを滅多打ちにする。

 

【幼児虐待はんたーい!】

 

【老人虐待も反対じゃあッ!!】

 

【マハシバブオン】

 

【マハムドオン】

 

炎のなから飛び出してきたマンドレイクの放った金きり声は装備していたアクセサリーで、マハムドオンは反射的にテトラジャストーンを投げて無効化し、ランドルSのカートリッジを新しい物と交換する。

 

「いつ回復させりゃぁ良いんだ!」

 

「あんまり長期戦になるとこっちが不利なんだけどッ!?」

 

マンドレイクとマンドラゴラを倒す鍵は回復させて相手の回復のサイクルを妨害すること、そしてそのタイミングを図っていたゼレーニンからいつまでもGOサインがでないのでどうすれば良いのかと叫ぶ。

 

「変化を先ずは揃える事よ! ジャックランタンマハラギ!」

 

【任せるホー!】

 

ジャックランタンが掲げたランタンから溢れ出した炎がマンドレイクとマンドラゴラを飲み込み、デビルCO-OPの不可視の打撃がマンドラゴラを打ち据える。

 

「リリ! マンドラゴラを倒して早くッ!」

 

「わ、分かった! カインッ!」

 

「了解ッ!」

 

ランドルSから放たれた猛炎激がマンドラゴラを飲み込み、マンドラゴラが崩れ落ちるがすぐにマンドレイクが姿を見せる。

 

(良く聞いて、デビルCO-OPでの追撃も大事だけど、マンドレイクからマンドラゴラの変化のタイミングを全て揃えないと駄目、つまり敵に均等にダメージを与えるのよ)

 

均等にダメージと言われても俺とリリの持ってるランドルSは掃射と猛炎激が使えるがあくまで攻撃対象は単体だ。ダメージを均等に与えろと言われてもそう簡単には行かない。

 

「結局長期戦か! フェニックス ファイヤブレスッ!」

 

「何とかするから後はゼレーニンに任せるから! ハルパス! ヒートウェイブ!」

 

【クアアアアッ!!】

 

【はぁッ!!】

 

フェニックスの口から吐き出された帯状の炎にマンドレイクが飲み込まれ、そこにハルパスの放った剣戟が叩き込まれる。

 

「右から2番目のマンドレイクのダメージが軽微! そっちを狙って!」

 

【いたいよお】

 

【今治してあげるからね!】

 

マンドレイク同士が回復しあうよりも先に抜き打ちで放った銃弾が味方を癒そうとしていたマンドレイクの頭を撃ちぬいた。

 

【ああ!? だ、大丈夫!?】

 

【だ、大丈夫う……】

 

「ジャックランタン! マハラギ!」

 

【OKホーッ!!】

 

銃弾が直撃し仲間を回復させようとしていたマンドレイクのディアラマがキャンセルされ、ゼレーニンの指示によってジャックランタンがランタンを掲げ、炎の帯がマンドレイク達を飲み込んだ。

 

【あついいいいい!】

 

【いたいいたいッ!!】

 

【あああああッ!】

 

マンドレイクたちの苦悶の声に一瞬躊躇いを覚えるが相手は悪魔だ。その悲痛な叫び声に動じてはならない、今の内にランドルSのカートリッジを再び交換する。

 

「アメノウズメ! メデイアをマンドレイクに!」

 

【分かったけど大丈夫?】

 

【メディア】

 

アメノウズメが怪訝そうな顔をしながらマンドレイクにメディアをかけた。俺達も半信半疑だったが、目の前で起きた現象は俺達の理解を遥かに越えていた。

 

【ああああああッ!】

 

【おのれえ、おのれええええッ!】

 

マンドレイクの可愛らしい姿でも、マンドラゴラの老婆の姿でも無い、マンドレイクとマンドラゴラが混ざり合い、4体いたマンドレイク達は身体が混ざり合い、2体のおぞましい悪魔へと変貌を遂げていた。

 

【バインドクロー】

 

「うおッ!?」

 

「あぶなッ!?」

 

茎が伸び、そこから現れた鋭い鉤爪を咄嗟に回避しながらランドルSを構える。視線と銃口の先の悪魔を睨みつける。

 

「ここからが本番よ、あれを何とかして倒すわよ、2人とも」

 

「簡単に言ってくれるぜ」

 

「本当ね、でもやるしかないのよねッ!!」

 

【【あああああッ!!】】

 

マンドレイクとマンドラゴラが混ざり合い、スライムのような化物になったその悪魔は憎悪を込めた目で俺達を睨んでくる。俺達はそれをにらみ返しながらここからが正念場だとより気合を入れ目の前の悪魔に向かってランドルSの引き金を引いた。

 

 

 

 

 

 

バジリスクという邪龍は数多くの逸話を持つ。古代ギリシャの英雄ペルセウスが討伐したメデューサの首から落ちた血液から生まれたとされ、鶏冠を持った蛇、あるいは龍、硬い鱗を持った鶏とその姿も多く考えられているが蛇の王の異名を持つとおり蛇や龍に似た姿を持つというのが定説とされる。そしてバジリスクが恐ろしいとされるその理由は視線・吐息・牙、その全てに恐ろしい猛毒を持つとされることだ。メデューサの神性を持ち、悪として龍の側面を持つ毒を持つ蛇の王。ウロボロスの力によって完全に成熟しきったバジリスクは一流の悪魔使いですら戦う事を躊躇うほどに恐ろしい悪魔だ。だがそんな悪魔にも弱点は1つだけある。

 

【うおおおおッ!! 忌々しい、忌々しい鳴声だッ!!】

 

【コケコッコーッ!!】

 

雄鶏の鳴声に怒りを露にして暴れまわるバジリスクの音、そしてアーサーと使い魔で指示を出してくる長久の言葉だけを聞いて俺達はバジリスクと戦ってきた。

 

「まだ目を開いたら駄目かい!?」

 

『暴れまわっているので危険です、視線があったらその瞬間に……後ろに向かって全力で走って! ブレスが来ますッ!』

 

長久の言葉に後を向いて走り出すが、当然ながら全員半分パニック状態なので……。

 

「いてえ!?」

 

「あだあッ!?」

 

仲間同士でぶつかったり、壁などにぶつかりあちこちで苦悶の声が上がる。

 

【カアアアアアアッ!】

 

【石化ブレス】

 

暴風が後から襲ってきて僅かに遅れていたウルフマンの背中をブレスが掠めた。

 

「がアッ!?」

 

「大丈夫!? いまディス・ストーンを使うわッ!」

 

ディス・ストーンによって石化が解除されたウルフマンは荒い呼吸を整えながらドーソンに感謝の言葉を告げる。

 

【うおおおおおッ! 何処だ、何処だ! 忌々しい鶏がッ!!】

 

バジリスクの怒号と破壊音が響く、大分距離があるから出来る事ならば目を開きたいがバジリスクが暴れているこのフロアは全て鏡張りだ。どこからバジリスクと視線が合うか分からないので固く目を閉じたまま床へ座り込む。

 

「バジリスクは見えないか!?」

 

「まだ大丈夫だ。急げマイクッ!」

 

「分かってる!」

 

全員のデモニカに分割して運んでいた対戦車ライフルを急いで組み上げ、ライフルと共に床に寝転がる。

 

【私の指示に従ってください】

 

「分かってる! こっちは目を閉じてるんだ! 頼むぜアーサーッ!」

 

【2時の方角へ銃口を向けてください、そのまま銃身を11時の方角……カウントスタート3……2……1……0!】

 

【グ、グギャアアアアア!?】

 

0のタイミングで引き金を引き轟音と共に銃弾が発射され、バジリスクの悲鳴が部屋中に木霊した。

 

『右目が潰れました! 左目は僕がッ!』

 

風切音が聞こえ、それから少し遅れてバジリスクの悲鳴が周囲に木霊する。

 

【両目が潰れました。ですがバジリスクの生命力は以前健在! ここからが正念場です!】

 

『頑張ってください、皆ッ!』

 

両目を潰された事でやっとバジリスクの姿を確認する事が出来たが、目を潰された事で暴れまわるバジリスクはその巨体もあって非常に脅威だ。

 

「ラクカジャとスクカジャを限界まで掛けて突っ込むぞ!」

 

「「「おうッ!!」」」

 

防御力と機動力を上げ、自分達で使役できるゴア隊長達の仲魔より1段も2段も劣る悪魔達と共に俺達はバジリスクを討伐する為に眼を潰されているバジリスクへと突貫するのだった。

 

 

 

鉄の様なゴムを叩いた弾力に体勢を崩され、熊の腕の左フックを腹に叩き込まれ俺の身体は宙を舞った。

 

「げぼっ!」

 

【ヒメネス! ヒメネス! レスキューッ!!】

 

血反吐を吐いている俺にバガブーが駆け寄って来て宝玉を胸に押し当てる。そこから溢れたMAGの光が俺を包み込み、少しの硬直の後俺は立ち上がった。

 

「サンキューバガブーッ!」

 

【ブウ!】

 

ガッツポーズを取るバガブーの脇を駆け抜け、インデイアンズ・キメラと鍔迫り合いをしているマッキーの脇から刀を全力で突き出した。

 

【ギィイイイヤアアアア!!】

 

「はっはあッ! 悪魔と言えど目玉は効くだろッ! タイラー手伝ってくれッ!!」

 

「おうッ!!」

 

俺とタイラーの全力で倶利伽羅の剣を梃子の要領で動かすとぐぽっという形容しがたい音と共にインデイアンズ・キメラの左の眼球が頭部から抉り出された。

 

【ウガアアアアアッ! 己、己人間共オオオオッ!!】

 

激昂したインデイアンズ・キメラの鳥の頭が鎌首を擡げたのを見た瞬間、俺達は武器を盾にするように身構えた。

 

【マハラギオン】

 

広域に広がる炎が俺達を飲み込んだ。その熱と痛みに歯を食いしばって耐えているとじゃあくフロストが割り込んでマハラギオンを防いだ。

 

「合わせろ! じゃあくフロスト!」

 

【OKだホーッ!!】

 

タイラーがインデイアンズ・キメラに向かって銃を構え、発射された銃弾に向かってじゃあくフロストがアギダインを放ち弾を加速させる。

 

【ギャンッ!!?】

 

【ぐうううッ!?】

 

呻き声と共に鳥の頭が吹き飛び、蛙の頭がまた正面に出てくる。

 

【これ以上は好きにさせんぞ!】

 

【マハブフダイン】【準・氷結貫通】

 

放たれた吹雪がじゃあくフロストを貫通して俺達に襲いかかる。

 

【クアアアア!】

 

【ヒメネス、ヒメネス大丈夫!?】

 

フェニックスのファイヤブレス、バガブーの怨念の業火がマハブフダインを相殺してくれたおかげでマハブフダインに晒された時間は短かったが、それでも全身が強張っている。

 

「くそ、きちいな」

 

「対応装備じゃないからな、長久が言ってただろ? 身体を鍛えて物理で殴れる俺達じゃないと無理だって」

 

「はっ、確かにな! スティードマンくらいじゃないと耐えれんなッ!」

 

攻撃方法が多彩なインデイアンズ・キメラに防具で耐性を付けることは出来ない、如何せん万能の防具はないのだ。火炎に強くなれば氷結が、氷結に強くなれば火炎に弱くなる。だからこそ俺達の防具は作るのに苦労したが速度を上げるジェットベストにしている。

 

【オイラ達がいるホー?】

 

【クァアア!】

 

【バガブ、ヒメネス守るッ!」

 

「は、頼りにしてるぜ、バガブー。なんせお相手も本気を出して来たぜ」

 

インデイアンズ・キメラは今までは攻撃の為に1つの首とその首に対応した身体に変化していたが、今は違う。

 

【【【殺してやる、殺してやるぞ。我が母の為にお前達を殺してやる!】】】

 

複数の首を持ち上げ、全身を変化させるインデイアンズ・キメラは合成獣の名に相応しい異形の姿をしていた。

 

「タフな相手だ」

 

「はっ! ウロボロス相手の良い練習台だ。気合を入れていこうぜ」

 

「ああ、ここで苦戦していたらウロボロスを相手に戦えるわけが無いからな」

 

ウロボロスよりも弱いであろうインデイアンズ・キメラに苦戦していては話にならない、これくらいを楽に退ける必要がある。

 

【抜かしたな、人間如きがッ!】

 

「掛かって来いよ蛙女ッ! あの世に叩き込んでやるぜッ!」

 

「ヒメネスに負けてられないな、行くぞ、タイラー」

 

「おうッ!」

 

悪魔が恐ろしい相手ということは分かっている。だがそれに恐れすぎてはならないのだ、勇気と知恵を持って立ち向かう、子供の戯言と思ったが……ああ。確かに、仲間と共に勇気と知恵を駆使して強大な敵に立ち向かうのは悪くない、俺は二心なく、心からそう思うのだった。

 

 

 

【デスバウンド】

 

上空から降り注いでくる広範囲に広がるMAGを伴った衝撃破を歯を食いしばって耐え、妖刀ニヒルにミトラスから譲り受けたフォルマで作り出した陸奥守吉行を英霊に向かって振るう。

 

【……】

 

何の反応も見せず受け止め、西洋剣での反撃が来るのを澪が放った銃弾が防いだ。

 

「助かった」

 

「ゴア隊長無理をせずに、自我は封じられていますが……相手は本物の英霊です」

 

本物の英霊……澪の仲魔である義経も英霊であり、他の悪魔よりも群を抜いて強いのは私も良く知っている。

 

「そうだな。早めに終わらせてやりたかったんだがな」

 

私達に情報を教えたのがウロボロスに伝わったのか、英霊の身体には悪魔が寄生していて、映像で見た高潔さも力強さも感じられない姿に早く倒してやろうと思ったのが間違いだった、

 

「余計な気遣いだと言うだろうよゴア。相手は私達より格上だ。余計な気遣いは捨てろ」

 

アレックスの忠告に私はその通りだなと返事を返し、陸奥守吉行をしっかりと構えなおした。

 

【……】

 

だらりと下げられた右手に握られた西洋剣、全身を覆う白銀の甲冑と紺色のマントと物語や映画に出てくる騎士にしか見えない英霊の動きをジッと観察していると一瞬で白銀が目の前にあった。

 

「ッ!?」

 

何の気配も無く一瞬で間合いを詰められたことに驚愕しながら後ろに飛んで振り下ろされた西洋剣の一撃を辛うじて交わす。

 

「今のは……純粋な体術かッ!」

 

「操られていても鍛えた技は健在か……厄介な事だ。我々は悪魔を召喚出来ないというのに」

 

アレックスのいう通りだ。我々の悪魔召喚プログラムはこの部屋に入った瞬間に停止し、長久君の使い魔も紙へ戻り地面へ落ちている。

 

「純粋な力勝負というわけだ。なら全力を尽くすまで」

 

「若様に心配をさせるわけには行きませんしね」

 

確かに英霊は強い、身体能力においては我々を完全に上回り、そして技術も健在だ。だがあの英霊と我々には決定的に違うものがある。

 

「澪、アレックス。互いに思う事はあると思うが今はそれは水に流せ、協力し合って打倒するぞ」

 

「……了解」

 

「使えるものは何でも使う、お前も好きに使えば良い」

 

……和を保つ気はゼロか……だが実力があるのは互いが認めている。後は何か切っ掛けさえあれば大丈夫だろう。

 

「……2戦目も覚悟して欲しい、状況が分からないからな」

 

私の言葉に2人は思い口調で了解と返事を返した。得意な能力を持つ特異な悪魔達、倒す順番も関係しているであろう。

 

「協力なくては地に伏せるのは我々だ。それを良く理解してくれ」

 

倒したとしてもマンドレイクのように復活するかもしれない、インデイアンズ・キメラのように自己強化と自己再生を行なうかもしれない、確かに我々は調査隊の中でも強いと言う自負はある。だが悪魔はそれを遥かに越えていて、そして英霊も同じだ。私にいわれるまでも無く、それを知っている2人は頷きはしたものの、澪とアレックスの間の溝は大きなままだった。

 

【ヒートウェイブ】【物理ブースタ】【武道の心得】

 

それをなんとかしようにも英霊は、いや英霊を操っている悪魔はそれを許さない。

 

「散れッ!」

 

2人の間を取り持とうにも英霊の攻撃は激しく、我々は分断され、3対1となるはずが連携も協力し合う事も出来ず1対3人という状態へ変わっている事に舌打しつつ、なんとか2人を協力させなくてはと考えながら剣先から放たれるMAGの刃を横っ飛びで回避するのだった……。

 

 

 

4周目の世界 滅びを求める地球意思 その40へ続く

 

 




子供戦はその2へ続けたいと思います。ゴア隊長が圧倒的に不憫枠ですがゴア隊長にはアレックスと澪の間を上手く取り持ってもらおうと思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします。
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