何のとりえも無い少女が異世界で生き抜くお話(チート能力は無い模様) 作:カルデアの廃課金マスター
言月峰日
剣は売れない。
財産も持っていない。
となれば、砂漠で狩った魔物の素材や肉を売ろうと決めた。
多少はお金になるだろう。
物々交換で現物と交換でもいいや。
神月父日
とりあえずは上手く行った。
肉を料理してる人の所へ持って行って調理した物をもらう。
食料→料理だから種類は変わっていないけど、久しぶりのまともなご飯は美味しかった。
食事は大事だと気づけた。
明日は衣服と交換出来る人を見つけなきゃ…………。
飛ばされた時に来ていた服は成長期だからか服はぎちぎちでボロボロ。
大きな服を布で縛って誤魔化すのもいい加減きつくなってきた。
は月1日
服の交換は大変だったけどなんとかなった。
戦利品は大き目の服を一式。
貯めていた素材全部と魔法で水を限界まで出して交換だ。
魔法が使えて助かった…………。
交換を持ちかけた人全員が剣を凝視するんだもん。
いくら積まれようとこの剣はあげないよっ!
連月目日
服を調達した事で大胆に行動できる。
今まではボロボロの半壊した服だったからね。
十数歳の少女となれば肉体的にも大きく成長している時期だ。
ゼニスママの血なのか、既に胸が膨らんできてたからこれ以上は危かった………。
女の子は欲情の視線に敏感なのです。
元来ていた服は取って置いた。
何かに使えるかもしれないし、思い出に……って感じもある。
折れた剣の鞘に縛り付けておく。
で月召日
服を新調して数日。
何とか生きていられる。
言葉が通じる人は見つからない。
既にこの町から出ていったのだろうか?
喚月し日
どうしようか悩む。
このままだといたずらに時間が過ぎるだけ。
この町に留まっても安全に生活は出来るかもしれない。
そうやって言葉の通じる人が現れるのを待つのもいいかもしれない。
でも、次に現れるのが何時になるか分からない。
数日後かもしれないし、数か月後かもしれない。
もしかしたら何年も現れない可能性だってある。
このまま立ち止まって奇跡を待つか、自ら動いて奇跡を探しに行くのか。
私は後者を選ぶ。立ち止まってなんていられない。
私が望む未来は自分の足で動いて掴み取るのだ。
ま月し日
と言う事でそろそろこの町を出発しようと思う。
その為には準備が必要だ。
保存食を買い込んだり、荷物を持ち運べる様にバッグを買ったり、水を貯めておく水筒、お肉を焼く時に便利な鉄製の串、魔物を狩れなかった時に食べる用の保存食。
全て物々交換だ。食料は大事なのか、魔物のお肉や素材は交換を申し込みやすい。
泣く泣く諦めた物ものある。
食器とか調味料とか。
何時荷物を捨てなきゃいけなくなるんだから、本当に最小限の荷物だけにする為だ。
ただの剣士じゃなくて魔法も使える剣士だから、水とか着火に必要な物は必要ない。
本当なら魔力不足に備えて用意するべきなんだろうけど、今の私にはそんな余裕がないからしょうがない。
つくづく魔法を覚えてて良かったと思う。
ルーデウスと幼女先生様様だ。
無事に帰れたら、ルーデウスみたいに幼女先生を崇め奉ろう。
た月。日
いよいよ町を出発した。
大丈夫。絶対に帰れる。
ひとまずは町を見つけよう。
同じように旅人でもオッケーだ。
一人よりも複数人の方が出来る事が段違い。
言葉が通じればもっと良いけど、最悪身振り手振りで何とかなるだろう。
ニ月ト日
危なかった。
町で過ごしてる間に勘が鈍ったのか、ミミズに食べられそうになった。
少し掠ったけど初級の治癒魔法で治るレベル。
町で過ごした数週間は私の勘と技量、集中力や精神を元の子供に戻すのに十分な時間だったらしい。
これはダメだと私は気合いを入れ直す。
明日から…………いや、今から集中して気配を常に探っていよう。
…………このお肉を食べてからでもいいよね?
ク月リ日
町を見つけた事で楽観視になり過ぎていたらしい。
あれから数日か数十日経ったはず。
何もない。
人と出会うこともなく、日夜魔物に襲われつつ砂漠を歩く日々。
でも、着実に家に向かって進んでいるはずだ。
ス月オ日
キッツいなぁ…………。
ル月タ日
昨日は精神的に落ち込んでいた。
昨日の夕方前、魔物が数体集まっている場所を発見した。
魔物が集まっているのは獲物…つまり人間が襲われている可能性が非常に高かった。
私の身の安全を最優先するなら、避けて通るのが一番利口なやり方だと振り返っている現在は分かっているけど、当時の私は久しぶりの人に出会えるかもしれないっ!と喜んで駆け寄ったのだ。
結果はこうして落ち込んでいる通り。
魔物が私に気付くまで近寄った時には既に崩壊していた。
生きていたのは満身創痍の女の子は一人。
目にしたのもほんの少しだけだったから間違っているかもしれないけど、15歳~20歳くらいの人。
年下の私が言うのもなんだけど、危険な砂漠で冒険者をするにはかなり若い人だった。
その人は泣きじゃくり私に助けを求めてた……んだと思う。
まだ遠くて正確には分からない。
今では確認のしようもない。
だって、その後その人はサソリに串刺しにされて死んでしまったから。
それを目にした瞬間、私は回れ右してその場を逃走した。
何体か私を追って来て、少し怪我を負ったが撃退出来た。
久しぶりの死。
明日には我が身かもしれない世界。
早く安全な家族の元に帰りたい。
そう思いが強くなった。
ちなみに、久しぶりの人が目の前で殺されて気持ち悪い。
魔物を倒せなかったから新鮮なお肉は無いし、そもそも食べ物を口に入れたら吐きそうだから止めておく。
水分補給だけをして早めに床に就く。
近くは一人でもいいかな……。
は月4日
砂漠には魔物以外にも敵が居るらしいかった。
これまで平和な町、砂漠では魔物だけが私を襲って来たけど、当然のように盗賊が現れた。
水神流でカウンターを決めて離脱したのが幸いか、軽い傷だけで逃げ切れた。
明日は少し長めに休憩を取ってから出発しよう。
4月連日
ふざけるな!
いや、私の考えが甘かったんだ。
朝起きたら昨日の盗賊に包囲されていた。
跳ね起きて抵抗したけど、十数人の人数不利に加えて北神流の上級剣士まで加わっていた。
パパウロよりはやはり弱いはずだけど、他の人の攻撃にもしなきゃならないから勝てない。
結果負けた。
数名は倒せたけど大人数相手には無理だよ。
ルーデウスなら上級魔法ぶち込んで範囲魔法で全滅出来たのかな?
ともかく敗者の末路はどれも同じで今は捕まっている。
懐かしき牢屋………なんて物が砂漠のど真ん中にある訳がない。
手足をロープで結ばれて口は布を押し込められた。
剣や他の持ち物を全部取り上げられている。
これからどうなるのだろうか?
とりあえず、即座に殺される心配は無さそう。
で月召日
一先ず、飢え死には無さそう。
残飯に近いものだが、食べさせてもらえる。
やり方が、口に入れてた布を取り出して自由にした後無理やり突っ込む。
私の気持ちを全く理解してない無理やりな横暴だった。
布が取れた事で大きく息を吸い込んでいるとこだったから物凄く咽た。
咽た事で口に入っていた物を少し吐き出してしまい、食べさせてくれた人にかかると彼は私を殴った。
言語が通じ無くても怒っているのは分かる。
理不尽すぎやしないか?
喚月。日
今日は一日中移動していた。
現在地と目的地が分かっているのか、その足取りに迷いはない。
現地民は強いって事が分かった。
飢え死にさせるつもりはないらしく、1回だけど食事も貰えた。
水も数時間に1回、コップ一杯程度だけど飲ませてくれる。
今のところ、私自身に何かしてくる様子もない。
目線は物凄くいやらしい目をしているけど、決して触って来ない。
……自由がないのを除けばかなり良い待遇かもしれない。
黙って着いて行けば町に着くかもしれない。
と言う打算もある。
一人で砂漠を彷徨うよりも、道を知ってそう人に付いて行くのふが一番だ。
もっとも、相手が盗賊と言う悪人で、町に着いてからどうやって逃げるか?と言う問題が付きまとうけど、それはその時になって考えたらいいのだ。
先ずは砂漠を超える。これ大事。
後月編日
ここ数日間ずっと歩いている。
早く、早く町に付かないか…………。
歩きながら考えているのでどうやって剣を取り戻すか。
私の剣はリーダーっぽい人が持っている。
中級の実力は持っているっぽいけど、剣に遊ばれている感を覚える。
やはりあの剣は私じゃなきゃ扱えない、のだと改めて思う。
は月2日
ようやくたどり着いたと思ったら、町じゃなくて盗賊さん達のアジトだった件。
…………そりゃあそうだよね。
勝手に町に行くと思ってた私が悪い。
どうにかして逃げなければ…………。
日月に日
盗賊のアジトに連れて来られて数日経った。
扱いは酷くはない……と思う。
想像していた様に、毎日暴力や性的な暴行を受けたりは無い。
商品としての価値を下げたくないのか、それとも私が考え付かない意味があるのか。
そんなことどうだって良い。
大事なのは『捕まって自由に出来ない事』以外何も無い事だ。
盗賊だけど意外と紳士的な人達なのかもしれない。
ク月リ日
前言撤回。
普通に異世界の盗賊してました。
盗賊のアジトに連れて来られて数日。
牢屋とも呼べない簡素な部屋に同居人が出来ました。
うん、私みたいに砂漠で遭難しちゃった人、単純に人数が少なくてカモにされてしまった人達。
ぶっちゃけると、盗賊さんの毒牙にかかってしまった哀れな人達だ。
全員で2名。
男は居ない。
全員女性だ。
女の子2人旅だったのか、それとも男性はコロコロされてしまったのか…………。
想像はしたくない。
牢屋とも呼べるような呼べない様な部屋に叩き込まれた女性二人は見るからに傷心しきっていた。
服を布切れと言ってもいいレベルに破けてるし、局部は赤く腫れていた。
前世で十数年から数十年とこの世界で十一年程。
それだけ生きていれば性的な知識だってある。
これはあれだ、ここに来る途中に使われてしまったのだろう。
それも結構乱暴に。
気分が悪くなり、今日のご飯は吐き出してしまった。
幸運だったのが、食べさせてくる盗賊さんが部屋を出てから吐いてしまったくらいだろう。
後になって勿体無かったなぁと後悔している。
貴重な一日一度の栄養だったのに……。
ア月。日
質問:目の前ではないにしろ、日々日々性的暴力を受けている同居人がいる生活をしている人の気持ちを答えよ。
答え:精神が可笑しくなりそう。
はい、同居人が増えて早数日。
多分1週間は過ぎたかもしれない。
私の扱いは分からないし、同居人の扱いも変わらない。
性処理が必要なのも分からなくもないけど、もう少し丁重に扱ってはどうだろうか?
見ているこっちが辛い。
テ月ス日
数週間が経った、と思う。
正確な時間なんてもう分からない。
同居人は減ったり増えたりしていた。
理由は想像つく。
使えなくなったモノは居ても仕方ないからだろう。
日に日に弱って行くのが分かる。
毎日雑だが食事はもらえている。
同居人を無視すれば睡眠も取れる。
しかし、筋力は落ちていく一方だ。
どうにかしてここを早めに抜け出さないと…………。
カ月ト日
遂に盗賊のアジトを出る事が出来た。
どうやったか?
盗賊さんに引っ張られてだ。
つまり、盗賊さんが私を何処かへ移動させようとしてくれたから出る事が出来たのだ。
……何も変わっていないよね。
リ月ポ日
今度の移動は楽だった。
トカゲみたいな生物に轢かれている乗り物に乗ったから。
分かりやすく説明すると、馬車で馬の部分がトカゲみたいな生物な違い。
うん、物凄く楽だ。
初めからこれで移動させて欲しかったけど、こんな砂漠でこんな重要そうなものをホイホイと使えないものかもしれない。
盗賊だしね。
移動は楽だけど、扱いは何も変わらなかった。
手足は頑丈な鎖で縛れてて、口には猿ぐつわ代わりの布を丸めてポイ。
お陰で同居人と意思疎通が全く出来なかった。
そんな同居人達も入れ替わりながら残った人が一緒にドナドナされている。
死んだような眼をしているので、この先の未来は真っ暗なのだろう。
あれ?
私も同じじゃない?
カ月は日
売られる……。
実感が湧かない。いや、湧く方が可笑しいんだよねー。
今日は一日中ボーっと外の風景を見ていた。
新幹線やバス、ましてや自転車にも劣る速度で流れていく景色。
楽しくないけど、景色を眺めるしかやる事が無い。
ボーっとしながらどうやって逃げようか?と考えていたのもある。
せめて口が自由だったらやりようがあったかもしれない。
ほら、近づいて来た盗賊さんに噛みついたり、言葉で説得したり、某三刀流剣士の様に口で剣を使ってみるとか……。
もっと斬新なアイデアを発想して実現に向けて努力してたら良かったと後悔。
3月0日
後悔気味に落ち込んだ翌日。
後悔する必要が無い事に気づいた。
何故なら努力は続けていた。
剣術は当然、魔法だって私自身で出来る範囲で色々やって来たのだ。
特に治癒魔法は幼女先生だけでなく、ゼニスママにも中級を習っていなかったらこのベガ何とか大陸に飛ばされて直ぐ死んでた。
だから、頑張って努力していた。
足りなかったって事もないはず。
ただ。そう。ただただ運が無かった。
一人じゃなかったら?言葉が通じる真ん中の大陸だったら?
今こうやって生きていられるのも奇跡で感謝しているが、運が良ければもっとマシな状況下にいたはず。
運が無かったのはどうしょうもない。
なので、この話はお終い。
出来ないことはできなく、過去を悔やんでも仕方がない。
切り替えが大事だ。
今を正しく認識して出来ることを積み重ねて行けば、必ず家族の元へ帰れるはずだ。
連月で日
ベガ何とか大陸に飛ばされて森を彷徨って数日。
戦争してるらしき人達に捕まって数週間から数か月。
砂漠を彷徨って数週間から数か月。
町?オアシス?で1週間程度。
再び砂漠を彷徨って数日。
盗賊さんに捕まってアジトまで1週間程度だったはず。
盗賊さんのアジトで数週間。
盗賊のアジトを出発して乗り物に揺られる事2.3週間
合計してベガ何とか大陸に飛ばされて多分1年以上。
2年や3年も経っているかもしれない。
剣術の才能がそれなりにあったからこれまで頑張ってきたけど、それだけじゃ生きてい行けない世界だと思い知らされた。
異世界ファンタジーの闇の部分も見てきた。
アニメの様に都合の良い様にイベントが舞い降りて、サクサクと家族の元へと進む事もない。
一歩間違えたら死ぬような世界、言葉も通じず一人きりで見知らぬ土地を彷徨った。
へまをして何度も捕まった。
死に掛けて見知らぬ人に助けて貰い、剣術の頂点と思わしき戦いを目に焼き付けた。
エピソード記憶っていうのが皆無だけど、前世の知識を持った異世界転生はアニメや小説みたいに甘くない事を知った。
全力で何かに取り組んでも解決しない理不尽な事があると知った。
それでも、諦めずに進み続けたら前進すると思っている。
うん、きっと帰れる。
このベガ何とか大陸に飛ばされて1年以上、もしかしたら2.3年かかってようやく。
ようやく大きな街が見えてきた。
街に着いたら盗賊さんから逃げることを頑張ろう。
パパウロから貰った剣を折れている事で扱いが雑なのか、隙を見つけたら私でも取れる場所にある。
逆に言えば、謎の女性から渡された(手渡しじゃないけど、実質そうだと思う)剣はかなり厳重に見張られている。
うん。わかる。
あの剣はスマートで強そうな見た目をしているもんね。
試し斬りをしたのなら更に驚くはず。
剣の腕が殆ど無い人でも石くらいならスパスパ切れる業物だ。
ホント、何でこんな業物を私にくれたのだろうか?
と言う訳でそろそろ寝よう。
寝ても起きても移動は勝手に行われるとは言えど、やっぱり夜寝て朝は起きて規則正しい生活は送っておくべきだ。
明日には街に入る。
油断を見つけて逃げ出すんだ。
きっと出来る。
必ず帰れる。
私は有名な冒険者であるパパウロとゼニスママの子供で、天才魔術師ルーデウスの妹だ。
この程度の苦難、乗り越えなきゃ家族に誇れない。
妹達に『おねーちゃんカッコイイ!!』って褒められない。
だから頑張ろう。
諦めないぞ。
数日後、更なる絶望が私を襲う。
とりあえず一区切り。次回から別視点を数話挟むつもりです。