何のとりえも無い少女が異世界で生き抜くお話(チート能力は無い模様) 作:カルデアの廃課金マスター
水着エレちゃん、シエル、BBドバイ。凄い凄かったです。
E月R日
ゼニスママに頬を叩かれて目覚めた。
そうだ、いつまでもグズグズと下を向いていちゃダメだ。
前を向いて歩き始めなきゃ……。
でも、今更と思っていた所にゼニスママの活。
感情が爆発しちゃってゼニスママの胸でぐちゃぐちゃ泣いちゃったけど、胸のつかえが外れた気分だ。
そうして私は、ゼニスママとリーリャに手を引かれて何週間ぶりかに部屋を出た。
部屋を出た後は公開処刑のような気持ちだった。
良い齢してママの胸の中で泣きじゃくるなんて……。
あの言葉を少なくとも、ルーデウスとアイシャに聞かれたなんて。
一階のリビングに集まると、私はぽつぽつとベガリット大陸に転移してからの事を話した。
おぼろげだけど出来るだけ時系列に、詳細が伝わるように。
空中に転移して、幼女先生が教えてくれた魔術のおかげで助かった事。
兵士らし人達に追われて逃げて、殺して、捕まった事。
悪環境の中に閉じ込められて、時には拷問まがいの罰も受け、まだ現実が正しく認識出来ていなかった私にはとてもじゃないけど耐えられる訳がなく精進を病んで行った事。
そこで仲良くなった人に性的に襲われて、男性器を噛みちぎって撃退した事。
移動中に大きな魔物に襲われて、私を捕えていた人たちは他の捕虜も含めて私以外全滅した事。
私もその魔物に殺されそうになったけど、見知らぬ剣士に助けられて危機を抜け出せた事。
魔物を食べて生き長らえて、砂漠を彷徨い、時折現れる兵士を殺して、運良く良い人たちに出会ったと思ってたらあっけなく魔物に食われて私だけまた生き長らえた事。
オアシスまでたどり着いて、手振りで必要な物を物々交換で手に入れて、また砂漠を横断してまた盗賊に捕まった事。
また性的に襲われて、最後だけ守り通して相手を殺して逃げた事。
話が通じても裏切られるだけなので町での生活を諦めて森へ拠点と移して、町に行くのは自力ではどうしょうもない物を物々交換する時だけ決めて、それからずーっと独りで生きてきた事。
まぁ、5年以上にも及ぶ私の転移先でも生活をこんな感じで話した。
いつの間にかノルンも同席していたけど、羞恥心なんてゼニスママの胸で大泣きした時に無くなったからどうでもいい。
……やっぱり嘘。可愛い妹の前くらいカッコつけていたかった。
あ、そう言えば、まだ一つどうやって町で絡まれるのを回避したのか、説明をしていなかった。
見て分かる通り、まずパッと見て女性だと分かる髪の毛をバラバラに斬り落としている。
首辺りまでのショートカットだけど、自分で剣を使って切ったお陰で毛先はバラバラで不格好。
整えていないだけで最低限の権勢にはなるはずだけど、やっぱり性欲にまみれた奴等は止まらない。
女性の象徴と言えばどこだろう?
長い髪は男性でも伸ばしている人は伸ばしている。
記憶にあるパパウロや久しぶりに見たルーデウスも後ろ髪を少し伸ばして括っている。
となれば、男性には絶対に無いもの。
胸だろうと私は考えた。
男性ではどう足掻いたって無い物で、一発で女性と判別出来る脂肪の塊だ。
当時の私は成長期で、遺伝子が働いたのかゼニスママに似て巨乳に育っていた。
これがまた厄介な存在で、動くと痛いし重いしで死に直結する戦闘に影響を与えていた。
平和なブエナ村でパパウロの指導の下で成長していたのなら、折り合いも付いていただろうに。
急激に成長した胸、成長しなければ死ぬ戦闘の数々、不安定な体調、身体目的に寄って来るケダモノ共。
逃げなきゃ行けなくて帰りたくて眠たくてお腹空いて、あの頃は一番テンションが可笑しかった。
だから、そんな無駄なモノ切り落とした。
謎なハイテンションでも怖くて鈍ってスパッと綺麗に落ちなくて、治癒魔法で治したら元に戻って、何度も何度も胸を斬り落として。
傷は残ったけど、一先ず巨乳からギリギリ貧乳までは小さく出来たんだよ?
と、一番苦労した点を力説しながら上の服を脱いで傷痕を見せたら、何とも言えない空気になった。
私としては過去の苦労を笑い話として語ってみたのに、全く笑えない話になるとは思えなかったんだけど……。
ん?裸を見せるのに羞恥心は無いのかって?
此処には9割方女性しかいないし、唯一の男性であるルーデウスなんか双子の兄で男性としてカウントしていないよ。
流石に生傷を妹達に見せるのはどうかと思ったけど、やっぱり私がベガリット大陸で何を見て何を思ったのかを知ってもらうためにはこれが一番手っ取り早い方法だったから仕方ないね。
今日はこのくらい。
辛かった過去を話したせいか、また一段とみんなが優しくなった。
私が引きこもりから脱却した記念か知らないけど夕食は豪華に見えた。
引きこもってばかりだったから、この家の普通がどのくらいか分からないけど。
夕食の後はノルンとアイシャを構い倒して、一緒のお風呂に入って寝た。
うん、もう何年か昔の事だし、表面上はかなり回復してて何ならまた膨らんできているから、そこまで大層な傷じゃないんだよ?
E月T日
次の日、朝起きてまた部屋から出るのが怖かった。
でも、アイシャが部屋に来てくれたお陰で一歩を踏み出せた。
朝ご飯を食べて向かったのは墓地。
ルーデウスと幼女先生に連れられて来てから次の日に連れてこられた時は、突然の話に何も出来ずにボーっとするだけだったから、キチンと只今とごめんなさいを言う為だ。
ルーデウスとは違ってお酒は飲まないから、パパウロだけお酒をお供えして私は果実水を飲んだ。
不思議と涙はもう出なかった。
リーリャの話では、ゼニスママを助けると同じくらい私を探していたらしい。
結果として私を見つけてくれたのはパパウロの冒険者仲間だった猿顔だったけど、パパウロは決して私を諦めてた訳じゃないのは分かっている。
パパウロも必死に頑張って、先にゼニスママの居場所を見つけたから迷宮攻略に必死になって、最後にルーデウスを庇って死んだのだろう。
昼ご飯も持って行ったから、日が落ちるまで墓地に居た。
と言っても、ずーっと墓の前に座っていた訳じゃない。
折れてしまった剣を墓の横に指して一緒に供養して、新しい剣を見せてあげた。
この剣が無ければ死んでいたから、恩人の宝物である。
じーっとしてるのも私も、パパウロもつまらないはずなので、体力の続くまで剣を振り続けた。
ブエナ村で毎朝行っていた事の焼き回し。
場所と、隣にパパウロが居ないのと、私の身長が伸びた事だけが違う時間。
今日はそれだけ。
後は帰ってご飯食べてお風呂に入って寝るだけ。
あぁ、当たり前の日をようやく取り戻せた。
y月A日
あれからお墓に行って剣を振る毎日。
無理のない範囲でしている鍛錬だけれど、やっぱり質の悪いご飯、熟睡出来ない日々で身体が最低限しか成長出来ていないのは剣士として最悪だった。
剣士はまず何よりも剣の腕よりもそれを支える身体が大事だとパパウロから教えられていた。
その為にはしっかり食べて寝る、これが大事だったんだけど転移事件中まで全く意識出来ていなかった。
意識すら出来ない状態だったが正解かな?
だからまず、身体の成長と共に得て行くはずだった筋力をつける。
街中、は怖いから家の近くと墓地までの距離をランニングして、墓の空いてる場所で筋トレと素振り、からの型の稽古。
どこまで行けるか分からないけど、せめてパパウロくらい超えて見せたい所だね。
B月B日
毎日お墓で鍛錬している私を心配してか、今日は言われるがままに家で過ごした。
色々やって欲しい事、欲しい物を聞かれたけど、今の生活は極上に満足している。
ベガリット大陸に比べれば天国と地獄だよ。
C月C日
体の調子も殆ど戻ったと思う。
すると、ある事が頭を過ってずーっと同じ事を考えていた。
今私って、ただのニートでは?と言う現実。
実家はなくなっちゃったからグレイラット家の本邸はここになる。
家督と言う大層な物じゃいと思ってるけど、家長は長男なルーデウスに引き継がれたとみていいはず。
その家に寄生して、収入も得ずにのうのうと剣を振るっているだけの毎日。
どう考えたってニートだ。
起きている間の大半をパパウロのお墓近くで鍛錬に費やしているのだから、自宅警備員すら名乗れない自己中っぷり。
これは不味い。
今まではまともな生活を送れて居なかった後遺症だとも言えたけど、元気になった今はそれすら許されないはず。
何か私にでも出来る仕事を見つけなければ……。
月月珊日
足りない頭を捻って考えてみた結果、冒険者と言う道を見つけた。
あれなら誰だって登録は出来るだろうし、ベガリット大陸と違って文字も言葉も分かるから詐欺にあう事もないだろう。
後は実力が通じるかだけど……。
ダメだったらまた別の道を探せばいいと思う。
最近剣を持ったお子様じゃないんだから、余程強い魔物じゃなければまずまけず、ベガリット大陸の経験から囲まれても生き残る自信もある。
パパウロ曰く、三大流派の中級者ともなれば冒険者でも中堅位の実力があると言っていた記憶があるから、自己満足していない今の実力でもそれなりに通用するはずだよね。
と言う事で、明日ルーデウスか誰かに言づけてから冒険者ギルドに行ってみよう。
未だに家族以外と対面するのは怖いけど、冒険者ギルドに行って受付と話すくらいならこなして見せる。
それも困難だったら誰かに付いて来てもらえば良いだけの話だし……。
神月5日
冒険者の話、家にお金を入れる話をルーデウスに持って行ったところ『家にお金を入れる心配は無いし、何なら何時まででも居ても良いぞ』と言われた。
そっか、なら私はこのまま剣の腕を磨いて……とはならない。
私だけ何もしないで家でダラダラとしているのが堪らなく嫌なのだ。
それなら家にお金を入れるなんて理由とは別で、冒険者となって働いていた方がマシだと言ったら、ラノア魔法大学で色んな事を学んで見たらどうだ?と返された。
私なんかが受かるはずがないと零せば、ノルンだって問題なく受かっているし一部の中級魔術が扱えるなら受からないはずがないと再び論破。
ぐぬぬぬ…ルーデウスはどうしても私に冒険者をさせてくれないらしい。
地月天日
ラノア魔法大学に入学する事になった。
パパウロが、ノルンとアイシャが通っているならオシィにも通わせてあげたいと、死ぬ前にリーリャと交えて団欒している時に言っていたそうだった。
それを聞いたら折れるしかない。
ルーデウスには大学の教頭先生に伝手があるらしく、試験にねじ込んでくれた。
親の七光りならぬ兄の七光りだ。
とは言え、試験を頑張らなければ。
中月編日
久しぶりに魔術の練習をした。
ベガリット大陸で使っていたのは詠唱を短くした初級魔術、主に火と水だったから、中級を思いださなきゃダメだ。
昔は成功してたから今でも簡単に成功するだろうと高を括っていたら、そもそもの詠唱を殆ど覚えてなかった。
しかし、これくらいでへこたれる私じゃない。
この家には上級以上の魔術師が三人も居る。
ルーデウスと幼女先生は毎日学校に通っているから、ルーシーちゃんが寝静まった時を見計らってシルフ君ちゃんに教えを乞おうと思う。
本月ZI日
ルーシーちゃんは可愛い。
叔母さんにしやがって…とか思ってごめんね。
赤子は無垢だから可愛いと再確認した日だった。
このまま純粋に成長して欲しいものだ。
ルーシーの相手をした理由は、シルフ君ちゃんのお手伝いをして自由な時間を作ってもらうため。
その甲斐あって、ほんの少しだけ魔術を見てくれた。
私が知っているシルフ君ちゃんよりも魔術の腕は上がっていた。
元々私よりも魔術の腕は上だったから、更に成長していてビックリだ。
私もその恩恵を得ようと思う。
プ月オ日
やはり私に魔術の性能は無い。
シルフ君ちゃんに指導してもらいながら、何とか水魔術の中級の発動に成功させる事が出来たのが限界だった。
これ以上シルフ君ちゃんの時間を取るのも申し訳無いし、そもそも入試までの時間が無い。
筆記試験もあるみたいなので、文字を思い出して書けるようにもしなくちゃならないから、かなり余裕はない。
幼女先生を筆頭にみんなが「受かるはずだ」と言うけど、試験前はどうしたって緊張して焦ってしまう。
殆ど消えかけている前世の記憶が影響しているのだろうか?
闇月狐日
明日は試験の日だ。
今日くらい軽い復習に留めてゆっくりしてはどうか?とリーリャに言われたのでゆっくりした。
たまたま帰って来たノルンに激励を頂いてやる気が湧いた。
でも、もし入学出来たら妹の後輩になると頭を過ってやる気が下がった。
死月超日
試験の日だった。
実技はまあまあ。
筆記はちょっと不安。
やれる事はやったと時間できるから落ちていても……それは妹に情けないから嫌だなぁ……。
盾月裁日
合格通知が届いた。
届いたと言うよりも幼女先生から直接伝えられただけど……。
これで晴れて私も次年度からは学生を名乗る事が出来る。
夕飯はノルンも帰って来てちょっとした豪華な奴だった。
大袈裟だと言ったけど、お祝いに丁度良いと言われてしまえば断ることはできなかった。
何だかんだって言いも、シルフ君ちゃん&リーリャのご飯は美味しいからしょうがないね。
悲月魔日
新学期から学生と言う事で、一つ決めなければならない事があった。
ルーデウスとシルフ君ちゃんに幼女先生のように家から通うか、ノルンのように学校の近くに併設されている寮に住み込むか。
ルーデウスはどちらでもいいと言った。
ノルンは一緒に住みたそうな目を向てきた。可愛い。
悩んだ時は素振りだ。
素振りは頭を空っぽに出来るから良い。
そうやって素振りをして考えた結果、私は家から通う事にした。
そもそも、ベガリット大陸の恐怖が抜けていない私にとって他人と住むのは到底無理な話だ。
それは同性だって変わらない。
知らない人が周囲に沢山いる中で意識を手放すなんてできやしない。
その点、この家ならリーリャやシルフ君ちゃん、幼女先生にアイシャに、ルーデウスが居るから安心安全だ。
周囲に誰もいないであろう森の中なら独りでも大丈夫なんだけどなぁ……。
早月納日
制服の採寸をした。
シルフ君ちゃん曰く、ルーデウスと仲が良いサイレント・セブンスターとか言う天才が考案して実現されたものだそうだ。
物凄く意味が分かりやすい名前だけど……まぁ、こんな偶然くらい偶にあるだろう。
制服くらい既存品で適当なもので良いと思ったけど、「これから成長するかもだからちゃんと測って少し大きめなのを作ってもらわなきゃ」だと。
たしかに、ベガリット大陸では栄養不足で中々成長出来なかった……一部分は不幸にも成長してしまったが、けど、ここに入ればストレスも無く栄養のある食べ物を沢山食べられる。
二次成長……とはいかないが、身長ももっと伸びて欲しい。
せめてルーデウスくらいはね?
ともかく、制服の採寸をして入学式に合わせて出来上がるみたいだ。
お金に関してはもう知らない。
パパウロが私達の為に残しているなら、しっかりと有効活用してあげるのが筋ってものだろう。
採寸が終わったらその他小物を色々と買ってお終い。
そういえば、何気に誰かと一緒に買い物をしたのは初めて。
ブエナ村では買い物をするような物は無かったし、それ以降も常に独りで最低限の会話で物を取引するだけ。
ルーデウスに助け出されてからもずっと家に籠るか、墓地で鍛錬しかしてこなかった……。
あれ?私ってまだ10代だよね?
私の青春って灰色?
これから作れば良いということにしたい。
ルーデウスは友達というか、配下というか舎弟というか、ともかく夕飯時に語られる話を聞いていると仲の良いい人は結構いるみたいだ。
パパウロも冒険者時代にはパーティーのリーダーだったみたいだし、ママも美形で村でも人気だった。
きっとその血筋がルーデウスにも受け継がれているのだろう。
私も沢山とは言わないけど、一人くらい友達を作れるといいなぁ……。
なんて考えながら寝ることにしよう。
入学式まであと数日。
B月B日
明日は入学式だ。
ルーデウスもノルンも出席するみたいなので迷う事は無い。
というか、辿り着くだけなら私でも出来るはず。
城みたいに大きな学校で、家と墓地を往復する毎日だった頃でも目にしていたからね。
……緊張はしてる。
家族以外の人が大勢集まっている場所に行くのは、まだ勇気がいる。
剣の所持は許されてるから、何か起これば斬ればいいだけだし、学校にはルーデウスもノルンも幼女先生も居るから問題が起きても死にしないだろう。
それに、それ以外にも新しい生活の幕開けにワクワクもしている。
これまで狭い村の中で剣だけを振って生きて生きて、ベガリット大陸では生きるか死ぬかの瀬戸際で常に余裕なんて無かった。
魔法や剣術を習い始めた頃だって似たような感情を持った。
新しい事を始めるのは、やっぱり楽しみだなぁ。
一応これで、連載開始時に決めていた終わりの一つです。
ここまで長くするつもりは無かったのですが、やはり書いてる内にエピソードや心情描写が増えてしまって……。
まさか一瞬とは言え日刊ランキングにも載せて貰ってありがとうございました。
とは言え、このまま終わるのもやはり寂しいので、続きは書きます。
が、連載開始時に書籍を読み直して脳内プロットを作ってから駆け抜けた駄作で、続きが殆ど考えてない状態です。
なので一旦書籍を読み直してプロットを練る時間を下さい。アニメ3期が始まるまでには戻って来るつもりです。
もしかしたら番外編としてIF√を投稿するかもしれませんが……。
では、これまでありがとうございました。
続きも気長に待っていただければ。