何のとりえも無い少女が異世界で生き抜くお話(チート能力は無い模様) 作:カルデアの廃課金マスター
1月5日
寝不足だ。
昨日というか昨日の夜から今日の朝方にかけて物凄い事が起きた。
昨日の夜、ベッドに入って寝付けないでいた私は家の中から物音が聞こえて来て見に行ったのだ。
誰かが喉が渇いて降りてきた音だったのなら私も安心だったんだけど、現実は全然違った。
ルーデウスと一緒にルーデウスが居た。
何を言っているか分からないけど、私も未だに混乱している。
未来から跳んで来たとか何とか聞いた。
魔法なんだからそれくらい出来ても可笑しくは無いから、一先ず納得することにした。
今でさえ天才的なルーデウスなら、誰も開発できていない魔法だって使えるようになるのは、私にとっては当たり前だと思っているから、未来から来たルーデウスだと言われても信じられる。
肝心な未来から来たルーデウスの要件は警告のようなもの。
悪い神様を名乗る不審者に唆されて全てを失ったとか何とか。
どこの誰かも知らない神様を名乗る不審者の言う事は聞いちゃいけませんって習わなかったのかな?
……幼女先生もパパウロもそんな事言ってなかった気がする。
まぁいいや。
未来から来たルーデウスは過去に戻る魔法の代償でそのまま死んでしまった。
私とルーデウスで丁寧に庭に埋葬した。
此処までは良い。
混乱しながらも流れに乗って話を聞いてた訳だけど、それ以上の事をルーデウスは私に預けてくれていない。
それで、夜はずっと未来のルーデウスから聞けた話を考えていて寝られなくて寝不足だ。
幼女先生やノルンが居るのに授業中に寝るなんて出来ないからね。
でもそれももう限界。
今日の鍛錬はお休みして早めに寝よう。
夕ご飯が出来れば起こしに来てくれるはず。
1月6日
起きたら夜中だった件。
起きたのは単純に睡眠時間が良い具合だったからなのと、お腹が減ったから。
そりゃそうだ。
昨日は朝から学校が終わるまで寝不足で満足にご飯も食べてない状態だった。
その上寝過ごして夕食を抜いたらこんな夜中にお腹も空く。
この後シルフ君ちゃんに教えて貰ったんだけど、側から見ても眠そうなのがバレバレで、自然と起きて来るまで寝かしてあげようって事になっていたらしい。
私の分のご飯もちゃんと残してあった。
夜ご飯の時にでもお礼と謝罪をしよう。
1月7日
ルーデウス、犯罪者になるらしい。
間違えた。ここでは人を殺しても正当な理由があれば罪に問われない可能性の方が高いんだった。
私だって転移したベガリット大陸で、がむしゃらに剣を振るってたから一人や二人は殺してるはずだし……。
でもそれはその瞬間を生きる為であって、計画的に意図的に誰かに殺意を持って殺そうとした訳じゃない。
詳しく説明をしてもらうと、この前聞いた夢で逢う誰かもしれない神様を名乗る不審者に強制させられたとか何とか。
私ならムカついて無視するけど、これまで助けて貰った恩とか聞かされた助言の正確さとか、未来から来たルーデウスが残した日記とかあってこれを最後と約束して従う事にしたらしい。
ルーデウスが決めたなら、その判断に口出しをしたくないけど、やっぱり誰かに強制されて殺人を行うのはダメだと私は思ってる。
だから納得いかない。
ルーデウスの事だろうから色々と計画を立てて、一番簡単に、誰にも気づかれない様に殺すのだろう。
そこに私の出番なんてない。
いつだってルーデウスは勝手にで成長して、一人で偉業を成し遂げるのだ。
せいぜい、誰にもバレることなく完遂して、神を名乗る不審者との縁を早く切る事を願うだけ。
後は……やっぱり万が一に備えて家族の護衛と鍛錬だろうか?
1月8日
ルーデウスが人殺しになろうと、私達にはそれぞれの生活がある。
シルフ君ちゃんと幼女先生は生徒会長様の護衛や学校の先生がありつつもルーデウスの手伝いをするみたいだけど、私やノルン、アイシャにリーリャとゼニスママは何時も通り。
朝起きて朝練して、みんなで朝ごはん食べた後に学校に行って魔術の勉強をして、なんか寄って来る人達から逃げて、晩御飯まで魔術を使った剣術の鍛錬をして、偶にノルンに剣を全力で教えて、日が落ちて家に帰るとゼニスママやルーシーと戯れて、夕食を食べてゆっくりして寝る。
特に変わった出来事は二人のルーデウス事件から起きていない。
このまま何事もなく無事に終われば良いけど……。
1月9日
今日は珍しくルーデウスも一緒に鍛錬を行った。
と言っても朝練だけだったけど。
上級以上の剣士と戦った事のあるルーデウスとの鍛錬は身になるものではないか?私はそう考えた。
パパウロと鍛錬をしていた頃よりもずっと剣の扱いは上手くなっていて、それ故に魔術師として剣士への対処法は完璧に近い。
パパウロと違って岩を斬る事は出来ないけど、身体の方はがっしりとしていて打ち合いも出来なくないレベル。
剣士としては微妙だけど、魔法アリの何でも戦なら鍛錬の相手にピッタリの人材だ。
毎日でも鍛錬をしたいけど、ルーデウスは私なんかと違って色々と忙しいから無力。
せめて気分転換と称して、週に一回くらい誘ってみるとしようかな?
2月0日
今日はノルンと剣の鍛錬をした。
小さい時のルーデウスよりかは筋が良い様に思えるのは姉贔屓だからだろうか?
ノルンは努力家だから続ければ平均以上少し上の腕は磨けると思う。
この調子で頑張って欲しい。
2月1日
なんか生徒会長様とお茶した。
授業が無い時間帯に暇してたらお呼ばれしたのだ。
テーブルマナーなど皆無な私が粗相をしたら殺されると思って初めは断ったのだけど、余程酷くなければ問題ないと護衛に付いていたシルフ君ちゃんに言われて承諾。
生徒会室っぽい場所へドナドナされていざお茶会。
それでお茶会が終わった感想はこちら、なんか終始ナンパされてただけなのですけど……。
それで良いのかお姫様?
後、少しだけパパウロ身を感じる騎士さんもやたら滅多と触って来ようとしてたらけど、本当に触れてたら斬ってしまいそうだった。
ルーデウスやシルフ君ちゃんから聞いていたけど、実際に短時間でも話していて分かった。
生徒会長様は私の知っている貴族の様に理不尽に権威を振りかざしたりしないだろうと言う事。
少なくとも、ルーデウスやシルフ君ちゃんが対応を間違え無ければ厄災は降りかからないはず。
それでも、仲間内でも切らなければならない時がやってきたら躊躇いつつも切る覚悟があるはずなので、私はそんな時にルーデウスやシルフ君ちゃんの代わりに戦える様に身構えておかなければならない。
無条件に信頼できるのは家族だけだから。
2月2日
ルーデウスの弟子を名乗る長身に出会った。
すごい勢いで突進してきたので怖くなって逃げたら、昼休み中追いかけ回されて幼女先生に怒られた。
私のせいじゃないのに……。
むしろ反射的に剣を抜かなかっただけで褒めてもらいたい。
2月3日
昨日の話を聞いたルーデウスが長身弟子を連れて謝ってくれた。
どうやらルーデウスの弟子と言うのは本当らしい。
私に話しかけた理由は単純に、師匠の双子の妹を目にしたのなら挨拶せねば……と言う使命感?かららしい。
もっと普通に来てくれてたら対応してたのに……え?男性相手だと何時も逃げてるだろうって?
……トラウマは簡単に消えないの。
それからは普通に話して終わった。
ザノバなんちゃらという人のあだ名は人形狂いの長身で決定。
私はルーデウスみたいに器用な真似出来ないよ。
2月4日
やっぱり上手くいかない。
剣術と魔術を合わせて戦う戦法は全くと言って良いほど完成していない。
一呼吸置いて交互に扱うのはまだできそうな気もするのだけど、両方を同時に、完璧にするのは難しいの難易度を超えている。
剣も魔法も使える人なんて聞いたことがなかったし、ベガリット大陸でも一切で出会わなかったから良い案だと思ったんだけどなぁ……。
そもそも、剣も魔法も同時に扱える戦い方が広まっていない時点で難易度の高さが伺えるはず。
物語の英雄といった伝説上の人物にしか出来ない戦い方なのだろうと私は半分諦めることにした。
剣も魔法も中途半端な私にとってとても良い戦い方だと思ったのになぁ……。
ルーデウスの器用さが少しでも私にあれば、とも唸る。
剣も魔法も両方完璧な人は居ないんだろう。
2月5日
魔術はそこそこ、それこそ北神流の技で不意を突く時とか、ベガリット大陸で役に立った様な使い方くらいまでが私の限界なのだろう。
上級魔術へのチャレンジは気が向いたら。
そうする事に決めた。
才能が殆ど無い私は、地道にコツコツと剣の腕を磨くしか無いの。
魔術も剣も頑張ろうとした私は、欲張り過ぎたのだろう。
2月6日
ルーデウスは忙しそうにしている。
新しい魔道具の開発には色んな人が手を貸してくれているみたい。
私も何か手伝いが出来れば良いんだけど、魔道具の知識はゼロだから何も出来ない。
ルーデウスや幼女先生、シルフ君ちゃんとしては私が魔法大学で楽しく過ごすのを望んでるみたいだけど、私からすればルーデウスがなんか色々としているのを蚊帳の外から見ている方が辛い。
ノルンやアイシャなら妹だからで済ませられるけど、私だって同い年なのに年下の保護対象に見られてる感じがとても嫌い。
私だって、私だってルーデウスやシルフ君ちゃんの役に立てるのに……。
2月7日
というわけで、夕ご飯の時に「私も手伝いたい」と素直に言ってみた。
全員から猛反対を喰らった。
可笑しい。
全員心配性だ。
確かに再会した時は結構不安定だったと自覚しているけど、今は結構落ち着いているのに。
心なしか、ゼニスママまで引き留めるような仕草を見せていた。
くぅ~~、近接戦闘なら私が一番強いのに。
どうやって私も仲間に入れて貰えるか考えようと思う。
2月8日
とは言ったものの、何も思い付かないのが私です。
そうだよッ!
私なんてルーデウスに比べたら月と鼈レベルの知能の差があるんだからさ?
しかし、それにしてもルーデウスの準備はかなりの期間とお金をかけていると思う。
ルーデウスの時間とお金だから私が口出しする事は無いけど、どうしたって疑問は出て来る。
並の人ならルーデウスの魔法で簡単に殺せるはず。
私だって、中級程度の剣で人を殺してきている。
剣と魔法は純粋に比べることは出来ないけど、中級の私が出て来て最低でも聖級のルーデウスが出来ないはずがない。
そんな私よりも遥かに強いルーデウスが大金と時間をかけて準備して殺そうとしている相手。
気になる。
ルーデウスは世界各地を歩いて来たから沢山の対戦経験があるはずで、そんなルーデウスが物凄く慎重に進めている相手。
邪神に言われてって動機も不思議だ。
ルーデウスが謎の電波を受信した可能性もゼロではないけど、ルーデウスが信じて居るのなら私も存在は信じよう。
もっとも、過去から来たおじいちゃんルーデウスの存在が、一番信憑性を裏付けているんだけどね。
でもでも、やはりいくら考えてもルーデウスが殺さなければならない相手が分からない。
よし、今度ルーデウスが早朝の鍛錬に参加する時に聞いてみよう。
2月9日
今日の昼休み。
昼ご飯を中庭?らしき場所で食べていると、またパパウロ身を感じる騎士に出会った。
両手に女の子を侍らせておいて、私をナンパするとは良い度胸だ。
ギザったい笑みが何となくムカつく野郎。
まぁ今は色々言えても、本人に向かっては殆ど口を聞けないんだけどね。
だって男性でお貴族様だし。
隣にシルフ君ちゃんは居なかったし。
他人は怖い、男の人だともっと怖い。
3月0日
久しぶりに朝練にルーデウスが参加したから、ルーデウスが殺したい相手を聞いてみた。
当然はぐらかされるけど、そこで諦めないのが私。
何でもありの模擬戦を行って勝者の特権を使って再度質問。
オルスデッドとか言う人らしい。
何処かで聞いたことがある様な気がする……。
それよりも、明らかに手を抜かれた模擬戦闘での勝利は気に食わない。
確かにルーデウスが本気で魔術を使えば、私なんて瞬殺される未来しか見えないから、当然と言えば当然なんだけど……。
それでも勝者の権利をかけた試合だったのだから、殺すまでは行かなくとも重傷の一つや二つは負うべき模擬戦にしたかった。
ルーデウスにしても、幼女先生にしても、シルフ君ちゃんにしても、他の家族にしても、少々私の事を甘やかし過ぎやしないだろうか?
確かにあれだけの事件が起きた事だから、見つけた相手に優しくなるのは分かる。
私だってノルンはもちろん、アイシャにだって前よりも優しくしている。
だから家族の中で一番最後に再会出来た私を色々と気遣っているのは分かっている。
でも、その期間が少し長いと思う。
半年は経ってないと思うけど、もう数か月だ。
私だって色々と整理できて、パパウロの死やゼニスママの廃人については飲み込んでいる。
まだ少しだけ覚束ない部分はあるけど、それでも心配される時間は過ぎたと思う。
私としては元に戻ったつもりだから、余計に釈然としない。
とりあえず、それについては追々で良いだろう。
直ぐに態度を改めて欲しい気持ちもあるけど、これは時間が解決してくれる問題だから。
それよりもルーデウスが殺したい相手オルスデッドとか言う奴の話。
明日にでも学校の図書室で調べようと思う。
周囲との認識に少しだけあるオーシノルちゃん。
もう直ぐトリニティ・メタトロニオスが始まるので次回も遅れます。