何のとりえも無い少女が異世界で生き抜くお話(チート能力は無い模様) 作:カルデアの廃課金マスター
質問来てたのでこの場でお返しします。
サウロスが主人公への態度が強く見えるのでは、主人公視点なので間違っていないです。
さらに言えば、サウロスはルーデウスとの初対面時にも大声を出し、貴族風ではないにしろ挨拶を交わしたルーデウスを叱っていました。そこから、全くそのあたりの知識を持っていない主人公がカーテシーなど出来るはずも無く、普通に挨拶した所ルーデウスみたいに言われた。
前世の記憶がおぼろげながらあるにしても、身体に精神年齢が引っ張られてる主人公。10歳の少女が、上記の事が原因で嫌いになるのは十分過ぎる。容姿はゼニス似ですが、中身はパウロに近しい所があるので、内心で反発したって経緯ですね。
エリスに関しては、今後書く機会があるかもしれないのでまた今度。
前回更新時から数日後。一瞬だけ日間ランキングに乗っていたみたいです。
何で????って気持ちが強かったですが、有り難い事には変わりないです。ありがとうございます。
亀更新ですが、今後ともよろしくお願いいたします。
g月U日
ここに来て何日経っただろうか?
毎日を生きるのに精一杯で正確な日数は随分と前に数えるのを辞めた。
少なく見積もっても、1ヶ月以上は経ったのかな?
状況は一向に変わらない。
以上。
D月A日
何回も捕らえられてる基地が襲撃を受けた。
1回くらいは成功してもいいんじゃないか?と思ったりしているが、敵の基地に襲撃を行っているのは私を捕えて陣営も同じだったらい。
見張りの人がそう愚痴ってた。
もう何年も戦争してるんだって。
後何年続くことやら……。
G月U日
最近、若く新人らしき人が毎日来る。
一方的に話しかけてくる。
何がしたいのだろう?
I月B日
今日も来た。
名前は知らない。
ずっと喋ってる。
暇なのだろうか?
E月N日
久しぶりにまともなご飯を口にした。
と言っても、クッキーとかそんなものだ。
それでもまともな食料だよ。
食べられたのは最近来る若い人が持って来てくれた。
T月O日
やる事も無く、何をしても無駄なので最近よく来る若い人の事でも振り返ろうと思う。
名前は知らない。
赤い髪の若干のロン毛。
イケメンではないが悪くはない感じ。
歳は15歳~18歳程だと思う。
前世の感覚に引っ張られて正直言って分からない。
一つ確かなのはパパウロよりは断然若い事。
数日前から私が押し込まれている牢屋にやって来る。
交代や非常勤の見張りではないらししく、わざわざ休憩時間の合間を縫って来ていると言っていた。
一緒の牢屋にいる女性奴隷色々と懇願されていたが、全く見向きもしないで私だけを見てくる。
何だろう、危ない予感がする。
S月A日
昨日は名前は知らないと言ったが、分からない理解できないが正解だ。
喋る相手がほとんどいないからか、この場所では言語が通じないのを忘れそうになっていた。
向こうも通じていないのが理解出来ているのか、身振り手振りで何とか伝えようとしている姿は少し可愛いかった。
I月K日
改めて思えば、言語が通じないのはかなりヤバい。
片言でも喋れたら、少しでも聞き取れたらこの環境が変わるのではないか?
明日から頑張ってみようと思う。
O月U日
言語の勉強を頑張り始めて数日経った。
成果は微妙である。
名前らしき単語が何とか聞き取れる程度。
数日でここまで出来る様になったのを喜ぶべきか、それとも数日やってもここまでしか出来ない自分に嘆くべきか……。
D月E日
環境が悪かった、と言い訳してみる。
前世の学校みたいに、良い講師、机や筆記用具、教科書と言った勉強する環境が無いのが悪い。
この劣悪な環境でどうやって学べと言うのだろうか?
生きる為だから嫌でも頑張れる、やるべきだろう?
なら実際に体験してみるが良い。
成果も実感も無いだけでまるで進んでる様子が無く、手探りで独学で全く知らない言語を知らない常識がある場所で覚えろ。
但し、扱いは奴隷に近い捕虜、教師は暇だから現れる一般兵士。
無理だ……。
こんな時天才は……ルーデウスは、私の兄ならどうやって切り抜けるだろうか?
S月I日
ルーデウスの事を考えたせいか、またしても家族の事が心配になった。
パパウロは……あの剣の腕なら何処に飛ばされていても生きて行けるだろう。
言語が通じない事を除けば……。
ゼニスママも大丈夫だろう。
私よりも高位な治癒魔法の使い手で、元冒険者だから野宿や危険の切り抜け方も上手いはず。
実家が外国の偉い家って言っていたから、実家と連絡さえ取れたら一番心強い。
リーリャは少し心配だ。
教養があり、剣の腕も初級よりはあるのでチンピラには勝てる。
けど足が少しだけ悪く、長旅になると非常に厳しいはずだ。
ノルマとアイシャは物凄く心配。
まだハイハイが出来る様になった赤ん坊に何かを期待する方がおかしい。
ゼニスママでもリーリャでも、パパウロでも良いから一緒に居てあげて欲しい。
少し泣いた。
今夜は眠れそうにない。
T月A日
鳥肌がたった。
思いだすのも怖い。
でも、考えてしまう。
O月T日
一日経って落ち着けた。
昨日はあれだ……。
襲われかけた、性的に。
相手は最近よく私の元に訪れていた赤毛の人。
どうやら、私の元に訪れていたのは気を引きたかったと推測する。
言葉が通じないからか、私の反応を見て合意だと思ったらしい。
あれが合意であるものか!!
このロリコンめッ!!
Y月A日
襲われたときに思いっきり噛みつき、手首を折ってやったからか、私の元に来なくなった。
犯されるのは嫌だが、普通に楽しかったから残念極まりない。
言葉は通じなかったけど、単純に私に会いに来てくれていたのは嬉しかった。
まぁ、だからといって犯されるのは拒否するが……。
W月O日
数日経った。
牢屋に居た人たちと一緒に出され、何処かに移動させられている。
馬車なんて物は無く、己の足で歩かなければならない。
身にまとっているのはボロボロになった布切れ、最低限でしかない靴のなりこそないだけ。
更にアクセサリーとして繋がれた手枷に足枷。
普通の移動すら困難だ。
I月R日
今日も歩き続けた。
扱いは酷いが、考える限り最低では無いと思う。
一日2回の休憩と簡素だが御飯もある。
考え方のよっては、一日中檻の中で何も無い時間を過ごすよりはいいかもしれない。
E月T日
良くない。
久しぶりの行動に体力と身体がついていかない。
既に足はずっと痛みを訴えている。
次いでいけない者は引きづってでも進まされる。
周りの人達の中では年齢が一番幼いけど、真っ先に脱落しなかったのは牢屋での扱いがマシな方だったからだろう。
E月お日
あれから数日も歩いた。
何度も限界を迎えたが、夜中に治癒魔法を使って治すことで引きずりまわされる事態を回避。
それに、私が限界を迎え始めると、何故か休憩が挟むのだ。
偶々だろうか?でも何度も続けば偶然とは考え難い。
でも、質問は許されていないから、私が知るすべは無い。
は月R日
今日も歩くだけだった。
何度か敵やモンスターの襲撃を受けているのか、度々止まる。
襲撃があるなら、何故比較的安全である砦から捕虜を移動させているのか謎。
言葉が分かれば、同じ捕虜の人や駄弁っている兵士の話を聞いて予測が立てられるというのに……。
ちっとも理解できない。
何かの力が働いているのでは?と無意味な疑問を抱くほどである。
O月W日
逃げようと何度か考えた。
見張りはいるけど、牢屋の中よりかは可能性がある。と思う。
逃げる為の障害は大きく分けたら二つだけ。
先ずは、手足に付けられている手枷足枷。
移動の為か、全く動かせない程じゃない。
頑張れば壊せないだろうか?
斬鉄とか出来たためしがないけど、窮地にこそ秘めたる力が目覚める……って憧れる。
障害二つ目。
単純な見張り役だ。
力業でどうにかなるかもしれないが、1つ目の障害である手枷足枷をどうにかしないとどうにもならないだろう。
万全且つ剣を持ってる状態なら5割ほどの勝率はあると踏んでいるけど、剣も持ってない動くのも一苦労な状態だと0に等しいはず。
……万全な状態でも5割しかないのは、歳のせいと思いたい。
I月N日
晴れの日も、曇りの日も、雨の日も、風の日も、歩き続けた。
雪の日が無くて大助かり。
それにしても、一体何処まで歩けばいいのだろう?
数日は歩き続けたよ。
足はボロボロ、髪だってゴワゴワ。
気持ち悪いったらありゃしない。
せめて綺麗な水で身体を拭かせてほしい。
E月R日
嬉しい事があった。
恐らく、謎の光にこの地に飛ばされてから、初めてで一番嬉しいことかもしれない。
パパウロから誕生日プレゼントに貰った剣を見つけたのだ。
もっとも、見つけただけで手元に戻って来たわけではない。
休憩中に、兵士さんが持ち運んでいたのを偶々目にしただけ。
予備の武器なのだろうけど、誰にも使われずに取り上げられたままの状態だった。
I月B日
私の剣を目にしてからというもの、毎日隙を伺っている。
逃げようという意志が湧いてきたからだ。
そうだ、こんな場所なんか逃げてやる。
五体満足で逃げて、ゼニスママと、ノルンとアイシャと、リーリャと、ルーデウスと、パパウロに、家族に会うんだ。
E月R日
兵士の行動パターンを頭に叩き込むんだ。
頭が沸騰するくらい知恵熱を出しているが、これも全部帰るためだ。
この程度やらなくちゃ。
I月O日
作戦を考えた。
確かに兵士なのだろうけど、正規よりは雇われと言った感じが強かったので隙はあった。
あまり重要ではない部隊だから、なのかもしれない。
それでも、逃げても直ぐに見つかってしまうだろう。
何度か魔獣や敵兵士の襲撃も受けたので、丸裸で逃げるのはもってのほか。
なのでまず、私の剣を返してもらうことにした。
剣さえあれば何も出来ずに終わる事はない……はずだ。
見た感じ、聖級剣士は居ない。
上級剣士が近くに数名……。
パパウロと同じレベルが複数人も。
逃げられるか不安になってきた。
N月N日
何度もシミュレーションした。
明日には作戦決行だ。
大丈夫、大丈夫。
剣さえ取り返したら一目散に逃げるだけ。
移動中である今しかチャンスはない。
基地にたどり着いたらまた牢屋行きだ。
そうなれば逃げるタイミングは一生訪れない。
大丈夫、パパウロより強い相手はいないはず。
s月y日
未だに信じられない。
逃亡の作戦決行から既に数日経った。
今は高度な魔法結界の中で休んでる。
ここなら余程の事が無い限り大丈夫って言われたけど、本当にそうだろうか?
いや、今はあの人達の言葉を信じよう。
ダメだ、まだ色々疲れてるみたい。
U月U日
一日経った。
冷静になっても理解が及ばないし、生きてるのが奇跡だと思う。
何があったのか冷静に振り返ってみようと思う。
現状把握は大事。
まず、作戦決行日。
警備の隙をついてパパウロからの貰った私の剣を返して貰った。
何とか剣を手に取るまでは見つからなかったんだけど、剣を手に取っていざ逃げようと走っていると、見張りに見つかって追いかけられた。
ここまでなら私も理解できる。
その後、必死になって逃げただけならね。
必死になって逃げていると、後ろから怒声が聞こえて来た気がする。
初めは私に向かってだと思っていたんだけど、急に爆風が私を襲った。
何もなく後ろからだったので、数十メートルは飛ばされた。
染み付いていた受け身を取っていざ後ろ振り向くと、何か燃えていた。
移動に使っていた馬車が燃えてた。
兵士が燃えてた。
捕虜が燃えてた。
焼ける匂いが今でも頭を離れない。
奇跡的に助かったのは私を含めてほんの数名だったと思う。
生き残った人たちが何かを叫んでいた。
多分、恐怖の悲鳴だったはず。
彼らは頭上を指して……数秒後には肉塊に変わった。
上から降って来たモノにぐちゃりと握りつぶされて、振り下ろされたかぎ爪にズタズタに切り裂かれて、振られた尾に吹き飛ばされてぶつかった樹木にシミになって、口から吐き出された炎に焼き尽くされて灰になって、人間の形すら残されずに殺された。
確かに、生き残るためなら殺す事も視野に入れていた私ですら、唖然とするあっけない結末。
これは違う。
理不尽の塊だった。
そう、突如として現れたのはドラゴン……だったと思う。
トカゲみたいな頭、コウモリみたいな羽根、長い尻尾、身体は全身鱗で覆われていた。
(当たり前だけど)実際に観たのは初めて。
でも、絶対にドラゴンだと一目で分かった。
それと同時に『終わった』とも思った。
だってドラゴンだよ?
子供に毛が生えた程度の剣術しか持っていない私に、生物最強を誇るドラゴンの相手が出来る訳がない。
きっと、一瞬前の人達のようになるんだ……。
へたり込んでしまう。
頭に過ぎったのは家族一人一人の顔。
気がついたら、立って剣を構えていた。
足と手は震えて今にも倒れそうだった。
それでも、私は立ち上がってドラゴンに向き合っていた。
死ぬ。
死ぬのは絶対だった。
死ぬのなら、せめて逃げ惑うじゃなくて、戦って死にたい。
唾をゴクリと飲み込んで覚悟を決める。
行くぞッ……と思った。
断片的に、ドラゴンが前脚を振り上げるのは見えた。
一秒後、口から空気が勢い良く吐き出される。
何が?と思った時には地面に叩きつけられて、身体がバラバラになる位の痛みが全身を襲った。
確か……この時、私は水神流のカウンターの型を行うつもりだったはず。
真正面から受けても、確実に受けきれないと分かり切っていたから、せめてカウンターは出来ないにしても攻撃を流せないとかと思ったのだ。
結果、攻撃は受け流せなかったけど即死には至らなかったらしい。
正確の行動だったはず。
思い返して見ても、水神流以外は全部『死』に繋がっていたと思う。
生きてる……?。
でも、このままだと不味い。
最低でも姿が見えなくなるまで逃げないと、このドラゴンは追って来るだろう。
そう思えるほど怒り狂っていた。
今になっても理由は分からない。
とにかく尋常じゃない殆ど怒っていた……ように見える。
ドラゴンの表情とか分からないけど。
再びドラゴンと対峙。
そして剣が手元にない事に気が付き、ドラゴンそっちのけで視線を巡らせるとあった。
刀身の半分辺りからぽっきりと折れている剣が……。
うん、振り返っている今でも結構キツイ。
せっかく誕生日プレゼントとして貰った真剣。
5歳の誕生日にルーデウスが貰った様なものではなく、ちゃんとした剣士が身に付ける上等な剣。
そんな剣の折れた姿を見て、戦意が削がれてしまった。
それこそ、剣の様にぽっきりと。
地面に崩れ落ちる。
もう、何もやる気が出てこなかった。
死ぬ覚悟すらしてたと思う。
前脚が振り下ろされるのを見た。
目を瞑った。
痛いのは嫌だなぁ…とか。
もっと生きたかったなぁ…とか。
またあっけなく死ぬのか…とか。
もっと妹達を可愛がりたかったなぁ…とか。
リーリャにもっと色々教えてもらいたかった…とか。
ゼニスママには恩返ししかった…とか。
パパウロにはちゃんと「ごめんなさい」したかった…とか。
ルーデウス……弟だと思っていた双子の兄。
ああ…結局置いてけぼりか……。
走馬灯のようにこれまでの記憶が蘇っていた。
しかし……。
いつまで経っても痛みは来ない。
痛みを感じる暇もなく死んじゃったの?とも思ったけど、妙にハッキリと意識や感覚があったのを覚えてる。
恐る恐る瞼を開いた
この時の光景を、私は一生忘れないだろう。
そのくらい鮮烈だった。
ぼんやりと映った視界の先にはドラゴン。
その前には誰かがドラゴンの前脚を剣で受け止めっていた。
ドラゴンは力を入れているのか、耳が痛くなる程の音量で吠えた。
でも、前脚はピクリとも動かない。
それどころか、その人が軽く剣を振ってドラゴンに打ち勝った。
有り得ない、通常ならそう思っただろう。
ただの人がドラゴン相手に力比べで買ったのだ。
パパウロだって、魔法使いや他の剣士の支援があっても出来ない芸当。
でも、そんな事だってこの時の私には全く目に入っていなかった。
綺麗な人だった。
短い赤毛っぽい茶髪をショートボブに切りそろえた髪の毛はサラサラしてそう。
身体は先ほどの行動に反して華奢だった。
背もゼニスママよりも低い。
でも、そんな小さな身体からは微塵も貧弱な様子が感じられなかった。
力強く、凛として、目にした途端に勇気づけられる、そんな感じが私を支配した。
彼女は振り返って言った。
笑みを浮かべていた。
安堵だったかもしれない。
知らない人なのに、安心感を覚える笑みだった。
「遅くなってごめんね」
長くなりそうだったので切りました。本当はもう少し続けたかった。
全体的な進行度をFGOのストーリーで例えると、1部のアメリカ終盤らへんかな?次回からキャメロット突入ですよ~。