蓬莱山輝夜に成りまして。   作:豊饒 ゆう

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蓬莱山輝夜に成りまして。1/3

 輝夜の美貌は成長するにつれて増してゆく。

 最盛期は十代中半から後半だと、彼女自身は確信していた。

 前世の情報では『蓬莱山輝夜』の肉体年齢がその辺りであり、歳を経る毎に生まれながらに脳内へと刻み込まれていた容姿に酷似してゆくのだ。

 

「輝夜、なに読んでんの?」

 

 現在、小学五年生。

 輝夜は十一歳になった。

 あと五~六年も経てば絶世の美少女が世に誕生するであろう。

 彼女の憂いは増すばかりであった。

 

「それ面白い? 輝夜」

 

 ロリ真盛りの今でさえ、輝夜は年齢に関係なく人を寄せた。

 性犯罪の被害者になりかけたのも十や二十では利かない。

 もしも中身が歳相応であったのならば、とうの昔に喰いモノと成っていた筈だ。

 

「今日シンイチローがタイヤキ買って帰るから輝夜もうち来いよ」

 

 今を平穏に生きているのは、偏に輝夜の努力の賜物であろう。

 そうであって欲しいと、彼女は帰路に隣で騒ぐ小型の猛獣を見つめる。

 

「ん……? どーした輝夜? あ、つぶあんだよ」

「別に中身を訊きたい訳じゃないのよ」

 

 小学生ながらも金に染めた髪と深淵を覗く黒い瞳。華奢な体躯と愛らしい小顔。女顔負けの白い肌はきめ細かくて美しく、美少年と呼ぶに相応しい彼の名を佐野万次郎。輝夜が絶世の美幼女であった小学校一年生の時分から、今日日今まで常に彼女の隣の席を陣取る幼馴染であった。

 

 輝夜からすると万次郎の存在は有り体に言えば迷惑で、しかし同時に彼が傍にいる限りは誰も近寄らないので有り難くも在る存在。つまりは複雑な心境の相手、それが彼女にとっての万次郎であった。

 

 無論、彼がごく普通の少年であれば輝夜も迷惑だとは思わない。

 むしろ超絶美幼女であった彼女に一切媚を売らず、下卑た視線を向けない数少ない存在として、あるいは純真無垢な美少仲間として大いに歓迎していたであろう。

 

 だが、しかし。

 

 佐野万次郎は残念ながら輝夜の為の人除け機能だけではなく、それ以上に面倒な人寄せ機能を搭載する謂わば歩くトラブルメーカーであった。

 

 その機能が加速度的に効果を発揮し始めたのは、小学生ながらに暴走族の『罰漢』なる高校生チームを潰して以降。より正確にはチームの総長を叩き潰した頃からである。

 切掛けは幼くも美しい輝夜の美貌で、喧嘩の端となったのは輝夜の毒々しい口撃。物理的攻撃を最初に仕掛けたのも輝夜ではあるが、罰漢総長の薄れゆく意識を追い打ちで奪ったのは万次郎であるからして、輝夜の中では全て万次郎が悪いことと成った喧嘩が万事の原因と確信していた。

 

「えーじゃあなんだよ」

「あなたと外を歩くと必ず……」

「あ、マイキーくん! と、か、かか、ぐ……ゃちゃん」

 

 今日も今日とて万次郎の万人引力は仕事を果たした。

 輝夜と万次郎の帰宅路とは逆方向から掛かる呼び声。やけにどもる少年の隣に立つ、蟀谷に龍のタトゥーを刻む少年。見覚えのない特徴的で典型的な長身の不良の姿に、輝夜は深い息とともに続く言葉を吐き出した。

 

「不良が絡んでくるじゃない。それが面倒くさいのよ」

「オレがいなくても輝夜は絡まれんだろー」

 

 口に咥えた棒付きキャンディをカラコロ転がす万次郎は、至極当然のように告げれば自然と輝夜の手を引いて歩き出した。

 

「ちょっと。いつも言ってるけど手を取らないでちょうだい」

 

 不服顔の輝夜を何のそのと万次郎は歩く。

 鼻歌交じりに気持ち足取りも軽い姿は機嫌の良い証拠であろう。

 反して輝夜の顔は不機嫌をありありと表していた。

 彼女はなまじ整い過ぎた美貌のせいで喜怒哀楽が明白なのだ。

 

「あの……マイキー……くん、だよね」

「うん、そうだよ。なに」

 

 長身の不良少年は真赤な顔で歩み寄った万次郎へ訪ねた。

 彼の顔はマイキーこと万次郎に向いてはいるものの、視線はいっさいが一歩後ろに控える輝夜へと注がれている。

 輝夜はそんな見飽きた反応に鼻を鳴らして万次郎の手を振り解くと、脇に抱えていた本の世界へ意識を落としていった。

 

「中学の先輩が君と、あと輝夜って子を呼んでこいって……」

「……あ?」

 

 刹那、空気が変わった。

 万次郎の眦は下がり、飴の砕け散る音が響く。

 其処にきて少年の目はようやく万次郎を捉えた。

 周囲の温度が急速に下がっていく様な錯覚。其れを殺気と知るのは、本の世界へ旅立ちながらも状況を把握し続けている輝夜だけだ。

 

「あ、いや。無理にとは……」

「いいよ」

「へ?」

「お前の頼みだから聞いてやる」

 

 それはひどく打って変わった対応であろう。

 明らかに断る風の反応で賛成した万次郎の返答に、意表を突かれたらしい少年は次いで輝夜へ向く。呼ばれているのは彼女も同様なのだからさもありなん。

 ましてや輝夜は万次郎以上に華奢だ。

 荒事の場へと連れて行くのに抵抗を覚えるのは普通であった。

 

「なにしてんの」

 

 もっとも万次郎は気にしない。

 読書へ勤しむ輝夜の背後に周り込むと、彼女のランドセルを両手で押して少年へ促した。

 

「早く案内してよ。たい焼きがうちで待ってるんだ」

 

 そうして迎えに来たにもかかわらず、なぜだか不承不承の顔をして二人を案内する少年。彼は自身が「マイキー」と呼んだ存在を知らなかった。

 彼は自身が心配した輝夜という少女を知らなさ過ぎた。

 

「チィーッス呼んできましたよ~」

 

 輝夜と万次郎の案内された場所は、通学路からさほど距離のない駐車所。屯していたのは七人の中学生。全員が不良を服装で主張する典型で、わかり易く中央に踏ん反り返る集団の頭が見えた。

 

 だから。

 

 駆け出したのは同時で、跳躍したのも同時であった。

 ならば当然の様に着地も同時で然るべきだ。

 肉を踏み潰して、骨を砕く音がした。

 重く水々しい音が其れに連なり、次いで軽快な着地音が二つ鳴る。

 

「群れてしか行動できない奴らが……オレたちになんの用?」

「……たち? ねえ、私を数に含むの止めてもらえない?」

 

 呆然となる場に堂々君臨した二人の小柄な小学生。ひとりは桜色のシャツに合わせた同色のカーディガンをまとい、ロング丈のスカートを着こなす絶世の美幼女。ひとりは黒のジャージで少女と同程度の体躯を誇る美少年。とても体格の優れた中学生を相手には出来ないであろう二人はしかし、この場の誰よりも強者の風格をまとう。

 

「オレが七小のマイキー様で」

 

 威風堂々と振り向き様に名乗りを上げる万次郎。輝夜は皆が聞き入るその隙に、これ幸いと手近の一人の腕を優しく取った。

 

「へ?」

 

 瞬間。

 躊躇なくコンクリートの地面を目掛けて頭から投げ落とす。

 相手の体重と身長差を利用した投げ技。近年しばらく輝夜の十八番となっているその合気の技は、殺意の高さを窺わせるには十分であった。

 実際に病院送りとなった性犯罪者の数は十を超す。

 

「ソイツが七小の戦姫、輝夜姫だ」

「それやめて」

 

 残りの面々はさながら蜘蛛の子を散らす様に逃げ去った。

 

「おまえ四小のドラケンだろ? おまえみたいにカッケー奴がさ、なんであんなカス共とつるんでんだ? オレたちの友達になれ! ケンチン!」

「また私を数に入れたわね? ほんといい加減にしなさい」

 

 これが後の東京卍會三トップの出会いである。














【男】
流行病に苛まれて三〇代で死亡。
死の恐怖へ堪え切れずに発狂後、趣味であった転生物に縋り付いて現実逃避を行う。
大好きなフィギュアは東方Projectの蓬莱山輝夜。
最期に目にした本のタイトルは東京卍リベンジャーズ。
これが果たして転生なのか、男の夢なのかはわからない。


【蓬莱山輝夜】
東京卍リベンジャーズの世界に蓬莱山輝夜の容姿で産まれた少女。
前世の男の記憶はないものの、知識として男の死の間際の妄想の類がインプットされてしまっている。
しかし自分の生きる世界が東京卍リベンジャーズの世界であることは知らず、蓬莱山輝夜のキャラクター情報はある程度を把握しているものの、東方Projectの情報は穴抜けだらけで曖昧。もっとも全部覚えていたとしても役に立つかは不明である。

曲がりなりにも男の魂を継いでいるので趣味趣向が完全に男寄り。
女言葉で少女趣味の服装をしているのは、前世で男の狂気の果てにインプットされた蓬莱山輝夜への愛ゆえであり、好むのはあくまでも蓬莱山輝夜らしい物のみである。

柔術、合気道、テコンドー、空手を嗜む超武闘派絶世美幼女。
頭も良いが科学系統だけは何故か苦手で克服できない。


【佐野万次郎】
小学校入学時に輝夜に一目惚れした。
絶対に、死んでも、輝夜を手放さないと決めている。


【ドラケン】
なんだこのことばでいいあらわしようのないちょうぜつびようじょは!


【どうして輝夜?】
輝夜良くないですか?

【どうして転生設定?】
百合要素を入れたかったから……?
こうすれば都合よくない……? ダメ?

【BL?】
いやぁ……うーん。

【GL?】
どちらかといえばそっち目指したいけど……

【言いたいことは?】
とりあえず息抜きに思いつきで書き殴ったから、詳しく突っ込まれると何も言い返せないのは必然。続くかは反応を見てからでいいっしょ的感覚で投稿してみました。
下の方のキャプションってなんですか……?
空欄で平気よね?
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