【完結】キアラの望みを叶えるために、全能の神が君臨するお話【挿絵有り】   作:ロウシ

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第二話:焼け落ちていく孤城の空、君を想う、誇り高く生きておくれ、愛しき人いざさらば

 

1.

 

 

「それで──結局のところ、おまえさん何がやりてえのよ?」

 

 ひと段落した間を縫って、超越者は神に問うた。

 それは、シンプルな疑問である。

 そして、ここにいる誰もが不安と畏れを予感しながら、抱いているものでもあった。

 願い、望み、渇望の果てにこの世に降臨したと、神は言った。

 それはいい。

 神の所業として──はいささかの傾倒を感じる部分はあるが──理解も納得も及ぶところだ。

 だが、望みとはなんなのか。

 それを願った者は誰なのか。

 それが、この特異点化したSE.RA.PHの有り様と、どう言う結びつきがあるのか。 

 要点はあやふやのままである。

 

「なぜそんなことを聞く? 俺がこの件について、数多い超越者の中から、相談と立ち会いの要点として、真っ先におまえの門戸を叩いたことは喩え用のない栄誉であって、恥辱や侮蔑の類ではあるまいて……」

「いや、おまえ単に、他の『四強(テセンス)』に嫌われてるだけだろ?」

「…………」

 

 神は、ほんの僅かに顔を俯かせた。

 苦い笑みを浮かべていた。

 深い笑みでもあった。

 何か、自身の記憶に思いを馳せているような…… 

 ひょっとすると、痛ましい表情かもしれない。

 ほんの少しだけ、寂しそうな顔でもあったからだ。

 

 そこから、撫で上げるように視線を昇らせた。

 各々を覗き上げる、その眼光が鋭い。

 妖眼極まる眼であった。

 その輝きは宝石のごとく碧眼のはずなのだが、見るもの全てを吸い込んで食い尽くす、夜を宿す目であった。

 この場にいる者たちの内臓を縛り上げる視線でもあった。

 神は、ゆっくりと口を開いた。

 懺悔を言葉とする時のそれと、よく似た動きであった。

 

「全能者に対し多弁は無要と考えるが……察することも出来ぬほどに耄碌したのか? ()()()()まだ若造の時分でありながら……悲しいことだ、友よ」

 

 と、神の言葉は要領を得ない。

 煽りつつ、聞くからに論点をずらしている。

 む、と超越者が下唇を尖らせた。

 思い当たる節が、ないわけでもなかった。

 

「へいへい、そりゃあねぇ」

 

 超越者はなげやりに、ソファにもたれかかった。

 ひどく人間的な言動である。

 

「だいたいのこたあ、わかってるよ」

 

 顎を引いて、神を見据える。

 しかし、その目はいささかやる気が感じられない。

 つり目が垂れ下がって、半目開きである。

 

 説教院祈荒とかいう、オンナのことなんだろ?

 

「殺生院キアラだバカ……ワザと言ってるだろ、おまえは」

 

 紡がれた名前を聞いて、身を震わせたのはエミヤたちであった。

 カルデアの三騎は三騎とも、身をぶるっと震わせて、表情をどんよりと曇らせた。

 

「ごめ、ごめんあそばせ。(わたくし)、急に吐き気がする思いなのですが……」

「う、うむ……な、なぜか余も、その名に薄ら寒いものを感じるのだが……?」

 

 玉藻の前が、おえっぷと嗚咽に喉を鳴らす。

 ネロが両肘を抱えてぶるりと身を揺らした。

 男は二人を見て、ははぁんと口角を片方だけ吊り上げた。

 

「ほーら、()()()()。そのオンナは玉藻サンたちのこと、嫌いなんだなあ」

 

 ころころと笑うその顔は、童子のようであった。

 エミヤだけが眉を顰めていた。

 いや、彼はいつも、緊張の場面ではこのような面持ちを欠かさないが。

 ことこの時に浮かべるそれは、細かなシワに怒りさえ滲んでいた。

 

 そりゃあそうだ。

 神は言った。

 自らの目で見たのか、予見していた言葉であった。

 

「ある世界においては、彼女は『魔性菩薩』であり、ある世界では救世主──"光り輝ける者"に、なりうる存在だった女性だ」

 

 すなわち、覚者の資格さえあっただろう。

 神の言葉は単語のひとつひとつに憂いを帯びていた。

 その表情が、この世界に()()という、彼女に降り注いだ無為無情を物語る。

 つまり、この神の知る、この世界のキアラはそうはならなかったのだろう。

 

 それはそれとして、超越者たる男は魔性菩薩なる言葉に秘められしほのかなえっちさを読み取って、頬を赤らめていた。

 

「普通には生きられない宿業を背負った女性だった」

「……みたいだなぁ。おまえさんの苦悩は読み取るまでもねぇ。こっちの心ん中に、警鐘の如く鳴り響いてくるよ」

 

 共感と同情、痛み入る。超越者よ。

 目を伏せながら、神は言った。

 いいよ、別に。と超越者は返した。

 

「──んで、その子を救うために、おまえさんは降臨してる……ってコトでいいのかい?」

「厳密には違うが、概ねはそうだ」

 

 神の言葉が、再びしなやかさを帯びた。

 碧眼が、夜の目が超越者──ではなく、エミヤたちを見た。

 エミヤは両脚に力を込めた。

 流石は全能者、神の視線。

 気を抜けば、この場で尻餅をつきかねない破壊力があった。

 

「俺は、彼女の『鞘』となるべく……今、ここにいる」

「────!」

 

 言い切った。

 迷いのない言葉であった。

 紛れもない神の真言であった。

 エミヤは、心に突き刺さった言い表せぬ衝撃に、その目を見開いた。

 この言葉は、オレに向けて放たれている……?

 

「つまり、彼女は『剣』か」

 

 踏ん張る力の代わりに言葉を失ったエミヤの言葉を代弁するように、超越者たる男が聞いた。

 神は、変わらず。

 その鋭い視線をエミヤに釘付けている。

 

「そうだ。俺は、彼女の自分以外の全てを『斬って繋がん』とする超越性を、あるべき深層に収めんと考えている」

 

 神はかく語りき。

 

 殺生院キアラ。

 この世界の彼女は、ネロたちの記憶の深層に、朧げに色めくそれとは、まるで違った生き方をしている。

 救世(ぐせ)の主となりうる力を、なんとか自身の内に納め、コントロールしようともがいていた。

 そして、その人生は中々にうまくいっていたのだ。

 それが、今回の変質によって変わってしまった。

 この変質は、彼女が望んだものではない。

 セラフィックスの壊滅と、彼女の変質は厳密には別の事象だ。

 それだけではない。

 

 セラフィックスの異常。

 殺生院キアラの変質。 

 カルト化したコミュニティの殺戮。

 そして、カルデアの介入。

 

 この四点は、厳密には個別の出来事と言い切れる。

 しかし、それを、殺生院キアラがひとつの流れとして組み込んでしまった。

 変質した彼女は自身を抑制する気がない。

 収むるべき力と欲望を湧き出るがままに外に垂れ流し、彼女はそれをコントロールする気がないのだ。

 

「……てっとりばやく、過去に介入しないのは、なんでよ?」

 

 超越者のそれは、彼らにとっての常識でもあった。

 現代──あるいは未来で問題が起きた場合の解法のひとつ。

 過去改竄、あるいは現時点から未来においての現実改変。

 エヴェレット的解釈による分岐的多層世界の発生を抑えつつ、あえて単一規格の時間軸に集約を行った状態で過去改竄を行うことで、並行世界(パラレルワールド)の分岐を赦さず時間的矛盾点(タイムパラドクス)を消化し、未来を改変する。

 ある点の過去からある点の未来までの、全ての現実を改変することで、発生しうる時間的矛盾を単一規格の時間に半ば無理やり溶かし込んでしまうのだ。

 全能者の中でも、その極みにある神にとっては、どれも容易いコトのはずだ。

 

「それは、無理なのだ」

 

 なぜ?

 

「超越者に時間に起因する能力が通じぬ例と同じだ。殺生院キアラは、この世界の時間線の先では『(ビースト)』という存在に成り立つ。これは、この世界の──というより、この惑星の人類全史が招く、いわゆる反作用が凝り固まって抽出したものだが……この存在の特性として、()()時間点に出現した時点で、()()時間点に存在する『(ビースト)』は普遍的な周波のもたらす時間改変の影響から外れてしまうのだ」

 

 だから多層世界化を抑えた状態で過去改竄をしたところで、この世界における殺生院キアラが『(ビースト)』となる未来は変えられぬ。 

 仮に、その瞬間までの殺生院キアラが"光り輝けるもの"であったとしても、その時間点に差し掛かった瞬間に『(ビースト)』へと変成するだろう。

 

「つまり……存在そのものが時間的必然点(イネヴィタヴリィ・ポイント)化しちまうのか」

 

 厄介だな、そりゃあ。

 存在の固定化。

 自身が時間と空間に、自意識を持った楔となる。

 下手にいじれば世界ごとバグるやつだわな。

 神は、ああ、厄介極まる。と言った。

 尤も、と男は返した。

 

「おまえさんなら、その事象を丸ごと書き換えるなり、その……キアラちゃんが『(ビースト)』に成り果てた未来ごと、隔離してどっかしらに棄てられるだろうに」

 

 可能だ。

 神は言い切った。

 だが、過去改竄を行わぬ理由は他にもある。

 ある種、こちらが最も重要な問題点だ。

 

「俺の脳内から情報を抜き取ったおまえに、今更言うまでもないことだろうが……幼き彼女(キアラ)は、神仏と祈りに絶望しているのだよ」

「──! ……あーなるほど、そりゃあムリだわな」

 

 超越者は納得だわ、と頭を掻いた。

 どういうことだ、とネロが聞いた。 

 超越者は神に視線を投げかけ、そのかすかな頷きを確認してから、神の代わりに、ネロに答えた。

 

「ええと、ちと説明が難しいんだが。再三言うけどこいつは神だ。ヒトの祈りと渇望の果てに願いを叶えるこたぁできる。つまり、信じる者は救える、ってコトだが……」

 

 あ! とネロは反射的に口を開いた。

 気づきであった。

 それは、神への敬虔さに親しみ深い時代と(ローマ)の皇帝たる彼女には、端っからあり得ないと切り捨てられる考えであった。

 神の在り方と、予想できる幼きキアラの内面の矛盾に、気付いたのだ。 

 それを見て、超越者はうんうんと頷いた。

 流石はローマ皇帝、ネロ・クラウディウス。

 頭がキレるねえ。

 

「祈りそのものを拒絶する者──つまり、神には『神を信じぬ者は救えない』のさ」

 

 そうなのだ。

 神は、願いと渇望の果てに現界している。

 そして、その願いを捧げたのは、セラフィックスに存在する殺生院キアラである。

 元々、彼女は幼き経験から、神仏の類に寄りかかることを止めている。

 それは無理のないこと。

 責める気は、神にも、神から情報を抜き取りそれを知る超越者にも、なかった。

 幼き少女を誰が責められよう。

 言葉と祈りのみを与えられ、苦しみの中に置き去りにされた少女の絶望を、誰が責められようか。

 それを思えば、『誰でもいいから』と捧げた今回の彼女の『祈り』が、どれほど彼女が追い詰められていたのかを雄弁に物語っている。

 

 神は真剣な眼差しであった。

 妖気溢れていたその眼光が、鋭気へと変質している。

 全てを飲み込む夜の目が、星々を貫く彗星の視線となっていた。

 それは、深々とした覚悟をみなぎらせていた。

 

 おまえは俺に、なぜ過去に遡り彼女を救わないのかと尋ねた。

 今、この瞬間に、俺の全知全能を持ってコトを収束させぬのかと問うたな。

 その答えがそれだ。

 幼きキアラが求めるものは『神』ではない。 

 いや、今この時をもってしても、殺生院キアラが求める救い手は神仏ではないのだ。

 その経験から、己の中に棲まう絶望から、神の奇蹟を彼女は拒絶する。

 だから、俺は二〇一四年に殺生院キアラがセラフィックスに降り立つのと同時に現界し、彼女の渇望をより深く探ることをした。

 

「んで、その結果が『鞘』か」

 

 そうだ。

 

「剣には、使い所というものがある。普通、どんな世界でも抜き身の刃を腰に挿す間抜けはいない。刀身を常に翻して、城下王道を悠々闊歩とはいかないだろう?」

 

 ()を持つものは特別ではない。

 異端者は必ずしも異能者ではない。

 それは、刃は、ヒトならば、命ある者ならば、誰しもが持ちうるものだからだ。

 力を持つことは特別ではなく、罪でもないことは言うに及ばず。

 ヒト(生命)の罪は存在そのものなのだから。

 全ての人は、全ての命が生まれながらにして死刑を待つ罪人に他ならぬ。

 ならば、心に刃を秘めたることがなんの罪であろうか。

 それは罪ではない。

 それを錆び付かせるか、磨き上げるかは人それぞれだろうがね。

 だが──それを他者に察することを赦さない賢者と、それを持ってヒトを奮い立たせるものは……まあ、特別と呼んでもいいだろう。

 

「常に刃を光らせる剣は嫌われる……普段は収まるべき鞘に収まり、抜く時となれば紫電一閃……」

 

 それが、『(つるぎ)』の在り方というものだろう。

 刃とは秘めたる力。

 ならばそれを収むる鞘とは、そのものが持つ品性の露出なのだ。

 俺は、力を持つ存在の振る舞いは、すべからく剣と鞘の関係性に集約できると確信している。

 

「信じるものを(ハラ)に抱える者は堕落しない。心に刃を携えるものは不条理に屈することはない。それは、人も神も変わらん」

 

 なぜなら、時空間に依存する限り、人の世にある限り。

 人も神も、情報を敷き詰めた細胞の塊にすぎないからだ。

 この世に存在する全ては、高濃度の情報体……その視点で見れば、ここにいる誰もが、『我と彼』の違いはない。

 

「この俺を含めても、だ」

 

 その視座を現すものが、この世界にもあるだろう?

 

「全は一、全てはひとつで元々……つまり、『根源』か……」

 

 そうだ。

 全てがそれに至るならば。

 全てがそこから始まり、そこに帰るものならば。

 この世界においても、人は人と寄り添えるはずだ。

 それは、神とですらそうだ。

 だから、人と()は、剣と鞘の関係でいられる。

 だから、神代に人と神は寄り添えたのだ。

 共に戦い、共に生きることができた。

 人は神を敬い、神は人を慈しんだ。

 

 心に信ずるものがあり、力を刃とするならば、自戒の念を鞘とした。

 あるいは、それを他者に求めた。

 時にはヒトが、時には神が。

 お互いの姿形に敬意を見出し、学び続けた。

 それてありながら、やはり古来の神々と人々は、殺意と敵意を磨き上げた刃をも交えたのだ。

 いざというときに、躊躇いなくそれを抜き放ち、己の尊厳と家族を守るために、例えどんなに強大な敵であろうとも立ち向かった。

 敵を斬るは己の影を斬るも等しい。

 だから、同時に生ずるそれらを、力持つ者は普段から身の底に沈め、自らの悪を自らの(うち)──内在する宇宙(ソラ)で諌め続けた。

 

 そこにこそ、人と神の真実がある。

 真実とは目に見えぬもの。

 関係性に生ずる目に見えぬものは、悉く真実に他ならない。

 愛に、その本当のカタチがないように。

 美に、その本当のカタチがないように。

 目に見えぬ空白に、人は敬虔なる態度を示した。

 真実は時として救いと成り、時として滅びとなった。

 ()を殺し、()を生かした。

 だからこそ、現世に置いて関係性の真実を。

 その構図を最も形容する物質は、やはり『(つるぎ)』と『鞘』なのだ。

 

「俺は『神』としてキアラを救えん。なぜならそれを、キアラが望んでいない」

 

 だから、鞘となろうと考えたのだ。

 神としてではなく、人としての『ゴウ』として降り立ち、彼女と生活を共にする中で、その想いは強まっていった。

 俺は、こう見えて一度、はっきりと彼女の手を引かんと、頑張ったのだがね。

 

「あえなく失敗した──と」

 

 虚しくな。

 と超越者の言葉に、神は自身の言葉をかぶせた。

 なるほどなるほど、と超越者は腕を組んだ。

 そして、噛み砕いた言葉の数々を、より簡単な言葉でまとめ上げた。

 

「つまり──俺たちは、今、壮大な()()()()を聞かされてたってワケだなあ」

「………………」

 

 神は、何ひとつ答えなかった。

 反応がない。

 その目が、静かに閉じられた。

 深い息を吐いた。

 熱がある。

 ほんのりと。

 締まらない神の反応と対照的に、真剣な顔で神を睨んでいたエミヤや玉藻たちが、瞬時に絵も知れぬ苦痛に顔を歪ませた。

 

 だが、なにより。

 

「そっちの子、もはや女の子がしてはいけないレベルで顔が苦悶に歪んでるけど、大丈夫なのかい?」

 

 カズラドロップの神を見る眼が、軽蔑に染まっていた。

 眉を顰め、汗を垂れ流し、口をへの字に曲げて、薄く開いている。

 信じられぬものを見て、悍ましい音を聞いた顔であった。

 率直に言って、神のことをキモがっていた。

 

「この子は大元(BB)からして色恋沙汰に抱えているモノがあるだけだ」

「いえ、ストレートに言ってキモいですし、申し訳ないんですが何もかもが理解できません。掛け値無しの全能者が、いくら『(ビースト)』に至るとはいえ、下界の女の人生ひとつに決死で駆け回るサマは、滑稽がすぎるのでは?」

 

 神は、悪辣としたカズラドロップの言葉を受け止めて、微笑みを浮かべた。  

 口角をわずかに上げて、それから歯を見せて、無邪気に笑った。

 その通りだ、と明るく笑った。

 

「だが、ひとりでやるバカは恥ずかしいだけかもしれんが……二人そろえば分かち合えるだろう?」

「ちょっと待てや。ってえこたあ、おまえさん、てめぇの色恋のためだけに俺を巻き込んだってことかい」

 

 そうだ。

 ……なんだ、存外頭は鈍いんだな。

 キレの良さは弟子に劣るんじゃないか?

 まあ、それもおまえの長所なんだろうな。

 

「バカにしてんのかホメてんのか、どっちだよ」

 

 それはどっちもだよ。

 相反する両者は並び立つこともある。

 ふふ、人らしいではないか。

 

「質問をいいか、神とやら」

 

 エミヤであった。

 

「おまえはBBと組んでいるのか?」

 

 神はにこりと笑って肯定を示した。

 

「BBの()()()とは、ね」

 

 ひとり?

 神は続けた。

 

「BBは──」

 

 いや、正確には続けようとした。

 だが、それは部屋中に響いた甲高い声に止められた。

 

『ちょっと待ってくださいね! ネタバレも度が過ぎるとチートを通り越して外付けハッキングになっちゃいます! いやもうアナタたちはそう言う存在なんでしょうけどね、言葉に出すと流石にムカついちゃいますよ。もう! 神さまとはいえここは今現在の(BB)の世界です! 過度なネタバラしと展開の先読みは許せませんよ見過ごせませんよー!!』

 

 それは、言うまでもなくBBの声であった。

 どこからか、彼女はふわりと降り立った。

 神の背後であった。

 その表情がむくれている。

 神は顔を半分そらして彼女を見た。

 

 申し訳なさそうに、笑っていた。

 怪しい美を秘めた、笑みであった。

 

 

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