ガンダムブレイカー・シンフォニー   作:さくらおにぎり

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 応募されたオリキャラ放出はこれで最後になります。


9話 汚いカミーユ、もしくは若かりし頃のウルベ

 リンとのデート(他人視点)、コノミとのデート(コノミ視点)と来て、次に待ち受けていたのは、期末考査である。

 

 このテスト勉強及びテスト期間中は、リョウマとコノミは『甘水処』のバイトには勤しむことはない。

 

「勉強会、しよっか」

 

 チサのこの発言が始まりであった。

 

「ありがとう。四月の範囲がわからないから、チサちゃんに教えてもらおうと思ってたの」

 

 とは言え、五月半ばに越してきたミヤビはそれ以前の授業範囲を知らないのでそこを教えると言う意味合いが強いのだが。

 

「ミヤビちゃんに四月の範囲も教えようと思うんだけど、リョウくんも一緒に勉強会する?」

 

「そうさせてもらうか。場所は……学園の図書室は空いていないかもしれないし、学園近くの図書館にするか」

 

 集団で集中的に何かを取り組む際、個人宅だと余計なものも多いために集中出来ない可能性が高い、として図書館と言う場所を挙げるリョウマ。

 

「あそこの図書館だね。早速今日から始めようと思うんだけど、リョウくんとミヤビちゃんは大丈夫?」

 

 予定などは無いかと訊ねるチサ。

 

「私は大丈夫よ」

 

「この期間中は『甘水処』の勤務も無いし、俺も問題無しだ」

 

「お、勉強会かい?俺様も混ぜてもらおうかな」

 

 ふと、そこへ唐突にやって来るのはハルタ。

 リョウマはこの場にやって来たハルタの思惑を瞬時に読み取った。

 

「ハルタ。当たり前だが、お茶会をするわけじゃないからな?」

 

「当たり前だマイフレンド。この、緑乃愛のブレインと呼ばれる俺様も学生だからな、少しは真面目に勉強するさ」

 

「これで学年一位なんだから、世の中理不尽だよな」

 

 意外かもしれないが、ハルタは一年生の頃から常に成績は学年一位を保持し続けている。

 普段はナンパすることばかり考えているこの男のどこにそんな頭脳があるものか。

 

「チサ、ミヤビさん。このハルタ(アホ)も混ぜていいだろうか?」

 

 一応、リョウマは女子二人に確認を取る。

 

「うん、いいよー」

 

「えぇと……大丈夫?」

 

 チサは普通に頷き、反面ミヤビは少し苦笑している。

 

「大丈夫だよチサちゃん。ハルタくんが変なことをしたら、すぐにでもつまみ出すからね」

 

「そして、そのつまみ出す役割は俺に任せてもらおう」

 

 むしろチサもリョウマも、最初からハルタをつまみ出す気満々である。

 

「やれやれ、安定して信用が無いねぇ……」

 

 対するハルタは、自分の評価が想像以上に下回っていることに、少し肩を落としたのだった。

 

 

 

 放課後はチサとリョウマのプラン通り、学園から徒歩十分ほどの距離にある図書館に向かい、勉強会だ。

 広めの机の一角を占拠、念には念を押して、ハルタの隣にリョウマ、その向かいにチサが着くことに。リョウマの向かいがミヤビになるのだ。

 

「それじゃぁミヤビちゃん、四月の範囲から教えていくね」

 

「お願いします、チサちゃん先生」

 

 女子二人がノートと教科書を開くのを見て、リョウマとハルタの男子二人も同じように教科書とノートを開く。

 

「さて、真面目にやりますか……」

 

 ………………

 

 …………

 

 ……

 

 一時間が経過した頃。

 

「それで、ここは期末にも出すって宣言してるくらいだから、必ず押さえるポイントで……」

 

「うんうん……」

 

 チサとミヤビの小声と、ページをめくる音、ペンを走らせる音ぐらいの静音の中。

 不意に、リョウマは自分の左足をトントンと突かれる。

 左隣にいるハルタからの応答だ。

 集中している女子二人は、前にいる男子二人の様子には気付いていない。

 リョウマは目線だけをハルタに向けると、彼はノートの端を指す。

 

『新着情報アリ。後で付き合え』

 

 そう書かれていた。

 こくりと小さく是正して、リョウマは視線を自分のノートに戻した。

 

 

 

 時計が18時を指した時、チサのスマートフォンからヴァイブレーションが発された。

 終了時刻だ。

 

「はい、今日はここまででーす」

 

 チサの終了宣言により、今日の勉強会は終了。

 

「お疲れ様でーす、んぅ……っ」

 

 ミヤビも背伸びして、勉強道具を片づけていく。

 

「悪いチサ。今日はハルタと帰らせてもらう」

 

 リョウマは、先に要件をチサに伝える。

 

「ごめんねチサちゃん、今日はリョウマを借りるよ」

 

 ハルタも小さく会釈すると、パッと荷物を纏めた。

 

「うん、また明日ねー」

 

「オウサカくん、ナガイくん、またね」

 

 女子二人に見送られつつ、リョウマとハルタは足早に図書館を後にしていった。

 

 すぐに人気の無いところに移動してから、リョウマは早速用件を訊ねる。

 

「それで、新着情報って言うのは?」

 

「とりあえずこれを見てくれ」

 

 ハルタはスマートフォンを操作して、編集した画像を見せる。

 画面には多数の写真が貼り付けられており、いずれもバトルシミュレーター上、それも乱入者に敗北したのか、溶かされて原型を留めていない。

 

「なぁリョウマ。この画像を見て、何か気付かないかい?」

 

「何かって……」

 

 リョウマは画像を注視する。

 原型を留めていないとは言え、元は何のガンプラだったのかは読み取れる。

 いずれも、1/144スケールとしてはやや小柄で、背部の十字型のスラスターを持ち、

 

「ッ!!」

 

 ゾワッ、とリョウマは背中が粟立つのを感じた。

 

「気付いたようだね」

 

 そのリョウマの様子から、理解したようだとハルタは頷いた。

 

「これ、まさか……『全部クロスボーンガンダム』か?」

 

「ご明察だ。バウンド・ドックやガンダムグレモリーだった時の被害も、全てクロスボーンガンダム系のガンプラだった。……リョウマが狙われているのは分かっていたけど、まさか『クロスボーンガンダムだけを狙って乱入している』とは思わなかった。俺様としたことが、こんな単純な仕組みにも気づかなかったよ」

 

 まるで『イノベイド』の判別方法みたいだ、とハルタは嘆息ついた。

 

「確かに俺はクロスボーンガンダムをよくバトルに使っているが……だからといって、これはあまりにも無茶苦茶だ」

 

「つまり、クロスボーンガンダムを使わなければ乱入されることは無いってことだろうし、逆に言えば……『クロスボーンガンダムを使えば意図的に乱入を誘発出来る』ってことだろうね」

 

 ハルタはニヤリと口角を歪めた。

 

「リョウマがX1を使った上でバトルをすれば、乱入者を燻り出せると思うんだが、どうだろう?」

 

「なるほど、ノコノコやって来たところを捕まえられると言うわけか」

 

 これまでは乱入されてから対応するばかりであったが、ここからは『乱入されるのを待ち構える』ことが出来る。

 その乱入のトリガーがクロスボーンガンダムのガンプラだとするならば。

 

「リョウマ、今X1はあるかい?」

 

「ある。……やるか?」

 

「何のためにチサちゃんやシミズさんを除いて呼び出したと思っているんだい」

 

 スッ、とハルタはガンプラのケースを覗かせた。用意周到な男である。

 

 

 

 駅近くのデパート内に併設されているゲームコーナーに足を向けた二人は、オフラインマッチングを行い、1on1を選択する。

 

「乱入者に怪しまれないように、最初は普通にバトルしているフリをしておこうか」

 

「了解だ」

 

 リョウマとハルタの一騎打ち……と見せ掛けた協力プレイである。

 

「準備はいいかい、リョウマ」

 

「いつでも……」

 

 ランダムステージセレクトは『コンペイトウ暗礁宙域』

 

 原典は『ファースト』からで、ジオンの要塞ソロモンが陥落した後、制圧した連邦軍によって名付けられた名称が『コンペイトウ』である。

 ここで現れるのはララァ・スンのエルメスであり、ビットによる超長距離射撃によって連邦軍の艦船やMSを次々に撃墜、(一般パイロットからして)どこから放たれたかも分からないビーム攻撃を放つことから、連邦軍に『ソロモンの亡霊』と恐れられた。

 ソーラ・レイによって灼かれたソロモン(コンペイトウ)の破片や、エルメスが撃墜した艦船やMSの残骸が漂うこの場所は、まるで宇宙の墓場だ。

 

「……いいね、正体不明の敵と遭遇するんだ。このシチュエーションはマッチしている」

 

「やめろ、意味も無くフラグを立てるな」

 

 軽口を叩きあって緊張をほぐして、出撃だ。

 

「オウサカ・リョウマ、クロスボーンガンダムX1、出撃ぞ!」

 

「ナガイ・ハルタ、ガンダムキマリス、俺様見参!」

 

 

 

 出撃してすぐにリョウマは、グングニールを構えながら突進してくるガンダムキマリスの姿を視認する。

 

「対処しているフリ、出来るだろ?」

 

「まぁな」

 

 ガンダムキマリスはかなりの速度が出ているが、長距離から真っ直ぐ突っ込んで来るだけだ、リョウマの操縦技術なら楽に避けられる。

 そして、対処する素振りを見せるために、散発的にバスターガンで反撃するが、それはガンダムキマリスのナノラミネートアーマーによって弾かれる。

 

 それを何度か繰り返したところで、事は動いた。

 

 不意に、遥か彼方からガンプラが出撃するためのゲートが現れた。

 

 ゲートから放たれてくるのは、漆黒の装甲と、その内側に輝く黄金色のフレーム。

 背部には一対の巨大な鎌のような形状をしたバックパック。

 右腕の関節だけは金色ではないが、代わりに三本の突起物を内蔵した盾を持っている。

 

「今度はゴールドフレーム天か……バリエーション豊富だな」

 

 その機体――『アストレイゴールドフレーム天』を見て皮肉げに呟くリョウマだが、即座にビームザンバーとバスターガンを連結させてザンバスターを組み上げる。

 

「金枠天か。ちょいと面倒な相手になるね」

 

 突進から反転してきたハルタのガンダムキマリスも、その黒金色の姿を確認する。

 

 原典は『SEED ASTRAY』で、ヘリオポリスで極秘に開発されていた"プロト01"と呼称されていたアストレイシリーズの一機。

 

 ジャンク屋のロウ・ギュールがヘリオポリスに訪れた時には右腕しか発見されなかったが、後に『右腕のないゴールドフレーム』と対峙した際は、左腕にデュエルガンダム用のレールバズーカ『ゲイボルグ』を担いだ姿であった。

 

 ロウ達が地球に降下してからは、ブリッツガンダムの右腕と、その攻盾システム『トリケロス』(後に改となる)とミラージュコロイドシステムを装備、さらに外装を黒く塗装された姿でギガフロートへ襲撃を行い、最終的には背部コネクタに特殊装備『マガノイクタチ』を搭載した"完成体"でロウのアストレイレッドフレームを翻弄するが、叢雲劾のアストレイブルーフレームセカンドLが援護に現れて形勢を逆転され、ロウが見逃したところを背後から襲うもののそれも失敗し、即座に劾によってコクピットを破壊され、パイロットであったロンド・ギナ・サハクは戦死する。

 

 この後破損したゴールドフレーム天は、ギナの姉であるロンド・ミナ・サハクによって再改修を受けて『天ミナ』となる。

 

 続々編である『天空の皇女』では、ミナの養女として選ばれた風花・アシャーが受領、外装を白銀色に塗装されて『天ハナ』と改名、小破した際にレアメタルΩを使用して改修された『天ハナ改』に、さらに風花が強引にサハク家当主の座を戴いて即座にラス・ウィンスレットが風花の養女として機体を受領した際に、ミナの命名により『アマテラス』と名付けられ、『アストレイゴールドフレームアマテラス』として再々度に生まれ変わり続けている。

 

 この暗礁地帯と、ミラージュコロイドを備えた機体との組み合わせは最高だ。

 遮蔽物であるデブリに紛れながら、時折ミラージュコロイドによるステルスアタックを仕掛けられるのだ。

 

 尤も、それと相対する側であるリョウマとハルタにとっては、これっぽっちも嬉しくないのだが。

 

『ふむ、この状況は……そこのクロスボーンとキマリス。君達が私の相手か?』

 

 すると予想外にも、相手の方から広域通信が発された。

 

「(通信?……俺達の思惑が読まれているのか?)」

 

 相手からの通信と言う、これまでにない状況にリョウマは少しだけ認識を改めつつも、強気を演じて応じる。

 

「そうさ。お前のお望みの相手の、オウサカ・リョウマだ」

 

『ご丁寧なものだな。私は『ゲンドウ・ミナル』だ』

 

 

【挿絵表示】

 

 

 モニター越しに見えるのは、ロンド・ギナにそっくりな男性。

 サハク家特有の衣装ではなく、スーツ姿なのが異なる点を除けば、まさに本人と見まごうレベルの類似だ。

 

 リョウマが敢えて名乗り出ている間に、ハルタはガンダムキマリスをデブリに紛れさせながら迂回して様子を窺う。

 隙あらば、死角から仕掛けられるように。

 

「お前は俺のことが大層気に入らないらしいが……だからといって、その他大勢の人間を巻き込んでまで行うことか!?」

 

『……何を言っている。私はオウサカ・リョウマの名など知らんのだが?』

 

「あくまで白を切るつもりか。乱入しておきながらよくも口から出任せが出るな……!」

 

 ギチッ、とリョウマは自分の奥歯を軋ませた。

 ただ一人を貶めたいがために、どれだけのクロスボーンガンダム使いが悲しみ涙を飲んだことか。

 だからこそ、この男はここで徹底的に心をへし折ってやらねばならない。

 

「ならここで教えてやるよ。お前が俺を倒すなど、それこそ十年早いってな!」

 

 クロスボーンガンダムX1は迷いなくザンバスターのトリガーを引き、アストレイゴールドフレーム天のバイタルバートを正確に狙う。

 対するアストレイゴールドフレーム天は、マガノイクタチを翻してビームを避ける。

 

『何を勘違いをしているかは知らんが……私の筋書き通りに、散れ!』

 

 瞬時、トリケロス改に内蔵された高エネルギービームライフルを撃ち返してくる。

 リョウマは操縦桿を捻ってビームを躱し、迂回するように加速しながら距離を詰めに行く。

 ちょうど、その反対サイドから回り込んでいるハルタのガンダムキマリスと合わせるように。

 クロスボーンガンダムX1は中距離からザンバスターを連射して牽制、アストレイゴールドフレーム天の挙動を誘導する。

 

「ハルタ!」

 

「了解、巻き込まれるなよ」

 

 ザンバスターと高エネルギービームライフルの交錯が数度繰り返された時、頃合いとばかりガンダムキマリスがサラミスの残骸の陰から飛び出した。

 グングニールの切っ先を向けて、アストレイゴールドフレーム天の死角目掛けて突撃。

 

『フン、死角からであろうと来ると分かればな』

 

 対するアストレイゴールドフレーム天は見向きもせずにガンダムキマリスの突進を身を翻すように躱した。

 

「どうかな?」

 

 が、突進を躱されるや否や、ハルタは左の操縦桿を引き倒す。

 すると、ガンダムキマリスの右半分のスラスターが沈黙し、左半分だけの推進力に加えて、肩部のバインダーによるAMBACが加われば、

 

 ガンダムキマリスは『ほぼ減速無しで』流れるようにぐるんと反転、回避したばかりのアストレイゴールドフレーム天へすぐさま肉迫する。

 

『ぬっ?』

 

 しかしミナルの反応も早い、マガノイクタチを振るって姿勢制御して再度の突進も避けてみせる。

 一度、二度と突進が行われれば、その間にリョウマのクロスボーンガンダムX1も次の動きに出ている。

 

「今だッ」

 

 ザンバスターからビームザンバーを抜き放ち、一気にアストレイゴールドフレーム天へ迫る。

 瞬間、アストレイゴールドフレーム天はトリケロス改からビームサーベルを発振させ、振り抜かれるビームザンバーと打ち合う。

 

『ならば、これはどうだ』

 

 ビームザンバーを弾き返して距離を取ると、突然アストレイゴールドフレーム天は溶け込むように『消えた』。

 ミラージュコロイドによるステルス機能だ。

 

「その弱点くらい理解している!」

 

 リョウマはクロスボーンガンダムX1を飛び下がらせつつ、アストレイゴールドフレーム天が消えた位置を中心にバルカン砲をばら撒く。

 ついでにガンダムキマリスもグングニールの120mm砲を連射して援護してくれる。

 広範囲に渡る銃弾に炙り出されて、アストレイゴールドフレーム天はトリケロス改で機体を守りながら姿を現した。

 

『やってくれるな……』

 

 ミラージュコロイドは強力だが、効果発動中はPS装甲が使えない、再発動までに時間がかかる、と言った欠点も含まれている。

 

「切り札の使い所を間違えたようだな……仕留める!」

 

 勝負所だと見て、リョウマはクロスボーンガンダムX1を再加速させて突撃する。

 だが、そこでハルタは待ったをかけた。

 

「待てリョウマッ、近付くな!」

 

 しかしその制止は既に遅く、怒りで視野狭窄に陥っていたリョウマは、その"罠"に足を踏み入れてしまった。

 

 不意にリョウマのコンソールに、明後日の方向からアラートが反応する。

 

「っ!?」

 

 クロスボーンガンダムX1の懐へと忍び寄っていたのは、ワイヤーに繋がれた一対のブレード。

 マガノイクタチの武装のひとつである、『マガノシラホコ』だ。

 どうやらミラージュコロイドで姿を消していた僅かな時間の内に展開し、リョウマ(もしくはハルタ)が接近して来たところに不意打ちをするつもりだったらしい。

 

「(間に合えっ!)」

 

 リョウマは即座にウェポンセレクターを開き、ビームシールドをダブルセレクト、両腕にビームシールドを発生させる。

 左側は辛うじて間に合ってマガノシラホコを弾き返したが、右側は僅かに間に合わなかった。

 

 マガノシラホコの刃が、クロスボーンガンダムX1の脇腹に突き刺さった。

 

「リョウマッ!!」

 

 

 

 リョウマ・ハルタのコンビと、ミナルのアストレイゴールドフレーム天とのバトル。

 それを遥か遠くのサラミスの残骸から傍観している者がいた。

 

 あのアストレイゴールドフレーム天が『迷い込んで来た』のは想定外だったが、これは利用できる。

 

 クロスボーンガンダムX1とガンダムキマリスは、アストレイゴールドフレーム天の乱入を捕捉するなり、即座に共闘を始めたところ、あのアストレイゴールドフレーム天の乱入を自分のことだろうと勘違いしているようだ。

 

 そしてアストレイゴールドフレーム天の方も、二対一ながら善戦しており、着実にクロスボーンガンダムX1を消耗させている。

 

 このまま撃墜してくれるなら最上、最低でも無駄弾を使わせるだけでも良し。

 

 すると、アストレイゴールドフレーム天はマガノイクタチからマガノシラホコを射出、クロスボーンガンダムX1を挟み込み――右のマガノシラホコがその脇腹へ突き刺さったのを見て、男は溜息をついた。

 

 それは、アストレイゴールドフレーム天への失望だった。

 

 少しくらいは消耗させてほしいところだったが、期待外れだったようだ。

 

 偶然とは言え元より捨て駒にするつもりだったのだ、捨て駒に結果を期待する方が悪いだろう。

 

 まぁ全くの無駄にはならなかっただけ良しとしよう、と。

 

 残骸の中に隠している機体の"ツインドライヴ"を起動させた。

 

 

 

 マガノシラホコの刃が、クロスボーンガンダムX1の脇腹に突き刺さった……が、そこまでだった。

 クロスボーンガンダムX1のコクピットブロックは胸部のホリゾンタルボディの中。

 つまるところ、ビームシールドの展開とA.B.C.マントによってワイヤーの動きを阻害したことで、マガノシラホコはそれよりも先に進まず、コクピットまで届かなかったのだ。

 

「あー……っぶねぇ、なァッ!!」

 

 両方のビームシールドを消し、ビームザンバーを手放してマガノシラホコのワイヤーを掴み、ブレードを脇腹から引き脱いたクロスボーンガンダムX1は、力任せにマガノシラホコをアストレイゴールドフレーム天ごと引き込んだ。

 

『ぬぉっ!?』

 

 仕留めたはずの相手がまだ生きていたことに、ミナルは一瞬操縦を止めてしまう。

 

「喰らっとけ!」

 

 引き込んだところに、クロスボーンガンダムX1は左腕からブランドマーカーを展開、アストレイゴールドフレーム天の頭部を殴るように焼き潰した。

 

『チッ、興が削がれた……』

 

 ミナルは吐き捨てるように呟くと、アストレイゴールドフレーム天はその場で回し蹴りを放ち、クロスボーンガンダムX1を蹴り飛ばすと同時に、掴まれている方のマガノシラホコのワイヤーをマガノイクタチから切り離す。

 

『私の筋書き通りにならぬ戦いなどくだらん』

 

 すると、突如としてリョウマとハルタのモニターに『WIN!!』のテロップが表示された。

 

「何っ……どう言うことだ?」

 

 不可解な勝利にリョウマは目を細めたが、ハルタがその理由を答えてくれた。

 

「あちらさん、自分から勝手にリタイアしたようだね」

 

「……奴はまだ十分勝ちの目が残っていたはず。それにしてはあまりにも早いリタイアだ」

 

 筋書き通りにならぬ戦いなどくだらん、などと聞こえていたが、まさか一から十まで想定通りに事が進むとでも思っていたのだろうか。

 

「いや、だとしたらこれまでのバトルだって、もっと早くリタイアしていたはずで……」

 

 リョウマがそこまで言いかけた時、不意にアラートが鳴り響き、同時にハルタのガンダムキマリスがそこへ割り込む。

 

 ――瞬間、高エネルギー体が彼方から放たれ、ガンダムキマリスの突き出した左肩に直撃するが、ナノラミネートアーマーの恩恵によって弾き返された。

 

「……リョウマ。どうやら第二ラウンドのようだ」

 

 神妙な声のハルタに、リョウマは半ば反射的にクロスボーンガンダムX1を身構え直させ、その方向を見やる。

 

 そこへ現れるのは、白を基調に青やダークブルーで塗装された、ダブルオーガンダムの改造機らしきガンプラ。

 両手にビームライフルを備え、太陽炉の部分にはフリーダムガンダムのような青い翼が生え、肘と脛にはさらに装甲が取り付けられている。

 

「なんだこいつは……?」

 

 これまでに類の見ないガンプラに、リョウマは緊張の糸を強く張り詰めた。

 ロックオンマーカーが示す機体銘は『ガンダムダブルオースカイメビウス』と表示されている。

 

「まさか、さっきのゴールドフレームは人違い、と言うか乱入違いで……本命はこっちか?」

 

「さぁね……だが、気を抜いていい相手でも無さそうだ」

 

 ハルタはガンダムキマリスのグングニールを構え直させて、ガンダムダブルオースカイメビウスなる機体と対峙する。

 すると唐突に、ガンダムダブルオースカイメビウスは両手のビームライフルを連射し、その狙いはやはりクロスボーンガンダムX1だ。

 

「やはりそうかっ」

 

 リョウマは操縦桿を捻り返してビームを避けつつ、回避行動に専念する。

 その間にも、ガンダムキマリスがグングニールを構えてガンダムダブルオースカイメビウス目掛けて突進を開始する。

 突進しながらも120mm砲を連射させて動きを阻害、誘導させ、その誘導先へガンダムキマリスを回り込ませていく。

 

「俺様の相手もしてもらおうか!」

 

 間合いに踏み込んだと見て、ハルタは操縦桿を押し出してガンダムキマリスを急加速させた。

 対するガンダムダブルオースカイメビウスは左腕のガードからビームシールドらしき光波体を発生させて防御の構えを取り――グングニールの切っ先とが激突した。

 だが、頑強かつ鋭利な大槍であるグングニールと、それを振るうガンダムキマリスのパワーを防ぎ切れるはずもなかったが、大した損傷もなくただ吹き飛ばしただけだった。

 

「ちっ、上手い具合に受け流したか」

 

 手応えの無さにハルタは舌打ちした。

 光波シールドで一瞬でも阻害し、その止めたほんの僅かな間で受け流しの体勢を取っていたのだ。

 吹き飛んだガンダムダブルオースカイメビウスへ追い打ちを掛けるのはリョウマのクロスボーンガンダムX1。

 

「脇腹に一撃もらったが……問題ない!」

 

 ザンバスターとバルカン砲を連射しながらも、ガンダムダブルオースカイメビウスへと接近を試みる。

 ガンダムダブルオースカイメビウスは姿勢制御と共にザンバスターからのビームを躱しつつ、左翼からレーザー対艦刀を抜き放ち、クロスボーンガンダムX1を迎え撃つ。

 リョウマはウェポンセレクターを回してビームザンバーを選択、振り下ろされるレーザー対艦刀をそれで打ち付ける。

 ビームの出力がかなり高いのか、ビームザンバーと鍔迫り合いになろうともビーム刃がパワー負けしていない。

 

「そこ!」

 

 鍔迫り合う両者の側面から、ハルタのガンダムキマリスが120mm砲を連射、リョウマを援護しようとするが、ガンダムダブルオースカイメビウスは強引にビームザンバーを弾き返して、グングニールからの銃弾を躱す。

 

「逃がすか!」

 

 即座、クロスボーンガンダムX1はビームザンバーを投げ付けた。

 当然、ガンダムダブルオースカイメビウスはレーザー対艦刀で斬り弾き、ビームザンバーは明後日の方向に飛ばされてしまうが、リョウマは続いてウェポンセレクターからシザーアンカーを選択、飛ばされたビームザンバーの柄を掴むと、強引に振り回して鎖鎌のごとく振るうクロスボーンガンダムX1。

 ワイヤー越しのビームザンバーの一撃もレーザー対艦刀で弾くガンダムダブルオースカイメビウス。

 

「まだまだァ!」

 

 レーザー対艦刀を振るったために隙を見せたガンダムダブルオースカイメビウスに、クロスボーンガンダムX1は左手のバスターガンを連射しつつ距離を詰めていく。

 バスターガンのビーム弾を光波シールドで弾き返すガンダムダブルオースカイメビウスに、クロスボーンガンダムX1はシザーアンカーを巻き取って回収したビームザンバーを、全身で押し込むように突き込ませる。

 ビーム刃と光波体が互いに干渉しあい――突如としてクロスボーンガンダムX1はビームザンバーを手放して後方斜め上へバーニアを逆噴射させ、

 

「行けハルタ!」

 

「おうとも!」

 

 そのすぐ後ろに、グングニールを構えたガンダムキマリスが既に猛スピードで迫っていた。

 リョウマの回避がほんの僅かでも遅れていたら、グングニールの切っ先がクロスボーンガンダムX1を貫きかねないほどの際どいタイミングであった。

 

 結果、ガンダムダブルオースカイメビウスの右ドライヴユニットを、グングニールが貫き潰した。

 

 左右のバランスが乱れてガクリと体勢を崩すガンダムダブルオースカイメビウスに、リョウマはさらなる追い討ちをかける。

 左右のシザーアンカーを両方とも射出、それぞれガンダムダブルオースカイメビウスの左肩と右足に噛み付くと、ワイヤーを手に接近し、絡みつかせるように雁字搦めにしていく。

 なおも抵抗しようとするところへ、ガンダムキマリスが近付き、肩装甲の上部を開くと、その内側から円盤状の武装――『スラッシュディスク』を射出し、ガンダムダブルオースカイメビウスの腕関節へ突き刺さる。

 

「ついでにこれも如何かな?っと、リョウマ」

 

「問題ない」

 

 短いやり取りの後、ガンダムキマリスは頭部から砲弾を発射、ガンダムダブルオースカイメビウスの頭部にぶつかると、眩い光を撒き散らす。

 光量は凄まじく、辺り一帯を白に塗り潰すほどだが、ハルタ自身と、彼から一言受けていたリョウマは問題なく行動を続ける。

 シザーアンカーのワイヤーで雁字搦めにし、抵抗しようとすればハルタがそれを止め、ガンダムダブルオースカイメビウスを追い詰めていく。

 

「こんなもんだろう」

 

「念押しだ。頭部も潰しておくよ」

 

 ガンダムキマリスは一度グングニールを手離し、リアスカートからコンバットナイフを抜き、ガンダムダブルオースカイメビウスの背後から頭部を掴み上げると、首をかっ斬る。

 

「さて、聞かせてもらおうじゃないか」

 

 もはやまともに動くことも出来ないガンダムダブルオースカイメビウスに、クロスボーンガンダムX1はビームサーベルを抜き、アイドリングストップをかけた状態でバイタルバートをコンコンと突く。ボタンひとつで即座にコクピットを潰せるように。

 その上から羽交い締めするようにガンダムキマリスが控えている。

 

「接触通信だ、聞こえないとは言わせないぞ。何故、お前は俺を狙う?」

 

『………………』

 

 息遣いが聞こえているところ、AIによる無人機では無いようだ。

 

「俺を狙うためにその他大勢を巻き込み、挙げ句にウイルスまで植え付けてガンプラを壊す……あんた正気か?」

 

『…………』

 

 やはり黙りであるガンダムダブルオースカイメビウスのビルダー。

 

「黙ってないで、何か言えよ」

 

 脅すように、ビームサーベルで胸部のクリアパーツを溶かす。

 

『……』

 

 そこでハルタも口を挟む。

 

「ダメだねぇこいつは。ヒューマンデブリにすらなれない、見下げ果てたとびっっっきりの転売ヤー以下とはねぇ。無改造の高性能機ばかり使っているのも、きっとガンダム作品のガの字も知らない、「原作では強いみたいだからとりあえず使ってる」程度のにわか転売ヤーかねぇ」

 

 ニチャァ、と粘着物のように皮肉げに囁くハルタ。

 

『…………な』

 

 ふと、相手からの通信の声が微かに聞こえた。

 

『ふざけるな!!誰が転売ヤー以下だ!!この俺を!!そんなゴミクズ以下の連中と同じにするな!!』

 

 叫ぶような声は音が割れていて、声色がハッキリしていない。

 

「おっとと、もしかして日本語が分からないのかと思ったけど、日本語喋れるんだね?いやはや、これは失敬……」

 

 プークスクス、とさらに粘り気のある嗤いで挑発するハルタ。

 

「日本語が分かるなら話は早いな転売ヤー。俺に何の恨みがあってこんなことをしているんだ転売ヤー。俺のガンプラが欲しいなら製作代行くらい請け負ってやるぞ転売ヤー。ただし絶賛ぼったくり価格だぞ転売ヤー。まぁ転売で私腹肥やしてるから安いものだろうな転売ヤー」

 

 リョウマはこの瞬間で五回も「転売ヤー」呼ばわりした。

 

『お前は!!そうやってお前は!!この俺をバカにして!!足蹴にして!!踏み台にしていく!!』

 

「お前が誰かは知らないが、一度負けたくらいで喚くなよ。子どもか?」

 

『オウサカ・リョウマ!!いつか必ず!!お前を必ず俺の前に屈服させてや……』

 

「その前に、社会的に生きてればいいな?このバトルのログは各方面に提出させてもらうぞ。身に覚えがあるなら自首する準備でもしておいたらどうだ」

 

 それと、とリョウマはクロスボーンガンダムX1のビームサーベルの出力を上げた。

 

「俺に勝ちたいなら、まずはガンプラの転売から足を洗えよ、転売ヤー」

 

 ビーム刃はコクピットブロックを突き破り、さらに念入りに抉った。

 

 ガンダムダブルオースカイメビウス、撃墜。

 

 

 

 バトルが終了してリザルト画面をスキップさせ、リョウマはこのバトルに関する情報をすぐに公式サイトへ通報した。

 バトルの様子の動画もハルタが送信してくれたところで、ようやく一息つける。

 

「さて、と。もうこれで乱入事件も無くなるだろう」

 

 個人による犯罪行為だと分かれば、すぐにでも警察が動くだろう。

 そうなれば、乱入経路やその根本も場所を特定され、乱入者は拘束されるに違いない。

 

「……だと、いいけどね」

 

 しかしハルタの顔は険しいままだ。

 

「あれだけ高度なハッキングが出来るような男だ、そう簡単に捕まってくれるだろうかね」

 

「あの転売ヤーの身柄なんざどうだっていいが、最低でも警察が嗅ぎ回っている内は自由に身動き出来ないはずだ」

 

 乱入さえ無くなればいいんだからな、とリョウマはガンプラをケースに納めた。

 

「さて、テスト期間中なのに遊んでしまったんだ。さっさと帰って勉強し直すか」

 

「ま、今日のところはそうするとしようか」

 

 ハルタも自分のガンプラをケースにしまい、ゲームコーナーを後にした。

 

 

 

 それから、放課後は図書館でリョウマ、ミヤビ、チサ、ハルタの四人でテスト勉強をすることを数日。

 テスト勉強期間の後、数日のテスト本番を迎え、それも終了した頃。

 テスト終了のチャイムが鳴り響く頃、チサはミヤビを伴ってリョウマに声をかけてきた。

 

「ねぇリョウくん。来月にはGBフェスタが開催されるんだよね」

 

「そうだな。X1の改造プランだけはしっかりあるから、後は実行するだけだが……」

 

 そこへ、ミヤビも入ってくる。

 

「あのねオウサカくん。チサちゃんと話し合って決めたんだけど、私達もGBフェスタに参加しようと思うの」

 

「シミズさんと、チサも参加するのか?」

 

 リョウマはミヤビとチサの顔を見比べる。

 

「うん。だからね、夏休みが始まったらどこかでみんなで集まって、ガンプラの製作会みたいなのをやってもいいんじゃないかなって思うんだけど……リョウくんはどうかな」

 

 確か以前にも、チサは「大喬ガンダムアルテミーの塗装をしてみたい」と言っていた。

 テスト明けの今、それを試してみるのにちょうどいいのだろう。

 

「俺はいいと思うが、場所はどうするんだ?『甘水処』に製作スペースは無いし、だからといって近くのガンダムベースまで行くには遠いな」

 

 手頃な場所でそれなりに広い場所が無い、と言うリョウマだが、そこでチサはちょっと申し訳無さそうな顔をした。

 

「えぇと、場所なんだけど……その、リョウくんのお家じゃダメかな?」

 

「俺んち?いやダメじゃないが、部屋はそんなに広くないぞ?」

 

 二人入れるくらいなら問題ないが、少し手狭になるだろう。

 

「あれ?リョウくんのお部屋ってそんなに狭かったっけ?……だいぶ前に入ったっきりだから、よく覚えてないけど」

 

「小学……四年生くらいが最後だったか?七年も経てば身体も成長するしな」

 

 ふむ、と一思案してからリョウマは頷いた。

 

「まぁチサはともかく、シミズさんも良ければ、俺の部屋で製作会をしてもいいんだが」

 

「えっと、私は大丈夫だから……お邪魔してもいい?」

 

 少々躊躇いがちながら、ミヤビは許可を求めた。

 と、そこへ。

 

「あっ、いましたいましたっ。オウサカせんぱーい!!」

 

 廊下の方からやたらと音量の高い声が飛んできた。

 

「ん、この声はコノミちゃんか。悪い、呼ばれたから行ってくる」

 

 二人に一言断ってから、リョウマは周囲の(主に男子からの)視線を突き刺されながらも教室の出入り口へ向かう。

 ぶんぶんと手を振っているのはもちろんコノミだが、予想外にももう一人いた。

 

「どうも、リョウマくん」

 

 コノミの一歩後ろにいたのはリンだ。

 

「カンザキガワ先輩も?コノミちゃんとカンザキガワ先輩は、それぞれ別の用件ですか?」

 

 二人は偶然ここにいるだけで、用件はそれぞれ別にあるのかと思ったリョウマだが、それはリンによって否定された。

 

「うぅん、このコノミさんの話を聞いたところ、どうやら用件は同じみたいで、だったら二人一組と言うことにしようって」

 

「……えーっと。それで、用件って言うのはなんですか?」

 

 リンとコノミ、図らずも同じことを考えていたと言う。それが何なのかと言うと。

 

「キミが前に言ってた、アルトロンガンダムの改造のこと。ようやく形になって来たんだけど、一応見てもらいたくてね。テストも終わったことだから、ここで一度コンタクトを取ろうと思っていたんだ」

 

「わたしも似たようなことを考えてまして、デュナメスのことについてちょい相談をと。そしたら、噂の天才・カンザキガワ先輩とエンカウントしたということです!」

 

 つまり、コノミもリンも、チサやミヤビと同じことを考えていたと言うことらしい。

 リョウマは少しだけ考えると素振りを見せてから、「ちょっと待っててください」と告げてから一度教室内に戻り――ミヤビとチサを連れてきた。

 

「実は、こっちの二人も似たようなことを考えてまして、それを俺の自宅でやろうってことになってたんですが……」

 

「ふむふむ、美少女二人を自宅に連れ込んで……なるほど、どっちが本命か決めようって話だね」

 

 すると何故かリンがぶっ飛んだ方向に解釈した。

 

「か、彼女!?」

 

「ほ、本命!?」

 

 それを聞いてか、ミヤビとチサが頬を赤くして驚く。

 

「えぇっ、オウサカ先輩ってば、こんな美少女を二人も侍らせて……ずっこいです!わたしも混ぜてもらわないと、筋が通りません!」

 

 さらに話をややこしくするのはコノミ。

 

「ちょっと待った。どっちが本命とかそう言う話をするんじゃ無いんですよ。あ・く・ま・で、ガンプラのことです」

 

 色恋沙汰ではない、とリョウマは強調するのだが、

 

「ふむ。これは、私もリョウマくん略奪愛に参戦すべきかな」

 

 リンは至極真面目な顔で考え始めた。

 

「り、略奪愛……どうしようミヤビちゃん、わたし達、お昼の大人向けドラマみたいなことになっちゃう!?」

 

「や、やめてよそんな刺しつ刺されつみたいなのは……って言うか、何でそんな話になってるの!?」

 

 その上からチサとミヤビまで勘違いを始める始末だ。

 これは収拾つかなくなりそうだ、と冷静に見ていたリョウマだが、

 

 不意に、背後から悪寒を覚えた。

 

「…………リョウマ」

 

 悪寒の正体は、ハルタを始めとした男子達。

 皆が皆、眼窩に紅く光を灯しながらリョウマを捕捉している。

 

「(よし、逃げるか)」

 

 即断即決、リョウマは行動に出る。

 

「チサ、悪いが俺の鞄を頼む。それじゃ」

 

 それだけ告げて、脱兎のごとく駆け出した。

 

「待てリョウマァ!今日と言う今日こそは絶対に許さん!!」

 

「羨まんだよこの野郎!!」

 

「非モテ男子の恨み辛みを思い知れェ!!」

 

 廊下は走らないなんて誰が守るものかと言わんばかりに、リョウマはまさに鬼と化した男子連中を相手に、命懸けの鬼ごっこを開始する。

 

 製作会やら何やらの日程も考えないとなー、と考えつつ、リョウマは逃げる――。

 

 

 

【次回予告】

 

 リョウマ「さて、テスト返却も終わったことで、俺んちで製作会となるわけだが」

 

 ミヤビ「今日はお邪魔します、オウサカくん」

 

 チサ「どうぞどうぞ、ゆっくり寛いでもいいんだよー」

 

 コノミ「さてさて、先輩のえっちな本はどこに……」

 

 リン「定番はベッドの下だけど、引き出しの二重底の下もあり得るね。迂闊に触ると発火するかもしれないけど」

 

 リョウマ「次回、ガンダムブレイカー・シンフォニー

 

ビルド!ビルド!ビルド!

 

 あのすまん、ガンプラ製作に来たんだよな?」 

 

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