「無個性は引っ込んでな!」
「無個性……? 君、不採用」
「個性がなきゃヒーローになれねぇだろ!」
無個性。この3文字にどれほどの人が絶望に叩き落とされ、肩身の狭い人生を送ることが決まってしまったのだろうか。
若葉のような緑色の髪の少年、
だが、ヒーローに憧れていた乾坤には秘密があった。……周りには見えない
寒空の下、乾坤は守矢神社の本殿の隣にある小さな家へ入った。
「ただいま……神奈子母さん」
「おかえり乾坤。今日は随分と遅かったな……何かあったのか?」
玄関の襖を開けると、紫がかっている青髪がサイドの左右に広がった、非常にボリュームのあるセミロングの髪型で、上着は赤色の半袖、上着の下には白色のゆったりした長袖の服を着た神霊、八坂 神奈子が炬燵に入りながら蜜柑を剥いていた。
「いや、大丈夫。取られたノートに少し落書きされただけだから気にしてないよ。シャーペンで書かれたから消せば大丈夫。そういえば諏訪子母さんは?」
「境内で見かけなかったのか?じゃあ本殿の屋根で昼寝でもしているんだろう」
「そっか。後で諏訪子母さんには祟っちゃダメって言っておくよ」
「そっか……軽く祟ればみんな乾坤をいじめなくなるだろうけど、乾坤がそう言うなら祟らないでおくよ……おかえり!乾坤」
「うわっ!? 諏訪子母さん、驚かさないでよ……」
乾坤を驚かした犯人は金髪のショートボブで、青と白を基調とした「壺装束」と呼ばれる女性の外出時の格好をした子供のような土着神、洩矢 諏訪子だった。
この2人……いや二柱はこの守矢神社の神様であり、乾坤の育ての親である。
乾坤の両親は既に病により他界しており、両親からの遺言で二柱は─────元々何かあったら乾坤を育てるつもりだったらしい─────乾坤を育てる事になったのだ。
「今日は疲れちゃったから少し寝るね……」
「ご飯が出来たら起こすよ!それまでゆっくりしていな!」
乾坤が寝室に入り仮眠を取りに向かってしばらくすると、神奈子と諏訪子が真剣な表情で話し合い始めた。
「……神奈子、私達の信仰は超常黎明期のごたごたのおかげで1度は窮地を乗り越えられたけど……」
「……自分の肉体の限界ぐらい分かっている。私達の存在はあと1年もつかどうかという程弱まっていることは……」
諏訪子の話により神奈子が苦悶の表情を浮かべる。
「ただでさえ乾坤は苦しい状況が続いているのに、そこで私達が居なくなれば今度こそ乾坤は……」
「……塞ぎ込んでしまうだろう。……乾坤を連れて幻想郷に向かうべきか?」
「……駄目。乾坤は少し特殊な体ではあるものの、戦う力を持たない唯の人間。あの賢者が乾坤の命を保証する可能性は高いとは言えない。そんな危険な所に乾坤を連れていけない」
「……となると、残るあの方法は少々賭けになるな。確実とは言えないが、弱まった私達ならば乾坤の体も耐えてくれるのに賭けよう……」
この二柱は1つの賭けをすることにした。……ヒーローとなった東風谷 乾坤に憑依して間接的に信仰を得るのだ。
この小説……
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興味無いね
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興味あるね
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御託はいいから続けてくれ
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クソ
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続ける程じゃねぇかなぁ……