中学2年生となった乾坤は雄英高校に進学する事を決めた。周りには冗談だの記念受験だのとバカにされていたが、母さん達の存亡が掛かっているんだ。そんな奴らに構っている暇は無い。
早速その日の夜、守矢神社で個性……ではなく、能力の使い方を母さん達に教えて貰う。
『さて!まずは私の「坤を創造する程度の能力」からだね!こういうのはイメージが大切なんだ。乾坤! 体借りるね!』
そう言って諏訪子が乾坤から体の主導権をチェンジさせる。
すると、乾坤の髪に金髪が混じり、瞳がアメジストのような色となった。
「いくよ……それっ!」
乾坤(諏訪子)が軽く集中すると、小さな鉄の輪と石蛇が無から創られた。
「……どう?乾坤。実感できた?」
『……少しなら。やってみていい?』
『何事も挑戦だ乾坤。お前は私と諏訪子の両方のチカラを使いこなさなければいけないんだ。それに、まだ時間はある。ゆっくりとやればいい』
「うん。……こうかな?」
乾坤が集中してイメージを固めると、石のケロ帽が創り出された。
『おっ!私の帽子を真似るとは嬉しいねぇ! へへへ〜いいだろ神奈子〜!』
『はぁ……まぁいい。乾坤、次は私の「乾を創造する程度の能力」を使ってもらうぞ。……最初は1番扱いやすくて使い勝手もいい風でやるか! 見てろよ……?』
今度は神奈子が体の主導権をチェンジしてかまいたちを巻き起こし、近くの木を綺麗に剪定してみせた。
「いいか?乾坤。風は己のチカラと思って扱うんだ。そうすればいずれ自由自在に扱える」
『じゃあやってみるね?…………出来た!」
神奈子と主導権を入れ替えた乾坤は突風を巻き起こし、近くの散った桜の花弁を纏めてみせた。
『……驚いた。最初からここまでの精度でやるとは思っていなかったぞ? 乾坤は飲み込みが早いな!』
『そーそー。私達でも最初はそこまで上手く使えなかったよ?』
二柱は乾坤のセンスの高さに驚き乾坤を褒めるが、乾坤はまだ足りないと言って謙遜する。
「……でもまだまだだ。もっと努力しないと!」
『ま、ほどほどにね?』
『体を壊したら元も子も無いからな!』
約10ヶ月後……雄英受験当日、筆記を終えた乾坤は実技試験の説明を受けていた。
『受験生のリスナー!今日は俺のライブに来てくれてありがとーー!!Everyday Say Hey?』
シーーーン…………
『こいつはシヴィーーーー!』
どうやら派手なトサカのような髪型の男が司会を務めるようだ。やたらハイテンションなのは気の所為ではないだろう。それにしても凄いメンタルだ。
『これから実技試験の内容を説明するぜ!Are you ready?』
『うっさい……』
『うるさいなぁ……何とかならないの?』
(流石にうるさい……)
乾坤達が満場一致でうるさいと思っていると、司会が説明をようやく始める。
『入試要項通り、リスナーにはこの後10分間の“模擬市街地演習”を行ってもらうぜ!持ち込みは自由、プレゼン後は各自指定の演習会場へ向かってくれよな!』
『演習場には仮想ヴィランを三種・多数配置してあり、それぞれの“攻略難易度”に応じてポイントを設けてある。各々なりの個性で仮想ヴィランを行動不能にし、ポイントを稼ぐのがリスナーの目的だ!』
『もちろん!他人の妨害などのアンチヒーローな行為はご法度だぜ!?』
「質問よろしいでしょうか!」
司会が一通り説明を終えると、1人のメガネをかけた真面目そうな受験生が質問しようとする。
『OK!』
「配布されたパンフレットには四種の仮想敵が記載されています!もしこれが誤載であれば雄英にとって恥ずべき痴態!どうかご説明を!」
『オーケーオーケー、受験番号7111くん、ナイスなお便りサンキューな!四種目のヴィランは0P、そいつは言わばお邪魔虫さ!アレ!マリオのドッスンみたいに思えばいいぜ!ようは各会場に一体所狭しと大暴れしている“ギミック”よ。倒せないことはないが倒しても意味はない。リスナーにはうまく避けることをお薦めするぜ?』
「ありがとうございます!失礼いたしました!……そしてそこの君!先程からボソボソと……気が散る!物見遊山のつもりなら、即刻!ここから立ち去りたまえ!」
「ご、ごめんなさい……」
突然指刺された深緑のような髪色の少年は謝る。
『ありゃ……幾らなんでもそれは無いでしょ……』
『向こうにも非があるとはいえ、皆に聞こえるように言うのは良いとは言えないな……』
(……真面目な人なのかな?)
『俺からは以上だ。最後にリスナーへ我が校校訓をプレゼントしよう!かの英雄ナポレオン=ボナパルトは言った……“真の英雄とは人生の不幸を乗り越えていく者”と!』
『更に向こうへ!Plus ultra!』
演習会場C
『おー!色んな子がいるねぇ!』
『見ろ諏訪子!お前みたいな女の子がいるぞ!』
『ちょっと……全然似てないって!』
『いーや!仕草とかがカエルっぽくてお前そっくりだ!』
(……神奈子母さん、諏訪子母さん。……そろそろオンバシラが届くと思うよ)
『おっ! 最初は私からの約束だからな! 存分に暴れさせてもらうぞ!』
『わぁ……大型ヘリで運んできたね……ひぃふぅみぃ……運べたのは4本だね』
「やぁやぁ!君が東風谷 乾坤君だね?これが何本も必要なんて、君は随分力持ちなんだね!」
傷つけないように御柱を下ろしたヘリからネズミ……ネズミ?とりあえず哺乳類としよう。そんな人?が運転席から降りてきた。
「わざわざありがとうございます。えーっと……」
「根津だよ!今は詳しく言えないけれどちょっぴり偉いのさ!」
「はい、根津さん。……ここまでやってもらったんだ。いくよ神奈子母さん! 諏訪子母さん!」
「?……まぁそういう個性なのかな?」
根津は虚空に話しかける乾坤に首を傾げるも、個性と判断してヘリに乗り込み、雄英教師がいるモニタールームへと向かった。
「……よし、根津校長がスタンバイしたな。はい、スタート!……どうしたあ!?実戦じゃカウントなんざねえんだよ!走れ走れぇ!賽は投げられてんぞ!!?」
『! いくよ乾坤!』
「任せたよ!」
乾坤が走りだすと同時に神奈子が主導権を握りオンバシラを浮かべて突風を巻き起こし、空を飛んだ。
「風で飛んだ!?」
「あの柱を操る個性じゃないのかよ!?」
「全く、自分の点数稼ぐ事に集中出来ないのかねぇ……? まぁ今は他人の心配なんて、してられない!」
乾坤(神奈子)はミサイルのように飛んで早速2Pt仮想敵を見つける。
『標的補足……ブッコロス!!』
「もうちょいマシな悪口を……言いな!」
ゴシャァッ!!
乾坤(神奈子)はオンバシラで2Ptの頭部を丸ごと吹き飛ばして行動不能にする。
「オラオラオラァ! どいつもこいつも一撃じゃないか! もっとマシな奴はいないのか? ……全部纏めてかかってこい!」
『ありゃぁ……神奈子の奴、久々の戦いでハイになってるよ。こりゃ私の出番はなさそうだね』
『神奈子母さん、凄いノリノリだね……』
乾坤(神奈子)はオンバシラを次々と飛ばして仮想敵のボディに風穴を開けたり、上から押し潰したりして暴れまくる。
(フゥ〜!久々に暴れまくった!変わっていいぞ乾坤!)
2、3分すると神奈子は満足して降りて主導権を乾坤に渡す。
「急に渡さないでよ……ミニ・ミシャグジ・オンバシラ!」
乾坤が念を込めると人がひとり乗せられる程の大きさの石蛇と、小さな蛇が巻きついた先程より一回り小さいオンバシラが創られる。
乾坤は石蛇ことミシャグジ様の頭に乗りオンバシラで仮想敵を倒していく。
『やっぱり両方使えるのは乾坤の強みだねぇ〜。規模だったら私達のが上なんだけど、同時使用するのは乾坤じゃないと出来ないんだよね』
『特化させるなら私達でいいんだがな……だが乾坤は伸び代がとてもある。私達も追い抜かれたりしてな!』
『そりゃ怖いねぇ〜私達の存在意義が無くなっちゃうよ』
「はぁ……人が頑張ってるっていうのに呑気だね母さん達……」
現状の戦闘能力は単純な強さなら神奈子と諏訪子が勝っているが、オールラウンダーとして戦えるのは乾坤のみ。
ただ、乾坤は諏訪子の祟り、神奈子のオンバシラ(オリジナル)操作が出来ない。現状は程度の能力と専用のオンバシラ操作のみできるのだ。
モニタールーム
暗い部屋の中、何人かの教師が座って画面を見ていた。
『この入試はヴィランの総数も配置も伝えてない』
『限られた時間と広大な敷地…そこからあぶりだされるのさ』
『状況を早く把握する、情報力』
『遅れて登場じゃ話にならない、機動力』
『どんな状況でも冷静でいられる、判断力』
『そして純然たる戦闘力…』
『市井の平和を守る為の基礎能力がP数という形でね』
『今年はなかなか豊作じゃない?』
『いやーまだわからんよ』
『真価が問われるのは……』
『これからさ!!』
ネズミのような人物……根津があるボタンを押す。
ゴゴゴゴゴゴゴゴ……
『おろ?あれが0Ptかな? でっかいねぇ……』
『諏訪子、お前も暴れたらどうだ?こんな機会、これからは中々ないと思うぞ?』
『それもそーだね。さて乾坤、体借りるね!』
「急だなぁ……』
「さぁ!神遊びの時間だよ!」
乾坤(諏訪子)が今出せる最大サイズのミシャグジ様を創り出し、頭に乗る。
ミシャグジ様は体を跳ねるようにうねらせて移動して0Ptの頭部を一方的に食いちぎった。
当然0Ptは動かなくなり倒れそうになるが、ミシャグジ様により受け止められてゆっくりと降ろされた。
「さて!最後の仕上げに散れ散れ散れ〜!」
ミシャグジ様が分裂すると、大量の小さなミシャグジとなり動けない受験生を救助していく。
「あ、ありがとう……」
「これぐらいなんてことないよ!」
信仰というものはこうやって小さくコツコツと、地道に増やしていくのだ。
『しゅーーーりょーーーー!』
司会のプレゼント・マイクの大声で実技試験の終了が告げられる。
ライバルキャラは欲しい?
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興味無いね
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興味有るね