ただしこの先、独自設定に注意しろ
流水の曲剣使いが増えたら続き書きます。
青い踊り子をすこれ。
「貴方、先程ルーンベアを単騎で殺しましたね?それも盲目でありながら、曲剣のみを用いて」
「えっ……あ、はい」
襲ってきた野生動物を退治出来たと思ったら誰かから話しかけられたでござるの巻。
声からして女性のようだが、妙に声の位置が高い気がする……というかこれ宙に浮いてない????
そもそもいつから居たんだこの人(?)……僕は目が見えない分他の感覚が鋭いという自負があるが、話しかけられるまで全く気付かなかった。さては幽霊だな?
「良いでしょう。貴方を私の弟子にします。拒否は認めません」
「えっ」
「返事は『はい』ですよ」
「あ、あの……」
「『はい』と言いなさい」
「はい……」
何だか分からないが、そういうことになった。
■
「懐かしい夢を見たなぁ」
自称【青い妖精】の師匠と出会ってから早■■年。修行を始めてから4~5年程で僕は歳を取らなくなった。どうやら師匠の傍に居続けたことで僕の身体と魂が変質したらしい。身体の劣化が無くなったのは嬉しいけど、なんだか複雑な気分だ。
あの後は本当に大変だった。
『修行を始めるにあたって、私から贈り物があります。この【流水の曲剣】をお取りなさい。貴方の持つそのボロボロの剣は破壊します。これ以降、その剣以外を振るうことは許しません』
そう言われた次の瞬間に一陣の風が吹き、気が付くと手元にあった筈の剣が細切れになっていた。それは師匠の隔絶した強さと、おそらく他の剣に浮気した瞬間、僕もこのボロボロの曲剣(故)と同じ末路を辿るだろうという事を強く実感させた。
その後は師匠と2人で各地を渡り歩きながら修行に明け暮れた。
『【永遠の都】と呼ばれる場所には、流体の武器を振るう戦士達が居るそうです。水の如き変幻自在の剣術は私達の剣にも通じます。貴方も啓蒙を得られるでしょう』
『ここって洞窟の中だよね?さっきからカサカサって音がそこら中から聞こえるんだけど』
『気にせずに進みなさい』
『【エオヒド】と言う異国の地は孤高たる修練者達の地であり、剣に気を宿し自在に操る術があるそうです。私も見たことがないので詳細は不明ですが、習得できれば戦術の幅が広がるでしょう。共に学びますよ』
『分かった。ところで、その国はここからどれくらいの距離にあるの?』
『徒歩で片道半年は覚悟なさい』
『嘘だと言ってよ師匠』
『ふむ……結晶で構成された無機生命体ですか。興味深いですね。いったい何者が、何のために創ったのか……』
『こいつら滅茶苦茶硬いんだけど!?師匠も手伝ってよ!!』
『弱点はあります。自力でなんとかしてご覧なさい』
『オ前ラ、誰ダ?』
『おや。巨人ですか。大きいですね』
『窯ノ火、盗ミニ来タカ』
『え?いや、僕達は……』
『俺、オ前ラ、倒ス!』
『丁度良い。稽古をつけてもらいなさい』
『2人とも、対話って知ってる?』
『ほう……【エルデの王】ですか』
『急に地面が消失したと思ったら滅茶苦茶強そうな気配に囲まれてるんですけど?今どういう状況?』
『溶岩、輝石、氷霧、そして竜王……選り取り見取りですね』
『小さきものが、我らを品定めするか』
『不敬者どもが……!』
『焼き尽くしてくれるわ』
『ここ空気薄くない?もしかして高い所に居るの?師匠?』
『ふふ。竜など、私達の敵ではありません。蹂躙して差し上げます』
『ほざけ!!』
『そこまで言うのならば見せてもらおうか。妖精。そして人の子よ』
『我らに挑んだ事を後悔するが良い!!』
『さあ、踊りましょうか。我が弟子よ』
『なんで誰も疑問に答えてくれないの?ちょっと聞いてる?』
『人の子よ』
『プラキドサクスさん?どうしたの?』
『光無き暗黒から生まれた星が、悪意を持ってこの地を訪れた。行くぞ』
『行くって何処に?』
『やはり永遠の都ですか。私も同行します』
『不要だ。我はこれから人の子との逢引に向かうのだから』
『は?』
『え?』
『行くぞ』
『どうやら今夜の食卓にはドラゴンステーキが並ぶようですね……!』
『ふん。やれるものならやってみろ。人の子は我が伴侶となるべき存在なのだ』
『そもそも星が訪れたって何……?』
「あれれ~~?ロクな思い出が無いぞ~~?」
ごめん。やっぱ辛えわ……
「ここに居たのですか。我が弟子よ。今回は遥か東に存在するという【葦の地】に行きますよ。あのトカゲの手の届かない場所に……」
「まただよ(呆れ)」
こうして僕達は今日も世界を巡るのだった。
そういえば、最近【狭間の地】ではあまり見かけない人種の人達が来ているみたいだけど……?
【流水の曲剣】
青衣の剣士の伝承に語られる
流水を模したという曲剣
強攻撃の踊るような連撃に
伝承の片鱗を見ることができる