遊戯王の世界に転生したが、原作イベントを踏み外すと世界滅亡なんて冗談じゃない   作:鏡路の一般兵

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・アニメ/原作的時系列
バトルシティ開幕宣言~レアハンター戦


バトルシティ編 ~集う千年アイテム~

 

 さて、原作漫画での最大イベント。

 バトルシティ編の開会宣言が終わり、既に戦いは始まっているのだが……。

 

 俺はのほほんと遊戯とレアハンターのデュエルを眺めていた。

 グールズに奪われてしまった、城之内のレッドアイズを取り返すあのシーンである。

 

 相手が如何に卑劣であれ、ゲームの前に手の内を知る権利は無いという遊戯の言葉に、「いや本当すみません……不可抗力なんです……」と内心で謝りつつ。

 このレアハンターってパーツ全部3積みしてるんだよな……。

 遊戯王ワールドのドローソースってクソ強いカードが多くて、グールズなんてどうせ偽造カードをいっぱい使ってるのに、なんで3積みしているんだろうか等と思ったりしている。

 

 パーツを3積みしているせいでドローソースを引けず、ドローソースを引けないが故に壁モンスターを投入しなければならなくなる。

 結果としてパーツもドローソースも引けなくなっているわけで、一体なんなんだろうなコイツ……。

 マリク曰く、コイツはレアハンターの中でも最弱との事だが、下っ端に強いカードを与えて反逆されるのを恐れているのか、コイツが本当に弱いのかは分からないが、この展開で遊戯が負けることはまずありえないので軽い気持ちで観戦できる。

 将来の目的のため、油断や慢心をしてしまう遊戯は決闘者の王国で消えているのだ。

 

 そうしてダラーっと屋台のカレーを食べつつ観戦し、遊戯がエクゾディアを連鎖破壊での破壊に成功した時。

 俺は隣でアイスクリームを舐める男に声をかけた。

 

「で、この流れでマリクが出てくるわけですね」

「なるほどなるほど、 自分は表に出ずに千年アイテムの力で洗脳。

 裏に潜み続けていることは、倉瀬ボーイのビジョンで手口こそ分かっていましたが、実際に見てみるとなるほど確かに。いつになっても首領を摘発できない理由が分かりマース」

 

 そう、俺の協力者。ペガサスである。

 当たり前の話だが本来のバトルシティ編ではペガサスが登場しない。

 ミレニアムアイを奪われて死んでいるか、重傷で動けないか、どちらにしても碌な状況ではない。

 

 それなのに何故ペガサスがこの場にいるという、原作改変間違いなしの行動をとっているのかと言えば……、遊戯の千年アイテム関連のイベントがどこまで進んでいるのか分からないためである。

 

 具体的に言うとシャーディー関連。原作では早々に終わっているが、アニメ版に準拠している場合、俺がペガサスの襲撃を阻んだことで潰れてしまった可能性がある。

 故に、ペガサスはバトルシティを観戦しに来たという名目で遊戯に千年アイテムの謎を語り、バトルシティを進行していく中で足りていない知識があれば順次補完して行こうという作戦だ。

 

 勿論、不用意な改変は避けるためにもこのイベントが終わった後はペガサスは運営本部に引っ込み、不用意な原作改変を避けることになる。

 これは千年アイテムの所持者として、まかり間違って遊戯がマリクに負けるなんて言う事態が起こった時や、遊戯と城之内の戦いで不測の事態が起こった時に即座にフォローに入れるようにする意味も存在する。

 

「くる……くる……マリクさまがくる!!!」

「レアハンターの額に千年アイテムの紋章が現れただと!?」

「なにが起こってやがるんだ……?」

 

 敗北したレアハンターに対し、マリクが行うことになる人格主導権の強奪。それが始まったのを確認し、俺とペガサスは動いた。

 レアハンターの許しを請う悲鳴が響く中、コツコツとわざとらしく足音を立てて、その存在を知らしめるかのように彼らの元へと向かう。

 

「それは人を意のままに操る洗脳能力。千年アイテムの一つ、千年ロッドが持つ力デース!」

「な……ペガサス!? それに倉瀬も!?」

「お久しぶり」

 

 マリクの人格が表面化する前、このタイミングで話に乱入し、場の主導権を奪い取る!

 勿論、ペガサスがだ。俺は海馬社長の強権発動により通常参加者扱いになっているが、立場そのものはあくまでもペガサス推薦のデュエリストでしかない。

 千年アイテムとの因縁も無いので、今は参加者としてこの場にいるだけである。

 

「せ、千年ロッド!? 新しい千年アイテムに洗脳能力だって!?」

「いったいどういう事なんだ!?」

「千年アイテムには千年眼のマインドスキャンのような、それぞれ固有の能力が存在しているのデース。もっとも、その能力を詳しく説明するならば私が行うより、千年ロッドの所有者本人の方が適切でしょう。既に表に出てきているのは分かっていマース、出てきなサーイ!」

 

 そういうとペガサスは遊戯に向けていた視線をレアハンターへと移す。

 いやすげえなこの人。原作に存在してないのに、滅茶苦茶原作に存在しているかのような流れで場の流れを掴み取ったぞ。

 これ、自分が原作に介入しているという自覚が無ければ、滅茶苦茶ありそうなシーン過ぎてびっくりするんだが。

 

「ククク……。 ここで創造主サマの自らの登場とは……。流石に驚いたよ」

「ええ。私の愛するデュエルモンスターズを汚す犯罪組織グールズ。その姿は私も常々追っていました。そんな中で海馬ボーイが開き、アンティルールの存在するバトルシティ。あなたたちがこのような場に現れることは、ミレニアムアイを使わずとも火を見るより明らかデース!」

「なにっ!千年アイテムがグールズの手にあるのか!?」

「千年アイテムだけではありまセーン、彼らは私が恐れて封印したカード……。

 神のカードすら手にしてしまっていマース……。」

 

 無念そうに首を振りながら、キッとレアハンターをミレニアムアイで睨むペガサス。

 あ、原作にありそうなシーンというか、原作にペガサスがいたら絶対やってるシーンだコレ。

 墓守り関係者なら大丈夫だろってリシドにコピーラーを渡すとかいう火遊びをやって自爆するマリクより、ペガサスは創造主としてより正しく神のカードの危険性を認識している。

 俺の原作知識によって、彼らがこのバトルシティで壊滅することが分かってても絶対に許さんってレベルで怒ってますわコレ。

 

「神のカード……」

「そう、僕たちグールズは3枚の神のカードをこのバトルシティで集めるのが目的。覚えておくと良い、僕の名はマリク……マリクだ!」

「待てよ!神のカードを集めたからって何になるって言うんだ!そりゃ、神って言うぐらいだから凄いんだろうけどよ!」

「神のカードとは古代エジプトに残された石板に見られる神、オベリスクの巨神兵、オシリスの天空竜、ラーの翼神竜をモチーフに作られた物。詳しい話はボクのような敵では無く、そこの創造主様に聞いた方がいいんじゃないかい?」

 

 そういうとレアハンターの額に浮かぶ紋章の輝きが増し、遊戯や城之内の視線がペガサスに集まった。これは……、ペガサスがどこまで三幻神の情報を持っているかの情報戦じゃな?

 マリク視点ではここでのペガサス降臨は予想外だろうし、どちらがより正確な情報を握っているかは分かっていない。

 ここで答えないなら答えられないのか、知らないのかは別として、神のカードに関わる情報を遊戯に伝えられる可能性が低くなると言う、どちらにしても損をしない話題の振り方である。

 

「3枚の神のカードを集めたものは、神を束ねる王権と共に世界を制するほどの力を得ることになりマース」

「う、嘘だろ!?そんなものがいくらペガサスが千年アイテムの所持者だからって作れるのか!?」

「恐らく、私が作ったのはきっかけにしか過ぎまセーン。遊戯ボーイと城之内ボーイもご存じの通り、先日までの私は千年アイテムの闇の力に飲まれていました。

 これは古代エジプトに存在する何かが関わっていると思うのですが、私にも詳しい事は分かりまセーン……」

 

 自身が闇の力に飲まれ、神のカードを生み出してしまったことを悔やむペガサス。

 まさに痛恨という表情であり、遊戯と城之内が闇の力なら仕方ねーなと同情したような表情をしているが騙されてはならない。

 ペガサスは神のカードの持つ力を恐れ、それと対になる三邪神を生み出してしまう大失態をしでかしている。

 

 今回はペガサスが生存しているし、ペガサスミニオンが動く理由もなく、原作知識によってその思いや悩みが伝わったことで猫可愛がりを受けているようだが、遊戯王Rではペガサスミニオンにこのカードが絡んで一つ騒動が起きている。

 現在は俺の協力者でもあるためあまり強くは言えないが、どうやったらそんな危険物を、三幻神の対という事実上のモチーフ無しで生み出せるのか、機会があれば聞いてみたいものだ。

 

「我らグールズは既に2枚の神のカードを所有している。そして残りの1枚……その所持者はこのバトルシティにいることも調査済み。

 遊戯……君は我らグールズが世界を統べるのに避けては通れない強敵だ。だから……簡単に負けてくれるなよ?」

 

 そしてそんな痛恨の表情のペガサスを嘲笑うかのようにマリクは言葉を紡ぎ、その場から消え去った。後に残されるのは洗脳から解除され、崩れ落ちるレアハンターの姿のみだ。

 

「消えた、のか!?」

「ペガサス!! ミレニアムアイの力、マインドスキャンの力でマリクの居場所は分からないのか!?こんなことをする奴を放ってはおけない!」

「申し訳ありまセーン。マインドスキャンで読み取れるのはあくまでこの瞳に入ったマインドだけ、以前遊戯ボーイにやったように魂の一部を別のものに封じ、遠隔でスキャンを行うことは可能ですが、千年ロッドのように洗脳を介して中継されてしまうと、大本が視界に入らず打つ手がありまセーン。

 今まで私がグールズの存在を知っていても追いつめられなかったのはそのため、決闘者の王国のような隔離された場所で大会を開き、乱入を防ぐといった消極的な対策しか取れないのデース……」

「あの孤島での大会ってそういう意味だったのかよ……」

 

 決闘者の王国という大規模なイベント。

 しかも多数の人間を招待した大会の場に物販も何もなく、食料の準備も自前だったのはスタッフにグールズが紛れ込まないようにするためだったと聞かされ、当時の苦労と空腹を思い出して城之内はグールズへの怒りを深める。

 俺は初日で予選を抜けてペガサス城で快適な夜を過ごしたが、確かに現代人に野宿というのは辛かった筈である。

 

「それでペガサス、お前はこれからどうするんだ?」

「今回の私は表向きはグールズなど関係なく、休暇で観戦しにきたということになっているので、デュエルを始め直接的に力になると言う事はできまセーン。

 マインドスキャンを乱発すれば再び闇の力に飲まれるかもしれませんし、不覚を取れば千年ロッドに洗脳されてしまう危険性だってありマース。だから、私は基本的にはKCの運営本部で置物になりマース」

「それって、役立たずって事か? というかそれなら最初から隠れてた方がいいだろ!!」

 

 遊戯の疑問にペガサスは情けない答えで返し、城之内は当然の疑問を口にする。

 しかしペガサスはそれに対して自信を持って答える。

 

「チッチッチッ、私がバトルシティにいるというだけでグールズに取ってはプレッシャーを掛けられているのと同じことデース。一見するとグールズに所属しているか分からない人間が相手でも、マインドスキャンの力があれば一発で看破。

 私はこの場にいることをアピールして安全な場所で置物になっているだけで、グールズ最大の強みである隠れた場所にまで入り込んでいる組織力を削ることができるのデース」

「おおっ!なんかすっげえ考えてるんだな!役立たずってわけじゃないのか!」

「ええ。ただ何も出来ないということは変わりませんので、デュエルモンスターズの創造主としてはいささか不甲斐ないものがありマース。故に、私は倉瀬ボーイを私の推薦という形で参加をお願いし、グールズと繋がりがある参加者を見つけたらそこに派遣するという対策を……。

 Hey!倉瀬ボーイ!!いい加減屋台のカレーを食べるのを止めなサーイ!今は真面目な話をしている場面デース!!」

「あ……いや、グールズとか神のカードの話はともかく、千年アイテムとかはよくわからないんで……」

 

 ちゃうねん。

 正直完全に傍観者モードだったので、これが有能のやることか……!

 と、話に入れずまだ食べ終わっていなかったカレーをかき込んでいただけなのだ。

 

「コホン、ともかく。今回の倉瀬ボーイは参加者と言う事になっていますが、実際はグールズ撲滅のためのプレイヤーキラー。デュエリストとして再び戦いたいという気持ちもあるかもしれませんが抑えてくれると有難いデース」

「対グールズのプレイヤーキラーか。 もし、それでパズルカードを6枚集めた場合。倉瀬は決勝トーナメントの舞台に立てるのか?」

「勿論デース!私も決闘者の王国の激闘を再び見れることを楽しみにしていマース!!」

 

 ……と、ペガサスが良い感じにまとめてくれたのでここは退散といこう。

 ここからはレッドアイズに関連するイベント。

 

 城之内の洗脳などを止められないのは心苦しいが、あれは流石に絶対に発生させないといけない必須イベントだと思うので、ここで立ち止まって潰すのは流石にリスクが大きすぎるのだ……。




今回はちょっと短めでした。
ペガサスが参戦したことで、バトルシティにシャーディを除いた全ての千年アイテム所持者が集う……!


☆掲示板回でやるか分からないこの世界線におけるアニメやカード環境に関する設定

・倉瀬
アニメでは「お久しぶり」って言って出て来たものの、神のカードとか千年アイテムの話をしてる間は言葉を発さずほぼ画面にも映らない。
そして久々に画面に映ったと思ったらマイペースにカレーを食っててペガサスに怒られているだけのほぼ背景枠。世界崩壊のリスクを共有できる相手が現れて、しかもそれがペガサスなので滅茶苦茶気が緩んでいる。

・ペガサス
ゾーク云々で協力体制なのは勿論だが、それ以上にグールズには普通にキレている。
マインドスキャンを使わないと言うのは半分建前半分本音。また海馬と木馬の両名が外に出た後のKC運営本部ではなんだかんだ指揮を代行してくれたりする。
多分海馬から「何故貴様が運営本部にいる!!」とか言われるけど「海馬ボーイが運営本部から離れてるからデース、今なら楽に乗っ取れそうデース」とか言って煽って遊ぶシーンが多分ある。
ちなみにもう倉瀬にマインドスキャンは使ってないので、三邪神の件でディスられてるのは知らない。勿論この世界でも既に三邪神を作ってしまっている厄ネタ製造機。

ちなみに能力を発動するために視界云々、カメラに魂云々はオリ設定なので本気にしないように。時間や条件に制限付きのあるパラサイトマインドっぽい何かと言う事にした。

・グールズ
倉瀬は忘れているがアニメ版では「キースがグールズに洗脳されて千年パズルを砕く」シーンが存在している。
本作ではキースが微妙に綺麗になって普通にアメリカに帰ったのでそのイベントが知らない間に潰れ、御伽父が砕く原作漫画に近いイベントが展開。

演技王ペガサスが潰れたマリクとの敵対イベントを回収し、当人たちですら意識しない間にマリクをより強く敵だと認識するように繋ぎ合わせてくれていることは、後書きを御覧の読者の皆さんだけでも知っておいてほしい。
(倉瀬が忘れていて、マインドスキャンでも読み取れない上、掲示板回ですら描写の方法が無い情報)
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