遊戯王の世界に転生したが、原作イベントを踏み外すと世界滅亡なんて冗談じゃない   作:鏡路の一般兵

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・アニメ/原作的時系列
たぶんパンドラ戦の前後ぐらい


バトルシティ編 ~ マリク VS 倉瀬 ~

 

「ぐ……マリク……さま……」

 

 と、いう訳でプレイヤーキラーと化した俺だが、順調に木っ端のグールズを倒すお仕事に邁進している。

 現在の居場所はちょっとした路地裏。あまり好みたい場所ではないが、グールズとの戦いはその性質上、やや人目に付きにくい場所で行われがちなので仕方ない。

 勿論。人形やパンドラがいる場所からは可能な限り遠い場所である。あれは遊戯の成長イベント、カードの心などを考えるとどう考えても必須のイベントであるため、それを潰すような行為は出来ない。

 

 王国編での舞戦の時のような……ある意味で誰が叱咤しても遊戯が成長すると言う話では無く、この2戦に関しては人形(マリク)やパンドラである必要がある可能性が高い。

 パンドラはブラックマジシャン使いとしてのミラーマッチであり、人形は言わずと知れた神のカード入手に必要なイベント。

 

 仮に俺が人形を倒してオシリスを入手。

 俺と遊戯がデュエルするという形で神の所有権が遊戯に移ったとしても、恐らく、色々と足りなくなる。

 あのイベントがあったからこそ海馬とのタッグデュエルや城之内関連があったわけで、そこを潰すのは原作から大きく逸脱しかねない。

 

 しかしグールズを刈り取るといっても、予選抜けとの両立を考えるとこれが中々難しく、パズルカードを持っている……即ち、正規のルートでデュエルディスクを入手したグールズは少ない。

 勿論、俺が必ずしも予選を抜ける必要はないわけだが、千年ロッドの洗脳対策でペガサスが本戦の舞台となるバトルシップに乗れないことを考えると、俺が乗船できるならそれに越したことはない。

 バトルシップはバトルシティだけでは無く、乃亜編にも関わることになるのだから当然だ。

 

 そして俺は全国大会と決闘者の王国と連続で本戦に出場(両方2回戦落ちだが)し、わざわざペガサスと一緒にマリクの前に立つ挑発行為を行った以上。

 パズルカードを持っているレベルの幹部級。原作に登場していないが中々強い奴がレアカード目的にやってきてパズルカードの入手は可能だろうと思っていたのだが……これが意外と少ない。

 

 組織の構成を千年ロッドの洗脳に頼っている都合、どうしても強い人間を手駒にするのに限界があるのか、それとも単純にある程度の実力者、デュエリストの心を持っている人間だとグールズに手を貸したりしないのか。

 原作の描写を見るとその両方な気もするが、現れるのは本当にレアハンターより多少はマシと言った程度の人間ばかりである。

 パンドラのように元々が実力者で、洗脳に頼らざるを得ないほど心が追いつめられている人間は、如何に治安が最悪と言われる遊戯王ワールドでも少ないようだ。

 

 もう一つ考えられるのは、この手の道に落ちる連中はダーツがグールズより先に唾を付けているせいで、グールズが獲得できる人員の平均レベルが極めて低くなってしまっている可能性である。

 イシズを見る限りイシュタール家は千年アイテムに関わる墓守りと言う地方名士ではあるが、流石にアメリカにも匹敵するという超巨大コングロマリット「パラディウス社」を持つダーツの権勢には遠く及ばない。

 自分で悲劇を演出して人材を集めてる点から見て、ダーツもそれなりの実力者で心の闇を持っている相手には一通り声をかけていると見る方が自然だろう。

 ……それが自分の手駒とするためか、オレイカルコス神復活の生贄とするためかは別として。

 

 そういった意味で、パンドラがグールズにいるのは中々に驚きだ。

 本人曰く元々は世界最高クラスの奇術師だったわけで、それが一度の失敗で全てを失ったというのならそれに伴う心の闇も大きいはず。

 これほどの人物にダーツが唾をつける以前、組織力で劣るマリクが千年ロッドの力で洗脳できたと言うのは恐らく相当に運が良い。

 マリクが中に入ってラジコンをせず、単独で遊戯クラスと戦える戦力と言う意味だと、マリクとリシドを除けばグールズでは唯一無二の人材だったのではないだろうか。

 

 そう考えると、俺がパンドラや人形との接触を回避し続ける限り、今回は特にやることが無さそうだなー。

 なんて思いつつ、もしかしたらデュエルディスクは全部正規品で、パズルカードは既に回収されていて、リシドが持ってきたパズルカードの出所はここだったりする可能性もあるのか?なんて思っていたら……。

 

 目の前に現れたのだ。

 褐色肌で目深にフードを被り、正体を隠した少年が……。

 

「…… ……」

 

 おいおいおい、これマリクだよ。オイ。

 どう考えてもリシドの体格じゃねーよオイ。

 何でここにいるんだよオイ。

 

 お前確かバトルシティに到着するのはもうちょっと後じゃなかったか?

 そしてバトルシティについたら即座にバクラと芝居打ってなかったか?

 

 そもそも今時系列的には何処?

 人形戦終わってるの?どうなってるの??

 

「倉瀬と言ったか、千年アイテムも、神も持たず、墓守りの一族でもないのに好き放題やってくれたようだな」

「グールズの首領か?」

「ああ。お前の暴れっぷりは流石にこれ以上は許容できない。今すぐに退場してくれ」

 

 まさか、これって俺とペガサスが参戦したことでグールズが動かせる下っ端の数が減少。

 城之内イベントが予想外の形で折れかけてるのか!?

 いや、グールズの下っ端を10人程度狩ったところでどうこうなる規模の相手じゃないのはしっかり考慮している。

 この点は原作知識以外、インダストリアル・イリュージョン社が推定した組織の規模からも確認済みだ。

 

 ということはまさか、俺が下っ端だと思って倒した連中。

 実はグールズ内だとわりと上の人間で幹部クラスだったりしたのか?それともペガサスの参戦でマリクが到着を急いだ!?何がどうなってこうなったのかはともかく、ここでの遭遇戦はまずい!

 勝てば原作に影響が出過ぎるし、負ければ命が危ない!逃げの一手だ!

 

「なるほどね。でも……」

「無駄だよ」

 

 ガキィン!

 

 内心の焦りを隠しつつ、逃げながらペガサスに連絡を入れてKCから援軍を待つ作戦に切り替えようとしたのだが、取り出した携帯はマリクのカード手裏剣で弾き飛ばされる。

 さらにデュエルディスクには後のシリーズでよく見る奴…… 例のアンカーが取り付けられた。

 あ、これアニメでよく見る展開の奴!!!!という謎の感動もあるが、これが付けられると言う事は強制デュエルの始まりを意味する。

 

 俺のデュエルディスクのデュエルログには不測の事態に備えて常時ペガサスが目を光らせてくれているし、定時連絡も行っているので、このような事態に陥ってもデュエルさえ始まればやがて助けがくることは間違いない。

 しかし……相手はラーの翼神竜を持つマリクである。

 原作ではラーの本領が蘇生にあることを知らないという特大ガバを引き起こしてバクラを敗北に追いやっているが、この世界でどうなのかは分からない。

 

 当然の権利の様にゴッドフェニックスからワンキルを振り回してくる可能性を考えると、罠デッキという特性上どうしてもデュエルが長引きがちで、闇のゲームの危険性もなく援軍を待ちやすかったリシドが相手なら問題無かったのだが……。

 

「貴様にはここで退場して貰う」

 

 その言葉と共に、俺の周囲を闇が包む……最悪である。

 文字通り、マリクは一切の舐め要素無く、闇のゲームで俺を排除しようとしている。

 だが、ここで焦るのは悪手だ。マリクは嗜虐心の強い性格をしている。落ち着いて対応した方が相手の動揺を誘えるに違いない。

 

「これは、闇のゲームという奴ですか」

「おや、何も知らないと思ったけど少しは知識があるのか」

「ペガサス会長が言っていたからね、千年アイテムの持ち主は不思議な力を使うって。こうなったら逃げられないから、首領とだけは戦うなって言われてたんだけど……。まあ、仕方ないか」

 

 ちなみに教導の大神祇官からも言われている。

 どうやら俺はオカルト系の適性が無さすぎるらしく、バクラを相手に割り込むようなことをすると、場合によってはそれだけで命に関わるらしい。

 ……闇のゲームの勝敗の有無に関わらずだ。城之内は闇のゲームで神に精神を焼き尽くされてなお生き残ったことを考えると、自分の貧弱さに涙が出る。

 

「フフ…… 安心しろよ、この闇のゲームに特別なルールは無いよ。ライフポイントが減れば減るだけ精神力が削られていくだけの単純なもの、ライフが0になった後のことは保障しないけどね」

「まったく安心できない説明どうもありがとう」

 

 いや、でも精神力が削れるってだけなら実の所わりと安心したわ。

 永遠に闇に囚われたりとかそういうのが無いなら、遊戯がいれば多分復帰できる。実際マリクから闇のゲームを仕掛けられた城之内や舞が復帰しているわけで、精神力が削られる分には多分問題ない。

 勿論削られないに越したことはないが、耐性の無い俺にとってより危険なのは闇のゲームそのものが及ぼす疲労感。まだデュエルすら始まっていないのにも関わらず軽い倦怠感があるのだから、長引くとまずいのは間違いないだろう。

 この倦怠感が精神力に依存していると言う事は……多分無い、何故なら俺がこうやって思考できているからだ。

 

『デュエル!!』

 

 だからこそマリクと戦うのならばできる限り短期決戦。

 万が一このような事態になってしまった場合、原作イベントのことは考えずに全力を尽くすことを約束している。

 

 手札は……悪くない。理想である最短決着の後攻ワンショットは難しいが、対マリクを考えるならかなり対応の幅が広い手札だ。

 これならばマリクが相手でも十分以上に戦える。

 

「ボクの先行! フ……フフ……フフフフフッ!!」

「……」

「完璧、完璧な手札だ!! 今のボクは気分が良い!!倉瀬……この戦い、もはや1ターン目を始めるまでもない。お前がここで降伏すると言うのなら闇のゲームを終わらせ、手駒にしてやってもいい」

 

 これは……引いてやがる。ラーの翼神竜を引いている。しかも恐らく召喚までの道筋が見える程の形。

 だが俺は当然ここで引くなんて言う事は出来ないし、なによりもこの引きということはデッキの方がやる気満々。そのやる気を裏切ることなんて俺には出来ない。

 

「デュエルは終わってみないと分からないよ。始める前に降参だなんてご免だね」

「なら見せてやるよ! 何も知らない貴様でも分かるような、絶対の力を!!

 ボクは手札から二重召喚を発動! このターン、ボクは1ターンに2回まで通常召喚を行うことが出来る!!」

 

 ああ、これはくるな。召喚までの道筋どころか、分かりやすく初手に来る。

 三幻神の中でも最上位の存在が、初手に現れる。

 

「最初に召喚するのはラーの使徒!ラーの使徒は召喚・特殊召喚に成功した時。

 手札・デッキからラーの使徒を2枚まで特殊召喚できる!!ボクはデッキから2体のラーの使徒を特殊召喚!」

「召喚権を残した上で、下級モンスターが3体……」

「あまりにも高速で生贄を用意したので驚いたかい?見せてあげるよ、これが神のカード!フィールドに存在するラーの使徒 3体を生贄に捧げる!!」

 

 閃光が、炎が迸る。

 マリクが紡ぐ呪文と共に、球体で現われし神は瞬時に戦闘モードへと移行する。

 

「三幻神が一角!ラーの翼神竜!!降臨!!!」

「……」

 

 神。

 俺の眼前にあるのはそれに相応しき威光。見るもの全てを圧倒し、戦意を削ぐだけの力の持ち主。なるほど、原作で神に挑むだけで凄いだとかどうだとか言われるだけのことはある。

 

 闇のゲームの影響で体が重たくなっているとかではなく、その姿がこの場にあるだけで周囲を圧迫する重量感。

 イメージ、威圧感だけでこれだけの力を出せるなら、それは確かに神と呼ぶ他ないだろう。

 

「あまりの威容に声も出ないか!これが1ターン目でよかったな!

 先攻のプレイヤーはモンスターで攻撃を行えない。

 ボクは手札を1枚セットしてターンを終わるとしよう」

「俺のターン、ドロー」

 

 だが、相手が神だからと言って何だと言うのだ。

 如何に原作効果であっても、あるいはそれ以上の効果であっても、言ってしまえば所詮は『ラーの翼神竜』以上の存在ではない。

 

「今のボクは気分が良いから教えてやるけど……ラーの翼神竜は神の中でも最高位の存在。

 生半可な魔法・罠・モンスター効果どころか、同格の神の効果ですら受け付けないよ」

「メインフェイズ。

 このカードは相手フィールド上のモンスター1体をリリースして特殊召喚できる。

 ラーの翼神竜をリリースし、海亀壊獣ガメシエルを君のフィールドに特殊召喚」

「言ったばかりだろう!ラーの翼神竜に対し、神ですらないガメシエルの効果など通用するものか!」

 

 マリクが自信満々に言った直後。

 彼の背後にいたラーの翼神竜は、突如として地の底より現れた巨大な亀の化け物に喰われて消えた。

 それはまさに一瞬の出来事であり、マリクは己の背を照らした太陽が消え、数秒の間を置いて初めて日が沈んだことに気が付いた。

 

「ば……馬鹿な……」

「海亀壊獣ガメシエルの特殊召喚は<特殊召喚のための手順>により行われる!

 モンスターの効果ではない!デュエルモンスターズの……ルールだ!!!」

 

 気合を入れるため、行くぞと手札に語り掛け、俺は展開を開始する。

 まずは送り付けた壊獣の除去から、神と比較すると2ランクも3ランクも落ちるが、ガメシエルは押しも押されぬ最上級モンスター。

 ここで処理をしくじるとガメシエルビートで負けることも考えられるため迅速な処理を求められるが、今回のデッキはやる気十分、手札もかなり良い。

 きっと神を相手にすると言う事で精霊の皆はやる気が漲っているのだろう。

 

「俺は手札よりアルバスの落胤を通常召喚!そしてこのモンスターの通常召喚に成功した時、手札の烙印の絆をコストとして墓地に送って効果発動!

 お前のフィールドに特殊召喚したガメシエルを素材に融合召喚を行う!融合召喚の条件はアルバスの落胤と相手フィールドに存在するレベル8以上のモンスター1体!」

「ぐっ……」

 

 ラーの翼神竜相手なら通用しない効果。しかし、ガメシエルならば何も問題ない。

 コイツはアルバスの落胤の素材にすることで、ノーリスクで相手のエースモンスターを除去し、素材にできるからこそ採用しているのだ。

 白髪の少年はマリクを睨みつけると、マリクのフィールドにいるガメシエルと呼吸を合わせ、一瞬にして荒ぶる竜『痕喰竜ブリガンド』へと姿を変えて猛然と突撃を開始する。

 

「来い痕喰竜ブリガンド! バトルフェイズに突入し、行くぞ!攻撃力2500でダイレクトアタック!」

「貴様のモンスターの攻撃宣言時、聖なるバリア ミラーフォースの効果発動!相手フィールド上の攻撃表示モンスター全てを破壊させて貰おう!!」

 

 しかし、ブリガンドの突撃は通らない。

 攻撃反応罠としては最高峰の性能を誇るバリアに攻撃を阻まれ、光の粒子として消えていく。

 だがこの程度は想定済み、攻撃反応罠をあえてブリガンドに切らせたのだ。

 

「エクストラデッキから特殊召喚されたモンスターが墓地に送られたこのバトルステップ、手札に存在する教導の神徒の効果を発動!

 手札からこのカードを特殊召喚!バトルフェイズはまだ継続中、攻撃力2000の教導の神徒でダイレクトアタック!」

「なっ……ぐああああああああああああ!!!!」

「俺はバトルフェイズを終了してメインフェイズ2に移行。

 ブリガンドは破壊され墓地に送られたターンのエンドフェイズ、デッキから鉄獣戦線モンスター、或いはアルバスの落胤モンスターをサーチするが……」

 

 教導の神徒から思いっきり殴りつけられ、闇のゲームの精神ダメージに悶えるマリク。その姿に若干の哀れみを感じるが、ここで止まるわけにはいかない。

 俺は約束したのだ、彼らにデュエル中に勝手に書き換わるなと。遊戯王ワールドの常識で書き換わりが認められるなら、この指示はあくまで俺のわがままでしかない。

 彼らにあるのが善意か、悪意なのかは分からない。それが悪意ならば俺の選択は正しいだろう。

 

 だが、仮に彼らの根底にあるのが善意、俺を負けさせたくないという純粋な思いだった場合。俺は自分の心情や信念を優先し、手助けしてくれるという彼らの手を振り払っているのだから、ここで負けるわけにはいかない。

 彼らに手を貸さなければならないと思わせるような姿を見せてはいけない。

 

「今回はサーチ効果が発動する前に別の効果を発動。墓地のエクストラデッキから特殊召喚されたモンスター。

 痕喰竜ブリガンドをゲームから取り除くことで、手札より教導の大神祇官を守備表示で特殊召喚する!」

 

 叩きつけるように、だが優しく。

 二つの矛盾するような動作を同時に行いながら、俺は俺が持つカードの中でもっとも信用できない。

 だが、同時に活躍の場を求め続けてきたカードを出した。

 

 現れるのは白い法衣の白仮面、手に持つのは巨大な杖……。そう、巨大な杖だ。

 彼は巨大な杖を持ちながら、教導の大神祇官でいてくれている。

 少なくとも、この闇のゲームと言う場で俺に甘言を囁こうとはしていない、これだけはこの瞬間における事実。

 

「守備力3000の壁モンスター!?」

「さらに教導の大神祇官の効果を発動。エクストラデッキからカード名の異なるモンスター2体、聖女ジャンヌとコアラッコアラを墓地へ送る。

 そしてエクストラデッキからモンスター2体を墓地に送るのは俺だけじゃない。キミもだ」

「何!?疑似的な……ピーピング効果!? ク……ならばボクはヒューマノイド・ドレイク2体を墓地に送ろう」

「ヒューマノイド・スライムとワーム・ドレイクを採用したデッキか、なるほどね」

 

 教導の大神祇官が振り上げた杖は虚空に巨大な二つの穴を作り上げると、どこからともなくカードを墓地へと送り込む。

 後の世界のアド取り能力を知っていると、墓地効果のない融合モンスターぐらいしか落とせないのは少々残念だが、今はそれでも十分。

 

 実の所、表マリクは使用する本来のデッキが判明していないほぼ唯一の重要キャラだ。

 オシリス用の人形のデッキと闇マリクデッキの共通点からして、恐らくスライムデッキを使うだろうという程度の推測はあったが、本当に採用している確証はなかった。

 しかし、エクストラデッキから融合モンスター ヒューマノイド・ドレイクを落としたことで、その素材であるヒューマノイドスライムと、ワームドレイクの採用がほぼ確定。

 表マリクのデッキも人形や闇マリクと同様にスライムを採用していることが分かったのは美味しい。

 どの程度スライムに寄せているのかは分からないが、原作から使用カードのイメージが大きく逸脱することが無いと確認できたのだから。

 

「じゃ、俺はカードを新たに1枚セットしてメインフェイズ2を終了。エンドフェイズ。アルバスの落胤の効果で墓地に送った烙印の絆を発動。

 このカードはアルバスの落胤の効果で墓地に送られた時、セットすることが出来る。当然、セットしてターンを終了する」

 

 初手ラーの翼神竜とミラーフォース。

 最初のターンにマリクが勝利を確信するだけの盤面ではあった。

 

 事実上効果を受けず、無敵の神耐性を持つラーの存在に、ある意味で神唯一の弱点である戦闘破壊を補うミラーフォース。

 率直に言って、この手札以外では突破できないぐらいは強力な盤面だった。

 

 だが、俺にはデッキが憑いている。絶望的な状況をなんでも無いようにひっくり返すぐらいの後押しがある。怪しい連中だって、闇のゲームで神が相手だと言うのに、書き換わらずにそのままでいてくれている。

 だから、これは絶対に勝たなくちゃな。俺はそう思いながら、早くなる鼓動と消耗する体力を隠すように、マリクへとターンを返した。

 

「さあ、キミのターンだ」

 




倉瀬に精霊の声は聞こえない。


ルールとマナーを守って楽しくデュエル! 続きは後編で!


☆掲示板回でやるか分からないこの世界線におけるアニメやカード環境に関する設定

・ラーの翼神竜
効果判明前に除去られた神。
翼/神龍で変換されるため、前話まで投稿者から一生誤字られていた。
すまぬ……すまぬ……。

・海亀壊獣ガメシエル
「効果ではない!ルールだ!!」をしたくて、式谷戦で墓地に落ちてからずっとスタンバイしていた亀。

・教導の大神祇官
はじめてのでばん!
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