遊戯王の世界に転生したが、原作イベントを踏み外すと世界滅亡なんて冗談じゃない   作:鏡路の一般兵

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・アニメ/原作的時系列
城之内 VS キースの前

さあ!原作キャラとのデュエルが始まるよ!


王国編 ~遊戯 VS 倉瀬~

 

 決闘者の王国、本戦の組み合わせはこうだ。

 

 Aブロック、俺VS非原作キャラ

 Bブロック、遊戯VS孔雀舞

 Cブロック、城之内VS非原作キャラ

 Dブロック、キースVS非原作キャラ

 

 この組み合わせを見た時、まっさきに思ったのはこれだ。

 

 城之内、キースに勝てるのかな……?

 

 まず、キースとデュエルを行う前に勝つ必要があると言うのは勿論。

 仮に本戦一回戦を突破することが出来たとして、そこでデッキが割れていれば原作で見せたような初見殺しは機能しない。

 そうなれば城之内がキースに勝つことが出来なくなるのでは……などと思っていたのだが、この心配は完全に杞憂だった。

 

 城之内の相手が俺ほどではないにしても、中々の手札事故を起こしたのだ。

 勿論、モンスターを出せない程ではない。

 俺がデュエル中の二人を除いた全員からの視線を受ける中、城之内は自分が晒す情報を最小限で済ませたまま二回戦への進出を決め、キースもまた自分の実力を発揮して最小限の情報公開で予選を突破。

 見事に原作ルートとの合流を果たすことに成功した。これが運命という奴か。

 

 ちなみに俺はと言えばAブロックということもあって真っ先にデュエルを行ったのだが、上振れ手札の上で後攻だった。

 そう、アルバスくんで相手を吸って、エクレシアからフルルドリスをサーチしてのワンショット。

 これ以上は無い流れで一回戦を突破していたのである。

 

 対戦相手の非原作キャラが「ハードラックだったのは……俺の方……!!」なんて言って崩れ落ちていたが、異名を付けるのならカタカナ+苗字以外にして貰いたい。

 遊戯王ワールドでその組み合わせは噛ませ犬っぽくて凄く気になってしまう。

 

 で、遊戯と孔雀舞の1回戦については原作と同じような流れで推移した。

 ペガサス戦に向けて逸る遊戯に対して舞が窘めるという原作イベントになるわけだが……。

 

 こうしてこの場に立ってみると、ある意味でこの場でもっとも重要度の低いデュエルだった。

 ……と、思う。勘違いしないでほしいのは、これはデュエルのレベルが低いだとか、そういった話ではない。

 

 如何に遊戯と言えども、対面する相手を通過点扱いし、見下した状態で勝てる程この世界のデュエルは甘くない。

 余裕や傲慢と、敵としてすら見ていない舐めプレイと言うのは似ているようでまったく違う。

 相手が舞以外――、城之内でも、キースでも、非原作キャラでも同じだ。

 恐らくは誰が相手でも敵はペガサスだけだと舐めてかかり、そして舞と同じように「私/俺を見ろ」と説教されていたのでは無いだろうか。

 

 キースに関しては遊戯に説教する理由が無いように思えるかもしれないが、ペガサスを見て対面する相手を見ずに嘗め腐って負ける。

 これは完全に自分の焼き直しなのでトラウマに直撃するだろう。

 他人に対してやる分には笑っているかもしれないが、自分がやられると途端に我慢できなくなってしまう。

 それが実物のキースを見て抱いた感想である。

 

 原作とは関係のないイベントという意味では俺のデュエルが最も重要度が低いのだが、一回戦での俺の手札は上振れている。

 あくまでも仮定の話だが、一回戦でデュエル相手を見ていない遊戯が相手ならワンショットが決まっていたのではないだろうか。

 

 俺には遊戯を説教する理由が無い――。

 と言うより、自分が見られていないことにも気が付かず、遊戯ならこの程度凌ぎ切るだろと何も考えずに攻撃。

 遊戯の意識が切り替わる前にワンキルしてしまうみたいな奴である。

 

 そういった意味でこのデュエルは重要度――、遊戯と孔雀舞の組み合わせである意味が薄い。

 俺以外の誰が相手であったとしても遊戯が逸り、対戦相手に窘められて成長するというイベントだったのではないだろうか。

 

 数分の後、少々の準備時間を経て始まる決闘者の王国本戦準決勝――。

 ある意味で因縁とも言える二回戦の舞台で、たとえ誰が相手であっても『敵』として認められるように成長した、やがて決闘王と呼ばれることになる原作主人公。

 武藤遊戯とぶつかる。

 

 

―――

 

 

視点:武藤遊戯&闇遊戯

 

 武藤遊戯―― 表の遊戯にとって、倉瀬とは会ったばかりながら薄気味悪い人物になっていた。

 これは倉瀬という人間が内向的な性格でありオタクと呼ばれるカテゴリに属するからだとか、コミュニケーション能力に欠けているからという理由ではない。

 

 内向的と言うのなら表の遊戯だってそうであるし、友達を作るために千年パズルを必要としたぐらいだ。

 はっきり言って人のことは言えない。

 

 故に遊戯が倉瀬のことを薄気味悪いと感じるのは、まったく別のことが理由である。

 

 開幕はお互いに静かな立ち上がりだった。

 1ターン目、もう一人の遊戯は倉瀬が一回戦で見せた後攻ワンターンキルを警戒。

 アルバスの落胤の効果で吸収されない下級モンスター「岩石の巨兵」をセットした上で罠カードを備える。

 

 2ターン目、対する倉瀬は攻撃力1800を誇る下級モンスター「教導の鉄槌 テオ」を召喚するが、罠カードを警戒して攻撃は行わない。

 遊戯と同様にカードをセットし、守りを固めた上での初動となっていた。

 

 こうなってくると有利なのは先攻の側。

 本来先攻とは攻撃出来ないこと、ドローできないことがデメリットになっているだけで、ターンが回れば回るほど、1ターンに1度しか行えない「モンスターを召喚する回数」の数だけ差が開いていく。

 特にこのような場面、後攻側が壁モンスターを破壊出来ないと言う状況になるとその差が顕著に現れる。

 

「俺は岩石の巨兵を生贄に捧げ、デーモンの召喚を攻撃表示で場に出す!

 バトルだ!デーモンの召喚で教導の鉄槌 テオに攻撃!」

『よし!遊戯が先に上級モンスターを召喚したぜ!』

『さっきの1ターンキルは偶然だったに違いねえ!』

 

 もう一人の遊戯は先攻と後攻という違いにより生まれた差。

 召喚回数に差を付けるために3ターン目という最序盤から押し込んでいく。

 

 舞に対して行ってしまったような拙攻では無い、先に上級モンスターを召喚して相手の下級モンスターを倒せば、相手は上級モンスターを召喚するための生贄を準備する所から始めなくてはならなくなる。

 こうしてカード・アドバンテージを握っていくための攻撃。

 

「罠カード発動! ドラグマパニッシュメント!相手の表側表示のモンスター1体を対象として発動!エクストラデッキから対象以上の攻撃力を持つモンスター1体を墓地に送り、対象となったモンスターを破壊する!!」

「クッ、デーモンの召喚が―― ならば俺はリバースカードを2枚セットしターン終了!」

 

 ―― しかし、その攻撃は容易に防がれる。

 しかもエクストラデッキのモンスターをコストに要求するのにもかかわらず、モンスター1体しか破壊できない。

 明らかに聖なるバリア ミラーフォースや激流葬のような、1枚で複数のモンスターを破壊できる罠と比べ、著しく性能の劣る罠カードによってだ。

 

(あの罠カードは一体……)

(嫌な予感がするぜ……)

 

 全国大会では手札事故によって不運の敗退となったが、強敵揃いの決闘者の王国で予選1位抜けをするほどの実力者が採用しているカード。

 それが何の意味も無いはずもないと、遊戯たちは警戒を露にするが――。

 ボードアドバンテージを握るための積極的な攻勢、それを行った後では全てが遅かった。

 

「俺はキミがターンを終了する前のエンドフェイズ。

 デーモンの召喚を破壊するため、エクストラデッキから墓地に送ったモンスター。

 鉄駆竜スプリンドの効果を発動、デッキからアルバスの落胤1枚を手札に加える!」

「モンスターを破壊しながらのサーチコンボだと!?」

 

 アルバスの落胤。

 それは1回戦でワンターンキルを決めたメインエンジンとなったカード。

 遊戯としてはそのカードを如何に対策するかが問題だったのだが、そのカードはあっさりと倉瀬の手札に舞い降りる。

 岩石の巨兵とデーモンの召喚という2体のモンスターと2回の召喚権の消費を1枚の罠カードで潰し、さらに手札の消費を0に抑えながらだ。

 

「ドロー」

(コイツは厳しい戦いになりそうだ……)

 

 遊戯の場には伏せカードが3枚と手札が1枚。

 一方の倉瀬の場には教導の鉄槌 テオに加え、アルバスの落胤を含んだ手札が6枚。

 

 デュエルが始まって四ターン目。

 倉瀬にはまだ二度しかターンが回ってきていないと言うのに、遊戯とのカード・アドバンテージの差は既に3枚に開いていた。

 

(俺のセットカードには聖なるバリア ミラーフォースがある。

 召喚される上級モンスターを破壊することができれば、倉瀬の手札とフィールドのカードの合計は5枚。次のドローをすれば差は1枚になるが――)

 

 3枚、それは実にドロー3回分の差である。

 手札を1枚増やすことができる魔法カード「強欲な壺」。

 このカードが強すぎることを理由にデッキに1枚しか採用できない、制限カードになっていることを考えれば既にかなり厳しい差と言っていい。

 これをひっくり返すには単純なモンスターの戦闘だけでは難しく、1枚で2枚以上のアドバンテージを取れる魔法・罠カードの力が重要になってくる。

 

「まずは……教導の鉄槌 テオを守備表示に変更。」

『遊戯の場はがら空きなのに、モンスターを守備表示に変更!?』

 

 そんな遊戯の思考をあざ笑うかのように、倉瀬は盤面を固めた。

 

「そして教導の聖女 エクレシアを攻撃表示で召喚。

 エクレシアは召喚・特殊召喚に成功した時、デッキからドラグマカードを手札に加えることができる。俺が加えるのはドラグマ エンカウンター! そしてバトルフェイズ!エクレシアでダイレクトアタックだ!」

 

 槌を振り回す、聖女と言うには聊か活動的な少女が現れたかと思うと、その少女は自身が召喚されただけ減った手札を即座に潤す。

 そしてそのまま飛び上がったかと思うと遊戯へと向かって鎚を振り上げ――。

 

(―― もう一人のボク!)

(ああ!分かってる!)

 

 倉瀬の狙いに気が付いた表の遊戯が思わずもう一人の遊戯に警鐘を鳴らす。

 当然、警鐘を鳴らされたのとほぼ同時にもう一人の遊戯もこの攻撃を通す危険性を理解している。

 

「罠カード!聖なるバリア ミラーフォースを発動!相手モンスターが攻撃を宣言した時、相手フィールドの攻撃表示モンスターを全て破壊する!お前の場の攻撃表示モンスター 教導の聖女 エクレシアを破壊だ!!」

「OK、問題無し。攻撃できるモンスターがいなくなったバトルフェイズを終了してメインフェイズ2。

 カードを3枚伏せてターンを終了する!」

 

 渾身の振り下ろしがバリアに阻まれた聖女が目を回して光の粒子となる中。

 倉瀬はニヤリと笑って頷く。

 

『お、おい……なんで遊戯はミラーフォースを今発動したんだ? いくらダイレクトアタックだからって1500なら受ければいいじゃねーか』

『倉瀬がテオを守備表示にしたのはミラーフォースを警戒したからなんだろうが……』

『そうよ、なんで攻撃表示のモンスターがいっぱい並んでからじゃなくて、1体相手に使っちゃったの?』

『お、俺に言われたって分からねえよ……』

『ド素人が……あのえげつない戦略が分からんのか……』

 

 そんな様子を見て困惑する遊戯一行と、冷や汗をかくキース。

 舞や、他の本戦出場者はあまりのタクティクスに言葉も出ない。

 

『キース、それはどういうことだ!』

『分からねえのか、あの倉瀬とかいうガキは“ライフポイント”を見ちゃいねえ。

 それなのにもう一人のガキ、遊戯は“ライフポイント”を見せられているんだ』

『は……?』

『1回戦のワンターンキルを忘れたか?

 あのドラグマデッキは一撃で勝負を決める破壊力がある。』

 

 キースに詰め寄る城之内。

 キースからすれば嫌がらせ目的で黙っていればいいのだろうが、興奮しているのか声を荒げながらも回答を返す。

 

『攻撃力2500以上のモンスターを出せば手札にあるアルバスの落胤の効果融合で吸収されて、あの化け物が出てきて最低でも攻撃力3000のダイレクトアタック!

 融合対策で攻撃力2000程度で抑えていたとしても、自分のモンスターを素材に出してくることだって考えられる!』

『あ……だから遊戯はライフポイントを高いままで保たないといけないのね!』

『でも……だったらなんでライフポイントを見ていないなんて話になるんだ?

 ライフポイントが攻防の軸になるんじゃ……』

『馬鹿が! フィールドと手札のカード。お互いに何枚か数えてみろ!』

 

 倉瀬の場には守備表示の教導の鉄槌 テオと伏せカードが3枚に手札が3枚。

 一方の遊戯の場にはモンスターが無く、セットカードが2枚と手札が1枚だけ。

 

 次のドローで1つ埋まるとはいえ、ターン開始時に3枚だった手札と場の合計カード数の差は、4枚へと広がっていた。

 ライフポイントを保つため、エクレシアにミラーフォースを切らざるを得なかった遊戯。

 ここだけを見れば1対1の交換だが、エクレシアには召喚された時にドラグマカードを持ってくるサーチ効果がある。

 一見、枚数だけ見れば平等にも見えた交換はその実不平等な上、複数枚のカードを破壊しうるミラーフォースを1枚の消費だけで倉瀬は使わせている。

 

 海馬やペガサスを意識するあまり、メンタルが崩れた状態でデュエルを行った孔雀舞戦のような状況では無く、落ち着きを取り戻して万全のコンディションとなった遊戯を相手にだ。

 

 ペガサス戦に向けて絶好調となったもう一人の遊戯を相手に渡り合うデュエルタクティクスと「ドラグマ」カードのコンビネーション。

 その戦略眼は流石は全国大会の本戦出場者と言った所だが――。

 

(羽蛾くんたちとは違う―― )

 

 遊戯は改めて倉瀬と言うデュエリストの気味の悪さについて考えていた。

 デュエルから目を離しているわけではない。

 デュエルの主導権はいつも通りもう一人の遊戯に譲った上で、倉瀬の攻略法をデュエル以外の視点から探しているのだ。

 

 遊戯には薄いとはいえ自分の知名度について自覚があるし、知識もある。

 自分が海馬と渡り合った有名なデュエリストであり、全国大会は自分たち二人がいなかった大会。

 優勝しても価値が薄いと言われる大会であることも知っている。

 

 自分が所謂承認欲求がそこまで強いわけでは無い事は理解しているし、この決闘者の王国に関しても爺ちゃんが人質に取られていなければ参加もしなかった。

 そのせいで大なり小なり敵視されていて、この決闘者の王国でデュエルをしている間、アウェイ感は何処に行っても感じさせられていた。

 

(だからこそ、意味が分からない)

 

 遊戯が倉瀬から感じる感情は、純然たる興味。

 敵意や害意は無く、「これがあの武藤遊戯か」としか思われていない感覚。

 それはトレードで遊戯に優秀なカードを渡しつつ、自分はコレクション用のカードを選んだ点からも明らかだ。

 遊戯のことを脅威と見なしているなら、トレードで優秀なカードを渡す必要は無い。

 

 更に言えばコレクション用のカードなんてものは選ばず、相手の戦力になりうるカードを対象に選べばよい。

 敵として見ているなら、そうするべきなのだ。

 羽蛾はエクゾディアを海に捨てると言うさらに直接的な手段を取ってきたし、今になって思うと、誰もが必死に争う全国大会の価値を参加しないことで失わせた人間として、恨まれていないわけもない。

 

「俺のターン!ドロー!よし!!強欲な壺を発動し、デッキから2枚カードをドロー!

 そして墓地の闇属性モンスター デーモンの召喚 をゲームから取り除き、手札から輝白竜 ワイバースターを特殊召喚!」

 

 遊戯が思考の海に沈む中。

 もう一人の遊戯が逆転のカードを引き当てる。

 強欲な壺というアドバンテージの差を埋めることが出来るカードから、ワイバースターという墓地に送られるとコラプサーペントをサーチできるカードを引き当てる。

 彼らは決闘者の王国で、エクゾディアを失った遊戯を幾度となく支えてきたモンスターたち。

 

「そしてワイバースターを生贄に捧げ、来い!カースオブドラゴン!!そして墓地に送られたワイバースターの効果を発動!デッキから暗黒竜 コラプサーペント1体を手札に加える!」

「速攻魔法、墓穴の指名者を発動、このカードは相手の墓地のモンスター1体を対象として発動し、対象のモンスター1体を除外する。」

 

 しかし――。

 そのワイバースターがこの場で遊戯を支えることはない。

 

『墓穴の指名者? なんだそりゃ?』

『見たこともないレベルの雑魚カードだな……。

 効果自体は発動してるんだから、死者蘇生の対象を除外するならともかく、効果の発動した後のモンスターを除外した所で何にもならねえだろ』

 

 バキューンと、銃を撃つかのようなモーションを行うキース。

 デュエルモンスターにおけるカードと効果の関係は銃弾に例えられる。

 

 カードは効果を発動した時点で銃弾を発射しているので、発射した後のカードを破壊したり除外してもその効果は無効にならない。

 例外は永続魔法や永続罠のような、場に残って効果を発動するタイプのカードだが――

 

「そして、次のターン終了時まで、この効果で除外したモンスターの効果を無効にする。

 よってワイバースターを除外することで、対象のカードの効果は次のターン終了時まで無効となり、コラプサーペントを手札に加えることはできない!」

『なんつーピンポイントな……!』

 

 墓穴の指名者の効果は対象を除外した上で、その効果も無効にするもの。

 ワイバースターは墓地から除外されたが故に効果が無効になるのではない。

 そもそも効果を無効にされた上で除外されているのだ。

 

「くっ……墓地効果の対策だと!?」

「輝白竜ワイバースターを船でトレードに出したのは俺だよ? 対策ぐらいしていて当然じゃないか」

 

 上級モンスターであるカースオブドラゴンの召喚には成功したものの、ボードアドバンテージの差は縮まらないことに焦る遊戯。

 それに対して「対策はしていて当然」という態度を取る姿を見て、初めて表の遊戯は倉瀬に抱いていた気持ち悪さの正体に気が付いた。

 

≪倉瀬カインというデュエリストは、武藤遊戯という存在をそもそも敵と認識していない≫

 

 武藤遊戯―― 表の遊戯である自分を敵として認識していないのは分かる。

 デュエリストとしての遊戯はあくまでももう一人の遊戯であり、表の遊戯が戦いの舞台に立つことは殆ど無いからだ。

 

 しかし、倉瀬と言うデュエリストはもう一人の遊戯、デュエリストとしての遊戯ですら敵とみなしていない。

 指名者で対策されたのは遊戯のワイバースターでは無く、墓地効果を持つモンスター全て。

 

 海馬が、ペガサスが、羽蛾が、多くの人がもう一人の遊戯を倒すべき『敵』として見定める中、倉瀬の見方だけはフラットだ。

 見下しているわけでは無く、そもそもが敵とみなしていない。

 

 デュエルを通じて友好的な関係を築けた梶木亮太や孔雀舞ですら、デュエル中は遊戯のことを敵として見ていた。

 DEATH-Tから決闘者の王国に至るまで、遊戯の周りは城之内を始めとする友人たちを除き、自分のことを倒す対象として見なして襲い掛かってくる『敵』しかいなかった中――。

 

 どこまでもフラットにデュエルを行い、自分たちを『敵』として見なしてこない倉瀬というデュエリストは、遊戯にとって直感的に薄気味悪いと感じざるを得ない存在だったのだ。

 




掲示板回の世界線ではこの攻防があった後に『ドラグマ』が入ったパックのCMが流れていたりとかするのかもしれない。

長くなりすぎたので分割。
タグにもある通り、本作のデュエルは短縮or控えめなので、次回投稿では中盤の攻防をガッツリバッサリカットして終盤に飛びます。


☆掲示板回でやるか分からない世界線のアニメやカード環境に関する設定

・アニメ倉瀬の描写
ペガサス以外の相手は通過点扱いしていた遊戯が、舞との戦いで対面する相手を『敵』として認めた後に出てくる、遊戯を『敵』と見なしていない予選1位抜けのチュートリアルお兄さん。
アニメではライフポイントの多寡で有利不利が語られることが多い中、遊戯は『敵』ではないので、ライフポイントを0にすることは重要視してないよ!という文脈で『カード・アドバンテージ』の重要性をチュートリアルしてくれる。

・キース
初心者揃いの遊戯チームが倉瀬の守り主体の動きに混乱する中、元全米チャンプであるキースが倉瀬の狙いを親切にも解説してくれる。
初心者に親切なキースは実在したんだ!

・城之内
この展開の後、救魔の標でエクレシアが再利用からのサーチが飛んできてアド差が偉いことになる。
掲示板回で今後の展開の一部が予告済みになっているが、そりゃ杏子から怒られる。
なんてものを渡してやがるんだ。
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