はい。それではお叫びください。
こんな三面ボスがいてたまるか!!!
「すげぇ……」
星海へと飛び立った当麻は、操縦席のモニター越しに広がる神秘に息を呑む。
宇宙。文明が遥かに進んだ学園都市でも、選ばれたエリートのみしか辿り着けない、果てしない未知が溢れる、夢の象徴。
本来であれば、天体観察だけで沸き立つほどの興奮を覚えるのであろう。
しかし。たどり着いたそこは、決戦の地。
キカイの翼を広げ、星の夢はそのモノアイでこちらを睨め付ける。
「総員、気を引き締めろ!この船に乗る全員の手に、宇宙の生命がかかっている!!
役立たずなど一人もおらぬ!!
ここにいる我ら全員が、宇宙を救うために立ち上がった『ヒーロー』なのだ!!!」
艦橋に立つメタナイトの啖呵に、乗り込んだ全員の目つきが変わる。
当麻もまた、何が出来るわけではないものの、沈んだ表情の美琴へと目を向けた。
「ミサカはオレさまのかわいい部下の一人だ。泣かせたら承知しないぞ、トーマ」
「あいよ」
デデデ大王は、ばん、と当麻の再生したばかりの右肩を強く叩き、美琴のことを任せる。
佐天は白井黒子と相討ちとなり、現在は医務室でワドルディらに介抱されている。避難していた人間らは、一方通行が作り上げた簡易式の地下シェルターで、医療班による治療等を受けているだろう。
今、この船には、戦う決意をした者しかいなかった。
「……厄介なことになったな」
「それって、どういう…?」
メタナイトの言葉に首を傾げる当麻。その疑問は、すぐに晴れることとなった。
星の夢がハート型の穴を開くと共に、そこから幾つもの紫色のゲルとキカイが顕現する。
鉄巨兵ギガヴォルトやクローン戦士、果ては当麻の右腕を一度は消し飛ばした、『レールガンボーグ』の量産型が立ち並ぶ光景は、まさに地獄絵図。
当麻らがソレに青い顔をするも、カービィは冷静にハンドルを握った。
「ぽよーーっ!!」
撃て。
カービィがそう叫ぶと共に、二連主砲、果ては追加で取り付けられたレーザー砲門から、弾幕が放たれる。
これでギガヴォルトは轟沈。クローン戦士も、呼び出された二割弱が消し飛ぶ。
ギガヴォルトの残骸を『キャプチャーすいこみ』で、夢のチカラへと変換し、『プラネットバスター』の弾丸として取り込む。
しかし、星の夢もまた、残骸とならない以上、大砲へと変換できないクローン戦士を生み出し、負けじと弾幕を張った。
「なんということだ…!これでは『プラネットバスター』が溜まらない…!」
「配置が終わりましたって、ミサカはミサカはちょっぴり船員っぽく報告してみる!!」
「っ、ナイスタイミングだ、打ち止め殿!
カービィ!緑のランプが全て光った時に、BボタンとAボタンを同時に押せ!!」
「ロボボの操縦ボタン、この状態でもまんまゲームなんだな…」
当麻が半ば呆れ、そういえば移動するためのレバー以外はヤケにゲーム機のような配置だったな、と想起する。
スージー以外は知らぬことだが。ハルトマンワークスカンパニーの製品は、どれもが『誰でもお手軽に使える』というコンセプトで生み出されている。
ハルトマンがココロを失った後も変わらなかったが、そのコンセプトが功を奏し、星の夢打倒につながったのだ。
夥しい弾幕を避けること数分。
ちんっ、という、レンジのような音と共に、緑色のランプが点る。
ソレを視認するや否や、カービィは即座にボタンを押した。
「『プラネットレールガン』、展開!!」
瞬間。ハルバードの船底が展開し、そこからレールガンの砲身が形成される。
その内部には、一万の御坂妹やプラズマウィスプなどの電撃能力者が搭乗しており、レールガンボーグに負けぬほどの威力を誇る一撃を放つために、能力をフル稼働させていた。
砲身部分には、神妙な面持ちのパルルが鎮座する。
パルルは太鼓型の砲台を展開すると、星の夢目掛け、槍を構えた。
「『プラネットレールガン』、発射!!」
パルルが叫ぶとともに、砲身に凄まじい雷撃が迸る。
そこを駆けるように槍が放たれると、その槍は一発の巨弾と化し、衝撃波と熱波でクローン戦士を殲滅した。
それだけでは終わらない。その光は星の夢のボディに着弾し、その装甲をごっそりと削り取った。
『クローンハルトマン部隊・テンカイ・>』
星の夢がそんな電子音声を放つと共に、ハート型の穴から幾人ものクローンハルトマンが、インベイドアーマーに乗って現れる。
星の夢が幾重ものハートフル・シェルで身を固めると、その中でハルトマンたちが修復作業を始めた。
「あのポンコツ…っ!どれだけパパを侮辱すれば気が済むのよっ!!」
「まずいな。ジリ貧にも程がある」
スージーが怒りを露わにする隣で、メタナイトが仮面の下に焦燥を滲ませる。
残量が分からないクローン戦士らがこちらへと殺到する中、ハートフル・シェルを削り切ることも叶わない。
打開策が手元にないこの状況に、船員らも不安げな表情を浮かべる。その時だった。
『ッシ、間に合っタヨォ!!』
通信機から、そんな音声が響いたのは。
瞬間、ハートフル・シェルが砕け散り、星の夢の無防備な姿が晒される。
クローン戦士らも自壊し、宇宙のチリへと消えていった。
『も、もぉ、無理ですぅ…。頭が熱い…』
『……お前…、あんな無茶な式でよくも…、ほんと、お前…!』
『ゴチャゴチャうっセェナ!!文句ならあとでイエ!!
…オホン。トモカク、コレでヤツの機能を一部ハカイしタヨォ!!
ヤツはもう、多重ハートフル・シェル、クローン戦士は使えナイ!!
アトはやっつけるダケダヨォ!!』
「え?う、初春さん…と、誰と、誰?」
「…今だけは礼を言おうか、マホロア」
美琴がパチクリと目を丸くし、船内に響く友人らの声に首を傾げる。
希望は確かに見えた。
だが、星の夢の回復には間に合わなかったのだろう。星の夢のボディはすっかり元通りとなっている。
その光景を見て、美琴は呟いた。
「なんで、戦おうと思えるのよ…。
アイツはっ!…学園都市を好き勝手にできるようなバケモノで、狡猾で…、強大で…。勝ち目なんて、あったとしても、すぐに摘まれてしまうような、そんな相手なの…。
それなのに、なんで…?」
「……いいこと教えてやるよ、ビリビリ」
当麻は真っ直ぐにモニターを見て、笑みを浮かべる。
「コイツら全員、とびっきりのお人好しなんだよ」
「ぽよーーーっ!!」
まるで自分の親友を自慢するかのように告げると共に、カービィの咆哮が轟いた。
星の夢に弾幕が殺到する中、ハート型の穴から、今度は量産型メタナイトボーグやハート型の爆弾などと言った兵器が飛び出す。
砲門に限りがあるため、その全てに対応は出来ないが、その一部を撃ち落とすことで残骸を取り込む。
プラネットバスターが満タンになるまで、あと二割。
そのタイミングで、ばら撒いた弾幕に被弾したことでダメージの入った星の夢は、ハートの部分をパージさせ、一枚のハートフル・シェルを展開した。
それだけではない。星の夢はガラスのような羽を飛ばし、雨霰と見まごうほどのレーザーを放つ。
「おい!回避で精一杯だぞ、メタナイト!」
「慌てるな!!打開策はある!!」
焦燥するデデデ大王の声に、メタナイトが一喝すると。
甲板から白の一閃が放たれ、ハートフル・シェルを破壊してみせた。
『オイ、仮面剣士。コレでいいかァ?』
「助かった、一方通行殿。急かすようですまないが、即座に帰還してくれ。危険だ」
『あいよ』
宇宙に漂う白…ハルトマンワークスカンパニー製試作宇宙服を纏う一方通行が、ハルバードの甲板へと戻っていく。
ハートフル・シェルを展開していたパーツを取り込んだことにより、コントロールパネルのランプが虹色に煌めく。
カービィはソレを視認すると、勢いよくAと刻まれたボタンを押した。
「ぽよぉーーーーっ!!」
「『プラネットバスター』、発射!!」
カービィが星型弾を吐き出すように、がぱっ、と開いたロボボアーマー:ハルバードモードの口から、夥しい数の巨大星型弾が星の夢に着弾する。
その一撃が星の夢に深刻なダメージを与えたのか、星の夢は黒煙を巻き上げながら落ちていった。
「っし!やった!!」
「いいえ、まだよ!ヤツはこれだけでやられるタマじゃないわ!!」
スージーが声を上げると共に、太陽を遮り、ハルバードを丸い影が覆い隠す。
落ちてゆくはずだった星の夢は持ち直し、その影へとマージすると、丸い影が覚醒したかのように、その目を見開く。
「………猫?」
インデックスがそう呟くと共に、丸い影の口から咆哮が放たれる。
宇宙が万華鏡のような空間に作り変わると共に、その影の姿は露わになった。
黄金のボディに、いくつも付属した、統一感のないガラクタ。
等しく眠そうな猫のように半分が閉じられた瞳は、無機質にこちらを見つめている。
その姿は、かの機械仕掛けの大彗星…『ギャラクティック・ノヴァ』にそっくりであった。
『3……2……1………GO!!』
瞬間。ハルバードに衝撃が走った。
マホロアチーム…コイツらがいなかったら多分詰んでた。初春とステイルは知恵熱で三日間安静が言い渡されたという。それだけで地球が救えるんだから安いもん。ちなみにマホロアは「知識を叩き込めば利用できそうだな」とか思ってる。
プラネットレールガン…妹達とパルルの協力によって実現した、時間経過で溜まる強力な一撃。満タンプラネットバスターほどの破壊力はないが、広範囲に広がるため、殲滅力はピカイチ。
星の夢…学園都市の衛星をジャックして宇宙で作ってたアクシスアークスをさらに改造し、まんまギャラクティック・ノヴァのような形にした。初手Fatal Errorとかいう即死攻撃を放ってくる鬼畜だぞ!テメェみてぇな三面ボスがいてたまるか!!
ギャラクティック・ノヴァ…アイツ、多分ワタシと同じような爆発の仕方するよ