混血のカレコレ【Over the EVOLution】   作:鬱エンドフラグ

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上司「あああああああああ〜〜〜〜!!!」

パンダ「どうしたんです?上司」

上司「ぺ、ペンギンが…『ZAIAエンタープライズ』にヘッドハンティングされたーっ!!」

パンダ「えっそうなの?」

ペンギン「本当だ」

パンダ「上司〜実は僕も『スマートブレイン』って企業にスカウトされてるんですよ〜」

上司「なっ、なにいいいいいいい!?」

シャチ「あ、上司さん。僕も野座間製薬という製薬会社から声がかかってます」

上司「ファッ!?」

シャチ「ペンパイと違う職場になるのは寂しいですけど、もうこんなブラック企業にはうんざりなので転職しますね!」

上司「お前ら〜!!この会社への恩はないのか!?」

ペンギン「そんなもんあるわけない」



不穏な陰影

とある繁華街

 

「待てゴラァ!!泥棒ー!!」

 

「待ちやがれクソガキィ!!」

 

「ハァ…!ハァ…!ハァ…!」

 

一人の少女がどこかの店の従業員らしき服装の男達に追いかけられている。

 

少女は腕にパンや果物などの食べ物を抱えており、恐らく彼らの店から盗んだ物だと思われる。

 

少女は咄嗟に路地裏に駆け込む。

 

「クッソ!!どこいきやがったあのガキ!!」

 

少女は物陰に隠れながら自身を追いかけてきた男達が去るのを待つ。

 

「…ハァ〜」

 

男達の姿が見えなくなったのを確認すると少女は脱力したように猫耳と二本の尻尾(・・ ・・・・・)を垂れ下げる。

 

「…チキショウ」

 

少女は悪態をつきながら人気のない道を歩いていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ニャー」

 

「はいはい、今日も用意してますよ」

 

喫茶店nascitaの裏の勝手口から出た場所で、フィーアは一匹の野良猫に餌を与えていた。

 

少し前にフィーアは店の近くでうろついていた野良猫に残飯を与えた。

 

それからその野良猫は毎日決まった時間帯に現れるようになったのだ。

 

さらに乗った残飯を野良猫は嬉しそうに食べているのでフィーアも何時しかこの時間が楽しみになっていた。

 

「フフッ、本当に可愛いですね」

 

フィーアはその猫を撫でようと手を伸ばす。

 

 

パシッ

 

 

しかしその手は猫の肉球で弾かれてしまう。

 

猫はゴロゴロと喉を鳴らして餌を食べるのを再開した。

 

「…」

 

フィーアは真顔になりつつも再び猫を撫でるために手を伸ばす。

 

 

パシッ

 

 

またしてもフィーアの手は猫の手で払われた。

 

「…」

 

フィーアは無言で猫を睨みつける。

 

そして目に見えぬ速度で猫に手を伸ばす。だが猫はそれと同じ速度でフィーアの手を払い除ける。

 

それでもフィーアは諦めず何度も猫に触れようとするが、

 

シュッ  パシッ  

 

シュッ  パシッ  

 

シュッ  パシッ  

 

シュッ  パシッ 

 

猫も負けじと爪を立ててそれを拒む。

 

「…あぁぁぁもうっ!!少しぐらい触らせてくれたっていいじゃないですかああああああああ!!!」

 

フィーアは猫相手に本気でキレる。

 

なぜこうも抵抗されるのか。自分はただこの愛くるしい生き物に触れたいだけなのに…。

 

その後もフィーアと野良猫の攻防は続いた。

 

 

 

 

 

同日、深夜

 

「目の前でイチャつくカップルがいてよ、あーゆー奴らが幸せそうにしてんの見るとイライラすんだわ」

 

ここはどこかのオフィスビル。

 

「そんでよ、そのクソカップルの男をボッコボコにしてやったわけよ!そしたら女がもうやめてって泣きながら俺にすがりついて来てよぉ!」

 

オフィスで一人の男がソファーに座りながら部下達に自慢げに話していた。

 

男はドレッドヘアで蛇柄の赤いスーツを着ており、その風貌は誰が見てもカタギの人間ではない。

 

男の名は蝮谷キワミチ。府露斗会という暴力団組織の若頭である。

 

「兄さんってカタギに手を出してもいつもマッポ共に許されてますよね?なんでですか?」

 

話を聞いていた一人の構成員がキワミチに素朴な疑問を投げかける。

 

「あ?あー、テメェは新入りか」

 

「はい」

 

「俺ぁ、マッポ共のカシラの家族と友達なんだよ」

 

「どういうことですか?」

 

「マッポからもらった際どい仕事やってんだよ。主に異宙関係のな。だからマッポ共は俺を捕まえられねー。だから、俺は自由だ」

 

「さすが兄さん!」

 

構成員はキワミチを褒め称える。

 

その時だった。

 

ドガァァァッ!!

 

突如オフィスのドアが轟音を立てて吹っ飛んだ。

 

「な、なんだ!?」

 

突然の出来事にキワミチ達は驚く。

 

するとドアの先から現れたのは…

 

「復讐の時間だ」

 

異形の怪物だった。

 

(な、なんだこいつは…異宙人…なのか?)

 

キワミチは目の前の怪物を見て動揺する。

 

人型で上半身は茶色、下半身は青の身体をしており、顔には二つの大きな複眼がついていて水平方向に伸びた四角い瞳孔をしている。

 

頭部からはねじれたツノを生やしており、それは『山羊』を彷彿とさせる。

 

両腕にもそれぞれ同様のツノが一本づつ生えていおり、まるでドリルのよう。

 

そして何よりその全体的なフォルムはメカニカルな意匠を纏っており、生物というにはあまりに無機質な見た目をしていた。

 

キワミチは今まで警察からもらった仕事の関係で多種多様な異宙人を見てきたが、こんな化物は見たことがなかった。

 

「我が名は〝ジャッジ〟。貴様らゴミ共に裁きの鉄槌を下す」

 

ジャッジと名乗ったその怪物の声に呆けていたキワミチ達は我にかえる。

 

「な、なんじゃテメェは!」

 

「誰に喧嘩売ったのか分かってんのかコラァ!!」

 

キワミチの部下達は銃やドスを手に取り戦闘態勢に入る。

 

するとジャッジは腕のドリルを回転させると、凄まじい速さで回転させ、目にも止まらぬスピードで動き出す。

 

次の瞬間二人の構成員がジャッジのドリルで体を貫かれ絶命した。

 

(っ!?は、早いっ!!)

 

キワミチは驚く

 

更に他の構成員達もジャッジのドリル攻撃を避けきれず、次々と体を引き裂かれ物言わぬ肉塊となり、残りはキワミチ一人となった。

 

一瞬にして部下達全員が殺されたことにキワミチは戦慄した。

 

ジャッジはキワミチの元にゆっくりと歩み寄る。

 

「は、はは。なんなんだテメェは、いったい誰からの差し金だ」

 

キワミチは怖気づくのを悟られぬよう不遜な笑みを浮かべ傍ら置いていた日本刀を引き抜く。

 

「私は、貴様らのような法で裁けぬゴミ共に鉄槌を下す者」

 

「ハッ!そうかい、警察がダメじゃ俺を殺すしかねーもんな!」

 

キワミチは強気な態度で挑発する。内心は焦っていたが彼にはこの状況を切り抜ける自信があった。

 

(落ち着け…俺には奥の手がある)

 

するとキワミチはジャッジに気づかれないように日本刀の刃で自身の指先を浅く切りつけた。

 

そしてキワミチはジャッジに向かって走り出した。

 

実はキワミチには特殊能力がある。

 

それは…ヒュドラの毒

 

『ヒュドラ』

 

それは異宙で、ある生物を除いて(・・・・・・・・)最も強力な毒を持つと言われる。

 

キワミチは一度、ヒュドラの毒に侵されたことがある。

 

だが奇跡的に抗体があり、九死に一生を得た。

 

それどころかヒュドラの毒を自由に操る能力を得た。

 

それもあってキワミチは警察から異宙関係の仕事を任されるようになった。

 

普段なら自身の爪を使って相手の皮膚を傷つけそこから毒を注入するのだが、目の前の怪物の外殻からして生爪では傷つけることは困難と判断したキワミチは自身の指を切りつけ、血液をつけた刀で突き刺し、直接毒を体内に送り込むという荒業に出ることにしたのだ。

 

キワミチは刀を突き刺さん勢いで構える。

 

ジャッジは避ける素振りすら見せず、ただ棒立ちのまま動かない。

 

(馬鹿め!!そのまま突っ立ってろ!!)

 

キワミチは勝利を確信した。

 

そして刀はジャッジの腹に深々と突き刺さる———ことはなかった。

 

刀はジャッジの外殻に傷ひとつつけることなく刀身が砕けた。

 

「あ…あ…あぁ…」

 

キワミチは最後の手段が失敗に終わったことに絶望し戦意喪失する。

 

するとジャッジは左手でキワミチの首を掴み持ち上げた。

 

「グッ…ゲェェ…ヒャめ…やめろ…ォ」

 

キワミチは首を掴まれ呼吸が出来ずもがく。

 

——ギュイイイイイイイイイイイイイイイ!!

 

しかしジャッジは気にすることなく右腕のドリルを高速回転させる。

 

そしてジャッジはドリルを振り上げ、キワミチの体を貫いた。

 

「アグッ、ゲェ…ゴフゥゥッ…」

 

ドリルが背中から突き出され、キワミチは血反吐を撒き散らしながら息絶える。

 

ジャッジはキワミチが事切れたのを確認すると亡骸を放り投げた。

 

辺り一面肉塊が浮かぶ血の海。

 

その中心にいるのは山羊の異形一人。

 

「この街のゴミは全て綺麗に掃除する。それが私に与えられた使命だ…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日付が変わりかける時間帯。

 

一人の少女が暗い夜道を歩いていた。

 

少女は茶髪で頭には猫耳が生えており、臀部には二本の尻尾が生えている。誰の目から見ても異宙の住人だということがわかる。

 

少女が着てるのはボロボロの薄手の服。その格好から少女が訳ありだということが伺える。

 

「あー、猫缶食いてぇ…ニ”ャッ!?」

 

少女は前から走ってきた人影にドンッとぶつかり、その衝撃でよろける。

 

「イテテテ…おい!気をつけろよ!」

 

少女はぶつかった相手に向かって怒鳴った。

 

だが、すでにそこには誰もいなかった。

 

「…ハァー、なんなんだよ……ん?」

 

すると少女は、近くに何かが落ちていることに気付く。

 

少女はそれを拾い上げる。

 

「さっきの奴が落としてったのか…?」

 

拾い上げたそれは筒状の小さな容器のようなもの。

 

容器は紫色のクリア素材でできておりキャップ部は茶色く、容器の側面には———————銀色の『山羊』のマークが刻印されていた。

 




上司「な、なにいいいい!?お前らも辞めるだとぉ!?」

戦極凌馬「ええ、私は『ユグドラシル・コーポレーション』に、ドクター真木は『鴻上ファウンデーション』に、ね」

真木清人「そういうことになります」

上司「ま、待ってくれ!!技術開発部の中でも特に優秀な人材であるお前らに抜けられたら…某企画はおしまいだ!!」

真木清人「いいではありませんか。この会社は終わらせるべきです」

戦極凌馬「それでは失礼させてもらうよ。この会社は破滅する。それが某企画の、運命…」

真木清人「今まで、お世話になりました。良き、終末を」

上司「いやああああああああああ見捨てないでくれええええええええ」
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