混血のカレコレ【Over the EVOLution】   作:鬱エンドフラグ

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フィーア「ただいまー」

惣真「おう、おかえりって…どうしたんだよその子!?」

フィーア「えーっと、かくかくしかじかで…とりあえず私の部屋に寝かしてきます」

猫耳の少女「…」ポロッ

惣真「ん?今あの子から何か落ちて…!これは…!?」



懸念

「う〜ん…ニャッ!?」

 

「あ、気がつきました?」

 

猫耳の少女は目を覚ますと知らない場所にいた。その横には自身をあのチンピラに首を絞められているところを助けてくれた額からツノの生えた金髪の少女がいた。

 

「お、お前!なんで」

 

「あなたさっきの男に首を絞められてたからからなのか急に倒れたんですよ。病院は少し遠かったのでうちに連れてきたんですけど…」

 

「…フンッ、あのまま放っておけばいいのによ!」

 

猫耳の少女はそう言い放つとそっぽを向く。

 

「助けなんて頼んでねぇ、だから礼なんて言わねぇぞ」

 

「ひねくれてますね〜」

 

金髪の少女は呆れたように言うとため息をつく。

 

「でも良かったです。それだけ元気なら大丈夫そうですね。」

 

「…………」

 

「私の名前はフィーアと言います。あなたの名前を教えてくれませんか?」

 

金髪の少女、フィーアは猫耳の少女に話しかける。しかし、彼女は口を開こうとはしなかった。

 

「……」

 

「困りましたね……じゃあ私が当てましょう。えーっと……『ニャーニャ』ちゃんですか?それとも『ミケ』ちゃんとかでしょうか?」

 

「アタシが猫耳生やしてるからって安直すぎだろ!!」

 

フィーアのネーミングセンスに思わずツッコミを入れる猫耳の少女。

 

「あれれ〜違いましたか?」

 

「違うわ!!てかなんだよその名前!ふざけてんのか!?」

 

「いえ別にそんなつもりはないですよ」

 

猫耳の少女の剣幕にも全く動じず、フィーアは平然と答える。

 

「……ねーよ、名前なんて」

 

「…え?」

 

「親に地球に捨てられたんだよ。まぁ今更どうだっていいけどな。」

 

「…………」

 

フィーアは黙ったまま何も言えなかった。

 

「おい、なんだよその顔。同情してんのかよ?気持ちわりぃな」

 

猫耳の少女は悪態をつくが、それでもフィーアは何も答えなかった。

 

数分、いや数秒だっただろうか。部屋では、しばらく重い沈黙が続いた。

 

そしてようやくフィーアが何か言おうと口を開こうとしたその時。

————ぐぅぅぅぅぅぅ。

 

そんな音が部屋に響いた。

 

音の出どころは猫耳の少女のお腹からである。

 

「あ、や、ちがっ、今のはっ」

 

猫耳の少女は顔を赤く染めると、慌ててお腹を隠す。

 

その様子にフィーアはクスッと笑う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

モグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグ
「…んがっ…ぐ…」
モグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグ

 

「よく食うな」

 

「よっぽどお腹が空いてたんですね」

 

惣真とフィーアの二人はテーブルを挟んだ向かい側に座っている猫耳の少女を見ながら感心したように呟く。

 

「…ング…ゴクン……うっせぇな、ほっとけよ!」

 

「デザートもありますよ。ほら、リンゴの猫ちゃんです」

 

「めっちゃリアル!?」

 

「……」

 

フィーアと猫耳の少女のやりとりを見て惣真は微笑ましく思いながらもある懸念を抱いていた。

 

惣真はフィーアたちから見えない場所に移動しズボンのポケットに手をいれ、あるものを取り出す。手に掴んだソレを見る。

コレはフィーアがあの猫耳の少女をnascitaに運んできた際、猫耳の少女の服の中から出てきたものだ。

惣真はコレがなんなのか知っている。

 

(どう見ても、『ロストボトル』だよな…)

 

 

ロストボトル

 

正式名称はロストフルボトル

 

それは惣真が生前観ていた特撮番組『仮面ライダービルド』におけるアイテムの一種

 

仮面ライダービルドが変身に用いるフルボトルとは別の、パンドラボックス由来でない、人工的に作られたボトルであるのだが…

 

(これは…山羊?)

 

今手に持ってるこのロストボトルは惣真の知識にはないものだった。

 

 

ロストボトルは全部で

 

コブラ、コウモリ、城、クワガタ、フクロウ、シマウマ、ハサミ、CD、ハンマー、スパナの10種類存在するが、これはそのどれにも該当しない『山羊』のレリーフ。

 

(ロストボトルは人工的に作られたもの…考えられるのはトッププレデターが作ったのか?…いや、だとしてもなんであの子がこんなものを持ってたんだ…?)

 

「あの、お父さん」

 

「!」

 

後ろからフィーアに声をかけられ惣真は咄嗟にロストボトルを背に隠しつつ振り向く。

 

「お、おう。どうしたフィーア?」

 

「えっと、相談があるんですけど———」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

猫耳のガキの居場所がわかったぞ

 

「本当か!?」

 

ああ…(それにしても、まさか『nascita』にいるとは…これは思いもしない形で計画(・・)が進みそうだ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「———で?一体何が目的なんだよ」

 

「?、なんのことですか」

 

フィーアは猫耳の少女の言葉の意味がわからず首を傾げる。

 

「惚けんなよ。アタシを助けたのも飯を食わせたのも何か企んでるからだろ?ハッ!まさかさっきの食事には睡眠薬が入っていてアタシが眠っている間に奴隷商に売るつもりじゃ…」

 

「そんなことしませんよ!」

 

さすがにフィーアは憤慨した。

仮に奴隷商に売るつもりならそれは猫耳の少女が気を失っていた段階でそうそうするだろう。

わざわざ介抱したり、食事を振る舞う必要はないのだ。

 

「まったく、さんざん食べたくせに何を言ってるんですか。しかもこんなに食べ散らかして……お行儀が悪いですよ?」

 

「生憎アタシは人間のマナーやらルールに従うつもりは一切ないんでね」

 

「いけません。これから一緒に暮らす以上、最低限のルールは守ってもらわないと困ります」

 

「だから……はぁっ!?」

 

 

一緒に暮らす。今そう言ったのかこの少女は。

 

「な、なんだよそれ!!聞いてねーぞ!!」

 

「はい、ついさっき決めましたから」

 

あっけらんかんと言うフィーア。

 

「だってあなた、行くところ無いでしょう?だったら私と一緒に暮らしましょう。大丈夫です。お父さんにはすでに話をつけています。部屋もありますので」

 

「ふざけんな。誰がお前らなんかに世話になるかよ」

 

「あ、それと」

 

「人の話聞けよ!?」

 

「私のことはお姉ちゃんと呼んでください」

 

「…は?」

 

「お・ね・え・ちゃ・ん、ですよ」

 

フィーアは目をキラキラと輝かせながら言う。

 

「…ぜってーヤダ」

 

「お・ね・え・ち・ゃ・ん」

 

「……」

 

「お・ね・え・ち・ゃ・ん」

 

「だああああああああ!!!うるせぇ!!!絶対呼ばねぇしアタシはここに住むつもりはねぇ!!」

 

「むぅ…そこまで拒みますか。一体何が不満なんですか。衣食住だけでなくこの超絶完璧美少女である私が姉になると言うのに」

 

「アタシはそもそもお前らを信用してねーんだよ!」

 

ハァー、ハァー、と息を切らし数秒の間を置いてから猫耳の少女は言葉を続ける。

 

「…だっておかしいだろ?なんで会ったばかりのアタシにここまでするんだよ。何か裏があるとしか思えねぇ」

 

「裏も表もありませんよ。私がそうしたかったからそうしただけです」

 

「なんの見返りもなしにかよ」

 

「子供相手に見返りも何もないですよ」

 

フィーアはさらに続けて言う。

 

「…あなたがここに住むのを拒むなら私は強要しません。でもこれだけは言わせてください―――――――あなたを応援したいと思っています。あなたのこの先に“幸”があるように、と」

 

「…………フ、フンッ!んなもん腹の足しにも何ねーよ!」

 

そう言うと猫耳の少女は立ち上がり店の扉に向かう。

 

「行っちゃうんですか…?」

 

「外の空気を吸いにいく…………少しだけ考えさせてくれ」

 

そう言い猫耳の少女は店の外に出た。

 

「……」

 

フィーアはしばらく扉を見つめていた。

 

「…あの子は帰っちまったのか?」

 

すると冷蔵庫の扉を通じて地下秘密基地から出てきた惣真が声を掛ける。

 

「…考えさせてほしいそうです。まだ店の前にいます」

 

「そうか…。(本人の意思を尊重するつもりだが…ロストボトルを持ってたことが気がかりだ)」

 

惣真が猫耳の少女を住ませることを許したのには理由がある。

 

フィーアから話を聞いてあの少女に身寄りがないことを知りフィーアと同じように放って置けなかったのもあるが、1番の理由はあの少女がロストボトルを持っていたことからトッププレデターと何かしらの繋がりがあると思ったからだ。

 

「まぁ、すぐに答えが出るとは思っていませんでしたし、気長に待ちましょう」

 

「……そうだな」

 

 

 

 

 

 

「……」

 

nascitaの前で猫耳の少女は空を眺めながら先ほどのフィーアの言葉を思い出していた。

 

 

───あなたを応援したいと思っています。あなたのこの先に“幸”があるように、と───

 

 

今まで生きていて碌なことがなかった。生きることなんて嫌いだと思ったことだってあった。

 

だが今日この日まで自身にあんなことを言ってくれた人はいただろうか。

 

「……アタシは「見つけたぞ」———え」

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわああああああああああ!?」

 

「「!?」」

 

店の外から聞こえてきた悲鳴に惣真とフィーアはすぐさま外に出る。

 

「どうしました!?…!!」

 

「はなせっ、離せよ…!!」

 

二人の目に映ったのは…猫耳の少女が奇妙な姿をした存在に取り押さえられていた。

 

ワインレッドのボディと装甲…マフラー、あるいはネックウォーマーのように首周りを覆うパイプ、額から生える煙突のような角…そして、コブラ(・・・)のような形状の緑色のバイザー。

 

「馬鹿な…、あり得ない…」

 

惣真はその存在を知っていた。知っているからこそ目の前にいる存在が信じられず戦慄していた。

 

()()()()()()()()…!?」

 

「あ、あなた!!その子に何してるんですか!!」

 

惣真の動揺に気づかず、フィーアは目の前の人物…ブラッドスタークに迫る。

 

「…」スチャッ

 

バキュンッ!

 

「っ!?」

 

ブラッドスタークが右手に持つ銃…『トランスチームガン』から放たれた弾丸がフィーアの足元の地面を削り取る。それに思わずフィーアは怯んでしまう。

 

ブラッドスタークは再びトランスチームガンの銃口を地面に向け引き金をひく。

 

シュウウウウ…

 

しかし次に銃口から出てきたのは弾丸ではなく…煙だった。

 

排気ガスのような色のその煙はブラッドスタークと猫耳の少女の全身を包むほどの

量で辺り一帯に充満する。

 

「な、なんですかこれ…!?ま、待ちなさい!!」

 

ようやく煙が消えた頃には、ブラッドスタークと猫耳の少女の姿はなかった…。

 




読者の皆様、長らくお待たせしました。
ああ…前回の投稿からおよそ2ヶ月…とうとう年を越して2023年を迎えてしちまったよ。
今年中にエボル編を終わらせるつもりだったのに…
次の投稿いつになるかな…(遠い目)
とりあえずだいぶ遅れましたが明けましておめでとうございます。
2023年も『混血のカレコレ【Over the EVOLution】』をよろしくお願いします。
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