混血のカレコレ【Over the EVOLution】   作:鬱エンドフラグ

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お久しぶりです!!

ここ暫く更新が遅れてしまい誠に申し訳ありません。

前回の更新3ヶ月以上前って…。

とりあえず今回はストーリー編一章の話に入ります。コミカライズ版の方をベースにしてます。

前編と後編に別けて投稿します。

そういえば昨日はシディの誕生日でしたね。

余裕ができれば誕生日回とかもやりたいなぁ(遠い目)


氷電のメランコリア【前編】

「あの、ヒサメちゃん何かあったんですか?」

 

「え?」

 

朝、教室へと向かう途中、フィーアにそう尋ねられたヒサメはドキリと心臓が跳ね上がるような感覚がし思わず声がでる。

 

「その、ここ最近様子がおかしいような気がして…」

 

「そ、そうかな?」

 

「ヒサメちゃんもそうですが…」

 

教室の前に着くと、フィーアは教室の方へ目を向ける。

 

朝の教室はクラスメイト達による独特の喧騒に包まれていた。友達同士で集まり仲睦まじく話している者、授業の準備をしている者、机の上で寝ている者など様々だ。

 

しかしフィーアが目を向けるのは彼らではない。

 

教室の窓側の席に座っている男子生徒…カゲチヨ。彼はぼんやりと窓の外を眺めていた。

 

「カゲチヨも様子が変ですよ。二人ともなんというか、哀愁〜?が漂っているような」

 

「えっと…それは」

 

ヒサメは言い淀み目を泳がせる。

 

「悩みがあるなら相談に乗りますよ」

 

フィーアのそれは友達を想っての一言だろう。ヒサメは自身に向けられる真っ直ぐな翡翠色の眼差しに思わずたじろぐ。

 

「え、えっと…」

 

ヒサメは口つぐむ。その時。

 

「ヒーちゃん、フィーちゃん、おっはよー!!」

 

「!!」

 

刹那の間を破ったその声にヒサメとフィーアは後ろを振り返ると、ミキとノリコの二人がそこにいた。

 

二人の登場、特にミキの声によって先程までヒサメとフィーアの間に流れていた重苦しい空気が霧散する。もっとも、重苦しく感じていたのはヒサメだけだったかもしれないが。

 

「今日帰りにnascitaによらない?あの店のスイーツメニューを制覇したいからさ」

 

「えっあ、うん!行こう!」

 

「ふふ、いつもご贔屓いただきありがとうございます」

 

「えーーミキダイエット中なんですけどぉ」

 

友人たちとの他愛のない会話の中、ヒサメは安堵していた。

 

ヒサメは再び物憂げに窓の外を眺めるカゲチヨに視線を向ける。変わらずカゲチヨは物憂げな表情で窓の外を眺めている。

 

「……」

 

 

時を遡ること4日前――

 

 

 

『――…だったら情報が集まってくるような仕事、そうだ!何でも屋とか‼︎』

 

『いや俺は遊んでる場合じゃ…』

 

『俺は良いと思うけどな』

 

 

(———あれ…カゲと…シディの声…?)「う…、ん…」

 

聞き慣れた仲間の声にヒサメは目覚めた。

 

朧げな意識の中目を開けたヒサメの視界に真っ先に映り込んだのは

 

 

『二人で勝手にやってくれ』

 

 

カゲチヨの顔だった。

 

正確に言えばプロジェクターの光で壁に映し出されたカゲチヨの姿だった。映像の中の彼は煩わしそうな態度で淡々と喋っていた。

 

「…え、何これ…!?」

 

ヒサメは戸惑った。自身が縄で椅子に拘束されていることにも気づかないほど。

 

「おや、目覚めました?」

 

ヒサメは聞こえてきた声の方へと目を向ける。

 

そこにはスーツ姿で眼鏡をかけた男がいた。男は椅子に座って足を組み目の前の映像を眺めていた。

 

『だったらお前はどうやって探すつもりだ?』

 

『それは…』

 

「あ、失礼、ちょうどいいところなもので」

 

「え…」(誰!?)

 

照明の灯りが一つもついていない暗い空間を映像の音と光が満たしている中、穏やかな笑みを向ける男にヒサメは困惑する。

 

『お前らも巻き込まれる…』

 

「‼︎」

 

『いーじゃん別に!!』

 

『はぁ!?俺はお前を心配して…』

 

(これって…)

 

映像を見て気づいた。

 

「カレコレ屋を結成した時の、私達の会話…?」

 

「えぇ、あなたの過去を覗かせていただいています。その“カコジェクター”を使ってね」

 

アンティークベローズカメラにタコの足がついたような生物『カコジェクター』がヒサメの頭にがっしりとくっついていた。

 

カコジェクターとは寄生した宿主の過去の記憶を映像として書き起こす能力を持つ異宙の生物だ。

 

以前、カレコレ屋に中学の頃のいじめっ子に復讐したいという依頼があり、カゲチヨが依頼人に全校集会にて高校では良い子を演じていたいじめっ子のいじめの証拠を全校生徒の前で晒すのに使わせた。

 

それゆえヒサメもカコジェクターのことは知っていた。

 

「どういうこと⁉︎何で私の過去を!!」

 

問題は、何故目の前の男がそんなものを使ってまで自分の過去に干渉してきたのか、ということだ。

 

ヒサメが睨むように男を見つめると、彼は相変わらずの笑顔のまま答える。

 

「いやぁ気になっていたんですよ人外の3人が集まってカレコレ屋というなんでも屋をやっている。とても興味をそそられるじゃないですかぁ……僕ね、人外のヒューマンドラマが大好きなんですよ。ほら、車とかオモチャとかに人格が与えられる映画とかあるでしょ?あぁいうのを見ると思うんですよねぇ…ああ、やっぱり世界は僕達人間を中心に回っているんだなーって」

 

「だって」と男は更に言葉を続ける。

 

「アイツらは人間を感動させるためだけに人格を与えられているんですからねぇ…──────あなた達も同じように人間に利用されるために作られた存在だ」

 

「も、目的はなに?」

 

ヒサメの問いかけに対して、男は変わらずにこやかな表情で答える。

 

「────勿論、全人類を幸せにする事ですよ」

 

 

バリッ バリッ

 

「!!」

 

強い光とけたたましい音に男は僅かに驚く。

 

「────あのさ、あなた何なの?全人類の幸せ?意味わかんないんですけど」

 

ヒサメの身体を縛っていた縄が焼け焦げながらバラバラと崩れ落ちる。

 

「こんな縄、私には意味ないから」

 

バチバチと全身に電流を走らせながら椅子から立ち上がったヒサメは男を睨みつける。

 

「…ええ、そうですよね」

 

男は尚も余裕の態度を崩す事なく貼り付けたような笑みを浮かべている。

 

「そんな物も、必要じゃないですもんね」

 

「は?」

 

ヒサメは眉をひそめると男は答えた。

 

 

「僕の名は“エイファ”。君を育てた研究所にいた人間です」

 

 

「…え」

 

 

『す…──い…こんなに適…率が高いのは…───アプラン始まって以来初ですよ──』

 

 

『人類の…───為───…』

 

 

『アーシ、──ナ。あんたは?』

 

 

ドクン…と心臓が跳ね上がるような感覚と同時にフラッシュバックする記憶。

 

「あぁっ…あぁっ…」

 

脳裏に次々と浮かび上がってくるそれは、消そうとしても決して消えることのない忌まわしき過去の記憶。

 

「い…、いやあぁぁ!!」

 

ヒサメは頭を抱えてその場にうずくまる。ガタガタと震えるその姿にエイファは鼻で笑う。

 

「あそこで育った君は僕には逆らえない。そう教育されてますもんねっ」

 

「や、やぁっ…い、言うこと聞きます…!!お願いします…お願いします!!だから…」

 

ヒサメの必死の懇願に、エイファはフッと更に笑みを深くした。

 

「良い子だ」

 

エイファはヒサメの腕を掴み上げ身体を自身に引き寄せると彼女の顎に手を添える。ヒサメは恐怖で全身の力が抜け一切抵抗できない。いや、抵抗しないと言った方がいいだろう。彼女はそう教育されているのだから。

 

「僕が君をもっと改良(よく)してあげますからね」

 

 

 

 

 

 

 

ガチャッ

 

とカレコレ屋のドアが開けられた。

 

「すまん、遅れた!」

 

フードデリバリーのバイトから帰ってきたシディは中に入る。

 

しかしカレコレ屋内には誰もおらずシーンとしていた。

 

「……誰もいないのか…」

 

カゲチヨはともかくヒサメもいないとは珍しい。そう思いながら背負っていたデリバリーバッグを下ろす。

 

「!」

 

すると、あるものが目に入った。背もたれのあるキャスター付きの椅子だ。それだけなら特に不思議ではないのだが、その椅子の周りにバラバラの焦げた縄が散らばっている。

 

妙に感じたシディは、クン、と匂いを嗅いでみる。シディは狼男のDNAを持つ故、普通の人間よりも優れた嗅覚を持つ。

 

だからこそ、

 

その『ニオイ』が鼻腔に入った途端、

 

「!!」

 

ザワっと全身が総毛立った。

 

「このニオイ……!?」

 

その『ニオイ』は嗅上皮を刺激すると同時に自身の記憶を刺激した。その『ニオイ』を、彼は知っていた。

 

(なぜカレコレ屋に…!?…いや、そんなことより!!)

 

その『ニオイ』と一緒にヒサメの匂いがしたということは────────

 

(────ヒサメの身が危ない!!)

 

そう直感したシディはカレコレ屋を飛び出し、三輪車に跨り、ペダルを漕ぎ、ヒサメの匂いと共に混じるその『ニオイ』を辿った。

 

 

 

 

「…ここか?」

 

キキッと三輪車の前輪のブレーキをかけたシディは、目の前の建物を見つめた。

 

シディが匂いを辿りついた場所は街から少し離れた場所にある山奥の廃工場だった。三輪車から降り、扉の前に立ち取っ手に手を掛ける。

 

ギィィィィィィ、と錆びた金属の軋む音を響かせながら扉を開け、目に入ってきたのは────────

 

「‼︎」

 

台の上に手枷とベルトで拘束され、布で口を塞がれたヒサメの姿だった。

 

「ヒサメ!!」

 

「やはり来てくれましたね…ホルスの個体」

 

その横ではヒサメを攫った張本人であるエイファがヒサメの首筋にナイフを突き付けていた。

 

(…俺のことを知っている?)

 

そんな疑問が浮かんだが、今そんなことはどうでもいい。

 

「ヒサメを離せ!!」

 

「ヒサメ…?……あぁ、()()か。すみません、それは出来ません。彼女は大切な実験材料ですから」

 

「なに?…やはりあの研究所の人間か…!!」

 

「おや、するどいですね!」

 

「忘れもしない…あの醜悪に満ちたニオイの記憶…!!」

 

「────素晴らしいです。僕は君達を作った組織の一員だ。だから君達は…、僕の所有物」

 

「!!」

 

「電気の竜と雪女のDNA、太陽神と狼男のDNA…ともに素晴らしい個体です」

 

そう言いながらエイファはパチパチとわざとらしく拍手をする。

 

「…俺たちを使ってまた実験をしようという事か?」

 

「御名察…!!」

 

「最も」と、鳴らしていた拍手をピタッと止める。

 

「────僕ならもっともぉっっっっっと、お二人を改良(よく)改良出来ますがねっっ!!」

 

醜悪な笑みを浮かべるエイファ。

 

「……、そんなこと…」

 

「んーー!んーーー!!」(…ダメ、来ちゃダメ!シディ!!)

 

ヒサメは必死で叫ぶが、口を布で塞がれた状態であるが故、シディには伝わらない。

 

ゴオオオオオオッ!!

 

「させるものか…!!」

 

シディは全身から炎を放ち纏った。

 

「ヒサメを返してもらう」

 

「フフフ、それは出来ません」

 

エイファは余裕の笑みを崩すことなく、パチンと指を鳴らした。するとズズ…とエイファの背後にいくつもの黒いモヤのような歪みが発生する。そこから現れたのは、薄暗い工場内に溶け込むような黒い体に蝙蝠のソレに近い羽をパタパタと羽ばたかせ、そして何より特徴的な大きな単眼。

 

「キーー」「キキキッ」

 

それは異宙の生物、“ゲイザー”。ソレらがエイファのフィンガースナップを合図に何体も現れたのだ。

 

「言ったでしょう?彼女は大事な実験材料だと。もちろん…ソレはあなたもです!太陽神!!」

 

ゲイザーたちはエイファに応えるように一斉にシディに飛びかかる。

 

「幻覚作用を持つ異宙の生物『ゲイザー』!幻覚地獄に耐えられますか!?」

 

「キキキッ」

 

ゲイザー達は、その黒い体を覆う『眼』から能力を発動しようとする。シディはグワングワンと脳が揺れるような感覚に襲われ────────────────────────

 

 

「──フッ!!」

 

「「「ギギィィィィィィィィィ!!?!?」」」

 

───る前に、全てのゲイザーを炎を放ち撃ち落とした。

 

「ギ…」「ギギ…」

 

ゲイザー達は死んではいないものの満身創痍の状態で床に倒れ伏していた。

 

「なっ…あ…」

 

エイファは、言葉が出ないようだ。

 

シディは、その隙を見逃さなかった。

 

一瞬にして間合いを詰め、エイファの、ナイフを持っていた腕をガシッと掴み上げた。ナイフはエイファの手から離れ地面に落ちカランという音を立てる。

 

「さぁ、観念するんだな」

 

「ヒィィ!!い、痛い!!腕が折れるぅぅっ!!…──────────なんてね♪」

 

ガチャン

 

「!?」

 

エイファは自身の腕を掴み上げてたシディの腕に、腕輪…いや、手枷のようなものを取り付けた。

 

 

ヒィイイイイン…─────ブウンッ

 

「な…!?」

 

直後、手枷が光だしたかと思うと、ハニカム模様の球型のバリアが展開され、シディの周りを包み込んだ。

 

「何だこれは…!?」

 

「そこからは出られませんよ♪」

 

「!」

 

「コレで解除しないとね」

 

エイファは左手で首をポリポリかきながら右手に持つリモコンのようなものをシディに見せる。

 

「こんなものオレの炎で…」

 

シディは手に炎を出現させ、バリアに手をかけようとする。だが──────── 炎はフッと消えてしまった。

 

「!!」

 

再び炎を出そうとするが、全く出せなかった。

 

(炎が出ない…!?いや、それどころか…力が抜ける…!?)

 

シディのその様子にエイファはニヤリと笑う。

 

「やっと気づきましたか?これは僕が作ったものでね、この装置の中では擬似的な夜になっているんです。凄いでしょ〜う?」

 

「夜…だと?」

 

「はい♪太陽神の力は()()()()()()()()()…つまり、君の力を無効化出来るんですよっっ!!」

 

全ては罠だった。相手は自分たちの能力を完全に把握していて、その対策まで用意していた。シディは自身の軽率さを呪った。

 

「…うん、そうだ…」

 

エイファがボソリと呟いたかと思うと、突如彼は自身の首を両手でボリボリと音がする程掻きむしり始める。

 

「うん!!そうだ!!僕はスゴイんだ!!うん!!電気の竜も太陽神も僕の力で捕らえた!この僕こそが人類最高の研究者なんだ!!うん!!やっぱり僕はスゴイ!!スゴすぎる!!うん!!うん!!」

 

皮膚が傷つき血が滲むほど首を掻きむしりながら壊れたオモチャのように自画自賛の言葉を繰り返すエイファにシディとヒサメはゾッとする。

 

「僕が人類の救世主なんだぁぁぁぁ!!」

 

廃工場内にエイファの狂笑が響き渡った。

 

「お前…一つ忘れていないか?」

 

「…はぁ?」

 

刹那の静寂が支配するとエイファに向かって、シディはそう告げた。

 

「カレコレ屋には、もう一人いる」

 

「もう一人?…あぁー、あの失敗作ことですか?アレは論外です」

 

そう言うとエイファはジャラ、と鎖を引っ張る。

 

「アレには何も出来ませんよ」

 

 

グルル…

 

 

エイファの背後から現れた、鎖につながれたソレは唸り声を上げる。

 

「対処は、コレで完璧です。フフフ…」

 

ソレの羽が舞う中、不遜な笑みを浮かべるエイファに悟られぬようシディは自身の左胸のバッチに手をやる。

 

(頼むぞ…!!カゲチヨ!!)

 

 

 

 

 

一方その頃、カゲチヨは…

 

 

 

「うおおお!?『プイステ5』売ってんじゃん!!オーナー、まけてください!」

 

「ヤダ」

 

「…オーナー、何か依頼はないですか?報酬はもちろんプイスt」

 

「帰れ」

 

「くそぅ!!」

 

 

───…この時、カゲチヨの胸のバッチがチカチカと光っていた。




タートル()!×ウォッチ(時計)!ベストマッチ!

…今後の更新もタートルウォッチフォーム(亀更新)になると思います。






次回オリキャラ登場。
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