混血のカレコレ【Over the EVOLution】 作:鬱エンドフラグ
惣真「西暦2000年に突如として異宙という異世界に転生してしまった地球。」
惣真「異宙には地球の常識が全く通用しない生物ばかりが生息しており、転生を境に地球はいつ死んでも可笑しくない危険な星となり混沌を極めていた!」
惣真「しかしそんな世界に、地球が異宙に転生する前に地球に来ていた我らがアンチヒーロー、仮面ライダーエボル!」
謎の社畜ペンギン「自分でアンチヒーローとかイタくないか?」
惣真「うっせぇわ!…ってキェェェェェェアァァァァァァペンギンガシャァベッタァァァァァァァ!?」
謎の社畜ペンギン「仮面ライダーエボルこと蛇塚惣真はとある組織に目をつけられてしまう。どうなる第6話」
惣真「突然現れた喋るペンギンに全部言われちゃったよ!俺一応この小説の主役なのに〜!」
謎の社畜ペンギン「メタいぞ」
今回惣真はあるミスを犯してしまう。
「グルウアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ」
「フンッ!ハァア!」
オッス!オラ
現在仮面ライダーエボルとなってとある山に現れた異宙の生物と交戦中。
その異宙の生物はライオン、シマウマ、キリンを合成したようなナイトオブサファリな姿をしていた。
エボルはマリンブルーのボトル…『海賊フルボトル』を取り出し、エボルドライバーに装填する。
『パイレーツ!ライダーシステム!クリエーション!』
レバーを回し、エボルの手元に弓型の武器……『カイゾクハッシャー』を形成した。
「これで終わりだ」
『各駅電車 〜急行電車〜快速電車〜……』
エボルはカイゾクハッシャーに取り付けられた電車型攻撃ユニット『ビルドアロー号』を引きエネルギーをチャージする。
『…海賊電車!発射!』
エネルギーをフルチャージし、ビルドアロー号から手を離した。
そして黄緑色のエネルギー体となったビルドアロー号が異宙の生物めがけて射出される。
「グギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!?」
ビルドアロー号を食らった異宙の生物は叫び声をあげて爆散した。
辺りには異宙の生物の肉片がベチャッ、ベチャッ、と粘着質な音を立てながら散らばる。
「さてと……なんか異宙の生物にしては妙だったな」
天然物ではなく、まるで人工的に造られたかのような……。
「まぁいいか、取り敢えず帰るか」
エボルはワープ能力で愛しの我が家nascitaへ帰ろうとした。
……その時だった。
突如として光の速度で何かが落ちてきた。
いきなりのことにエボルは驚き振り向く。
黒い土煙が立ち込める。それが消えるとそこにいたのは………………
「よぉ、お前か?最近ホルスのヤローが目をかけているって奴は?」
そこには1人の少年…………のような姿のナニかがいた。
身長は150cmほどだろうか。黒髪で頭の上に犬や狼に近い獣耳がある。
紫色の瞳、褐色の肌で顔立ちは中性的で非常に整っており誰が見ても美少年という容姿だが……………………惣真にはわかる。
コイツは………ヤバい!!!星狩りとしての直感がそう告げている。
今まで屠ってきた異宙の生物とは比べ物にならない程のオーラが仮面ライダーエボルの装甲越しからひしひしと伝わってくる。
「てめぇ、一体何者だ」
エボルは警戒心を持って問いかけた。
「なんだ、俺のこと知らねーのか?まぁいい、俺は────────────────『アヌビス』だ。よろしくな金ピカ蛇ヤロー」
???SIDE
「あちゃ〜、キメラを餌に奴を誘き出すはずが…予想外の展開っすねー」
「まさか“冥府の守護神”が現れるとはな……」
惣真SIDE
えーと…今、目の前のショタガキはアヌビスとおっしゃいましたか?
あー、アヌビスって、たしかアレでしょ?エジプト神話とかに出てくる冥府の神的なアレ。
文献とかだとあの世の支配者で死を司る神とも言われてるアレだよね。
そのヤベーイ存在が今俺の目の前にいるこのショタガキであると。
なるほどなるほど。
…………………………ヤバくね?
「おい、今ナメたこと考えなかったか?」
あ、勘が鋭いわコイツ。あんまり下手なこと考えるのやめよ。
「あー、これは失礼。アンタ自身のことは知らねぇが地球の文献でなら知ってるぜ。確か冥界の王とか、そんなんだよな?そんな大物が一体何の用だ?…………………………そんな濃厚な殺気を飛ばしといてただ自己紹介しにきたわけじゃないんだろう?」
「ハハハハハハッ!わかってんじゃねーか!」
アヌビスは楽しげに笑う。
「少し前から異宙じゃお前の噂が飛び交っていてな。なんでも妙な力を持っているらしいじゃねーか。ホルスのヤローも一目置いているみたいだし、ちょっと興味があってな。一度会ってみたかったんだ」
アヌビスの紫色の瞳がアメジストのような輝きを放ちながらエボルを見据えた。
「そういうわけで金ピカ………いっちょ俺と戦え」
アヌビスが発する殺気が一段と濃くなる。
正直言ってかなり面倒だ。
このままワープして逃げることはできる、が……
「……いいぜ、気乗りはしないがな」
こいつはおそらくキルバスや仮面ライダー龍騎の王蛇に似たようなタイプだ。もし店に突撃とかされたら迷惑だからな。ここで潰しておくべきだ。
「ハハハ!そうこなくっちゃなァ!!異種族交流といこーぜ!!」
エボルが了承するとアヌビスは嬉々として叫ぶ。エボルそんなアヌビスの姿を見つつ、内心で戦いを受け入れる覚悟を決める。
「先ずは小手調べだ!!」
先に仕掛けてきたのはアヌビスだった。アヌビスは手から禍々しい光の黒いエネルギー球を生み出し、それを投げ放つ。
「っ!……ハァッ!!」
そのエネルギー球をエボルは力と装甲の強度に任せた蹴りを放ち、エネルギー球を霧散させる。
「へぇ」
アヌビスは少し驚いたような顔をし、口角をあげた。どうやら今のでさらに興が乗ったようだな。
アヌビスの足元に魔法陣のようなものが形成されたかと思うと、そこからいくつもの稲妻のような形状の黒い触手がエボルに向かって放たれる。
「フッ!ハッ!!」
それをエボルは回避、もしくはカイゾクハッシャーで打ち消しながらアヌビスに接近していった。
「おー、なかなかやるじゃん……でもなぁ」
アヌビスが指をクイっと動かす。すると、一つの触手が軌道を変えてエボルを直撃する。
「っ!」
エボルは一瞬動きを止めてしまい、その生まれた一刹那の隙を残りの触手が四方八方からエボルを襲う。
「っ!!くっ……!!」
エボルは咄嗟に両腕を交差させる。
ドドドドドドドドッ!!
鈍い音が辺りに響き渡る。全ての触手がエボルが立っていた場所に突き刺さった。立ち込める砂土煙をアヌビスはつまらなそうな表情で見つめていた。
「なんだよこれで終わりかよ。ホルスのヤツあんな金ピカのナニにビビってたんだか。とんだ肩透かしだったぜ」
アヌビスが落胆した様子で踵を返そうとしたその時。
『エボルドラゴン!』
「!!」
不意に、そんな怪音が響き渡り、それに反応したアヌビスが振り向いた瞬間…。
「ハァッ!!」
土煙を切るように現れた青龍の戦士が刀身にメーターのようなものが付いた風変わりな剣型武器を振り下ろすのがアヌビスの視界に入った。
「グゥッ!?」
油断していたためにその斬撃をもろに食らったアヌビスは、後方に吹っ飛ぶ。しかし自ら飛ぶ形で地面に着地し、態勢を立て直す。
「…ッハァ、ハハハ、この俺に不意打ちとはな、やるな金ピカ」
アヌビスに横一線の切り傷を与えた人物、それは先程とは姿の形状が異なるエボル。具体的に変化しているのは頭部と肩部。よく見れば胸部パーツの一部が消えているがそこは省こう。
まず頭部の変化は、複眼が蛇の形からドラゴンの横顔を模したものに変わり、額の星座早見盤を思わせる『マスタープラニスフィア』から竜の顔を模した『EVOフレイムエヴォリューガー』へと変化している。
次に肩部の変化は、宇宙ゴマの思わせる装甲ユニット『EVOコブラショルダー』からは打って変わってシンプルなもので、竜の爪が突起したような装甲の『EVOドラゴンショルダー』へと変化している。
それは、エボルドライバーに装填していた『コブラエボルボトル』を『ドラゴンエボルボトル』へと切り替えフォームチェンジした姿。仮面ライダーエボル(ドラゴンフォーム)である。
「そういや姿が変わるんだったな」
アヌビスは口から流れる血を拭うと再び戦闘態勢をとった。
「いくぞ」
エボルもそれに応えるように剣型武器…ビートクローザーを構える。
両者同時に地を蹴り地面に亀裂が走る。
そして、アヌビスの拳とビートクローザーの刀身がぶつかる。
普通はあり得ない話だが、ぶつかった瞬間火花を散らした。その衝撃が両者を揺らす。拳と剣だというのに鍔迫り合うような形となる。
質量からしてアヌビスの方が上である。しかし、エボルは力任せにアヌビスの拳を弾く。
「ッ!へぇ…」
エボルのそのパワーに驚きつつもアヌビスはそれを利用しよう思い、弾かれた勢いを反動にして蹴りを放つ。
それに対し再びビートクローザーを振り下ろすが、その一撃は間一髪で避けられた。
攻撃が空振った反動を利用するかのように身を翻したアヌビスは距離を取ろうとしたために、追撃を避けるためその場を高速で離脱し、遠距離へとその姿を消す。そして次の攻撃が来る前に無数の黒いエネルギー弾をエボルに向けて放つ。
「!!」
それに対して咄嗟に体勢を整えたエボルはその攻撃をビートクローザーで切り払っていく。その間にエボルは頭部のデータ収集装置『EVO-Dシグナル』で戦闘データを集約し、自身とアヌビスの能力差を分析する。
(…おそらく、アイツはまだ本気を出しちゃいない)
エボルはアヌビスのエネルギー弾をビートクローザーで弾きながら、分析結果からそう推測する。
『スペシャルチューン!』
エボルはビートクローザーの柄の部分に『ロックフルボトル』を装填してグリップエンドを2回引く。
『ヒッパレー!ヒッパレー!』
音声が鳴り、その出力に応じてそのゲージが上下し刀身に蒼炎が纏う。
「フッ!!」
『ミリオンスラッシュ !』
エボルがビートクローザーを振り下ろすと刀身から放たれた蒼炎の火炎弾がアヌビスに迫る。
「うぉっ!?」
火炎弾を受け止めたアヌビスは、その勢いに押される形で後方に大きく吹っ飛ぶ。
そこにエボルは一度ビートクローザーを消し、ワープ移動で一気に距離を詰める。
間合いを詰めたエボルが拳を繰り出す。
「おっと!」
アヌビスはエボルの拳を受け止める。
「っ!!」
しかしその拳の重さから衝撃を完全には殺しきれない。アヌビスは多少後退し、そこにさらにエボルが追撃をかける。
「フンッ!」
「ハァ!!」
アヌビスもそれに負けじと反撃する。エボルは攻撃を防ぎ、または躱し、拳を撃ちこんでいく。両者の攻撃は凄まじいスピードでぶつけ合っていく。その度に衝撃音と火花が撒き散る。
(コイツ…攻撃の威力がどんどん上がってきてやがる)
アヌビスは気づく。エボルのパワーとスピード、そして攻撃の威力が上昇し続けていることに。
ドラゴンフォームは格闘戦に特化したものである。
額の『EVOフレイムエヴォリューガー』が
それを抜きにしても元々エボルのスーツ内部は未知の物質に満たされており、変身者である
エボルはドライバーのハンドルを回す。ベートーベン、交響曲第9番の不穏なアレンジが鳴り響く。
「ハァァァァ…」
拳を構えたエボルの腕に蒼い炎が燃え上がる。
「ッ!?」
その蒼炎の業火に気圧され、防御を取ろうとしたアヌビスだが…。
『Ready go!』
それよりも先にエボルが一歩踏み込み。
『エボルテックフィニッシュ!Cia~o!』
その蒼炎を纏いし拳をアヌビスに叩き込んだ。
「がぁあああああっっっ!?」
強烈な一撃を食らったアヌビスは、地面を削りながら吹き飛んでいった。地面にバウンドしながら何度も地面を跳ねるも勢いが段々と削れたところで身体を回転させて地を踏みしめアヌビスは何とか着地する。
「ガッ…グ…、ゴハァッ…ク、ハハハ、今のは効いたぜ」
エボルの対象の強度を無視した一撃を受けたにもかかわらずアヌビスは、ドロッとした血塊を吐きつつも、笑みを浮かべ立ち上がる。
「まさかここまでとはな…正直予想外だったぜ」
アヌビスは血反吐に濡れた口元を手で拭うと、まだ闘志の消えない、むしろ歓喜に満ちた獰猛な瞳でエボルを睨む。
「しっかし…金ピカ、お前は一体なんなんだ?」
「…?」
質問の意図が分からないといった様子でエボルはアヌビスの問いに対して怪訝そうに首を傾げる。
「お前の噂が出始めたのは、ちょうど地球が異宙に転移した頃だ。それ以前にお前みたいに目立つ奴は異宙にいなかったと俺は記憶してる。かといってこんな発展途上な星でお前みたいなのが生まれるとは思えない。もう一度聞くぞ、金ピカ、お前は一体なんなんだ?」
「……」
「ま、そんなことはどうでもいいんだけどな。ただ、一つ気に入らないことがあんだよ」
アヌビスが入らないこと。それは、噂でのエボル…
「地球が異宙に転移したばかりの頃、この星が異宙の生物によって大混乱に陥いる中、お前はあちこちで混乱を収めていた。ある時は地球人と異宙人の戦争に介入して軍勢には攻撃せず双方の兵器を破壊して無力化し、地球人と異宙人の戦意を喪失させ、何年続くか分からなかった戦争をわずか数年で終わらせた」
アヌビスはどこか憎々しげな様子でさらに続ける。
「お前は俺らと同じ圧倒的な力を持つ強者側でありながら、地球人に肩入れ…いや違うな、人間や人間ほどの力しかない異宙の住民…弱者に肩入れしている。なぜだ?俺はそれが納得できない」
「……」
エボルは何も言わない。ただ黙ってアヌビスの話を聞くだけだ。
「お前の噂は異宙全体にまで伝わっているが、やりようによってはその力をもっと大きく誇示できたはずだ。それだけの力がありながらやってることはシラけるようなことばかり。強者が弱者に肩入れするなんて俺からすればふざけた奴にしか見えない」
アヌビスはエボルに視線を向ける。
「戦ってみてさらに気に入らなくなった。変身してねー俺をここまで追い込めるだけの力があるくせに、中途半端なことしかしやがらねぇお前にな」
アヌビスはその視線を揺るがすことなく、エボルを向け続けている。その目にどのような感情を秘めてるのかは伺えない。
「なぁ金ピカ、俺と一緒に来ないか?矮小な雑魚共なんかほっといて、お前はもっと有効的に力を振るうべきだ」
そう言ってエボルに右手を差し出すアヌビス。持ちかけられた誘いに対する答えは…。
「断る」
「…へぇー、理由は?」
「この俺が最も好きな事のひとつは自分で強いと思ってるやつに『NO』と断ってやる事ダア…というのは冗談で理由はちゃんとある。俺が今までやってきたことは別に弱者を助けるためでも、ましてや力を示したかったわけじゃない。俺にとって都合の悪いものを潰してただけだ」
「都合の悪い?」
「そ、例えば地球が異宙に転移した日、あの日俺が戦っていた理由は──────────────────世界中のコーヒー豆栽培地とウチの店の数少ない常連客を守るためだ」
「…………………………は?」
アヌビスは目をまん丸に見開いて固まった。エボルが発した言葉の意味を理解できなかったために。
「ああ、俺ね人間のふりして喫茶店開いてんだけどさ、ウチ結構マイナーな店だからさ、店開いたばっかの頃は滅多に客来なくって常連になってくれるお客さんはマジでありがたかったんよ。そんな貴重な常連客が殺されたりなんかしたらたまったもんじゃないし、それにウチの店はコーヒーが売りだからさ、コーヒー豆の栽培地が被害にあったらコーヒー豆の供給が滞るかもしれないし」
「……」
「戦争に介入したのだって、それこそコーヒー豆の為さ。それに戦争中じゃ客なんてこねーしな」
「……」
「あ、そういえばさ、地球の一部の土壌が変わったせいで一時期食糧飢饉があったじゃん?いやーマジであの時は大変だったわー」
「……」
「前に異宙産のコーヒー豆を試したんだけどさ地球産とは全然風味が違くてさ、いやアレはアレで味わいが深いんだけど…」
「プッ…ククク」
「うん?」
「ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!」
途中から話がエボルの愚痴や世間話になりかけていた中、突如無言だったアヌビスが腹を抱えて笑い出した。
「ハハハハ…つまり何だ?今までのことは弱者を守る為じゃなく自分の店の為にやっていたと?」
「ああ、そうだ」
笑いすぎて目尻に浮かんだ涙を人差し指で拭いながら聞くアヌビスにエボルは肯定する。
「なるほどな、他者の為じゃなく自分の為…力の使い道を間違えてる愚者かと思いきやある意味俺らと同じか」
アヌビスはスッと目を閉じ…───────────────。
「ますます気に入らねぇな」
能面のような表情になったかと思えばその全身から周囲一帯を覆いつくすほどのオーラを発した。
アヌビスの静かな怒りに呼応するかのように、黒い瘴気がアヌビスを中心に巻き起こり、アヌビスのその身を包んでいく。
瘴気が晴れ、露となったアヌビスの姿は一変していた。
小学生ほどしかなかった身長は二メートル近く、全身は闇を表すような黒い毛並みに覆われ、それとは対照的に背からは太陽の光線を描いたような光背が輝いている。そして頭部ジャッカル、またはアフリカンゴールデンウルフのようなものとなっている。
それはまさにエジプト神話の伝承通り。冥府の守護神『アヌビス』の姿であった。
「
有無を言わさぬ凄まじい威圧感をエボルに放つアヌビス。
「…いいけどよ、そろそろその金ピカってやめてくれるか?俺は金ピカなんて名前じゃない」
「んじゃ金メッキで」
「誰が鎧武のラスボス(笑)だ!!」
「何だそりゃ?まぁいい、冥途の土産に名前ぐらい聞いといてやるさ」
「…エボル、エボルトだ。『進化』という意味と、『LOVE』とは相反する存在という意味の『EVOL』だ。以後、お見知り置きを」
「ハハハハハハハハハハハハ!!そうか!!そんじゃ、第二ラウンドといこーぜ!!エボルトォッ!!」
冥府の守護神と星狩り。両者同時に地を蹴る。
拳と拳がぶつかり合い、轟音が響き渡る。周囲の空気が激しく振動し、土煙が立ち上る。
激しい一騎打ちが始まる。エボルの一撃がアヌビスに炸裂し、爆発的なエネルギーが空を裂く。
互いが互いの急所を捉え、激しい攻防が繰り広げられる。
「ハァアア!!」
アヌビスの拳がエボルに突き刺さり、その体を大きく吹き飛ばす。
「ぐぉっ!!」
エボルは数メートル吹き飛び、地面を削りながら何とか体勢を立て直す。
「やっぱ硬ぇな…その鎧どんな材質でできてんだ?この俺がヒビすら入れられねぇとはよ」
アヌビスは、エボル、仮面ライダーエボルの傷一つ付いてない装甲を見ながら訝しげに呟く。アヌビスの攻撃を何度受けても壊れる様子はなかった。
しかしそれは当然のことだろう。
仮面ライダーエボルの装甲はエボルボトルに含まれる未知の物質を圧縮・加工したもので、少なくとも地球上のどの物質よりも優れた耐久性を備えており、ボディースーツに関してはいかなる天体でも活動できるよう、全身を覆う遮断フィールドを展開し、過酷な環境や敵の攻撃から変身者を保護する機能を備えている。
とはいえ、アヌビスの力は凄まじく、装甲に傷がつかなくとも
「………ハハ」
エボルは、
(最っ悪だ……面倒だと思いつつも……俺はこの戦いを楽しんでいる)
星狩りとしての本能だろうか。それとも別の要因によるものか。
アヌビスに戦いを挑まれ、それを承諾したのも、なんだかんだ理由を付けつつこの戦いを心のどこかで望んでいたのかもしれない。
「ハハ…ブラッド族としての性か…、まったく嫌になるな」
エボルは仮面の下で笑みを浮かべながら呟くとドライバーからコブラエボルボトルを抜き、赤いボトルを装填する。
『ラビット!ライダーシステム!レボリューション!』
エボルはハンドルレバーを勢いよく回し、前後に赤黒いオーラを纏った装甲を成形され、エボルはソレに挟まれる。
『ラビット!ラビット!エボルラビット!』
『フッハッハッハッハッハッハッ!』
「エボル、フェーズ3……」
エボルはドラゴンフォームから兎を彷彿とさせる姿へと変化した。
複眼は兎の横顔を模したものに、肩装甲は『EVOラビットショルダー』へと変わり、コブラフォームとドラゴンフォームに比べて全体的にかなりスッキリとしたシンプルな印象。
これは仮面ライダーエボルの第3段階としての姿。
仮面ライダーエボル ラビットフォーム
「ああ?蛇から龍に成ったかと思いきや今度は兎に退化か?俺を舐めてんのか」
「兎を侮るなよ?兎だって獣だ。獅子は兎を狩るにも全力を尽くすって言葉を知らねぇのか?」
「ほざけっ!!」
アヌビスは手に黒いエネルギー球を生み出し、それをエボルに向かって投擲する。
「フッ!!」
自身に高速で迫って来るエネルギー球をエボルは跳躍して躱す。そのまま通り過ぎたエネルギー球は大爆発を起こした。
「ハァァ!!」
エボルは超高速でアヌビスに向かい踵落としを繰り出す。
「グッ!?」
エボルの踵落としがアヌビスに炸裂する。エボルはそのまま連続キックを繰り出し、アヌビスに連続でダメージを与えていく。
(っ、さっきよりも速い!!)
ラビットフォームは、攻撃力はコブラやドラゴンよりも下がってしまうが他のフォームに比べて機動力が高めなスペックとなっている
肩部の『EVOラビットショルダー』に内蔵された加速ユニットが運動速度と反応速度を瞬間的に高め、まさに脱兎の如し駆け回るような高速移動を可能にする。
「くっ、そっ!!」
アヌビスは掌に闇を圧縮したようなエネルギー球体を生み出し、エボルに向かって投擲する。しかしそれは避けられて地面に着弾し大爆発を起こすと逆にその爆風に包まれる形になってしまう。
「ハハ!!」
エボルは高笑いしながら、爆風の中から現れアヌビスの鳩尾に蹴りを食らわす。
「ガハッッッ…!!」
アヌビスは吹っ飛ばされ、態勢を整える間もなく、すぐにエボルは追撃するべく跳躍して、強烈な連撃を浴びせる。
「ぐぅっっ!!…調子に乗るなっっ!!」
しかしただエボルの猛攻を喰らうだけのアヌビスではない。エボルの超高速に追いつくほど俊敏な動作でエボルを捉えると、今度はアヌビスが連撃を浴びせかける。
「グッ…!!」
一撃一撃がかなり重く、攻撃速度が増す。人間ならすでに肉片だけになると思われるほどの威力。
「テメェこそ…!!いい加減くたばりやがれぇ!!」
彼らは超音速の速さで距離を縮めながら互いに連打を浴びせかける。その一瞬、数百発の拳が空中を舞い、光の線として見える。瞬きさえも許さないその闘いは、一瞬の刹那に数十回もの攻撃が交錯する壮絶な戦いとなっていた。
一方の者が空に舞い上がり、もう一方も追随し、高速で衝突する。拳が交差し、衝撃波が空を裂き、稲妻のような閃光が爆発する。
衝突する拳から放たれるエネルギーは、爆風のように広がり、周囲の岩や木を粉砕する。彼らの戦いはまさに神話の激闘。世界そのものが揺れるかのような力が発生していた。
「わわわっ…!!ちょ、これっマジで洒落にならないっすよ〜〜!!」
「っ…まさか、これほどとは…っ!!」
アヌビスとエボル。この時間を忘れさせるような悪鬼羅刹な闘いは、一進一退の攻防を繰り広げ、互いに一歩も譲らない。
しかしそんな闘いの中、エボルに異変が起こる。
ピシッ…
「っ!?」
今までアヌビスの攻撃に傷一つ付かなかったエボルの装甲に、罅が入る。
(う、嘘だろ…!?エボルには自己修復機能がっ…いやそれを抜きにしても大気圏突破にも耐え得る装甲だぞ!?)
それほどアヌビスの力が凄まじかったということだろうか。今までの攻撃で蓄積されたダメージが今表面上に表れたというのか。
エボルの心の中での予期せぬ事態への動揺とは裏腹に、更なる追撃を加えんと、再びアヌビスと距離を詰める。
「ハァァァァァッ!!」
「っ!?しま……」
動揺により生まれてしまった隙。反応が遅れるエボル。
アヌビスの拳がエボルの腰付近、ちょうどエボルドライバーに当たる。
「っ!!」
決してアヌビスは狙ったわけじゃない。しかしエボルにとっては致命的だった。エボルにとって、真の急所。
後方に吹っ飛ばされ何とか踏みとどまったエボルだが、アヌビスの攻撃をモロに喰らったエボルドライバーはバチバチと音を立てる。
(っ!まずいっ!!)
エボルドライバーの内部に貯蔵されたエネルギーが、ダメージによって漏れ出していた。このままダメージを受け続ければ、やがてドライバーは自壊してしまうだろう。
しかしそんなエボルにアヌビスの追撃が迫る。
「オォォォォォォォォォオオオオ!!」
「ガァアアアアアッッ!!?」
猛々しい咆哮と共に叩き込れた抉るようなその一撃は決定的なものとなった。火花を散らし、胴体装甲に走る亀裂はより一層広がり、やがて、仮面ライダーエボルの変身が解かれてしまった。
…その刹那、自身の身体から、ナニカが分離したことに、惣真は気が付かなかった。
「あ…?」
アヌビスの目の前にいたのは──────赤い蛇、コブラを彷彿とさせる怪人、『エボルト怪人態』。
人間態の姿を見られると色々と支障が出るため、惣真は変身が解かれる寸前に、人間態から本来の怪人態に戻ったのだ。
「なんだ、それがお前の正体か?どことなく蛇みたいなツラだが……待てよ…?赤い、蛇……」
怪人態のエボルトの容姿を好奇な目で見てたアヌビスだが、それはすぐに訝しげなものとなる。そして口を開いた。
「まさかお前……、“サマエル”か?」
「は?」
「前見た時は赤いドラゴンみてーな姿だったが……いや違がうか。“神の毒”が人間の飯屋を開いてるとかそれこそ意味わかんねぇし」
「おい、赤いドラゴンとか神の毒とかなんの話だ」
「気にすんな。ただの勘違いだ。…ところで」
アヌビスは視線を別方向へと向ける。
「──────さっきから俺達の戦いを覗き見してる奴らがいるよな?」
「あー………………キサマッ!!見ているなッッ! !」
一度言ってみたかった台詞を言いながら
暫く不気味な沈黙が場を支配した後、離れた木々や岩の物陰から無断観戦者たちが姿を現した。
「……」
「あ〜……、この状況…かなりヤバめっスね…」
現れたのは鈴の耳飾りを付けた赤髪の青年、白髪で丸眼鏡の白衣を着た長身の男。
そしてその背後には武装した兵士たちが数人控えていた。
「おいおい何だよ?俺のファンか?サインがほしいんなら整理券を買え。5万円となります。握手やツーショットなどは…」
「ファンではない」
しかしそれは無理もないだろう。あのアヌビスとエボルの闘いを特等席で見ていた彼ら。全てが規格外。それはまさに天災の如きものであろう。もはや人智を超越したその戦いに畏怖以外の感情を抱けるはずがない。
赤髪の青年らは不用意に動けず、額に冷や汗を滲ませながらこの状況をどう切り抜けるか一触即発の重い空気が流れる中思案する。
そんな雰囲気の中、アヌビスが嘆息交じりに口にした。
「はぁーーー……萎えた」
「は?」
頭を掻きながら変身を解き少年の姿に戻ったアヌビス。
「萎えたっつってんだよ。中途半端だが今回はテメェの鎧の下の面拝めただけでも良しとしとく。だからもう帰るわ」
「おいおいおい、そっちから喧嘩振っといて身勝手すぎねぇか」
「じゃあな。勝負は預けたぜエボルト」
「あっおいっ!!」
苦言を呈す
「……あぁーーー、俺も帰るか…」
脱力した
………………………。
アヌビスが消え、
「……虎口を脱したか」
赤髪の青年の嘆息混じりの呟きを皮切りに後ろの武装兵たちは脱力したように地に膝を着き、体の至る所から汗を吹き出し、顔面蒼白のまま肩で息をしながら助かったと安堵の声を漏らす。
「いやー、やばかったっすね〜〜〜、アザミさん」
白衣の男…『レイナ・ガーベラ』はさっきまで危機的状況だったのにも関わらずカラカラと笑いながら…しかしどこか疲労感を持って赤髪の青年…『アザミ』に話しかける。
「そうだな、一時はどうなることかと肝を冷やしたが。まさか黄金の戦士が冥府の守護神と互角に渡り合うとはな」
「あんな戦い見せられた後じゃ勝てる気しないっすよ。絶体絶命かと思ったら、なんかよくわからない感じで二体ともどっか行ってくれてマジ助かったっすよ〜」
ここで言っておくと、最初エボルが戦っていた異宙の生物は、彼らが所属する組織『トッププレデター』が人工的に作ったキメラである。
トッププレデターはドラゴンなどの異宙の生物を圧倒するエボルの力に興味を示していた。
彼らの当初の計画は、この山にキメラを放ちエボルを誘き出し、エボルのDNA、そして腰の機械『エボルドライバー』を頂戴する作戦だった。ちなみに山の近くには小さな町があり、万が一キメラが町まで降りた場合は被害が出る前に回収する予定だった。仮に犠牲が出たとしてもで彼らにとっては大した問題ではない。
計画通りエボルが現れたところまでは良かった。しかしここで誤算、暗礁に乗り上げてしまったというべきか。冥府の守護神、アヌビスの出現である。
冥府の守護神が現れたことは彼らにとって想定外の事態であった。アヌビスとエボルの戦闘が勃発し、彼らの計画はご破算となった。無論、エボルがアヌビスと互角の戦闘力を持っていた時点でいずれにせよ彼らの計画は破綻していただろうが。
「それにしてもアザミさん!あの正体不明の異宙人の姿見ました!?全く見たことない異宙人でしたよね!黄金の鎧姿よりも蛇みたいな印象だったす!あんな頭でっかちな図体でどうやってあの鎧に収まってるんすかね?やっぱりあの腰のデバイスに秘密が…あ〜っ研究したい!!」
「……ハァ…」
まるで動物園で見た珍しい生き物を思い出しはしゃぎながら親に語る子供のように興奮を抑えきれない様子のレイナを横目に、アザミは嘆息をつく。
「とにかく本部へ報告だ。計画は失敗…」
「アザミ様、レイナ様」
すると落ち着きを取り戻した兵士の一人が、アザミとレイナの元へ歩み寄ってきた。
「どうした?」
「あそこに妙な物体が…」
何かを見つけた様子の兵士がある方向を指差し報告する。アザミとレイナは互いに顔を見合わした後、その場所まで足を運んだ。
「…どうやら、収穫はあったみたいっすね」
そこには赤黒いアメーバー状の奇妙な物体が蠢いていた。
「なんだこれは?」
「正体不明の異宙人、あいつの遺伝子的な奴っすよ」
「なんだと?」
「おそらくアヌビスとの戦闘の際に削がれたんでしょうが、とにかくこいつは興味深いサンプルっす!DNA回収というタスクはクリアしましたし、今回の作戦決して無駄じゃなかったってことっすよ!持って帰って早速研究っす!」
レイナはそう言いながらカプセルのような入れ物にいまだ蠢く物体を入れ回収した。
───────それが、破滅の胚胎となるとも知らずに……
戦闘描写が難しい
これでいいのかがわからん
追記
2023年10月2日
内容を大幅に改稿しました。
改めて戦闘描写ムズイ