混血のカレコレ【Over the EVOLution】   作:鬱エンドフラグ

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前回のあらすじ

トッププレデター「パンドラボックスはもらっていくぜ。あばよ、とっつぁ〜ん」

アザミ「勝った…計画通り…!」

惣真「オレァ クサムラヲ ムッホロボス!!」ピキピキ



混血児の少女

よぉ、みんな、惣真(エボルト)だ。

 

俺は今ある場所に向かっている。

 

前回トププレ共にパンドラボックスとボトルの大半を奪われたうえにnascitaを放火され、俺はもう激おこシャバドゥビタッチファイナルアタックタイムブレイクぷんぷんエクストリームてな訳で、連中をムッホロボスと心に決めた。

 

そしてあれから3ヶ月…

 

ついに見つけた

 

トッププレデターの研究所の一つを。

 

俺はあの後すぐに奴らの居場所を突き止めるために行動を開始した。

 

ろくに情報もなかったから探すのにかなり時間がかかった。

 

できればこの研究所にパンドラボックスがあればいいんだが…まぁここになくてもこの施設から情報が得られればいずれ奴らの本拠地に辿り着くだろう。

 

と、いうわけで

 

「──────ファルコン、パアァァァァァァンチ!!!」

 

ドガァァァァァァァン

 

すでに仮面ライダーエボル(コブラフォーム)に変身していた俺は研究所の壁を破壊して侵入した。

 

 

 

 

 

 

 

 

あるモニタールームの中で、白衣に身を包んだ研究員たちは、監視カメラの映像に映る予想外の姿に戸惑いと恐怖が入り混じった瞬間を迎えていた。

 

「侵入者だああああ!!」

 

叫び声が部屋を満たし、研究員たちは不安と驚きの中で、モニターに映る存在をじっと見つめた。

 

「お、おい、コイツってまさか…」

 

別の研究員がつぶやき、彼らの間に不穏な沈黙が広がった。その映像の中には、伝説的な黄金の怪人の姿があった。

 

「おいおいおいおい!?おかしいだろ!なんで星狩りがこの研究所にいるんだよ!」

 

混乱が広がり、研究員たちの心臓は激しく鼓動し始めた。怪物…異宙の住民を圧倒するほどの力を持った未知の力と謎めいた存在が、平穏だった研究所に突如現れ、擾乱をもたらすものとして立ちはだかったのだ。

 

「こうなったら…あの実験体にアレ (・・)を使用させ奴にぶつけるぞ!」

 

「え、でも正規品とはいえまだガキだしハザードレベルも不十分だから『ドライバー』は使えないんじゃないか?」

 

「曲がりなりにも正規品だ。それにいざという時は我々が逃げるまでの時間稼ぎにはなってもらう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

研究所に入りエボルを出迎えたのは機械兵士、ガーディアンの集団だった。

 

〈侵入者ヲ確認。攻撃開始〉

 

ガーディアン達は銃剣型の『セーフガードライフル』を向け、一斉に発砲を開始した。

 

しかしエボルの装甲に銃弾は全て弾かれてしまった。

 

エボルは右手にエネルギーを収束させる。

 

「…ハァッ!」

 

その手からは強力な衝撃波が発生してガーディアン達を吹き飛ばした。

 

吹き飛ばされたガーディアン達は壁に激突しバチバチと火花を散らしながら機能を停止した。

 

そこから先もガーディアン達が次々襲い掛かってきたが全てエボルに返り討ちにされた。

 

〈侵入者ヲ確認。排除シマス〉

 

またもやガーディアン達が立ち塞がった。

 

「ハァ〜、ゴキブリ並みに湧いて出てきやがるな」

 

ガーディアンたちが現れては倒してまた現れては倒す単純作業の繰り返しにエボルは気が滅入っていた。

 

そしてエボルがいまだ非常事態を告げる警報が鳴り続ける研究所内を進んでいると

 

「来たか化け物め…!」

 

白衣を着た男達が現れた。

 

「お!ようやくお出ましか!ガーディアンばっかでうんざりしてたところだ。さ、パンドラボックスの在処を教えてもらおうか?」

 

「黙れ!貴様のような化物に教えることなど何も無いわ!」

 

「おいおい、自分達がどういう状況か分かってんのかァ…?」

 

エボルの底冷えするような声色に白衣の男達は恐怖を感じた。

 

「ひ、怯むな!我々人類の力を見せてやる!」

 

一人の研究員の言葉の響きがその場に充満する。

 

エボルは何をするつもりなのかと奇妙な期待が生まれた。

 

すると研究員達の中から現れ前に出る小さな影。

 

「……」

 

「…子供?」

 

流石のエボルも仮面の中で目を丸くして首を傾げるしかなかった。

 

出てきたのが子供だったからだ。

 

おそらく見た目からして10歳くらいの年齢だろう。透き通ったような金髪で、短く切られているが女の子だとわかる。しかし額からは緑色の角、馬のそれに近い尻尾が生えており、少女の整った外見も相まって特異さを醸し出していた。

 

研究所の白い壁と同化するような色合いの入院着を着たその少女は不気味な静寂を纏っており、感情がそぎ落とされたような無表情で虚な目をしていた。子供がこんな表情、こんな目をするものなのか。

 

そしてエボルが最も注目したのはその少女の腰に巻かれているもの。

 

「ドライバー、だと」

 

それは惣真も知らないドライバーだった。スクラッシュドライバーに近い構造に右側にはゲネシスドライバーのレバーのようなものががついていた。

 

(おいおい3ヶ月の間にもうあんなものまで作ってたのかよ!?だがなんでこんな子供が…?)

 

「良いですか『フィーア』?アレは人類の敵です!!そして我々は人類の味方!!つまりあなたの仕事は『ライダーシステム』を使って奴を殺すこと!!殺せなくても奴を足止めし、我々科学者という人類の発展に必要な財産が逃げるための時間を稼ぐことです!!」

 

「…はい」

 

研究員の男が捲し立てるようにそう言うとフィーアと呼ばれた少女は返事をする。この歳の少女にしては声はひどく無機質で、命令に従う機械のようで、不気味な印象を受けた。

 

「さぁ行きなさいフィーア!我々人類の未来を守るために戦うのです!」

 

研究員の男にそう言われるとフィーアは懐から一本のボトルを取り出す。

 

(ボトル…?だがなんだあのボトル、見たことねぇぞ)

 

フィーアはボトルをドライバーに装填した。

 

『Rider system standby, Ready?』

 

「…変身」

 

そしてドライバーの右側にあるレバーを押し込んだ。

 

すると

 

「ッ!アァッ!アァ、ァァァアアッ!!」

 

フィーアの体にバチバチと電流が走り、叫びを上げその場に倒れる。

 

「なに…?」

 

「おっおい!?何をしている!!早く起き上がれ!!」

 

「やっぱり、まだハザードレベルが足りなかったんだ……」

 

「クソッ!!なんという尫弱っ…早く立て!!」

 

エボルは研究員のその言葉を聞き、フィーアのハザードレベルを測る。

 

(ハザードレベル2.3、か)

 

ビルドドライバーの使用条件は3.0。

 

あのドライバーのことは知らないが、あの少女が使うにはハザードレベルが3.0以下では足りなかったのだろう。

 

…それよりも、だ。

 

「おい、聞きたいことがある」

 

「な、なんだ!!化け物に教えることなど…」

 

「お前ら、こんな小せえガキに、ネビュラガスを注入したのか?

 

「「「!!?!」」」

 

研究員達はエボルの威圧感に気圧され声が出せなかった。

 

「おい答えろよ、ネビュラガスを、このガキに、使ったのか?」

 

「ひぃっ!そ、そうだ!だからなんだっていうんだ!!」

 

「…お前らはネビュラガスの危険性を理解してるのか?」

 

「き、危険性だと?ああ、ハザードレベルが低すぎると消滅する(・・・・・・・・・・・・・・・・・)ことか?

 

 

 

 

 

 

 

 

それがどうした!!コイツらはただの実験体!!人類の発展ために必要な犠牲だ!!我々は必ず異宙人共から地球の覇権を取り戻すのだ!!『科学』の力によってなぁっ!!!

 

 

研究員の男は狂気に満ちた笑みを浮かべながらそう言い放った。

 

(コイツらは人体にネビュラガスを注入することの危険性を理解している。ということは、つまり…)

 

エボルはその意味を理解すると、コブラフォームの仮面の下で奥歯を噛み締め、己の拳を強く握りしめる。

 

「あなたはいつまで倒れてるんですか!?早く立ち上がりなさい!!それでも選ばれし正規品か!!!我々を守るために戦いなさい!!」

 

研究員の男はいまだうずくまっているフィーアに怒鳴りつける。

 

「ウゥ…ッ!グ、ウゥッ……!!」

 

フィーアは命令に従おうとなんとか立ち上がろうとするが体が言うことを聞かない。

 

そんなフィーアを見てエボルは ポン と、彼女の頭に手を置いた。

 

「え…?」

 

フィーアは恐る恐ると顔を上げる。

 

「少し待っててくれ」

 

エボルはフィーアに優しい口調でそう言うと、フィーアは不思議そうな顔をする。

 

「お、おい!いったい何を」

 

研究員の男が言い切る前にエボルはヒュンッと、研究員達の目の前まで瞬間移動する。

 

そしてエボルは研究員達に両手を向け、手の平にエネルギーを集め…

 

「きゅっとしてドカーン、なんてナァ」

 

研究員達に向け、エネルギー弾を放った。

 

「「「ぎゃああああっ!!?」」」

 

研究員達は悲鳴をあげ、その衝撃で吹き飛ばされた。

 

「お前らはコンティニューできないのさ、兵六玉共が」

 

エボルは倒れ伏す研究員達にそう言うとフィーアの方に向き歩み寄る。

 

フィーアは未だに何が起こったのか理解できずに困惑していた。

 

「立てるか?」

 

「え、あ…は、はい」

 

エボルに手を差し伸べられ、フィーアは少し戸惑いつつもその手を掴んでよろよろと立ち上がる。

 

だが

 

「ハァ…!ハァ…!どうせ人類の敵になるなら…処分するしか無いですねぇ…!!」

 

エボルに吹き飛ばされ辛うじて生きていた研究員の一人がその光景を見て端末を操作する。

 

「ア…ッ、アア……アァッ!!」

 

するとフィーアが突然苦しみ出し、倒れてしまう。

 

「お、おい!?どうした!?」

 

エボルは慌てて駆け寄り抱き起こす。

 

するとフィーアの首に取り付けられている首輪が赤く光っているのに気づいた。

 

エボルはもしやと思い、フィーアに付けられていた首輪に触れる。

 

(なるほど、首輪から毒が流れているのか…なら)

 

エボルは首輪を破壊し、フィーアの体に手を当てて解毒を行った。

 

「あ……」

 

フィーアはエボルの解毒により苦しみから解放され、気を失う。

 

呼吸は安定しているので問題ないだろう。

 

「ふぅ、これで大丈夫だろう」

 

「な…!?馬鹿な、専用の解毒剤がなければ解毒できないはずっ…!?」

 

「あいにく俺は毒の専門家なもんでね」

 

ニヤリと仮面の下で不敵な笑みを浮かべる。

 

研究員の男の顔には先程までの余裕はなく、額から冷や汗を流していた。

 

「くっ……だったら!!」

 

研究員の男は再びタブレットを操作する。

 

「おいおい、これ以上何をしようと…っ!!」

 

エボルはタブレットを覗き、研究員の男のしようとしていることがわかった。

 

そして研究所内でエボルに機能停止させられ転がっていたガーディアン達の顔に『0:60』とタイマーが浮かび上がった。

 

(コイツ…!!この施設にいるすべてのガーディアンの自爆装置を作動させやがった!!)

 

エボルは舌打ちし、このままだと自分はともかくフィーアが爆発に巻き込まれてしまうと危惧する。

 

「ヒッ…ヒヒッ…私は…私は最後まで人類の為に戦いましたよ…!!」

 

研究員の男は壊れたように笑う。目の焦点も定まっていない。

 

「くっ…!」

 

エボルはフィーアを抱え、すぐさまワープする。

 

 

 

「我が魂はァァァァ……トッププレデターと共にありぃぃぃィィィ――――ッ!!!」

 

 

 

研究員の男の叫びと同時に研究所は大爆発を起こし、爆炎に飲み込まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハァー、何もねぇな」

 

惣真は爆風が届かない場所まで転移し、研究所の炎がゆっくりと沈静化していくの確認した後、瓦礫の中を丹念に探したが、何も見つからなかった。

 

(ここにパンドラボックスがあることは期待してなかったが、何かしらの手がかりがあると思ったんだけどなぁ………………………………いや、収穫はあったか)

 

惣真は近くの木陰に寝かせている少女、フィーアに目をやる。そしてフィーアの腰に巻かれていたドライバーに目を向ける。

 

(まさかもうドライバーまで作ってるとはな。あの研究員共もネビュラガスのことに詳しかったし、おそらく『スマッシュ』も……)

 

とりあえずドライバーの方は回収するとして残った問題は一つ。

 

「この子…どうするかなぁ」

 

流石にこの場に放置はできない。惣真はいまだ気を失っているフィーアを一督しながら思考を巡らせる。

 

(やはり、一旦この子を連れて帰るか。この子からトッププレデターの情報を聞き出せるかもしれないな。どうするかはその後考えるとしよう)

 

いくらブラッド族とはいえ、星狩り的なモノだけではなく人間的倫理観や道徳観念も一応は併せ持っている。幼い子供をこんな場所に放置するほど落ちてはいない。

 

惣真は再びエボルに変身し、フィーアを背負いワープして姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フィーアSIDE

 

物心ついた頃から目に見える世界は白い壁や灰色のコンクリートの壁。

 

『あなた達実験動物は人類から地球を奪った害悪、異宙人と戦うために作られたのです』

 

『あなた達は人類の発展の為に必要な犠牲なのです』

 

研究者の声は堅苦しく、無情。研究者達に耳にタコができるほど滔々と語り聞かされた定型文の羅列。

 

私自身も自分達は人類の発展の為に作られた、その為に犠牲になることはとても名誉のあること、それが自分の存在意義だと信じて疑わずこの閉じられた環境の中でどんな実験にも耐えてきた。

 

何より、時々私と同じ子たちが処分されていくのを見る度『ああなりたくない』と思ったから。

 

そしてある日、私は正規品に選ばれた。

 

私は『戦麒』という名から『フィーア』という名へ変わった。…名前を与えられたというよりナンバリングされたが正しいかもしれない。

 

『今日からあなたはこの施設でライダーシステムを扱うための実験を受けてもらいます』

 

私は別の施設に移され、そこでライダーシステム?というものを使えるようになる為の実験が行われた。

 

私は水槽のようなカプセルの中に入れられた。四肢は拘束され口に酸素ボンベを付けられた。

 

周りを見ると、防護服で体を覆ってガスマスクを被った、おそらく研究者であろう何人もの人間が私の様子を観察したり、機材をいじったりしていた。

 

そして…。

 

『…ッ!?アッ、アァァァアアアアア!!?!』

 

私はよくわからないガスを浴びせられ、体の中に何かが流し込まれていく。

 

痛い!苦しい!! 体が内側から焼けるように熱くなっていく。

 

『1.3…1.7…1.9……ハザードレベル2.0に到達!スマッシュ化はしていません!』

 

『おお、さすがは正規品と言ったところか。最初は欠陥品や廃棄品でネビュラガスの注入実験をしたが、消滅するかスマッシュ化するだけだったからな』

 

そんな苦しむ私を他所にガスマスクをした研究者達は淡々と作業と分析をしていた。

 

それからは地獄の日々だった。

 

ライダーシステムを使えるようになるには、ハザードレベルというものを上げなければいけないらしい。

 

その方法として、私は毎日何度も何度も異宙の生物やガーディアン達と戦わされた。それは正規品に選ばれる前の施設での戦闘実験よりも過酷なものだった。

 

 

『うぅ…ぐ…っ…』

 

 

何時間も戦わされ疲労で戦闘中にその場で倒れてしまうことも稀にあった。

 

しかしそこにガーディアンたちが私を囲み容赦無く蹴りを入れる。

 

 

『あがッ⁉ぐぅッぅぁあ…ッいっ…!!』

 

 

ガーディアン達が容赦無く袋叩きにしていく。金属の足がまだ成長途中の幼い私の体を傷つけていく。

 

一体のガーディアンの足が私の腹部に直撃する。

 

 

『ゔっ!?…うっ…ッ…ゔぉぇぇ…!!』

 

 

私はたまらず嘔吐してしまった。それでもガーディアン達は攻撃を止めない。

 

研究者たちは相も変わらずひどく冷静で淡々とその様子を観察していた。それは当然だろう。実験動物に対して抱く感情など実験動物に向けるそれ以外無い。ましてや情を抱くなんてことはあり得ない。

 

彼らは私の親じゃないのだから。いや私を作り出したという意味では親みたいなものかもしれないけど…そもそも『親』とはなんだろう。そんな疑問も再び腹部に直撃した衝撃で吹っ飛ぶ。

 

口に広がる胃酸の酸っぱさと、口の中の傷から滲み出る血の味。蹴られた腹部に残る気持ち悪さと戦闘の疲労から与えられた食事も微塵たりとも喉を通らない。

 

しかし研究者たちは正規品の私が栄養失調で死なれたら困るので用意された食事を無理矢理口に突っ込まれる。むせて吐き出し一人の研究者の白衣を汚してしまい、その人は顔を真っ赤にして激怒し私を何度もぶった。

 

その時の私は冷静にもその研究者の顔が『鬼』という異宙の生物に似てるなぁ、と考えていた。

 

研究者達も面倒になったのか、その日から私の食事は点滴や栄養剤、サプリメントに変わった。私としてもその方がありがたかった。元々食事を億劫に感じていた。出された食事を美味しいと思ったこともない。…そもそも『おいしい』ってなんなのかがわからない。

 

最近では研究者達が『スマッシュ』と呼ぶ怪物とも戦わされた。

 

そんな日々の中、私は失敗作として廃棄された子たちを思い出していた。前は『ああなりたくない』と思っていたのに、今では彼らを羨ましいと思う。

 

あの子たちはこの地獄を味わうことも知ることもなく解放されたんだから。

 

 

 

…………………………いや違う。

 

これは名誉あることなんだ。

 

自分達は実験動物で人類の発展のためには必要なことでもう駄目私は兵器なんだ兵器は兵器らしくただ命令に従っていれば良い私は正規品で処分された子達とは違う助けて私は人形ただ従順にもう殺して嫌だ死にたくない忠実に私は混血児誰か助けてよ 違う違う違う違う考えるな兵器は感情を持たない涙を流さない痛いどうしてなんでこんな誰か助けてお願いだから私は一体何者もう疲れたよなんの為に生まれそれじゃ存在意義って何痛いごめんなさいもう逆らいませんごめんなさいごめんなさい…

 

 

何度も繰り返される実験は私の身も心も壊していった。

 

その日も過酷な実験が終了し、私は監獄のような部屋へと戻り就寝していた時だった。

 

突然警報が鳴り響き慌ただしい雰囲気に包まれる。

 

その鳴動で私は何事かと思い目を覚ますと突如として研究者達が部屋に入ってきた。

 

『あの…一体何が…』

 

私が口を開く前に、一人の研究員が切羽詰まった様子で語りかけてきた。

 

『我々は現在襲撃を受けているっ!!あなたには襲撃者と戦闘し、我々を守るという大変名誉な役目を与えます。今すぐ準備しろっ!!』

 

私はこの時、自分が初めて兵器として使われるのだと悟った。

 

『………はい』

 

私はコクリと首を縦に振るしかなかった。

 

私は黙ってコクリと首を縦に振った。

 

私は研究員からドライバーとボトルを渡され、襲撃者がいる場所へと向かった。

 

着くとそこにいたのは————黄金の蛇を彷彿とさせる鎧の怪人。

 

コブラを彷彿とさせる顔。それはまるで神様にも牙を剥くような鋭い目つき。金色を中心としたパーツがごちゃごちゃした

装甲はとても禍々しかった。

 

あれはたしか『星狩り』。この施設でモニターの資料映像で教えられた。 冥府の守護神とほぼ互角に戦える圧倒的な力持ち、いずれ世界に仇なす存在だと。

 

目の前の星狩りが放つオーラに私は気圧される

 

勝てない。次元が違う。

 

戦闘で培った私の勘が告げる。

 

 

『良いですかフィーア?アレは人類の敵です!!そして我々は人類の味方!!つまりあなたの仕事はライダーシステムを使って奴を殺すこと!!殺せなくても奴を足止めし、我々科学者という人類の発展に必要な財産が逃げるための時間を稼ぐことです!!』

 

 

『…はい』

 

 

しかし兵器である私に拒否権などない。ただ命令に従うだけ。

 

私はボトルをドライバーに装填した。

 

 

『Rider system standby, Ready?』

 

『…変身』

 

 

そしてドライバーのレバーを押し込み、変身————することはなかった。

 

 

『ッ!アァッ!アァ、ァァァアアッ!!』

 

 

全身がバチバチと電流が走った様な感覚に襲われ、私は倒れてしまった。

 

変身に失敗した。原因はわかりきってる。ハザードレベルが足りなかったからだ。

 

そのため凄まじい拒絶反応に襲われた。

 

それ以前に力に歴然の差がある。研究員たちもわかっていたはずなのに短絡的に私を駆り出した。そんな愚挙に出たのはきっと藁にもすがりたい思いだったのだろう。正直愚かだと思った。

 

研究員の一人が私に怒鳴りつける。

 

立ち上がろうにも体が言うことを聞かない。

 

そうこうしてるうちに星狩りは目の前にいて、私を見下ろしていた。

 

私は最期を悟った。

 

あんなに苦しい思いしたのに、兵器としてすら碌に使われないまま終わるんだ。

 

私の人生は、何だったのだろう。

 

何のため、生まれてきたんだろう。

 

でもよかった…。これで私も解放されるんだ。もう戦う必要なんてないんだ。

 

これでやっと…私も———————————————————————————————————————————————死にたくないなぁ…

 

 

そして怪人は私に近づき—————

 

 

 

 

ポン

 

 

 

 

私の頭に手を置いた。

 

 

 

『え…?』

 

 

私は一瞬何をされたか理解できなかった。私は恐る恐る顔を上げる。

 

 

『少し待っててくれ』

 

 

蛇を彷彿とさせるフルフェイスからは考えられない優しい声色で星狩りは言った。

 

戸惑う私を差し置き、怪人はいつの間にか研究者たちの前まで移動していて、両手からエネルギー弾を放ち研究者たちを吹き飛ばした。

 

何がどうなってるの…?

 

私が困惑してると星狩りが私の方に歩いてきた。

 

 

『立てるか?』

 

 

『え、あ…は、はい』

 

 

手を差し伸べられ、私も戸惑いながら手を伸ばした。

 

体が痛むが、星狩りの手を掴みなんとか立ち上がった。

 

 

『ハァ…!ハァ…!どうせ人類の敵になるなら…処分するしか無いですねぇ…!!』

 

 

『ア…ッ、アア……アァッ!!』

 

 

突然苦しくなり、私は倒れる。

 

何をされたかはすぐわかった。

 

私の首に装着された首輪から毒が注入されたのだと。

 

今度こそ死んでしまうと思った。

 

私が諦めかけたその時、怪人が私の体に手を当てる。

 

するとさっきまでの苦しみが嘘のように消えていった。

 

瞼が重くなっていき、そこで私の意識は途絶えた…。

 

 

 

 

 

 

「…………はっ!!」

 

フィーアはベッドの上で目を覚まし、ガバッと起き上がった。

 

「こ、ここは…?」

 

「おっ、目が覚めたか!」

 

フィーアが声のする方へ顔を向けるとそこには白いワイシャツ、ベージュのズボンというラフな格好をした20代後半の男性がいた。

 

その男性からフワッと芳しい香りが漂いそれが不思議とフィーアの心を落ち着かせる。

 

それが『コーヒー』という飲み物の香りだということをフィーアはまだ知らない。

 





今回は惣真と混血児との出会いでした。

自分は混血のカレコレのキャラクターの中でフィーアが一番好きなので、今回ようやく出せたって感じです。


追記

2023年10月10日

内容を大幅に改稿しました。
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