ご了承ください!!
後、タイトルは作者の切実な疑問。
ギルド=民間企業なイメージ。
帝国って原作の数百年後に内側から革命起きそうだよね!!
SIDE:ギルべルティーナ
何日か一緒に過ごしたデュークさんと帝都の側で分かれた後…私は帝都の門をくぐり、空を見上げた。
故郷の空と同じ色をした青い空。
透き通るようなスカイブルーに染め上げられている、空。
貴族街の下、下町の上、具体的には中層部から見下ろす帝都のザーファイスの町並みはドイツの旧市街や故郷のバイエルンを思い出させる。
ビル並みの大きさの城だって、山の上にあるドイツの古城にそっくりだ。
しかし、此処はいくらドイツに似ててもヨーロッパでもなく、それどころか地球ですら無い。残念だし、ありえないことに。
しかし、視界を染め上げる青い空は同じ、街並みだって似ている。
だけど、決定的な違いは空を覆う四重の光。
皇帝の城から伸びる剣の頂上付近に冠の様に君臨する光の文様。
異世界から来た人間に言わせれば摩訶不思議な代物だ。
中身の製法を何も知らないでそんな便利なものを使ってるって怖くないか…?
簡潔に理論をまとめて説明した後に安全性について討論させろって感じなのだが、誰もあまり何も言わない。……科学よそれでいいのか。私は祖国の情報安全について、国民に提示する為の法律よ来い!!とか思ったりもするんだが。
まあ……それにしても、
「大きいな、オイ……」
思わず感嘆した。
素直に凄いと思う。
こんなのドイツでも日本でも見たこと無い。
男口調なのはご愛嬌。
今の私、いや俺は“僧衣の騎士”の異名をとる傭兵。
ギルベルト・バイルシュミットなのだから。
黒革の手袋で覆った手で顔をひと撫でする。
スイッチを切り替える為に、触れる。
一度、スイッチを切り替えたら、もうそこにいるのは一般市民のギルべルティーナ・ミヅキ・ベルンシュタインではなく傭兵のギルベルト・ベルンシュタインだ。
詭弁と言うなら言え、それくらいしないとやっていけない。
私が無理になるのである。
黒い僧衣に、剣を携えた傭兵。
大胆不敵で唯我独尊な、笑みを貼り付け。
それでいて実は面倒見のいい人間の性格の仮面を被る。
スイッチを完璧に切り替える。
そして、変わった。
街をとりあえず歩いていると、ランクで分けられているのがわかった。
貴族の町は無視をして、市民街も通り過ぎて、段々と下の方におりていく。
すると耳に甲高い声を感じ取り、ひょいっと路地裏に飛び込んできた。
それがどうしてか気にかかったため、微かな声を頼りに坂を下ったり、道を変えたりしながら、進む。
街のすみの辺りに移動すると、声の主だろう小さな少年と年老いた男性。
それを取り囲む三人の騎士団員。
…思いっきり、騎士が悪もんだなこれは。
その光景に眉をひそめた。
この世界に来てからどうやら人に対する感覚が鈍っている。
というよりも、非日常になれてしまった。
昔なら時代錯誤にしか思わないものを本物だとしっかり認識できた事からも伺える。
呆れたように、騎士を眺めた。
やたらと偉そうな騎士が一人いる。
きっと一番、地位が高いか血筋が上なんだろうと予想がついてしまった。
そんな真贋を見極める目はいらなかった。
私がぼうっと眺めているうちに。
その偉そうな騎士が子供に何事か言い返されて頭に血がのぼったのか、剣を抜いた。
流石に取り巻きの騎士も不味いと思ったのか止めようとする。
しかし、間に合いそうにない。
あー、もう面倒い。
観光はまた後になるんだろうなぁ。
諦観しながら、走った。
とっさに子供と騎士の間に入り、剣を受け止める。
剣が意図せずに交差して兜に包まれた騎士の瞳と目が合った。
驚いたようにそれが丸々となる。
そんな状況をよそに、剣と剣の鋼と鋼が合わさって金属特有の耳障りな音を立てた。
錆び臭い匂いが漂い、鼻孔を刺激する。
それに、目を見開く老人と子供。
顔を歪める何人かいる騎士達。
それを視界に納めて、目を細める。
人を小馬鹿にしたように鼻で笑った後、声に出さずに僅かに口角を持ち上げてケセセと笑った。相手を挑発する為に。
真っ赤になった顔を見ながら、手首を返して、剣をはじき返す。
そして、相手を思い切り、蹴り上げた。
鎧のない脇腹を思い切り蹴り飛ばすと、骨の折れる感触。
簡単に吹き飛ぶ騎士を視界に収めてはっと息を出す。
風が吹いて、肩につかないぎりぎりにまで伸びた髪と、黒の僧衣がふわりと舞った。
そうして、私は笑った。
勝ち誇る様に傲岸不遜に。相手を挑発する様な笑みを。
こいつらに、私がいきなり飛び込んできて、この人たちを庇ったのではなく。
騎士に喧嘩を売った事にする為に。
SIDE:テッド
今、俺の目の前で、どこまでも真っ白な印象を人に与える人がご飯を食べている。
椅子の脇に剣を立てかけて、綺麗な手付きでフォークを持った人。
デンっと大きく盛られた料理に少し困ったような顔をして、それでも文句を言わず。
丁寧な仕草で、綺麗に。
好き嫌いもなく、残さずにきちんと食べている。
俺とハンクス爺さんを助けてくれた銀の髪に青い目をした人は、ギルベルト・ベルンシュタインさんという名前で最近の仕上がってきた結構有名な傭兵さんらしい。
騎士の様な人だが騎士ではなく傭兵で。
フリーみたいな感じであちこちのギルドやキャラバンに雇われて働いているのだそうだ。
ここ、首都ザーファイスにはお世話になっている人への贈り物を買いに来たそうだ。
……なんというか、ねぇ。意外とこの人、繊細っぽい。
大雑把そうに見えて、細かい所とか気にしてそうだ。
「ん、どうしたテッド。俺の顔になんかついてるか?」
「ううん、なんでもないよ!!」
「そうか…。それにしても、このポトフ美味しいな」
黙々と食べていたギルベルトさんだけど、箒星の女将さんが作った料理は美味しいと思ってたみたい。整った顔をうっすらと綻ばせるギルさんに、女将さんやハンクスさん、それに僕以外の食堂の人が溜息をついた。
ギルさんはあまり自覚してないみたいだけど凄い綺麗だ。
男の人に綺麗っていうのもなんかおかしいような気がするけど綺麗なのだ。
艶やかで手触りもいい。
素晴らしい
だいたいは大人になるにつれて色が濃くなっていくから、滅多にない色合いなのだ。
それにギルベルトさんは髪だけではなく、肌や瞳の色も白くて淡い。
肌は肌理細かく、ほんのりと光を零すような艶がある。
整った顔立ちとも相まって、どこか人形めいても見えて立ってるだけでお金が取れそう、とひっそり思った。
「ねえ、ギルベルトさん」
「なんだよ、テッド?」
「なんでギルベルトさんは傭兵になったの?」
ギルベルトさんは少し考え事をするかの様に間を置いた後、悪戯っぽくキラリと瞳を光らせてから、口を開いた。
「…A secret makes a man man.(秘密だ。なぜなら、その方がカッコイイから)」
「え?」
この人、わざと分かんないようにいってる!!
古代語なんて、相当教育を積んでなきゃわかんないよ!
僕がムスッと膨れると、ギルベルトさんはくくくと喉の奥で笑った。
僕らを見てた皆も穏やかな会話を繰り広げている。
だけど、そんな穏やかな空気は乱暴に入って来た騎士たちに壊された。
乱暴に蹴り破られた箒星亭のドアは、蝶番が外れかけている。
貴族であろう騎士たちはギルベルトさんに剣を向けた。
SIDE:騎士
「ギルベルト・ベルンシュタインだな」
「ああ」
上官が銀の髪をした痩身の剣士にそう言葉を投げかけている。
銀の剣士と異名を取る傭兵はその言葉にうっとうしそうに答え、静かに俺達を見据えてきた。
無機質な値踏みをする様な冷徹に冷えた瞳。
先ほどの子供に見せていた淡い柔らかさはどこにもない。
「公務執行妨害の容疑でお前を連行する!!」
そう、偉そうに上官が言うと
「――――ついでに従わなかった場合は?」
こともなげに言ってのけた。
アイスブルーの瞳はだんだんとその冷たさを増していっている。
そんな危険な事に気付かないまま上官は言葉をつづけた。
「お前が庇ったとかいう、子供と老人が牢に入れられるだけだ」
空気が凍りついた。冷えるとかいう表現ですらない。
もう、アイスブルーの瞳には熱の片鱗さえ見せない。ただの極寒の冷たさだけがこの場を支配している。
喉がごくりとなった。
宿に居る下町の住人や隣の同僚でさえも気付いているのに上官だけが気付いていない。
ついっと、瞳が細められた。
寒い、ただ只管に。
「…… !!」
顔色を変えないままに、微かに何事か声を発した後、剣士は側に居た子供に向き直った。
しっかりと、子供を見据える。
「テッド。…」
「何、ギルベルトさん?」
子供は泣きそうな顔をしていた。
それに諭すように剣士はいう。
「俺の荷物と剣を預かっていてくれ、…あんたらに迷惑をかけるわけにはいかないから」
後者の言葉を宿の女将と代表者であろう老人に投げかける。
そして、上官と俺達に向き直った。
「―――行くんなら、早くしてくれないか?」
それはありったけの嫌みを籠めた言葉だった。
次回は、騎士の誰かに会わせたいです。
これからも頑張ります。